説明

ポリマー基材のための接着促進組成物

本発明は、イソシアネート基を有する少なくとも1種の結合剤を含む接着促進組成物に関する。この特定の結合剤は、ポリエステル樹脂Aと、少なくとも1種のジフェニルメタンンジイソシアネートモノマーと、少なくとも1種のポリイソシアネートBとの混合物から調製され、前記モノメリックMDI部分が全組成物の2質量%以下である。このような結合剤組成物は、特に新世代の自動車用塗料にとりわけ好適であり、そのジフェニルメタンンジイソシアネートモノマー(MDI)の含量が低いため、環境的にも毒性学的にも非常に望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着促進組成物、ならびに接着剤およびシーリング材の下塗り(アンダーコート)としてのこれらの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
接着促進剤は、さまざまな基材に対する接着剤およびシーリング材の接着性を向上させるために、これまでかなりの期間用いられてきた。このような基材の、非常にさまざまで且つ絶え間ないさらなる開発により、新たな個別の接着促進組成物も繰り返し必要となっている。
【0003】
接着が難しいことが知られている種類の基材は、塗料である。特に重要な塗料は、より最近の世代の自動車用塗料であり、1成分形ポリウレタン接着剤およびシーリング材と組合せられる。
【0004】
したがって、これらのより最近の塗料世代と、最近使用されている塗料および標準的なプラスチックとの双方に対して良好な接着性を示す接着促進組成物を見出すことが促されてきた。
【0005】
例えば、米国特許出願公開第2003/0084995号、米国特許出願公開第2005/0100742号、および米国特許第5,115,086号には、ポリエステル樹脂およびポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDIまたはPMDIとしても知られている)を含む接着促進組成物が記載されている。しかし、その製造方法に起因して、工業的グレードポリメリックMDIは、不可避的にジフェニルメタンジイソシアネートモノマー(モノメリックMDIまたはPMDIとしても知られている)を非常に高い割合で含有し、毒物学的および環境的に議論の的となっている。
【0006】
望ましくないモノメリックMDIの割合を低減する1つの手段が、米国特許第4,643,794号および欧州特許出願公開第0441242号の実施例に記載されている。この手段は、より少量のポリメリックMDIを接着促進組成物に使用することにあり、これにより望ましくないモノメリックMDIの割合も低減される。この変形態様は、毒物学的および環境的な懸念を排除することができるが、特に新たな世代の自動車用塗料に対する接着性および機械的特性の低下を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0084995号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0100742号
【特許文献3】米国特許第5,115,086号
【特許文献4】米国特許第4,643,794号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0441242号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、毒物学的および環境的に有利であり、接着性および機械的特性の低下の問題が全くない新規な接着促進組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、この目的が、請求項1に記載の接着促進組成物によって達成されうることを見出した。この組成物は、ポリメリックMDIが、したがって必然的にMDIモノマーが、安価な、毒物学的および環境的により議論の的とはなっていないポリイソシアネートで部分的に置換されており、これにより、非常に良好な接着性が維持されるか、あるいはさらに改善される。
【0010】
加えて、本発明は、請求項20に記載のコーティングされた基材、請求項21に記載の接着結合およびシーリング方法、および請求項26に記載のこれらから得られる物品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のさらに特に好ましい実施態様は、従属請求項の主題である。
【0012】
本発明は、少なくとも1種のイソシアネート基を有する特異な結合材を含む接着促進組成物に関する。
【0013】
この特異な結合材は、ポリエステル樹脂A、少なくとも1種のジフェニルメタンジイソシアネートモノマー、および少なくとも1種のポリイソシアネートBの混合物から調製され、モノメリックMDIの割合は、組成物全体の2質量%未満である。
【0014】
本明細書において、「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリイソシアネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリオール、またはポリカーボネートは、これらの名称に現れる官能基を1分子当たり形式的に2個以上有する物質を表す。
【0015】
本明細書において、用語「ポリマー」は、第一に、化学的に均一であるが、重合の程度、分子量、および鎖長に関してはさまざまである、重合反応(付加重合、重付加、重縮合)によって製造された高分子の集合を包含する。一方、この用語は、このような重合反応からの高分子の集合体の誘導体、例えば、所与の高分子上の官能基の反応(例えば、付加反応または置換反応)によって得られる化合物であって、化学的に均一であるものまたは化学的に不均一であるものも包含する。この用語はさらに、いわゆるプレポリマー、すなわち、反応性オリゴマー性付加前駆体も包含する。このプレポリマーの官能基は、高分子の形成に関与する。
【0016】
本明細書において、「分子量」は常に、数平均分子量Mを意味すると理解される。
【0017】
ポリエステル樹脂Aは、少なくとも1個のOH基を有する。このポリエステル樹脂Aは、室温で無定形であるか固体であることが好ましい。Ring & Ball法で測定されたポリエステル樹脂Aの融点(メルトフロー)は、典型的には140℃より高く、とりわけ150〜160℃の範囲である。加えて、ポリエステル樹脂Aは、25℃で好ましくは70〜85、とりわけ75〜85、好ましくは77〜82のショアD硬度を有する
【0018】
好ましいポリエステル樹脂Aは、とりわけ、少なくとも1種のジカルボン酸と少なくとも1種のグリコールとから調製されるポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂Aは、12000 g/モルより高い、とりわけ15000〜40000 g/モルの分子量を有することが好ましい。加えて、好ましくは、ポリエステル樹脂Aは、1〜10 mg KOH/g、とりわけ2〜9 mg KOH/g、好ましくは3〜6 mg KOH/gのOH価を有する。
【0019】
ポリエステル樹脂Aは、芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましく、典型的には、下記式(I)の構造を有する。
【化1】

上記式中、R基およびR基は、それぞれ独立に、二価の有機基であり、mおよびm’は繰り返し単位の数を表し、m’は0または1である。
【0020】
特に好ましいポリエステル樹脂Aは、Bostik社からVitel(登録商標)2000製品系列として販売されているものである。特に、これらは、Vitel(登録商標)2100、Vitel(登録商標)2180、Vitel(登録商標)2190、Vitel(登録商標)2000、Vitel(登録商標)2200、Vitel(登録商標)2300、およびVitel(登録商標)2700である。特に好ましいものは、Vitel(登録商標)2200またはVitel(登録商標)2200Bである。
【0021】
さらに、接着促進組成物は、ジフェニルメタンジイソシアネートモノマー(MDI)を含む。すなわち、接着促進組成物全体の質量に基づいて、ジフェニルメタンジイソシアネートモノマー(MDI)の量が0質量%より高い。より特に、モノメリックMDIの割合は、接着促進組成物全体の質量の1質量%以下、好ましくは0.9質量%以下である。さらに好ましくは、モノメリックMDIの割合は、接着促進組成物全体の0.1質量%以上、とりわけ0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
【0022】
用語「ジフェニルメタンジイソシアネートモノマー」(MDI)は、MDIのあらゆる異性体、すなわち、ジフェニルメタン4,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、およびジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ならびにこれらの異性体のお互いの任意の所望の混合物を意味するものと理解される。例えば、このようなジフェニルメタンジイソシアネートモノマーは、Bayer MaterialScience社から商標名Desmodur(登録商標)44 MおよびDesmodur(登録商標)2460 Mの下で、BASF社から商標名Lupranate(登録商標)Mの下で、ならびにDow Plastics社から商標名Isonate(登録商標)の下で販売されている。
【0023】
本発明の好ましい実施態様では、モノメリックMDIまたはモノメリックMDIの一部を、工業グレートのポリメリックMDIの形態で接着促進組成物に導入する。工業グレートのポリメリックMDIは、常に、ポリメリックMDIと共に、モノメリックMDIを、典型的には20〜50質量%の量で含有する。ポリメリックMDIは、ポリマーであり、250〜500 g/モル、とりわけ350〜450 g/モル、好ましくは370〜420 g/モルの分子量を有する。したがって、好ましい実施態様では、接着促進組成物は、ポリメリックMDIをモノメリックMDIと共にさらに含有する。
【0024】
例えば、このような好ましいポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)は、Dow Plastics社から商標名PAPI(登録商標)20、PAPI(登録商標)27、PAPI(登録商標)580N、およびVoranate(登録商標)M580の下で、Bayer MaterialScience社から商標名Desmodur(登録商標)VL R 20の下で、BASF社から商標名Lupranate(登録商標)M200の下で販売されている。
【0025】
接着促進組成物全体における工業グレードPMDIの割合は、モノメリックMDIの合計割合が2質量%を超えないように選択する。この量は、モノメリックMDIの合計割合が、接着促進組成物全体の1質量%以下、好ましくは0.9%以下となるように選択することが好ましい。さらに好ましくは、接着促進組成物全体における工業グレードPMDIの割合は、モノメリックMDIの合計割合が、組成物の0.1質量%以上、とりわけ0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上となるように選択する。接着促進組成物に工業グレードPMDIを使用すると、モノメリックMDIを別個に添加する工程が不必要になる。
【0026】
接着促進組成物中のイソシアネート基を有する全ての化合物の合計質量におけるジフェニルメタンジイソシアネートモノマー(MDI)の質量割合は、好ましくは1〜20質量%、とりわけ1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%である。
【0027】
ポリイソシアネートBは、ポリイソシアネートのビゥレット、ポリイソシアネートのイソシアヌレート、および下記式(II)のポリウレタンからなる群から選択される。
【化2】

【0028】
好ましいイソシアヌレートは、ポリイソシアネート、とりわけジイソシアネートのイソシアヌレート、例えば、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートすなわちIPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネートすなわちXDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H12XDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ならびにこれらの異性体の任意の所望の混合物のイソシアヌレートである。
【0029】
特に好適なものは、脂肪族および脂環式ポリイソシアネートのイソシアヌレート、好ましくは1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートである。
【0030】
とりわけ好ましいものは、市販されているイソシアヌレート、例えば、Bayer MaterialScience社から商標名Desmodur(登録商標)N 3300、Desmodur(登録商標)N 3600、Desmodur(登録商標)Z 4470、およびDesmodur(登録商標)ILの下で、Rhodia社から商標名Tlolonate(登録商標)HDTの下で、BSAF社から商標名Basonat(登録商標)HI 100の下で、Lyondell社から商標名Luxate(登録商標)HT 2000およびLuxate(登録商標)IT 1070の下で、Degussa社から商標名Vestanat(登録商標)T 1890の下で販売されているものである。
【0031】
好ましいビゥレットは、ポリイソシアネートのビゥレット、とりわけジイソシアネートのビゥレットである。相当するジイソシアネート類は、イソシアヌレートについて既に記述した。とりわけ好ましいものは、芳香族ポリイソシアネートのビゥレット、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)のビゥレットである。2,4-トリレンジイソシアネートのビゥレットが特に好ましい。
【0032】
加えて、異なるポリイソシアネートから形成されたビゥレットおよび/またはイソシアヌレートを用いることも可能である。このようなイソシアヌレートの1つの例は、混合TDI/HDIイソシアヌレートであり、Bayer MaterialScience社から商標名Desmodur(登録商標)HLの下で入手可能である。
【0033】
好ましいポリイソシアネートBは、とりわけ、下記式(II)のポリウレタンである。
【化3】

式中、Rは、n価の有機基であり、Rは、脂肪族、脂環式、または芳香族の有機基であり、nは2〜8、とりわけ2、3、または4である。
【0034】
好ましい式(II)のポリウレタンは、とりわけ、Rが、炭素原子2〜15個を有する脂肪族有機基、好ましくは下記:
【化4】

からなる群から選択される基であるものである。
【0035】
さらに好ましい式(II)のポリウレタンは、R基が、脂肪族、脂環式、芳香族の有機基、とりわけ下記:
【化5】

からなる群から選択される基であるものである。
【0036】
最も好ましい好適な式(II)のポリウレタンは、Rが式(III)の基であり、Rが式(IVa)または(IVb)の基のものである。
【化6】

【0037】
本明細書において、式中の点線は、それぞれ、特定の置換基とそれに対応する分子基との間の結合を表す。
【0038】
例えば、このような好ましい式(II)のポリウレタンは、Bayer MaterialScience社から商標名Desmodur(登録商標)L 75の下で販売されている。
【0039】
式(II)のポリウレタンは、とりわけ、式:R1(OH)n のポリオールと、式:OCN-R2-NCO のポリイソシアネートとから得ることができる。NCO基をOH基に対して化学量論的過剰量、とりわけNCO/OHが2以上の比率で存在させる。これにより、単純な付加体が優位に形成され、かつ、高分子量ポリマーの割合が最小限になる効果が達成される。
【0040】
式(II)の全てのポリウレタンについて、これらが150〜300 g/当量、とりわけ200〜250g/当量のイソシアネート当量質量を有することが有利である。式(II)のポリウレタンのこのイソシアネート当量質量は、ここでは、式(II)のポリウレタンの分子量Mnを1分子当たりのイソシアネート基の数で割った質量を意味する。
【0041】
加えて、イソシアネート基を有する化合物の混合物、とりわけポリイソシアネートBの混合物を用いることがさらに有利である。典型的には、これらは、イソシアヌレートおよび/またはビゥレットおよび/または式(II)のポリウレタンの混合物である。イソシアヌレートと式(II)のポリウレタンとの混合物が好ましい。
【0042】
とりわけ好ましくは、接着促進組成物は、ポリイソシアネートBとポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)との混合物を含む。最も好ましいものは、イソシアヌレートと、式(II)のポリウレタンと、ポリメリックMDIとの混合物である。
【0043】
ポリエステル樹脂Aの割合は、接着促進組成物全体の好ましくは1〜30質量%、とりわけ2〜20質量%、好ましくは5〜12質量%である。
【0044】
特に、ポリエステル樹脂Aとイソシアネート基を有する全ての化合物、とりわけ全てのポリイソシアネートBとの比は、イソシアネート基(NCO基)と、OH基との化学量論比が、30:1〜100:1、とりわけ50:1〜100:1の範囲内となるように選択するべきである。イソシアネート基(NCO基)と、OH基との化学量論比は、好ましくは60:1〜90:1、最も好ましくは70:1〜80:1である。
【0045】
1つの実施態様では、接着促進組成物は、トリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートをさらに含む。これは、例えば、Bayer MaterialScience社から商標名Desmodur(登録商標)RFEの下で販売されている。
【0046】
このトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートを接着促進組成物に添加すると、典型的には、接着性に所望の向上がもたらされ、ポリメリックMDIの割合を低減する手段、したがって、モノメリックMDIの割合を低減する手段も同時にもたらされる。しかし、トリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートは比較的高価であるため、その添加がいずれの場合にも好ましいわけではない。
【0047】
さらに好ましくは、接着促進組成物は、少なくとも1種の溶媒をさらに含む。用いる溶媒は、とりわけ、エーテル、ケトン、エステル、または炭化水素であり、好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、またはアセテート、とりわけメチルアセテート、エチルアセテート、もしくはブチルアセテートである。
【0048】
接着促進組成物は、追加的に、少なくとも1種の式:R5-Si(R6)a(OR7)3-a のシランをさらに含んでいてもよい。式中、R基は、少なくとも1個の官能基、とりわけエポキシ基、(メタ)アクリレートエステル基、アミン基、またはビニル基を有するアルキル基である。R基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、とりわけメチルまたはエチルである。指数aは、0、1、または2の値、とりわけ0の値である。
【0049】
シランの割合は、接着促進組成物全体の好ましくは0.1〜5質量%である。
【0050】
接着促進組成物は、典型的には、少なくとも1種のカーボンブラック、とりわけ工業的に製造されたカーボンブラックをさらに含む。接着促進組成物全体におけるカーボンブラックの割合は、好ましくは1〜20質量%、とりわけ2〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
【0051】
接着促進組成物は、さらなる構成成分、例えば、触媒、乾燥剤、チキソ性付与剤、分散剤、湿潤剤、腐食防止剤、さらなる接着促進剤、UV安定剤および熱安定剤、顔料、染料、およびUV指示薬を含んでいてよい。
【0052】
イソシアネート基と水との反応を促進する触媒は、例えば、有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセチルアセトネートなど)、有機ビスマス化合物もしくはビスマス錯体、またはアミン基を含有する化合物(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルもしくは1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、またはポリウレタン化学においてイソシアネート基の反応のために慣用される他の触媒である。
【0053】
上述した接着促進組成物は、好ましくは、全組成物の5〜50質量%、とりわけ10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%の結合剤の割合を有する。
【0054】
結合剤は、好ましくは、最初にポリエステル樹脂Aを、典型的には溶媒に溶解させてチャージした後、イソシアネート基を有する化合物を添加することによって調製する。イソシアネート基を有する化合物を複数用いる場合、例えば、ポリイソシアネートのイソシアヌレートと式(II)のポリウレタンとを用いる場合には、これらを、既に混合した状態で、あるいは個別に順次に、溶解されたポリエステル樹脂Aに添加することができる。
【0055】
代替的な調製方法では、ポリイソシアネートBを最初にチャージするか、イソシアネート基を有する化合物を最初にチャージし、次いで、ポリエステル樹脂Aを添加する。
【0056】
記述した接着促進組成物は、アンダーコート、好ましくは接着剤および/またはシーリング材のアンダーコートとして特に好ましい。このようなアンダーコートを使用すると、接着性が向上する。
【0057】
本接着促進組成物は、クロス、フェルト、ローラー、スプレー、スポンジ、ブラシ、ディップコーターなどを使用して適用することができ、手動で適用することもロボットを使用して適用することもできる。
【0058】
本発明はさらに、接着結合方法またはシーリング方法も含む。とりわけ、以下の3つの変形態様が好ましい。
【0059】
第一の変形態様は、
i) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii)基材S1上に置かれ、溶媒が蒸発除去された前記接着促進組成物に、接着剤またはシーリング材を適用する工程と、
iii) 前記接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2に接触させる工程と
を含む。
【0060】
第二の変形態様は、
i’) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’)接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2の表面に適用する工程と、
iii’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1上に置かれ、溶媒が蒸発除去された前記組成物と接触させる工程と
を含む。
【0061】
第三の変形態様は、
i’’) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’’)前記接着促進組成物の溶媒を蒸発除去させる工程と、
iii’’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1の表面と基材S2の表面との間に適用する工程と
を含む。
【0062】
これらの3つの変形態様において、第二の基材S2は、基材S1と同じ材料からなるか、あるいは基材S1と異なる材料からなる。
【0063】
典型的には、工程iii)、工程iii’)、または工程iii’’)の後に、前記接着剤またはシーリング材を硬化させる工程iv)が続く。
【0064】
本発明は、すでに上述した通りの接着促進組成物でコーティングされた基材S1および/またはS2をさらに包含する。この基材S1および/またはS2は、とりわけ、プラスチック、ガラス、ガラスセラミック、金属、塗装金属、金属アロイ、および塗装金属アロイからなる群から選択される。
【0065】
基材S1および/またはS2がプラスチックを含む場合、このプラスチックは、ポリビニルクロライド(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびポリカーボネート(PC)からなる群から選択されるポリマーである。
【0066】
基材S1および/またはS2が金属を含む場合、この金属は、とりわけ、コーティングされた金属またはコーティングされた金属アロイ、好ましくは塗装された金属または金属アロイである。好ましい金属または金属アロイは、とりわけ、自動車製造において使用される金属または金属アロイである。これらは、典型的には、アルミニウム、マグネシウム、およびこれらのアロイ、および鋼(steel)、とりわけ亜鉛めっき鋼板である。
【0067】
特に好ましい塗料は、輸送手段の塗料、とりわけ自動車用塗料、自動車用トップコート用塗料、および陰極エレクトロコーティング用塗料である。最も好ましい塗料は、新世代の自動車用塗料、特に、特に1成分形湿気硬化性ポリウレタン接着剤および/またはシーリング材である場合の接着剤および/またはシーリング材に対して接着性の問題を引き起こすことが知られている、マルチベイク用塗料である。
【0068】
基材S1および/またはS2がガラスまたはガラスセラミックである場合、これらは、車両用フロントガラスまたは車両用フロントガラスのエッジ領域で典型的にみられる、ガラスまたはガラスセラミックを意味することを理解されたい。このようなガラスセラミックの構成および製造は、当業者に知られている。
【0069】
接着剤と、シーリング材とは、それらの構造および特性の点で非常に類似している。これらの機能を最適に実現させるためには、両者とも基材に対する良好な接着性が必要とされる。しかし、接着性への要求、または基材と接着剤との間に伝達されるべき応力への要求は、接着剤に対するものの方がシーリング材に対するものより顕著に高い。この結果、本接着促進組成物は、とりわけ接着剤において使用される。
【0070】
用いる接着剤は、基本的に任意の1成分形または多成分形の接着剤であってよい。湿気硬化性接着剤、とりわけ空気中の湿気によって硬化される接着剤を使用することが好ましい。好ましい接着剤は、第一に、当業者に「MSポリマー」の名称で知られているシラン基で末端化されたポリマーに基づく接着剤、あるいは、第二に、当業者に「SPUR」(シラン末端化ポリウレタン)の名称で知られているシラン基で末端化されたポリウレタンに基づく接着剤である。しかし、接着性の有利な改善が、とりわけ、ポリウレタン接着剤またはシーリング材の場合、とりわけイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを含むポリウレタン接着剤の場合において見出された。このようなポリウレタン接着剤は、商業的に広く入手可能であり、とりわけ、Sikaflex(登録商標)およびSika Tack(登録商標)の名称でSika Schweiz AG社から入手可能である。
【0071】
イソシアネート末端ポリマーに基づく好適な接着剤は、同様に、2成分形ポリウレタン接着剤であって、第一成分がアミンまたはポリオールを含み、第二成分が、イソシアネート基を有するポリマーまたはポリイソシアネートである接着剤を意味することが理解される。室温で硬化するこのような2成分形ポリウレタン接着剤の例は、Sika Schweiz AG社から入手可能であるSikaForce(登録商標)製品系列からのものである。
【0072】
イソシアネート末端ポリマーに基づく好適な接着剤は、さらに、反応性ポリウレタンホットメルト接着剤である。この接着剤は、熱可塑性ポリマーおよびイソシアネート末端ポリマー、または熱可塑性イソシアネート末端ポリマーを含む。このような反応性ポリウレタンホットメルト接着剤は、溶融され、第一に冷却過程において固化し、第二に空気中の湿気で反応することによって架橋する。例えば、このような反応性ポリウレタンホットメルト接着剤は、SikaMelt(登録商標)の名称でSika Schweiz AG社から入手可能である。
【0073】
本出願は、同様に、上述した方法によって得られる接着結合された物品またはシールされた物品をさらに包含する。
【0074】
これらの物品は、好ましくは、構造物、とりわけ建築または土木工事における構造物、生産財または消費財、とりわけ窓、家庭電化製品、輸送手段、とりわけ水上もしくは陸上用輸送手段、好ましくは自動車、バス、トラック、列車、または船舶である。このような物品は、好ましくはさらに内装部品、とりわけ製造ラインにおけるモジュールとして使用され、とりわけ接着により取り付けられあるいは組み込まれる、モジュラーコンポーネントである。これらの作成済みの内装部品は、とりわけ輸送手段の製造において使用される。例えば、このような内装部品は、トラックもしくは機関車のドライバーキャビン、自動車のサンルーフである。これらの物品は、好ましくは、輸送手段の窓ガラス、とりわけ自動車およびトラックの窓ガラスである。
【実施例】
【0075】
[接着促進組成物の調製]
表1の量にしたがって、最初に、ポリエステル樹脂Aを、溶媒または溶媒の一部に加える。ポリイソシアネートBおよび/またはVoranate(登録商標)M580(34質量%のモノマー含量を有するポリメリックMDI)を、必要であれば残りの溶媒に溶解させた後、窒素雰囲気下、一定速度で撹拌しながら添加し、30℃にて1時間撹拌した。次いで、この混合物を、40℃に加熱し、NCO含量が一定になるまで撹拌した。次いで、カーボンブラックを添加し、この混合物を、厳密に密封することが可能なシートメタル缶内でガラスビーズと混合し、密封し、Red Devil振盪機を使用して1時間親密に混合した。
【0076】
混合後、ガラスビーズを除去し、接着促進組成物を、固く閉まるアルミニウムボトルに充填した。
【0077】
【表1】

【0078】
[試験方法]
[適用および硬化]
これらの接着促進組成物を、それぞれ、さまざまな基材に、ブラシによってコーティングとして適用した。溶媒を30分間蒸発除去させた後、これらの接着剤を、カートリッジプレスおよびノズルを使用して丸いビードとして、接着促進組成物でコーティングされた塗装表面またはポリマー表面に適用した。適用時の接着剤の温度は、「SF-250 DM-2」については45℃、「STUF」については80℃、「SF-555」については23℃、および「SF-655 WM」については60℃であった。
【0079】
その後、接着剤を23℃および相対湿度50%で7日間硬化させ(環境制御室温貯蔵:「CCS」)、ビードの3分の1を、以下に記述する接着性試験によって試験した。その後、試料を23℃の水中にさらに7日間置いた(水中貯蔵:「WS」)。その後、ビードのさらなる3分の1についてビード試験によって接着性を試験した。その後、塗装された基材を、100%相対湿度および40℃の水分凝縮環境(「WCS」)に、またはポリマー基材の場合には100%相対湿度および70℃の高温多湿環境(「HHS」)に7日間曝した後、残った最後の3分の1のビードを測定した。
【0080】
[塗料]
以下のトップコートを用いた塗装を使用した:
− PPG社からのHDCT4041(「HDCT4041」);
− DuPont社からのRK8046(「RK8046」);
− DuPont社からのRK4126(「RK4126」);
これらは、新世代の自動車用塗料である。これらの塗料は、接着促進組成物による前処理なしでは、1成分形ポリウレタン接着剤に対して不十分な接着性能を有する。
【0081】
[ポリマー]
以下のポリマーを使用した:
− Rocholl社(独国)からのPVC;
− Rocholl社(独国)からのABS;
− Rocholl社(独国)からのPMMA;
− Rocholl社(独国)からのPC。
【0082】
[接着剤]
Sika Schweiz AG社から市販されている以下の接着剤を使用した。
− Sikaflex(登録商標)-250 DM-2、「SF-250 DM-2」;高弾性率1成分形ポリウレタン接着剤;
− SikaTack(登録商標)- Ultrafast、「STUF」;低弾性率1成分形ポリウレタン接着剤;
− Sikaflex(登録商標)-655 WM、「SF-655 WM」;1成分形「ウォームメルト」ポリウレタン接着剤;
− Sikaflex(登録商標)-555、「SF-555」;シラン基で末端化された1成分形ポリウレタン接着剤。
【0083】
[接着性試験(「ビード試験」)]
接着剤の接着性は、「ビード試験」によって試験した。この試験では、ビードの一端に接着表面の直上まで切り込みを入れた。このビードの切り込んだ端を先の丸いピンセットで持って、基材から引っ張った。この操作は、ピンセットの先にビードを注意深く巻き上げることによって行い、ビードを引っ張る方向と直角に、基材の裸の表面まで切り込みを入れる。ビードを除去する速度は、切り込みが約3秒ごとに行われるように選択する。試験する長さは、少なくとも8 cmでならなければならない。評価は、ビードを取り除いた後で基材上に残っている接着剤 (凝集破壊)に基づいて行う。接着特性の評価は、接着剤の凝集割合を視覚により見積もることによって行った。
1=95%を超える凝集破壊
2=75〜95%の凝集破壊
3=25〜75%の凝集破壊
4=25未満の凝集破壊
5=0%の凝集破壊(純粋な接着破壊)
評価の表示の「P」は、基材からのプライマーの剥離を示し、「ED」は、端部剥離を示し、「L」は、塗装の破壊を示す。
75%未満の凝集破壊の試験結果は、不満足であると考える。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
[結果]
接着結果を表2および表3に示す。これらは、本発明の実施例が、プラスチックおよび塗装された基材に格別に良好な接着性を有することが示している。とりわけ、1質量%未満のモノメリックMDI含量を有する実施例2および3は、モノメリックMDI含量が低いにもかかわらず、格別に良好な接着性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1個のOH基を有する少なくとも1種のポリエステル樹脂Aと、
b)少なくとも1種のジフェニルメタンンジイソシアネートモノマー(MDI)と、
c)ポリイソシアネートのビゥレット;
ポリイソシアネートのイソシアヌレート;および
下記式(II)のポリウレタン
【化1】

(式中、Rは、n価の有機基であり、
は、脂肪族、脂環式、または芳香族の有機基であり、かつ、
nは2〜8、特に2、3、または4である)
からなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネートBと
の混合物から調製されるイソシアネート基を有する少なくとも1種の結合剤
を含む接着促進組成物であって、
前記接着促進組成物中の前記ジフェニルメタンンジイソシアネートモノマー(MDI)の含量が、前記接着促進組成物全体の質量に基づいて2質量%以下である、接着促進組成物。
【請求項2】
ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着促進組成物。
【請求項3】
ポリエステル樹脂Aが、少なくとも1種のジカルボン酸と、少なくとも1種のグリコールとから調製可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着促進組成物。
【請求項4】
ポリエステル樹脂Aが、1〜10 mg KOH/g、特に2〜9 mg KOH/g、好ましくは3〜6 mg KOH/gのOH価を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項5】
ジフェニルメタンンジイソシアネートモノマー(MDI)の含量が、前記接着促進組成物全体の質量に基づいて1質量%以下、とりわけ0.9質量%以下の量であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項6】
前記イソシアヌレートが、脂肪族イソシアヌレート、とりわけ1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項7】
が、2〜15個の炭素原子を有する脂肪族有機基、好ましくは:
【化2】

からなる群から選択される基であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項8】
が、脂肪族、脂環式、または芳香族の有機基、とりわけ:
【化3】

からなる群から選択される基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項9】
が、下記式(III):
【化4】

の有機基であり、Rが、下記式(IVa)または(IVb):
【化5】

の有機基であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項10】
前記接着促進組成物におけるイソシアネート基を有する全ての化合物の合計質量中のジフェニルメタンンジイソシアネートモノマー(MDI)の質量割合が、1〜20質量%、とりわけ1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項11】
ポリエステル樹脂Aの割合が、前記接着促進組成物全体の1〜30質量%、とりわけ2〜20質量%、好ましくは5〜12質量%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項12】
ポリエステル樹脂Aと、イソシアネート基を有する全ての化合物、とりわけ全てのポリイソシアネートBとが、NCO基とOH基との化学量論比が、30:1〜100:1、とりわけ50:1〜100:1、好ましくは60:1〜90:1、最も好ましくは70:1〜80:1の範囲内となる比で用いられていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項13】
式(II)のポリウレタンが、150〜300 g/当量、とりわけ200〜250 g/当量のイソシアネート当量質量を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項14】
トリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の溶媒をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の下記式のシラン:
R5-Si(R6)a(OR7)3-a
(式中、Rは、少なくとも1個の官能基、とりわけエポキシ基、(メタ)アクリレートエステル基、アミン基、またはビニル基を有するアルキル基であり;
は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基;
は、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、とりわけメチルまたはエチルであり;かつ、
aは、0、1、または2、とりわけ0の値である)
をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のカーボンブラックをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項18】
前記結合剤の割合が、前記接着促進組成物全体の5〜50質量%、とりわけ10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の接着促進組成物。
【請求項19】
接着剤および/またはシーリング材のための下塗り(undercoat)としての、請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物の使用。
【請求項20】
基材が、プラスチック、ガラス、ガラスセラミック、金属、塗装金属、金属アロイ、および塗装金属アロイからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物でコーティングされた基材。
【請求項21】
接着結合方法またはシーリング方法であって、
i) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii)基材S1上に置かれ、溶媒が蒸発除去された前記接着促進組成物に、接着剤またはシーリング材を適用する工程と、
iii) 前記接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2に接触させる工程と
を含む方法であるか、
i’) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’)接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2の表面に適用する工程と、
iii’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1上に置かれ、溶媒が蒸発除去された前記組成物と接触させる工程と
を含む方法であるか、あるいは、
i’’) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’’)前記接着促進組成物の溶媒を蒸発除去させる工程と、
iii’’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1の表面と基材S2の表面との間に適用する工程と
を含む方法であり、
第二の基材S2が、基材S1と同じ材料からなるか、あるいは基材S1と異なる材料からなる、接着結合方法またはシーリング方法。
【請求項22】
基材S1および/または基材S2が、ポリビニルクロライド(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびポリカーボネート(PC)からなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
基材S1が、コーティングされた金属またはコーティングされた金属アロイ、好ましくは、塗料システムで、とりわけ自動車のトップコートでコーティングされた金属または金属アロイであることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
基材S2が、ガラスまたはガラスセラミックであることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程iii)、工程iii’)、または工程iii’’)の後に、前記接着剤またはシーリング材を硬化させる工程iv)が続くことを特徴とする、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法によって接着結合されるかまたはシールされた、物品。
【請求項27】
前記物品が、構造物、とりわけ建築または土木工事における構造物、生産財または消費財、とりわけ窓、家庭電化製品、輸送手段、とりわけ水上もしくは陸上用輸送手段、好ましくは自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶、または輸送手段の内装部品であることを特徴とする、請求項26に記載の物品。

【公表番号】特表2010−516829(P2010−516829A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545922(P2009−545922)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050483
【国際公開番号】WO2008/087175
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】