説明

ポリマー粒子をポリマーマトリックス中へ均一に取り込む方法

本発明は、ポリマー粒子が存在する製剤に関するものであり、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記製剤は、ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合によって、作用物質少なくとも1種がポリマー粒子中に分散され、こうして得られたポリマー粒子分散液が相間移動によりワックス中へ取り込まれることによって得ることができる。さらに、本発明は、前記ポリマー粒子が本質的に均一分散して存在するポリマーマトリックスを含む組成物に関するものであり、前記組成物は、前記のポリマー粒子を含有するワックスが製剤としてポリマーマトリックス中へ取り込まれることによって得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー粒子が存在する製剤(Praeparation)に関するものであり、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記製剤は、ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合によって、作用物質少なくとも1種がポリマー粒子中に分散され、こうして得られたポリマー粒子分散液が相間移動(Phasentransfer)によりワックス中へ取り込まれることによって得ることができる。
【0002】
本発明は、さらに、ポリマー粒子が本質的に均一分散して存在するポリマーマトリックスを含む組成物に関するものであり、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記の製剤が引き続きポリマーマトリックス中へ取り込まれることによって得ることができる。
【0003】
本発明はさらに前記の製剤の製造方法に関する。
【0004】
本発明はさらに前記の組成物の製造方法に関する。
【0005】
さらにまた、本発明は、前記の組成物を使用して得ることができるフィルム、繊維及び成形品に関する。
【0006】
好ましい実施態様は、明細書及び特許請求の範囲並びに実施例から読み取ることができる。
【0007】
好ましい実施態様の組合せは、本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0008】
作用物質少なくとも1種を含有するポリマー粒子を含有する製剤及び組成物及びそれらの製造は、それ自体として知られている。こうして、例えば、紫外線吸収剤を含有するポリマー粒子は、紫外線に対して保護するためにプラスチック中へ取り込まれる。同じように、しかしまた、それ自体としてはプラスチックと難混和性の他の物質が、ポリマー粒子中に分散されることができ、それによりプラスチック中での移行に対して安定な分布が保証される。
【0009】
独国特許(DE)第103 35 863号明細書は、押出しによる顔料マスターバッチの連続製造法を扱っており、分散液又はプレスケーキの形の顔料が、溶融されたポリマー中へ添加され、かつ剪断力により取り込まれる。こうして製造された顔料マスターバッチは、ポリマーマトリックス中へ後で取り込むために利用可能である。
【0010】
米国特許出願公開(US)第2003/0199628号明細書には、ポリマーマトリックス用の水性添加剤系が記載されている。その場合に、例えば耐衝撃性改良剤及び場合により別の成分、例えば紫外線吸収剤を含有するポリマー粒子は、乳化重合により製造される。これらは、水性懸濁液として又は湿ったプレスケーキとしてポリマーマトリックス中へ直接取り込まれることができ、又は粉末混合物として他の作用物質と一緒に添加されて、ついでポリマーマトリックス中へ取り込まれることができる。
【0011】
国際公開(WO)第2004/046234号には、ミニエマルション重合による紫外線吸収剤を含有するポリマー粒子の製造が記載されている。こうして得られたポリマー粒子は、紫外線に対するプラスチックの安定化に使用され、その際に、ポリマーマトリックス中へポリマー粒子を取り込むのに当業者にそれ自体として知られた多様な方法が一般的に指摘されている。例えば、ポリマーマトリックスへの添加は、製剤中へポリマー粒子を取り込み、引き続きこの製剤をポリマーマトリックスに添加することにより行われることができる。
【0012】
スウェーデン国特許(SE)第7909585号明細書には、水性顔料プレスケーキ又は他の添加剤を、有機担体、とりわけポリブテンを含有する有機担体中へ取り込むことによるマスターバッチの製造方法が記載されている。これらのマスターバッチは、引き続き多様なポリマーマトリックス中へ取り込まれる。
【0013】
ポリマーマトリックス中への作用物質の均一な取り込みは経済的に有利である、それというのも、ポリマーマトリックスから製造される生成物の質的改善が達成されるからである。作用物質が凝集する不均一な取り込みの場合に、均一な取り込みの場合と同じ効果を達成するには、より大量の作用物質が、ポリマーマトリックス中へ取り込まれなければならない。作用物質をこれらと難混和性であるポリマーマトリックス中へ、特に問題となる均一に取り込む方法は、国際公開(WO)第2004/046234号に記載されている。ここでは、作用物質は、そしてまたポリマーマトリックスと混合されることができるポリマー粒子中へ分散される。
【0014】
故に、本発明の課題は、ポリマー粒子を含有する製剤、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有する、を提供すること、並びにこれらの製剤を使用して製造され、これらのポリマー粒子を本質的に均一分散して含有する組成物を提供することであった。
【0015】
この課題は、ポリマー粒子を含有する製剤、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有する、を提供することによって、並びにこれらのポリマー粒子が本質的に均一分散して存在する組成物によって、解決され、これらは、
a)ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合により、作用物質少なくとも1種をポリマーA中に分散させ、
b)こうして得られたポリマー粒子分散液を相間移動によりワックス中へ取り込み、
c)こうして得られたワックスを製剤として使用し、
d)引き続き、ポリマーマトリックス中へ取り込む
ことによって得ることができる。
【0016】
c)で得られた製剤は、さらに加工する前に適宜乾燥され、かつ粉末化されることができるか、又はなお湿った生成物は、ワックスと不混和性の溶剤の沸点を上回る温度で、ポリマーマトリックス中へ取り込まれることができる。
【0017】
本発明による組成物の一実施態様において、ポリマーマトリックスはポリオレフィンを含有する。
【0018】
本発明による組成物のさらなる一実施態様において、作用物質少なくとも1種は、紫外線吸収剤又はHALS(ヒンダードアミン光安定剤)である。
【0019】
本発明による組成物のさらなる一実施態様において、ワックスは、500〜50000、好ましくは1000〜20 000及び特に好ましくは2 000〜10 000のモル質量を有する。
【0020】
本発明による組成物中に存在しているポリマー粒子は、ミニエマルション重合により得ることができる。
【0021】
作用物質少なくとも1種を含有する本発明によるポリマー粒子が取り込まれる好ましいポリマーマトリックスは、本発明による方法において、ポリオレフィン、ポリエステル、PVC、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン又は前記のポリマーのコポリマーである。同じように、前記の異なるポリマーの混合物は、ポリマーマトリックスを形成することができる。特に好ましくは、ポリマーマトリックスは、ポリオレフィンを含有するポリマーであるか又はPVCである。極めて特に好ましい方法において、ポリマーマトリックスは、ポリオレフィンである。殊に好ましい方法において、ポリマーマトリックスは、ポリエチレン、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)である。
【0022】
概念"本質的に均一分散"は、本願明細書において、ポリマー粒子が、一様でかつばらつきなく全ての製剤及びポリマーマトリックス中に分散されている、すなわち個々のポリマー粒子は凝集してではなく、互いに分かれて存在することを意味する。LDPEのポリマーマトリックス中のポリマー粒子の分布は、例えば、ポリマー粒子の10%未満、好ましくは5%未満が、少なくとも50nm、好ましくは少なくとも100nm、さらに好ましくは少なくとも250nm及び殊に好ましくは少なくとも500nmの隣接したポリマー粒子とのより短い距離を有する場合に、本発明の意味での"本質的に均一"とみなされることができる。
【0023】
前記粒子の分布は、例えば、共焦点レーザー走査顕微鏡法を用いて調べることができる。前記方法は、例えば、"Confocal and Two-Photon Microscopy", Alberto Diaspro編;ISBN 0-471-40920-0, Wiley-Liss, a John Wiley & Sons, Inc. Publication、第2章, p.19-38及びその中に含まれる引用文献に記載されている。
【0024】
本発明による組成物中に取り込まれる、作用物質少なくとも1種を含有するポリマー粒子の分散液は、ミニエマルション重合により製造される。
【0025】
ミニエマルションの製造は、それ自体として知られており、かつ一般的にLandfester, K. (2001) Macromolecular Rapid Communication, 第22巻、p.896 - 936及び国際公開(WO)第2004/037867号に記載されている。これは、水中の疎水性モノマーの特に微粒状のエマルションであると理解される。水相中に乳化されたモノマーの粒度は、ナノメートル範囲内、例えば5〜500nmである。例えば、水中のスチレンのミニエマルションを製造するには、均一化のために、スチレン、表面活性剤、例えば硫酸ドデシルナトリウム及び疎水性成分、例えばヘキサデカン又はオリーブ油の混合物に、超音波を作用させることができる。このようにして、例えば78〜102nmの乳化された油相の平均液滴直径を有する、水中のスチレン及び疎水性成分(Hydrophob)の安定なミニエマルションが得られる、K. Landfester, Macromol. Rapid Commun. 第22巻, 896 - 936 (2001)参照。これらのエマルションは、理想的な場合には、乳化されたモノマー小滴の液滴の大きさを維持して、ポリマーラテックスへと重合されることができる。ミニエマルション重合の場合に、水に不溶の化合物、例えばアルキド樹脂又は顔料を、生じるラテックス中へ取り込むことが可能である。
【0026】
ミニエマルション重合の本質的な特徴は、有機相が特に微粒状で、表面活性剤並びにミニエマルションの安定化のための疎水性成分を含有する水相中に分散されることにある。水相中に乳化された液滴の平均液滴直径は、例えば、50〜500nm、好ましくは50〜200nmの範囲内及び殊に50〜100nmである。もちろん、水相中に乳化された液滴の平均液滴直径は、100nm未満であってもよいが、しかしながら10nm以上でありうる。ミニエマルション重合の場合に、乳化された粒子もしくは小滴の粒度は重合中に、理想的な場合には事実上変わらないので、水性ポリマー分散液中に存在するポリマーの平均粒度は同様に、乳化された有機相について記載された範囲内である。純粋なミニエマルション重合に加え、実際には競争反応として乳化重合も観察される。ポリマーのモル質量は、乳化重合の場合に類似して0.3〜10百万ダルトンの範囲内である。
【0027】
多くとも500nmのこのように小さな粒度は、前記エマルションの製造に使用される有機相が機械的乳化法により乳化される場合に達成される。そのような方法は知られている。これらは、例えば、H. Schubert他., "Mischen und Ruehren - Grundlagen und moderne Verfahren fuer die Praxis", VDI-Tagung, 1988年11月23/24日、Baden-Badenに、"Neue Entwicklungen auf dem Gebiet der Emulgiertechnik"のもとで詳しく記載されている。機械的乳化法の場合に、装置として、例えば高圧ホモジナイザー、超音波発生装置、マイクロフルイダイザー、ローター−ステーター装置、テイラー反応器、クエット(Cuette)セル、ジェットノズル及び膜技術を用いて操作する装置が使用される。これらの装置の本質的な原理は、前記装置中で短期間、高い剪断場が形成されることに基づいている。水相中への有機相の乳化は、好ましくは超音波発生装置を用いて又は高圧ホモジナイザーを用いて、行われる。
【0028】
ミニエマルション重合の部類により重合されることができる適した疎水性モノエチレン系不飽和モノマーは、例えば、スチレン、メチルスチレン、C2〜C28−オレフィン、炭素原子3〜5個を有するモノエチレン系不飽和カルボン酸及び炭素原子1〜22個を有する一価アルコールのエステル、C1〜C22−カルボン酸、好ましくはC1〜C18−カルボン酸のビニルエステル、C1〜C30−アルコールのビニルエーテル、アクリルニトリル及びメタクリロニトリルの群からのモノマーである。この群からの好ましくは使用されるモノマーは、スチレン、メタクリル酸メチル、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート及びアクリロニトリル又はこれらのモノマーの混合物である。疎水性モノマーは、生じるポリマー分散液の性質を改良するために、場合により少量の親水性モノマーと一緒に、使用されることができる。しかしながら、親水性モノマーは多くとも、生じるコポリマーが、水中で20℃の温度及び2のpHで多くとも50g/l、好ましくは多くとも10g/l、殊に1g/lの溶解度を有するような量で使用される。適した親水性化合物には、例えば炭素原子3〜5個を有するエチレン系不飽和カルボン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、ビニルエーテル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピルアクリラート、スルホプロピルメタクリラート、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸及び/又は無水マレイン酸の群が含まれる。
【0029】
好ましい親水性モノマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、無水マレイン酸及び/又はマレイン酸である。
【0030】
当業者には、ポリマーマトリックス中へ取り込まれることができる多数の作用物質がそれ自体として知られている。作用物質少なくとも1種を含有する本発明によるポリマー粒子中に、任意の作用物質、例えば紫外線吸収剤、可視領域内の光を吸収する有機染料、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、有機ポリマー用の安定剤及び助剤、ポリマー用の酸化防止剤、ポリマー用のかぶり防止剤(Antifogging Agents)、ポリマー用の潤滑剤、ポリマー用の帯電防止剤、ポリマー用の防炎加工剤、紙用の反応性サイズ剤、医薬作用物質、殺生物剤及び農薬作用物質及び2つ又はそれ以上のそのような作用物質の組合せが含まれていてよい。考慮に値する作用物質は、エチレン系不飽和モノマーに可溶であるか、部分可溶であるか又はまた易分散可能である。
【0031】
好ましくは、作用物質として紫外線吸収剤が使用される。可能な紫外線吸収剤のリストは、例えば国際公開(WO)第2004/046234号に見出されることできる。
【0032】
紫外線吸収剤は、周知のように、紫外線を吸収し、吸収された放射を放射せずに不活性化させる化合物であると理解される。紫外線吸収剤は、<400nmの波長の光を吸収し、かつこの光を熱放射へ変換する。そのような化合物は、例えば日焼け止め剤(Sonnenschutzmitteln)中で及び有機ポリマーの安定化に使用される。紫外線吸収剤の例は、p−アミノ安息香酸の誘導体、特にそれらのエステル、例えば4−アミノ安息香酸エチルエステル及びエトキシル化4−アミノ安息香酸エチルエステル、サリチラート、置換ケイ皮酸エステル(シンナマート)、例えばオクチル−p−メトキシシンナマート及び4−イソペンチル−4−メトキシシンナマート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸及びそれらの塩である。特に好ましくは使用される紫外線吸収剤は、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンである。
【0033】
紫外線吸収剤のさらなる例は、次のものである:置換アクリラート、例えばエチル−又はイソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート(主に2−エチルヘキシル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート、メチル−α−メトキシカルボニル−β−フェニルアクリラート、メチル−α−メトキシカルボニル−β−(p−メトキシフェニル)アクリラート、メチル−又はブチル−α−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリラート、N−(β−メトキシカルボニル−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、オクチル−p−メトキシシンナマート、イソペンチル−4−メトキシシンナマート、ウロカニン酸及びそれらの塩及びエステル;
2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2′,4′−トリヒドロキシ−、2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン並びに4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン−スルホン酸−ナトリウム塩;
4,4−ジフェニルブタジエン−1,1−ジカルボン酸のエステル、例えばビス(2−エチルヘキシル)エステル;2−フェニルベンゾイミダゾール−4−スルホン酸並びに2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸及びそれらの塩;
ベンズオキサゾールの誘導体;
ベンズトリアゾール及び2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾールの誘導体、例えば2−(2H−ベンズトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3((1,1,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)−プロピル)−フェノール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−(5′−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(3′−s−ブチル−5′−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−[3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンズトリアゾール、t−ブチル−5′−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2[3′−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシトリアゾール 2−[3′−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[3′−t−ブチル−2′−5ヒドロキシ−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[3′−t−ブチル−5′−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンズトリアゾール、2−(3′−ドデシル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−[3′−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−イソオクチルオキシボルニルエチル)−フェニル−ベンズトリアゾール、2,2′−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンズトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3′−t−ブチル−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンズトリアゾールとポリエチレングリコール300との全エステル化生成物、[R−CH2CH2−COO(CH23−]2{ここで、Rは3′−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5′−2H−ベンズトリアゾール−2−イルフェニル}、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(α,α−ジメチルベンジル)−5′−(1,1,′3,′3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5′−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンズトリアゾール;
例えば独国特許出願公開(DE-A)第3 836 630号明細書に挙げられているような、ベンジリデンカンファー及びその誘導体、例えば3−ベンジリデンカンファー、3(4′−メチルベンジリデン)d−1−カンファー;
α−(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸及びそれらの塩、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウム−メソスルファート;
ジベンゾイルメタン、例えば4−t−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン;
2,4,6−トリアリールトリアジン化合物、例えば2′4′6−トリス−{N−[4−(2−エチルヘキサ−1−イル)オキシカルボニルフェニル]アミノ}−1,3,5−トリアジン、4′4′−((6−(((t−ブチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)イミノ)ビス(安息香酸−2′−エチルヘキシルエステル);及び2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジ−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0034】
適したさらなる紫外線吸収剤は、刊行物Cosmetic Legislation, 第1巻, Cosmetic Products, European Commission 1999, p.64-66から読み取ることができ、前記刊行物は参照により本明細書の開示に含まれる。
【0035】
適した紫外線吸収剤はさらに、欧州特許出願公開(EP A)第1 191 041号明細書の6頁14-30行に記載されている。
【0036】
他の作用物質は、エチレン系不飽和モノマーにそれぞれ溶解し、かつ自体が重合可能ではないか、もしくはラジカル重合の条件下でも分解されないか、又は変換されないか、又は反応性ではない有機染料及び蛍光増白剤である。そのような染料及び蛍光増白剤は、国際公開(WO-A)第99/40123号、10頁14行〜25頁25行に詳しく記載されており、前記明細書は再度参照により明らかに本発明の開示内容に含まれる。有機染料は、400〜850nmの波長範囲内の吸収極大を有するのに対し、蛍光増白剤は、250〜400nmの範囲内の1つ又はそれ以上の吸収極大を有する。蛍光増白剤は、周知のように、紫外線を照射する際に、可視領域の蛍光放射線を放出する。蛍光増白剤の例は、ビススチリルベンゼン、スチルベン、ベンズオキサゾール、クマリン、ピレン及びナフタレンの種類の化合物である。市販の蛍光増白剤は、銘柄Tinopal(登録商標) (Ciba)、Ultraphor(登録商標) (BASF Aktiengesellschaft)及びBlankophor(登録商標) (Bayer)で販売されている。蛍光増白剤は、さらに、Roempp, 第10版, 第4巻, 3028 - 3029 (1998)に及びUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第24巻, 363 - 386 (2003)に記載されている。
【0037】
作用物質として、さらに、有機ポリマー用の安定剤が考慮に値する。これらは、ポリマーを酸素、光又は熱の作用の際の分解に対して安定化させる化合物である。そのような安定剤は、酸化防止剤とも又は紫外線安定剤及び光安定剤とも呼ばれる、Ullmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第3巻, 629 - 650 (ISBN-3-527-30385-5)及び欧州特許出願公開(EP-A)第1 110 999号明細書、2頁29行〜38頁29行参照。そのような安定剤を用いて、事実上全ての有機ポリマーが安定化されることができる、欧州特許出願公開(EP-A)第1 110 999号明細書、38頁30行〜41頁35行参照。またこの文献箇所は、参照により本発明の開示内容に含まれる。前記EP出願明細書に記載された安定剤には、ピラゾロン、有機のホスフィット又はホスホニット、立体障害性フェノール類及び立体障害性アミン(いわゆるHALS型の安定剤)の化合物の種類が含まれる、Roempp, 第10版, 第5巻, p.4206-4207参照。市販の安定剤及び助剤は、Cibaの銘柄Tinuvin(登録商標)及びCyasorb(登録商標)及びEastman KodakのTenox(登録商標)で販売されている。安定剤及び助剤は、例えばPlastic Additives Handbook, 第5版, Hanser, ISBN 1-56990-295-Xに記載されている。安定剤及び助剤は、エチレン系不飽和モノマーに可溶であり、その際に20℃の温度及び1barの圧力で少なくとも1g/l、好ましくは少なくとも10g/lが溶解する。
【0038】
適したさらなる作用物質は、例えばBASF AktiengesellschaftによりLumogen(登録商標) IRとして販売される赤外染料並びに例えばRoempp, 第10版, p.1352及び1353並びにUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第14巻, 53-71に記載されている防炎加工剤である。考慮に値する防炎加工剤は、エチレン系不飽和モノマーに可溶である。
【0039】
作用物質は、例えば紙用の内添サイズ剤(Masseleimungsmittel)として知られており、かつ大規模に工業的に使用されるアルケニル無水コハク酸であるとも理解されるべきである。そのようなサイズ剤の例は、異性体4−、5−、6−、7−及び8−ヘキサデセニル無水コハク酸、デセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸及びn−ヘキサデセニル無水コハク酸である、C.E. Farley und R.B. Wasser, The Sizing of Paper, 第2版、(3)、Sizing With Alkenyl Succinic Anhydride, TAPPI PRESS、1989、ISBN 0-89852-051-7も参照。
【0040】
作用物質として、さらに、エチレン系不飽和モノマーに可溶であるか、部分可溶であるか又は分散可能である、全ての医薬作用物質が使用されることができる。医薬作用物質の概観は、例えば、Roempp, 第10版, 第4巻, p.3235 (ISBN-3-13-734910-9)及びUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第25巻、549 -579 (2003)に見出される。医薬作用物質は、本明細書に関連して、ビタミンであるとも理解されるべきである。ビタミンは、エチレン系不飽和モノマーに可溶である。ビタミンの要約は、例えばRoempp, 第10版, 第6巻, p.4877-4887 (1999)及びUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第38巻, 109-294に見出される。
【0041】
適したさらなる作用物質は、香料であり、Ullmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第14巻, 73-199参照、かつ殺生物剤である、Ullmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5巻, 269-280参照。
【0042】
ミニエマルション重合の際に生じるポリマー粒子は通常、主に作用物質少なくとも1種を含有する。本発明による方法において、ポリマー粒子の好ましくは90%、特に好ましくは95%、極めて特に好ましくは99%は、作用物質少なくとも1種を含有する。最も好ましい方法において、ポリマー粒子の99%超が作用物質少なくとも1種を含有する。
【0043】
一般的に、作用物質は、ポリマー中に分散されて、すなわち化学的に結合されずに、存在する。作用物質は、ポリマーにより取り囲まれていてよく(コア−シェル粒子)、又はポリマー粒子の外面に付着していてよい(シェル−コア粒子)。好ましくは、前記粒子は、コア−シェル粒子として存在する。
【0044】
ミニエマルション重合が終わった後に、作用物質少なくとも1種を含有するポリマー粒子は、ポリマー分散液として溶剤中に存在する。この分散液は、本発明によるワックス中へ直接取り込まれることができるか、又は溶剤含分は、濃縮により低下されることができる。分散液の概念は、当該方法において、一般的にプレスケーキが使用されない場合も、プレスケーキであるとも理解されることができる。好ましい一実施態様において、分散液は、ワックス中へ取り込む際に、溶剤30〜80%を含有し、特に好ましくは、本発明による分散液は、溶剤50〜70%を含有する。
【0045】
通常、製剤の製造に使用されるワックスは、当業者にはそれ自体として知られている。こうして、例えば純PEワックス(例えばLuwax A)又はエチレン、酢酸ビニル及び又はメタクリル酸/アクリル酸又はメタクリル酸/アクリルエステルをベースとするコポリマー又は酸化PEワックスが使用されることができる。本発明による方法において、ワックスとして、好ましくは酸化PEワックス又はエチレン及び酢酸ビニルをベースとするコポリマーが使用され、特に好ましくは、ワックスは、酸化PEワックスである。
【0046】
ワックス中への分散液の取り込みは、通常、混合装置中で行われる。本発明による方法において、混合装置として、バッチ−ニーダー、分散ニーダー、しかしまた混合ユニットを有する押出機であることができる。特に好ましくは、本発明による分散液の取り込みは、バッチニーダー中で行われる。その場合に、混練物の温度、ワックスに対するポリマー分散液の比、導入される剪断及び剪断の期間が重要である。ワックス中へポリマー分散液を取り込む際に温度プログラムを走らせることができ、その際に幾分高められた温度で開始し、引き続き前記混練物の粘度を高めるために温度を低下させる。それにより、分散結果が改善される。
【0047】
好ましくは、ワックスをニーダー中で溶融させ、ついで分散液を少しずつ又は一度に添加するようにして行われる。当業者には、ワックスが溶融し、ポリマー粒子及びその中に含まれる作用物質がそれに対して悪影響を及ぼさないように温度が選択されるべきであることは知られている。前記ワックスは、しかしまた溶融物として混合装置中へ導入されることができる。好ましくは、50〜150℃の温度が選択される。特に好ましくは、混合装置中の温度は70〜120℃である。
【0048】
ポリマー粒子が極性環境(例えば水性環境)から、温度に応じて液滴の形で又はしかし水蒸気として混練物から抜ける水が分離することで、ワックス相の無極性環境へ移動するのが確認される。
【0049】
分散液からの、ワックス中への作用物質少なくとも1種を含有するポリマー粒子の相転移により、本発明による製剤が生じる。前記溶剤は、多様な方法で前記製剤から分離されることができる。前記溶剤は、混合装置から除去されるか又は蒸発されることができ、又は前記製剤は、混合装置から除去され、かつ引き続き乾燥され、かつ任意に粉砕されることができる。好ましくは、本発明による方法において、溶剤は液体として傾けて空ける(Abkippen)ことにより除去される。
【0050】
溶剤の除去が混合装置中で蒸発させることにより行われる場合には、混合装置中で、溶剤の沸点を上回る温度を選択することが必要である。同時に、低い温度がワックス中への本発明による分散液の取り込みの方法において経済的に有利である、それというのも、より多いエネルギー供給が行われる必要がないからである。さらに、より低い温度がポリマー粒子及びその中に含まれる作用物質の一体化のために有利である。当業者には、溶剤の沸騰温度は、減圧により低下されることができることが知られている。本発明による方法において、混合装置中の圧力は、0.01〜10barであり、好ましくは、圧力は0.1〜1barである。
【0051】
本発明による方法において、製剤は混合装置中での取り込み後に破壊され、かつ破砕され、かつ場合により真空下に乾燥される。乾燥は、本発明による方法において製剤中の5%未満の溶剤含量を意味する。好ましくは、溶剤含量は0.5%未満である。
【0052】
一般的に、製剤は、単純化された取り扱い及びさらなる加工のために破砕される(zerkleinert)。その場合に、前記製剤は、造粒されるか、ペレット化されるか又は粉末化されることができる。本発明による方法において、前記製剤は、好ましくは粉末化される。
【0053】
当業者には、方法が連続的に又は不連続に実施されることができることが知られている。また、前記製剤の本発明による製造は、連続的に又は不連続に実施されることができる。好ましくは、本方法は不連続に実施される。
【0054】
製剤は、通常、ポリマーマトリックス中へ作用物質を取り込むのに使用される。本発明による製剤は、当該方法において、その中に含まれる作用物質少なくとも1種を含有するポリマー粒子を均一にポリマーマトリックス中へ取り込むために使用される。ポリマーマトリックス中への取り込みは例えば、1つの工程において又は複数の工程において行われることができる。好ましくは、取り込みは、1つの工程において行われる。
【0055】
ポリマー粒子をポリマーマトリックス中へ均一に取り込むための改善された方法の本発明は、取り込まれた粒子の明らかに改善された分布を有する、製剤、マスターバッチ及びこれから製造されたポリマーマトリックスの製造を可能にする。分布のこの改善は、製剤又はマスターバッチへ取り込まれるべき作用物質少なくとも1種を含むポリマー粒子の量が減少されることができ、かつそれにも関わらず、製剤又はマスターバッチの各位置で、1つ又はそれ以上の作用物質を含む相応するポリマー粒子の有効量が存在するという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】例3の製剤を用いて製造されたPEフィルムのミクロトーム切片。フィルム中の粒子の極めて良好な分布が非常によく分かる。
【図2】例2の規定により製造された粉末を混練導入して含有するPEフィルムのミクロトーム切片。凝集物がよく分かる。
【実施例】
【0057】
例1
ポリマー粒子分散液1の製造
完全脱塩水216g、15%濃度ラウリル硫酸ナトリウム溶液0.27g、並びにペンタエリトリトールテトラアクリラート13.5gを、撹拌しながら(200rpm)装入した。このエマルションを、撹拌しながら80℃の温度にし、その後、メタクリル酸メチル256.5g、モル質量1000のポリイソブテン13.5、Uvinul(登録商標) 3008 68.45g、ラウリル硫酸ナトリウムの15%濃度水溶液5.4g及び完全脱塩水476.4gからなるミニエマルション82g(フィード1)を添加した。ついで、2%濃度ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液8.1g(フィード2)を添加した。ミニエマルションの残部738.2gを、ついで60分の期間にわたって計量供給し、さらに30分間後撹拌した。その後、フィード2の残部(126.9g)を、60分かけて計量供給し、引き続きさらに1h後撹拌した。室温(RT)に冷却し、ポリマー粒子分散液を500μm、もしくは125μmフィルターでろ過して、凝集物を測定した(3.5g)。ポリマー粒子分散液の固体は29.9%であった。このポリマー粒子分散液を、例3及び5において製剤の製造に使用した。
【0058】
例2
ポリマー粒子分散液2の製造
完全脱塩水216g、15%濃度ラウリル硫酸ナトリウム溶液0.27g、並びにペンタエリトリトールテトラアクリラート13.5gを、撹拌しながら(200rpm)装入した。このエマルションを、撹拌しながら80℃の温度にし、その後、メタクリル酸メチル256.5g、ステアリルアクリラート12.825g、Uvinul(登録商標) 3008 68.45g、ラウリル硫酸ナトリウムの15%濃度水溶液5.4g及び完全脱塩水476.4gからなるミニエマルション82g(フィード1)を添加した。ついで、2%濃度ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液8.1g(フィード2)を添加した。ミニエマルションの残部738.2g(フィード1)を、ついで60分の期間にわたって計量供給し、さらに30分間後撹拌した。その後、フィード2の残部(126.9g)を、60分かけて計量供給し、引き続きさらに1h後撹拌した。RTに冷却し、ポリマー粒子分散液を500μm、もしくは125μmフィルターでろ過し、凝集物を測定した(3.1g)。固体は、30.6%と決定された。このポリマー粒子分散液を、例4及び6において製剤の製造に使用した。
【0059】
例3
製剤の製造
名称HKD 0.6 D 71741を有するJahnke及びKunkel社の実験室用ニーダー中で、ポリマー粒子分散液1 83.3g及びLuwax EVA 3(登録商標) 75g(極性エチレン/酢酸ビニルコポリマーをベースとするポリエチレンワックス、BASF技術情報TI/ES 1474 e 2005年1月参照)の混合物を90℃の温度にした。3h後に、澄明な水が分離し、これはワックス中へのポリマー粒子の完全な相間移動(フラッシュプロセス)の徴候である。まず最初に、ニーダーを冷却し、ついで水をニーダーから除去し、冷却した混練物をばらした。乾燥及び粉砕後に、粉末状製剤98gが得られた。
【0060】
例4
製剤の製造
類似して、ポリマー粒子分散液2を使用して行った。そのために、再び、Luwax EVA 3(登録商標)粉末を使用した。
【0061】
例5
製剤の製造
類似して、ポリマー粒子分散液1を使用して行った。目下、しかしLuwax EVA 3(登録商標)粉末の代わりに、Luwax OA2(登録商標)粉末(硬質酸化ポリエチレンワックス、BASF技術情報TI/ES 1098 e 1991年3月参照)を使用した。
【0062】
例6
製剤の製造
類似して、ポリマー粒子分散液2を使用して行った。再びLuwax OA2(登録商標)粉末を使用した。
【0063】
例7
例3の製剤を使用したPEフィルムの製造
例3により製造された製剤を、押出機中で190℃でLupolen(登録商標) 1840 D(0.919g/cm2の密度(ISO1183)を有する低密度ポリエチレン、2004年03月23日付技術情報Basell参照)中へ混練導入し、これから、100μmフィルムをブロー成形した。2光子レーザー顕微鏡法を用いて、極めて良好な分散状態、すなわちPE中のポリマー粒子の極めて良好な分布が極めて良好に視覚化されることができた。図1に示された画像は、このことを説明する。
【0064】
例8
ポリマー粉末を使用したPEフィルムの製造
比較例として、噴霧乾燥された粉末を、例2の方法及び引き続き噴霧乾燥により製造した。押出機中で、この粉末を190℃でLupolen(登録商標) 1840 D中へ混練導入し、それから100μmフィルムをブロー成形した。2光子レーザー顕微鏡法を用いて、劣悪な分散状態、すなわちPE中のポリマー粒子の劣悪な分布が極めて良好に視覚化されることができた。図2に示された画像は、このことを説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー粒子が存在するワックスを含む製剤であって、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記製剤が、
a)ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合により、作用物質少なくとも1種をポリマー粒子中に分散させ、
b)こうして得られたポリマー粒子分散液を相間移動によりワックス中へ取り込む
ことによって得られる、製剤。
【請求項2】
作用物質少なくとも1種が、紫外線吸収剤である、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
ワックスが、500〜50000Dのモル質量を有する、請求項1又は2のいずれか1項記載の製剤。
【請求項4】
ポリマー粒子が本質的に均一分散して存在するポリマーマトリックスを含む組成物であって、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記組成物が、
a)ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合により、作用物質少なくとも1種をポリマー粒子中に分散させ、
b)こうして得られたポリマー粒子分散液を相間移動によりワックス中へ取り込み、かつ
c)こうして得られたワックスを引き続き、製剤としてポリマーマトリックス中へ取り込む
ことによって得られる、組成物。
【請求項5】
ポリマーマトリックスが、ポリオレフィンを含有する、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
作用物質少なくとも1種が、紫外線吸収剤である、請求項4又は5記載の組成物。
【請求項7】
ワックスが500〜50000Dのモル質量を有する、請求項4から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
ポリマー粒子が存在するワックスを含む製剤の製造方法であって、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記製剤が、
a)ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合により、作用物質少なくとも1種をポリマー粒子中に分散させ、
b)こうして得られたポリマー粒子分散液を相間移動によりワックス中へ取り込む
ことによって得られる、製剤の製造方法。
【請求項9】
作用物質少なくとも1種が、紫外線吸収剤である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ワックスが、500〜50000Dのモル質量を有する、請求項8又は9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ポリマー粒子が本質的に均一分散して存在するポリマーマトリックスを含む組成物の製造方法であって、前記ポリマー粒子は作用物質少なくとも1種を含有し、前記組成物が、
a)ワックスと不混和性の溶剤の存在で実施されるミニエマルション重合により、作用物質少なくとも1種をポリマー粒子中に分散させ、
b)こうして得られたポリマー粒子分散液を相間移動によりワックス中へ取り込み、かつ
c)こうして得られたワックスを引き続き、製剤としてポリマーマトリックス中へ取り込む
ことによって得られる、組成物の製造方法。
【請求項12】
ポリマーマトリックスがポリオレフィンを含有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
作用物質少なくとも1種が紫外線吸収剤である、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
ワックスが、500〜50000Dのモル質量を有する、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項4から7までのいずれか1項記載の組成物を使用して得られる、フィルム、繊維及び成形品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−526637(P2011−526637A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515468(P2011−515468)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058395
【国際公開番号】WO2010/000833
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】