説明

ポリマー配合物から製造されるフィルム層

配合されたポリマー組成物から製造されるフィルム層が開示されている。このような配合されたポリマー組成物から製造されるフィルム層は、驚くべきほど良好な(例えば、低い)水蒸気透過速度を有し、シリアルなどの乾燥物品の包装に特に有用である。このポリマー組成物は、好ましくは少なくとも1つの均質なエチレンホモポリマーと少なくとも1つの不均質に分岐したエチレンポリマーを有する。各々の密度は好ましくは約0.95g/cm3よりも高いが、この均質なエチレンホモポリマーは、この不均質に分岐したエチレンポリマーのそれよりも極めて高い分子量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリマー配合物またはブレンドを含んでなる組成物に関する。このポリマー配合物またはブレンドは、好ましくは
(A)特定の特性を有する少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーまたはエチレンホモポリマーと、これとブレンドした
(B)(A)のポリマーと異なる物理的性質を有する少なくとも1つの他のエチレン/α−オレフィンインターポリマーまたはエチレンホモポリマー
を含んでなる。
【背景技術】
【0002】
このような組成物は、低水蒸気透過速度が重要であるフィルム用途(例えばシリアルライナーで使用するフィルム)において特に有用である。
【0003】
永年、フィルム業界は種々の技術により水蒸気透過速度を改善するように努力してきた。これらの一部は、例えば、各開示が引用により本明細書に組み込まれている、US−A−5,562,905(Nummila−Pakarinenら)、EP−0799274Bl(Davis)、およびWO01/70827Alで述べられている。対照的に、WO2004/000933Alは、極めて高い水蒸気透過速度を有するフィルムで使用するためのポリエチレンのブレンドを述べている。各開示が引用により本明細書に組み込まれている、フィルムの製造に有用であるとされる単一部位触媒およびチーグラー・ナッタ触媒を用いるオレフィンポリマーを製造するのにUS−A−6,127,484(Cribbsら)は、多数域法を述べている。
【0004】
文献中の先行する研究は、樹脂形態、分子性質、フィルム加工条件および得られる水蒸気バリア性能の間の複雑な関係に光を当てている。ポリエチレンフィルム中の水蒸気透過は主としてこのポリマーの非結晶性の領域により起こる。結晶性領域の配向もこの透過速度に著しい影響を及ぼす。高樹脂結晶性、狭い分子量分布(MWD)および低レベルの長鎖分岐(LCB)は低水蒸気透過速度(WVTR)を有利とする。適切なフィルム加工条件と組み合わせたこれらの樹脂の性質は、透過物体に更に曲がりくねった経路を与えるフィルム形態を生じる。
【0005】
他方、良好な加工性のブローフィルム樹脂は、低メルトインデックス、広いMWD、および高レベルのLCBなどの性質を必要とし、これは低WVTRに対する要求と矛盾する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
驚くべきことには、本発明者らは、特にこのフィルムが(A)少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーまたはエチレンホモポリマーと(B)少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーまたはエチレンホモポリマーの配合物から製造され、(B)が(A)のそれと異なる物理的性質を有する場合、フィルムが相乗的に増進された物理的性質を有することができるということを見出した。本発明においては、二相性高密度ポリエチレン樹脂を開発することにより、良好な樹脂加工性とWVTR性能の間のバランスが得られた。この樹脂は、市場のリーダーと同等なWVTR性能と、低い背圧により証明される改善された加工性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この組成物は、好ましくは
(A)(i)約0.94グラム/立方センチメートル(g/cm3)以上あるいはそれと同等の密度、
(ii)好ましくは、1.5〜5の分子量分布(Mw/Mn)、
(iii)0.001グラム/10分(g/10分)〜1g/10分のメルトインデックス(I2
を有する、好ましくは35パーセント〜65パーセント(全組成物の重量で)の少なくとも1つのエチレンポリマー;および
(B)好ましくは、0.940g/cm3以上あるいはそれと同等の密度と50〜700g/10分のメルトインデックスを有する35パーセント〜65パーセント(全組成物の重量で)の少なくとも1つのエチレンポリマー
を含んでなる。
【0008】
もう一つの態様においては、本発明は、ポリマー組成物でできた少なくとも1つのフィルム層を含んでなり、この組成物が
(A)(i)約0.94グラム/立方センチメートル(g/cm3)以上あるいはそれと同等の密度、
(ii)好ましくは、1.5〜5の分子量分布(Mw/Mn)、
(iii)0.001グラム/10分(g/10分)〜1g/10分のメルトインデックス(I2
を有する、好ましくは35パーセント〜65パーセント(全組成物の重量で)の少なくとも1つのエチレンポリマー;および
(B)好ましくは、0.94g/cm3以上あるいはそれと同等の密度と50〜700g/10分のメルトインデックスを有する、35パーセント〜65パーセント(全組成物の重量で)の少なくとも1つのエチレンポリマー
を含んでなるフィルムである。
【0009】
好ましくは、このフィルム層は、ASTM F1249−90により測定して、約0.3gミル/(100インチ2×日)未満あるいはそれに等しい、更に好ましくは約0.25gミル/(100インチ2×日)未満あるいはそれに等しい、そして特に約0.2gミル/(100インチ2×日)未満あるいはそれに等しい水蒸気透過速度WVTRを有する。
【0010】
本発明の物質の組成物は、多検出器ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により証明される独特な分子構成によってもキャラクタリゼーション可能である。少なくとも低角レーザー光散乱(LS)検出器と屈折率(RI)検出器を備えた適切に較正されたGPCを使用する場合、本発明の組成物は次の性質の一つまたは好ましくは両方を呈する。第1に、低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分がこのGPC−LSクロマトグラムの全面積の少なくとも2.5パーセントであるが、20パーセントパーセント未満あるいはそれに等しく、好ましくは15パーセント未満あるいはそれに等しく、そして特に約10パーセント未満あるいはそれに等しい。第2に、示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分がこのGPC−RIクロマトグラムの全面積の約10パーセント以上あるいはそれに等しく、好ましくは約15パーセント以上あるいはそれに等しく、特に約20パーセント以上あるいはそれに等しく、そして約25パーセント未満である。これらのGPC特性の一方または好ましくは両方を有する組成物を含んでなるブローフィルム層は、約0.3gミル/(100インチ2×日)未満あるいはそれに等しい水蒸気透過速度WVTRを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
定義
「エチレン/α−オレフィンコポリマー」(EAO)は、本明細書中では、エチレンとC3〜C20α−オレフィン、例えばプロペン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1から選択される1またはそれ以上のコモノマーのコポリマーであって、このコポリマーの分子が比較的少数の側鎖分岐の長いポリマー鎖を含んでなるものを指す。EAOは、不均質な材料、例えば直鎖中密度ポリエチレン(LMDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、および超および超超低密度ポリエチレン(VLDPEおよびULDPE)、例えばDowにより供給されるDOWLEX(商標)またはATTANE(商標)樹脂、Exxonにより供給されるESCORENE(商標)またはEXCEED(商標)樹脂;ならびに直鎖均質エチレン/αオレフィンコポリマー(HEAO)、例えばMitsui Petrochemical Corporationにより供給されるTAFMER(商標)樹脂、Exxonにより供給されるEXACT(商標)樹脂、またはThe Dow Chemical Companyにより供給される長鎖分岐(HEAO)AFFINITY(商標)樹脂、またはDuPont Dow Elastomersにより供給されるENGAGE(商標)樹脂を含む。
【0012】
「高密度ポリエチレン」(HDPE)は、本明細書中では1立方センチメートル当たり0.94および0.965グラムの間の密度を有するポリエチレンを指す。
【0013】
「LD」は本明細書中では長手方向、すなわち押し出し経路に平行なフィルムの方向を指す。「TD」は本明細書中では横方向、すなわち押し出し経路に横のフィルムの方向を指す。
【0014】
「直鎖低密度ポリエチレン」(LLDPE)は、本明細書中では1立方センチメートル当たり0.917および0.925グラムの間の密度を有するポリエチレンを指す。
【0015】
「直鎖中密度ポリエチレン」(LMDPE)は、本明細書中では1立方センチメートル当たり0.926および0.939グラムの間の密度を有するポリエチレンを指す。
【0016】
「ポリエチレン」は少なくとも一部がエチレンからなるポリマーを指す。
【0017】
「ポリマー」は本明細書中ではホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマーなどを指す。「コポリマー」は本明細書中ではコポリマー、ターポリマーなどを指す。
【0018】
本明細書で使用されるすべての組成物パーセントは、特記しない限り「重量による」基準で示される。
試験方法
【0019】
密度
樹脂密度をイソプロパノール中でのアルキメデスの置換法、ASTM D792−03、方法Bにより測定した。試料を測定の前にイソプロパノール浴中で23℃で8分間コンディショニングして、熱平衡に達せさせた後成形の1時間以内に測定した。試料をASTM D−4703−00付録Aに従って手順Cにより約190℃で5分の初期加熱期間と15℃/分の冷却速度で圧縮成形した。試料をプレス中で45℃まで冷却し、「指触」まで冷却を継続した。
【0020】
押し出しプラストマーによるメルトフローレート
測定をASTM D−1238−03、条件190℃/2.16kg、条件190℃/10.0kg、および条件190℃/21.6kgに従って行って、それぞれメルトフローレートI2、I10、およびI21を求めた。メルトフローレートはポリマーの分子量に逆比例する。このように、関係は直線的でないが、分子量が高いほど、メルトフローレートは低い。
【0021】
流動性
流動性を測定するために、試料を円板に圧縮成形した。試料を0.06”(1.5mm)厚のプラークにプレスし、その後に1インチ(25.4mm)の円板に切断することにより、この円板を作製した。この圧縮成形手順は次の通りであった:窒素パージ下1500psi(1×104kPa)において350゜F(177℃)で5分間;なお窒素パージ下の間に外周温度(約23℃)まで冷却した。
【0022】
樹脂流動性をARESI(Advanced Rheometric Expansion System)レオメーターで測定した。ARESは歪制御のレオメーターである。回転アクチュエーター(サーボモーター)は試料に歪の形で剪断変形を印加する。応答として、試料はトルクを生じ、これを変換器により測定する。歪とトルクを使用して、モジュラスおよび粘度などの動的機械的性質を計算する。この試料の粘弾性を一定の歪(5%)および温度(190℃)で設定された平行板を用いて、そして変化する周波数(0.01〜100ラド/秒)の関数としてメルト中で測定した。Rheometrics Orchestratorソフトウエア(v.6.5.8)を用いて、この樹脂の貯蔵モジュラス(G')、損失モジュラス(G”)、tanデルタ、および複素粘度(eta*)を求めた。
【0023】
分子量
「分子構成の決定」の項で述べる。
【0024】
メルト強度
Goettfert Rheotens毛細管レオメーターを使用して、190℃の温度および30.26mm3/秒の速度で2.1mmの内径、41.9cmのダイ長さ、および90度の入口角度を持つダイに溶融ポリマーを供給して、メルト強度を測定する。ピストン直径は9.54mmであり、ピストン速度は0.423mm/秒であり、剪断速度は33s-1であり、引落しは100mmである。次に、このメルトを10cmのエアギャップおよび2.4mm2/秒の加速度Goettfert Rheotens Model71.97延伸レオメーターのホイールにより引っ張る。メルト強度は、センチニュートン(cN)で測定したこのスピンラインにおける力の平坦部の値、または高強度材料についてしばしば経験するように、平坦部の無い場合にはピーク値である。
【0025】
水蒸気透過速度
フィルム水蒸気透過速度をASTM F1249−90により定量した。
【0026】
ポリマー組成物
本発明のエチレンホモポリマーあるいはインターポリマー組成物は少なくとも2成分を含んでなる。この成分の一つは、約0.94g/cm3以上あるいはそれに等しい、更に好ましくは0.95g/cm3以上あるいはそれに等しい、最も好ましくは約0.958g/cm3以上あるいはそれに等しい密度と、下限値が約0.001、更に好ましくは0.005、最も好ましくは0.01グラム/10分であり、上限値が約1、更に好ましくは0.5、最も好ましくは0.1グラム/10分であるメルトインデックス(ASTM D−1238−03条件190℃/2.16kg(以前には「条件(E)」として知られ、I2としても知られる)により求められる)を有するエチレンポリマーである。好ましくは、この第1の成分は、この組成物の35〜65、更に好ましくは40〜55、最も好ましくは45〜50重量パーセントを占める。本発明の組成物の第2の成分は、約0.94g/cm3、更に好ましくは0.95g/cm3、更に好ましくは0.958g/cm3以上あるいはそれに等しい密度と、下限値が約50、更に好ましくは65、最も好ましくは80グラム/10分であり、上限値が700、更に好ましくは650、最も好ましくは600グラム/10分であるメルトインデックスを有するエチレンポリマーである。この第2の成分は、好ましくはこの全組成物の35〜65パーセント、更に好ましくは45〜60最も好ましくは50〜55重量パーセントを占める。
【0027】
本発明で使用されるエチレンポリマーはホモポリマーまたはインターポリマーであり得、そして均質な、あるいは不均質な分岐を有し得る。一般に、多くのコモノマーが本発明のエチレンポリマー中に存在するほど、WVTRは大きく、したがって一般にホモポリマーが好ましい。本発明の目的には、このホモポリマーはコモノマーを含有しないが、2重量パーセントまでのコモノマー、好ましくは1.5重量パーセント以下の、そして更に好ましくは1重量パーセント以下のコモノマーを含有し得るということが最も好ましい。
【0028】
インターポリマーが存在する場合には、これらは均質に、あるいは不均質に分岐したものであり得る。好適な均質に分岐したインターポリマーは、米国特許第5,272,236号で述べられているように均質に分岐した実質的に直鎖のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。均質に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、また、米国特許第3,645,992号(Elston)で述べられているように直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーであることもできる。
【0029】
上述の実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、直鎖低密度ポリエチレン(例えば、チーグラー重合の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE))を記述するのに使用されるような用語の在来の意味での「直鎖」ポリマーでなく、あるいは低密度ポリエチレン(LDPE)を記述するのに使用されるような高度に分岐したポリマーでもない。本発明での使用に好適な実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、本明細書中では米国特許第5,272,236号および米国特許第5,278,272号におけるように定義される。このような実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、通常、エチレンと少なくとも1つのC3−C20α−オレフィンおよび/またはC4−C18ジオレフィンとのインターポリマーである。エチレンと1−オクテンのコポリマーが特に好ましい。
【0030】
用語「インターポリマー」は本明細書中ではコポリマー、またはターポリマーなどを示すのに使用される。すなわち、少なくとも1つの他のコモノマーがエチレンと重合されて、インターポリマーを作る。2つ以上のコモノマーと共重合されたエチレンも本発明で有用な均質に分岐した実質的に直鎖インターポリマーを製造するのに使用可能である。好ましいコモノマーは、C3−C20α−オレフィン、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンそして更に好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンを含む。
【0031】
用語「直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマー」はこのインターポリマーが長鎖分岐を持たないということを意味する。すなわち、この直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、均一な(すなわち、均質な)分岐分布の重合法(例えば、米国特許第3,645,992号(Elston)で述べられているような)を用いて製造された例えば直鎖低密度ポリエチレンポリマーまたは直鎖高密度ポリエチレンポリマーのように長鎖分岐が存在せず、そしてこのコモノマーが与えられたインターポリマー分子内でランダムに分布し、そしてこのインターポリマー分子の実質的にすべてがこのインターポリマー内で同一のエチレン/コモノマー比を有するものである。用語「直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は当業者には多数の長鎖分岐を有することが知られている高圧分岐(フリーラジカル重合の)ポリエチレンを指さない。この均質に分岐した直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーの分岐の分布は、この直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーがいかなる長鎖分岐も持たないということを例外として均質に分岐した実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーについて述べたのと同一あるいは実質的に同一である。この均質に分岐した直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンを少なくとも1つのC3−C20α−オレフィンおよび/またはC4−C18ジオレフィンと共に含んでなる。好ましいコモノマーは、C3−C20α−オレフィン、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、および1−デセン、更に好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンを含む。
【0032】
示差走査熱分析法(DSC)を用いて求めて、2つ以上の融点を有する在来の不均質に分岐したチーグラー重合のエチレン/α−オレフィンコポリマーと反対に、均質に分岐した実質的に直鎖および直鎖のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、両方とも単一の融点を有することができる。
【0033】
本発明で使用する第1のポリエチレン成分の密度(ASTM D−792−03により測定して)は、一般的に0.86g/cm3〜0.97g/cm3であり、好ましくは約0.94g/cm3〜0.97g/cm3、特に約0.95g/cm3〜0.97g/cm3である。
【0034】
この組成物の中に組み込まれる第1の成分の量は、これが結合されている第2のエチレンポリマーに依って変化するが、一般的にこの最終組成物の約35〜65重量パーセントである。
【0035】
好都合なこととしては、本発明で使用するポリエチレンの分子量は、ASTM D−1238−03、条件190℃/2.16kg(以前には「条件(E)」として知られ、I2としても知られる)により求められる)によるメルトインデックス測定を用いて示されるメルトインデックスはポリマーの分子量に逆比例する。このように、関係は直線的でないが、分子量が高いほど、メルトフローレートは低い。
【0036】
全体のエチレンポリマー組成物に対するメルトインデックスの限界は、約10g/10分と高く、好ましくは約5g/10分、更に好ましくは約1g/10分であり、そして0.001g/10分と低いことができ、好ましくは0.01g/10分、更に好ましくは約0.1g/10分と低いことができる。
【0037】
好都合なこととしては、このポリエチレンの分子量のキャラクタリゼーションで有用なもう一つの測定は、ASTM D−1238−03、条件190℃/10kg(以前には「条件(N)」として知られ、I10としても知られる)により求められる)によるメルトインデックス測定を用いて示される。I10とI2の比の用語はメルトフロー比と呼ばれ、そしてI10/I2と表記される。一般的に、本発明で使用され得る均質に分岐した直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーに対するI10/I2比は約5.6である。
【0038】
本発明の組成物で使用され得る均質に分岐した実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよびエチレンホモポリマーに対しては、I10/I2比は長鎖分岐度を示す、すなわちI10/I2比が高いほど、インターポリマー中の長鎖分岐は多い。一般的に、この均質に分岐した実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーのI10/I2比は、少なくとも6、好ましくは少なくとも7、特に少なくとも8以上である。この均質に分岐した実質的に直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーに対しては、I10/I2比が高いほど、加工性は良好である。
【0039】
他の添加物、例えば酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール(例えば、Ciba Geigy Corp製のIrganox1010)、ホスファイト(例えば、Ciba Geigy Corp製のIrgafos168)、粘着添加物(例えば、PIB)、ブロッキング防止添加物;顔料、充填剤も本出願人により見出された増強された配合物の性質を妨害しない範囲でこの配合物中に包含可能である。
【0040】
分子構成の決定
本発明の好ましいポリエチレン組成物は、低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分がこのGPC−LSクロマトグラムの全面積の少なくとも2.5パーセントであるが、20パーセント以下であり、更に好ましくは約15パーセント以下、なお更に好ましくは約10パーセント以下であるとしてもキャラクタリゼーション可能である。本発明のエチレンホモポリマーあるいはインターポリマー組成物は、示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分がこのGPC−RIクロマトグラムの全面積の約10パーセント、更に好ましくは15パーセント、なお更に好ましくは20パーセント以上あるいはそれに等しく、そして好ましくは約25パーセント以下であるとしてもキャラクタリゼーション可能である。
【0041】
種々のポリマー組成物の分子構成を決めるために、次の手順を使用した:
このクロマトグラフ系は、Precision Detectors(Amherst,MA)の2角度レーザー光散乱検出器モデル2040を備えたWaters(Millford,MA)150C高温クロマトグラフからなるものであった。この光散乱検出器の15度の角度を分子量の計算に使用した。Viscotek TriSECソフトウエアバージョン3および4−チャンネルのViscotek Data ManagerDM400を用いて、データ収集を行った。このシステムはPolymer Laboratoriesからのオンライン溶剤脱ガス素子を備えていた。
【0042】
このカルーセル小室を140℃で運転し、そしてこのカラム小室を150℃で運転した。使用したカラムは4本のShodexHT806Mの13ミクロンのカラムであった。使用した溶剤は1,2,4トリクロリベンゼンであった。この試料を50ミリリットルの溶剤中の0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。このクロマトグラフ用溶剤と試料調製溶剤は200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有するものであった。両方の溶剤源を窒素パージした。ポリエチレン試料を160℃で4時間穏やかに撹拌した。使用した注入容積は200マイクロリットルであり、そして流速は0.63ミリリットル/分であった。
【0043】
580〜8,400,000の範囲の分子量の最小15個の狭い分子量分布ポリスチレン標準によりこのGPCカラム組の較正を行い、そして個別の分子量の間に少なくとも10進の分離を持つ6つの「カクテル」混合物に調製した。この標準をPolymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入した。このポリスチレン標準を1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量に対しては50ミリリットルの溶剤中0.025グラムで調製し、そして1,000,000未満の分子量に対しては50ミリリットルの溶剤中0.05グラムで調製した。このポリスチレン標準を穏やかに振盪して80℃で30分間溶解した。分解を最少とするために、この狭い標準混合物を最初に、そして低下する最高分子量成分の順で測定した。式1(Williams and Ward, J.Polym.Sci., Polym.Let, 6,621(1968)で述べられているように)
式1
【数1】

を用いて、このポリスチレン標準ピーク分子量をポリエチレン分子量に変換した。式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、そしてBは1.0に等しい。
【0044】
ポリエチレン−等価較正点をフィットさせるように、四次の多項式を使用した。
【0045】
このGPCカラム組の全段数のカウントをエイコサン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに振盪しながら20分間溶解した)により行った。段数および対称を200マイクロリットルの注入液について式2および3に従って測定した。
式2
【数2】

式中、RVはミリリットルでの保持容積であり、そしてピーク幅はミリリットルである。
式3
【数3】

式中、RVはミリリットルでの保持容積であり、そしてピーク幅はミリリットルである。
【0046】
Dowの広いポリスチレン1683からのデュアル検出器対数結果を狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に自家ソフトウエアを用いて最適化して、Balke,Moureyらにより公表されたもの(Mourey and Balke, Chromatography Polym.Chpt 12,(1992)) (Balke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym. Chpt 13,(1992))と一貫したやり方で多検出器のオフセットの決定に対する系統的なアプローチを行った。Zimm(Zimm, B.H., J.Chem.Phys., 16, 1099(1948))およびKratochvil(Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY(1987))により公表されたものと一貫したやり方でオフセットの決定に対する分子量データを得た。分子量の決定に使用した全注入濃度を115,000の分子量の直鎖ポリエチレンホモポリマーからの試料屈折率面積および屈折率検出器較正から得た。クロマトグラフ濃度を第二ビリアル係数の影響(分子量に及ぼす濃度の影響)を取り扱うことを不用とするように充分低くとった。
【0047】
溶離成分(クロマトグラフ変化により引き起こされる)と流速成分(ポンプ変化により引き起こされる)を含み得る偏差を経時的にモニターするために、遅く溶離する狭いピークを一般的に「マーカーピーク」として使用する。それゆえ、ポリスチレンカクテル混合物の1つ上の脱ガスしたクロマトグラフ用システム溶剤と溶離試料の間のエアピークミスマッチを基準として流速マーカーを確定した。エアピークを合わせることによりすべての試料に対する流速を直線的に補正するために、この流速マーカーを使用した。次に、このマーカーピークの時間のいかなる変化も流速とクロマトグラフ勾配の両方における直線的なシフトと関係すると推測される。
【0048】
流れマーカーピークのRV測定の最高の精度を助けるために、最小二乗法を使用して、流れマーカー濃度クロマトグラムのピークを二次式にフィットさせる。次に、この二次式の第1導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流れマーカーピークに基づいてこの系を較正した後、有効流速(較正勾配の測定として)を式4として計算する。高温SEC系においては、酸化防止剤ミスマッチピークまたはエアピーク(移動層が充分に脱ガスされている場合には)を有効な流れマーカーとして使用することができる。有効な流速マーカーの主要な特徴は次の通りである:流れマーカーは単分散でなければならない。流れマーカーは全カラム透過容積近くで溶離しなければならない。流れマーカーは試料のクロマトグラフ積分ウインドウを妨害してはならない。
式4
【数4】

【0049】
好ましいカラム組は13ミクロンの粒子サイズであり、そしてこのクレームに適切な最高の分子量画分を適当に分離する「混合」多孔度のものである。
【0050】
NBS1476高圧低密度ポリエチレン標準についてオンライン光散乱検出器の低角(20度未満)を測定することにより、適当なカラム分離と適切な剪断速度の確認を行うことができる。適切な光散乱クロマトグラムは二相性(超高MWピークおよび中間の分子量ピーク)の形であり、図0に示すようにピークはほぼ同等の高さでなければならない。全LSピーク高さの半分未満の2つのピークの間の谷の高さを示すことにより、適当な分離が存在しなければならない。クロマトグラフ系の段数(前述のエイコサン基準の)は32,000以上でなければならず、そして対称は1.00と1.12の間になければならない。
【0051】
屈折計(「CDF RI」)および低角レーザー光散乱検出器(「CDF LS」)に対する累積検出器画分(CDF)の計算は次の段階により行われる:
1)試料と一致した狭い標準カクテル混合物のそれの間のエアピークの相対保持容積比を基準にしてクロマトグラムを直線的に流れ補正する。
2)較正の項で述べられているように屈折計に対して光散乱検出器オフセットを補正する。
3)光散乱と屈折計クロマトグラムからベースラインを差し引き、そして積分ウインドウを設定し、屈折計クロマトグラムから観察可能な光散乱クロマトグラム中の低分子量保持容積範囲のすべてを確実に積分する。
4)較正の項で述べられているように、ポリスチレン較正曲線を基準とし、ポリスチレンによりポリエチレン変換係数(0.4315)により改変して分子量を各データスライスにおいて計算する。
5)高分子量から低分子量(低ないし高保持容積)でベースラインを差し引いたピーク高さ(H)に基づいて、各クロマトグラム(CDFRIおよびCDFLS)の累積検出器画分(CDF)を各データスライス(i)において式5に従って計算する。
式5
【数5】

式中、iは最低のRVインデックス(LowestRVindex)と最高のRVインデックス(HighestRVindex)の間にある。
6)段階(5)からの各積分されたデータスライスにおいてCDFを計算し、そして段階(4)からの各積分されたデータスライスにおいてポリエチレン等価分子量の対数に対してこれをプロットすることにより、分子量に対するCDFのプロットを得る。
【0052】
このGPCの方法を用いて、市販の比較例2および本発明の実施例1の樹脂について分析を行った。これらの材料に対するプロットを図1および2に示す。これらの図は、CDFRIプロットに対して10,000MWの対数とCDFLSプロットに対して1,000,000MWの対数も示す。比較例のいずれも本発明のCDFLS基準と本発明のCDFRI基準の両方に合致しないということがこれらの線から明らかに判る。
【0053】
当業者には既知であるように、この分布の数平均分子量を表すクロマトグラフのモーメントは、式6に示すように重量画分が屈折計高さの正規化から容積スライス(i)の関数として得られるポリエチレン等価較正曲線から計算可能である。
式6
【数6】

MwおよびMz計算に対しては、分子量は式7および8を用いて絶対光散乱測定から入手可能である。
式7
【数7】

式8
【数8】

【0054】
不均質に分岐したエチレンポリマー
好ましくは、この第1の成分と合体されるべきエチレンポリマーはエチレンホモポリマーであるが、エチレンと少なくとも1つのC3−C20α−オレフィン(例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE))との不均質に分岐した(例えば、チーグラー・ナッタ重合の)インターポリマーであることもできる。エチレンホモポリマーに対しては、この密度は、通常、約0.97g/立方センチメールであるが、測定される密度は若干低い可能性があり、例えば本発明の成分(A)に必要とされる分子量などの超高分子量エチレンホモポリマー(0.001〜1g/l0分のメルトインデックス)に対しては約0.94g/cm3以上あるいはそれに等しい。
【0055】
不均質に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、主に分岐の分布において均質に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマーと異なる。例えば、不均質に分岐したLLDPEポリマーは、高度に分岐した部分(超低密度ポリエチレンに類似した)、中程度に分岐した部分(中程度に分岐したポリエチレンに類似した)および本質的に直鎖の部分(直鎖ホモポリマーポリエチレンに類似した)を含む、分岐の分布を有する。不均質に分岐したエチレンポリマーを製造するためのこのような製造法は、米国特許第3,914,342号(Mitchell)と米国特許第4,076,698号(Andersonら)で教示されている。
【0056】
この不均質な成分の製造に好適な触媒の例は、米国特許第4,314,912号(Loweryら)、米国特許第4,547,475号(Glassら)、米国特許第4,076,698号(Anderson)および米国特許第4,612,300号(Coleman,III)で述べられている;この均質な成分の製造に好適な触媒の例は、米国特許第5,026,798号および第5,055,438号(Canich);第3,645,992号(Elston);第5,017,714号(Welborn);および第5,064,802号(Stevensら)で述べられている。
【0057】
これらの画分の各々の量は所望の全体のポリマーの性質に依って変わる。例えば、直鎖ホモポリマーポリエチレンは分岐した、あるいは高度に分岐した画分でないが、直鎖である。0.9g/cm3〜0.915g/cm3の密度を有する超低密度不均質なポリエチレン(例えば、The Dow Chemical Companyから販売されているATTANE(商標)コポリマーおよびUnion Carbide Corporationから販売されているFLEXOMER(商標))は、高パーセントの高度に短鎖分岐した画分を有し、このようにして全体のポリマーの密度を低下させる。
【0058】
不均質に分岐したLLDPE(例えば、The Dow Chemical Companyから販売されているDOWLEX(商標))は、少量の高度に分岐した画分を有するが、多量の中程度に分岐した画分を有する。
【0059】
配合された組成物
本明細書中で開示されている組成物は、個々の成分をドライブレンドし、引き続いて別の押し出し機(例えば、バンバリーミキサー、ハーケミキサー、ブラベンダー密閉式ミキサー、または二軸押し出し機)中で溶融混合または予備溶融混合することにより、いかなる好都合な方法によっても形成可能である。
【0060】
米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号は、なかんずく、少なくとも1つの反応器中で均質な触媒と少なくとも1つの他の反応器中で不均質な触媒を用いる、エチレンと、場合によってはC3−C20α−オレフィンのインター重合を述べている。米国特許第6,566,446号(Parikhら)および第6,538,070号(Cardwellら)は、この触媒の反応性に影響を及ぼすように重合条件を変えた2つの異なる反応器中で均質な触媒を用いるエチレンインター重合を開示している。いかなる場合においても、この反応器は順次的あるいは平行的に運転可能である。いかなる場合においても、この触媒成分(活性化剤、変成剤、および共触媒を含み得る)は相互に極めて近接して注入可能であり、例えば、各注入点は同一反応器中のすべての他の触媒成分注入点の直線で2フィート内(しかし、必ずしも予備混合されていない)にある。
【0061】
この組成物は、不均質なエチレン/α−オレフィンポリマーを狭い組成(すなわち、分岐)分布を有する特定のポリマー画分に分画し、特定の性質を有する画分を選択し、そして選択された画分を適切な量でもう一つのエチレンポリマーとブレンドすることによっても製造可能である。この方法は、明らかに米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号、米国特許第6,566,446号、米国特許第6,538,070号、および米国特許第6,448,341号の系内インター重合ほど経済的でないが、本発明の組成物を入手するのに使用可能である。
【0062】
これらのタイプのポリマーを製造するのに種々の方法があり、そしてスラリー、液相および気相重合を含み、特に好ましいのは溶液法である。開示が引用により本明細書に全体で組み込まれている、米国特許第4,076,698号(Andersenら)、米国特許第5,977,251号(Kaoら)およびWO97/36942(Kaoら)を含む、種々の特許が重合技術を開示している。「溶液」法とは、通常、この溶液の10〜30重量パーセントであるが、この溶液の30〜50重量パーセントと高いこのポリマーおよび未変換のモノマーが溶剤に実質的に溶解しているという意味であるが;固体および気体(非溶解のモノマーを含み)がこの「溶液」中に存在し得、実質的なゲル生成を起こさずに、そして事実ゲル形成を最少とするということを理解しなければならない。時には、この触媒に対する担体は不活性であり、そして溶液中で可溶でないが、「溶液」に懸濁される。しかしながら、非担持触媒は、この溶液に可溶であり、そして液相の一部となることができる。しかしながら、この「溶液」は実質的に液相である。もう一つの溶液法は米国特許第3,914,342号(Mitchell)で述べられている。
【0063】
この新規な組成物から製造される加工物品
多くの有用な加工物品が本明細書中で述べられる新規な組成物からメリットを得る。例えば、本明細書中で開示されている組成物から有用な加工物品または部品を形成するのに、種々の射出成形法(例えば、Modern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp.264-268, 「Introduction to Injection Molding」 by H.Randall Parker and on pp.270-271, 「Injection Molding Thermoplastics」by Michael W.Greenで述べられているもの)、およびブロー成形法(例えば、Modem Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp.217-218, 「Extrusion-Blow Molding」by Christopher Irwinで述べられているもの)、プロフィール押し出し、カレンダー加工、プルトルージョン(例えば、パイプ)を含む、成形操作が使用可能である回転成形物品も本明細書中で述べられる新規な組成物からメリットを得ることができる。回転成形技術は,当業者にはよく知られていて、例えばModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp.296-301, 「Rotational Molding」by R.L.Fairで述べられているものを含む。
【0064】
繊維(例えば、ステープル繊維、メルトブロー繊維またはスパンボンド繊維(例えば米国特許第4,340,563号、第4,663,220号、第4,668,566号、または第4,322,027号で開示された系を用いて)、およびゲルスパン繊維(例えば、米国特許第4,413,110号で開示された系)、織布および不織布の両方(例えば、米国特許第3,485,706号で開示されているスパンレース布)、またはこのような繊維から製造される構造物(例えば、これらの繊維と他の繊維、例えばPETまたは木綿との混紡を含む)も本明細書中で述べられる新規な組成物から製造可能である。
【0065】
フィルムおよびフィルム構造物は、本明細書中で述べる新規な組成物から特にメリットを得、そして慣用の高温ブローフィルム加工技術または他の二軸配向法、例えばテンターまたはダブルバブル法を用いて製造可能である。この組成物を含んでなるブローフィルム層は、好ましくはASTM F1249−90にしたがって測定して約0.3gミル/(100インチ2×日)未満あるいはそれに等しい水蒸気透過速度WVTRを有する。
【0066】
慣用の高温ブローフィルム法は、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer、Third Edition.、John Wiley & amp; Sons、New York、1981、Vol.16、pp.416-417 and Vol.18、pp.191-192で述べられている。二軸配向フィルム製造方法、例えば米国特許第3,456,044号(Pahlke)で「double bubble」processとして述べられているような方法と、米国特許第4,352,849号(Mueller)、米国特許第4,597,920号(Golike)、米国特許第4,820,557号(Warren)、米国特許第4,837,084号(Warren)、米国特許第4,865,902号(Golikeら)、米国特許第4,927,708号(Herranら)、米国特許第4,952,451号(Mueller)、米国特許第4,963,419号(Lustigら)、および米国特許第5,059,481号(Lustigら)で述べられている方法も本明細書中で述べられている新規な組成物からフィルム構造物を製造するのに使用可能である。このフィルム構造物は配向ポリプロピレンに使用されているものなどのテンター技術で述べられているように製造可能である。
【0067】
食品包装用途の他の多層フィルム製造技術は、Packaging Foods With Plastics, by Wilmer A.Jenkins and James P.Harrington(1991), pp.19-27、および「Coextrusion Basics」by Thomas I.Butler、Film Extrusion Manual:Process, Materials, Properties pp.31-80(published by TAPPI Press(1992))で述べられている。
【0068】
このフィルムは単層あるいは多層フィルムであり得る。この新規な組成物から製造されるフィルムは、また、他の層と共押し出し可能であり、あるいはこのフィルムは、Packaging Foods With Plastics, by Wilmer A.Jenkins and James P.Harrington(1991)で述べられているもの、または「Coextrusion For Barrier Packaging」by W.J.Schrenk and C.R.Finch, Society of Plastics Engineers RETEC Proceedings, Jun.15-17(1981), pp.211-229で述べられているものなど二次的な操作においてもう一つの層上に積層可能である。単層フィルムがK.R.Osbom and W.A.Jenkins in「Plastic Films, Technology and Packaging Applications」(Technomic Publishing Co., Inc.(1992))で述べられているように管状フィルム(すなわち、ブローフィルム技術)またはフラットダイ(すなわち、キャストフィルム)により製造される場合には、このフィルムは、他の包装材料層への接着あるいは押し出し積層の更なる後−押し出し段階を通って、多層構造物を形成しなければならない。このフィルムが2つ以上の層の共押し出し物(Osborn and Jenkinsによっても述べられている)である場合には、このフィルムは最終フィルムの他の物理的な要求に依って包装材料の更なる層になお積層され得る。
【0069】
「Laminations Vs.Coextrusion」by D.Dumbleton(Converting Magazine(September 1992))も積層対共押し出しを議論している。単層および共押し出されたフィルムも他の後押し出し技術、例えば二軸配向法を経ることができる。
【0070】
押し出し被覆は、本明細書中で述べられる新規な組成物を用いて多層フィルム構造物を製造する更にもう一つの技術である。この新規な組成物はこのフィルム構造物の少なくとも1つの層を含んでなる。キャストフィルムに類似して、押し出し被覆はフラットダイ技術である。封止剤は単層または共押し出しされた押し出し物の形で基材上に押し出し被覆可能である。
【0071】
本発明のフィルムおよびフィルム層はたて型製袋充填機(VFFS)用途において特に有用である。VFFS用途のための改善、特にポリマー改善を記述している特許は、米国特許第5,228,531号;米国特許第5,360,648号;米国特許第5,364,486号;米国特許第5,721,025号;米国特許第5,879,768号;米国特許第5,942,579号;米国特許第6,117,465号を含む。
【0072】
本発明のフィルムおよびフィルム層は、油バリア、例えば食品包装用途(例えば、ドッグフード包装)としても有用である。
【0073】
一般的に、多層フィルム構造物に対しては、本明細書中で述べられている新規な組成物は、全多層フィルム構造物の少なくとも1つの層を含んでなる。この多層構造物の他の層は、限定ではないが、バリア層、および/または結合層、および/または構造層を含む。
【0074】
種々の材料がこれらの層に使用可能であり、これらの一部は同一のフィルム構造物中で1つ以上の層として使用される。これらの材料の一部は、箔、ナイロン、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、ポリビニリデンクロリド(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン(OPP)、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマー、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)コポリマー、LLDPE、HDPE、LDPE、ナイロン、グラフト接着性ポリマー(例えば、マレイン酸無水物グラフト化ポリエチレン)、および紙を含む。一般的に、この多層フィルム構造物は2ないし7層を含んでなる。
【0075】
フィルムは、当分野でよく知られた技術、キャスト押し出し(単層フィルム用)または共押し出し(多層フィルム用)により製造可能である。このフィルムは、急冷され、20と35キログレイの間の線量で電子線照射により照射され、そして配向温度まで再加熱され、次に長手および横方向の各々において5:1の比で延伸され得る。
【0076】
本発明のフィルムは、共押し出し、積層、押し出し被覆、またはコロナ接合を含むいかなる好適な方法によっても製造可能であり、そして好ましくは管状キャスト共押し出し、例えば米国特許第4,551,380号(Schoenberg)で示されるものにより製造される。このフィルムから製造される袋は、米国特許第3,741,253号(Braxら)で示されるものいかなる好適な方法によっても製造可能である。側面または端面シールの袋が一重巻きあるいは二重巻きフィルムから製造可能である。
【0077】
本発明のフィルムは、閉じ込められたバブル法または同時あるいは順次テンター法を含むいかなる好適な方法によっても配向可能である。
【0078】
このフィルムを使用する特定の包装操作に対して所望の性質をもたらす限り、本発明のフィルムはいかなる所望の全体厚さも有することができる。最終フィルム厚さは、工程、最終使用用途などに依って変わることができる。通常の厚さは、0.1〜20ミル、好ましくは0.2〜15ミル、更に好ましくは0.3〜10ミル、更に好ましくは0.3〜5ミル、更に好ましくは0.3〜2ミル、例えば0.3〜1ミルの範囲である。
【0079】
本発明のフィルムは、長手および横のいずれかあるいは両方の方向で3および10グラムの間の引き裂き伝播(ASTM1938)を有することができる。
【0080】
本発明のフィルムは、0.1と5の間の、更に好ましくは0.1と4.5の間の、更に好ましくは0.1と4の間の、更に好ましくは0.1と3.5の間の、更に好ましくは0.1と3.5の間の、更に好ましくは0.1と3の間の、更に好ましくは0.1と2.5の間の、そして最も好ましくは0.1と2の間のヘーズ値を有することができる。本発明のフィルムは、5または5未満の、4または4未満の、3.5または3.5未満の、3または3未満の、2.5または2.5未満の、2または2未満の、あるいは1または1未満のヘーズ値を有することができる。
【0081】
本発明の多層フィルムは、少なくとも155の、更に好ましくは少なくとも160の、更に好ましくは少なくとも165の、更に好ましくは少なくとも167の、更に好ましくは少なくとも170の、更に好ましくは少なくとも170の、更に好ましくは少なくとも175の、更に好ましくは少なくとも180の、更に好ましくは少なくとも185の、更に好ましくは少なくとも190の、そして最も好ましくは少なくとも195ニュートン/ミルのピーク荷重/ミル値(ASTM D3763−95a)を有することができる。ピーク荷重/ミルの好ましい範囲は、155と400、更に好ましくは155と390の間、更に好ましくは160と380の間、更に好ましくは165と370の間、更に好ましくは167と360の間、更に好ましくは170と350の間、更に好ましくは175と340の間、更に好ましくは180と330の間、更に好ましくは185と320の間、更に好ましくは190と310の間、そして最も好ましくは195と300ニュートン/ミルの間にある。
【0082】
本発明によるフィルムの加工に使用されるポリマー成分は、このような組成物中に通常含まれる適切な量の他の添加物も含有することができる。これらは、滑剤、酸化防止剤、充填剤、染料、顔料、輻射線安定剤、帯電防止剤、エラストマー、および包装フィルムの分野の当業者に既知の他の添加物を含む。
【0083】
本発明の多層フィルムは、少なくとも1.28の、更に好ましくは少なくとも1.30の、更に好ましくは少なくとも1.35の、更に好ましくは少なくとも1.40の、更に好ましくは少なくとも1.45の、更に好ましくは少なくとも1.50の、更に好ましくは少なくとも1.55の、更に好ましくは少なくとも1.58の、更に好ましくは少なくとも1.60の、更に好ましくは少なくとも1.65の、更に好ましくは少なくとも1.70の、更に好ましくは少なくとも1.75の、更に好ましくは少なくとも1.80の、更に好ましくは少なくとも1.85の、そして最も好ましくは少なくとも1.90ジュール/ミルの破断エネルギー/ミル値(ASTM D3763−95a)を有することができる。ミル当たりの破断エネルギーの好ましい範囲は、1.28と4.00の間の、好ましくは1.30と3.00の間の、更に好ましくは1.35と3.00の間の、更に好ましくは1.40と2.90の間の、更に好ましくは1.45と2.85の間の、更に好ましくは1.50と2.85の間の、更に好ましくは1.55と2.80の間の、更に好ましくは1.60と2.75の間の、更に好ましくは1.65と2.75の間の、更に好ましくは1.70と2.75の間の、更に好ましくは1.75と2.75の間の、そして最も好ましくは1.80と2.50のジュール/ミルの間にある。
【0084】
本発明の多層フィルムは、長手および横方向のいずれかあるいは両方で、好ましくは長手および横方向の両方で、好ましくは少なくとも18,000の、更に好ましくは少なくとも19,000の、更に好ましくは少なくとも20,000の、更に好ましくは少なくとも21,000の、更に好ましくは少なくとも21,500の、更に好ましくは少なくとも22,000の、更に好ましくは少なくとも22,500の、そして最も好ましくは少なくとも23,000psiの引張強度(ASTM D882−95)を呈することができる。引張強度の好ましい範囲は、長手および横方向のいずれかあるいは両方で、好ましくは長手および横方向の両方で、18,000と200,000、そして更に好ましくは23,000と100,000psiの間にある。
【0085】
本発明の多層フィルムは、長手および横方向のいずれかあるいは両方で、好ましくは長手および横方向の両方で、好ましくは少なくとも8パーセントの、更に好ましくは少なくとも9パーセントの、更に好ましくは少なくとも10パーセントの、更に好ましくは少なくとも11パーセントの、更に好ましくは少なくとも13パーセントの、そして最も好ましくは少なくとも15パーセントの200°F(93℃)の温度における自由収縮(ASTM D2732−83)を呈する。200°F(93℃)の温度における自由収縮の好ましい範囲は、長手および横方向のいずれかあるいは両方で、好ましくは長手および横方向の両方で、8パーセントと50パーセントの間、更に好ましくは10パーセントと45パーセントの間、更に好ましくは15パーセントと40パーセントの間にある。
【0086】
本発明の多層フィルムは、好ましくは少なくとも16パーセントの、更に好ましくは少なくとも18パーセントの、更に好ましくは少なくとも20パーセントの、更に好ましくは少なくとも25パーセントの、そして最も好ましくは少なくとも30パーセントの200°F(93℃)の温度における複合自由収縮を呈することができる。200°F(93℃)の温度における複合自由収縮の好ましい範囲は、16パーセントと100パーセントの間、更に好ましくは20パーセントと90パーセントの間、更に好ましくは25パーセントと75パーセントの間、そして最も好ましくは30パーセントと70パーセントの間にある。
【0087】
本発明の多層フィルムは、好ましくは30パーセント未満あるいはそれに等しい、あるいは好ましくは20パーセント未満の、更に好ましくは15パーセント未満の、更に好ましくは10パーセント未満の、そして最も好ましくは5パーセント未満の240°F(115℃)の温度における自由収縮バランスを呈することができる。240°F(115℃)の温度における自由収縮バランスの好ましい範囲は、0パーセントと30パーセントの間、更に好ましくは0パーセントと20パーセントの間、更に好ましくは0パーセントと15パーセントの間、更に好ましくは0パーセントと10パーセントの間、そして最も好ましくは0パーセントと5パーセントの間にある。
【0088】
本発明の多層フィルムは、長手および横方向のいずれかあるいは両方で、好ましくは長手および横方向の両方で、好ましくは少なくとも1.5:1の、更に好ましくは少なくとも2:1の、更に好ましくは少なくとも2.5:1の、更に好ましくは少なくとも3:1の、更に好ましくは少なくとも3.25:1の、更に好ましくは少なくとも3.5:1の、更に好ましくは少なくとも4:1の、更に好ましくは少なくとも4.5:1の、そして最も好ましくは少なくとも5:1の延伸比で延伸配向可能である。延伸配向比の好ましい範囲は、長手および横方向のいずれかあるいは両方で、好ましくは長手および横方向の両方で、好ましくは1.5:1と8:1の間、更に好ましくは3:1と7:1の間、そして最も好ましくは4:1と6:1の間にある。
【0089】
本発明の多層フィルムは、化学的手段により、あるいは更に好ましくは照射により、例えば10と200の間の、更に好ましくは15と150の間の、更に好ましくは20と150の間の、そして最も好ましくは20と100キログレイの間の線量での電子線照射により架橋可能である。本発明は照射される必要はないが、好ましい実施形態においては、照射は衝撃強度の改善に使用可能である。好ましくは、このフィルムは実質的にバランスのとれた自由収縮を有する。好ましくは、全フィルム容積の少なくとも50容積パーセントは、5g/10分未満のメルトインデックスを有する多成分エチレン/α−オレフィン樹脂を含んでなる。
【0090】
好ましい樹脂組成物においては、この第1の成分は、40パーセント〜60重量パーセントのこの樹脂を含んでなり、そしてこの第2の成分は、40パーセント〜60重量パーセントのこの樹脂を含んでなる。更に好ましい樹脂組成物においては、この第1の(均質な)成分は、45パーセント〜55重量パーセントのこの樹脂を含んでなり、そしてこの第2の(不均質な)成分は、45パーセント〜55重量パーセントのこの樹脂を含んでなる。好ましい樹脂組成物においては、この最終のエチレンポリマー組成物は、この均質な成分のメルトインデックスよりも約45倍以上大きいメルトインデックスを有する。
【0091】
本発明の変形形態は、本明細書中で開示される特定の実施形態と実施例に限定されない本発明の範囲を逸脱することなく、実施可能であるということを理解すべきである。本明細書中で引用されている米国特許を含む参考文献は引用により本明細書に全体で明確に組み込まれている。
【実施例1】
【0092】
実施例1は、米国特許第5,844,045号(Kolthammerら)、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号により製造された系内ブレンドであり、均質に分岐したポリマーが第1の反応器中で製造され、これは、約0.02g/10分のメルトインデックス(I2)、約0.955g/cm3以上の密度、および約2の分子量分布(Mw/Mn)を有するエチレンホモポリマーであり、この全組成物の約45重量パーセントを占める。不均質に分岐したエチレンホモポリマーが第1の反応器と順次的に運転されている第2の反応器中で製造され、この最終組成物は約0.9g/10分のメルトインデックス(I2)、および約0.955g/cm3以上の密度を有し、この不均質な成分がこの全組成物の残りの55重量パーセントを占める。米国特許第5,965,756号および米国特許第6,034,022号で述べられているような触媒を用いて、第1の反応器中で拘束構造触媒により製造される狭いMWD画分と、米国特許第3,257,332号、米国特許第3,051,690号、米国特許第4,314,912号(Lowery,Jr.ら)、米国特許第4,547,475号(Glassら)、米国特許第4,612,300号(Coleman,III)および米国特許第4,659,685号(Coleman,III)で述べられているような触媒を用いて、標準チーグラー・ナッタ触媒により順次的な第2の反応器中で製造される広いMWD画分を反応器ブレンドすることにより、この樹脂を製造した。この全組成物は、表1に示すように、約0.8〜0.9g/10分のメルトインデックス(I2)、約0.96g/cm3の密度、約12〜14のメルトフロー比(I10/I2)、約70未満のI21/I2および約8.4の分子量分布[Mw/Mn)]を有する。
【0093】
この樹脂組成物を表2に示す水蒸気バリア性を持つ3層(A/A/A)ブローフィルムに加工する。2台の2.5インチの24L/DEgan押し出し機および1台の2インチの24L/DのJohnson押し出し機からなる共押し出しブローフィルムラインでこの3層フィルムを加工した。この押し出し機を60HP(押し出し機1、外層)、75HP(押し出し機2、コア層)および20HP(押し出し機3、内層)のDCモーターにより駆動する。押し出し機1に捩れ型EganZミキサー付きの2.88の圧縮比のNew Castle単一溝高剪断スクリューを備える。押し出し機2にMaddockミキサー付きの2.35の圧縮比DSBIIバリアスクリューを備える。押し出し機3にMaddockミキサー付きの2.5の圧縮比Johnson単一溝スクリューを備える。内部バブル冷却と70ミルのダイピン付きの8インチのBottenfeld Gloucester3層(32/36/32層比)ダイを使用した。すべての押し出し機はバレル加熱および冷却付きの平滑な穴である。各押し出し機においてこの圧力を圧力変換器によりモニターする。各押し出し機においてExtrol6032マイクロプロセッサーが押し出しパラメーター、例えばrpm、%FLC(全負荷能力)馬力(HP)、速度、レイフラット幅およびメルト温度を制御する。
【0094】
この樹脂を共押し出しされた多層(A/A/A)ブローフィルム中の水蒸気バリア層として更に使用し、そして得られるフィルム性質を表3に示す。
【表1】

【表2】

【0095】
表2は比較例と比較して実施例1に対する改善された樹脂加工性および水蒸気透過性能バランスを示す。
【表3】

【0096】
一般に、この新規な配合されたエチレン組成物から製造されるフィルムは、加工時の良好なバブル安定性と特に良好な低水蒸気透過速度を呈する。
【0097】
HDPEフィルムの水蒸気透過速度(WVTR)はこの結晶性画分の形態により強く影響される。本発明者らは、高分子量(MW)画分が低濃度で存在する場合でもWVTR性能に対して悪影響を及ぼすshish−kabob結晶性実施形態を誘起することができるということを見出した。このように、高分子量成分を除去することにより望ましくないshish−kabob形態の発生を防止する狭い分子量分布(MWD)が好ましい。また、当業者ならば、鎖の絡み合いは分岐した分子の緩和を遅らせるので、長鎖分岐(LCB)が望ましくないということを知っている。他方、良好な樹脂加工性を得るためには、広いMWDとLCBの存在が望ましい。
【0098】
本発明においては、MWD−LCB−WVTRの関係の現時点での理解に反して、本発明者らは、良好なWVTR性能の広いMWD樹脂が製造可能であるということを見出した。これは、単一部位のメタロセン触媒、二相性MWD、および高分子量画分の除去を使用することにより達成された。驚くべきこととして、単一部位の拘束構造触媒からのLCBは望ましくないshish kabob形態を引き起こさない。このように、二相性単一部位拘束構造ベースのHDPE分子構成は、改善された加工性をもたらし、同時に水蒸気透過に対する良好なバリアを提供する。良好な水蒸気バリア性を持つHDPEフィルムは、食品の保存寿命を増加させるので乾燥食品包装において用途を見出す。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図0は、記述のクロマトグラフィ条件下での1476SRM参照試料のゲルパーミエーションクロマトグラフィGPCLS(光散乱)応答を示す。
【図2】図1は、本発明のフィルム(実施例1)、ならびに比較の先行技術の材料で使用するのに好適なポリマー組成物に対する低分子量(GPCによる)に対するCDFRI(GPCMw以上)としてプロットされたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)RI(屈折率)のオーバーレイ(低分子量領域)を示す。
【図3】図2は、本発明のフィルム(実施例1)、ならびに比較の先行技術の材料で使用するのに好適なポリマー組成物に対する低分子量(GPCによる)に対するCDFLS(GPCMw以上)としてプロットされたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)LS(低角レーザー光散乱)のオーバーレイ(高分子量領域)を示す。
【図4】図3は実施例1ならびに比較の先行技術の材料に対するGPCLSオーバーレイを示す。
【図5】図4は実施例1および比較例に対する流動性比較(190℃における粘度対周波数)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)約0.94g/cm3以上あるいはそれに等しい密度、0.001〜1グラム/10分のメルトインデックスを有する、35〜65重量パーセントのエチレンポリマー組成物と、
(B)約0.94g/cm3以上あるいはそれに等しい密度、50〜700グラム/10分のメルトインデックスを有する、35〜65重量パーセントのエチレンポリマー組成物と、を含んでなるポリマー組成物から製造される少なくとも1つの層を含むフィルム。
【請求項2】
(A)が1.5〜3の分子量分布(Mw/Mn)を有する少なくとも1つの均質に分岐したインターポリマーを含んでなる、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記フィルム層がASTM F1249−90により測定して約0.3gミル/(100インチ2×日)未満あるいはそれに等しい水蒸気透過速度WVTRを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
(A)および(B)が各々エチレンホモポリマーである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−LSクロマトグラムの全面積の少なくとも2.5パーセントであるが、約20パーセント以下である、エチレンホモポリマーあるいはインターポリマー組成物。
【請求項6】
示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約25パーセント以下であるが、少なくとも約10パーセントである、エチレンホモポリマーあるいはインターポリマー組成物。
【請求項7】
示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約25パーセント以下であるが、少なくとも約10パーセントである、請求項5に記載のエチレン組成物。
【請求項8】
低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−LSクロマトグラムの全面積の約15パーセント未満あるいはそれに等しく、示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約15パーセント以上あるいはそれに等しい、請求項7に記載のエチレン組成物。
【請求項9】
低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−LSクロマトグラムの全面積の約10パーセント未満あるいはそれに等しく、示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約20パーセント以上あるいはそれに等しい、請求項7に記載のエチレン組成物。
【請求項10】
示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約15パーセント以上あるいはそれに等しい、請求項7に記載のエチレン組成物。
【請求項11】
示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約20パーセント以上あるいはそれに等しい、請求項7に記載のエチレン組成物。
【請求項12】
低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−LSクロマトグラムの全面積の約15パーセント未満あるいはそれに等しい、請求項7に記載のエチレン組成物。
【請求項13】
示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約20パーセント以上あるいはそれに等しい、請求項8に記載のエチレン組成物。
【請求項14】
低角レーザー光散乱検出器付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、1,000,000以上あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−LSクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−LSクロマトグラムの全面積の約10パーセント未満あるいはそれに等しい、請求項7に記載のエチレン組成物。
【請求項15】
示差屈折計付きのゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定して、約10,000未満あるいはそれに等しい分子量を有するGPC−RIクロマトグラムのパーセント画分が、該GPC−RIクロマトグラムの全面積の約15パーセント以上あるいはそれに等しい、請求項14に記載のエチレン組成物。
【請求項16】
上記請求項のいずれか一項に記載のポリマー組成物から製造される少なくとも1つの層を含んでなるフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−529618(P2007−529618A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504120(P2007−504120)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008945
【国際公開番号】WO2005/090464
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】