説明

ポリメラーゼ連鎖反応試験のためのランダムアクセスシステムおよび方法

ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験のための生物試料を調製するための、ランダムアクセスハイスループットシステムおよび方法が開示される。システムは、核酸単離/精製器具およびPCR器具を含む。核酸単離/精製器具は、生物試料からの核酸(NA)固体を磁気的に捕獲し、次いで溶出緩衝溶液中にNAを懸濁する。PCR試験器具は、変性、アニーリング、および伸長温度サイクルの複数のサイクルを提供する。より特定すると、PCR試験器具は、隣接する単一容器サーマルサイクラーがそれぞれのPCR試験プロセスの異なる温度サイクルに対応する異なる温度に加熱または冷却され得るように各々が個別に温度制御可能である複数の単一容器サーマルサイクラーを有する多容器サーマルサイクラーアレイを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下に2006年11月3日に出願された米国仮出願第60/856,453号(その開示を本明細書に参照により組み入れる)の利益を主張する。
【0002】
連邦政府支援研究または開発に関する陳述
(該当せず)
【0003】
発明の背景
本発明は、生物試料を単離および精製するための、および生物試料を試験するためのシステムおよび方法に、より特定すると、生物試料中に含まれる核酸を単離および精製するための、および、例えばポリメラーゼ連鎖反応試験によって、生物試料を試験するためのハイスループットランダムアクセスシステムおよび方法に関する。
【0004】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験は、普遍的に受け入れられておりそして広く実行されている、試験管中でDNAのような核酸(NA)の濃度を複製または増幅するための研究室方法である。複製/増幅は、ある濃度のDNA分子を含む水溶液中で行われる。次いで、事前に決定された量のポリメラーゼ酵素、オリゴヌクレオチドプライマー、4つの核酸の三リン酸塩または基質、活性化剤、および安定剤が水溶液に加えられ、次いでこれは、変性サイクル、アニーリングサイクル、および伸長サイクルといわれる3つの温度サイクルに供される。
【0005】
第1の変性サイクルの間、水溶液中のDNA二重らせんは約90〜95℃で融解し、その結果、二重らせんの各々の鎖は他方から分離される。第2のアニーリングサイクルの間、変性された水溶液は約50〜約65℃の温度に冷却され、これによりオリゴヌクレオチドプライマーは各々の変性されたDNA鎖の相補的ヌクレオチド配列に結合させられる。最後に、伸長サイクルの間、約70〜約72℃の温度でのプライマーの伸長によってDNA二重らせんが再形成される。より具体的には、Taqポリメラーゼのような耐熱性ポリメラーゼが、相補的ヌクレオチド配列に結合されたプライマー鋳型へヌクレオチドを結合させ、これが以前に1つのみ存在した所に2つの新たなDNA二重らせんを形成する。従って、完全なサイクルごとに、DNA分子の数の倍加が存在し、それで、nサイクル後のDNA分子の数は2に等しい。
【0006】
3つの温度サイクルの各々の持続時間は非常に短く、そして典型的には秒で測定される。例えば、DNA分子は、変性サイクルの間に約95℃で瞬間的に融解する。プライマーが十分な濃度で利用可能である場合、アニーリングサイクルの間のプライマーハイブリダイゼーションには、約1秒または2秒が必要とされるのみである。最後に、伸長サイクルの間の再形成は、毎秒約80の結合速度で起こり得る。従って、伸長サイクルには約2秒のみが必要とされる。従って、理論上は、各々のPCRサイクルは完了するのに約5秒を必要とする。
【0007】
しかし、実際には、各々の温度サイクルの持続時間は、事前に決定された温度サイクル温度で水溶液を加熱または冷却するための、熱伝達の速度に依存する。加熱/冷却速度に影響を及ぼし得る変数には、とりわけ、溶液の体積、水溶液の濃度、水溶液中にNAを保持する容器の熱伝導率、容器を保持する器具の熱伝導率、および、例えば伝導または対流による、熱を加えそして除く方法が含まれる。
【0008】
従来、PCR試験は「バッチ」で行われている。例えば、典型的には、温度サイクルデバイス(例えば、PCRプレート)は、近接して間隔を置かれた8×12の容器ウェルパターンの96個の容器を保持する。しかし、バッチ処理およびバッチ処理のために使用される大きな温度サイクルデバイスはいくつかの欠点を有する。
【0009】
第1に、温度サイクルデバイス中の各々のウェルが容器で満たされるまで試験は開始されず、これは時間を追加する。第2に、アニーリングおよび伸長温度サイクルのための事前に決定された温度はHIV、HCV、HDBのような試験される核酸に依存して変動するので、温度サイクルデバイス中の各々のウェルが同じDNA分子のある濃度を有する水溶液を含む各々の容器で満たされるまで試験は開始されず、これはさらに多くの時間を追加する。第3に、容器および温度サイクルデバイスはユニットとして一度に導入されるので、容器および温度サイクルデバイスを温度サイクルに関連する事前に決定された温度にするための時間の量は、個別の容器を温度サイクルに関連する事前に決定された温度にするための時間の量より大きくなる。
【0010】
バッチ処理のこれらの欠点には、温度サイクルの各々へのランダムアクセスを提供しそして、さらに、水溶液を含む各々の容器に渡って個別の温度制御を提供するシステムおよび方法によって取り組むことができる。
【0011】
Lund, et al.に対する米国特許第6,558,947号は、隣接する容器ウェルの温度と独立してデバイス中の各々の容器ウェルの温度を制御することを可能にする、バッチ型温度サイクルデバイスを開示する。しかし、温度サイクルデバイスがバッチ処理される前に96個の容器ウェルの各々を満たすのに時間がなお費やされるので、これは問題の半分に取り組むのみである。
【0012】
それゆえ、温度サイクルの各々へのランダムアクセスを提供し、そして水溶液を含む各々の容器に渡って個別の温度制御を提供するハイスループットシステムおよび試験方法を提供することが所望される。
【0013】
発明の概要
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験のための核酸(NA)の初期濃度を有する生物試料を調製するためのシステムおよび方法を開示する。システムは、核酸単離/精製器具およびPCR試験器具を含む。核酸単離/精製器具は、生物試料からNA固体を磁気的に捕獲し、次いでNAを溶出緩衝溶液中に懸濁する。PCR試験器具は、溶出された溶液を、PCR試験に関連する変性、アニーリングおよび伸長温度サイクルの複数のサイクルに供する。
【0014】
より具体的には、PCR試験器具は、隣接する単一容器サーマルサイクラーがそれぞれのPCR試験プロセスの異なる温度サイクルに対応する異なる温度に加熱または冷却され得るように各々が個別に温度制御可能である複数の単一容器サーマルサイクラーを有する多容器サーマルサイクラーアレイを含む。
【0015】
本発明は、以下のより詳細な説明および添付の図面を参照することによってより十分に理解され、ここで同様の参照番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、開示される本発明によるPCR試験のためのランダムアクセスシステムの模式図を示す。
【図2】図2は、開示される本発明によるPCR試験のためのランダムアクセスシステムの核酸単離/精製器具を示す。
【図3】図3は、開示される本発明によるランダムアクセスシステムのPCR試験器具を示す。
【図4】図4は、開示される本発明による、増幅および検出デバイス中に配置される、反応液を含むキュベットを個別に加熱するための、単一容器サーマルサイクラーを示す。
【図5】図5は、開示される本発明による蛍光光度計および増幅および検出デバイスのブロック図を示す。
【0017】
発明の詳細な説明
開示される本発明は、生物試料中に含まれる核酸(NA)を単離および精製するための、および、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験によって、生物試料を試験するためのランダムアクセスシステムおよび前記システムを使用する方法を提供する。PCR試験は当技術分野において周知であり、そして詳細には記載しない。また、本明細書において言及される磁性粒子を使用して核酸を単離および精製するための「Boom特許」技術は、Boom, et al.に対する米国特許第5,234,809号(その全体を本明細書に参照により組み入れる)の課題である。
【0018】
図1〜3を参照して、生物試料中に含まれるNAを単離および精製するための、および単離および精製されたNAを試験するためのランダムアクセスシステム10が示される。システム10は、何らかの濃度のNAを含む水性試料、すなわち「反応液」、のハイスループットおよび連続的試験を提供する。本明細書において、NAは、一本鎖核酸、すなわちRNA、および二本鎖核酸、すなわちDNA、を指すために使用される。
【0019】
システム10(図1)は、核酸(NA)単離/精製器具20(図2)およびPCR試験器具30(図3)を含み、それらは以下で別々に考察される。
【0020】
核酸単離/精製器具
Boom特許は、何らかの内在性NAおよび/または何らかの外来性NAを最初に含む生物材料中のNAを単離および精製するための手段を開示する。Boomプロセスは、迅速で再現性がありそして単純であり、そして精製された最終生成物は損傷を受けておらず、そしてPCRのような他の分子生物学的反応において使用可能である。
【0021】
Boomプロセスは、血液、血清、精液、尿、糞便、唾液、組織培養物、細胞培養物などのようなNA保有生物材料を、微粒子シリカ粒子の存在下で、多量のカオトロピック物質と混合することによって開始する。カオトロピック物質により、生物試料のNAの全てがほぐされる。ほぐされたNAはシリカ粒子に結合する。
【0022】
カオトロピック物質には、限定するものではないが、グアニジン塩酸塩、グアニジン(イソ)チオシアネート、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどが含まれ得る。NA結合固相シリカ粒子には、ガラス粉末、酸化ケイ素、二酸化ケイ素結晶、無定形酸化ケイ素などが含まれ得る。
【0023】
次いで、固体シリカ−NA複合体を、例えばボルテックスを使用して遠心的に、水溶液から分離する。水溶液を捨てる。固体を再びカオトロピック緩衝液で洗浄し、そして再び水性洗浄液からの分離に供する。この洗浄および分離プロセスを複数回繰り返し得る。
【0024】
固体シリカ−NA複合体を、水−アルコール溶液およびアセトンを使用して最終的に洗浄する。アセトンを除去するために溶液を乾燥し、固体シリカ−NA複合体が残る。固体シリカ−NA複合体を、水性溶出緩衝液を用いて最終的に溶出し、そして溶液、すなわち「溶出された溶液」、中の精製されたNAを回収する。
【0025】
開示される本発明のNA単離/精製器具20は、生物試料中に存在するNAの単離および精製におけるBoom特許の教示に一般に従う方法の実行を可能にする。図1および2を参照して、既知または未知の濃度のNAを含む試料を、Siemens Medical Solutions Diagnostics of Tarrytown, New Yorkによって製造されるAdvia Centaur(登録商標)イムノアッセイシステムにおいて使用されるような試料ハンドラー21から取り出し、そしてボルテックス/インキュベーションデバイス22中のチューブ中に分注する。環状ボルテックス/インキュベーションデバイス22は、チューブを保持するための45個の位置を含み、そして約1100回毎分(RPM)で回転することができる。各々のサイクルでNA試料をボルテックス/インキュベーションデバイス22に挿入し、そしてそれから取り出す。有利なことに、従来のバッチ処理とは異なり、HIV、HCV、HDBなどのような異なるNAを含む試料を、ボルテックス/インキュベーションデバイス22にランダムに挿入することができる。
【0026】
環状ボルテックス/インキュベーションデバイス22中の位置の数が、所望されるスループットおよび時間を含む多くの事柄の関数であることを当業者は理解することができる。それゆえ、45個より多いかまたは少ない位置を有する環状ボルテックス/インキュベーションデバイス22の使用は、本開示の範囲および精神内にある。
【0027】
NA試料を含むチューブに、プロテイナーゼK(PK)のようなNAのタンパク質構造を分解するための酵素を加え、そして混合物を、ボルテックス/インキュベーションデバイス22中で約56℃の温度で約5分間インキュベートする。次いで、S9のような溶解緩衝液、磁性シリカ粒子(MP)、キャリアーRNA、および内部標準(IC)を、NA試料と混合する。一旦プロテイナーゼK酵素がNA試料のタンパク質構造を分解すると、溶解緩衝液がNAを遊離させる。
【0028】
次いで、この混合物をボルテックス/インキュベーションデバイス22中で約56℃で約15分間インキュベートおよび攪拌する。インキュベーションおよび攪拌により、NA保有試料が分解され、試料からのNAの遊離が引き起こされる。次いで、遊離されたNAは磁性シリカ粒子(MP)によって捕獲される。攪拌の代替手段には、例えば超音波振動が含まれ得る。
【0029】
各々のインキュベーションおよび攪拌サイクルの完了時に、NA試料を保有するチューブを、ボルテックス/インキュベーションデバイス22から連続的および逐次的に取り出し、そして適切な寸法の置き場を有するコンベアベルトのような、試料チューブコンベア24上に配置する。例えば、空気稼動昇降機(pneumatically-activated elevator)を使用して、チューブをボルテックス/インキュベーションデバイス22からチューブコンベア24に持ち上げることができる(示さず)。
【0030】
チューブコンベア24上にある間に、液体溶解緩衝液、すなわちS9、および上清を、例えば吸引によって、磁性シリカ粒子(MP)から分離し、そして磁性シリカ粒子(MP)を洗浄する。各々の洗浄サイクルは、チューブへ水性洗浄溶液を分注すること;チューブを攪拌して、磁性シリカ粒子(MP)を再懸濁すること;チューブの内容物に対して磁気的分離を行なうこと;および水溶液を吸引しそして捨てることを含む。4回の洗浄サイクルが許容される数である;しかし、より多い洗浄サイクルからはより多くのNAの単離および精製が存在し得、そしてより少ない洗浄サイクルからはより少ないNAの単離および精製が存在し得ることを理解し、より多いかまたはより少ない洗浄サイクルを使用することができる。
【0031】
磁性シリカ粒子の使用は、捕獲されたNAの液体溶解緩衝液および上清からの磁気的分離を可能にする。以前に記載するように、固体の非常に微粒子の磁性シリカ粒子がNAを捕獲する。例えばシリンジポンプを使用して、チューブに洗浄溶液を加え、そしてチューブを攪拌し、NA保有磁性シリカ粒子を再懸濁した後に、チューブに磁場を加える。1つの実施態様において、磁場は、チューブコンベア24の通路に沿った選択された位置に隣接して配置された1つ以上の磁石から生じる。磁場は、NA保有磁性シリカ粒子を、それぞれのチューブの一方の内部表面に迅速に誘引する。
【0032】
チューブの攪拌は、コンベアベルト24の上でおよびそれによって達成される。例えば、二部分ばね押し駆動プーリー(two-part, spring-loaded drive pulley)のような、コンベアベルト24の駆動プーリー(示さず)に、ソレノイド(示さず)を機械的に連結することができる。ソレノイドが稼動されると、それは駆動プーリーおよびコンベアベルト24を振動させる。あるいは、駆動モーター(示さず)を事前に決定された振動数で前後に動かすことができ、これはコンベアベルト24を震動させる。
【0033】
最終洗浄サイクルの後に、溶出緩衝液(E)をNA保有磁性シリカ粒子に加え、そして溶出された試料を含むチューブを別のインキュベーション/攪拌リング26へ移し、そこで分析物富化NAを磁性シリカ粒子から分離する。溶出緩衝液(E)は、溶出された試料中の磁性シリカ粒子のpHを変化させる。1つの実施態様において、空気稼動昇降機を使用して、溶出された試料を含むチューブをチューブコンベア24からインキュベーション/攪拌リング26へ降下させることによって、溶出された試料を含むチューブを別のインキュベーション/攪拌リング26へ移す(示さず)。
【0034】
図2に示すインキュベーション/攪拌リング26は、溶出された試料を含むチューブを保持するための20個の位置を含み、そしてインキュベーションの間に約1100RPMの速度で回転することができる。インキュベーション/攪拌リング26中の位置の数が、所望されるスループットおよび時間を含む多くの事柄の関数であることを当業者は理解することができる。それゆえ、20個より多いかまたは少ない位置を有するインキュベーション/攪拌リング26の使用は、本開示の範囲および精神内にある。
【0035】
溶出された試料を含むチューブを、個別に挿入しそして取り出す。一旦インキュベーション/攪拌リング26の20個全ての位置がチューブで満たされると、チューブを一群として集合的にインキュベートおよび攪拌する。インキュベーションおよび攪拌を約10分間約70℃のインキュベーション温度で行う。もう一度、有利なことに、従来のバッチ処理とは異なり、HIV、HCV、HDBなどのような異なるNAを含む試料を、インキュベーション/攪拌リング26中にランダムに挿入することができる。
【0036】
変化したpH、インキュベーション温度、および攪拌は、磁性シリカ粒子からのNAの解離、および溶出された試料の溶液中のNAの再懸濁を促進する。次いで、溶出された溶液(これは、溶出緩衝液およびNA富化試料を懸濁状態で含む水溶液である)を、例えば磁気的誘引および使い捨てピペットチップを使用する吸引によって、固体磁性シリカ粒子から分離することができる。
【0037】
溶出された溶液を直ちにPCR試験することができるか(下記のように)、または下記のように溶出された溶液を含む別個のチューブにキャップをしそして後に試験するために一時的に貯蔵することができるか、またはこれもまた下記のように溶出された溶液およびMastermix試薬を含む別個のチューブにキャップをしそして後に試験するために一時的に貯蔵することができる。磁性シリカ粒子は処分される。
【0038】
いくつかの適用において、NA精製され溶出された試料を、後の時間および/または場所で試験することが所望され得る。そのような場合のために、システム10は、洗浄サイクルの後に移動点31を含む。より具体的には、洗浄および溶出、および磁性シリカ粒子からの溶出された溶液の分離の後に、NA精製され溶出された溶液を含むチューブをキャッピングデバイス28に輸送し、ここでNA精製され溶出された試料を含むチューブを堅固に密封するかまたはキャップをすることができる。キャップをした後、溶出された溶液に、例えば無線「タグ付け器」(radio "tagger")33を使用する電波識別(RFID)によって、タグ付けし、次いで冷蔵ユニット35中に貯蔵することができる。
【0039】
PCR試験器具
上記で与えられるように、溶出された溶液からの磁性シリカ粒子の分離の後に、例えば使い捨てチップを有するピペッターを使用して、NA精製され溶出された溶液をチューブから回収する。図3を参照して、回収された溶出された溶液を、インキュベーションリングまたはコンベアベルト32上に一時的に配置される、着脱可能な反応容器またはキュベット40(以下「キュベット」)中に分注する。キュベット40は、キャッピングおよび温度サイクルの少なくとも1つの間に反応液(下記で定義する)を保持するように構築および配置される。
【0040】
好ましくは、溶出された溶液を、Madison, WisconsinのPromega Corporationによって製造されるPCR MasterMix試薬(MM1またはMM2)のようなMastermix試薬を含むキュベット40中に分注する。あるいは、溶出された溶液をまずキュベット40に加え、その後Mastermix試薬を加えることができる。Mastermix試薬および溶出された溶液を含む水溶液を「反応液」という。
【0041】
Mastermix試薬は当業者に周知であり、そしてより詳細には記載しない。その各々が前もって調製されそして試薬トレー34中に貯蔵されるMastermix試薬の組成は、HIV、HCV、HDBなどのような試験されるNAに依存して異なる。各々のMastermix試薬は試薬ウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)を含む。UNGは、より高い温度では不活性の試薬であるが;周囲温度または室温のようなより低い温度では、UNGは、反応液となお混合され得るいかなるNAコピーも破壊する。従って、UNGを反応液に加えて、単離/精製器具20からPCR試験器具30へのキャリーオーバーコンタミネーションを軽減する。
【0042】
一旦Mastermix試薬および溶出された溶液がキュベット40に加えられると、インキュベーションリング32に沿って配置されたキャッピングデバイス28が、各々のキュベット40を堅固に密封するかキャップをする。以前に記載するように、全ての試料、またはこの場合、反応液を、即時のPCR試験のために調製するわけではない。いくつかの場合、別個の反応液を後の時間または場所で試験することが所望され得る。そのような場合、UNGインキュベートされた反応液を含む別個のキャップをされたキュベット40を、移動点31でインキュベーションリング32から取り出し、そこからそれをRFID無線「タグ付け器」のようなタグ付けデバイス33に移すことができる。その様にして取り出したキャップをされたキュベット40をタグ付けし、次いで冷蔵ユニット35中に貯蔵することができる。
【0043】
図3に示すように、例示的な実施態様において、インキュベーションリング32はキュベット40を保持するための16個の位置を含み、そして運搬ベルトは、各々のキュベット40がインキュベーションリング32に沿った約10分間の処理を費やすような速度で連続的に進むことができる。インキュベーションリング32の温度は約25℃に維持される。
【0044】
インキュベーションリング32中の位置の数が、所望されるスループットおよび時間を含む多くの事柄の関数であることを当業者は理解することができる。それゆえ、16個より多いかまたは少ない位置を有するインキュベーションリング32の使用は、本開示の範囲および精神内にある。
【0045】
インキュベーションリング32の運搬ベルトが進み続ける時に、反応液を含むキャップをされたUNGインキュベートされたキュベット40は、RTインキュベーション部38例えばオーブン、の中で約45℃の温度でさらにインキュベートされる。約45℃の温度でキュベット40をインキュベートする目的は、PCR試験の前にいかなる一本鎖RNA試料も二本鎖DNAに変換するためである。より特定すると、DNA試料ではなくRNA試料を含むキュベット40に加えられるMastermix試薬は、逆転写酵素(RT)、一本鎖RNAを二本鎖DNAへ転写するDNAポリメラーゼ酵素、を含む。
【0046】
図3に示すように、RTインキュベーション部38はキュベット40を保持するための50個の位置を含み、そしてインキュベーションリング32は、各々のキュベット40がRTインキュベーションを受けながら約30分間を費やすような速度で漸増的(incrementally)または連続的に進むことができる。インキュベーションリング32のRTインキュベーション部38中の位置の数が、所望されるスループットおよび時間を含む多くの事柄の関数であることを当業者は理解することができる。それゆえ、50個より多いかまたは少ない位置を有するRTインキュベーション部38の使用は、本開示の範囲および精神内にある。
【0047】
PCR試験器具30をさらに、RTインキュベーション部38の終了点がPCR移動点37に近接するように、構築し配置する。その結果、RTインキュベーションの完了時に、各々のキャップをされたRTインキュベートされたキュベット40は、インキュベーションリング32から変性加熱ステーションリング39へ移される。
【0048】
図3に示すように、変性加熱ステーションリング39は、キュベット40を保持するための16個の位置を含む。リング39は、各々のキュベット40が変性温度サイクルを受けながら約10分間を費やすような速度で漸増的または連続的に進むことができる。変性加熱ステーションリング39中の位置の数が、所望されるスループットおよび時間を含む多くの事柄の関数であることを当業者は理解することができる。それゆえ、16個より多いかまたは少ない位置を有する変性加熱ステーションリング39の使用は、本開示の範囲および精神内にある。
【0049】
変性温度サイクルの間に、各々のキャップをされたキュベット40を、例えばオーブンを使用して、約90〜95℃の温度に加熱して、反応液中のポリメラーゼ酵素(典型的にはTaq)を活性化する。上記のように、約90および95℃で、DNA二重らせんは融解し、その結果、二重らせんの各々の鎖は他方から分離される。
【0050】
次いで、変性したNAを含むキャップをされたキュベット40を、増幅および検出(A+D)モジュール50中の任意の空のキュベットウェル52に移す。好ましくは、キャップをされたキュベット40を変性加熱ステーションリング39から取り上げそして空のキュベットウェル52中にそれを配置するように構築および配置されたラジアルアーム55を使用して、キュベット40を移す。
【0051】
A+Dモジュール50は、最初のアニーリングおよび最初の伸長温度サイクルの間、およびPCRプロセスの全てのそれに続く温度サイクルの間にキュベット40を保持するように構築および配置された、40個の個別に制御可能な単一容器サーマルサイクラーを有するサーマルサイクラーアレイである。A+Dモジュール50中の、個別に制御可能な単一容器サーマルサイクラーの数が、所望されるスループットおよび時間を含む多くの事柄の関数であることを当業者は理解することができる。それゆえ、40個より多いかまたは少ない個別に制御可能な単一容器サーマルサイクラーを有するA+Dモジュール50の使用は、本開示の範囲および精神内にある。
【0052】
各々のキャップをされたキュベット40がそれぞれのキュベットウェル52中に配置される間に、PCRプロセスの最初のアニーリングおよび最初の伸長温度サイクルを、それぞれ約50〜65℃(アニーリング用)および約70〜72℃(伸長用)の範囲の適切な事前に決定された温度で行う。各々の完全なPCRサイクルの後に、各々の反応液の光強度を検出および測定する。一旦光強度が事前に決定された閾値強度、ITH、に達するかまたはそれを越えると、例えばルックアップテーブル(look-up table)を使用して、NA試料の初期DNA濃度を評価することができる。
【0053】
図5を参照して、A+Dモジュール50は光ファイバー束51を介して蛍光光度計58と作動的に結合している。より具体的には、光ファイバー束51の少なくとも一本の光ファイバー53が各々のキュベットウェル52に光学的に連結されるように構築および配置され、より特定すると各々のキュベット40は必要とされる波長で光透過性である。各々の光ファイバー53は蛍光光度計58に光学的に連結され、その結果、各々の完全なPCRサイクルの後で、反応液の光の強度を複数(例えば4つ)の波長で測定することができる。
【0054】
蛍光光度計58は、異なる波長を有する複数(例えば4つ)の光源(示さず)、または異なる波長を生成することができるフィルタホイール56と組み合わせた狭帯域波長を有する単一光源54を含む。単一光源54を使用する場合、第一の波長の蛍光光度計58からの光が、少なくとも一本の結合された光ファイバー53を介して各々のキュベットウェル52中に配置された反応液を照射する。反応液からの蛍光シグナルは、少なくとも一本の結合された光ファイバー53を介して蛍光光度計58に透過し戻される。蛍光光度計58は、蛍光シグナルの強度レベルを検出するかまたは測定する。このプロセスを、反応液を含む各々のキュベットウェル40について少なくとも3つの異なる波長について繰り返す。
【0055】
蛍光光度計58はまた、プロセシングユニット57およびメモリコンポーネント59aおよび59bを含むか、またはそれらと作動的に結合している。非揮発性メモリ59aは、蛍光光度計58の作動のためのアプリケーションまたはドライバープログラム、閾値強度データ、ITH、および/または測定された強度レベルおよびPCR増幅サイクルの数を相関させて初期DNA濃度レベルを評価するルックアップテーブル、LUT、などを記憶することができる。メモリコンポーネント59bは、アプリケーションまたはドライバープログラムの1つ以上を実行するための揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。
【0056】
システム10およびPCR試験器具30の作動の間に、特定の波長で検出された蛍光シグナル強度、I、を、全ての反応液に適用可能な共通の事前に決定された閾値強度、ITH、と、または特定の反応液に適用可能な事前に決定された閾値強度、ITH、と比較することができる。蛍光シグナルの検出された強度レベルが閾値強度を越えるとき(I>ITH)、ルックアップテーブル(LUT)を使用して、初期NA濃度を、測定された強度レベル、I、波長、および増幅サイクルの数、n、と相関させることができる。各々の反応液(NA試料に対応する)についての初期濃度を揮発性または非揮発性メモリ59bまたは59a中に記録および保存することができる。
【0057】
一旦反応液についての初期濃度データが記録されると、反応液を含むキュベット40をA+Dモジュール50から取り除いて、最終処分を待つことができる。任意に、キュベット40にRFID無線タグ付け器33によってタグ付けし、そして冷蔵ユニット35中に貯蔵することができる。
【0058】
単一容器サーマルサイクラー
上記で与えられるように、A+Dモジュール50は、複数(例えば40個)の個別に制御可能な単一容器サーマルサイクラーを有する環状のサーマルサイクラーアレイである。単一容器サーマルサイクラーは、各々のキュベット40を台座中に保持するように構築および配置される。さらに、各々のキュベット40がA+Dモジュール50中の台座中に配置される間に、最初のアニーリングおよび最初の伸長温度サイクルの間の、およびPCRプロセスの全てのそれに続く温度サイクルの間のキュベット40の温度を個別に制御することができる。個別の温度制御、ならびに連続的にA+Dモジュール50中にキュベット40を挿入するおよび/またはそれからキュベット40を取り出す能力が、ランダムアクセス試験を可能にし、そして実用的にする。
【0059】
図4を参照して、複数の単一容器サーマルサイクラー60を有するバルブレス多容器サーマルサイクラーアレイ65が示される。バルブレスアプローチを使用して本発明を記載するが、キュベット40を温度制御するためのバルブベースのアプローチも、本開示の範囲および精神にそむくことなく使用できる。有利なことに、バルブベースの制御システムは、より迅速であり、そしてより正確な温度調節を与え得る。不利なことに、バルブベースの制御システムは、より高価であり、より複雑であり、そしてより信頼性が低い。
【0060】
多容器サーマルサイクラーアレイ65は、反応液を含む放射対称のキュベット40を収容するかまたはそれを乗せるための複数の台座69を含む。台座69は、それぞれの加熱アセンブリ(下記)に対するキュベット40の正確な位置決めを提供するように構築および配置される。好ましくは、台座69は、気体容器流ガイド(gas-to-vessel flow guide)67(下記)と同軸である。より好ましくは、キュベット40の底部と気体容器流ガイド67との間に空隙75を与えるように、台座69は気体容器流ガイド67と物理的に接触しない。
【0061】
台座69はまた、V字形切れ込み(示さず)または中心合わせ特徴(centering feature)としての何らかの他の要素もしくは様相と組み合わせて、わずかな傾斜を含み得る。任意に、例えば反応液45中の温度勾配を低下させ、そして/または光学的検査を妨害し得る気泡をガス抜きするために、台座69を、キュベット40中の反応液45を振動させるように構築および配置することができる。例えば、各々の容器台座69は、その中にキュベット40が配置されることができるセンターホール領域を有する電気的に作動されるAC駆動圧電ディスク(electrically-actuated, AC- driven, piezoelectric disk)であり得る。
【0062】
独立した温度制御を提供するために、各々の単一容器サーマルサイクラー60は、加熱アセンブリおよび気体容器流ガイド67を含む。加熱アセンブリは、電気抵抗性発熱体のような発熱体64を含み、それは管状の気体ヒーター流ガイド(gas-to-heater flow guide)63の内部に配置される。気体ヒーター流ガイド63は、発熱体64に対して気体流68を制限および分配して、発熱体64と気体68との間の適正な熱伝達を達成する。
【0063】
気体容器流ガイド67は、「熱交換器」の外殻として作用する。より具体的には、気体容器流ガイド67は、反応液で濡れる内表面領域43に対応するキュベット40の外表面領域41を含む領域を横切って気体68の流れを分配することによって、気体容器熱交換を促進するように構築および配置されるシュラウド様デバイスである。気体容器流ガイド67はまた、好ましくは上記の光ファイバー束51の光ファイバー53と作動的に結合した、光透過性領域66を含む。
【0064】
気体68(これは単一の気体または気体の混合物であり得る)は、キュベット40との熱交換ための作業流体である。空気圧縮機またはダイヤフラム型エアポンプのような気体流駆動装置(gas flow driver)61を使用して、気体容器流ガイド67の各々に、主導管62を通じて気体68を配送することができる。
【0065】
プロセシングユニットならびに揮発性および非揮発性メモリを有する制御装置75は、気体流駆動装置61および発熱体64の各々に電気的に連結される。制御装置75は、気体容器流ガイド67への気体68の流速を制御する。制御装置はまた、各々の気体容器流ガイド67についての抵抗性発熱体64と気体68との間の熱交換を、いかなる他の気体容器流ガイド67とも独立して制御する目的で、各々の発熱体64への電流のタイミングおよび量を制御する。従って、任意の時点で、任意のキュベット40上の温度は容器特異的であり、そして独立して可変性である。
【0066】
例えば5.4リットル/分の気流およびNiCr線のコイルの電気的加熱を使用して、達成可能な気温変化特性は、60℃から90℃への約3.7℃/秒の加熱変化速度、および90℃から60℃への約2.5℃/秒の冷却速度を含む。
【0067】
本発明を、その好ましい実施態様を含めて詳細に記載した。しかし、当業者は、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲内で改変および改良をし得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期濃度の核酸(NA)を有する少なくとも1つの生物試料を連続的およびランダムに試験して、NAの前記初期濃度を決定する方法であって:
少なくとも1つの生物試料中に含まれるNAを磁気的に捕獲することによってNAを単離および精製する工程;
磁気的に捕獲されたNAを水性溶出緩衝液を使用して溶出して、磁気的に捕獲されたNAを水性溶出緩衝液中に再懸濁する工程;
事前に決定された試薬混合物を前記水性溶出緩衝液に加えて、反応液を提供する工程;
変性、アニーリング、および伸長の温度サイクルからなる複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)サイクルを通じて反応液に対してPCR試験を行う工程であって、
ここで、PCR試験は、多容器サーマルサイクラーアレイ中の隣接する単一容器サーマルサイクラーが、異なる温度サイクルを異なる温度で同時に受けることができるように行われる工程;および
少なくとも1つの生物試料の初期濃度を評価する工程
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの生物試料中に含まれるNAを磁気的に捕獲することによってNAを単離および精製する工程が:
NAに、プロテイナーゼK、溶解緩衝液、S9、磁性シリカ粒子、および内部標準材料の少なくとも1つを加えて、第一の水溶液を提供すること;
第一の水溶液をインキュベートおよび攪拌して、磁性シリカ粒子による捕獲のために少なくとも1つの生物試料からのNAをほぐすこと;および
磁性シリカ粒子を洗浄して、前記磁性シリカ粒子によって捕獲されたNAを精製すること
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
磁気的に捕獲されたNAを溶出して、磁気的に捕獲されたNAを水性溶出緩衝液中に懸濁する工程が、前記水性溶出緩衝液の存在下で約70℃の温度で磁性シリカ粒子をインキュベートおよび攪拌することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
事前に決定された試薬混合物を前記水性溶出緩衝液に加える工程が、前記反応液をUNGインキュベートして、キャリーオーバーコンタミネーションを低下させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
反応液を逆転写酵素(RT)インキュベートして、一本鎖RNAを二本鎖DNAに転写する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
PCR試験が、個別に温度制御可能な複数の単一容器サーマルサイクラーを使用することを含み、単一容器サーマルサイクラーの各々が、気体ヒーター流ガイドを通じて流動する気体を所望の温度に加熱または冷却するための、前記気体ヒーター流ガイド中に配置された制御可能な発熱体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの生物試料の初期濃度を評価する工程が:
行われたPCRサイクルの数を計数すること;
光を透過して、多容器サーマルサイクラーアレイ中の選択された単一容器サーマルサイクラー中の反応液を照射すること;
多容器サーマルサイクラーアレイ中の選択された単一容器サーマルサイクラー中の反応液から蛍光シグナルを受けること;および
蛍光シグナルおよび行われたPCRサイクルの数を使用して、前記少なくとも1つの生物試料の前記初期濃度を算出すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
単一容器サーマルサイクラーの各々の中の各々の制御可能な発熱体における温度を連続的に感知する工程;および
電流の量および電流配送のタイミングを制御して、単一容器サーマルサイクラーの各々の中の各々の制御可能な発熱体を個別に温度制御する工程
をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
複数の個別に制御可能な単一容器サーマルサイクラー;
反応液を含む反応容器を収容するための複数の台座;
気体源から複数の単一容器サーマルサイクラーの各々へ気体を輸送するための気体流導管;
加圧気体を、気体源から複数の単一容器サーマルサイクラーの各々に提供するための気体流駆動装置;および
気体流駆動装置を制御するための制御装置
を含む多容器サーマルサイクラーアレイ。
【請求項10】
複数の台座が、わずかな傾斜、V字形切れ込み、および反応容器中心合わせ特徴の少なくとも1つを含むように構築および配置される、請求項9記載の多容器サーマルサイクラーアレイ。
【請求項11】
反応容器中の反応液を振動させるための振動デバイスをさらに含む、請求項9記載の多容器サーマルサイクラーアレイ。
【請求項12】
ランダムに、反応液を含む反応容器を複数の台座の1つに挿入し、そして反応液を含む反応容器を複数の台座の1つから抜き出すように構築および配置される、請求項9記載の多容器サーマルサイクラーアレイ。
【請求項13】
多容器サーマルサイクラーアレイのための個別に制御可能な単一容器サーマルサイクラーであって、多容器サーマルサイクラーアレイは、反応液を含む反応容器のための複数の受け入れ位置、気体源からサーマルサイクラーアレイ中の複数の単一容器サーマルサイクラーの各々へ気体を輸送するための気体流導管、加圧気体を気体源から複数の単一容器サーマルサイクラーの各々へ提供するための気体流駆動装置、および気体流駆動装置を制御するための制御装置を含み、単一容器サーマルサイクラーは:
対流的に前記反応液を加熱または冷却するための、複数の受け入れ位置の各々に近接して配置された気体容器流ガイド;
気体流導管から気体容器流ガイドへ気体を輸送するための、気体流導管の少なくとも1つに連結された気体ヒーター流ガイド;
前記気体ヒーター流ガイドを通じて流動する気体を所望の温度に加熱または冷却するための、気体ヒーター流ガイド内に配置され、そして制御装置に電気的に連結された制御可能な発熱体;および
反応液を含む反応容器が受け入れ位置に設置される場合に、反応液への光および反応液からの蛍光シグナルを透過するための、光透過性領域
を含む、単一容器サーマルサイクラー。
【請求項14】
制御可能な発熱体によって加熱された気体が単一容器サーマルサイクラーから免れることができるように空隙を提供するために、気体容器流ガイドが、それぞれの受け入れ位置に設置された反応容器から空間的に分離された漏斗部を含む、請求項13記載の単一容器サーマルサイクラー。
【請求項15】
制御可能な発熱体の1つ以上および気体の温度を感知し、そして制御装置に温度データを提供する少なくとも1つの温度センサーをさらに含む、請求項13記載の単一容器サーマルサイクラー。
【請求項16】
各々の単一容器サーマルサイクラーの制御可能な発熱体への電流の量および電流の印加時間が制御装置によって独立して制御される、請求項13記載の単一容器サーマルサイクラー。
【請求項17】
光透過性領域が少なくとも1つの光ファイバーに光学的に連結される、請求項13記載の単一容器サーマルサイクラー。
【請求項18】
ランダムアクセス連続的ポリメラーゼ連鎖反応試験のための初期濃度の核酸(NA)を有する少なくとも1つの生物試料を調製するためのシステムであって、システムは:
少なくとも1つの生物試料からNAを磁気的に捕獲し、そして前記NAを水溶液中に懸濁するための核酸単離/精製器具;および
多容器サーマルサイクラーアレイをさらに含む、水溶液中の前記NAを変性、アニーリング、および伸長させるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験器具
を含み
多容器サーマルサイクラーアレイは、個別に温度制御可能な複数の単一容器サーマルサイクラーを有する、システム。
【請求項19】
多容器サーマルサイクラーアレイが:
気体源から気体を輸送するための気体流導管;
気体源から複数の単一容器サーマルサイクラーの各々へ加圧気体を提供するための気体流駆動装置;および
複数の単一容器サーマルサイクラーの各々の気体流駆動装置を制御するための制御装置
をさらに含む、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
多容器サーマルサイクラーアレイが、それによって制御装置が複数の単一容器サーマルサイクラーの選択された単一容器サーマルサイクラーの個別の温度を制御する気体温度モジュレーターをさらに含む、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
複数の単一容器サーマルサイクラーの各々が:
反応液を対流的に加熱または冷却するための、前記反応液を含む反応容器に近接して配置された気体容器流ガイド;
気体流導管から気体容器流ガイドへ気体を輸送するための、気体ヒーター流ガイド;
前記気体ヒーター流ガイドを通じて流動する気体を所望の温度に加熱または冷却するための、気体ヒーター流ガイド中に配置された制御可能な発熱体;および
反応液への光および反応液からの蛍光シグナルを透過するための、光透過性領域
を含む、請求項19記載のシステム。
【請求項22】
多容器サイクラーアレイの中の選択された単一容器サーマルサイクラーアレイ中の反応液から受けた蛍光シグナルに基づいて、少なくとも1つの生物試料中の核酸の初期濃度を算出するためのデバイスをさらに含む、請求項19記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−508813(P2010−508813A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535315(P2009−535315)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/023057
【国際公開番号】WO2008/057375
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【Fターム(参考)】