説明

ポリ(ビニリデンクロリド)層を含む複数層構造体

1つ以上のポリ(ビニリデンクロリド)層を含む複数層構造体および上記複数層構造体から製造された容器が提供される。一般的実施形態において、本開示は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む1つ以上のPVDC層を含む複数層構造体を提供する。上記複数層構造体は、上記PVDC層に付着させられた1つ以上の結合層をさらに含む。上記結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2007年5月9日に出願された米国特許出願第60/916,883号の利益を主張し、この米国特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本開示は、一般に、ポリマー構造体に関する。より具体的には、本開示は、ポリ(ビニリデンクロリド)層を含む複数層構造体に関する。
【0003】
ポリ(ビニリデンクロリド)(PVDC)は、種々のパッケージング適用のための同時押し出しフィルム構造体中のバリア層であった。同時押し出し構造体においてPVDCを利用する困難性のうちの1つは、上記PVDC層を他のポリマー物質に接着するために適切な結合層(tie layer)を見いだす。種々の結合層物質(例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)もしくはエチレンアクリル酸(EAA))は、非レトルト可能適用(non−retortable application)のためのPVDCを有する結合層として使用されてきた。しかし、レトルト適用に耐え得るPVDCのための結合層物質はほとんど存在しない。
【0004】
良好な結合層は、通常は、界面においてもつれ(entanglement)を作り出すために上記基質といくらか混和性を有するか、または化学的接着を作り出すために上記基質と化学反応性を有することが必要である。レトルト可能な適用のために、上記結合層物質は、例えば、121℃より高い温度での熱滅菌に耐えられるべきである。結合層物質(例えば、EVA、EMAおよびEAA)は全て、121℃より低い融点を有し、蒸気滅菌の間の機械的変形に耐えられることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示は、1つ以上のポリ(ビニリデンクロリド)層を含む複数層構造体および上記複数層構造体から作製された容器に関する。一般的実施形態において、本開示は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む1つ以上のPVDC層を含む複数層構造体を提供する。上記複数層構造体は、上記PVDC層に付着させられた1つ以上の結合層をさらに含む。
【0006】
上記結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含み得る。上記ポリエーテルポリエステルコポリマーは、ポリシクロヘキサンジメタノールシクロヘキサンジカルボン酸ポリエーテルコポリマー、ポリテトラメチレングリコールポリブチレンテレフタレートコポリマー、もしくはこれらの組み合わせであり得る。
【0007】
一実施形態において、上記エチレンコポリマーは、エチレンと、(i)ビニルカルボン酸エステル、または(ii)不飽和カルボン酸もしくはそのエステルとのコポリマーを含む。別の実施形態において、上記アミン反応性官能基は、カルボン酸無水物残基およびエポキシ基から選択される。
【0008】
一実施形態において、上記複数層構造体は、上記PVDC層および上記結合層から本質的になる。別の実施形態において、上記複数層構造体は、第2の層をさらに含み、上記結合層は、上記PVDC層と上記第2の層との間に配置される。上記第2の層は、熱シール可能であり得る。上記第2の層はまた、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、およびポリエチレンコポリマーから選択されるポリマーを含み得る。
【0009】
一実施形態において、上記複数層構造体は、上記PVDC層に、上記結合層から遠い方のその側面上に付着させられた皮膜層(skin layer)をさらに含む。上記皮膜層は、ポリエステルポリエーテルコポリマーを含み得る。
【0010】
一実施形態において、上記複数層構造体は、上記結合層から遠い方の上記PVDC層の側面上に配置される第3の層をさらに含む。上記第3の層は、ビニルクロリド含有ポリマーを実質的に含み得ず、かつ第2の結合層によって上記PVDC層に付着させられ得る。
【0011】
一実施形態において、上記結合層は、ポリアミドおよびマレイン酸無水物修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマーのブレンドを含む。別の実施形態において、上記結合層は、ポリアミド、およびエチレンと、ビニルアセテート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびアクリル酸からなる群より選択される成分とのエポキシ含有コポリマーのブレンドを含む。代替の実施形態において、上記結合層は、ポリアミドおよびエチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレートターポリマーのブレンドを含む。
【0012】
別の実施形態において、本開示は、皮膜層および上記皮膜層に付着させられたPVDC層を含む複数層構造体を提供する。上記PVDC層は、上記熱シール層に付着させられた、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分から本質的になる。上記複数層構造体は、上記PVDC層に付着させられた結合層および上記結合層に付着させられた熱シール層をさらに含む。上記結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む。
【0013】
代替の実施形態において、本開示は、上記構造体の第1の表面にある皮膜層および上記皮膜層に付着させられる、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含むPVDC層を含む複数層構造体を提供する。上記複数層構造体は、上記PVDC層の少なくとも一方の側面に付着させられた1つ以上の結合層、および上記第1の表面の上記皮膜層の反対側の第2の表面にある熱シール層をさらに含む。上記結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む。
【0014】
一実施形態において、上記複数層構造体は、上記PVDC層の一方の側面に付着させられた1つの結合層および上記PVDC層の反対の側面に付着させられた1つの結合層をさらに含む。上記結合層および上記PVDC層は、上記皮膜層と上記熱シール層との間に配置され得る。
【0015】
一実施形態において、上記複数層構造体は、上記PVDC層の一方の側面に付着させられた1つの結合層および上記PVDC層の反対の側面に付着させられた2つの隣接する結合層をさらに含む。上記結合層および上記PVDC層は、上記皮膜層と上記熱シール層との間に配置され得る。
【0016】
一実施形態において、上記複数層構造体は、上記PVDC層の一方の側面に付着させられた2つの隣接する結合層および上記PVDC層の反対の側面に付着させられた2つの隣接する結合層をさらに含む。上記結合層および上記PVDC層は、上記皮膜層と上記熱シール層との間に配置され得る。
【0017】
なお別の実施形態において、本開示は、一部分は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む少なくとも1つのPVDC層、ならびに上記PVDC層に付着させられた結合層を含む複数層フィルムによって規定された本体を含む容器を提供する。上記結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む。
【0018】
本開示の利点は、ポリ(ビニリデンクロリド)層を有する改善されたフィルムを提供することである。
【0019】
本開示の別の利点は、ポリ(ビニリデンクロリド)層を有するフィルムのための改善された結合層を提供することである。
【0020】
本開示のさらに別の利点は、ポリ(ビニリデンクロリド)層を有する複数層構造体から製造された改善された容器を提供することである。
【0021】
さらなる特徴および利点は、本明細書に記載されており、以下の詳細な説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本開示の一実施形態における2層構造体の断面図である。
【図2】図2は、本開示の一実施形態における3層構造体の断面図である。
【図3】図3は、本開示の一実施形態における4層構造体の断面図である。
【図4】図4は、本開示の一実施形態における5層構造体の断面図である。
【図5】図5は、本開示の一実施形態における6層構造体の断面図である。
【図6】図6は、本開示の一実施形態における7層構造体の断面図である。
【図7】図7は、本開示の一実施形態における複数層構造体から製作される容器を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本開示は、1つ以上のポリ(ビニリデンクロリド)層を含む複数層構造体に関する。上記複数層構造体は、上記複数層構造体から製造される医療用溶液の容器を製作するための同時押し出しプロセスに適切であり得る。上記複数層構造体はまた、例えば、約121℃の温度において、湿性熱滅菌(moist heat sterilization)に耐えることができる。
【0024】
図1に示される一般的実施形態において、本開示は、結合層12に付着させられたPVDC層10を含む2層構造体を提供する。上記PVDC層10は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む。別の実施形態において、上記PVDC層10は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分から本質的になる。上記結合層12は、以下の成分:(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、ならびに(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、のうちの1種以上を含む。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「付着させられる」とは、直接的にもしくは間接的に付着させられることを意味する。例えば、上記PVDC層は、上記結合層に直接的に付着させられ得るか、または上記結合層に、1つ以上の中間層の手段を介して、間接的に付着させられ得る。
【0026】
上記ポリエーテルポリエステルコポリマーの例としては、ECDEL(登録商標)の商品名の下でEastman Chemicalsによって販売されているポリシクロヘキサンジメタノールシクロヘキサンジカルボン酸ポリエーテルコポリマー(PCCE)が挙げられ得る。上記ポリエーテルポリエステルコポリマーの別の例としては、HYTREL(登録商標)の商品名の下でDuPont Co.から販売されているポリテトラメチレンオキシドテレフタレートコポリマーであり得る。ポリウレタンの例としては、DESMOPANE(登録商標)もしくはTEXIN(登録商標)の商品名の下でBayerによって、またはPELLETHANE(登録商標)の商品名の下でDow Chemicalsによって、販売されるポリエーテルウレタンであり得る。全てのこれら物質は、代表的な蒸気滅菌温度より高い融解温度、およびPVDCに接着する見込みを有しかつ蒸気滅菌に耐えるいくらかの極性特性を有する。
【0027】
EVAは、結合層としてのPVDCに対する良好な接着を作り出すが、低い融解温度を欠点としてもつので、EVAに対してより高い融解点物質を化学的に融合させる(graft)ことは、EVAの温度抵抗性をもたらすために有用であり得る。マレイン酸無水物修飾EVAは、アミン官能基を有するポリマーと反応し得る。残余のアミン末端基を有しかつ120℃より高い融解温度を有するポリアミドは、EVA上に融合させて、これを蒸気滅菌に耐えるように補助する見込みを有する。マレイン酸無水物修飾EVAの例としては、BYNEL(登録商標)の商品名の下でDuPont Co.によって販売されるものが挙げられる。ポリアミドの例としては、MACROMELT(登録商標) 6900Bが挙げられ、これは、高レベルのアミン末端基および約120℃の融解点を有する。
【0028】
さらに別の実施形態において、上記結合層物質は、1)EVA、EMA、またはEAAのエポキシ含有コポリマー、および2)ポリアミドから作製されるポリマーブレンドから製造される。アミン反応に対する上記マレイン酸無水物と同様に、エポキシ基はまた、アミン官能基に対して反応し得る。従って、エチレン/メタクリレート/グリシジルメタクリレートコポリマーはまた、PVDC結合層適用のための、EVA/ポリアミドアロイ中のマレイン酸無水物修飾EVAに対する代替であり得る。エポキシ基を含むコポリマーの例としては、LOTADER(登録商標) 8920が挙げられる。
【0029】
図2に示される別の実施形態において、本開示は、結合層22に対して一方の側面上に付着させられたPVDC層20および上記結合層22に対して反対の側面上に付着させられた熱シール層24を含む3層構造体を提供する。上記3層構造体の別の実施形態において、層20は、皮膜層であり、層22は、PVDC層であり、そして層24は、結合物質(例えば、マレイン酸化EVA/PPおよびPA)を有する熱シール層である。
【0030】
本開示の代替の実施形態における上記皮膜層は、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリアミド、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、コポリエステルエーテルブロックコポリマー、またはこれらの組み合わせを含み得る。本開示の実施形態における上記皮膜層は、ポリエーテルポリエステルコポリマー(例えば、ポリシクロヘキサンジメタノールシクロヘキサンジカルボン酸ポリエーテルコポリマー、ポリテトラメチレングリコールポリブチレンテレフタレートコポリマー、およびこれらの組み合わせ)から製造され得る。本開示の代替の実施形態における上記結合層は、以下の成分:(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、ならびに(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、のうちの1つ以上を含み得る。
【0031】
本開示の代替の実施形態における上記熱シール層は、1種以上のプロピレン含有ポリマーを含み得る。適切なプロピレン含有ポリマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマー、ならびにプロピレンと2〜約18個の炭素を有するα−オレフィンから選択される1種以上のコモノマーとのコポリマーおよびターポリマーからなる群より選択されるものが挙げられる。適切なポリプロピレンコポリマーおよびターポリマーとしては、ランダムもしくはブロックプロピレンおよびエチレンコポリマーまたはランダムもしくはブロックプロピレン/エチレン/ブテンターポリマーが挙げられる。上記熱シール層は、任意のさらなる成分(例えば、EVA)をさらに含み得る。
【0032】
図3に示される代替の実施形態において、本開示は、皮膜層30、上記皮膜層30に付着させられたPVDC層32、上記PVDC層32に付着させられた結合層34および上記結合層34に付着させられた熱シール層36を含む4層構造体を提供する。
【0033】
図4に示されるさらに別の実施形態において、本開示は、皮膜層40、上記皮膜層40に付着させられたPVDC層42、上記PVDC層42に付着させられた第1の結合層、上記第1の結合層44に付着させられた第2の結合層46および上記第2の結合層46に付着させられた熱シール層48を含む5層構造体を提供する。上記5層構造体の代替の実施形態において、層40は、皮膜層であり、層42は、上記皮膜層40に付着させられた第1の結合層であり、層44は、上記第1の結合層42に付着させられたPVDC層であり、層46は、上記PVDC層44に付着させられた第2の結合層であり、層48は、上記第2の結合層46に付着させられた熱シール層である。
【0034】
図5に示される別の実施形態において、本開示は、皮膜層50、上記皮膜層50に付着させられた第1の結合層52、上記第1の結合層52に付着させられたPVDC層54、上記PVDC層54に付着させられた第2の結合層56、上記第2の結合層56に付着させられた第3の結合層58および上記第3の結合層58に付着させられた熱シール層60を含む6層構造体を提供する。
【0035】
図6に示される代替の実施形態において、本開示は、皮膜層70、上記皮膜層70に付着させられた第1の結合層72、上記第1の結合層72に付着させられた第2の結合層74、上記第2の結合層74に付着させられたPVDC層76、上記PVDC層76に付着させられた第3の結合層78、上記第3の結合層78に付着させられた第4の結合層80および上記第4の結合層80に付着させられた熱シール層82を含む7層構造体を提供する。
【0036】
上記複数層構造体は、任意の適切なプロセスを使用して製造され得る。例えば、上記複数層化構造体は、同時押し出しフィルムプロセスを使用して製造され得る。上記同時押し出しプロセスは、機械的特性ならびに物理的/化学的特性(例えば、耐衝撃性もしくは水分/酸素バリア性能)に対して望ましいもしくは必要とされる技術的要件を満たすフィルムを生成するために、異なる物質層(例えば、2〜7)の適切な組み合わせを提供し得る。上記層はまた、任意の適切な厚み(例えば、約0.2mm〜約3.0mm厚の範囲に及ぶ)を有し得る。
【0037】
本開示の実施形態における上記複数層構造体は、任意の適切な容器(例えば、薬学的/医学的化合物もしくは溶液のような物質を保持するために使用される)を製造するために使用され得る。図7に示される実施形態において、本開示は、流体チャンバを規定するために第1の側壁102および周囲シーム104と一緒にシールされる上記第1の側壁の反対側の第2の側壁(示さず)を含む容器100を提供する。上記容器100は、上記容器100の内容を満たすおよび空にするために使用される1つ以上のポートチューブ106および108を含み得る。上記側壁のうちの任意の1つ以上は、上記に示される上記複数層化構造体のいずれかから製造され得る。
【0038】
一実施形態において、上記容器の第1の側壁および/もしくは第2の側壁または上記容器の壁の任意の適切な部分は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む少なくとも1つのPVDC層、ならびに上記PVDC層に付着させられた結合層を含む複数層フィルムから製造される。上記結合層は、以下の成分:(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタンおよび(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンドのうちの1つ以上を含み得る。
【実施例】
【0039】
例示であるが限定ではなく、以下の実施例は、本開示の種々の実施形態の例示である。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

本明細書に記載される現在好ましい実施形態に対する種々の変更および改変が当業者に明らかであることは、理解されるべきである。このような変更および改変は、本発明の事項の趣旨および範囲から逸脱することなく、かつその意図された利点を低下させることなく、行われ得る。従って、このような変更および改変が、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層構造体であって、
ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、少なくとも1つのPVDC層;ならびに
該PVDC層に付着させられた、結合層であって、該結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、結合層、
を含む、複数層構造体。
【請求項2】
前記エチレンコポリマーは、エチレンと、(i)ビニルカルボン酸エステル、または(ii)不飽和カルボン酸もしくはそのエステルとのコポリマーを含む、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項3】
前記アミン反応性官能基は、カルボン酸無水物残基、エポキシ基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項4】
前記構造体は、前記PVDC層および前記結合層から本質的になる、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項5】
第2の層をさらに含む、請求項1に記載の複数層構造体であって、前記結合層は、前記PVDC層と、該第2の層との間に配置される、複数層構造体。
【請求項6】
前記第2の層は、熱シール可能である、請求項5に記載の複数層構造体。
【請求項7】
前記第2の層は、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンコポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項5に記載の複数層構造体。
【請求項8】
前記PVDC層に付着させられた皮膜層を、前記結合層と隔てた該PVDC層の側面上にさらに含む、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項9】
前記皮膜層は、ポリエステルポリエーテルコポリマーを含む、請求項8に記載の複数層構造体。
【請求項10】
前記結合層と隔てた前記PVDC層の側面上に配置された第3の層をさらに含み、該第3の層は、ビニルクロリド含有ポリマーを実質的に含まずかつ第2の結合層によって該PVDC層に付着させられている、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項11】
前記ポリエーテルポリエステルコポリマーは、ポリシクロヘキサンジメタノールシクロヘキサンジカルボン酸ポリエーテルコポリマー、ポリテトラメチレングリコールポリブチレンテレフタレートコポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項12】
前記結合層は、ポリアミドおよびマレイン酸無水物修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマーのブレンドを含む、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項13】
前記結合層は、ポリアミド、およびエチレンと、ビニルアセテート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびアクリル酸からなる群より選択される成分とのエポキシ含有コポリマーのブレンドを含む、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項14】
前記結合層は、ポリアミド、およびエチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレートターポリマーのブレンドを含む、請求項1に記載の複数層構造体。
【請求項15】
複数層構造体であって、
皮膜層;
該皮膜層に付着させられたPVDC層であって、該PVDC層は、熱シール層に付着させられたポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、PVDC層;
該PVDC層に付着させられた結合層であって、該結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、結合層;ならびに
該結合層に付着させられた熱シール層、
を含む、複数層結合体。
【請求項16】
第1の表面および第2の表面を有する複数層構造体であって、該複数層構造体は、
該構造体の該第1の表面にある皮膜層;
該皮膜層に付着させられた、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含むPVDC層;
該PVDC層の少なくとも一方の面に付着させられた少なくとも1つの結合層であって、該結合層は、(a) ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、結合層;ならびに
該第1の表面の反対側にある第2の表面にある熱シール層、
を含む、複数層構造体。
【請求項17】
前記PVDC層の一方の側面に付着させられた1つの結合層および該PVDC層の反対の側面に付着させられた1つの結合層を含み、該結合層および該PVDC層は、前記皮膜層と前記熱シール層との間に配置されている、請求項16に記載の複数層構造体。
【請求項18】
前記PVDC層の一方の側面に付着させられた1つの結合層および該PVDC層の反対の側面に付着させられた2つの隣接する結合層を含み、該結合層および該PVDC層は、前記皮膜層と前記熱シール層との間に配置される、請求項16に記載の複数層構造体。
【請求項19】
前記PVDC層の一方の側面に付着させられた2つの隣接する結合層および該PVDC層の反対の側面に付着させられた2つの隣接する結合層を含み、該結合層および該PVDC層は、前記皮膜層と前記熱シール層との間に配置される、請求項16に記載の複数層構造体。
【請求項20】
一部は、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む少なくとも1つのPVDC層、ならびに該PVDC層に付着させられた結合層を含む複数層フィルムによって規定される本体を備える容器であって、
該結合層は、(a)ポリエーテルポリエステルコポリマー、(b)約121℃より高い融解温度を有するポリウレタン、(c)ポリアミドおよびアミン反応性官能基を含むエチレンコポリマーを含むブレンド、ならびにこれらの組み合わせから選択される成分を含む、
容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−526689(P2010−526689A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507696(P2010−507696)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/063248
【国際公開番号】WO2008/141184
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】