説明

ポロ様キナーゼ阻害剤

本発明は、一般的に、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドおよびA形の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドを調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、化学合成および特定の多形に関する。
【背景技術】
【0002】
キナーゼは、それらの標的タンパク質のリン酸化によって多種多様なシグナル伝達過程を制御する役割を果たしている。キナーゼに制御される過程には、増殖、成長、分化、代謝、細胞周期事象、アポトーシス、運動性、転写、および翻訳が含まれる。キナーゼは、直接的もしくは間接的に、標的タンパク質の活性を、活性化する、不活性化する、あるいは調節するように機能し得る。これらの標的タンパク質には、例えば、代謝酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネル、またはポンプ、あるいは転写因子が含まれ得る。
【0003】
ポロ様キナーゼ(PLK1、PLK2、PLK3、およびPLK4などのPLK)は、細胞周期の制御に関わるセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。哺乳動物細胞では、有糸分裂期間中にPLK1のレベルが増大する。PLKの標的タンパク質には、サイクリンB、有糸分裂紡錘体のコヒーシンサブユニット、後期促進複合体のサブユニット、および哺乳動物のキネシン様タンパク質1、ならびに他のモータータンパク質が含まれる。PLK1は、細胞分裂過程に関わるCDK1の活性化を導くCdc25Cのリン酸化および活性化を介したCDKの制御における役割を有する。4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドは、PLK、特に、PLK1の阻害剤である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドを合成する方法を提供し、該方法には、
a)式(1)
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、Xは適切な脱離基である]
の化合物を、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸と反応させて、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸を得る工程;
【0007】
b)4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸を式(2)
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、Gは適切な活性化基である。]
の化合物に任意に転換する工程;および
【0010】
c)4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸または式(2)の化合物を、1−メチルピペリジン−4−アミンとカップリングさせる工程が含まれる。
【0011】
また、本発明は、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドのA形多形体を合成する方法も提供し、これには、溶媒から4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドを結晶化させることが含まれる。
【0012】
本明細書中で用いる場合、「A形」とは、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形のことをいう。
【0013】
また、本発明は医薬組成物も提供し、これには、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形および医薬的に許容される賦形剤が含まれる。
【0014】
本発明は、PLKに関連した病態を治療する方法を提供し、これには、有効量の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形を、これを必要とする患者に投与することが含まれる。さらに、本発明は、PLKに関連した病態の治療用薬剤を製造するためのA形の用途を提供する。
【0015】
また、本発明は製品も提供し、これには、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形およびラベルが含まれる。また、少なくとも1つの4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形、ラベル、およびこの阻害剤を投与するための装置を含むキットも提供する。
【0016】
本発明の方法のための一般的な合成手順をスキームAに示す。すべての置換基は、特に明記しない限り、前記で定義したとおりである。スキームAの生成物は、抽出、蒸発、沈澱、クロマトグラフィー、結晶化、粉砕等を含む従来法で回収することができる。
【0017】
【化3】

【0018】
スキームA、工程aは、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸を得るための、式(1)の化合物と4−アミノ−3−メトキシ安息香酸との反応を表す。式(1)の化合物は、Xが適切な脱離基であるものである。適切な脱離基は、アルキル化条件下(例えば、クロロ、ブロモ、ヨードなどのハロゲン類;トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メシルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、およびノシルオキシなどのスルホニルオキシ基類;など)で置換することができる。例えば、該反応は、エタノール、イソプロパノール、およびt−ブタノールを含む低級アルコール類などの適切な溶媒中で実行される。該反応は、通常、塩酸水または硫酸水などの酸の存在下で実行される。このような反応は、通常、約60℃から選択した溶媒の還流温度までの温度で行われ、典型的には12〜72時間を要する。
【0019】
スキームA、工程bは、式(2)の化合物を得るための、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸の任意の反応を表す。式(2)の化合物は、Gが適切な活性化基であるものである。このような基は当技術分野で周知であり、これには、クロロおよびブロモなどのハロゲン類、イミダゾールおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを含む複素環類、無水物または混合無水物(例、ギ酸または酢酸との)などの活性化基が含まれる。例えば、この反応は、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、THFなどの溶媒中で行われる。この反応は、典型的には、0℃から選択した溶媒の還流温度までの温度で行われ、典型的には1〜15時間を要する。
【0020】
スキームA、工程cは、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドを得るための、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸または式(2)の化合物と1−メチルピペリジン−4−アミンとのカップリングを表す。アミドを形成するこのようなカップリング反応は、当技術分野で周知である。標準的なアミド形成条件には、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート メタンアミニウム(HATU)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩 EDCI)などのペプチドカップリング剤の使用が含まれる。必要または所望の場合には、該反応を促進するために、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの添加剤を用いてもよい。あるいは、酸ハライド、無水物、混合無水物、または他の活性化基の使用を含む、他のアシル化条件を適用してもよい。このような反応は、通常、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、THFなどの適切な溶媒中でN−メチルモルホリンまたはトリエチルアミンなどの塩基を用いて行われ、典型的には−20℃〜80℃の温度で行われ、典型的には2〜48時間を要する。
【0021】
また、本発明は、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドのA形多形体を合成する方法も提供し、これには、溶媒から4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドを結晶化させることが含まれる。
【0022】
A形の形成は、大部分は溶媒に非感受性である。適切な溶媒には、C2−4アルキルニトリル、C1−2ハロカーボン類、C3−7アルキルアセテート、C1−6アルコール、C2−8エーテル、C3−7アルカノン、C6−9芳香族炭化水素類、およびC3−5N,N−ジメチルカルボキサミドが含まれる。選択される溶媒には、逆溶媒類、すなわち、化合物がその溶媒中で結晶化溶媒中より溶解しにくい溶媒または溶媒類が含まれてもよい。本明細書中で用いる場合、「C2−4アルキルニトリル」という用語は、ニトリルを有し、かつ合計で2〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル鎖(例えば、アセトニトリルおよびプロピオニトリル)のことをいい;「C1−2ハロカーボン類」という用語は、ジクロロメタンなど、1〜2個の炭素からのハロゲン化アルカン類のことをいい;「C3−7アルキルアセテート」という用語は、合計で3〜7個の炭素を有する酢酸の直鎖状または分枝状のアルキルエステルのことをいい;「C1−6アルコール」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1,3−プロパンジオールなどのことをいい;「C2−8エーテル」という用語は、合計で2〜8個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルエーテル類、例えば、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、THF、ジオキサンなどのことをいい;「C6−9芳香族炭化水素類」という用語は、ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼン、例えば、トルエン、キシレンなどのことをいい;「C3−5N,N−ジメチルカルボキサミド類」という用語は、C1−3カルボン酸のN,N−ジメチルアミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのことをいい;「C3−7アルカノン類」という用語は、オキソ基を有し、合計で3〜7個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル鎖、例えば、アセトンおよびメチルエチルケトンのことをいう。
【0023】
「結晶化させる」、「結晶化させること」、および「結晶化」という用語は、完全溶解の後に沈澱が続くこと、および完全溶解を含まないスラリー工程をいうと解される。
【0024】
例えば、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、溶媒から結晶化する。この温度は、約40℃から選択した溶媒の還流温度までの範囲であってよく、通常は115℃より低い。結晶化が完全溶解を含む場合には、冷却速度は重要ではないが、徐冷が好ましい。スラリー処理を用いてもよい。該溶媒は、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形がいくらか可溶性なものであるべきである。溶媒の量は、重要ではないが、便宜上、最少量にしておくべきである。任意に、この結晶化は、A形を用いてシーディングしてもよい。本発明の方法に従ってA形4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、実質的に純粋な形で調製することができる。「実質的に純粋な」という用語は、90%を超える、好ましくは97%を超える、より好ましくは99%を超える多形純度のことをいう。
【0025】
X線回折によってA形を特徴づけすることができる。銅源、一次ビームモノクロメーター、および位置感受性検出器を備えた粉末回折計を用いてピークを測定した。1°発散スリットを用いて入射ビームの視準を合わせた。光源は、40kVおよび30mAで作動させた。X線粉末回折データを、0.04°ずつの幅で、3°から45°まで収集した。回折計をシリコン標準でよく調整した。A形が以下のピーク(°2θ)(2桁の有効数字(相対強度)に四捨五入)を有することが見出された:24.89(65%)、21.78(100%)、20.87(39%)、20.35(41%)、18.70(50%)、16.40(31%)、15.75(29%)、および9.14(48%)。4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、24.89、21.78、20.87、20.35、18.70、16.40、15.75、または9.14°2θのピークを特徴とする。あるいは、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、24.89および21.78;21.78および20.87;21.78および20.35;21.78および18.70;21.78および16.40;21.78および15.75;ならびに21.78および9.14°2θのピークを特徴とする。別の実施形態では、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、24.89、21.78、および20.35;24.89、21.78、および18.70;24.89、21.78、および16.40;24.89、21.78、および15.75;ならびに24.89、21.78、および9.14°2θのピークを特徴とする。さらに別の実施形態では、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、24.89、21.78、20.35、および9.14;24.89、21.78、18.70、および9.14;24.89、21.78、16.40、および9.14;24.89、21.78、15.75、および9.14;°2θのピークを特徴とする。
【0026】
X線回折ピークの相対強度が好ましい配向性および他の因子に依存し得ることが知られる。したがって、A形の試料には、めのう乳鉢および乳棒または他の手段で試料をすりつぶすなど、このような要因を緩和するための処理を要することもある。
【0027】
また、示差走査熱量測定によってもA形を特徴づけすることができる。A形の温度記録は、約241.1〜241.2℃で単一の吸熱事象を示し、融解物と一致した。
【実施例】
【0028】
本発明がより完全に理解されるために、上記の方法を下記に例証する。これらの実施例は単に例示するためのものと解され、いかなる形であっても本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
準備1:3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸エチル
【0030】
H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール(51.0g、0.342mol)を丸底フラスコに量り入れ、EtOH(800mL)中に可溶化した。これを急速に攪拌している溶液に、ジベンジルアミン(67.5g、0.342mol)を(5分間にわたり)ゆっくりと添加した。添加開始直後に、白色の沈殿物の形成が観察された。この溶液を、放置して24時間攪拌した。この時点で、反応が完了したとNMRによって判断される(LCMSにおける生成物フラグメントがベンゾトリアゾールのみを示す)。溶媒の大部分をロトバップで除去し、残渣にジエチルエーテル(1L)を激しく攪拌しながら添加した。混合物を濾過し、濾過物をエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、N−(ジベンジルアミノメチル)ベンゾトリアゾールを綿状の白色固体として得た(112g、収率4分の1)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ ppm 3.80 (s, 4H) 5.48 (s, 2H) 7.21 (d, J=8.34 Hz, 1H) 7.34-7.43 (m, 11H) 7.49 (d, 1H) 8.09 (d, J=7.83 Hz, 1H)。
【0031】
アルゴン雰囲気下で攪拌した、乾燥THF(75mL)中の亜鉛末(2.7g、41.6mmol)の懸濁液に、クロロトリメチルシラン(2.63mL、20.8mmol)を添加し、10分後に、エチルジブロモフルオロアセタート(3.92g、20.8mmol)を添加した。10分後、わずかな発熱が検出された。反応物を1時間放置して活性化させ、その後、氷浴中で冷却して、THF(50mL)中のN−(ジベンジルアミノメチル)ベンゾトリアゾール(6.83g、20.8mmol)の溶液を(30分間にわたり)滴下し、次いで、反応混合物を室温まで昇温させた。室温で18時間後、NaHCO3(飽和、50mL)を添加し、20分間攪拌させて、反応物をセライト上で濾過し、フィルターパッドをEtOAcで洗浄した。層を分離して、水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせて1N HCl(70mL)、食塩水(70mL)で洗浄し、次いで、MgSOで乾燥した。溶媒を留去した後に、残渣を、急速攪拌下のエーテル(100mL)に注入し;形成した固体を濾去して処分した。濾液からエーテルを留去し、暗黄色シロップ状物質を得た。この粗製残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc:ヘキサン)で精製して、3−(ジベンジルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチルを透明な液体として得た(3.6g、収率50%)。CDCl3中の1H NMR: (400 MHz) δ ppm 1.18 (t, J=7.07 Hz, 3H) 3.14 (t, J=13.26 Hz, 2H) 3.69 (s, 4H) 4.14 (q, J=7.16 Hz, 2H) 7.14-7.33 (m, 10H). [M+H]C19H21F2NO2の計算値334;実測値334。
【0032】
丸底フラスコ中で、3−(ジベンジルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(1.72g、5.2mmol)をEtOH(25mL)中に可溶化して、TFA(0.4mL、5.5mmol)を添加した。窒素雰囲気下で、Pd(OH)/C(170mgの20重量%Pd、湿性)を添加した。反応混合物を、窒素で繰り返しパージして、次いで、水素下に一晩放置した。この時点でLCMSにより反応が完了したと判断され、反応物をセライトのパッドを通して濾過し、パッドをEtOHで洗浄し、濾液を加熱せずに濃縮して、3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸エチルを、そのTFA塩として、静置により結晶化し始める霧がかったシロップ状物質として得た(1.31g、収率94%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.29 (t, J=7.20 Hz, 3H) 3.72 (t, J=16.17 Hz, 2H) 4.34 (q, J=7.24 Hz, 2H). [M+H] C5H9F2NO2の計算値154;実測値154。
【0033】
準備2:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸
【0034】
丸底フラスコ中で、3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸(500mg、4mmol)をMeOH(10mL)中に可溶化した。0℃で、SOCl(1mL)を滴下した。次いで、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を蒸発させることによって、3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸メチルを、そのHCL塩として、白色固体として得た(570mg、81%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 3.63 (t, J=16 Hz, 2H) 3.87 (s, 3H) 9.07 (br. s., 2H)。
【0035】
丸底フラスコに、3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸メチル(570mg、3.24mmol)、THF(20mL)、シクロペンタノン(0.433mL、4.87mmol)、およびHOAc(1mL)を入れた。この混合物に、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(1.06g、5mmol)を少しずつ添加した。反応物を一晩放置攪拌した。次いで、これを、氷、NaHCO(飽和)、およびEtOAcの攪拌溶液にゆっくりと添加した。水層をEtOAcでさらに抽出し、有機抽出物を合わせて、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、3−(シクロペンチルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸メチルを透明なシロップ状物質として得た(400mg、60%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.30 (td, J=13, 6 Hz, 2H) 1.43 (d, J=8 Hz, 1H) 1.47-1.70 (m, 4H) 1.77 (dt, J=12, 6 Hz, 2H) 3.12 (t, J=6 Hz, 1H) 3.19 (t, J=14 Hz, 2H) 3.88 (s, 3H)。
【0036】
化合物3−(シクロペンチルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸メチル(400mg、2mmol)をアセトン(20mL、乾燥)中に可溶化した。この溶液を窒素雰囲気下で氷水浴中で冷却し、KCO(552mg、4mmol)を添加した。これに、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(407mg、2.1mmol)のアセトン(5mL、乾燥)溶液を滴下した。反応混合物を室温まで昇温させ、4時間攪拌した。その後、これをEtOAcで希釈して、食塩水および水で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)(シクロペンチル)アミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸メチルを得、これをさらに精製することなく次の工程で直接使用した。[M+H] C13H15ClF2N4O4の計算値365;実測値365。
【0037】
3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)(シクロペンチル)アミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸メチルをAcOH(10mL)に溶解した。鉄粉(224mg、4mmol)を添加し、次いで、HCl(1.5mL、濃)をゆっくりと添加した。この反応混合物を60℃で1時間放置攪拌した。次いで、反応物を冷却し、攪拌棒および未反応の鉄を、紙を通して濾去して、ロトバップにより溶媒量を約75%減少させた。次いで、混合物を氷水およびEtOAcで希釈した。飽和NaHCOを注意深く添加することによって水層を塩基性にした。有機抽出物を合わせて、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オンを茶色シロップ状物質(550mg)として得、これをさらに精製することなく次の工程で直接使用した。[M+H] C12H13ClF2N4Oの計算値303;実測値303。
【0038】
2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オン(550mg、1.82mmol)をDMA(10mL)に溶解して、氷浴中で冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中60%を80mg、2mmol)をゆっくりと添加して、10分間放置攪拌した。次いで、ヨウ化メチル(0.125mL、2mmol)を添加して、反応混合物を室温まで加温した。30分後、反応が完了したとLCMSによってみなされ、反応物を氷水に注入し、溶液をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水および水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して、2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オンを茶色残渣として得、これを次の工程で直接使用した。[M+H] C13H15ClF2N4Oの計算値317;実測値317。
【0039】
(上記で得た)2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オン、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸(334mg、2mmol)、i−PrOH(10mL)、および濃HCl(10滴)を一晩100℃に加熱した。次いで、この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して、MeOH中に再溶解し、NaOHで処理して、1時間還流した。その後、これを濃縮し、HClで酸性化して、濾過し、褐色固体として標記を得た(300mg)。[M+H] C21H23F2N5O4の計算値448;実測値448。
【0040】
実施例1:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0041】
【化4】

【0042】
3−(ジベンジルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(241g、0.72mol)をEtOH(1L)に溶解し、次いで、20%Pd(OH)/C(24g)およびトリフルオロ酢酸(60mL、0.78mol)を添加した。この容器を水素で繰り返し3回パージした後、水素(60psi、413kP)下に置いて一晩振盪した。混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、エタノールで洗浄し、濾液を加熱せずに濃縮して、ほんのわずかなエタノールを含んだ200gの化合物3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸エチルを得た。
【0043】
3−アミノ−2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(401g、1.5mol)、シクロペンタノン(140mL、1.575mol)、および酢酸ナトリウム(123g、1.5mol)のTHF(6.5L)溶液に、NaBH(OAc)(477g、2.25mol)を、氷浴中で40分間にわたって少しずつ添加した。得られた混合物を、室温で一晩激しく攪拌した。混合物を、氷塩浴中で冷却した、氷(3300mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水(3300mL)、および酢酸エチル(3300mL)の攪拌溶液に30分間にわたってゆっくりと添加した。ここで、層を分離して、浴中で冷却しながら25%NaOH水を添加することによって水層のpHを11までさらに調整した。水層を酢酸エチル(3.5L×2)で抽出し、すべての有機相を合わせて、冷却した飽和NaHCO(1.5L×2)、食塩水(1.5L)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、280gの3−(シクロペンチルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチルを得た。
【0044】
12Lの三つ口フラスコに、3−(シクロペンチルアミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(268g、1.21mol)、およびアセトン(2.7L)を入れて、この溶液を氷塩浴中で冷却した。次いで、炭酸カリウム(337g、2.44mol)を添加し、続いて、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(260g、1.34mol)のアセトン(1.3L)溶液を1時間にわたって添加した。得られた混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、一晩攪拌して、これをLC−MSによってモニターした。溶媒を回転エバポレーターで除去して、得られた残渣を水(2L)および酢酸エチル(2L)に再溶解した。分離した後に、水層を酢酸エチル(2L×2)で抽出して、すべての有機抽出物を合わせて、水(2L)、食塩水(2L)で洗浄して、MgSOで乾燥し、濃縮した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1、15/1、次いで10/1で溶出)で精製して、289gの化合物3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)(シクロペンチル)アミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチルを得た。
【0045】
氷浴中の3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)(シクロペンチル)アミノ)−2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(289g、0.763mol)の酢酸(1.75L)溶液に、鉄粉(86g、1.53mol)を添加し、続いて、濃HCl(435mL)を30分間にわたって添加した。得られた混合物を氷浴中で10分間攪拌し続けて、次いで、加熱マントルに移して60℃に加熱し、これをLC−MSによってモニターした。5時間後、混合物を約75%濃縮して、残渣を3.5Lの氷水および3.5Lの酢酸エチルに注入した。分離した後に、水層を酢酸エチル(4L×2)で抽出して、すべての有機抽出物を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム(2.5L)、食塩水(2.5L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(420mL)およびジエチルエーテル(3L)で粉砕して、169gの化合物2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オンを得た。
【0046】
2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オン(100g、0.33mol)を、DMA(700mL)に溶解し、窒素下の氷浴中で冷却した。NaH(14.35g、鉱油中で60%、0.363mol)を20分間にわたって少しずつ添加して、得られた混合物を氷浴中で10分間攪拌し続けた。次いで、ヨードメタン(21mL、0.363mol)を氷浴中で10分間にわたって添加して、混合物を氷浴中で10分間攪拌し、次いで、室温まで昇温させ、1時間攪拌した。混合物を氷水(2.5L)に注入し、得られた固体を濾過して、水で洗浄し、乾燥して、98gの2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オンを得た。
【0047】
i−PrOH(1.05L)および濃HCl(30mL)中の2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オン(98g、0.31mol)、3−メトキシ−4−アミノ安息香酸(57g、0.341mol)の混合物を1日間加熱還流した。この混合物を室温まで冷却し、固体を濾過して、イソプロパノールで洗浄し、乾燥して、96.5gの4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸を得た。
【0048】
無水DMF(2.6L)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸(96.5g、0.216mol)、N−メチル−4−アミノピペリジン(29.3g、0.259mol)、HOBt(35g、0.259mol)、ジイソプロピルエチルアミン(45mL、0.259mol)の混合物を、窒素下の氷浴中で冷却した。EDCI(49.8g、0.259mol)を添加し、得られた混合物を室温まで昇温させ、一晩攪拌した。混合物を氷水(8L)および酢酸エチル(3L)に注入して、分離した。水層を酢酸エチル(4L×2)で抽出して、すべての有機抽出物を合わせ、水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。得られた固体をジエチルエーテルで粉砕して47gの標記化合物を得た。241.42℃でDSCピーク。
【0049】
実施例2:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0050】
2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オン(3598g、11.89mol)を、NMP(11.108kg)に溶解して、約−3℃に冷却した。NaHMDS(11.919kg、1.1当量)の1M溶液を、4℃より下の温度を維持しながら80分間にわたって添加した。ヨードメタン(1.858kg)を、35℃より下の温度を維持しながら10分間にわたって添加した。添加ロートをTHFで洗浄した。温度を20〜25℃に調整して、反応混合物を3時間攪拌した。NaHMDS(1.2kg)の1M溶液を23℃で添加し、次いで、ヨードメタン(0.188kg)を添加した。添加ロートをTHFで洗浄した。温度を20〜25℃に調整して、反応混合物を一晩攪拌した。温度を10℃に調整して、濃縮した塩酸水(6.42L)、THFを減圧下の蒸留によって除去し、温度を20℃に調整し、約23〜25℃の温度を維持しながら、水(53.31kg)を約60分間にわたってゆっくりと添加した。温度を約10゜に調整した後、一晩攪拌した。反応混合物を濾過して、濾過ケーキをイソプロピルアルコール/水(1:1、2×2L)で洗浄して、窒素気流により乾燥した。濾過ケーキをイソプロピルアルコール(4.17kg)に76℃で溶解し、約73〜76℃の温度を維持しながら、水(20.70kg)を約85分間にわたってゆっくりと添加し、20分後、約3時間にわたって約11゜に冷却して、一晩攪拌した。固体を濾取し、イソプロピルアルコール/水(1:1、2×1.7L)ですすいで、窒素気流下で乾燥し、次いで、オーブン中で4日間乾燥して、2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オンを得た。
【0051】
t−ブチルアルコール(23L)中の2−クロロ−9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−8,9−ジヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−6(7H)−オン(2.542kg、8.05mol)、3−メトキシ−4−アミノ安息香酸(1.50kg)の混合物を約53℃に加熱した。約10分間にわたって濃HCl(951g)を添加して、80℃に加熱して、60時間攪拌した。温度を15℃に調整して、40時間攪拌し、固体を得、これを濾取し、イソプロピルアルコール/水(1:1、2×2.5L)ですすぎ、窒素気流下で約1.5時間乾燥し、次いで、40℃の真空オーブン中で4日間乾燥して、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸を得た。
【0052】
4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸(5.125kg、6.51mol)、ジクロロメタン(12kg)、およびNMP(0.058L、0.09当量)の混合物を18℃に調整した。塩化チオニル(1.868kg、2.4当量)を約10分間にわたって添加し、反応物を約18〜19℃で17.5時間攪拌した。温度を25℃に調整して、反応物を7時間攪拌し、18〜20℃に調整して一晩攪拌し、次いで、2日間攪拌した。ジクロロメタンを減圧下の蒸留によって除去し、トルエン(6.2kg)を添加して、蒸留を続けた。約6Lのジクロロメタンを除去した。トルエン(6.18L)を添加して、温度を約20〜25℃に調整し、懸濁液を一晩攪拌した。固体を濾取して、トルエン(2×2.12kg)ですすぎ、窒素気流中で3.5時間乾燥し、次いで、40℃の真空オーブン中で2日間乾燥して、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸を得た。
【0053】
4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸(3.108kg、6.17mol)およびアセトニトリル(14.56kg)を混合し、温度を約0℃に調整する。N−メチル−4−アミノピペリジン(0.775k、1.1当量)を添加する。ジイソプロピルエチルアミン(1.595kg)を約29分間にわたって約6〜12℃の温度で添加し、温度を約20〜25℃に調整して、反応混合物を一晩攪拌した。固体を濾取して、アセトニトリル(4.47kg)ですすぎ、窒素気流下で1時間乾燥し、次いで、40℃の真空オーブン中で2日間乾燥して、標記化合物を得た。
【0054】
標記化合物(3.35kg)、エチルアルコール(10.65kg)、および2N塩酸水溶液を約20℃で混合し、濾過した。2N水酸化ナトリウム水を添加して、反応混合物を約20〜25℃で一晩攪拌した。実施例1で得られたものと同様の結晶(0.5g)を添加して、24時間攪拌を続けた。水(5.39kg)を添加して、懸濁液を4時間攪拌し、濾過して、水(1.7kg)およびエチルアルコール(1.7kg)ですすぎ、窒素気流で乾燥し、次いで、40℃の真空オーブン中で3.8日間乾燥して、標記化合物を得た。242.12℃でDSCピーク。
【0055】
実施例3:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0056】
ジクロロメタン(0.5mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(25.6mg)を55℃で混合し、濾過し、次いで、外界温度まで毎時20℃で冷却し、室温で16時間放置し、その後、一晩5℃に冷却して固体を得た。この固体を遠心分離によって回収し、外界温度の真空中で乾燥して標記化合物を得た。
【0057】
A形は、実施例3の方法および75℃の初期温度でイソプロパノール(2.5mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(27.0mg)を用いても得られる。
【0058】
実施例4:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0059】
アセトン(6.5mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(29.8mg)を55℃で混合し、濾過し、次いで、外界温度まで毎時20℃で冷却し、室温で16時間放置し、その後、一晩5℃に冷却した。溶媒を窒素の穏やかな気流下で蒸発させて固体を得、これを外界温度の真空中で乾燥して標記化合物を得た。
【0060】
A形は、実施例4の方法を用いて、75℃の初期温度で、ジメチルホルムアミド(0.5mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(27.7mg);75℃の初期温度で、ジオキサン(1.5mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(25.4mg);75℃の初期温度で、エタノール(2.7mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(23.4mg);75℃の初期温度で、酢酸エチル(10mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(23.9mg);55℃の初期温度で、テトラヒドロフラン(2.0mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(23.5mg);75℃の初期温度で、トルエン(15.0mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(24.1mg)によっても得られる。
【0061】
実施例5:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0062】
アセトン(6.0mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(27.7mg)を55℃で混合し、濾過し、次いで、冷蔵庫内に5℃で一晩置いた。次いで、溶媒を窒素の穏やかな気流下で蒸発させて固体を得、これを外界温度の真空中で乾燥して標記化合物を得た。
【0063】
実施例6:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0064】
ジクロロメタン(0.5mL)中の4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(23.6mg)を55℃で混合し、濾過した。5分後、沈澱が観察されるまでヘプタン(約0.4mL)を滴下し、混合物を毎時20℃の速度でゆっくりと室温まで冷却して、室温で16時間放置し、その後、冷蔵庫内に5℃で一晩置いて固体を得た。この固体を遠心分離によって回収し、外界温度の真空中で乾燥して標記化合物を得た。
【0065】
実施例7:4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形
【0066】
4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(約33g)およびメタノールを混合し、活性炭を添加し、攪拌し、Celite(登録商標)を通して濾過し、真空中で蒸発させる。次いで、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(32.6g)をアセトン中で加熱して、可溶化するために少量のメタノールを添加する。約10倍量のジエチルエーテルを添加し、冷却する。固体を濾取し、乾燥する。融点:241〜243℃。
【0067】
A形は、単独で、あるいは医薬組成物の形態で投与することができる。実際には、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形は、通常、医薬組成物の形態、すなわち、選択した本発明の化合物の特性、選択した投与経路、および標準的な薬務によってその比率および性質が決定される医薬的に許容される賦形剤と混合した形態で投与される。
【0068】
他の実施形態では、本発明は、発明の化合物および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0069】
このような治療を必要とする患者の治療を行う場合、本発明の化合物を、該化合物が生物学的に利用可能となる任意の形態および経路で投与することができる。4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形を多様な経路で投与することができ、これには、経口経路および非経口経路、より詳細には、吸入、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻腔内、直腸、経膣、眼球、局所的、舌下、および頬側、腹膜内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻腔内、脂肪組織内、クモ膜下腔内の経路、ならびに、例えば、カテーテルまたはステントによる局所的送達を介する経路が含まれる。
【0070】
当業者は、選択した該化合物の特定の性質、治療する障害または病態、その障害または病態の段階、および他の関連する状況に依存して、投与の適切な形態および経路を容易に選択することができる。本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤(capsules)、カプセル剤(cachets)、紙、トローチ剤、ウエハー剤、エリキシル剤、軟膏剤、経皮パッチ、エアロゾル、吸入剤、坐剤、溶液、および懸濁液の形態で、患者に投与することができる。
【0071】
本発明の医薬組成物は、医薬の技術分野で周知の方法で調製され、活性成分として4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形を含む。本発明の化合物の量は、その特定の形態に依存して、変更してもよく、便宜上、単位剤形の重量の1%〜約70%の間とすることができる。「医薬的に許容される賦形剤」という用語は、医薬組成物の調製に通常用いられるものをいい、医薬的に純粋で、かつ使用量において非毒性であるべきである。これらは、通常、活性成分のビヒクルまたは媒体として働き得る固体、半固体、または液体の物質である。医薬的に許容される賦形剤のいくつかの例は、Remington's Pharmaceutical Sciencesおよびthe Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見られ、それには、希釈剤、ビヒクル、担体、軟膏基剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香剤、ゲル基剤、徐放基剤、安定剤、保存剤、溶剤、懸濁剤、緩衝液、乳化剤、色素、噴霧剤、コーティング剤などが含まれる。
【0072】
本医薬組成物は、単位剤形に処方されることが好ましく、各用量には、通常、約0.5mg〜約200mgの本発明の化合物が含まれる。「単位剤形」という用語は、1回の投与量として適切な物理的に別個の単位をいい、各単位には、適切な医薬賦形剤と共に、所定の量の活性成分が含まれ、これにより1つまたは複数が望ましい治療効果を生み出す投薬療法を通して用いられる。
【0073】
特定の一変形態様では、該組成物は、液体製剤(例えば、溶剤または懸濁剤)、錠剤またはカプセル剤などの、経口投与に適合した医薬組成物である。さらに他の特定の一変形態様では、該医薬組成物は、非経口投与に適合した液体製剤である。
【0074】
他の実施形態では、本発明は、PLKを阻害する方法を提供し、これには、該キナーゼを本発明の化合物と接触させることが含まれる。他の実施形態では、本発明は、PLKを阻害する方法を提供し、これには、in vivoで該キナーゼを阻害するために本発明の化合物を患者に投与することが含まれる。さらなる実施形態では、本発明は、PLKを阻害する方法を提供し、これには、in vivoで本発明の化合物に変換される第1の化合物を対象に投与することが含まれる。
【0075】
他の実施形態では、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形を含む本発明の化合物を、薬剤としての用途のために提供する。また、本発明は、本明細書に記載のPLKに関連した病態を治療する薬剤の製造のための4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形の使用も提供する。また、本発明は、PLKに関連した病態を治療する方法も提供し、これには、有効量の本発明の化合物を、これを必要とする患者に投与することが含まれる。
【0076】
本明細書中で用いる場合、「病態」、「障害」、および「疾患」という用語は、任意の不健康な、または異常な状態をいう。「PLKに関連した病態」という用語には、癌;炎症病態;自己免疫疾患;心血管疾患;感染症;腎臓学的疾患;神経変性疾患;皮膚病;骨疾患;増殖細胞の防御;および他の病態などの障害および疾患が含まれる。より詳細には、PLKに関連した病態は、乳癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、喉頭癌、胃癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、骨癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、膵臓癌、甲状腺癌、膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、咽頭癌、舌癌、唇癌、口腔癌、脳癌、血液癌(白血病を含む)、および皮膚癌(黒色腫を含む);乾癬、脱毛症(化学療法剤によって誘発された脱毛症および粘膜炎を含む)、多発性硬化症、大腸炎、および関節炎;創傷治癒;心血管疾患(動脈硬化、狭窄症、再狭窄、および肥大を含む);ウイルス、細菌、菌類、および/または寄生虫の感染症、例えば、サイトメガロ感染症、ヘルペス、B型肝炎およびC型肝炎、カポジ肉腫、HIV疾患;腎臓疾患、例えば、糸球体腎炎;慢性および急性の神経変性疾患、例えば、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、AIDS痴呆、アルツハイマー病、脳虚血、および神経外傷;乾癬;骨疾患;放射線、UV治療および/または細胞増殖抑制治療に起因するDNA損傷からの、増殖細胞(例えば、毛髪細胞、腸管細胞、血液細胞、および始原細胞)の保護からなる群から選択される。PLKに関連した病態を記載するために、一般的な用語を本明細書中で用いる場合、種々の診断用マニュアル中で言及される、より詳細に記載の病態、および他の物質が本発明の範囲内に含まれるものと理解される。例えば、炎症性の病態の治療には関節炎の治療が含まれ、関節炎は、現在、いくつかのより詳細な障害に分類され、そのすべてが本発明によって意図されるものと理解される。
【0077】
「治療する」、「治療」、および「治療すること」という用語には、本明細書に記載の病態の改善が含まれる。また、当業者は、有効量の本発明の化合物を用いて、該障害を現在患っている患者を治療することによって、あるいは該病態になりやすいと考えられる患者を予防的に治療することによって、該病態に作用し得ることが理解される。したがって、これらの「治療する」、「治療」、および「治療すること」という用語には、本明細書に記載の病態の進行を、遅らせる、中断する、阻止する、調節する、または停止することができるようにするすべての方法が含まれるが、全症状のすべての消失または病態の治癒を必ずしも示すわけではなく、そのような障害の予防的処置および治療的処置を含むことが意図される。
【0078】
本明細書中で用いる場合、「患者」という用語には、ヒトおよびヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなどの哺乳動物)が含まれる。この用語には、鳥類、魚類、爬虫類、両生類なども含まれる。より特定の患者はヒトであることが理解される。また、より特定の患者は、マウス、ラット、およびイヌなどのヒト以外の哺乳動物である。
【0079】
本明細書中で用いる場合、「有効量」という用語は、単一または複数の用量投与によって、上述の病態を患っている患者を治療する本発明の化合物の量をいう。有効量は、当業者としての主治の診断医によって、既知の技法を用いることによって、かつ類似した状況下で得られた結果を注意して見ることによって、容易に決定することができる。この有効量、用量を決めるには、主治の診断医によって多数の要因が考慮され、これには、患者の種;その大きさ、年齢、および一般的な健康状態;関与する特定の病態、障害、または疾患;その病態、障害、または疾患の関与の程度または重症度、個々の患者の反応性;投与する特定の化合物;投与様式;投与する製剤の生物学的利用能特性;選択した投与計画;併用薬の使用;ならびに他の関連した状況が含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物を含む本使用発明の有効量は、体重1kgあたり1日約0.1ミリグラム(mg/kg/日)〜約20mg/kg/日の間で変わることが予想される。特定の量は、当業者によって決定され得る。
【0080】
特定の実施形態では、本発明は、癌を治療する方法を提供し、これには、有効量の発明の化合物を、これを必要とする患者に投与することが含まれる。より特定の実施形態では、本発明は、抗治療性の癌を治療する方法を提供し、これには、有効量の本発明の化合物を、これを必要とする患者に投与することが含まれる。
【0081】
また、本発明は製品も提供し、これには、少なくとも1つの本発明の化合物およびラベルが含まれる。該ラベルには、製造業者、用量、治療する病態、および該化合物または該医薬組成物の使用に関する情報が含まれていてもよい。
【0082】
他の実施形態では、本発明は、キットを提供し、これには、少なくとも1つの本発明の化合物、ラベル、および投与用の装置が含まれる。該装置には、混合バイアル、溶剤または懸濁剤を調製するための液体、管、シリンジなどが含まれる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形。
【請求項2】
24.89、21.78、20.87、20.35、18.70、16.40、15.75、または9.14°2θのピークを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
24.89、21.78、20.87、20.35、18.70、16.40、15.75、および9.14°2θのピークを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
溶媒からの結晶化を含む、4−(9−シクロペンチル−7,7−ジフルオロ−5−メチル−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[4,5−b][1,4]ジアゼピン−2−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミドA形を調製する方法形態。

【公表番号】特表2010−540464(P2010−540464A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526073(P2010−526073)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/077746
【国際公開番号】WO2009/042806
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】