説明

ポンプ・プローブ型の測定装置

【課題】ポンプ・プローブ型の測定装置を小型化すること。
【解決手段】
平面状の支持面(23a)を有するベース部材(23)と、パルスレーザー光(L)を試料(S)を励起するポンプ光(L2)と励起された試料(S)の状態を探査するプローブ光(L1)とに分岐させる光分岐光学素子(32)と、支持面(23a)から離れる方向に延びる枠体(68+118)と、光(L1)の光学特性を変化させるプローブ光用特性変化光学素子(63)と、光(L2)の光学特性を変化させるポンプ光用特性変化光学素子(113)と、を有する光学系群装置(41+91)を備えたポンプ・プローブ型の測定装置(21)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ・プローブ型の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第3世代放射光X線やX線自由電子レーザー(X−FEL:X-ray Free Electron Laser)等の先端光を利用した測定や計測に関する研究、開発が精力的に行われている。特に、先端光のパルス性を利用したピコ秒時間分解X線回折技術やX線分光技術、さらには、先端光のコヒーレント性(可干渉性)を利用したサブミクロンのX線マイクロビームによる空間分解技術に関して、日本、アメリカ、ヨーロッパの第3世代放射光施設(SPring−8等)で研究、開発が行われている。
こうした新しいX線光源の時間分解能・空間分解能を利用することにより、例えば、X線が照射される試料を光励起した後の任意の時間・任意の位置における構造を計測することが可能となる。こうした構造計測を通じて、試料の構造が明らかになり、より高性能な材料開発が可能となることが期待される。
【0003】
しかしながら、前記先端光を使用した計測では、試料に照射された先端光により、試料が受けるダメージが深刻な問題となっている。特に、タンパク質等の生体物質や有機物等の薬関連物質では、ダメージの影響が大きく、信頼できる計測を困難にしている。したがって、試料の状態を随時、超高速でモニターする必要がある。
特に、試料の光メモリーや光スイッチの機能を明らかにするための計測では、試料を光励起した後の任意の時間・任意の位置における構造を計測するだけでなく、その位置での電子状態に関する情報を得る必要がある。特に、信頼できるデータを得るためにはX線による構造情報に加えて、試料の物性に関する電子情報を同時に測定する必要がある。
【0004】
このような試料の状態を、ピコ秒(ps)やフェムト秒(fs)のような超短時間領域で測定するための装置として、パルス幅がフェムト秒領域の極短パルスレーザー光を使用するポンプ・プローブ型の測定装置が知られている。前記ポンプ・プローブ型の測定装置として、以下の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
特許文献1としての特開2008−139028号公報には、パルス幅が25フェムト秒のパルスレーザー光が、試料表面の検査領域に照射されて試料表面の材料を励起するポンプ光(励起光)と、励起光と光路長が異なる光路を通過して遅延され且つ励起光で励起された検査領域に照射されて試料表面の状態を測定するプローブ光(探針光、探査光)とに分解して、ポンプ光が試料を励起してからプローブ光が試料の状態を検出するまでの時刻の差を遅延時間として測定することで、フェムト秒〜ピコ秒領域の高い時間分解能で測定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−139028号公報(「0025」〜「0036」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(従来技術の問題)
前記特許文献1記載の技術のようなポンプ・プローブ型の測定装置では、ポンプ光は試料表面を励起するために、プローブ光よりも光の強度を強くする必要があると共に、プローブ光はポンプ光に対して遅延させている。よって、ポンプ・プローブ型の測定装置では、光源からのパルスレーザー光をビームスプリッタやハーフミラー等の光分岐光学素子で分岐させた後に、分岐されたプローブ光とポンプ光は異なる光路を通過する。そして、各光の光路上には、光を遅延させたり光の強度や照射される光のスポット径等を調整するために、遅延光学系や減光のためのフィルタ、コリメータレンズやフォーカスレンズ等の光学系がそれぞれ配置されている。
【0007】
このような、プローブ光用の光学系およびポンプ光用の光学系は、特許文献1に示すように、同一平面上に二次元的に配置されていた。すなわち、従来のポンプ・プローブ型の測定装置では、数メートル四方の平面状の光学定盤の上に、レーザー光源、ビームスプリッタ等の光分岐光学素子、プローブ光用の光学系、ポンプ光用の光学系、試料にポンプ光及びプローブ光を照射する光学系が、同一平面上に配置されており、広い設置面積(数メートル四方)が必要になり、重量も重くなる(数十キロ)という問題があった。
【0008】
また、従来のポンプ・プローブ型の測定装置は広い設置面積を有し重量化するため、可搬性が低く放射光施設を借りて実験を行ったりする場合に設置や撤去の時間が掛かったり、設置スペースが十分に確保できなくなる等の問題もあった。
特に、第3世代放射光施設やX−FEL等では、試料の周りに、試料のX線に対する位置の微調整を行うゴニオメータや、X線コリメータ、X線検出器、試料冷却装置等が設置され、試料の周りに十分なスペースがなく、広い設置面積を必要とする従来の測定装置では、試料や試料の周囲の装置に干渉せずに設置することが困難であるという問題があった。
【0009】
さらに、第3世代放射光施設では、X線の光路は変更できず、光路が予め設定されたX線に対して、X線コリメータ、試料、X線検出器の位置を調整しており、ポンプ・プローブ型の測定装置もX線の光路に合わせて調整する必要がある。また、空間分解測定を行う場合には、試料に対してポンプ・プローブ型の測定装置の位置を相対的に移動させる必要がある。したがって、ポンプ・プローブ型の測定装置全体を、位置調節するためのXYZステージに載せることが望ましいが、XYZステージは耐荷重が高々10kg台であり、重量のある従来のポンプ・プローブ型の測定装置をXYZステージに載せることは困難、あるいは、高コスト化する問題がある。
【0010】
前述の事情に鑑み、本発明は、ポンプ・プローブ型の測定装置を小型化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明のポンプ・プローブ型の測定装置は、
平面状の支持面を有するベース部材と、
前記支持面に沿った光路を通過するパルスレーザー光を照射するパルスレーザー光源装置と、
前記ベース部材に支持され、且つ、前記パルスレーザー光源装置からのパルスレーザー光を、試料を励起するポンプ光と、励起された試料の状態を探査するプローブ光とに分岐させる光分岐光学素子と、
前記ベース部材に支持され且つ前記支持面から離れる方向に延びる枠体と、光分岐光学素子で分岐されたポンプ光およびプローブ光のいずれか一方の光を前記支持面から離れる方向に反射する離間方向反射光学系と、前記離間方向反射光学系よりも前記支持面から離れた位置で前記枠体に支持され且つ前記支持面から離れる方向に進む光を前記支持面に近づく方向に反射する接近方向反射光学系と、前記接近方向反射光学系よりも前記支持面に接近した位置に配置され且つ前記支持面に接近した光を前記支持面に沿った方向に反射させる沿面方向反射光学系と、通過する前記光を予め設定された光学特性に変化させる特性変化光学素子と、を有し、前記ベース部材の支持面に支持された光学系群装置と、
前記光学系群装置から出力された前記ポンプ光およびプローブ光のいずれか一方と、前記ポンプ光およびプローブ光のいずれか他方と、を試料に対して照射する照射光学系と、
前記試料からの光を検出する検出器と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のポンプ・プローブ型の測定装置において、
前記ベース部材に支持され且つ前記支持面から離れる方向に延びる第1の枠体と、光分岐光学素子で分岐されたポンプ光を前記支持面から離れる方向に反射するポンプ光離間方向反射光学系と、前記ポンプ光離間方向反射光学系よりも前記支持面から離れた位置で前記第1の枠体に支持され且つ前記支持面から離れる方向に進むポンプ光を前記支持面に近づく方向に反射するポンプ光接近方向反射光学系と、前記ポンプ光接近方向反射光学系よりも前記支持面に接近した位置に配置され且つ前記支持面に接近したポンプ光を前記支持面に沿った方向に反射させるポンプ光沿面方向反射光学系と、通過する前記ポンプ光を予め設定された光学特性に変化させるポンプ光用特性変化光学素子と、を有し、前記ベース部材の支持面に支持されたポンプ光用光学系群装置と、
前記ベース部材に支持され且つ前記支持面から離れる方向に延びる第2の枠体と、光分岐光学素子で分岐されたプローブ光を前記支持面から離れる方向に反射するプローブ光離間方向反射光学系と、前記プローブ光離間方向反射光学系よりも前記支持面から離れた位置で前記第2の枠体に支持され且つ前記支持面から離れる方向に進むプローブ光を前記支持面に近づく方向に反射するプローブ光接近方向反射光学系と、前記プローブ光接近方向反射光学系よりも前記支持面に接近した位置に配置され且つ前記支持面に接近したプローブ光を前記支持面に沿った方向に反射させるプローブ光沿面方向反射光学系と、通過する前記プローブ光を予め設定された光学特性に変化させるプローブ光用特性変化光学素子と、を有し、前記ベース部材の支持面に支持されたプローブ光用光学系群装置と、
を有する前記光学系群装置、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のポンプ・プローブ型の測定装置において、
前記ベース部材の支持面に支持され且つ前記プローブ光の光路上に配置されてプローブ光を反射する遅延光学部材と、前記遅延光学部材を支持し且つプローブ光の光路長を伸縮する方向に前記遅延光学部材を移動させるスライダと、を有し、前記プローブ光の光路長を伸縮することで、前記ポンプ光に対して前記プローブ光を遅延させる遅延光学系を含む前記プローブ光用特性変化光学素子、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のポンプ・プローブ型の測定装置において、
前記ポンプ光離間方向反射光学系と、前記ポンプ光接近方向反射光学系と、前記ポンプ光沿面方向反射光学系と、を支持する前記第1の枠体と、
前記プローブ光離間方向反射光学系と、前記プローブ光接近方向反射光学系と、前記プローブ光沿面方向反射光学系と、を支持する前記第2の枠体と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のポンプ・プローブ型の測定装置において、
前記試料に照射された前記ポンプ光及びプローブ光の透過光が通過する光路上に設定された透過光検出器支持部と、前記試料に照射された前記ポンプ光及びプローブ光の反射光が通過する光路上に設定された反射光検出器支持部と、を有する前記支持面と、
前記透過光検出器支持部および前記反射光検出器支持部に着脱可能な前記検出器と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、支持面に対して支持面から離れる方向に延びる枠体を有する光学系群装置内に、光学素子を配置することが可能となり、光学素子を全て支持面上に配置する従来の構成に比べて、ポンプ・プローブ型の測定装置を小型化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、支持面に対して支持面から離れる方向に延びる枠体を有するポンプ光用光学系群装置およびプローブ光用光学系群装置の両方に、光学素子を配置することが可能となり、光学素子を全て支持面上に配置する従来の構成に比べて、ポンプ・プローブ型の測定装置を小型化することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、プローブ光を遅延させる遅延光学系を支持面上に配置しても、従来の構成に比べて、ポンプ・プローブ型の測定装置を小型化することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ポンプ光用光学系群装置およびプローブ光用光学系群装置を使用せずに支持面上に全ての光学素子を配置する従来の技術に比べて、少なくとも3つの光学系により、3次元的な光路を実現することができる。
請求項5に記載の発明によれば、反射光用の検出器と透過光用の検出器を、共通化することができ、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例1のポンプ・プローブ型の測定装置が適用される放射光X線を使用した実験施設の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1のポンプ・プローブ型測定装置の全体説明図である。
【図3】図3は実施例1のポンプ・プローブ型測定装置のベース部材の説明図であり、図3Aはベース部材の平面図、図3Bはベース部材に支持された遅延光学系の説明図である。
【図4】図4は実施例1のレーザー光が通過する光路および光路上の光学系の要部説明図である。
【図5】図5は実施例1のプローブタワーの要部説明図である。
【図6】図6は実施例1のポンプタワーの要部説明図である。
【図7】図7は実施例1の検出器の説明図であり、図7Aは選択鏡が画像情報検出位置に移動した状態の平面図、図7Bは検出器が透過光検出器支持部に支持された状態における図7Aの矢印VIIB方向から見た図、図7Cは選択鏡が電子情報検出位置に移動した状態の平面図、図7Dは検出器が透過光検出器支持部に支持された状態における図7Cの矢印VIID方向から見た図である。
【図8】図8は、実験例1の実験結果の説明図であり、図8Aはポンプ光のCCDカメラでの撮像結果の説明図、図8Bはプローブ光のCCDカメラでの撮像結果の説明図である。
【図9】図9は実施例1のポンプ・プローブ型の測定装置の実験結果の説明図であり、図9Aはポンプ光の照射位置と規格化強度の説明図、図9Bはプローブ光の照射位置と規格化強度の説明図である。
【図10】図10は実施例1のポンプ・プローブ型の測定装置の実験結果の説明図であり、図10Aは試料の反射率変化と照射位置と遅延時間との関係の説明図、図10Bは位置(x、y)=(0、0)における縦軸に反射率変化を取り横軸に遅延時間を取ったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の実施例1のポンプ・プローブ型の測定装置が適用される放射光X線を使用した実験施設の全体説明図である。
図1において、本発明のポンプ・プローブ型の測定装置が使用される実験施設1は、X線が使用され且つ実験中は立ち入り禁止となるX線照射室の一例としてのX線ハッチ2と、前記X線ハッチ2から離れた観測室の一例としてのモニタリングルーム3とを有する。
前記X線ハッチ2は、X線源としての放射光施設からの放射光X線6が導入される導入部7を有する。X線6の光路に沿って前記導入部7の下流側には、X線6から特定の周波数だけ間引いてX線パルス光を時間的に切り出すパルスセレクタ(Pulse Selector)8aや、切り出されたX線パルス光を単色化するモノクロメータ(Monochromator)8b等を含むX線用光学系8が配置され、X線用光学系8の下流側には、ゴニオメータ9が配置されている。前記ゴニオメータ9の上面には試料ホルダ11を介して試料Sが支持されており、ゴニオメータ9を作動させて前後左右上下および回転方向に位置の微調整することで、試料Sの任意の位置にX線6が照射される。
X線6の光路に沿って試料Sの下流側には、X線検出装置12が配置されており、試料Sからの回折X線を検出することで、X線回折データを測定可能である。
【0021】
前記モニタリングルーム3には、情報処理装置の一例としてのコンピュータPCが設置されている。コンピュータPCは、コンピュータ本体PC1と、画像が表示される表示器の一例としてのディスプレイPC2と、入力・操作を行うためのキーボードPC3およびマウスPC4等を有する。前記コンピュータ本体PC1には、前記ゴニオメータ9やX線検出装置12が電気的に接続されている。したがって、キーボードPC3やマウスPC4からの入力に応じてゴニオメータ9が制御されて、試料Sの位置が微調整されると共に、X線検出装置12の検出データを受信して検出結果がディスプレイPC2に表示される。
【0022】
前記試料Sの周囲には、ポンプ・プローブ型の測定装置の一例としての時間分解顕微装置21が配置されている。なお、図1において、ゴニオメータ9等の理解の容易のために、時間分解顕微鏡は外形を破線で表示している。
前記時間分解顕微装置21は、ゴニオメータ9の前方に配置された位置調節装置の一例としてのXYZステージ22を有する。前記XYZステージ22は、前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)に位置調節可能な装置であり、従来公知の市販の装置を使用可能である。また、前記XYZステージ22は、前記コンピュータPCに電気的に接続されており、ゴニオメータ9と同様に、キーボードPC3等からの入力に応じて、位置調整が可能に構成されている。
【0023】
図2は実施例1のポンプ・プローブ型測定装置の全体説明図である。
図3は実施例1のポンプ・プローブ型測定装置のベース部材の説明図であり、図3Aはベース部材の平面図、図3Bはベース部材に支持された遅延光学系の説明図である。
図1〜図3において、前記XYZステージ22の上端には、ベース部材23が固定支持されている。したがって、XYZステージ22の移動に一体的にベース部材23が移動可能となっている。
図2、図3において、前記ベース部材23は、平板状の板材により構成されており、上面に支持面23aを有する。なお、実施例1のベース部材23は、光学定盤により構成されている。
【0024】
前記ベース部材23の左右方向中央部の後端部には、試料Sに対して右斜め前方に対応する位置に反射光検出体支持部23bが形成されている。また、ベース部材23の左部には、後方に延び且つ試料Sに対して左斜め後方に対応する位置まで延びる透過光検出体支持部23cが形成されている。したがって、実施例1のベース部材23では、反射光検出体支持部23bと透過光検出体支持部23cとの間に試料Sの位置に対応して形成された開口23dが形成されている。
なお、実施例1のベース部材23では、前側中央部には、ベース部材23を軽量化するために、肉抜き用の穴23eが形成されている。
【0025】
図4は実施例1のレーザー光が通過する光路および光路上の光学系の要部説明図である。
図2、図4において、前記ベース部材23の左端部には、パルスレーザー光源装置26が配置されている。前記パルスレーザー光源装置26は、図示しない連結部材により前記XYZステージ22と一体的に移動可能に支持されている。実施例1のパルスレーザー光源装置26は、パルス幅がフェムト秒のパルレーザー光により構成された入力レーザー光Lを照射可能な従来公知のレーザー光源装置により構成されており、例えば、チタン・サファイヤレーザーを使用可能である。
前記パルスレーザー光源装置26の右方には、入力レーザー光Lを絞るアライメント用の第1アイリス(Iris for Alignment)27が、ベース部材23の支持面23aの左端に支持されている。
前記第1アイリス27の右方の支持面23a上には、第1アイリス27を通過した入力レーザー光Lを前方に反射する第1反射鏡28が支持されている。
【0026】
前記第1反射鏡28の前方には、第1反射鏡28で反射された入力レーザー光Lが通過して絞られるアライメント用の第2アイリス29が支持面23a上に支持されている。
前記第2アイリス29の前方には、第2アイリス29を通過した入力レーザー光Lを右方に反射する第2反射鏡31が支持面23a上に支持されている。
前記第2反射鏡31の右方には、第2反射鏡31で反射された入力レーザー光Lを、プローブ光L1とポンプ光L2とに分離する光分岐光学素子の一例としての第1ビームスプリッタ(Beam Splitter)32が、支持面23a上に支持されている。実施例1の第1ビームスプリッタ32は、入力レーザー光Lの一部をプローブ光L1として右方に透過させると共に、残りをポンプ光L2として後方に反射させることで、入力レーザー光Lを分岐している。
【0027】
前記第1ビームスプリッタ32の右方には、遅延光学系33が支持面23a上に支持されている。図2〜図4において、前記遅延光学系33は、支持面23a上に支持され且つ左右方向に延びるスライダ駆動部33aを有する。前記スライダ駆動部33aには、後方に延び且つスライダ駆動部33aに対して左右方向にスライド可能なスライダ33bが支持されている。前記スライダ33bは、スライダ駆動部33a内部に支持された図示しないスライダ駆動源の駆動により左右方向の位置が調整される。なお、前記スライダ駆動部33aおよびスライダ33bは、左右方向に移動可能な従来公知の任意の機構を採用可能である。例えば、スライダ駆動部33aの内部に、左右方向に延び且つ外周面にネジ溝が形成されたロッドを配置し、ネジ溝に噛み合うナットがスライダ33bに連結された機構で、ロッドを正逆回転させることで、スライダ33bを左右方向にスライド移動させる構成や、スライダ駆動部33a内部に無端ベルトを配置し且つベルトにスライダ33bを固定して、ベルトを正逆回転させることでスライダ33bを左右方向にスライド移動させる機構等、任意の構成を採用可能である。
【0028】
前記スライダ33bには、遅延光学部材の一例として、第1ビームスプリッタ32を透過したプローブ光32を前方に反射する遅延用第1反射鏡33cと、遅延用第1反射鏡33cの前方に配置され且つ遅延用第1反射鏡33cで反射されたプローブ光32を左方に反射する遅延用第2反射鏡33dと、が支持されている。
なお、実施例1のスライダ駆動部33aは、コンピュータPCに電気的に接続されており、キーボードPC3等からの入力に応じて、スライダ駆動部33aが駆動してスライダ33bの左右方向のスライド移動が制御される。
図2、図4において、前記遅延用第2反射鏡33dの左方には、遅延用第2反射鏡33dで反射されたプローブ光L1を後方に反射する第3反射鏡34が支持面23aに支持されている。
【0029】
前記第3反射鏡34の後方には、プローブ光用特性変化光学素子の一例として、第3反射鏡34で反射されたプローブ光L1が通過する第1可変減光フィルタ(Variable Neutral Density Filter)36が、支持面23a上に支持されている。実施例1の第1可変減光フィルタ36のフィルタ本体36aは、円形のガラス基板で構成されており、表面に蒸着された金属薄膜の光学濃度が円周上で連続的に変化している。フィルタ本体36aを回転させることでフィルタ本体36aを透過する透過光の光量を連続的に制御可能である。
【0030】
図5は実施例1のプローブタワーの要部説明図である。
図2、図4において、前記第1可変減光フィルタ36の後方には、プローブ光用光学系群装置の一例としてのプローブタワー41が支持面23a上に支持されている。図5において、実施例1のプローブタワー41は、支持面23aに下端部が固定支持され且つ上方に延びる第1支柱42を有する。前記第1支柱42の上部には、平板状の第1連結部材43が上下一対支持されている。前記第1連結部材43の平板の四隅には、左側に前後一対の第1ロッド保持部43aと、右側に前後一対の第2ロッド保持部43bが設けられている。
前後一対の第1ロッド保持部43aには、それぞれ、上下方向に延びる前後一対の第1ロッド44が貫通した状態で保持されている。前記各第1ロッド44の更に左側には、第1ロッド44に平行して配置された、前後一対の第2ロッド46が配置されている。
【0031】
前記第1ロッド44および第2ロッド46の下端には、直角二等辺三角筒形状の第1収容ブロック47が支持されている。すなわち、第1収容ブロック47は、2本の第1ロッド44と2本の第2ロッド46により四隅が支持されている。前記第1収容ブロック47内部には、プローブ光離間方向反射光学系の一例として、第1可変減光フィルタ36を通過したプローブ光L1を支持面23aから離間する方向である上方に反射するプローブタワー第1反射鏡48が収容されている。したがって、実施例1では、プローブタワー第1反射鏡48で反射されたプローブ光L1は、第1ロッド44および第2ロッド46の間の空間を通過する。
前記第1ロッド44および第2ロッド46の上端には、直角二等辺三角筒形状の第2収容ブロック51が支持されている。前記第2収容ブロック51内部には、プローブタワー第1反射鏡48で反射されたプローブ光L1を右方に反射するプローブタワー第2反射鏡52が収容されている。
【0032】
前後一対の第2ロッド保持部43bには、上下方向に延びる前後一対の第3ロッド53が貫通した状態で保持されている。前記各第3ロッド53の更に右側には、第3ロッド53に平行して配置された前後一対の第4ロッド54が配置されている。
なお、後側の第1ロッド44および後側の第3ロッド53の上部は、上部連結部材56により連結されている。
前記第3ロッド53および第4ロッド54の上端には、第3収容ブロック57が支持されている。前記第3収容ブロック57内部には、プローブ光接近方向反射光学系の一例として、第2反射鏡52で反射されたプローブ光L1を支持面23aに接近する方向である下方に反射するプローブタワー第3反射鏡58が収容されている。したがって、実施例1では、プローブタワー第3反射鏡58で反射されたプローブ光L1は、第3ロッド53および第4ロッド54の間の空間を通過する。
【0033】
前記第3収容ブロック57の下方では、第1光学系収容ユニット59が第3ロッド53および第4ロッド54により支持されている。前記第1光学系収容ユニット59の内部には、プローブ光用特性変化光学素子の一例として、第3反射鏡58で反射されたプローブ光L1を平行光(コリメート光)にするコリメーションレンズ(Collimation Lens)61が配置されている。
前記第1光学系収容ユニット59の下方では、第2光学系収容ユニット62が第3ロッド53および第4ロッド54により支持されている。前記第2光学系収容ユニット62の内部には、プローブ光用特性変化光学素子の一例として、コリメーションレンズ61でコリメートされたプローブ光L1から予め設定された特定の高調波(例えば、第2高調波)を発生させる非線形光学素子(Nonlinear Optics)63が収容されている。
【0034】
前記第2光学系収容ユニット62の下方では、第3光学系収容ユニット64が第3ロッド53および第4ロッド54により支持されている。前記第3光学系収容ユニット64の内部には、プローブ光用特性変化光学素子の一例として、非線形光学素子63を通過したプローブ光L1を集光する集光レンズ(Focusing Lens)65が収容されている。
前記第3ロッド53および第4ロッド54の下端には、第4収容ブロック66が支持されている。前記第4収容ブロック66内部には、プローブ光沿面方向反射光学系の一例として、プローブタワー第3反射鏡58よりも支持面23aに接近した位置に配置され且つ支持面23aに接近したプローブ光L1を支持面23aに沿った方向である右方に反射させるプローブタワー第4反射鏡67が収容されている。
【0035】
前記第1支柱42、第1連結部材43,56、各ロッド44,46,53,54および各収容ブロック47,51,57,66により、第2の枠体の一例として、支持面23aに対して離れる方向である上方に延びるプローブタワー41のフレーム68(=42〜44+46+47+51+53+54+56+57+66)が構成されている。
【0036】
図2、図4において、前記プローブタワー41の右方には、プローブタワー第4反射鏡67で反射されたプローブ光L1を前方に反射する第4反射鏡71が支持面23a上に支持されている。
前記第4反射鏡71の前方には、第4反射鏡71で反射されたプローブ光L1を右斜め後方に反射する第5反射鏡72が支持面23a上に支持されている。
前記第5反射鏡72の右斜め後方には、プローブ光用特性変化光学素子の一例として、第5反射鏡72で反射されたプローブ光L1が通過する第2可変減光フィルタ(Variable Neutral Density Filter)73が、支持面23a上に支持されている。
前記第2可変減光フィルタ73の右斜め後方には、第2可変減光フィルタ73を通過したプローブ光L1が通過する第1偏光子(Polarizer)74が、支持面23a上に支持されている。前記第1偏光子74は、直線偏光であるプローブ光L1の偏光方向を任意の方向に変える(半波長板の場合)、または円偏光を作り出す(1/4波長板の場合)ために使用する。
【0037】
図2、図4において、前記第1ビームスプリッタ32の後方には、第1ビームスプリッタ32で分岐されたポンプ光L2を右方に反射する第6反射鏡81が支持面23a上に支持されている。
第6反射鏡81の右方には、ポンプ光用特定変化光学素子の一例として、第6反射鏡81で反射されたプローブ光L2が通過する第3可変減光フィルタ82が支持面23a上に支持されている。
【0038】
図6は実施例1のポンプタワーの要部説明図である。
図2、図4において、前記第3可変減光フィルタ82の右方には、ポンプ光用光学系群装置の一例としてのポンプタワー91が支持面23a上に支持されている。図6において、実施例1のポンプタワー91は、支持面23aに下端部が固定支持され且つ上方に延びる第2支柱92と、前記第2支柱の右方に離れた支持面23aに下端部が固定支持され且つ上方に延びる第3支柱93とを有する。
【0039】
前記第2支柱92の上部には、板状の第2連結部材94が上下一対支持されており、第2連結部材94の左端の隅には、前後一対の第2左側ロッド保持部94aが設けられている。
前記第3支柱93の上部には、板状の第3連結部材95が上下一対支持されており、第3連結部材95の右端の隅には、前後一対の第3右側ロッド保持部95aが設けられている。
各第2左側ロッド保持部94aには、上下方向に延びる前後一対の第6ロッド96が貫通した状態で保持されている。前記各第6ロッド96の更に左側には、第6ロッド96に平行して配置された前後一対の第7ロッド97が配置されている。
【0040】
前記第6ロッド96および第7ロッド97の下端には、直角二等辺三角筒形状の第6収容ブロック98が支持されている。すなわち、第6収容ブロック98も、第1収容ブロック47〜第4収容ブロック66と同様に、2本の第6ロッド96と2本の第7ロッド97により四隅が支持されている。前記第6収容ブロック98内部には、ポンプ光離間方向反射光学系の一例として、第3可変減光フィルタ82を通過したポンプ光L2を支持面23aから離間する方向である上方に反射するポンプタワー第1反射鏡99が収容されている。したがって、実施例1では、ポンプタワー第1反射鏡99で反射されたポンプ光L2は、第6ロッド96および第7ロッド97の間の空間を上方に通過する。
前記第6ロッド96および第7ロッド97の上端には、第7収容ブロック101が支持されている。前記第7収容ブロック101内部には、ポンプタワー第1反射鏡99で反射されたポンプ光L2を右方に反射するポンプタワー第2反射鏡102が収容されている。
【0041】
各第3右側ロッド保持部95aには、上下方向に延びる前後一対の第8ロッド103が貫通した状態で保持されている。前記各第8ロッド103の更に右側には、第8ロッド103に平行して配置された前後一対の第9ロッド104が配置されている。
前記第8ロッド103および第9ロッド104の上端には、第8収容ブロック107が支持されている。前記第8収容ブロック107内部には、ポンプ光接近方向反射光学系の一例として、ポンプタワー第2反射鏡102で反射されたポンプ光L2を支持面23aに接近する方向である下方に反射するポンプタワー第3反射鏡108が収容されている。なお、前記第7収容ブロック101と第8収容ブロック107との間は、左右方向に延びる上下および前後一対で合計4本の連結ロッド105により連結されている。
したがって、実施例1では、ポンプタワー第2反射鏡102で反射されたポンプ光L2は、連結ロッド105の間の空間を通過し、ポンプタワー第3反射鏡108で反射されたポンプ光L2は、第8ロッド103および第9ロッド104の間の空間を通過する。
【0042】
前記第8収容ブロック107の下方では、第4光学系収容ユニット109が第8ロッド103および第9ロッド104により支持されている。前記第4光学系収容ユニット109の内部には、ポンプ光用特性変化光学素子の一例として、ポンプタワー第3反射鏡108で反射されたポンプ光L2を平行光(コリメート光)にするコリメーションレンズ(Collimation Lens)111が配置されている。
前記第4光学系収容ユニット109の下方では、第5光学系収容ユニット112が第8ロッド103および第9ロッド104により支持されている。前記第2光学系収容ユニット112の内部には、ポンプ光用特性変化光学素子の一例として、コリメーションレンズ111でコリメートされたポンプ光L2から予め設定された特定の高調波を発生させる非線形光学素子(Nonlinear Optics)113が収容されている。
【0043】
前記第5光学系収容ユニット112の下方では、第6光学系収容ユニット114が第8ロッド103および第9ロッド104により支持されている。前記第6光学系収容ユニット114の内部には、ポンプ光用特性変化光学素子の一例として、非線形光学素子113を通過したポンプ光L2を集光する集光レンズ(Focusing Lens)115が収容されている。
前記第8ロッド103および第9ロッド104の下端には、第9収容ブロック116が支持されている。前記第9収容ブロック116内部には、ポンプ光沿面方向反射光学系の一例として、ポンプタワー第3反射鏡108よりも支持面23aに接近した位置に配置され且つ支持面23aに接近したポンプ光L2を支持面23aに沿った方向である後方に反射させるポンプタワー第4反射鏡117が収容されている。
【0044】
前記第2支柱92および第3支柱93、各連結部材94,95、各ロッド96,97,103,104,105および各収容ブロック98,101,107,116により、第1の枠体の一例として、支持面23aに対して離れる方向である上方に延びるポンプタワー91のフレーム118(=92〜98+101+103〜105+107+116)が構成されている。また、プローブタワー41およびポンプタワー91により、実施例1の光学系群装置(41+91)が構成されている。
したがって、実施例1では、ポンプタワー91は、図2、図4に示すように、プローブ光L1用の第5反射鏡72や第2可変減光フィルタ73を跨ぐ形となっており、平面図においては下方のプローブ光L1の光路と、ポンプタワー91内で上方のポンプ光L2の光路とが交差するように設定されている。
【0045】
前記ポンプタワー91の右斜め後方には、光学式チョッパー(Optical Chopper)121が支持面23a上に支持されている。前記光学式チョッパー121は、内部に図示しない駆動源を有する回転駆動部121aと、回転駆動部121aに支持され且つポンプ光L2が通過可能な通過溝が形成された回転体121bとを有し、回転駆動部121aの駆動により回転体121bが回転して、予め設定された時間間隔で、ポンプタワー91のポンプタワー第4反射鏡117で反射されたポンプ光L2を通過させたり遮断させたりする。
光学式チョッパー121の後方には、光学式チョッパー121を通過したポンプ光L1を左斜め前方に反射する第7反射鏡122が、支持面23a上に支持されている。
【0046】
前記第7反射鏡122の左斜め前方には、第7反射鏡122で反射されたポンプ光L2が通過する第2偏光子(Polarizer)123が、支持面23a上に支持されている。前記第2偏光子123は、直線偏光であるポンプ光L2の偏光方向を任意の方向に変える(半波長板の場合)、または円偏光を作り出す(1/4波長板の場合)ために使用する。第2偏光子123の左斜め前方には、第2偏光子123を通過したポンプ光L2を試料Sに向かう方向である左斜め後方に反射する第8反射鏡124が、支持面23a上に支持されている。
【0047】
前記第8反射鏡124の左斜め後方且つ第1偏光子74の右斜め後方には、光合流素子の一例として、第1偏光子74を通過したプローブ光L1を左斜め後方に反射すると共に、第8反射鏡124で反射されたポンプ光L2を透過する第2ビームスプリッタ126が支持面23a上に支持されている。したがって、前記第2ビームスプリッタ126でプローブ光L1とポンプ光L2とが合流される。
【0048】
第2ビームスプリッタ126の左斜め後方には、光分岐素子の一例としての第3ビームスプリッタ127が支持面23a上に支持されている。実施例1の第3ビームスプリッタ127は、第2ビームスプリッタ126からのプローブ光L1およびポンプ光L2を透過させると共に、試料S側からの光(後述する試料Sからの反射光)を上方に反射させるように、その反射面が配置されている。
前記第3ビームスプリッタ127の左斜め後方には、照射光学系として、プローブ光L1およびポンプ光L2を集光して試料Sに照射する集光用対物レンズユニット128が支持されている。
前記ベース部材23の透過光検出体支持部23cには、集光用対物レンズユニット128の左斜め後方に対向し且つ試料Sを挟んだ位置に、試料Sを透過したプローブ光L1を平行光にする(コリメートする)コリメート用対物レンズユニット129が支持されている。
前記コリメート用対物レンズユニット129の左斜め後方には、コリメート用対物レンズユニット129を通過した透過光を上方に反射する第9反射鏡131が支持されている。
【0049】
図7は実施例1の検出器の説明図であり、図7Aは選択鏡が画像情報検出位置に移動した状態の平面図、図7Bは検出器が透過光検出器支持部に支持された状態における図7Aの矢印VIIB方向から見た図、図7Cは選択鏡が電子情報検出位置に移動した状態の平面図、図7Dは検出器が透過光検出器支持部に支持された状態における図7Cの矢印VIID方向から見た図である。
図2、図4において、前記反射光検出器支持部23bおよび透過光検出器支持部23cのいずれか一方または両方には、検出器の一例としてのディテクタユニット141が着脱可能に支持される。図7において、実施例1のディテクタユニット141は、平板状のユニットベース142と、前記ユニットベース142からベース部材23に向けて延びてベース部材23の支持面23aに下端が支持される検出器嵩上げ部材の一例としての3本のユニット支持ポール143とを有する。
【0050】
なお、実施例1のユニット支持ポール143の長さは、前記プローブタワー41やポンプタワー91の各ロッド44,46,96,97等よりも短く、ユニットベース142の高さが、各タワー41,91よりも低く設定されている。したがって、ディテクタユニット141は、ユニット支持ポール143により、支持面23aよりも高く且つ各タワー41,91の高さよりも低い位置に保持されており、第4反射鏡71や第2可変減光フィルタ73、第1偏光子74、第2偏光子123、第8反射鏡124、第2ビームスプリッタ126、第3ビームスプリッタ127、コリメート用対物レンズユニット129、第9反射鏡131を跨ぐように装着可能に構成されている。
【0051】
図7Bにおいて、前記ユニットベース142は、後側中央部に試料Sからの反射光または透過光が通過する光通過口142aが形成されている。図7Aにおいて、ユニットベース142は、光通過口142aの右斜め後方に張り出したCCDカメラ支持部142bと、光通過口142aの左斜め前方に張り出した選択鏡支持部142cと、光通過口142aの右斜め前方に設けられたPDA検出器支持部142dと、を有する。
図7B、図7Dにおいて、前記ユニットベース142の下面には、光通過口142aに対応して、通過する光に含まれるポンプ光L2の漏れ光を偏光分離して、カットする偏光フィルタ(polarizer)144が支持されている。前記ユニットベース142の上面には、光通過口142aに対応して、通過する光に含まれるポンプ光L2の漏れ光を波長的にカットするための光学素子である色ガラスフィルタ(color filter)145が支持されている。
【0052】
前記CCDカメラ支持部142bには、画像情報検出器の一例としての固体撮像素子、すなわち、CCDカメラ146が支持されている。前記CCDカメラ146は、入射された透過光または反射光に基づいて画像を撮像する。
前記PDA検出器支持部142dには、ブラケット147を介して、光通過口142aの上方に対応する位置に電子情報検出器の一例としてのPDA検出器(Photo-diode Array Detector)148が支持されている。前記PDA検出器148は、複数のフォトダイオードが右前−左後方向の線上(1次元)に配列された検出器本体148aと、ブラケット147に支持され且つフォトダイオードの配列方向に直交する左前−右後方向に検出器本体148aを移動可能に支持する小型ステージ148bとを有する。したがって、実施例1のPDA検出器148は、小型ステージ148bの操作用の摘み148cを手動で移動させることで、入射された透過光または反射光の光の強度の二次元分布を検出可能である。
【0053】
前記選択鏡支持部142cには、選択鏡装置149が支持されている。前記選択鏡装置149は、図7A、図7Cに示すように右前左後方向に延びるスライド支持体149aと、前記スライド支持体149aに支持され且つスライド支持体149aにより右前左後方向に移動可能な選択鏡スライダ149bと、選択鏡スライダ149bに支持された選択鏡149cと、を有する。したがって、選択鏡スライダ149bが図7Aに示す画像情報検出位置では、図7Bに示すように選択鏡149cが光通過口142aの上方に移動して光通過口142aを通過した光をCCDカメラ146に向けて反射すると共に、選択鏡スライダ149bが図7Aに示す画像情報検出位置から左後方向に移動した図7Cに示す電子情報検出位置では、選択鏡149cが光通過口142aの上方から退避して図7Dに示すように光通過口142aを通過した光をPDA検出器148に通過させる。したがって、選択鏡149cの位置を制御することにより、CCDカメラ146とPDA検出器148のいずれかで選択的に検出を行うことが可能となっている。なお、実施例1では、前記選択鏡スライダ149bは、作業者が手動で、画像情報検出位置と電子情報検出位置との間を移動可能に構成されている。
なお、前記CCDカメラ146、PDA検出器148およびスライド支持体149aは、前記コンピュータPCに電気的に接続されており、コンピュータPCからの入力信号に応じてスライド支持体149aが駆動し、CCDカメラ146やPDA検出器148での検出結果の信号がコンピュータPCに送信され、コンピュータPCのディスプレイPC2に表示される。
【0054】
したがって、ディテクタユニット141が反射光検出器支持部23bに装着された場合、試料Sからの反射光が、第3ビームスプリッタ127で上方に反射され、第3ビームスプリッタ127の上方に支持された結像光学系の一例としての集光レンズ151で集光されて光通過口142aを通過する。光通過口142aを通過した光は、選択鏡149cの領域を通過して、CCDカメラ146またはPDA検出器148で検出される。
また、ディテクタユニット141が透過光検出器支持部23cに装着された場合、試料Sからの透過光が、第9反射鏡131で上方に反射され、第9反射鏡131の上方に支持された結像光学系の一例としての集光レンズ152で集光されて光通過口142aを通過する。光通過口142aを通過した光は、選択鏡149cの領域を通過して、CCDカメラ146またはPDA検出器148で検出される。
【0055】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の時間分解顕微装置21では、放射光X線6が照射されてX線検出装置12でX線回折等の測定が行われる試料Sに対して、パルスレーザー光源装置26から照射されたレーザー光Lが、第1ビームスプリッタ32でプローブ光L1とポンプ光L2に分解される。
ポンプ光L2は、ポンプタワー91を通過して、非線形光学素子113を使用する場合には、そこで予め設定された高調波となり、光学式チョッパー121で断続的な光となる。そして、集光レンズ115や集光用対物レンズ128でスポット径が調節されて、X線が照射されている試料Sに照射される。ポンプ光が照射された試料Sは、照射された部分の材料が励起される。
【0056】
プローブ光L1は、遅延光学系33で、ポンプ光L2の光路長に対するプローブ光L1の光路長が調整されて、遅延される。そして、ポンプタワー41を通過して非線形光学素子63を使用する場合には、そこで予め設定された高調波となり、集光レンズ65や集光用対物レンズ128で予め設定されたスポット径で試料Sに照射される。ポンプ光L2で励起される試料Sに照射されたプローブ光L1の透過光または反射光は、ディテクタユニット141のCCDカメラ146またはPDA検出器148で検出される。したがって、プローブ光L1により、励起された試料Sの状態が探査される。
したがって、X線が照射される試料Sの状態を、パルス幅がフェムト秒のパルスレーザー光Lを使用して、遅延光学系33での時間分解がされて時間分解能の高い時間分解顕微装置21で、高速でモニタリングすることができ、試料Sに変化があると速やかに測定することができる。したがって、物理、化学、生物、材料分野での先端光を利用するシステムに適用することができる。
特に、実施例1の実験装置1では、X線検出装置12による構造情報と、PDA検出器148による電子情報を同時に検出することができる。
【0057】
また、実施例1のポンプ・プローブ型の時間分解顕微装置21では、ポンプ光L2とプローブ光L1の光路の一部がポンプタワー91やプローブタワー41となっており、ポンプタワー91やプローブタワー41に非線形光学素子63,113が配置されている。したがって、ベース部材23の支持面23aに全ての光学素子が二次元的に配置され、光路が二次元的な従来の構成に比べて、実施例1の測定装置1は、光路が3次元化、立体化されており、光学定盤等で構成されるベース部材23の平面的な面積、いわゆるフットプリントを低減することができる。なお、実施例1では、ベース部材23の大きさは、60cm四方以下とすることができ、数m四方であった従来の構成に比べて大幅に小型化することができた。
特に、ポンプタワー91やディテクタユニット141が、タワー構造を採用しており、支持面23a上の光学素子を跨ぐことが可能となっているため、光路が3次元化され、ベース部材23の面積を低減しつつ、プローブ光L1やポンプ光L2、試料Sからの反射光や透過光の光路を確保することが可能になっている。
【0058】
また、小型化されたベース部材23は、軽量化されており、XYZステージ22に載せられる程度に軽量化することができる。なお、実施例1の構成では、XYZステージ22を除いた時間分解顕微装置21の重量は10Kg台とすることができた。したがって、XYZステージ22を作動させることで、プローブ光L1およびポンプ光L2を試料Sに対して位置調節できるようになり、試料Sの任意の位置の測定が容易に実行できる。すなわち、XYZステージ22の作動を制御することで、高い空間分解能で試料Sの任意の位置の測定が可能になっている。
【0059】
さらに、実施例1の時間分解顕微装置21は、従来のポンプ・プローブ型の測定装置に比べて、設置面積が低減でき、軽量化できるため、可搬性を向上できる。したがって、放射光施設を借りて実験を行ったりする場合に設置や撤去の時間を短縮でき、従来の測定装置では設置スペースが不足している場合でも、実施例1の時間分解顕微装置21は設置できる可能性が向上している。
特に、第3世代放射光施設やX−FEL等で、試料Sの周りに、試料SのX線に対する位置の微調整を行うゴニオメータ9やX線検出器12が設けられている場合や、X線コリメータ、試料冷却装置等がさらに設置されている場合には、試料Sの周りに十分なスペースがなく、広い設置面積を必要とする従来の測定装置では、試料Sや試料Sの周囲の装置に干渉せずに設置することが困難であったが、小型・軽量化された実施例1の時間分解顕微装置21は、設置できる可能性が向上している。
【0060】
また、実施例1では、ディテクタユニット141が、反射光検出器支持部23bおよび透過光検出器支持部23cに着脱可能となっており、ディテクタユニット141を共通化でき、コストを削減しつつ、透過光および反射光の一方または両方の検出が可能となっている。
さらに、実施例1では、XYZステージ22や遅延光学系33、CCDカメラ146、PDA検出器148がコンピュータPCに電気的に接続されており、遠隔操作および検出結果の取得ができる。したがって、実験中は立ち入り禁止となるX線ハッチ2内に人が立ち入ることなく、プローブ光L1の遅延時間や、試料Sの測定位置等を操作することができる。
【0061】
(実験例)
実施例1の時間分解顕微装置21において、測定が可能であることを確認するために、実験を行った。
(実験例1)
実験例1では、ポンプ光とプローブ光について、各光が照射された試料表面の領域をCCDカメラ146で撮像した。
試料Sとして、Mn酸化物であるLa0.6Sr0.4MnOを使用した。このMn酸化物は、室温で強磁性金属相を示す。なお、試料S表面は、反射像が乱れないように鏡面研磨している。
レーザー光源装置として、パルス発振のチタン・サファイアレーザーを使用し、具体的には、パルスレーザー発振器としてCoherent社製のMira900、そのパルス増幅装置としてCoherent社製のLegendを使用した。なお、発振されるレーザー光は、パルス幅100fs程度、波長800nm、パルス繰り返し周波数 1kHz、パルスエネルギー 1mJ/pulseであった。
【0062】
ポンプ光L2は、波長800nm(1.55eV)、試料S表面でのスポット径60μm、励起密度1.2mJ/cmとなるように、第3可変減光フィルタ82の回転角や集光レンズ115、集光用対物レンズ128を選択した。なお、実験例1では、非線形光学素子113を取り外して、ポンプ光L2として基本波を使用した。
プローブ光L1は、波長400nm(3.10eV)、試料S表面でのスポット径300μm、励起密度0.08mJ/cmとなるように、第2可変減光フィルタ73の回転角や集光レンズ65、集光用対物レンズ128を選択した。なお、実験例1では、非線形光学素子63を使用して、プローブ光L1として2倍高調波を使用した。
パルス幅は、共に100fs〜200fs程度である。
実験結果を図8に示す。
【0063】
図8は、実験例1の実験結果の説明図であり、図8Aはポンプ光のCCDカメラでの撮像結果の説明図、図8Bはプローブ光のCCDカメラでの撮像結果の説明図である。
図8において、ポンプ光L2が照射される領域を含む広い領域にプローブ光L1が照射されており、ポンプ光L2で励起された試料S表面に対してプローブ光L1が照射されて、試料S表面の測定が可能である。
【0064】
(実験例2)
実験例2では、試料表面に照射されたポンプ光とプローブ光の空間的な強度分布を、PDA検出器148を使用して測定した。
実験例2では、PDA検出器148として、リニアフォトダイオードアレイ検出器を使用した。
実験結果を図9に示す。
【0065】
図9は実施例1のポンプ・プローブ型の測定装置の実験結果の説明図であり、図9Aはポンプ光の照射位置と規格化強度の説明図、図9Bはプローブ光の照射位置と規格化強度の説明図である。
図9において、ポンプ光L2やプローブ光L1が照射された領域の中心の座標(x、y)=(0、0)とし、最大強度を1として光の強度を規格化(正規化)した。図9に示すように、ポンプ光L2ではスポット径が、プローブ光の径よりも小さくなっている。
【0066】
(実験例3)
実験例3では、ポンプ光による励起スポット領域における反射率の変化を測定した。
すなわち、ポンプ光L2が照射されると試料S上に生じたプラズマ吸収端のシフトにより、励起スポット領域で反射率の変化が生じ、これをプローブ光L1の光の変化として、PDA検出器148で検出する。
具体的には、Mn酸化物La0.6Sr0.4MnOは、室温で強磁性金属相を取るが、一般に金属状態では、自由電子によるプラズマ振動が生じ、プラズマ振動数νより小さい光は全反射され、プラズマ振動数ν付近ではプラズマ吸収が生じる。
プラズマ振動数νは、以下の式(1)で表される。
ν=(1/2π)(Ne/εm*)1/2 …式(1)
なお、Nは自由電子密度、eは電子の電荷、εは真空の誘電率、m*は電子の質量である。したがって、プラズマ吸収は電子の数に依存する。自由電子密度1×1021cm−3(金属での典型的な値)では、プラズマ吸収端は〜1μm程度となり、この辺りがプラズマ吸収の端(プラズマ吸収端)となる。そして、光励起により、自由電子数が増加すると、このプラズマ吸収端はそれに応じて短波長側へとシフトする。
【0067】
また、実験例3では、PDA検出器148は、実験例2と同様のものを使用した。
なお、実験例3では、ポンプ光L2による励起スポット領域の反射率変化を、遅延時間を変えて測定した。
また、実験例3では、座標(x、y)=(0、0)を中心としてX軸方向の反射率変化を、遅延時間を変えて測定した。なお、実施例1の時間分解顕微装置21では、プローブ光L1のスポット径内の範囲であれば、反射率の空間的な変化、伝搬過程を測定可能であるが、実験例3では、検出可能なレベルの空間的な変化は測定されていない。
実験結果を図10に示す。
【0068】
図10は実施例1のポンプ・プローブ型の測定装置の実験結果の説明図であり、図10Aは試料の反射率変化と照射位置と遅延時間との関係の説明図、図10Bは位置(x、y)=(0、0)における縦軸に反射率変化を取り横軸に遅延時間を取ったグラフである。
図10において、遅延時間が0以下の場合は、反射率Rの変分ΔRを反射率で割った反射率変化ΔR/Rは、ΔR=0のため0であったが、遅延時間を0以上に長くしていくと、反射率の変化が観測された。
なお、この測定結果は、公知文献(Physical Review B 68, 180407R (2003))の報告と整合しており、実施例1の時間分解顕微装置21での測定結果に信頼性があることが確認された。
【0069】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、プローブタワー41およびポンプタワー91のフレーム68、118の構成は、収容部どうしを連結するロッドによる構成を例示したが、この構成に限定されず、プレートを連結した構成や筒状の構成等、任意の構成を採用することが可能である。
【0070】
(H02)前記実施例において、ディテクタユニット141の構成は、ベース部材23に対して着脱可能な構成であることが望ましいが、着脱不能に固定することも可能である。また、透過光検出用のディテクタユニットと、反射光透過用のディテクタユニットとを共通化することが望ましいが、別個の構成で作製することも可能である。また、ディテクタユニット141は、支持面23aに対して高床式の構造となっているが、この構成に限定されず、支持面23a上にCCDカメラ126やPDA検出器128等を支持することも可能である。
(H03)前記実施例において、遅延光学系33は、支持面23a上に配置したが、この構成に限定されず、例えば、プローブタワー内に配置することも可能である。
【0071】
(H04)前記実施例において、光学素子として、可変減光フィルタや36,73,82や偏光子74,123、アイリス27,29等は、設計や目的、用途等に応じて、減らしたり、他の光学素子を追加することも可能である。
(H05)前記実施例において、ベース部材23の形状は、実施例に例示した形状に限定されず、設置スペースや他の部材との関係等に応じて、任意の形状に変更可能である。また、反射光検出器支持部23bおよび透過光検出器支持部23cの両方を設けたが、例えば、透過光の検出が不要な場合、透過光検出器支持部を省略し、ベース部材23の形状を簡素化することも可能である。
【0072】
(H06)前記実施例において、ポンプタワー91およびプローブタワー41において、4つの反射鏡を使用して、支持面23aから垂直に離れる方向、支持面23aに平行な方向、支持面23aに接近する方向の順に光の進行方向を変化させる構成を例示したが、この構成に限定されず、反射鏡(光学系)の数は、5つ以上や3つ等の任意の数とすることが可能である。
例えば、支持面23aから斜めに離れる方向(支持面23aの法線方向成分と、面に沿った方向成分とを有する方向)に反射する反射鏡(ポンプ光離間方向反射光学系またはプローブ光離間方向反射光学系)と、支持面23aに対して斜めに接近する方向に反射する反射鏡(ポンプ光接近方向反射光学系またはプローブ光接近方向反射光学系)と、斜めに接近した光を支持面23aに沿った方向に反射する反射鏡(ポンプ光沿面方向反射光学系またはプローブ光沿面方向反射光学系)と、からなる3つの反射鏡とすることも可能である。
【0073】
(H07)前記実施例において、ポンプ光用のポンプタワー91と、プローブ光用のプローブタワー41の両方を備えた構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、プローブ光L1用の全ての光学素子が支持面23a上に配置可能であれば、プローブタワー41を省略して、ポンプタワー91のみの構成としたり、逆に、ポンプ光L2用の全ての光学素子を支持面23a上に配置可能であれば、ポンプタワー91を省略して、プローブタワーのみとすることも可能である。
(H08)前記実施例において、PDA検出器148や選択鏡149cは、小型ステージ148bや選択鏡スライダ149bにより手動で移動可能に構成されたが、この構成に限定されず、モータ等の駆動装置を使用して、コンピュータPCからの遠隔操作で自動的に移動させたりする等の構成を採用することも可能である。
(H09)前記実施例において、非線形光学素子63,113を両方設ける構成を例示したが、使用する高調波に応じて、実験例で示すように一方の非線形光学素子を省略することも可能である。また、特性変化光学素子として、非線形光学素子以外の光学素子を追加することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
21…ポンプ・プローブ型の測定装置、
23…ベース部材、
23a…支持面、
23b…反射光検出器支持部、
23c…透過光検出器支持部、
26…パルスレーザー光源装置、
32…光分岐光学素子、
33…遅延光学系、
33,61,63,65…プローブ光用特性変化光学素子、
33,61,63,65,111,113,115…特性変化光学素子、
33b…スライダ、
33c,33d…遅延光学部材、
41…プローブ光用光学系群装置、
41,91…光学系群装置、
48…プローブ光離間方向反射光学系、
48,99…離間方向反射光学系、
58…プローブ光接近方向反射光学系、
58,108…接近方向反射光学系、
67…プローブ光沿面方向反射光学系、
67,117…沿面方向反射光学系、
68…第2の枠体、
68,118…枠体、
91…ポンプ光用光学系群装置、
99…ポンプ光離間方向反射光学系、
108…ポンプ光接近方向反射光学系、
111,113,115…ポンプ光用特性変化光学素子、
117…ポンプ光沿面方向反射光学系、
118…第1の枠体、
128…照射光学系、
141…検出器、
L…パルスレーザー光、
L1…プローブ光、
L2…ポンプ光、
S…試料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の支持面を有するベース部材と、
前記支持面に沿った光路を通過するパルスレーザー光を照射するパルスレーザー光源装置と、
前記ベース部材に支持され、且つ、前記パルスレーザー光源装置からのパルスレーザー光を、試料を励起するポンプ光と、励起された試料の状態を探査するプローブ光とに分岐させる光分岐光学素子と、
前記ベース部材に支持され且つ前記支持面から離れる方向に延びる枠体と、光分岐光学素子で分岐されたポンプ光およびプローブ光のいずれか一方の光を前記支持面から離れる方向に反射する離間方向反射光学系と、前記離間方向反射光学系よりも前記支持面から離れた位置で前記枠体に支持され且つ前記支持面から離れる方向に進む光を前記支持面に近づく方向に反射する接近方向反射光学系と、前記接近方向反射光学系よりも前記支持面に接近した位置に配置され且つ前記支持面に接近した光を前記支持面に沿った方向に反射させる沿面方向反射光学系と、通過する前記光を予め設定された光学特性に変化させる特性変化光学素子と、を有し、前記ベース部材の支持面に支持された光学系群装置と、
前記光学系群装置から出力された前記ポンプ光およびプローブ光のいずれか一方と、前記ポンプ光およびプローブ光のいずれか他方と、を試料に対して照射する照射光学系と、
前記試料からの光を検出する検出器と、
を備えたことを特徴とするポンプ・プローブ型の測定装置。
【請求項2】
前記ベース部材に支持され且つ前記支持面から離れる方向に延びる第1の枠体と、光分岐光学素子で分岐されたポンプ光を前記支持面から離れる方向に反射するポンプ光離間方向反射光学系と、前記ポンプ光離間方向反射光学系よりも前記支持面から離れた位置で前記第1の枠体に支持され且つ前記支持面から離れる方向に進むポンプ光を前記支持面に近づく方向に反射するポンプ光接近方向反射光学系と、前記ポンプ光接近方向反射光学系よりも前記支持面に接近した位置に配置され且つ前記支持面に接近したポンプ光を前記支持面に沿った方向に反射させるポンプ光沿面方向反射光学系と、通過する前記ポンプ光を予め設定された光学特性に変化させるポンプ光用特性変化光学素子と、を有し、前記ベース部材の支持面に支持されたポンプ光用光学系群装置と、
前記ベース部材に支持され且つ前記支持面から離れる方向に延びる第2の枠体と、光分岐光学素子で分岐されたプローブ光を前記支持面から離れる方向に反射するプローブ光離間方向反射光学系と、前記プローブ光離間方向反射光学系よりも前記支持面から離れた位置で前記第2の枠体に支持され且つ前記支持面から離れる方向に進むプローブ光を前記支持面に近づく方向に反射するプローブ光接近方向反射光学系と、前記プローブ光接近方向反射光学系よりも前記支持面に接近した位置に配置され且つ前記支持面に接近したプローブ光を前記支持面に沿った方向に反射させるプローブ光沿面方向反射光学系と、通過する前記プローブ光を予め設定された光学特性に変化させるプローブ光用特性変化光学素子と、を有し、前記ベース部材の支持面に支持されたプローブ光用光学系群装置と、
を有する前記光学系群装置、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のポンプ・プローブ型の測定装置。
【請求項3】
前記ベース部材の支持面に支持され且つ前記プローブ光の光路上に配置されてプローブ光を反射する遅延光学部材と、前記遅延光学部材を支持し且つプローブ光の光路長を伸縮する方向に前記遅延光学部材を移動させるスライダと、を有し、前記プローブ光の光路長を伸縮することで、前記ポンプ光に対して前記プローブ光を遅延させる遅延光学系を含む前記プローブ光用特性変化光学素子、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のポンプ・プローブ型の測定装置。
【請求項4】
前記ポンプ光離間方向反射光学系と、前記ポンプ光接近方向反射光学系と、前記ポンプ光沿面方向反射光学系と、を支持する前記第1の枠体と、
前記プローブ光離間方向反射光学系と、前記プローブ光接近方向反射光学系と、前記プローブ光沿面方向反射光学系と、を支持する前記第2の枠体と、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載のポンプ・プローブ型の測定装置。
【請求項5】
前記試料に照射された前記ポンプ光及びプローブ光の透過光が通過する光路上に設定された透過光検出器支持部と、前記試料に照射された前記ポンプ光及びプローブ光の反射光が通過する光路上に設定された反射光検出器支持部と、を有する前記支持面と、
前記透過光検出器支持部および前記反射光検出器支持部に着脱可能な前記検出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポンプ・プローブ型の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−204023(P2010−204023A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52199(P2009−52199)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度〜平成20年度、文部科学省、科学技術試験研究委託事業に関する委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】