説明

ポンプ装置

【課題】電動モータの動力がプーリとベルトによってポンプ本体に伝達される装置構成にあって冷却機構等が好適に組み込まれたポンプ装置を提供すること。
【解決手段】回転駆動型のポンプ本体10と、ポンプ本体10の回転軸11に固定されて電動モータ20の駆動力がベルト15を介して伝達される従動プーリ40とを備えるポンプ装置であって、ポンプ本体10を冷却するように気流を発生させるべく、従動プーリ40のポンプ本体10側の端面41に固定されて回転軸11の軸心と実質的に直交する方向へ気流を案内する心板部51と、心板部51のポンプ本体10側に設けられた複数の羽根52とを備え、ポンプ本体10の回転軸11と軸心を同軸にして共に回転するように設けられた遠心ファン型の羽根車50と、羽根車50を覆うと共に空気が排出される排出口31を有するファンカバー30とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータによって駆動される回転駆動型のポンプ本体と、該ポンプ本体の回転軸に固定されて前記電動モータの駆動力がベルトを介して伝達される従動プーリとを備えるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人によれば、図11に示すように、ポンプ本体110の回転軸111と電動モータ120の回転軸121がカップリング140によって直列に連結された回転軸の直列連結部115と、ポンプ本体110と電動モータ120が直列に配置されるようにその両者の間に連結され且つ直列連結部115を内蔵するように筒状に形成された筒状ジョイント130と、直列連結部115に回転軸111、121と軸心を同軸にして共に回転するように固定された遠心ファン型の羽根車150とを備える低運転音型のポンプ装置が提案されている。
【0003】
このポンプ装置では、図11に矢印で示すように、冷却用の空気は、吸引口133から吸入され、絞り部132によって羽根車150の中心側方向へ案内される。そして、羽根車150の回転によって発生された空気流が、ポンプ本体110の周囲を通るように、筒状ジョイント130から排出される。これによって、ポンプ本体110を冷却することができる。
【0004】
また、真空ポンプ本体の周囲と回転軸の直列連結部とを防音壁で囲んだ真空発生装置の防音機構が、本出願人によって開示されている(特許文献1参照)。この真空発生装置においては、真空ポンプ本体を冷却するために遠心ファン型の羽根車が装着されており、その羽根車の吸気側で空気の流れを案内する絞り部が、防音壁側に設けられている。
以上のポンプ装置は、ポンプ本体の回転軸と電動モータの回転軸がカップリングによって連結されることで電動モータの動力がポンプ本体に伝達される装置である。
【特許文献1】特開2001−115961号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプ装置に関して解決しようとする問題点は、電動モータの動力がプーリとベルトによってポンプ本体に伝達される装置については、カップリングによって動力を伝達する装置に匹敵するような冷却機構等が提案されていない点にある。
そこで本発明の目的は、電動モータの動力がプーリとベルトによってポンプ本体に伝達される装置構成にあって冷却機構等が好適に組み込まれたポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、電動モータによって駆動される回転駆動型のポンプ本体と、該ポンプ本体の回転軸に固定されて前記電動モータの駆動力がベルトを介して伝達される従動プーリとを備えるポンプ装置であって、前記ポンプ本体を冷却するように気流を発生させるべく、前記従動プーリのポンプ本体側の端面に固定されて前記回転軸の軸心と実質的に直交する方向へ気流を案内する心板部と、該心板部の前記ポンプ本体側に設けられた複数の羽根とを備え、前記ポンプ本体の回転軸と軸心を同軸にして共に回転するように設けられた遠心ファン型の羽根車と、該羽根車を覆うと共に空気が排出される通気部を有するファンカバーとを具備する。
【0007】
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記ポンプ本体の周りを囲む本体カバーによって、該ポンプ本体の周壁との間に冷却用空気を流通できる通気用空隙が設けられ、該通気用空隙から前記羽根車によって空気を吸引して冷却用空気の気流を発生させるべく、前記通気用空隙と前記羽根車の内空間とが連通されていることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記羽根車が、前記複数の羽根の前記ポンプ本体側で且つ外周部にリング状に設けられて気流を絞るように案内するリング板部を備えることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記羽根車において、前記心板部が実質的に円板状に形成され、該心板部の外径よりも前記リング板部の内径が大きく形成されていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記羽根車を前記従動プーリのポンプ本体側の端面にネジによって固定すべく、該従動プーリの端面に雌ネジ部と該雌ネジ部に同心の座グリ部が設けられ、前記心板部にネジを通す貫通孔と該貫通孔に同心で前記座グリ部に嵌って位置決めをする凸部が設けられていることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記ポンプ本体が、2台並設され、1台の電動モータによって、該電動モータの駆動回転軸に固定された駆動プーリと、前記ポンプ本体の回転軸のそれぞれに固定された各従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に掛け回された各ベルトとを介して駆動され、前記羽根車が前記各従動プーリのそれぞれに前記心板部を介して固定されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記ファンカバーが、前記羽根車の回転によって空気を回転軸の軸心と同心円の実質的に接線方向へ排出するように、該ファンカバーを構成する壁の一部分に設けた排出口と、該排出口へ空気を案内するように前記接線方向へ延びる案内壁とを備えることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記ファンカバーの排出口が、対角位置である一方の側壁上部と他方の側壁下部の2箇所にそれぞれ設けられ、前記案内壁が、2箇所の前記排出口に対応して2箇所に設けられ、前記羽根車の外周との間隔が一方の排出口近傍から他方の排出口へ向けて漸次拡大するように設けられていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記ファンカバーには、前記羽根車が配された空間と、前記従動プーリ及び前記ベルトが配された空間とを分離する仕切り板部が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記駆動プーリが、2つの前記従動プーリの間に配置され、前記駆動プーリと、2つの前記従動プーリ及び2つの前記ベルトを覆うベルトカバーが、前記3つのプーリの配置方向について2つに分割可能で且つ嵌め合い関係に設けられた一対の半割カバー部材によって構成されていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるポンプ装置の一形態によれば、前記一対の半割カバー部材が、両サイドからスライドされて装着され、中央部で嵌め合わされるように、前記ファンカバーの仕切り板部の電動モータ側の板面に、前記プーリの配置方向に延設された案内レールが設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるポンプ装置によれば、電動モータの動力がプーリとベルトによってポンプ本体に伝達される装置構成にあって冷却機構等を好適に組み込むことができるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかるポンプ装置について最良の形態例を添付図面(図1〜10)に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のポンプ装置の一形態を示す側方から見た断面図である。図2は図1のポンプ装置を上方から見た断面図である(ベルト15を省略して記載)。図3は図1のポンプ装置に吸気ケース及び排気ケースを装着した全体装置の斜視図である。図4は図1のA−A断面図であり、図5は図1のB−B断面図である。また、図6は、図1のポンプ装置に用いられた遠心ファン型の羽根車を示す斜視図である。図7は、図6の羽根車を裏面側から見た斜視図である。
【0014】
このポンプ装置は、電動モータ20によって駆動される回転駆動型のポンプ本体10と、そのポンプ本体10の回転軸11に固定されて電動モータ20の駆動力がベルト15を介して伝達される従動プーリ40とを備える。本形態例では、二台のポンプ本体10、10が並設され、一台の電動モータ20で駆動される。
本形態例のポンプ本体10は、ベーンを備えるロータリー式のポンプであり、電動モータ20等の駆動手段によって稼動する。また、このポンプ装置は、無給油式のポンプであり、真空ポンプとして利用されると共に、排気を製品気体とすれば、ブロア装置として用いることができる。
なお、図3に示すように、17はフィルタが内蔵可能な吸気ケースであり、これを介して気体がポンプ本体へ吸入される。また、18は消音構造等が内蔵される排気ケースであり、これを介して気体がポンプ本体10から吐出される。なお、図9に示すように、17aはポンプ本体10の吸気口であり、吸気ケース17に接続される。また、18aはポンプ本体10の排気口であり、排気ケース18に接続される。
【0015】
50は遠心ファン型の羽根車であり、ポンプ本体10を冷却するように気流を発生させるべく、従動プーリ40のポンプ本体10側の端面41に固定されて回転軸11の軸心と実質的に直交する方向へ気流を案内する心板部51と、その心板部51のポンプ本体10側の板面に設けられた複数の羽根52とを備え、ポンプ本体10の回転軸11と軸心を同軸にして共に回転するように設けられている。
回転軸11は、羽根車50が配設され、従動プーリ40が固定できるように、電動モータ20側へ延長されている。
【0016】
羽根車50には、複数の羽根52のポンプ本体10側で且つ外周部にリング状に設けられて気流を絞るように案内するリング板部53が設けられている。
このように形成された羽根車50によれば、遠心ファンの原理で冷却用の空気流を好適に発生させることができる。また、後述するファンカバー30や本体カバー70の側に空気の流れを狭める絞り部を設けなくてよい。従って、そのファンカバー30や本体カバー70は、図1等から明らかなように簡易な形状となり、簡易な型によって製造できる。
【0017】
また、この羽根車50においては、図6及び図7に示すように心板部51が実質的に円板状に形成され、その心板部51の外径よりもリング板部53の内径が大きく形成されている。さらに、各羽根52の空気の案内面は、羽根車50の軸心と平行な面になっている。
従って、この羽根車50は、簡易な金型で成形できる形態となっている。つまり、成形型の型を割る方向が羽根車50の軸線方向の一方向でよいため、射出成形機による樹脂成形が可能となり、製造コストを低減できる。
なお、58は回転軸11を通す孔である。
【0018】
以上の構成によるポンプ装置によれば、図2に矢印で示すように、冷却用の空気(外気)が、ポンプ10本体の周囲を通って、リング板部53に案内されて羽根車50の中心側方向へ案内される。そして、羽根車50によって吸引され、回転する羽根車50の遠心力によって生ずる空気流が心板部51と後述する仕切り板部35によって案内され、ファンカバー30に設けられた通気部である排出口31を通って排出される(図5の空気の流れを示す矢印参照)。排出口31は、ファンカバー30の側壁であって、羽根車50が配置された位置に対応して設けられ、回転軸11の軸心に直交する径方向へ空気が流れ出るように開口している。なお、ファンカバー30の詳細については後述する。
これによれば、遠心ファンの原理によって、風切り音が軸流ファンに比べて小さく低騒音で、且つ必要な静圧を生じさせて装置を冷却するための風量を得ることができる。
【0019】
また、70は本体カバーであり、ポンプ本体10の周りを囲む防音壁となっている。この本体カバー70によって、そのポンプ本体10の周壁12との間に冷却用空気を流通できる通気用空隙75が設けられている。
そして、この通気用空隙75から羽根車50によって空気を吸引して冷却用空気の気流を発生させるべく、通気用空隙75と羽根車50の内空間50aとが連通部13によって連通されている。なお、本体カバー70の底状に形成された端面壁部71には、外気を取り入れるための吸入口が適宜設けられている。また、本体カバー70の上面で中央付近から端面壁部71側の部分には、開口77が設けられており、この部分からも冷却用の空気が通気用空隙75へ流入する(図1、9参照)。
これにより、冷却用空気をポンプ本体10の周壁12外面に沿わせて効率よく通気させることができ、冷却性能を向上できる。
【0020】
また、本形態例では、ポンプ本体10が、2台並設され、1台の電動モータ20によって、その電動モータ20の駆動回転軸21に固定された駆動プーリ22と、ポンプ本体10の回転軸11のそれぞれに固定された各従動プーリ40、40と、駆動プーリ22と従動プーリ40との間に掛け回された各ベルト15、15とを介して駆動される。そして、羽根車50が各従動プーリ40、40のそれぞれに心板部51を介して固定されている。
これによれば、複数のポンプ本体10が配設されたポンプ装置においても、冷却機構や防音機構を好適に組み込むことができる。
【0021】
次に、図1、2及び6〜8等に基づいて、羽根車50を従動プーリ40に固定する構造について詳細に説明する。図8は、図1の要部を拡大した断面図である。
図1、2及び8に示すように、羽根車50は、従動プーリ40のポンプ本体10側の端面41にネジ(本形態例では3本のボルト45)によって固定されている。
【0022】
従動プーリ40のポンプ本体10側の端面41には、雌ネジ部42とその雌ネジ部42に同心の座グリ部43(図8参照)が、複数設けられている。
なお、47はキー溝であり、従動プーリ40を回転軸11に連結するために用いられる(図8参照)。また、48は回転軸11が嵌る貫通孔である。
【0023】
また、羽根車50の心板部51には、図6及び図7に示すようにボルト45を通す貫通孔54とその貫通孔54に同心でカップリング40の座グリ部43に嵌って位置決めをする凸部55が複数設けられている。なお、本形態例の凸部55は、ドーナツ形の周縁状に成形されているが、これに限定されることはなく、座グリ部43と嵌りあって位置決めが可能なものであればよい。
【0024】
以上の羽根車50を装着するための構成によれば、他に特別な係合構造を設ける必要なく、容易に形成できる。特に座グリ部43の成形工程は、雌ネジ部42を設ける際の加工を若干延長するだけの工程で容易に行うことができる。また、心板部51の凸部55を成形する金型の製造も容易であり、製造コストを低減できる。
さらに、凸部55が、ボルト45を通す貫通孔54と同心に設けられており、装着の際にボルト45によって締め付けられるため、座グリ部43へ確実に嵌った状態で確実に固定される利点もある。
【0025】
次にファンカバー30の詳細について、図1〜5等に基づいて詳細に説明する。
このファンカバー30は、羽根車50を覆うと共に空気が排出される通気部である排出口31を有する。
本形態例のファンカバー30は、羽根車50の回転によって空気を回転軸11の軸心と同心円の実質的に接線方向へ排出するように、そのファンカバー30を構成する壁の一部分に設けた排出口31と、その排出口31へ空気を案内するように前記接線方向へ延びる案内壁32とを備えている(図5参照)。
これによれば、冷却用の空気の流れを好適に導き、通気抵抗を上昇させないで効率よく排気することができ、冷却性能を向上できる。また、適切な強度を備えた形状のファンカバー30をコンパクトに構成できる。さらに、ポンプ本体10の周りを囲む防音壁の一部にもなっている。
また、本形態例のファンカバー30は、ポンプ本体10のサイドプレート14に直接固定されている。このため、案内壁32等を適切な位置へ高精度に配することができ、所望の性能を確実に得ることができる。
【0026】
また、本形態例のファンカバー30の排出口31は、対角位置である一方の側壁上部30aと他方の側壁下部30bの2箇所(図4参照)にそれぞれ設けられている。そして、案内壁32が、2箇所の排出口31に対応して2箇所に設けられ、羽根車50の外周との間隔が一方の排出口31近傍から他方の排出口31へ向けて漸次拡大するように設けられている(図5参照)。なお、本形態例の排出口31は、複数の水平方向に長いスリット状の開口によって形成されている。
これにより、冷却用の空気の排気について、方向性をつけることができ、適正な方向へ排気することができる。特に、本形態例のようなポンプ本体10が2台並設された場合において、隣り合うファンカバー30の排出口31同士が、向き合う位置関係になることを回避でき、効率よく冷却用の空気を排気できる(図5の空気の流れを示す矢印参照)。
なお、ファンカバー30の取り付け方向は、本形態例の排出口31のように水平方向へ開口することに限定されることはなく、他の方向へ向けることができるのは勿論である。
【0027】
また、ファンカバー30には、図1等に示すように、羽根車50が配された空間と、従動プーリ40及びベルト15が配された空間とを分離する仕切り板部35が設けられている。本形態例では、駆動プーリ22が2つの従動プーリ40、40の間に配置され、羽根車50が配された空間と仕切られるように、仕切り板部35が設けられている。
これによれば、熱に弱いベルト15側へ、ポンプ本体10を冷却して加熱された空気が流入することを遮って、そのベルト15を保護することができる。装置の耐久性を向上させ、可動効率を向上できる。
【0028】
また、60はベルトカバーであり、駆動プーリ22と、2つの従動プーリ40、40及び2つのベルト15、15を覆う。
このベルトカバー60は、前記3つのプーリ22、40、40の配置方向について2つに分割可能で且つ嵌め合い関係に設けられた一対の半割カバー部材61、62によって構成されている。なお、63は開口部であり、一対の半割カバー部材61、62の合せ部において、回転軸21を通すように開口している。
このように、ベルトカバー60が半割に形成されていることで、電動モータ20の駆動回転軸21に干渉することなく、好適に装着することができる。
【0029】
一対の半割カバー部材61、62が、両サイドからスライドされて装着され、中央部で嵌め合わされるように、ファンカバー30の仕切り板部35の電動モータ20側の板面に、プーリ22、40、40の配置方向に延設された案内レール65が設けられている。なお、64はロック部であり、一対の半割カバー部材61、62同士を締結して仕切り板部35上に適切に固定する連結固定手段となっている。
これによれば、一対の半割カバー部材61、62を、好適且つ容易に装着することができる。なお、66は通気孔であり、ベルトカバー60の側部に開口している。
【0030】
次に、本体カバー70に関して、より効果的にポンプ本体10を冷却できる構造を、図1、8〜10に基づいて説明する。図9は図1の平面図であり、図10は図1の底面図である。
本形態例の本体カバー70は、樹脂製であり、樹脂成型によって量産される形態となっている。また、ポンプ本体10は、ベーンを備えるロータリー式のポンプであり、その周壁12が金属材で形成されている。
80は支持部材であり、ポンプ本体10が載置されるようにフレーム状の金属材によって形成されている。この支持部材80の接触部81が、本体カバー70に設けられた貫通部72からその本体カバー70の内部に進入した状態でポンプ本体10の周壁12に接触している。
これによれば、伝熱性能が高い金属材同士で接触することになり、伝導伝熱によって好適に放熱がなされる。従って、ポンプ本体10をより効果的に冷却できる。
【0031】
また、本体カバー70の上面壁の少なくとも一部が、通気用空隙75に面する下面と外部に面する上面を備える金属材の放熱板部73によって形成されている
これによれば、放熱性能が高い金属材の放熱板部73であるため、強制を含む対流による放熱によって好適に放熱がなされる。従って、ポンプ本体10をより効果的に冷却できる。
【0032】
以上の構成から成る放熱構造は、電動モータによって駆動される回転駆動型のポンプ本体10と、そのポンプ本体10の回転軸11及び前記電動モータの回転軸とを連結するカップリング(図示せず)とを備えるポンプ装置にあっても好適に適用でき、同等の効果を得ることができる。
なお、カップリングより動力を伝達する構成の場合、前記遠心ファン型の羽根車50は、その心板部51がカップリングの端面のいずれかに固定されることで、ポンプ本体10の回転軸11と軸心を同軸にして共に回転するように装着できる。
【0033】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るポンプ装置の形態例を示す側方から見た断面図である。
【図2】図1のポンプ装置を上方から見た断面図である。
【図3】図1のポンプ装置に吸気と排気のケースを装着した全体斜視図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図1のポンプ装置に用いられた遠心ファン型の羽根車を示す斜視図である。
【図7】図6の羽根車を裏面側から見た斜視図である。
【図8】図1の要部を拡大した断面図である。
【図9】図1の平面図である。
【図10】図1の底面図である。
【図11】比較技術を示す一部断面を含む側面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ポンプ本体
11 回転軸
12 周壁
15 ベルト
20 電動モータ
21 駆動回転軸
22 駆動プーリ
30 ファンカバー
31 排出口
32 案内壁
35 仕切り板部
40 従動プーリ
41 端面
42 雌ネジ部
43 座グリ部
50 羽根車
51 心板部
52 羽根
53 リング板部
60 ベルトカバー
61 半割カバー部材
62 半割カバー部材
65 案内レール
70 本体カバー
73 放熱板部
75 通気用空隙
80 支持部材
81 接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータによって駆動される回転駆動型のポンプ本体と、該ポンプ本体の回転軸に固定されて前記電動モータの駆動力がベルトを介して伝達される従動プーリとを備えるポンプ装置であって、
前記ポンプ本体を冷却するように気流を発生させるべく、前記従動プーリのポンプ本体側の端面に固定されて前記回転軸の軸心と実質的に直交する方向へ気流を案内する心板部、及び該心板部の前記ポンプ本体側に設けられた複数の羽根を備え、前記ポンプ本体の回転軸と軸心を同軸にして共に回転するように設けられた遠心ファン型の羽根車と、
該羽根車を覆うと共に空気が排出される通気部を有するファンカバーとを具備することを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記ポンプ本体の周りを囲む本体カバーによって、該ポンプ本体の周壁との間に冷却用空気を流通できる通気用空隙が設けられ、
該通気用空隙から前記羽根車によって空気を吸引して冷却用空気の気流を発生させるべく、前記通気用空隙と前記羽根車の内空間とが連通されていることを特徴とする請求項1記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記羽根車が、前記複数の羽根の前記ポンプ本体側で且つ外周部にリング状に設けられて気流を絞るように案内するリング板部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記羽根車において、前記心板部が実質的に円板状に形成され、該心板部の外径よりも前記リング板部の内径が大きく形成されていることを特徴とする請求項3記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記羽根車を前記従動プーリのポンプ本体側の端面にネジによって固定すべく、該従動プーリの端面に雌ネジ部と該雌ネジ部に同心の座グリ部が設けられ、前記心板部にネジを通す貫通孔と該貫通孔に同心で前記座グリ部に嵌って位置決めをする凸部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記ポンプ本体が、2台並設され、1台の電動モータによって、該電動モータの駆動回転軸に固定された駆動プーリと、前記ポンプ本体の回転軸のそれぞれに固定された各従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に掛け回された各ベルトとを介して駆動され、前記羽根車が前記各従動プーリのそれぞれに前記心板部を介して固定されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記ファンカバーが、前記羽根車の回転によって空気を回転軸の軸心と同心円の実質的に接線方向へ排出するように、該ファンカバーを構成する壁の一部分に設けた排出口と、該排出口へ空気を案内するように前記接線方向へ延びる案内壁とを備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記ファンカバーの排出口が、対角位置である一方の側壁上部と他方の側壁下部の2箇所にそれぞれ設けられ、
前記案内壁が、2箇所の前記排出口に対応して2箇所に設けられ、前記羽根車の外周との間隔が一方の排出口近傍から他方の排出口へ向けて漸次拡大するように設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記ファンカバーには、前記羽根車が配された空間と、前記従動プーリ及び前記ベルトが配された空間とを分離する仕切り板部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記駆動プーリが2つの前記従動プーリの間に配置され、
前記駆動プーリと、2つの前記従動プーリ及び2つの前記ベルトを覆うベルトカバーが、前記3つのプーリの配置方向について2つに分割可能で且つ嵌め合い関係に設けられた一対の半割カバー部材によって構成されていることを特徴とする請求項6記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記一対の半割カバー部材が、両サイドからスライドされて装着され、中央部で嵌め合わされるように、前記ファンカバーの仕切り板部の電動モータ側の板面に、前記プーリの配置方向に延設された案内レールが設けられていることを特徴とする請求項10記載のポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−163907(P2008−163907A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356693(P2006−356693)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】