説明

ポータブル型車両番号認識装置およびポータブル型車両番号認識装置による車両番号認識方法

【課題】
本発明の目的は、車両情報取得効率の高いポータブル型車両番号認識装置およびポータブル型車両番号認識装置による車両番号認識方法を提供することである。
【解決手段】
本発明のポータブル型車両番号認識装置は、車載して使用することができることを前提に形態および重量が規定されている。撮像対象となる車両の取得したい情報別に、互いに異なる最適な波長を用いて当該車両の画像を取得する複数の撮像装置を備える撮像部と、上記複数の撮像装置により取得された画像を処理して、取得したい情報を抽出する画像処理部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載可能なポータブル型車両番号認識装置に関し、特に同一の撮像対象の取得したい情報別に互いに異なる最適な波長を用いて、同一の撮像対象の画像を取得する複数の撮像装置を備えるポータブル型車両番号認識装置、およびそのポータブル型車両番号認識装置による車両番号認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両番号認識装置の技術分野では、定位置に固定された画像撮影部と、上記画像撮影部で取得された画像を処理して、(1)撮像対象となる通過車両のナンバープレートを識別してデータベース化する、(2)予め記録される手配車両情報と、識別されたナンバープレート情報とを照合する、また、(3)定位置に固定された画像撮影部の撮影視野内を通過していく通過車両の、通過時刻および特定の時間帯域における通過台数をカウントする画像処理部とを備えた固定型車両番号認識装置が一般的であった。
【0003】
複数の定位置に固定されているそれぞれの固定型車両番号認識装置によって取得される上記の各種情報は、有線、あるいは無線にて情報を一括管理するセンター装置に送信される。センター装置では、送信されてきた各種情報を一括管理することにより、(1)複数の定位置における、通行車両の通行台数、当該情報を取得した固定型車両番号認識装置の固定位置、および通行車両の通過時刻等を管理する通行台数データベース、(2)複数の定位置における、撮像対象となる通過車両の識別されたナンバープレート、当該通過車両の通過時刻情報、当該通過車両の全体画像を管理する車両情報データベースが構築される。
【0004】
そして、複数の定位置に固定される固定型車両番号認識装置と、上記固定型車両番号認識装置によって取得された情報を一括管理するセンター装置とで中央監視システムが構成される。この中央監視システムでは、構築された通行台数データベースおよび車両情報データベースに基づいて、交通情報の発信、特定車両のトラッキングの実施を行う。しかし、情報取得位置が複数の固定点に限られているために、固定型車両番号認識装置の設置されていない地点において交通情報の欠落が出る。また、特定車両のトラッキングにおいても、特定区域内における限定的なトラッキングになってしまう。
【0005】
このような、情報取得位置が限定的になることを緩和することを目的として、固定型車両番号認識装置を可搬型にして、車両などの移動体に積載した形態で車両情報等を取得する車両番号認識装置が提案されている。しかし、従来の可搬型の車両番号認識装置では、装置のサイズや重量が制限され、撮像対象となる車両と当該装置を積載する積載車両との相対速度、相対位置、または夜間などにおける撮像対象の置かれた撮像環境により、取得したい車両情報を取得できないことがあった。このため、可搬型の車両番号認識装置による車両情報の取得率の向上が求められている。
【0006】
上記した技術分野に関連して、以下に示すような技術が提案されている。
【0007】
特開平11−296785号公報に開示されている「車両ナンバー認識システム」では、走行中の対象車両のナンバープレートを撮影する車載カメラと、車載カメラのズームやフォーカスや絞りなどを制御するカメラ制御装置と、車載カメラで撮影した画像を処理してナンバープレートの文字を抽出し認識する文字認識装置と、文字認識結果に基づいて車両の登録データを検索するデータベース装置と、検索結果を表示する表示装置とを備えた車両ナンバー認識システムが提案されている。
【0008】
また、特開2002−63681号公報に開示されている「車載画像表示装置」では、車両の周囲の異なる方向を撮影する複数の車載カメラと、車載カメラが接続された車載ネットワークと、車載ネットワークを介して車載カメラから画像データを受信して表示する表示手段と、車載ネットワークを介して車載カメラから画像データを受信して抽出する抽出手段と、抽出した複数の画像データを合成して合成画像データを生成する合成手段と、車両衝突を検出して衝突信号を出力する衝突判定手段と、合成画像データを記録する記録手段と、所定時間間隔信号または衝突信号に応じて記録手段に合成画像データを記録する手段とを具備する車載画像表示装置が提案されている。
【0009】
また、特開2000−231692号公報に開示されている「駐車違反取締りシステム」では、巡回用自動車両が配備されているとともに、巡回用自動車両には、撮像素子の配列方向が巡回用自動車両の進行方向に対して交差するように配設されている駐車車両撮影用の一次元撮像センサと、巡回用自動車両の進行に伴って一次元撮像センサの撮像データを適時に取り込む撮像データ取り込み手段と、初回の巡回中の撮像データ取り込みにより得られる初回巡回画像を記憶する初回画像記憶手段と、次回の巡回中の撮像データ取り込みにより得られる次回巡回画像を記憶する次回画像記憶手段と、両記憶手段にそれぞれ記憶された初回巡回画像と次回巡回画像とを対比可能に出力する画像出力手段とが装備されている駐車違反取締りシステムが提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開平11−296785号公報
【特許文献2】特開2002−63681号公報
【特許文献3】特開2000−231692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、車両情報取得効率の高いポータブル型車両番号認識装置およびポータブル型車両番号認識装置による車両番号認識方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用する括弧付き符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)は、同一撮像対象の取得したい情報別に、互いに異なる波長を用いて同一撮像対象の画像を取得する複数の撮像装置(11,13)を備える撮像部(10)と、複数の撮像装置により取得された画像を処理して取得したい情報を抽出する画像処理部(80)とを備えて車載可能である。
【0014】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)は、複数の撮像装置は、赤外光を用いて同一撮像対象となる車両の車両番号を撮影する赤外カメラ(11)と、可視光を用いて車両の全体画像を撮影するカラーカメラ(13)とを備え、赤外カメラおよびカラーカメラにより取得された画像に基づいて、画像処理部(80)が、同一撮像対象となる車両の車両番号情報および全体画像情報を抽出する。
【0015】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)に係わる撮像部(10)は、さらに、同一撮像対象の照度に基づいて照度を制御することのできる赤外カメラ(11)用の赤外照明装置(12)を備え、カラーカメラ(13)は同一撮像対象の照度に基づいて撮影感度を制御することができる。
【0016】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)は、さらに、撮像部(10)にそれぞれ接続されたマニュアル撮影用の撮像スイッチ(40)と車両検知機構とを備え、撮像スイッチによるマニュアル撮影と、車両検知機構に設定された任意の検知距離および検知領域に基づいて自動撮影とができる。
【0017】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)に係わる撮像部(10)は、さらに、複数の撮像装置(11,13)を車両のフロントガラス、サイドガラス、またはリアガラスに設置するための設置装置を有し、設置装置により、複数の撮像装置の道路に対する設置角度を微調整することができる。
【0018】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)は、さらに、取得された画像の撮影時刻および撮影場所の情報を取得するための画像処理部に接続されるGPS(Global Positioning System)(50)を備える。
【0019】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)に係わる画像処理部(80)は、抽出された同一撮像対象となる車両の車両番号情報と、予め格納されている手配車両番号情報とを照合し、照合結果が一致した場合には音声通知が行われる。
【0020】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)に係わる画像処理部(80)は、複数の撮像装置(11,13)の撮像視野内を通過する通行車両の数をカウントして、その総数を記録する。
【0021】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)に係わる画像処理部(80)は、PC(パーソナルコンピュータ)または専用処理装置である。
【0022】
また、本発明のポータブル型車両番号認識装置(1)は、さらに、外部ネットワークとの間でデータの送受信を行うための通信部(60)を備える。
【0023】
また、本発明の擬似ナンバープレート付き自立板(100)は、ポータブル型車両番号認識装置(1)に備わる撮像部(10)を、設置装置により所望の方向に向くように積載車両に取り付ける際に、設置装置の積載車両に対する取り付ける角度を調整するために、積載車両外部の所望の方向に指標として配置されて使用される車載可能な擬似ナンバープレート付き自立板であって、対象となる大型車および普通車等に対応したサイズと取り付け高さが再現されている複数の擬似ナンバープレート(130,140)と、積載車両と擬似ナンバープレート付き自立板との間の距離を計測できる測距計(110)とを備える。
【0024】
また、本発明の中央監視システム(200)は、固定型の車両番号認識装置(250)と、ポータブル型車両番号認識装置(1)と、固定型の車両番号認識装置およびポータブル型車両番号認識装置から送信されてくる同一撮像対象となる車両の車両番号情報、全体画像情報、複数の撮像装置の撮像視野内を通過する通行車両の交通量情報等、車両情報を一元管理し、さらに、車両の車両番号情報と予め格納されている手配車両番号情報とを照合し、車両番号情報が取得された画像の撮影時刻および撮影場所の情報に基づいて手配車両番号情報に対応した車両のトラッキングを行うセンター装置(210)とを備える。
【0025】
また、本発明の車両番号認識方法は、同一撮像対象の取得したい情報別に互いに異なる波長を用いて同一撮像対象の画像を取得する撮像ステップと、撮像ステップにより取得された画像を処理して取得したい情報を抽出する画像処理ステップとを備える。
【0026】
また、本発明の車両番号認識方法に係わる撮像ステップは、赤外光を用いて同一撮像対象となる車両の車両番号を撮影する赤外光撮像ステップと、可視光を用いて車両の全体画像を撮影する可視光撮像ステップとを備え、画像処理ステップは、赤外光撮像ステップおよび可視光撮像ステップにより取得された画像に基づいて、同一撮像対象となる車両の車両番号情報および全体画像情報を抽出するステップである。
【0027】
また、本発明の車両番号認識方法に係わる撮像ステップは、さらに、同一撮像対象および周囲の照度に対応して同一撮像対象を照明する照度を制御することのできる赤外光撮像ステップ用の赤外照明制御ステップを備え、可視光撮像ステップは同一撮像対象の照度に基づいて撮影感度を制御するステップである。
【0028】
また、本発明の車両番号認識方法は、さらに、マニュアル撮影ステップと、車両検知ステップとを備え、マニュアル撮影ステップに基づいて撮像ステップにより静止画像が取得されるマニュアル撮影と、車両検知ステップに設定された任意の検知距離および検知領域に基づいて撮像ステップにより自動撮影とができる。
【0029】
また、本発明の車両番号認識方法は、さらに、取得された画像の撮影時刻および撮影場所の情報を取得するためのGPS(Global Positioning System)情報取得ステップを備える。
【0030】
また、本発明の車両番号認識方法に係わる画像処理ステップは、さらに、抽出された同一撮像対象となる車両の車両番号情報と予め格納されている手配車両番号情報とを照合する車両番号照合ステップと、車両番号照合ステップによる照合結果が一致した場合には音声通知を行う音声通知ステップとを備える。
【0031】
また、本発明の車両番号認識方法に係わる画像処理ステップは、さらに、撮像ステップにより認識することのできる通行車両の数をカウントして、その総数を記録する通行車両カウントステップを備える。
【0032】
また、本発明の車両番号認識方法は、さらに、外部ネットワークとの間でデータの送受信を行うための通信ステップを備える。
【0033】
また、本発明の視野調整方法は、請求項13から20までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法を実現させるため、撮像ステップにより取得する同一撮像対象の画像を所望視野と一致させるための視野調整方法であって、視野調整方法は、予め同一撮像対象となる大型車および普通車等に対応したサイズと取り付け高さが再現されている複数の擬似ナンバープレート(130,140)を所望視野の特定距離離れた位置に設置する設置ステップと、複数の擬似ナンバープレートに向けて撮像ステップの撮像視野を向けるように調整する指向調整ステップとを備える。
【0034】
また、本発明の中央監視方法は、車両番号認識方法と、車両番号認識方法と同等の機能を有し、固定型の車両番号認識方法と、車両番号認識方法および固定型の車両番号認識方法により取得される同一撮像対象となる車両の車両番号情報、全体画像情報、複数の撮像装置の撮像視野内を通過する通行車両の交通量情報等、車両情報を一元管理する一元管理ステップと、さらに、車両の車両番号情報と予め格納されている手配車両番号情報とを照合し、車両番号情報が取得された画像の撮影時刻および撮影場所の情報に基づいて手配車両番号情報に対応した車両のトラッキングを実施するトラッキングステップとを備えた情報収集方法とを備える。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、車両情報取得効率の高いポータブル型車両番号認識装置およびポータブル型車両番号認識装置による車両番号認識方法を提供することができる。
【0036】
これにより、本発明に係わるポータブル型車両番号認識装置においては、(1)ナンバープレート撮影用の赤外光を使用したカメラに加えて、車両に関する更に多くの情報収集を図るため可視光を使用したカラーカメラを一体化することにより、ナンバープレートを折り曲げたり、故意に読み取りにくくしている車両の事後の解析や運転者の有無、車両の色等各種情報取得をすることができる。
【0037】
(2)本装置搭載の車両を走行させながら,駐車場や道路沿いに駐停車している車両のナンバープレートを撮影することができる。特に、日中だけではなく夜間でも、装置付属の赤外照明を用いることによって路上に停車中の車両に加えて走行中の車両のナンバープレートを撮影して識別することができる。
【0038】
(3)ナンバープレートの識別結果は,時刻,場所,静止画像(1枚)の情報とともに,逐次データベース化される。このデータベースの情報検索は,車内においても容易に実行できる。
【0039】
(4)探索したいナンバーをあらかじめ登録しておくことにより,一致するナンバーの車両情報が検出されたときには、アラーム音により操作者に告知ができる。
【0040】
(5)必要に応じて全ての画像信号をビデオレコーダで録画することができる。
【0041】
(6)撮像部(照明一体型),画像処理部,電源部などの機器を備えるが,それぞれの機器単位で分割・持ち運びができ,また機器間の接続も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
添付図面を参照して、本発明によるポータブル型車両番号認識装置およびポータブル型車両番号認識装置による車両番号認識方法を実施するための最良の形態を以下に説明する。
【0043】
本発明のポータブル型車両番号認識装置は、撮像対象となる車両の取得したい情報別に、互いに異なる最適な波長を用いて当該車両の画像を取得する複数の撮像装置を備える撮像部と、上記複数の撮像装置により取得された画像を処理して、取得したい情報を抽出する画像処理部とを備えている。また、車載して使用することができることを前提に形態および重量が規定されている。
【0044】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係わるポータブル型車両番号認識装置の概略構成を示す。本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1は、赤外光を使用し、主として対象となる車両のナンバープレート画像を撮影する赤外カメラ11と、夜間などに赤外カメラ11の照明に使用される赤外照明装置12と、可視光を使用し、主として対象となる車両の色情報などを取得するために全体画像を撮影するカラーカメラ13とを備えた撮像部10と、撮像部10により取得される画像を処理して所望の車両情報を抽出する画像処理部80とを有している。画像処理部80には、取得される画像量に応じて画像記録部20が接続される。また、画像処理部80は、処理された車両情報を表示するための表示画面85を有しているが、表示画面の大きいモニタ30が接続されても良い。さらに、画像処理部80には、外部のネットワークとの間でデータの送受信をするための通信部60、マニュアル入力で各種データを入力するためのデータ入力部90、本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置を搭載している車両の位置情報を取得するためのGPS(Global Positioning System)50、そして撮像部10の撮影を動画ではなく静止画としてマニュアル撮影するために使用するマニュアル撮像スイッチ40が接続されている。通信部60は、有線または無線により外部のネットワークと接続される。本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置は、電源部70を備えており、ポータブル型車両番号認識装置を構成している各機器の電力は、全て電源部70により供給される。
【0045】
以下、本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置に備わる各機器の機能、および動作原理について説明する。
【0046】
(1)撮像部(赤外カメラ・赤外照明装置・カラーカメラ)
撮像部10に備わる赤外カメラ11は、撮像対象となる車両のナンバープレート周りを撮影し、ナンバープレートの拡大画像を取得する。赤外カメラ11が撮影した画像は、画像処理部80においてリアルタイムに画像処理が行われる。そして、画像処理部80でナンバープレートのナンバーが読み取られると、ナンバープレートのナンバー情報は、車両情報の一部として画像処理部80の表示画面85、または画像処理部80に接続されているモニタ30に、そのワンショット画像が表示される。ナンバープレートのナンバー情報は、車両情報の一部として画像処理部80の図示せぬ記録部、または画像処理部80に接続されている画像記録部20に記録される。
【0047】
撮像部10に備わる赤外照明装置12は、赤外カメラ11による夜間撮影時や昼間でも曇天時、駐車場内など光量の不足した屋内での撮影において使用する。赤外照明装置12使用時における撮像対象となる車両の取得画像は、画像処理部80の表示画面85、または画像処理部80に接続されているモニタ30では確認することができるが、赤外照明自体は直接目で見ることはできない。
【0048】
撮像部10に備わるカラーカメラ13は、撮像対象となる車両の車両全体を広い視野角で撮影し、当該車両の車種や色、また搭乗者を識別するための情報を取得する。カラーカメラ13は、赤外カメラ11と同一車両を撮影する。カラーカメラ13で取得した画像は、画像処理部80の図示せぬ記録部、または画像処理部80に接続されている画像記録部20に記録され、必要に応じて使用される。
【0049】
(2)モニタ
画像処理部80に接続されているモニタ30は、撮像部10に備わる赤外カメラ11、およびカラーカメラ13の画角の調整や撮影状態を確認するために用いられる。撮像対象となる車両の撮影時には、モニタ30でナンバープレートの読取異常のチェック等が実施される。モニタ30は、赤外カメラ11、およびカラーカメラ13の各々の画像を、モニタ30に設置された図示せぬスイッチにより切替えて表示する。尚、モニタ30は、画像処理部80の表示画面85で代用することもできる。
【0050】
(3)画像記録部
画像記録部20は、撮像部10で取得された画像情報を記録する。画像記録部20に記録された画像情報は、後に読取異常などを記録画像で調査・分析するために使用される。画像記録部20に記録された画像情報を再生して読取異常車両の検索を行う際には、画像処理部80の図示せぬ記録部に記録される、読取異常が生じた時刻を示した時刻記録リストが利用される。取得された車両情報の時刻順に並んだナンバープレート読取結果一覧と、上記時刻記録リストとを照会することにより、読取異常が生じた車両の画像が撮像された時刻が調べられる。
【0051】
(4)画像処理部
画像処理部80は、赤外カメラ11(ナンバー読取用カメラ)で取得される画像の映像信号を受け取り、リアルタイムで取得された画像からナンバープレートのナンバーを読取る。読取り結果は、画像処理部80の表示画面85、またはモニタ30上にが表示されると同時に、車両情報として画像記録部20にも記録される。ナンバープレートの折り曲げ等によりナンバープレートのナンバーの読取りが出来ない場合には、読取り結果は表示されない。
【0052】
画像処理部80におけるナンバープレートのナンバー読取り結果は、予め不審車両等(以下ブラックリストと称す)として登録されていた複数のナンバーと照合されることによって、不審車両かどうか自動的に判定される。そして、撮像された車両が不審車両であることが判明すると、画像処理部80は警報を発生させる。
【0053】
撮像部10による画像取得時には、画像処理部80の表示画面85、またはモニタ30によりナンバーの読取り結果が確認される。車両が撮影されているのに、画像処理部80の表示画面85、またはモニタ30上にナンバーの読取り結果が表示されない場合には読取異常と考えられる。この場合、画像処理部80に接続されているマニュアル撮像スイッチ40が押されると、その時点における時刻が画像処理部80の図示せぬ記録部に記録される。この記録された時刻が、読取異常発生時刻となり、後にカラーカメラ13で取得された画像データを解析のために照会する際に利用される。
【0054】
また、画像処理部80は、撮像部10で取得された画像データを図示せぬ記録部に記録し、記録された画像データは、後に読取異常などを映像で調査・分析するために使用される。画像処理部80の図示せぬ記録部に記録された取得画像データを再生する際には、車両番号読取り結果、車両番号およびその読取り時刻が一覧表示されたリストと、上記読取異常発生時刻とが照会される。そして、リストの時刻順に並んだ読取り結果一覧と、上記読取異常発生時刻の時刻リストとが照会されることにより、読取異常車両が撮像された時刻が推定されて、当該時刻の画像が再生される。ここでは、撮像部10で取得された画像データが、画像処理部80の図示せぬ記録部に記録された場合について説明したが、撮像部10で取得された画像データが、画像処理部80に接続された画像記録部20に記録された場合についても同様である。
【0055】
画像処理部80は、専用に開発される処理装置を用いる他、特定のアプリケーションをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータで代用することもできる。また、マニュアル撮像スイッチ40は、マニュアルで、撮像部10により撮像対象となる車両のナンバープレートの静止画像を取得する際にも使用できる。汎用のパーソナルコンピュータを画像処理部80として使用する際には、キーボードやマウスがマニュアル撮像スイッチ40となる。また、画像処理部80は、外部アタック(盗難を含む)に耐えるような機構(専用鍵、指紋認証機構など)を備えている。
【0056】
(5)GPS(Global Positioning System)
GPS50は、ナンバープレートのナンバー読取り結果を、画像処理部80の図示せぬ記録部、または、画像処理部80に接続された画像記録部20に記録する際に、同時に当該ナンバープレートの撮影された場所情報(緯度,経度)を併せて記録するため、画像処理部80に接続される。当該ナンバープレートの撮影された場所情報は、一定時間間隔、あるいはナンバープレートのナンバー読取り処理に連動してナンバー読取り結果と共に、画像処理部80の図示せぬ記録部、または、画像処理部80に接続された画像記録部20に記録される。当該ナンバープレートの撮影された場所情報は、マニュアル入力により、判り易い名称(“国道xx号上り○○交差点”など)で記録することもできる。
【0057】
(6)通信部
通信部60は、画像処理部80に接続されて、外部ネットワークとの間でデータ通信を行う。これにより、外部ネットワークを介してブラックリスト車のナンバ情報を含んだ車両情報をダウンロードする。また、ナンバープレート読取り結果や画像データなどの取得した車両情報を、外部ネットワークを介して外部に設置されて車両情報などの一括管理を行うセンター装置等へ送信する。また、車両情報を取得しているポータブル型車両番号認識装置1を搭載している搭載車両の現在位置情報を上記したセンター装置に送信することもできる。外部ネットワークとの間で行われるデータ通信を行うに際しては、データの暗号化をすることができる。
【0058】
(7)電源部
電源部70は、(1)〜(6)までに説明されている全ての構成機器の電源を供給する。電源部70は、電源残量を画像処理部80の表示画面85、またはモニタ30上に表示することにより、電池切れがモニターできる。電源残量が少なくなった場合、警報を発する。また、電源部70は、赤外照明装置12の発光回数を、画像処理部80の表示画面85、またはモニタ30上に表示する(累積発光回数及び充電後の発光回数)。
【0059】
次に、本実施の形態の動作原理を説明する。
【0060】
本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置1は車載され、車載された車両の走行中に、(1)対向車両、(2)追い越し車両、(3)追い抜き車両、(4)停車車両1;縦列駐車、(5)停車車両;並列駐車等を対象に、車両情報(ナンバープレートのナンバー、車両区分、車体色等)およびその撮像場所、撮像時間などの情報を取得する。
【0061】
本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置1の撮像部10は、図2(a)〜(c)に示されるように、車の助手席前のフロントガラス上部に赤外カメラ11とカラーカメラ13とが設置されて、右サイドミラー背面に赤外照明装置12が設置される場合と、左後サイドガラスに赤外カメラ11とカラーカメラ13とが設置されて、リアガラス左上部に赤外照明装置12が設置される場合とがある。これ以外にも、状況に応じて撮像部10の搭載車両に対する配設位置は適宜変更される。例えば、(1)対向車両の車両情報等を取得する場合には、車の助手席前のフロントガラス上部に赤外カメラ11とカラーカメラ13とが設置されて、右サイドミラー背面に赤外照明装置12が設置される。(2)追い越し車両の車両情報等を取得する場合には、左後サイドガラスに赤外カメラ11とカラーカメラ13とが設置されて、リアガラス左上部に赤外照明装置12が設置される。(3)追い抜き車両の車両情報等を取得する場合には、上記されていないが、右後サイドガラスに赤外カメラ11とカラーカメラ13とが設置されて、リアガラス右上部に赤外照明装置12が設置される。また、(4)停車車両1;縦列駐車、(5)停車車両;並列駐車、の車両情報等を取得する場合には、左後サイドガラスに赤外カメラ11とカラーカメラ13とが設置されて、リアガラス左上部に赤外照明装置12が設置される。
【0062】
撮像部10におけるカメラの組合せについては、取得しようとする車両情報に応じて、他の用途に使用するカメラを自由に選択したり、不要な搭載カメラの数を減らしたりすることもできる。撮像部10におけるカメラと照明との組み合わせについても、上記した例に限らず、(1)車内カメラ・車内照明、(2)車内カメラ・車外照明、(3)車外カメラ・車内照明、(4)車外カメラ・車外照明等、目的に応じた組み合わせが考えられる。撮像部10の配設位置は、上記した車内フロントガラス、サイドガラス、リアーガラスおよびバックミラーに加えて、サンバイザ、フォグランプ部、ヘッドランプ部、フロントグリル部、バンパー部への配設が考えられる。
【0063】
複数の撮像対象(対向車両、駐車車両等)の画像取得をする場合には、複数の撮像部10を1つの車両に搭載し、図示せぬ映像信号切替部により、複数の撮像部10のいずれか1つを画像処理部80へ接続する。これにより、1つの撮像部10(1セットのカメラ・照明装置)を対象車両に応じて切り替える手間を省くことができる。図示せぬ映像信号切替部の操作は、マニュアルまたは遠隔操作により行われる。あるいは、複数の撮像部10を1つの車両に搭載し、その数に対応した複数の画像処理部80を備えて同時に接続することにより、複数の撮像対象(対向車両、駐車車両等)の画像取得を同時に行うこともできる。
【0064】
ポータブル型車両番号認識装置1の撮像部10以外の構成機器については、搭載車両の車内で操作を行う操作者の座席位置に応じて適宜車内に配設される。
【0065】
本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置1においては、実際に走行を開始して画像の取得が行われる前に、撮影対象となる車両の状態(対向車両、追い越し車両、追い抜き車両、停車車両1;縦列駐車、停車車両;並列駐車のうちいずれの状態の車両を対象として車両情報を取得するのか)に応じて搭載カメラの搭載車両に対する取り付け角度、および視野の調整が行われる。その際、ナンバープレート認識用である赤外カメラ11を調整すると、連動してカラーカメラ13の調整が出来るように、赤外カメラ11とカラーカメラ13とをユニット化することも可能である。また、搭載カメラの搭載車両に対する取り付け角度、および視野の調整の際には、撮像部10に備えられて、撮像部10と搭載車両とを接続する図示せぬ接続部に水平傾き角を調整できる機構を持たせることにより、例えば、片タイヤが道路部車線でもう片タイヤが歩道上にある車両等、撮像対象となる車両の路面に対する傾きが水平でなくとも、撮像部10の接続部の傾き角を調整することにより、撮像部10による撮像対象の撮像を容易にすることができる。
【0066】
ポータブル型車両番号認識装置1を搭載した車両が走行し、撮像対象となる車両の画像取得が開始されると、撮像部10の赤外カメラ11およびカラーカメラ13により、連続的に赤外カメラ11およびカラーカメラ13の視野に入る車両の画像が取得される。本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置1は、マニュアル撮影用のマニュアル撮像スイッチ40と、図示せぬ車両検知機構とを備えている。このため、本実施の形態においては、図示せぬ車両検知機構に設定された任意の検知距離および検知領域に基づいて、上記設定距離または設定領域内に撮像対象となる車両の車像が進入してきた時のみ、撮像部10の赤外カメラ11およびカラーカメラ13による画像取得が実施されるように設定することができる。また、状況に応じてマニュアル撮像スイッチ40が押されて、赤外カメラ11およびカラーカメラ13による静止画像の撮影が実施される。
【0067】
本実施の形態のポータブル型車両番号認識装置1においては、本装置を積載する車両の速度に応じて、撮像部10の赤外カメラ11およびカラーカメラ13のシャッタ速度が自動制御される。具体的には、画像処理部80に、図示せぬ速度とシャッタ速度との変換テーブルが備えられることにより、シャッタ速度の自動制御が実現される。これにより、相対速度で100km程度の対向車両の画像も鮮明に取得することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1の撮像部10は、撮像対象となる車両の置かれている環境の照度(環境条件)に応じて赤外照明装置12の照明強度を制御するための図示せぬ照明電流制御機構を有し、赤外照明装置12の照明強度を制御することにより省電力化を行う。さらに、上記車両検知機構と上記照明電流制御機構とを連動させることにより、撮像対象車両までの距離(例えば、2m,3m,4m,5m)に基づいて、照明強度を制御することができる。さらに、マニュアルによって、撮像対象車両までの距離に基づいた照明照射範囲の切り替えをすることができる。本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1においては、カラーカメラ13による撮像対象車両の夜間等の被写体照度として1(lux)以上あれば鮮明な画像が取得できる。また、赤外カメラ11によるナンバープレートの撮像においては、赤外照明装置12を備えていることにより、肉眼で確認出来ない照度の対象物の画像でも鮮明に取得することができる。
【0069】
本実施の形態において、撮像対象となる車両の画像が画像データとして取得されると、画像データは画像処理部80の図示せぬ記録部、あるいは情報量に応じて画像処理部80に接続される画像記録部20に格納される。画像データは、記録されると同時に、図3に示されるように、画像処理部80の表示画面85、または画像処理部80に接続されるモニタ30にリアルタイムで表示される。図3に示される表示画面85のイメージ画像においては、赤外カメラ11およびカラーカメラ13のリアルタイム画像に加えて、赤外カメラ11による取得画像から対象車両のナンバープレートナンバーを認識した際の、静止画像およびナンバー認識結果が表示される。認識したナンバープレートの輝度情報(例えば、ナンバープレート文字部と背景部との輝度差)と、上記照明電流制御機構とを連動させることにより、赤外照明装置12の照明強度を制御する。これにより、ナンバープレートの認識率を高めると同時に、赤外照明装置12による消費電力を低減することができる。
【0070】
本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1の画像処理部80は、予めデータ入力部90からマニュアル入力される、あるいは通信部60を介して外部ネットワークから取得される手配車両情報(手配車ナンバー等)を備えている。画像処理部80においては、画像処理部80の図示せぬ記録部、あるいは情報量に応じて画像処理部80に接続される画像記録部20に格納される画像データ(車両情報)と、この手配車両情報とをリアルタイムで照会することができる。照会の結果、取得された画像データの車両が手配車両であることが判明した場合には、操作者に対して警報音等の警報を出す。
【0071】
本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1は、GPS(Global Positioning System)50を備えており、撮像対象となる車両の画動データ(車両情報)の一部として、その画像の取得された場所と時刻の情報を、取得画像に対応させて画像処理部80の図示せぬ記録部、あるいは情報量に応じて画像処理部80に接続される画像記録部20に格納する。
【0072】
この他に、本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1は、搭載車両の位置における通行車両の通行車両の数をカウントして通行台数情報を取得することを目的として、撮像部10の赤外カメラ11、あるいはカラーカメラ13の撮影視野内通過する通行車両の数をカウントする。そして、そのカウント数を画像処理部80の図示せぬ記録部、あるいは情報量に応じて画像処理部80に接続される画像記録部20に通行台数情報として格納する。
【0073】
以上、本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1を構成する各機器、および本実施の形態の動作原理の説明により、本実施の形態においては、ナンバープレート撮影用の赤外光を使用した赤外カメラ11に加えて、車両に関する更に多くの情報収集を図るため可視光を使用したカラーカメラ13を一体化することにより、ナンバープレートを折り曲げたり、故意に読み取りにくくしている車両の事後の解析や運転者の有無、車両の色等各種捜査に役立てることができる。
【0074】
また、本装置を搭載した車両を走行させながら,駐車場や道路沿いに駐停車している車両のナンバープレートを撮影することができる。特に、日中だけではなく夜間でも、装置付属の赤外照明を用いることによって路上に停車中の車両に加えて走行中の車両のナンバープレートを撮影して識別することができる。
【0075】
また、ナンバープレートの識別結果は,時刻,場所,静止画像(1枚)の情報とともに,逐次データベース化される。このデータベースの情報検索は,車内においても容易に実行することができる。
【0076】
また、探索したいナンバーをあらかじめ登録しておくことにより,一致するナンバーの車両情報が検出されたときには、アラーム音等により操作者に告知ができる。
【0077】
さらに、必要に応じて全ての画像信号をビデオレコーダなどの画像記録部20で録画することもできる。
【0078】
また、撮像部(照明一体型)10,画像処理部80,電源部70などの機器を備えるが,それぞれの機器単位で分割・持ち運びができ,また機器間の接続も容易である。
【0079】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係わる擬似ナンバープレート付き自立板の構成を図4に示す。本実施の形態の擬似ナンバープレート付き自立板100は、実施の形態1において、実際に走行を開始して画像の取得が行われる前に、撮影対象となる車両の状態(対向車両、追い越し車両、追い抜き車両、停車車両1;縦列駐車、停車車両;並列駐車のうちいずれの状態の車両を対象として車両情報を取得するのか)に対応させて、搭載カメラの搭載車両に対する取り付け角度、視野調整、およびピント調整をするために使用される車載可能な調整用装置である。
【0080】
本実施の形態の擬似ナンバープレート付き自立板100は、大型車擬似ナンバープレート130、普通車擬似ナンバープレート140、視野調整枠120、および距離計測器110を備えている。
【0081】
大型車擬似ナンバープレート130は、実際のナンバープレートと同サイズの擬似プレートであり、自立板本体に対して地面から高さ100cmの位置に配置される。これにより、撮像部10の赤外カメラ11、赤外照明装置12、およびカラーカメラ13の撮影視野に大型車両のナンバープレート画像を入れる調整、およびピント調整に使用される。また、普通車擬似ナンバープレート140も、実際のナンバープレートと同サイズの擬似プレートであり、自立板本体に対して地面から高さ40cmの位置に配置される。これにより、上記撮像部10の各カメラおよび照明装置の撮影視野に普通車のナンバープレート画像を入れる調整、およびピント調整に使用される。また、視野調整枠は、上記大型車擬似ナンバープレート130、および普通車擬似ナンバープレート140による各種調整の際に、赤外カメラ11およびカラーカメラ13の視角調整(拡大率)、および赤外照明装置12の照明範囲を調整するのに用いられる。
【0082】
本実施の形態の擬似ナンバープレート付き自立板100が、ポータブル型車両番号認識装置100搭載車両に対して、撮影対象となる車両の状態(対向車両、追い越し車両、追い抜き車両、停車車両1;縦列駐車、停車車両;並列駐車のうちいずれの状態の車両を対象として車両情報を取得するのか)に対応した相対位置に配置される(例えば駐車場に駐車している車両に対しては1.5mの車間距離、対向車両に対しては5〜6mの車間距離等)。これにより、実際の撮像部10に備えられる各カメラ、および照明装置の搭載車両に対する取り付け角度、および視野の調整が実施される。本実施の形態の擬似ナンバープレート付き自立板100を、搭載車両に対する所望の相対位置に配置するために、距離計測器110が使用される。距離計測器110として、レーザ測距センサ、メジャ等が使用される。
【0083】
本実施の形態の擬似ナンバープレート付き自立板100においては、ナンバープレートである赤外カメラ11を調整すると同時に、カラーカメラ13や赤外照明装置12の視野調整・ピント調整が行われる。これにより、効率の良い撮像部10の初期調整が可能となり、セットアップ時間の短縮が実現する。
【0084】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係わる中央監視システムの概略構成を図5に示す。
【0085】
図5に示されるように、本実施の形態における中央監視システム200は、実施の形態1に説明したポータブル型車両番号認識装置1と、実施の形態1と同等の機能を有し、可搬ではなく一定の固定位置に設置される固定型車両番号認識装置250と、ポータブル型車両番号認識装置1と固定型車両番号認識装置250とから送信されてくる車両情報等を一括管理するセンター装置210とを備えている。
【0086】
図5に示される中央監視システム200は、ポータブル型車両番号認識装置1と固定型車両番号認識装置250とはそれぞれ1つしか備えていないが、車両情報を取得した領域の広さや、取得したい通行台数の調査箇所により、ポータブル型車両番号認識装置1と固定型車両番号認識装置250との数は最適数になるように決定される。
【0087】
ポータブル型車両番号認識装置1は、実施の形態1に記載されているのでここではその構成および動作原理に関する説明を省略する。但し、本実施の形態に係わるポータブル型車両番号認識装置1は、取得した全ての車両情報を自身の画像処理部80に備わる記録部、あるいは画像記録部20に格納するのみならず、通信部60を介して後述するセンター装置210に送信する。
【0088】
固定型車両番号認識装置250も図示せぬ通信部を有し、ポータブル型車両番号認識装置1と同様に、取得した全ての車両情報を、図示せぬ通信部を介して後述するセンター装置210に送信する。
【0089】
センター装置210は、ポータブル型車両番号認識装置1、および固定型車両番号認識装置250から送信されてくる車両情報等を一括管理して蓄積し、蓄積された車両情報に基づいて、通行台数データベース220、車両情報データベース230、パトカー運行管理データベース240等を構築する。
【0090】
通行台数データベース220は、特定の位置における車両の通行台数と、その時刻情報とを有している。通行台数データベース220を使用することにより、特定の位置における車両種別ごと、あるいは車体の色ごとの通行台数とその時間変動等、必要な情報を検索することができる。車両情報データベース230は、撮像対象となった車両のナンバー情報、画像データ、およびそのデータ取得時刻等の情報を有している。また、手配車両のナンバー情報等も備えている。パトカー運行管理データベース240は、監視領域に出動しているパトカー等監視車両のID番号、パトカー等監視車両の所在位置とその時刻情報を有している。そして、通行台数データベース220や車両情報データベース230を使用して抽出された交通渋滞位置や手配車両検出位置情報、およびパトカー運行管理データベース240を使用して得られたパトカー等監視車両の所在位置とその時刻情報とに基づいて、センター装置210から,当該検出位置に近い領域に存在しているID番号のパトカー等監視車両に対して、当該検出位置への移動を命じる指令が出される。
【0091】
本実施の形態の中央監視システム200においては、上記したように車両情報の一元管理を行うと同時に、手配車両等の特定車両のトラッキングを行うことができる。また、本実施の形態においては、上記した機能の他に、構築した各種データベースを別メディアへ保存してバックアップするためのバックアップ機能、手配車両登録・管理・配信機能、そして帳票出力機能(表にしてプリントアウト)などを兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるポータブル型車両番号認識装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施の形態1のポータブル型車両番号認識装置における撮像部(赤外カメラ、カラーカメラ、赤外照明装置)を車載する際の取り付け形態(a)助手席前フロントガラス上部(赤外カメラ、カラーカメラ)、および右サイドミラー背面(赤外照明装置)、(b)左後席サイドガラス(赤外カメラ、カラーカメラ)、およびリアガラス左上部(赤外照明装置)、(c)左後席サイドガラス(赤外カメラ、カラーカメラ)、およびリアガラス左上部(赤外照明装置)、を示す図である。
【図3】実施の形態1のポータブル型車両番号認識装置における画像処理部の表示画面のイメージ例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係わる擬似ナンバープレート付き自立板の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係わる中央監視システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1…ポータブル型車両番号認識装置
10…撮像部
11…赤外カメラ
12…赤外照明装置
13…カラーカメラ
20…画像記録部
30…モニタ
40…マニュアル撮像スイッチ
50…GPS
60…通信部
70…電源部
80…画像処理部
85…表示画面
90…データ入力部
100…擬似ナンバープレート付き自立板
110…距離計測器
120…視野調整枠
130…大型車擬似ナンバープレート
140…普通車擬似ナンバープレート
200…中央監視システム
210…センター装置
220…通行台数データベース
230…車両情報データベース
240…パトカー運行管理データベース
250…固定型車両番号認識装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一撮像対象の取得したい情報別に、互いに異なる波長を用いて前記同一撮像対象の画像を取得する複数の撮像装置を備える撮像部と、
前記複数の撮像装置により取得された画像を処理して前記取得したい情報を抽出する画像処理部とを具備する車載可能なポータブル型車両番号認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
前記複数の撮像装置は、赤外光を用いて前記同一撮像対象となる車両の車両番号を撮影する赤外カメラと、可視光を用いて前記車両の全体画像を撮影するカラーカメラとを備え、前記赤外カメラおよび前記カラーカメラにより取得された画像に基づいて、前記画像処理部が、前記同一撮像対象となる前記車両の前記車両番号情報および前記全体画像情報を抽出するポータブル型車両番号認識装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
前記撮像部は、さらに、前記同一撮像対象の照度に基づいて照度を制御することのできる前記赤外カメラ用の赤外照明装置を備え、前記カラーカメラは前記同一撮像対象の照度に基づいて撮影感度を制御することができるポータブル型車両番号認識装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
さらに、前記撮像部にそれぞれ接続されたマニュアル撮影用の撮像スイッチと車両検知機構とを備え、前記撮像スイッチによるマニュアル撮影と、前記車両検知機構に設定された任意の検知距離および検知領域に基づいて自動撮影とができるポータブル型車両番号認識装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
前記撮像部は、さらに、前記複数の撮像装置を車両のフロントガラス、サイドガラス、またはリアガラスに設置するための設置装置を有し、前記設置装置により、前記複数の撮像装置の道路に対する設置角度を微調整することのできるポータブル型車両番号認識装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
さらに、前記取得された画像の撮影時刻および撮影場所の情報を取得するための前記画像処理部に接続されるGPS(Global Positioning System)を具備するポータブル型車両番号認識装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
前記画像処理部は、抽出された前記同一撮像対象となる前記車両の前記車両番号情報と、予め格納されている手配車両番号情報とを照合し、照合結果が一致した場合には音声通知が行われるポータブル型車両番号認識装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
前記画像処理部は、前記複数の撮像装置の撮像視野内を通過する通行車両の数をカウントして、その総数を記録するポータブル型車両番号認識装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
前記画像処理部は、PC(パーソナルコンピュータ)または専用処理装置であるポータブル型車両番号認識装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置において、
さらに、外部ネットワークとの間でデータの送受信を行うための通信部を具備するポータブル型車両番号認識装置。
【請求項11】
請求項5から10までのいずれか一項に記載のポータブル型車両番号認識装置に備わる前記撮像部を、前記設置装置により所望の方向に向くように積載車両に取り付ける際に、前記設置装置の前記積載車両に対する前記取り付ける角度を調整するために、前記積載車両外部の前記所望の方向に指標として配置されて使用される車載可能な擬似ナンバープレート付き自立板であって、
対象となる大型車および普通車等に対応したサイズと取り付け高さが再現されている複数の擬似ナンバープレートと、前記積載車両と前記擬似ナンバープレート付き自立板との間の距離を計測できる測距計とを備えた擬似ナンバープレート付き自立板。
【請求項12】
固定型の車両番号認識装置と、
請求項10に記載のポータブル型車両番号認識装置と、
前記固定型の車両番号認識装置および前記ポータブル型車両番号認識装置から送信されてくる前記同一撮像対象となる前記車両の前記車両番号情報、前記全体画像情報、前記複数の撮像装置の撮像視野内を通過する前記通行車両の交通量情報等、車両情報を一元管理し、さらに、前記車両の前記車両番号情報と予め格納されている手配車両番号情報とを照合し、前記車両番号情報が取得された画像の前記撮影時刻および前記撮影場所の情報に基づいて前記手配車両番号情報に対応した車両のトラッキングを行うセンター装置とを具備した中央監視システム。
【請求項13】
同一撮像対象の取得したい情報別に互いに異なる波長を用いて前記同一撮像対象の画像を取得する撮像ステップと、
前記撮像ステップにより取得された画像を処理して前記取得したい情報を抽出する画像処理ステップとを具備する車両番号認識方法。
【請求項14】
請求項13に記載の車両番号認識方法において、
前記撮像ステップは、赤外光を用いて前記同一撮像対象となる車両の車両番号を撮影する赤外光撮像ステップと、可視光を用いて前記車両の全体画像を撮影する可視光撮像ステップとを備え、前記画像処理ステップは、前記赤外光撮像ステップおよび前記可視光撮像ステップにより取得された画像に基づいて、前記同一撮像対象となる前記車両の前記車両番号情報および前記全体画像情報を抽出するステップである車両番号認識方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の車両番号認識方法において、
前記撮像ステップは、さらに、前記同一撮像対象の照度に対応して前記同一撮像対象を照明する照度を制御することのできる前記赤外光撮像ステップ用の赤外照明制御ステップを備え、前記可視光撮像ステップは前記同一撮像対象および周囲の照度に基づいて撮影感度を制御するステップである車両番号認識方法。
【請求項16】
請求項13から15までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法において、さらに、マニュアル撮影ステップと、車両検知ステップとを備え、前記マニュアル撮影ステップに基づいて前記撮像ステップにより静止画像が取得されるマニュアル撮影と、前記車両検知ステップに設定された任意の検知距離および検知領域に基づいて前記撮像ステップにより自動撮影とができる車両番号認識方法。
【請求項17】
請求項13から16までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法において、さらに、前記取得された画像の撮影時刻および撮影場所の情報を取得するためのGPS(Global Positioning System)情報取得ステップを具備する車両番号認識方法。
【請求項18】
請求項13から17までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法において、
前記画像処理ステップは、さらに、抽出された前記同一撮像対象となる前記車両の前記車両番号情報と予め格納されている手配車両番号情報とを照合する車両番号照合ステップと、前記車両番号照合ステップによる照合結果が一致した場合には音声通知を行う音声通知ステップとを備える車両番号認識方法。
【請求項19】
請求項13から18までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法において、
前記画像処理ステップは、さらに、前記撮像ステップにより認識することのできる通行車両の数をカウントして、その総数を記録する通行車両カウントステップを備える車両番号認識方法。
【請求項20】
請求項13から19までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法において、さらに、外部ネットワークとの間でデータの送受信を行うための通信ステップを具備する車両番号認識方法。
【請求項21】
請求項13から20までのいずれか一項に記載の車両番号認識方法を実現させるため、前記撮像ステップにより取得する前記同一撮像対象の画像を所望視野と一致させるための視野調整方法であって、
前記視野調整方法は、予め前記同一撮像対象となる大型車および普通車等に対応したサイズと取り付け高さが再現されている複数の擬似ナンバープレートを所望視野の特定距離離れた位置に設置する設置ステップと、前記複数の擬似ナンバープレートに向けて前記撮像ステップの撮像視野を向けるように調整する指向調整ステップとを備える視野調整方法。
【請求項22】
請求項20に記載の車両番号認識方法と、
前記請求項20に記載の車両番号認識方法と同等の機能を有し、固定型の車両番号認識方法と、
前記請求項20に記載の車両番号認識方法および前記固定型の車両番号認識方法により取得される前記同一撮像対象となる前記車両の前記車両番号情報、前記全体画像情報、前記複数の撮像装置の撮像視野内を通過する前記通行車両の交通量情報等、車両情報を一元管理する一元管理ステップと、さらに、前記車両の前記車両番号情報と予め格納されている手配車両番号情報とを照合し、前記車両番号情報が取得された画像の前記撮影時刻および前記撮影場所の情報に基づいて前記手配車両番号情報に対応した車両のトラッキングを実施するトラッキングステップとを備えた情報収集方法と
を具備した中央監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−190198(P2006−190198A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3008(P2005−3008)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】