説明

マイクロエマルション洗浄組成物及び物品から疎水性の汚れを除去する方法

【課題】倉庫での生成物の貯蔵及び生成物の輸送のときにしばしばもたらされる低温及び高温の条件では、非常に狭い温度範囲で安定性を示すマイクロエマルションは不安定になる傾向がある。
【解決手段】本発明は、水、非イオン性界面活性剤混合物及び油を含有するマイクロエマルション組成物に関する。このマイクロエマルションは、疎水性の汚れ、特に油状の汚れを様々な表面から除去する。この組成物は硬質表面、洗濯物の清浄化、手洗い、及び乗用車の洗浄のために使用することができる。典型的な疎水性の汚れは、石油又は天然の脂からもたらされる脂に基づく汚れ、並びに有意の割合の粒子状の汚れ、例えば炭素、一般的なほこり及び他の水に不溶性の典型的に疎水性の汚れ粒子を含有する油である。マイクロエマルション組成物は、分離剤、例えば両性界面活性剤を含有して、マイクロエマルションを分離する条件を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、マイクロエマルション洗浄組成物、及び様々な物品から疎水性の汚れを除去する方法に関する。特に本発明は、水、油及び非イオン性界面活性剤の配合物を含有するマイクロエマルション洗浄組成物に関する。本発明のマイクロエマルション洗浄組成物を使用して清浄化することができる物品としては、硬質の表面、繊維品、肌及び髪を挙げることができる。本発明は更に、幅広い温度範囲でのマイクロエマルション洗浄組成物の安定性を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
マイクロエマルションは、汚れの除去に関して開示されている。例えばClarkの米国特許第4,909,962号明細書は、様々な清浄化の用途で使用できる実質的に透明なマイクロエマルション材料を説明している。この材料は、水で希釈して使用溶液を作ることができる。
【0003】
マイクロエマルション清浄化技術は、典型的にアニオン性、非イオン性又はアニオン性アミンオキシド界面活性剤配合物を清浄化する箇所に運ぶためのビヒクルとして有益であることが分かっているが、典型的なマイクロエマルション組成物は、強力な疎水性の汚れ、特に実質的な量の疎水性の粒状物質を含む強力な疎水性の汚れに対して所望の汚れ除去性を発揮しないことが分かっている。特に困難な疎水性の汚れとしては、疎水性の石油系潤滑剤又は油及び炭質粒子を含有する使用済みのモーターオイルを挙げることができる。
【0004】
マイクロエマルション洗浄技術の例は、Klier等の米国特許第5,597,792号;Misselyn等の米国特許第5,415,813号;Dolan等の米国特許第5,523,014号;及びThomas等の米国特許第5,616,548号明細書で見出すことができる。一般に、カチオン性又はアニオン性界面活性剤を含むマイクロエマルションは、これらの特許明細書で説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの従来のマイクロエマルションは、非常に狭い温度範囲で安定である。倉庫での生成物の貯蔵及び生成物の輸送のときにしばしばもたらされる低温及び高温の条件では、非常に狭い温度範囲で安定性を示すマイクロエマルションは不安定になる傾向がある。結果として、マイクロエマルションが壊れ、汚れの除去に関する組成物の効果が低下する。更にマイクロエマルションが壊れると、マイクロエマルションを再び形成するためにはかなりの時間がかかる場合がある。一般に、最適な清浄化効果を得るために、組成物がマイクロエマルションを形成するまで操作を行わない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の概略]
本発明では、マイクロエマルション洗浄組成物を提供する。マイクロエマルション洗浄組成物は、効果的なマイクロエマルションを作る量の水、効果的なマイクロエマルションを作る量の非イオン性界面活性剤混合物、及び効果的なマイクロエマルションを作る量の油を含有する。マイクロエマルション洗浄組成物は、1cmのセルで少なくとも90%の可視光透過率を示すものとして特徴付けられる。更にマイクロエマルション洗浄組成物は好ましくは、30wt%の水を含有する濃縮物としてマイクロエマルションを維持し、且つ99wt%の水を含有する使用溶液としてエマルションを維持するものである。更に、マイクロエマルション洗浄組成物は好ましくは、少なくとも約10℃の温度範囲でマイクロエマルション安定性を維持する。
【0007】
非イオン性界面活性剤混合物は好ましくは、アルコールエトキシレート界面活性剤及びアルキルポリグルコシド界面活性剤を含有する。アルコールエトキシレート界面活性剤は好ましくは、約1〜約20分子のエチレンオキシド反復単位を有するC6〜24アルコールエトキシレート界面活性剤である。アルキルポリグルコシド界面活性剤は好ましくは、重合度が約1〜約10のC6〜24アルキルポリグルコシド界面活性剤である。更に、アルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグルコシド界面活性剤との比は好ましくは、約1:4〜約4:1である。好ましくはアルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグルコシド界面活性剤との重量比は、約1:3〜約3:1である。マイクロエマルションの油成分は好ましくは、22℃での水溶性が1wt%未満の油である。
【0008】
マイクロエマルション洗浄組成物を濃縮物として供給する場合、これは好ましくは、約30wt%〜約60wt%の水、約1wt%〜約30wt%の油、及び約20wt%〜約60wt%の非イオン性界面活性剤混合物を含有する。マイクロエマルション洗浄組成物を使用溶液として供給する場合、マイクロエマルションを使用する特定の用途に依存して、水の濃度を調節することができる。例えばマイクロエマルション洗浄組成物を手洗い用石けんとして使用する場合、使用溶液は、約30wt%〜約99wt%の水を含有することができる。マイクロエマルション洗浄組成物を予備しみ抜き剤(pre−spotter)として使用する場合、使用溶液は好ましくは約30wt%〜約60wt%の水を含有する。マイクロエマルション洗浄組成物を部分洗い剤又は自動車用洗浄剤として使用する場合、使用溶液は好ましくは、約90wt%〜約99wt%の水を含有する。
【0009】
マイクロエマルション洗浄組成物は好ましくは、表面を活性化する量の、下記の群の少なくとも1つを含む界面活性剤を含有していない:プロトン化アミン、第4級アンモニウム化合物、スルファネート、スルフェート、エーテルスルフェート、カルボキシレート、及びホスフェート。更にマイクロエマルション洗浄組成物は、揮発性有機化合物(VOC)を実質的に含有しないようにして供給することができる。一般に、揮発性有機化合物は、C13又はそれよりも小さい化合物、例えばある種の炭化水素を含むことがある。マイクロエマルション洗浄組成物のVOC含有率は、ASTM D3960−87によれば、好ましくは約300ppm未満、より好ましくは約100ppm未満、更により好ましくは約10ppm未満である。
【0010】
マイクロエマルション洗浄組成物は、マイクロエマルションの分離性を制御する分離剤を含有することができる。分離剤は、マイクロエマルションを分離させて界面活性剤から汚れを離すのに有益なことがある。マイクロエマルション使用溶液を定期的に分離して汚れを除去し、そしてマイクロエマルションを再び作って洗浄性の使用溶液を提供することが望ましいことがある。例えばマイクロエマルションの分離性は、マイクロエマルションの温度を変化させることによって制御できる。好ましい分離剤としては、両性界面活性剤を挙げることができる。濃縮物は、約1wt%〜約20wt%の両性界面活性剤を含有して、所望の分離性を提供することができる。
【0011】
両性界面活性剤を洗浄組成物に導入する場合、マイクロエマルション洗浄組成物のpHは約8未満に維持すべきである。好ましくはpHを選択して、両性界面活性剤のpKa未満にする。
【0012】
本発明では、物品から疎水性の汚れを除去する方法を提供する。この方法は、疎水性の汚れを有する物品をマイクロエマルション洗浄組成物と接触させることを含む。マイクロエマルション洗浄組成物と接触させることができる物品の例としては、繊維製品、美術品表面、手、及び自動車の外部を挙げることができる。マイクロエマルション洗浄組成物は好ましくは、乗用車洗浄用組成物として使用することができる。従ってマイクロエマルション洗浄組成物は、使用溶液として供給し、乗用車又はトラックのような自動車の外部に噴霧することができる。更に、マイクロエマルション洗浄組成物は、肌及び/又は髪の清浄化剤として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の詳細な説明]
本発明は、非イオン性界面活性剤、水及び油の混合物を含有するマイクロエマルション洗浄組成物に関する。このマイクロエマルション洗浄組成物は、本明細書の記載においてはより簡単に、マイクロエマルションとして言及することもある。マイクロエマルションは、特定の温度におけるマイクロエマルションの分離性を制御するための分離剤を含有することができる。マイクロエマルション洗浄組成物は、抗菌剤、腐食抑制剤、潤滑剤、光沢剤、再汚染防止剤、無機塩、洗浄、香料、湿潤剤等の追加の成分を含有することができる。マイクロエマルションは、様々な用途において疎水性及び油性の汚れの除去を促進するように特に配合する。
【0014】
マイクロエマルションは、本質的にイオン性界面活性剤を含有しないようにして供給することができる。本発明のマイクロエマルションからなくすことができる界面活性剤のタイプの例は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤である。マイクロエマルションからなくすことができる特定のイオン性界面活性剤としては、プロトン化アミン、第4級アンモニウム化合物、スルホネート、スルフェート、エーテルスルフェート、カルボキシレート、及びホスフェートのうちの少なくとも1つを含む界面活性剤を挙げることができる。マイクロエマルションが、イオン性界面活性剤を実質的に含有しない、又は上述のイオン基の少なくとも1つを有するイオン性界面活性剤を実質的に含有しないとは、マイクロエマルションが0.01wt%未満のイオン性界面活性剤を含有することを意味している。一般にマイクロエマルションからイオン性界面活性剤をなくすことは望ましいが、本願の出願人等は、例えば分離剤として使用する場合、両性界面活性剤が特に有利な性質を提供できることを見出した。従ってマイクロエマルションは、両性界面活性剤以外のイオン性界面活性剤を含有しないものとして特徴付けられる。
【0015】
マイクロエマルションは、透明性、希釈可能性、及びマイクロエマルション安定範囲(MSR)によって特徴付けられる。一般に本発明のマイクロエマルションは、一般に濁り、懸濁固体及び粒子、並びに他のマイクロエマルション形成の証拠がないことによって特徴付けられる。一般にマイクロエマルションの透明性は、好ましくは脱イオン水の透明性に近い。Bausch & Lomb Spectrometer 20を使用して測定すると、本発明のマイクロエマルションは好ましくは、1cmのセルに入れて測定したときに、同じ条件において1cmのセルに入れられた脱イオン水で観察される可視光透過率の少なくとも約90%の可視光透過率を示す。これらの試験条件においては、マイクロエマルションは、より好ましくは少なくとも約95%の可視光透過率を示し、更により好ましくは少なくとも約98%の可視光透過率を示す。好ましくは透過の割合は、脱イオン水のそれと同等である。マイクロエマルションの透明性の測定は、色又は有色添加剤の存在を除外しないことを理解すべきである。
【0016】
希釈可能性とは、1%希釈で水を受け入れてその透明性を維持するマイクロエマルションの特性に言及している。すなわち、マイクロエマルションを作るのに必要とされるほぼ最少量の水を含有するマイクロエマルション1wt%を、99wt%の水と組み合わせて、得られる組成物が上述の透明性のレベルを維持できることをいう。希釈可能性の特性は、ヘッドを詰まらせないでヘッドを通して噴霧することができる使用溶液を提供するために希釈できるマイクロエマルションを提供するので有利である。一般に、使用溶液中で提供される水の量は、使用溶液を使用する特定の用途に依存している。例えば手洗い用石けん使用溶液は、約30wt%〜約99wt%の水を含有することができ、予備しみ抜き使用溶液は、約30wt%〜約60wt%の水を含有することができ、また部分洗い及び自動車清浄化剤は、約90wt%〜約99.9wt%の水を含有することができる。
【0017】
マイクロエマルション安定範囲(MSR)とは、マイクロエマルションがマイクロエマルション状態を維持する温度範囲に言及している。MSRは、組成物が大気圧においてマイクロエマルション状態を維持する温度範囲として数値的に特徴付けられる。MSRの終点は、相分離が観察されることによって決定される。相分離は典型的に、濁り、不透明性又は層状の分離の観察によって決定することができる。一般にMSRの終点は、マイクロエマルション安定性の欠如によって特徴付けられる。貯蔵所で通常もたらされる貯蔵条件では、MSRが狭いマイクロエマルションは、温度が高すぎる又は低すぎるときに相分離する傾向がある。組成物を再びマイクロエマルションにすることもできるが、これはマイクロエマルションに戻って使用できるようになるまでに長い時間を必要とすることがある。一般に、清浄化の用途で使用する前にマイクロエマルションが再生されるのを待たなければならないことは望ましくない。本発明のマイクロエマルションのMSRは、約5℃超である。好ましくはMSRは約10℃超、より好ましくは約15℃超である。本発明のマイクロエマルションは、約30℃超のMSRを有することができる。
【0018】
[非イオン性界面活性剤]
本発明は、非イオン性界面活性剤の混合を含有するマイクロエマルションに関する。非イオン性界面活性剤は好ましくは、かなり水溶性であると考えられる第1の界面活性剤、並びに油及び水の両方にわずかに溶解性であると考えられる第2の界面活性剤を含む。第1の界面活性剤は好ましくは、アルコールエトキシレート界面活性剤を含み、第2の界面活性剤は好ましくは、アルキルポリグリコシド界面活性剤を含む。
【0019】
本発明で使用できるアルコールエトキシレート界面活性剤は好ましくは、約1〜約20分子のエチレンオキシド反復単位を有するC6〜24アルコールエトキシレート、より好ましくは約3〜約9分子のエチレンオキシド反復単位を有するC9〜15アルコールエトキシレートを含む。アルキル基は直鎖又は枝分かれ鎖を含むことができる。好ましいアルコールエトキシレートは、約4〜約6のエチレンオキシド反復単位を有するC12〜15アルコールエトキシレートである。本発明で使用できる好ましいアルコールエトキシレートは、Huntsman ChemicalからSurfonic L24−5という名称で袖手可能である。
【0020】
本発明で使用できるアルキルポリグリコシド界面活性剤は好ましくは、C6〜24アルキル基を含み、重合度が約1〜約20である。好ましくはアルキルポリグリコシド界面活性剤は、C8〜14アルキル基を有し、重合度が約1.1〜約5である。本発明で使用できる好ましいアルキルポリグリコシド界面活性剤は、HenkelからClucopon625という名称で入手可能である。
【0021】
マイクロエマルションのアルコールエトキシレート界面活性剤成分は、単一のアルコールエトキシレートとして、又はアルコールエトキシレートの混合物として提供できることを理解すべきである。同様にマイクロエマルションのアルキルポリグリコシド界面活性剤成分は、単一アルキルポリグリコシド、又はアルキルポリグリコシドの混合として提供することができる。
【0022】
アルコールエトキシレート界面活性剤及びアルキルポリグリコシド界面活性剤は、水及び油と組み合わせたときにマイクロエマルションを提供するのに十分な重量比で提供する。好ましくはアルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグリコシド界面活性剤との重量比は、約1:4〜約4:1である。好ましくはアルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグリコシド界面活性剤との重量比は、約1:3〜約3:1であり、より好ましくは約1:2〜約2:1である。本願の出願人は、好ましい重量比が約1:1であることを見出している。
【0023】
マイクロエマルションは好ましくは、希釈してマイクロエマルション使用溶液を維持することができ、且つマイクロエマルション濃縮物を提供する量の非イオン性界面活性剤の混合を含む。好ましくは濃縮物は、約20wt%〜約60wt%の非イオン性界面活性剤の混合を含む。より好ましくは、濃縮物は約25wt%〜35wt%、更により好ましくは約30wt%〜約50wt%の非イオン性界面活性剤の混合を含む。
【0024】
[水]
マイクロエマルション濃縮物は好ましくは、所望のマイクロエマルション安定範囲でマイクロエマルション性を提供するのに少なくとも十分な量の水を含む。好ましくはマイクロエマルションは、少なくとも約30wt%の水を含有する。一般に本発明のマイクロエマルションは、水で希釈したときにマイクロエマルション状態を維持する。すなわち、マイクロエマルションを濃縮物として入手して、その後で使用者が水で希釈して使用溶液を提供することができる。従って使用溶液は約99wt%までの水を含有できると考えられる。マイクロエマルション濃縮物は好ましくは、約30wt%〜約60wt%の水を含有する。
【0025】
[油]
マイクロエマルション濃縮物に導入する油成分は、22℃での水溶性が1wt%未満のものである。マイクロエマルションの油成分は、マイクロエマルションの形成に役立ち、また同時に疎水性のよごれに対する溶媒又は軟化剤としても作用する傾向がある。本発明のマイクロエマルションを作るために使用できる油のタイプの例としては、鉱油、ミネラルスピリット、パイン油、脂肪エステル、カルボキシルジエステル油、モーターオイル、トリグリセリド等を挙げることができる。
【0026】
マイクロエマルション濃縮物は好ましくは、所望のマイクロエマルション安定範囲においてマイクロエマルション性を提供するのに少なくとも十分な量の油を含有する。好ましくは油成分は、約1wt%〜約30wt%の量でマイクロエマルション濃縮物に提供する。マイクロエマルションを、物品からの疎水性のよごれ、例えば油状物質の除去のために提供することを考慮すべきである。従って疎水性のよごれを除去する場合、マイクロエマルションの油成分を増加させる。
【0027】
マイクロエマルションは、物品からの疎水性粒子汚れを除去するために提供することができる。疎水性粒子汚れとは、粒子状物質を含有する油状又は脂性の汚れに言及していることを理解すべきである。一般に、このタイプの汚れは、ケーク状の外観によって特徴付けられることが多い。疎水性粒子汚れを除去する場合、疎水性粒子汚れの油状成分をマイクロエマルションの油成分の一部にすることができる。疎水性汚れの例としては、炭化水素、タール、ビチューメン、アスファルト等を挙げることができる。疎水性汚れ中で見出すことができる粒子の例としては、鉱物粘土、砂、ほこり、粘土、天然鉱物、カーボンブラック、グラファイト、グラファイト状物質、カオリン、周囲のほこり等を挙げることができる。一般に、特に関心のある汚れとしては、カオリン及び汚れたモーターオイル、アスファルテン、炭化水素、コールタール、石油グリース、脂肪質汚れ、トランスミッション流体、油圧油及びグリース等を挙げることができる。これらの汚れは、トラック又は自動車の修理店、ガソリン及び/又は給油スタンド、産業機械店、石油精製及び処理プラント、機械修理店、並びに食料製造施設で見られる典型的な汚れであり、従来の洗浄剤による洗浄によってはかなり除去しにくいものである。これらの汚れの除去に関して清浄化することができる物品の例としては、作業着、機械部品、グリル部品及びオイルパンを挙げることができる。これらの物品で見出される汚れは、ケーク状の外観によって特徴付けられることが多い。更に動物の肌、例えば人間の肌、髪、及び爪の組織がこれらの汚れで汚染されることが多く、これは従来の洗浄剤によっては清浄化することが困難である。エンジン部品のような硬質の表面を清浄化するための技術の例は、マイクロエマルション使用溶液を浴中で循環させ、且つ清浄化する硬質表面を浴に導入することを含む。
【0028】
更にマイクロエマルションは、上述の疎水性粒子汚れを有することがある又はそうではない硬質表面、繊維品、肌及び髪を清浄化するために使用することができる。例えば、マイクロエマルションを使用溶液として供給し、洗車において自動車及びドラックを清浄化するために使用することができる。
【0029】
[分離剤]
分離剤をマイクロエマルションに導入して、マイクロエマルションの分離性質を制御することができる。すなわち、分離剤を導入することによって、所望の温度においてマイクロエマルションが分離し、それによって油成分の取り出し及び除去が可能になるようにすることができる。この制御された分離性能は、多くの用途、例えば特に硬質表面部品清浄化剤としてのマイクロエマルションの使用、及び洗濯用洗浄剤としてのマイクロエマルションの使用において望ましい。硬質表面部品の清浄化の場合、マイクロエマルションを含有する水性溶液を循環させて、エンジン部品のような硬質表面から疎水性の汚れを除去して清浄化することができる。循環使用溶液が疎水性の汚れで飽和したら、使用溶液の温度を変化させて、油成分を分離することができる。その後、油成分を取り出して廃棄し、本発明によってマイクロエマルションを再び形成することができる。
【0030】
分離剤は好ましくは両性界面活性剤であり、好ましくはマイクロエマルション濃縮物中に約1wt%〜約20wt%の濃度で提供する。好ましくは分離剤は、約2wt%〜約10wt%、より好ましくは約3wt%〜約7wt%の濃度で提供する。
【0031】
この用途における界面活性剤の議論は活性が100%の界面活性剤組成物に言及していることを考慮すべきである。当然に、特定の製造者は、特定の活性レベルで利用できる界面活性剤を製造している。これらのタイプの界面活性剤は本発明で使用することができるが、界面活性剤の量の計算は100%の活性レベルに基づいて行う。
【0032】
本発明では様々な両性界面活性剤を使用することができる。好ましい両性界面活性剤としては、下記の式(I)〜(III)の化合物を挙げることができる:
【0033】
【化1】

(Xは、炭素原子数が1〜4の直鎖の又は枝分かれしたアルキレン、ヒドロキシアルキレン、又はアルコキシアルキレン基;
Rは、R4−CO−NH又はR4であり、ここでR4は、炭素原子数4〜22の飽和又は不飽和の、枝分かれした又は直鎖のアルキル基;
1は、水素、A又は(A)n−X−CO2-+であり、ここでAは、炭素原子数1〜4の直鎖の又は枝分かれしたアルキル、ヒドロキシアルキル又はアルコキシアルキル、nは0〜6の整数、且つzはアルカリ金属カチオン、水素イオン又はアンモニウムカチオン;
2は、(A)n−X−CO2-+;且つ R3は、なし又はA。)
【0034】
【化2】

(Rは、水素、炭素原子数が1〜16の直鎖の又は枝分かれしたアルキルであり、ここでこのアルキル基は、フェニルがその中間にあり又はなく、且つXはアニオン。)
【0035】
両性界面活性剤は、両性ジカルボキシレートでよい。両性ジカルボキシレートは、以下の式の化合物である:
【0036】
【化3】

(Aは、R又は
【化4】


【0037】
Rは、C6〜17のアルキル、y及びzは独立に1〜6であり、且つm及びnは独立に0〜6でm+n≧1である。X+置換基は、プロトン、アルカリ金属カチオン又は一部のアルカリ土類金属カチオンを表している。本発明で使用するのに好ましい材料は、両性ジカルボキシレート材料、二ナトリウムココアンホ(cocoampho)ジアセテート、二ナトリウムココアンホジプロピオネート、二ナトリウムココアミノ(cocoamino)ジプロピオネート、又はそれらの混合である。これらの材料は、ニュージャージー州パターソンのMona Industries社及びRhone−Poulenc社から入手可能である。
【0038】
両性ジカルボキシレートは、一度に加えること、複数回に分けて加えること、又は連続的に計量して水性流れにすることができる。典型的に両性材料は、カチオン性不安定化剤又は凝集剤を加える前に、及び任意のpH変更又は分離開始の前に加える。水性流れからの疎水性汚れの分離において両性ジカルボキシレートを利用する1つの好ましい様式は、両性ジカルボキシレート材料を配合された洗浄剤を使用することを含む。そのような水性洗浄剤は、洗濯、床の清浄化、装置の清浄化等を含む様々な清浄化の様式で使用することができる。清浄化組成物は、両性ジカルボキシレートを清浄化剤の成分として使用する完全に配合されたビルダー系を含む。清浄化組成物は、有機及び無機機能材料の両方、ビルダー等を含む様々な他の成分を含有することができる。
【0039】
両性界面活性剤をマイクロエマルションに導入する場合、マイクロエマルションのpHは好ましくは、約8未満にする。より好ましくはpHは約7未満、更により好ましくは約5未満である。好ましくはマイクロエマルションのpHを制御して、両性界面活性剤のpKa未満にする。
【0040】
[追加の成分]
上述のこれらの成分に加えて、他の従来の清浄化成分をマイクロエマルションに導入することもできる。そのような成分としては、殺菌剤、増白剤、再汚染防止剤、柔軟剤、無機塩、染料、香料、及び腐食防止剤を挙げることができる。好ましい殺菌剤としては、抗菌剤及び酸化性抗菌剤を挙げることができる。酸化性抗菌剤の例としては、過酸化水素、過酸、オゾン、次亜塩素酸、及び二酸化塩素を挙げることができる。マイクロエマルションの清浄化性能を妨害する成分は除外することができる。
【0041】
本発明のマイクロエマルションは、清浄化組成物として利用可能であり、特定の条件においてマイクロエマルション状態を維持するように提供することができ、またマイクロエマルションを選択的に破壊して、油溶性成分と水溶性成分とを分離することができる。洗浄の間に、清浄化組成物はマイクロエマルションを維持して、物品からの汚れの除去を促進することが望ましい。物品から汚れを除去した後で、マイクロエマルション状態を選択的に破壊して、油溶性成分を水溶性成分から分離することができる。汚れを含む油溶性成分はその後、取り出すことができる。
【0042】
マイクロエマルションは、(1)組成物のpH;(2)両性界面活性剤の他の界面活性剤に対する割合;及び(3)界面活性剤と油との割合を制御することによって、マイクロエマルション状態を維持することができる。
【0043】
清浄化組成物のpHは、約8未満に維持すべきである。好ましくはpHは約7未満で約4よりも大きい。好ましいpH範囲は、約5〜約6である。一般に、pHは、両性界面活性剤を使用する場合、両性界面活性剤のpKa未満になるように選択する。
【0044】
本発明のマイクロエマルションが含有することができる界面活性剤は、上述のように第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤、並びに両性界面活性剤として言及することができる。第1の界面活性剤は好ましくは、かなり水溶性であると考えられるものであり、第2の界面活性剤は好ましくは、水及び油に対してわずかに溶解性であると考えられるものであり、また両性界面活性剤は好ましくは、水溶性で且つ油に不溶性であると考えられるものである。第1の界面活性剤は好ましくは、アルコールエトキシレート界面活性剤であり、第2の界面活性剤は好ましくは、アルキルポリグルコシド界面活性剤である。
【0045】
マイクロエマルションの界面活性剤成分は好ましくは、両性界面活性剤よりも多量のアルキルポリグリコシド界面活性剤、及びアルキルポリグリコシド界面活性剤よりも多量のアルコールエトキシレート界面活性剤を含む。好ましい界面活性剤組成物は、約40wt%〜約60wt%のアルコールエトキシレート界面活性剤、約15wt%〜約35wt%のアルキルポリグリコシド界面活性剤、及び約2wt%〜約15wt%の両性界面活性剤を含む。より好ましい界面活性剤組成物は、約45wt%〜約55wt%のアルコールエトキシレート界面活性剤、約20〜約30wt%のアルキルポリグリコシド界面活性剤、及び約3wt%〜約7wt%の両性界面活性剤を含む。
【0046】
マイクロエマルションは、界面活性剤組成物と油成分との比を制御することによって提供する。一般に、界面活性剤組成物と油成分とに比を、界面活性剤組成物約3.5部と油0.5部〜界面活性剤組成物約3.5部と油約1.5部にすることが望ましい。好ましくは界面活性剤組成物と油との比は、界面活性剤組成物約3.5部と油約1部である。
【0047】
マイクロエマルションは、清浄化組成物として複数の用途で使用することができる。例えばマイクロエマルションは使用溶液として提供し、部品の洗浄剤として使用することができる。ここでは、マイクロエマルションを循環浴に提供し、清浄化する部品を浴に入れ、この部品を清浄化の後で浴から取り出すことができる。マイクロエマルション洗浄組成物は、自動車洗浄組成物として使用することができる。ここでは、マイクロエマルション洗浄組成物を、自動車の外部に噴霧し、そしてその後で自動車をすすぐ。この場合には、マイクロエマルション組成物は、自動車洗浄組成物として言及することができる。更に、マイクロエマルション洗浄組成物は、従来の繊維品洗浄装置での繊維品の洗浄のために使用することができる。
【0048】
マイクロエマルション洗浄組成物を自動車洗浄組成物として使用する場合、マイクロエマルションの油成分として、自動車表面から揮発する油を提供することが望ましい。自動車表面に油の薄い層を残す油を使用することは一般に望ましくない。より好ましくは、マイクロエマルションの油成分は、自動車表面において水をビーズ状にして細かい滴にするものであるべきである。油成分は好ましくは、所望の日焼け防止及び乾燥効果を提供するものである。自動車洗浄組成物を提供するためのマイクロエマルション組成物で使用することができる油の例はミネラルスピリットである。
【0049】
本発明は更に、本発明のマイクロエマルション使用溶液を相転換させる方法に関する。使用溶液の温度を変化させることによって、油相と水相とを分離することができる。油相を取り出し、界面活性剤を使用して本発明のマイクロエマルション洗浄組成物を再び作ることができる。
【実施例】
【0050】
例1
マイクロエマルション組成物
この例は、複数のマイクロエマルション組成物の配合、それらの希釈可能性、及びそれらの有益なマイクロエマルション安定範囲(MSR)を示している。表1及び2で示されているデータは、示されている成分の好ましい配合ガイドラインを含む。範囲としては、約40wt%〜約60wt%の水、約15wt%〜約35wt%のエトキシレート非イオン性界面活性剤、約9wt%〜約24wt%のアルキルポリグリコシド界面活性剤、及び約10〜約25wt%の疎水性溶媒を挙げることができる。好ましい範囲としては、約45wt%〜約55wt%の水、約15wt%〜約のエトキシル化非イオン性界面活性剤、約20wt%のアルキルポリグリコシド、及び残部の疎水性溶媒を挙げることができる。一般的に、全非イオン性界面活性剤(エトキシレート+ポリグリコシド)の疎水性油(例えば鉱油)に対する比が1.4よりも大きいと、所望の特性を示すマイクロエマルションが提供される。
【0051】
それぞれの組成物のマイクロエマルション安定範囲(MSR)を示す。これは、特定の温度範囲で最大洗浄性能をもたらす透明マイクロエマルション液体、ゲル又は固体組成物を配合する能力を示す。すなわち清浄化能力は一般にMSR又はMSR付近において増加している。試料番号1−7〜1−18は、様々な温度範囲、例えば0〜40℃、40〜70℃及び75〜95+℃において、透明流動性マイクロエマルション組成物を示す。またデータは、本発明の配合で可能な相対的に広いMSR(例えば30℃超)を示している。反対に、試料番号1−1〜1−5は、分散性のミルク状エマルションを作り(透明マイクロエマルションを作らない)、明確なMSRをもたらすことが見出されない。
【0052】
また任意のマイクロエマルション組成で重要な性質は、洗浄のために水性相によって希釈して透明溶液を得られることである。典型的に、濃縮物の約0.1〜1wt%希釈を使用して、系の強さを測定することができる。例は、1%での透明性データを示しており、全てのマイクロエマルションの例が透明な希釈物をもたらしている。対称的に、全てのエマルション例が、濁り〜ミルク状の希釈溶液をもたらしている。試料1−6の「近」マイクロエマルションは濁った外観を与え、透明なマイクロエマルションの外観を与えなかった。
【0053】
表1において報告されている成分の量は、重量百分率に関するものである。
【0054】
【表1】

【0055】
1.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
2.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
3.(アルコール5−EO+ポリグリコシド)/疎水性油の比
4.MSR(マイクロエマルション安定範囲)
5.1%溶液透明性(RT)は室温でのものである。
【0056】
例2
ビルダーを伴うマイクロエマルション組成物
水相中の商業的なビルダー(有機及び無機キレート及びアルカリ度源)系及び疎水性溶媒としてのヘキサデカンを含有する様々なマイクロエマルション組成物を調製した。好ましいマイクロエマルション組成物は、約50wt%の水性ビルダー、20wt%のエトキシル化非イオン性界面活性剤、20wt%のアルキルグリコシド界面活性剤、及び残部の疎水性溶媒を含有している。
【0057】
また表1で示すように、濃縮物の透明性と使用溶液の透明性との間には相関関係があり、様々なマイクロエマルション安定範囲(MSR)が利用可能である。
【0058】
【表2】

【0059】
1.活量2,000ppmのTurbo Speed;ミネソタ州セントポールのEcolab社から入手可能な、商業的なシリケート化洗濯用ビルダー系。
2.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
3.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
4.MSR(マイクロエマルション安定範囲)は、透明単相流動性液体が存在する温度範囲。
【0060】
例3
他の疎水性相
様々な疎水性成分を含有する様々なマイクロエマルション組成物を調製した。これらのエマルション組成物は表3で報告している。成分の量は重量百分率に関するものである。
【0061】
【表3】

【0062】
1.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
2.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
3.活量2,000ppmのTurbo Speed;ミネソタ州セントポールのEcolab社から入手可能な、商業的なシリケート化洗濯用ビルダー系。
4.MSR(エマルション安定範囲)は、透明単相流動性液体が存在する温度範囲。
【0063】
例4
マイクロエマルションでの繊維品洗浄
この例では、洗濯用洗浄剤としてのマイクロエマルション組成物の有用性を示す。従来の洗濯洗浄方法を使用して、本発明のマイクロエマルションと、標準の商業的な洗浄剤とを比較した。組成及び試験結果は、表4で報告している。
【0064】
35ポンド洗濯機に、20ポンドのいっぱいの繊維製品、適当な温度(第5欄)の11ガロンの水、商業的な洗浄剤(第2欄)、及び一連の商業的な汚れたモーターオイル(DMO)標準試験標本(1つの試験について6つ)を入れた。洗浄の増進剤(第3欄)を、様々な濃度(第4欄)で洗濯機に入れ、清浄化サイクルを10分間にわたって行い、その後で水を捨て、そして5分間にわたってすすいだ。試験標本は、Hunter Ultrascan Sphere Spectrocolorimeter(Hunter Lab.)を使用して反射率測定によって評価した。反射率は、表面によって反射される入射光の割合を数値的に表したものである。表面の清浄性は、L値(完全な白色の100から黒色の0まで変化する明るさの測定値、ほぼ肉眼で評価されるようなものである)及び白色指数(WI)(「完全な」白色からの対象物の相違の程度の測定値)の増加に関連付ける。両方の値は、非常に再現性のあるものであり、また光学的な検査による結果を数値的に表したものであることが分かっている。効果的で完全な清浄化はL及びWI値を、新しい繊維製品の値に戻す又はその値よりも大きくすることが示される。清浄化の欠如又は中間の程度までの除去は、それぞれ反射率を増加させず又は中間まで増加させる。
【0065】
表4の第7欄で報告されている結果は、本発明のマイクロエマルションの洗浄結果と商業的な溶媒に基づく洗浄増進剤の洗浄結果とを比較している。示されているように、溶媒に基づく洗浄増進剤の使用と比較して相当する汚れ除去結果が、重度の汚れの洗浄剤促進剤としての本発明のマイクロエマルションを使用して達成された。同様な結果を得るために、洗浄温度を30°F低下させることが本発明によって達成される(第6欄参照)。また第4欄で示されているように、本発明のマイクロエマルションは、VOC(揮発性有機化合物)の制限なしに作ることができ、燃焼性及び健康に関する問題に有意の影響を与えない。
【0066】
更なる添加剤を使用すること、又はマイクロエマルション組成を変更することによって、洗浄性を更に改良する本発明の能力を示す。ここでは、比較的低い洗浄温度でも、従来技術に対して10%の洗浄性の向上を実現することができる。
【0067】
【表4】

【0068】
1.Turobo Speedは、商業的なシリケート化洗濯用ビルダー系、Turbo Chargeは、商業的な界面活性剤系、及びEcolab2002は、開発された界面活性剤添加剤;これらは全てミネソタ州セントポールのEcolab社から入手可能。
2.洗浄増進剤は、TCD ILF−15強力汚れ洗浄添加剤(ミネソタ州セントポールのEcolab社)、又は試験するマイクロエマルションのうちの1つ。
3.汚れの除去は、明るさ(L)値の増加によって測定。
4.マイクロエマルションAの配合は、20.4%アルコール5−EOエトキシレート、20.4%アルキルグリコシド、12%鉱油、及び残部の水。
5.マイクロエマルションBの配合は、30.6%アルコール5−EOエトキシレート、10.2%アルキルグリコシド、12%鉱油、及び残部の水。
6.マイクロエマルションCの配合は、35.8%アルコール5−EOエトキシレート、5.0%アルキルグリコシド、12%鉱油、及び残部の水。
7.VOCは、揮発性有機化合物を意味する。
8.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
9.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
【0069】
例5
マイクロエマルションによる硬質表面の清浄化
洗浄組成物を使用して、硬質表面及び産業的な部品を清浄化した。結果は表5で示している。かなりの汚れの層を有する使用済みの自動車のオイルパンを、2インチ×4インチの試験片に切断し、120°Fの溶液(水中の25wt%マイクロエマルション又は清浄化剤)中に15分間にわたって撹拌を伴って浸し、その後で室温で60分間にわたって浸した。試験片を試験溶液から取り出し、すすぎ、そして1(劣っている)〜5(優秀/完全)までの基準で視覚的に汚れの除去を評価した。
【0070】
示されているように、比較的無害の成分を使用するマイクロエマルション組成物は従来技術のものと同じぐらい有効に作用し、有害な高濃度のVOCの溶液を使用しない。すなわち、汚れ除去洗浄試験結果は、揮発性溶媒組成配合物で見出されるものと同様である(第1〜2行と第3〜9行との比較を参照)。また本発明のマイクロエマルション組成物は、ミネラルスピリット又はグリコールに起因する刺激性の臭いを示さない。
【0071】
この例は、枝分かれしたアルキル−ヒドロキシル−アミンが汚れ除去性能に関して有する好ましい効果を示す(試料番号5−3と、5−5及び5−8とを比較)。この促進は、第4〜6行と第7〜9行とを比較して示されるように最大であると考えられる。助剤のアルキル枝分かれの必要性は、試料番号5−5及び5−8と、5−10及び5−11とを比較することによって示される。
【0072】
【表5】

【0073】
1.VOCは、揮発性有機化合物を意味する。
2.汚れ除去の視覚的な等級は、洗浄後の清浄性に基づいている。優秀(5)=90%超の清浄性、良好(4)=80%超の清浄性、普通(3)=70%超の清浄性、劣っている(1〜2)=60%未満の清浄性。
3.Textile Care ILF−15は、2−EO単位超のエトキシレートと炭化水素溶媒との錯配合物を含有する商業的な汚れたモーターオイル清浄化製品(ミネソタ州セントポールのEcolab社)。
4.Buckeye XL−100(ミズーリ州メリーランドハイトのBuckeye International社)。
5.マイクロエマルションAの配合は、20.4%アルコール5−EOエトキシレート、20.4%アルキルグリコシド、12%鉱油、及び残部の水。
6.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
7.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
【0074】
例6
マイクロエマルションによる産業的な部品の清浄化
洗浄組成物を、産業的な部品の洗浄のために使用した。この結果は表6で示している。汚れた自動車のオイルパンを、商業的な洗浄系で洗浄した。部品は15秒間の洗浄時間で5回擦り、すすぎ、そして1(劣っている)〜5(優秀/完全)までの基準で視覚的に汚れの除去を評価した。
【0075】
比較的無害の成分を使用するマイクロエマルション組成物は従来技術のものと同じぐらい有効に作用し、有害で場合によっては燃焼性の高濃度のVOC溶液を使用しない。すなわち、洗浄結果は、溶媒組成物で見出されるものと同様であり又はそれよりも優れている(第1〜2行と第3〜4行との比較を参照)。また本発明のマイクロエマルション組成物は、ミネラルスピリット又はグリコールに起因する刺激性の臭いを示さない。
【0076】
【表6】

【0077】
1.VOCは、揮発性有機化合物を意味する。
2.汚れ除去の視覚的な等級は、15秒間の洗浄時間で5回ブラシがけした後の清浄性に基づいている。優秀(5)=90%超の清浄性、良好(4)=80%超の清浄性、普通(3)=70%超の清浄性、劣っている(1〜2)=60%未満の清浄性。
3.Textile Care ILF−15は、2−EO単位超のエトキシレートと炭化水素溶媒との錯配合物を含有する商業的な汚れたモーターオイル清浄化製品(ミネソタ州セントポールのEcolab社)。
4.Buckeye XL−100(ミズーリ州メリーランドハイトのBuckeye International社)。
5.マイクロエマルション6−1の配合は、20.4%アルコール5−EOエトキシレート、20.4%アルキルグリコシド、12%鉱油、及び残部の水。
6.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
7.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
【0078】
例7
マイクロエマルションによるインクの除去
洗浄組成物を、インク除去のために使用した。この結果は表7で示している。産業的な洗濯機からの汚れた印刷所のタオルを、様々な組成物に予め浸し、その後で商業的な洗浄プログラムで洗浄した(例4でのように)。インクの除去は視覚的な試験によって評価した。
【0079】
全有機物活量が比較的小さいマイクロエマルション組成物は、インク汚れの予備しみ抜き剤として商業的な100%濃度の油よりもかなり良好な結果を示した。
【0080】
【表7】

【0081】
1.活量は、全有機物を基準としている。
2.未処理の標準対照タオルに対する視覚的な評価。
3.マイクロエマルションDは、20.4%のアルコール5−EOエトキシレート、20.4%のアルキルグリコシド、12%のジブチルドデカノエート、及び残部の水を含有しており、希釈して全有機物の活量が25wt%になるようにした。
4.マイクロエマルションEは、20.4%のアルコール5−EOエトキシレート、20.4%のアルキルグリコシド、12%のメチルソエート、及び残部の水を含有しており、希釈して全有機物の活量が25wt%になるようにした。
5.アルコール5−EOは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic L24−5で入手可能な、5分子のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤。
6.ポリグリコシドは、Henkelから名称Glucopon 625で入手可能な、アルキル化ポリグリコシド非イオン性界面活性剤。
【0082】
例8
2つのマイクロエマルション組成物を、表1に示すようにして調製した。
【0083】
【表8】

【0084】
1.エトキシレートは、Huntsman Chemicalから名称Surfonic 24−5で入手可能。
2.ポリグリコシドAは、Henkelから名称APG−625で入手可能。
3.ポリグリコシドBは、Henkelから名称APG−600で入手可能。
【0085】
試料の調製において、成分は示されている順序で加えた。それぞれの混合物は、全ての塊がなくなるまで、撹拌し、120°Fよりもわずかに低い温度にした。それぞれの混合物を、空冷して室温にした。組成物Fは、120°Fで白色のミルク状ミニエマルションであり、中間温度で透明になり、最終的に室温まで冷却すると非常にわずかに濁った。組成物Gは、冷却サイクルの間を通してわずかに不透明な外観を維持した。
【0086】
組成物Fは、セルフサービス洗車場で試験した。試験した乗用車は、初めに水のみで流して、いくらかの粒子を除去し、そして2オンス/ガロンの組成物Fの試験溶液でスポンジを使用して穏やかに洗浄した。試験した自動車は水のみですすいだ。最終的なすすぎの間に撥水効果が観察され、乾燥が促進された。乗用車本体のペイントは乾燥したときに良好な光沢を与えたが、風防ガラスは乾燥したときに、いくらかの過剰ではない水跡を残したが、膜は観察されなかった。結果は、他の実地試験組成物と比較して良好であり、これが非イオン性界面活性剤に基づく組成物であり、キレート化剤、水質調節剤又はアニオン性界面活性剤を含有しないことを考慮すると更に際だったものであった。
【0087】
上述の説明、例及びデータは、本発明の理解に役立つものである。しかしながら本発明は、様々な組成物及び方法で実施することができる。従って本発明は、特許請求の範囲で示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)効果的なマイクロエマルションを形成する量の水;
(b)(i)約1〜約20分子のエチレンオキシド残基を有するC6〜24アルコールエトキシレート界面活性剤;
(ii)重合度が約1〜約10であるC6〜24アルキルポリグリコシド界面活性剤;を含有し、ここで、
(iii)前記アルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグリコシド界面活性剤とを、約1:4〜約4:1の重量比で供給する、効果的なマイクロエマルションを形成する量の非イオン性界面活性剤混合物;
(c)22℃での水溶性が1wt%未満の、効果的なマイクロエマルションを形成する量の油、
を含有する、マイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項2】
前記水が約30wt%〜約60wt%の濃度で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項3】
前記油が約1wt%〜約30wt%の濃度で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤混合物が約20wt%〜約60wt%の濃度で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項5】
前記アルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグリコシド界面活性剤との比が、約1:3〜約3:1である、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項6】
前記アルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグリコシド界面活性剤との重量比が、約1:2〜約2:1である、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項7】
非イオン性界面活性剤の油に対する割合が約1.4:1よりも大きい、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項8】
前記アルコールエトキシレート界面活性剤が、約4〜約6分子のエチレンオキシド残基を有するC12〜15アルコールエトキシレートを含む、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項9】
前記アルキルポリグリコシド界面活性剤が、重合度が約1〜約5のC8〜12アルキルポリグリコシド成分を含む、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項10】
両性界面活性剤を更に含有する、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項11】
前記両性界面活性剤を、約1wt%〜約20wt%の濃度で提供する、請求項10に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項12】
抗菌剤、酸化性抗菌剤、腐食防止剤、及びそれらの混合のうちの少なくとも1つを含む添加剤を更に含有する、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項13】
前記酸化性抗菌剤が、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸、二酸化塩素、及びそれらの混合の少なくとも1つを含む、請求項12に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項14】
1cmのセルに入った前記マイクロエマルションを通る可視光の透過率が、1cmのセルに入った脱イオン水を通る可視光の透過率の少なくとも90%である、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項15】
マイクロエマルションが約50°Fの温度範囲内で維持される、請求項1に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項16】
両性界面活性剤が下記の式の化合物を含む、請求項10に記載のマイクロエマルション洗浄組成物:
【化1】

(Xは、炭素原子数が1〜4の直鎖の又は枝分かれしたアルキレン、ヒドロキシアルキレン、又はアルコキシアルキレン基;
Rは、R−CO−NH又はRであり、ここでRは、炭素原子数4〜22の飽和又は不飽和の、枝分かれした又は直鎖のアルキル基;
は、水素、A又は(A)−X−COであり、ここでAは、炭素原子数1〜4の直鎖の又は枝分かれしたアルキル、ヒドロキシアルキル又はアルコキシアルキル、nは0〜6の整数、且つzはアルカリ金属カチオン、水素イオン又はアンモニウムカチオン;
は、(A)−X−CO;且つ Rは、なし又はA。)
【請求項17】
両性界面活性剤が下記の式の化合物を含む、請求項10に記載のマイクロエマルション洗浄組成物:
【化2】

(Rは、水素、炭素原子数が1〜16の直鎖の又は枝分かれしたアルキルであり、ここでこのアルキル基は、フェニルがその中間にあり又はなく、且つXはアニオン。)
【請求項18】
pHが7未満である、請求項10に記載のマイクロエマルション洗浄組成物。
【請求項19】
マイクロエマルション洗浄組成物を疎水性の汚れ有する物品に接触させることを含む、物品から疎水性の汚れを除去する方法であって、前記マイクロエマルション洗浄組成物が、
(a)効果的なマイクロエマルションを形成する量の水;
(b)(i)約1〜約20分子のエチレンオキシド残基を有するC6〜24アルコールエトキシレート界面活性剤;
(ii)重合度が約1〜約20であるC6〜24アルキルポリグリコシド界面活性剤;を含有し、ここで、
(iii)前記アルコールエトキシレート界面活性剤とアルキルポリグリコシド界面活性剤とを、約1:4〜約4:1の重量比で供給する、効果的なマイクロエマルションを形成する量の非イオン性界面活性剤混合物;
(c)22℃での水溶性が1wt%未満の、効果的なマイクロエマルションを形成する量の油、
を含有する、物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項20】
前記疎水性の汚れが炭化水素油を含む、請求項19に記載の物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項21】
前記炭化水素油が粒子状の汚れを含む、請求項20に記載の物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項22】
前記物品が繊維品を含む、請求項19に記載の物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項23】
前記物品が硬質表面を有する物質を含む、請求項19に記載の物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項24】
前記物品が自動車の外部表面を含む、請求項19に記載の物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項25】
(a)前記自動車の外側表面から前記マイクロエマルション洗浄組成物をすすぐこと、を更に含む、請求項24に記載の物品から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項26】
マイクロエマルション洗浄組成物を、疎水性の汚れで汚れた手と接触させることを含む、手から疎水性の汚れを除去する方法であって、前記マイクロエマルション洗浄組成物が、
(a)効果的なマイクロエマルションを形成する量の水;
(b)(i)約1〜約20分子のエチレンオキシド残基を有するC6〜24アルコールエトキシレート界面活性剤;
(ii)重合度が約1〜約20であるC6〜24アルキルポリグリコシド界面活性剤;を含有し、ここで、
(iii)前記アルコールエトキシレートとアルキルポリグリコシドとを、約1:4〜約4:1の重量比で供給する、効果的なマイクロエマルションを形成する量の非イオン性界面活性剤混合物;
(c)22℃での水溶性が1wt%未満の、効果的なマイクロエマルションを形成する量の油、
を含有する、手から疎水性の汚れを除去する方法。
【請求項27】
マイクロエマルション使用溶液を提供すること;並びに
前記使用溶液の温度を変化させて、マイクロエマルションを分離させること;
を含む、マイクロエマルションを相転換させる方法であって、前記マイクロエマルション使用溶液が、
(a)効果的なマイクロエマルションを形成する量の水;
(b)(i)約1〜約20分子のエチレンオキシド残基を有するC6〜24アルコールエトキシレート界面活性剤;
(ii)重合度が約1〜約20であるC6〜24アルキルポリグリコシド界面活性剤;を含有し、ここで、
(iii)前記アルコールエトキシレートとアルキルポリグリコシドとを、約1:4〜約4:1の重量比で供給する、効果的なマイクロエマルションを形成する量の非イオン性界面活性剤混合物;
(c)22℃での水溶性が1wt%未満の、効果的なマイクロエマルションを形成する量の油、並びに
(d)分離に効果的な量の分離剤、
を含有する、マイクロエマルションを相転換させる方法。

【公開番号】特開2012−122076(P2012−122076A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−38410(P2012−38410)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2001−558199(P2001−558199)の分割
【原出願日】平成13年1月5日(2001.1.5)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】