説明

マイクロカプセル化ゴム添加剤及びその製造方法

本発明は、ポリマーカプセル壁及び少なくとも一種のゴム添加剤を含むコアを有するマイクロカプセルの形態のカプセル化ゴム添加剤に関する。本発明は、また、かかるマイクロカプセルを製造する方法にも関する。本発明のマイクロカプセルは、天然ゴム及び合成ゴムの加硫中において用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーカプセル壁、及び少なくとも一種のゴム添加剤を含むコアを有するマイクロカプセルの形態のカプセル化ゴム添加剤に関する。本発明は、更に、このタイプのマイクロカプセルの製造方法に関する。本発明によるマイクロカプセルは、天然及び合成ゴムの加硫中において用いられる。
【背景技術】
【0002】
合成ゴム(ジエンゴム)及び天然ゴムを架橋するために、好ましくはイオウが用いられる。熱加硫の前に、イオウを充填剤及び更なる添加剤と一緒に、素練りしたゴム混合物(機械的及び熱的に分解したゴム)中に110℃以下の温度で良好に混合させなければならない。100℃の温度においては、イオウはゴム混合物中に易溶性であるが、混合物の冷却中において、イオウの結晶化に起因する系の望ましくない偏析が起こり、これによって加硫の問題が引き起こされる。晶出を避けるためにより高い温度でゴム混合物を保存すると、早期架橋が起こり、最終製品における製品品質が低下する。
【0003】
プラスチック材料、例えば熱可塑性材料、エラストマー、又はデュロマーのための反応性又は非反応性添加剤の一時的又は局所的な利用可能性は、直鎖又はネットワーク形成性のポリマー中に被包又は埋封することによって有効に制御することができる。このタイプのポリマーをベースとする微細複合体は、コア−シェル構造を有するマイクロカプセルの形態か、又は粒子の横断面にわたる成分の広く均一な分布を有する微少寸法のマトリクス粒子の形態で知られている(Ch.A.Finch,R.Bodmeier:”Microencapsulation”,Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th Ed.2001,電子出版)。マイクロカプセルのコアは、固体、液体、又は気体(中空球)の形態で存在することができる。マトリクス粒子の場合には、単一成分及び多成分系が知られている。
【0004】
反応性及び非反応性粒子形成法を用いてポリマーをベースとする微細粒子を製造する方法は、何度も記載されている。反応性粒子の形成の場合においては、壁又はマトリクスの形成は、重合、重縮合、又は重付加プロセスと平行して行われる。非反応性法の場合においては、フィルム形成性ポリマーを直接用い、これを、熱力学的経路によって相分離及び粒子形成にかける(M.Jobmann,G.Rafler:Pharm.Ind.60(1998)979)。
【0005】
固体又は液体のコア材料をカプセル化する反応性法のためには、メラミンホルムアルデヒド樹脂を主として用いる(DE 19923202)が、イソシアネート/アミン系もまた記載されている(AZ 10156672)。メラミンホルムアルデヒド樹脂は、疎水性のコア材料を幅広く且つ容易に被包するために用いることができ、水性相からの粒子形成に適用することができる。反応性法は、壁又はマトリクスを形成するモノマー又はオリゴマーに対して不活性である、即ち含まれる他の成分と反応しないコア材料が必要である。メラミンホルムアルデヒド樹脂はさておき、これらの反応性法ではしばしば長い反応時間が必要である(24時間以下)。マイクロカプセルの寸法は、反応条件(例えば、乳化付加、分散法)に依存して1〜150pmである。
【0006】
非反応性法の場合には、分散、落下、又は噴霧法によるか、又は液−液相分離の原理に基づく方法を用いて、ポリマーを溶液から粒子状形態に変化させる。分散、落下、及び噴霧法は、溶媒蒸発を含み、他方、相分離法は、例えば非適合性成分をポリマー溶液へ添加することによって壁材料が沈殿する原理に基づく。カプセル法の選択に関する決め手は、有機溶媒中でのポリマー壁又はマトリクス材料の可溶性、並びにカプセル化又は埋封する活性成分のこの溶媒との適合性である。
【0007】
微細粒子状の二成分又は多成分系の特性は、プロセス及び材料の最適化の両方で、材料分野において種々の方法で利用することができる。このタイプを用いる分野は、例えば、反応成分、触媒、開始剤、又は安定剤の一時的又は同様に局所的に制御された放出、計量及び混合プロセスの簡易化、感受性の添加剤の環境の影響からの保護、又は添加剤との望ましくない接触からのポリマーマトリクスの保護、或いはプラスチック材料添加剤のポリマーマトリクスに対する適合性の向上である。プロセス及び/又は材料の最適化にポリマーをベースとするマイクロカプセル又はマトリクス粒子を適用することに関する前提条件は、その材料に典型的なそれぞれの技術プロセス又は使用条件下でのそれらの熱的、機械的及び媒体安定性、並びに被包又は埋封した物質の制御可能又は回避可能な放出の可能性である。
【0008】
加硫可能なエラストマーにおいて用いるためには、120℃以下の温度及び高い剪断負荷の混練機、カレンダー装置、又は二軸押出機内での配合条件下におけるマイクロカプセル又はマトリクス粒子の一時的な安定性、並びに熱加硫条件下(150℃超)における迅速なイオウ放出を伴うそれらの崩壊は、不可欠の前提条件である。
【0009】
DE 19754342−A1においては、種々のポリマー又はワックス材料で被包されたイオウ粒子が記載されており、かかるイオウ粒子は、120〜140℃の温度においてカプセル壁がゴム混合物中で溶融又は溶解することによってイオウを放出する。カプセル壁の溶融温度以下においては、カプセルは安定であると考えられる。カプセル壁の安定状態と溶融又は溶解状態との間の小さな温度差のために、高粘性の混合物を混合する際の摩擦による制御できない加熱の結果としてゴムプロセスにおける制御が技術的に極めて困難である。素練り条件下で安定な形成でカプセル化され、熱加硫のごく僅かに高い温度においてカプセル壁の溶融又は溶解によって放出されるイオウを用いる加硫法は、小さすぎるパラメーター変動の結果として、達成することができない。
【0010】
直鎖の熱塑性変形性のポリマー又はワックスは、一般に、通常のポリマー材料の配合及び処理条件下で変形、溶解、又は破壊されるので、限定された形態でしか、プロセス助剤、反応成分、又は特性変性添加剤のマイクロカプセル化に適用することができない。少なくとも40〜50℃の必要な融点差は、極めて低い軟化点のポリマーに関してまれにしか達成することができない。より安定なカプセル壁は、デュロマー壁材料を用いることによってしか達成することができない。デュロマー網状ポリマーは溶融させることができず、放出は、主として、この温度で液体であるイオウの熱活性化拡散、或いは液体イオウがそれを通して抜け出すことができる熱によって生成するカプセル壁の特性によって行われる。
【0011】
DE 10241942−A1においては、摩擦低減滑性被覆と組み合わせてカプセル壁材料として非溶融性メラミン樹脂を用いることによって、従来の技術的解決法の上記記載の制約を克服し、これによってゴム加工産業、特にタイヤ製造産業の要求に最も広範囲に対応するマイクロカプセル化イオウを得る、液体又は粉砕状イオウのマイクロカプセル化のための方法が記載されている。しかしながら、滑性被覆はゴム混合物中に更なる成分を与え、最終製品に対するその影響は未知である。ゴム混合物及びそれぞれの用途に応じて、ゴム混合物に対して利用することのできる滑性被覆の材料によって、この開発された技術的解決法の用途が制限され、或いは更に阻害すらされる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、素練り及び保存条件下においてイオウをゴム混合物から十分に分離し、加硫条件下においてプロセスに調和した速度でこのイオウを放出する、高いイオウ含量を有するゴム加硫のためのポリマーをベースとするイオウ配合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有する包括的なマイクロカプセル、並びに請求項18の特徴を有するマイクロカプセルを製造する方法によって達成される。更なる従属項は、有利な展開を示す。請求項32においては、本発明によるマイクロカプセルの使用が言及されている。
【0014】
本発明によれば、その粒子壁が、反応性樹脂成分の形態の非溶融性ポリマー、及び少なくとも一種のアニオン性ポリ電解質成分又はイオノマー成分から形成される相互貫入ネットワークを含むマイクロカプセルが提供される。カプセルコアは、ゴム添加剤を含む。
本発明によるカプセル壁は、素練り及び保存条件下で機械的及び熱的に安定であり、ゴム添加剤は周囲を取り囲むゴム混合物から分離されていて、後者と反応し得ない。マイクロカプセルからのゴム添加剤の放出、及び従って架橋形態でゴムと反応することができるその能力は、ゴムの加硫中に起こるようなより高い温度においてのみ起こり、選択されるプロセス温度によって、実質的に、ゴム添加剤の放出量及び放出速度が決定される。好ましくは、カプセル壁のために、非溶融性ポリマーとして反応性樹脂系、特にメラミンホルムアルデヒド又はポリウレタン又はポリ尿素樹脂が用いられる。ポリ尿素樹脂の場合には、好ましくはジイソシアネート及び多官能性アミンから形成される。
【0015】
好ましくは、上記記載のポリ電解質成分及び/又はイオノマー成分は、アニオン置換ポリマーである。これに関し、アニオン置換ポリマーは、好ましくは、アクリル酸及びメタクリル酸、マレイン酸、ビニルリン酸、ビニルスルホン酸、スチレン、及びスチレンホスホン酸のホモ及びコポリマーからなる群から選択される。
【0016】
好ましい変法においては、マイクロカプセルのカプセル壁は、水中に可溶のメラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ電解質から形成される。
第2の更に好ましい変法においては、カプセル壁は、有機溶媒中に可溶のメラミンホルムアルデヒド樹脂及びイオノマーから形成される。
【0017】
カプセルコアは、好ましくは、ゴム添加剤としてイオウを含む。これに関し、イオウは、液体形態又は固体形態、即ち粉砕イオウとして存在することができる。液体イオウのカプセル化は、水性相のために加圧下で、有機物親和性の樹脂/イオノマー系と共に、例えばスルホン、スルホキシド、アリールエーテル、ケトン、又はアミド溶媒のような連続相としてのより高沸点の溶媒を用いて操作することが必要である。
【0018】
マイクロカプセルのイオウ含量は、好ましくは、少なくとも70重量%、特に好ましくは80〜95重量%である。
マイクロカプセルの幾何形状並びにその寸法及び分布は、ゴム添加剤を含むコアの関数である。好ましくは、平均粒径は1〜30μmであり、ゴム添加剤の含量は85〜98重量%である。例えば粉砕イオウを含むマイクロカプセルに関しては、粒子パラメーターは、粉末の幾何形状、寸法、及び分布によって規定される。液体のゴム添加剤をカプセル化する場合には、粒子パラメーターは、その中に添加剤を分散させる水性相又は有機相中における液体添加剤の分散の関数である。
【0019】
更に好ましい態様においては、マイクロカプセルは更なる外側のカプセル壁又は被覆を有する。而して、特定の特に長期間安定な素練りゴム混合物に関しては、本発明によるマイクロカプセル上に、DE10241942−A1に記載されているような、好ましくは直鎖である第2の構造的に異なるポリマーを含む接着性を低減又は制御する分解性被覆、或いは低分子量有機又は無機物質を含む層を施すことができる。
【0020】
これに関し、接着性の低減、又は制御された分離のための構造的に異なるポリマーは、好ましくは、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、並びに長鎖イソシアネートのデンプン脂肪酸エステル及びデンプンカルバメートからなる群から選択される。低分子量の有機又は無機物質としては、ワックス、脂肪酸誘導体、シリコーン、シロキサン、又はシリケートが好ましい。
【0021】
滑性又は除去可能な層の適用は、ポリマーをベースとする二次被覆に関しては、ポリマー構造の関数として、コアゼルベーション、溶媒蒸発、塩析、又は噴霧乾燥による公知の非反応性カプセル化方法にしたがって行う。好ましくは、低分子量の被覆剤を有機溶液又は水性分散液上に施す。好ましくは、ゴム添加剤を含むマイクロカプセルのカプセル化バッチからの取り出しは、滑性又は除去可能な層を適用する前に行う。また、好ましくは噴霧法を適用することができる場合には、直接的な更なる処理も可能である。
【0022】
本発明によるマイクロカプセルの特段の有利性は、混練機、カレンダー装置、又は二軸押出機から公知の配合及び処理条件下、即ち120℃以下、好ましくは140℃以下の温度において、熱的及び機械的に安定であるという事実に基づく。
【0023】
本発明によれば、更に、マイクロカプセルを製造する方法も提供される。第1工程においては、少なくとも一種のゴム添加剤を、反応性樹脂を形成する少なくとも一種の化合物、及び少なくとも一種のポリ電解質成分又はイオノマー成分を含む溶液中に、強剪断を用いて分散する。続く工程においては、次に、触媒の添加を行うか、或いは温度の影響を起こして、その結果、ゴム添加剤を被包するカプセルを形成する。
【0024】
これに関し、ゴム添加剤上へのカプセル壁の適用は、従来技術から公知の反応器内において、バッチ法としてか、或いは擬似連続的又は連続的に、カプセル化のための公知の撹拌及び分散法を用いて行うことができる。
【0025】
好ましい変法においては、反応性樹脂を形成する成分をプレポリマーの形態で提供する、即ち、反応性樹脂を施設外で製造する。他の好ましい変法においては、反応性樹脂を形成する化合物、即ちモノマーから、反応性樹脂を第1の方法工程においてその場で形成する。
【0026】
カプセル壁の形成のためには、ポリ電解質成分又はイオノマー成分の存在下での反応性樹脂成分の縮合又は付加反応が必要であり、これにより半相互貫入ネットワークが形成され、イオン性成分が架橋した反応性樹脂中に結合する。相互貫入及び半相互貫入ネットワークの場合においては、成分間に直接的な化学結合は生成されず、それよりも相互に絡み合うポリマー鎖が生成する。これは、有機酸、特にクエン酸又はイソフタル酸によって、或いは無機酸、特に亜リン酸、リン酸、又はアミドスルホン酸によっても触媒することができる。これに関し、非水性相中で有機物親和性の出発成分で壁を形成するために有機酸を用いることができる。
【0027】
カプセルコアにおいて凝集体が形成される問題は、カプセル化を超音波処理下で行う好ましい変法で排除することができる。
本発明によれば、カプセル化されたゴム添加剤は、公知の造粒助剤を加えることによるか、或いは二次被覆剤自体を用いて造粒することができる。合成又は天然ゴム中においてカプセル化されたゴム添加剤を用いることは、噴霧乾燥又は真空乾燥によって行うことができる。有機被覆剤溶液から分離した後に得られるような2%の残留湿分含量を有する濾過乾燥されたマイクロカプセルを直接用いることができる。
【0028】
マイクロカプセル化されたゴム添加剤は、ゴム加硫のために、非カプセル化材料と同じように用いる。マイクロカプセル化ゴム添加剤の混和は、従来技術から公知の方法にしたがって、同様に従来技術から公知の装置を用いて行う。ゴム配合の特定の処理条件下でのカプセル壁の一時的な熱的及び機械的安定性は、本発明によって形成されるポリマーネットワークの化学構造、及び微細粒子の寸法によって決定される。
【0029】
本発明によるイオウ含有微細複合体は、ゴム混合物中に容易に混合することができ、また、非カプセル化イオウよりもより均一に混合物中に分布させることができる。
液体又は粉砕イオウを被包するための本発明による操作モードの有効性、及び素練り条件下でのカプセル壁の安定性は、最も確実には、加硫をすることができるゴム混合物から晶出するイオウを用いるか、或いは加硫の経過によって決定することができる。非カプセル化イオウ、又は素練り条件下で加熱ゴム中に完全に溶解してカプセルから尚早に放出されたイオウは、冷却したゴム混合物中で乏しい可溶性しか有さず、徐々に晶出する。この、色々な意味でゴム処理を阻害するこのゴム/イオウ系の異物化は、本発明にしたがって製造されたマイクロカプセル化イオウを用いることによって完全に回避される。これは、この方法で被包されたイオウは、ゴム混合物中に別の相を形成し、したがって溶解/結晶化プロセスに曝され得ないからである。
【0030】
標準的な方法で製造したゴム混合物は、2時間後にイオウ異物化の最初の兆候を示した。これに対して、被包イオウを含むゴム混合物は、壁構造及びカプセル化方法の関数として21日よりも長く安定であり、この保存時間の後においても容易に更に処置及び加硫することができた。保存安定性に関する時間(ゴム混合物中のイオウの「ブルーミング挙動」によって定めた)は、重要な基準であり、したがって実施例において一緒に示す。
【0031】
ブルーミング挙動の試験は、ゴム100材料部に対するイオウの材料部5.5(phr)のイオウの量を有する実用のゴム混合物(SMR10)において行い、マイクロカプセル化イオウの試料は、5.5phrに相当する量で用いた。ゴム混合物の更なる成分は、充填剤としてのカーボンブラック(Statex N−326)、鉱油可塑剤Sundex 790、活性化剤としての酸化亜鉛及びステアリン酸、経時劣化防止剤としてのジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD、Vulkanox 4020)及びトリメチルジヒドロキノリン(TMQ、Vulkanox HS/LG)、並びに促進剤としてのN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(DCBS、Vulkacit DZ/EG/C)であった。配合成分を、製造用混練機(Werner & Pfleiderer内部ミキサーGK1.5)内で混合し、新しく素練りした予備混合物を用いて試験混合物を製造した。イオウ及び更なる配合成分の混合は、実用的な混合条件下で行った。混合シーケンスは以下の通りであった。
【0032】
予備素練り(商業的な予備混合);
内部ミキサーGK1.5N;
60℃で開始;
混合時間2分。
【0033】
イオウ混合物(予備混合物、イオウ又はマイクロカプセル化イオウ、促進剤);
内部ミキサーGK1.5N;
60℃で開始;
混合時間1.3分。
【0034】
架橋特性の試験は、DIN 5352にしたがって、レオメーター(MDR2000、Alpha Technologies)内で160℃において行い、トルク(架橋レベルに関する特性として)を時間の関数として測定した(実施例)。
【0035】
【表1】

【0036】
最大トルク、即ち最大架橋レベルMH(更に架橋生成量)の測定値は、選択された条件下で加硫のために利用可能なイオウの量、即ち、マイクロカプセル化生成物試料の場合には更に加硫中におけるカプセルの完全な開放に関する第1の指標である。tc 10%の測定値(分)は、架橋(加硫)の開始、及びマイクロカプセル化イオウの場合には更に加硫中におけるカプセルの適時開放の指標である。tc−10%がゴム中のマイクロカプセル化イオウの安定性の第1の指標であることが見出された。イオウのブルーミングが大きく遅延された(>2週間)試験混合物に関しては、より高いtc−10%値(>1.8分)が検出された。tc−10%値は、マイクロカプセル化イオウの安定性の特性として実施例において一緒に示す。
【0037】
ブルーミング挙動
二つの評価基準を考慮してブルーミング挙動の評価を視覚的に行った。
・混合物の表面上での灰白色の着色によって視認される全体的なブルーミング挙動;
・「活性化」個所(例えば、指紋−結晶化中心によって引き起こされる)において、これらの個所の白色の着色によって視認されるブルーミング挙動。
【0038】
ブルーミングの等級は、以下のように定めた。
−−−:ブルーミングなし;
+:僅かなブルーミング(僅かな点での灰白色の着色);
++:ブルーミング;
+++:極めて顕著なブルーミング(表面が完全に灰白色に着色)。
【実施例】
【0039】
実施例においては、「ゴム混和後の安定性」として、非活性化個所においてブルーミングが未だ観察されず、活性化個所において僅かにブルーミングが観察された時間を示す。
比較例1
メラミンホルムアルデヒド樹脂を含む単一のカプセル壁
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂(M/F樹脂)、及び16.8gのクエン酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、フィルター湿潤状態で、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0040】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:115g;
抽出可能なイオウ:3.5%;
ゴム混和後の安定性:120時間(tc−10%:1.63分)。
【0041】
比較例2
メラミンホルムアルデヒド樹脂を含む二重壁
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂、及び16.0gのイソフタル酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。微細複合体を取り出し、同様の方法で、28gのM/F樹脂を用いて、16.0gのイソフタル酸の存在下、480mLの水中で2回目のカプセル化を行った。カプセルを取り出し、フィルター湿潤状態で、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0042】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:120g;
抽出可能なイオウ:0.1%;
ゴム混和後の安定性:275時間(tc−10%:1.65分)。
【0043】
比較例3
二重外被及び二次被覆を含む複合カプセル壁
実施例2と同様に製造したM/F樹脂の二重壁を有する100gのフィルター湿潤状態の微細複合体を、70℃において、0.5Lのベンゼン中に溶解した20gのパラフィンワックスで被覆した。被覆微細複合体を、被覆温度において取り出し、空気乾燥した。
【0044】
収量;被覆マイクロカプセル化イオウ;空気乾燥状態:104g;
抽出可能なイオウ:1.2%;
ゴム混和後の安定性:336時間(tc−10%:1.70分)。
【0045】
実施例1
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリエチレン−co−マレイン酸ナトリウムを含む単一のカプセル壁
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂(M/F樹脂)、0.5のポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(1mLの50%水溶液)、及び16.8gのクエン酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、フィルター湿潤状態で、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0046】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:115g;
抽出可能なイオウ:3.0%;
ゴム混和後の安定性:408時間(tc−10%:1.80分)。
【0047】
実施例2
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)並びにメラミン樹脂を含む単一のカプセル壁のその場での形成
撹拌タンク内において、400mLの水中に懸濁した13.4gのメラミン、及び34.7mLの37%ホルムアルデヒド溶液を、水中において、4.4mLの10%NaOH水溶液の存在下、70℃で反応させた。中和した後、96gの微粉砕イオウ、0.5のポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(1mLの50%水溶液)、及び16.8gのクエン酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、このバッチと共に激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、フィルター湿潤状態で、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0048】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:115g;
抽出可能なイオウ:3.5%;
ゴム混和後の安定性:480時間(tc−10%:1.83分)。
【0049】
実施例3
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(スチレン−co−マレイン酸)を含む単一のカプセル壁
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂(M/F樹脂)、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)加水分解物(0.4gのポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)から製造)、及び16.8gのクエン酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、フィルター湿潤状態で、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0050】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:115g;
抽出可能なイオウ:3.5%;
ゴム混和後の安定性:396時間(tc−10%:1.79分)。
【0051】
実施例4
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)を含む二重壁
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂(M/F樹脂)、0.5gのポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(1mLの50%水溶液)、及び16.8gのクエン酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、同様の方法で、28gのM/F樹脂、及び0.5gのポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(1mLの50%水溶液)を用いて、16.8gのクエン酸の存在下、480mLの水中で2回目のカプセル化を行った。撹拌は、アンカー撹拌機を用いて行った。
【0052】
カプセルを取り出し、110℃で6時間、後硬化し、(実施例1に記載のようにして)ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:115g;
抽出可能なイオウ:0.1%;
ゴム混和後の安定性:504時間(tc−10%:1.84分)。
【0053】
実施例5
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(スチレン−co−マレイン酸)を含む単一のカプセル壁;液体イオウの使用
100gのイオウを130℃で溶融し、溶融物を速やかに、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)加水分解物(0.4gのポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)から製造)、及び12.0gのイソフタル酸、及び480mLの水を含むマイクロカプセル化バッチに供給し、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて90℃において激しく混合した。4分後に、微細分散イオウ粒子の周りの壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0054】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:125g;
抽出可能なイオウ:検出不可;
ゴム混和後の安定性:384時間(tc−10%:1.77分)。
【0055】
実施例6
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(スチレン−co−マレイン酸)を含む二重壁;熱的後硬化
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂(M/F樹脂)、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)加水分解物(0.4gのポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)から製造)、及び12.0gのイソフタル酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。微細複合体を取り出し、同様の方法で、28gのM/F樹脂、及びポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)加水分解物(0.4gのポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)から製造)を用いて、12.0gのイソフタル酸の存在下、480mLの水中で2回目のカプセル化を行った。カプセルを取り出し、110℃で6時間、後硬化し、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0056】
収量;マイクロカプセル化イオウ:110g;
抽出可能なイオウ:0.1%;
ゴム混和後の安定性:>504時間(tc−10%:1.96分)。
【0057】
実施例7
メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)を含む二重壁;化学的後硬化
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのPIAMID M50タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂、及び0.5gのポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(1mLの50%水溶液)、並びに12.0gのイソフタル酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて60℃において、480mLの水中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。微細複合体を取り出し、同様の方法で、28gのM/F樹脂、及び0.5gのポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(1mLの50%水溶液)を用いて、12.0gのイソフタル酸の存在下、480mLの水中で2回目のカプセル化を行った。カプセルを取り出し、0.1mのアミドスルホン酸中、60℃において1時間、後硬化し、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0058】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:120g;
抽出可能なイオウ:検出不可;
ゴム混和後の安定性:>504時間(tc−10%:1.93分)。
【0059】
実施例8
メラミン樹脂/ポリ電解質壁及び滑性層を有する複合カプセル壁
実施例1〜7と同様に製造したメラミン樹脂/ポリ電解質壁を有する100gのフィルター湿潤状態の微細複合体を、90℃において、0.5Lのトルエン中に溶解した20gのステアリン酸カルシウムで被覆した。被覆微細複合体を取り出し、被覆温度において空気乾燥した。
【0060】
収量;被覆マイクロカプセル化イオウ;空気乾燥状態:106g;
抽出可能なイオウ:検出不可;
ゴム混和後の安定性:>504時間(tc−10%:1.95分)。
【0061】
実施例9
メラミン樹脂/ポリ電解質壁及び滑性層を有する複合カプセル壁
実施例1〜7と同様に製造したメラミン樹脂/ポリ電解質壁を有する300gのフィルター湿潤状態の微細複合体を、GLATTタイプのスプレー塗布機内において、0.5Lのアセトン中に溶解した45gのDEGALANタイプのポリアクリレートで被覆した。
【0062】
収量;被覆マイクロカプセル化イオウ;空気乾燥状態:310g;
抽出可能なイオウ:0.8%;
ゴム混和後の安定性:>504時間(tc−10%:1.96分)。
【0063】
実施例10
有機物可溶性のメラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)から製造した単一のカプセル壁
撹拌タンク内において、96gの微粉砕イオウ、28gのLAMELITE 200タイプのメラミンホルムアルデヒド樹脂、1.5gのポリ(エチレン−co−マレイン酸ナトリウム)(3mLの50%水溶液)、及び2.0gのアミドスルホン酸を、高性能撹拌分散装置(ULTRA−TURRAX)を用いて沸騰温度において、600mLのイソプロパノール/水混合物(容量割合2:1)中で激しく混合した。10分後に壁の形成が終了した。硬化のために、低剪断撹拌機を用いて撹拌しながら、更に120分間、後縮合を行った。カプセルを取り出し、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0064】
収量;マイクロカプセル化イオウ;フィルター湿潤状態:105g;
抽出可能なイオウ:0.1%;
ゴム混和後の安定性:396時間(tc−10%:1.78分)。
【0065】
実施例11
対応する撹拌装置を取り付けた反応器内に、42Lの水、8Lの1%ポリ(エチレン−co−マレイン酸)溶液、及び7Lの2N−クエン酸を配置し、60℃に加熱した。この希釈クエン酸/ポリ電解質溶液中に、7.5Lのメラミン樹脂溶液を計量した。5分間の予備縮合時間の後に、タービン撹拌機を用いて激しく撹拌しながら、10kgの粉砕イオウを速やかに導入した。微細複合体を取り出し、同様の方法で、7.5Lのメラミン樹脂/ポリ電解質溶液を用いて、7Lの2N−クエン酸の存在下、50Lの水中で2回目のカプセル化を行った。カプセルを取り出し、フィルター湿潤状態で、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。11.5kgの2重カプセル化イオウ粒子を、フィルター湿潤状態で、70℃において、10Lのベンゼン中に溶解した500gのパラフィンワックスで被覆した。被覆微細複合体を被覆温度において取り出し、空気乾燥した。
【0066】
収量;被覆マイクロカプセル化イオウ;乾燥状態:12.0kg;
抽出可能なイオウ:0.2%;
ゴム混和後の安定性:>504時間(tc−10%:1.98分)。
【0067】
実施例12
実施例5と同様に、10kgのイオウを計量し、M/F樹脂/ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)加水分解物を用いて2回マイクロカプセル化し、パラフィンワックスの滑性層を付与し、取り出して乾燥した。カプセルを取り出し、ゴム混合物中でのイオウ放出及び安定性に関して試験した。
【0068】
収量;マイクロカプセル化イオウ;乾燥状態:11.5kg;
抽出可能なイオウ:検出不可;
ゴム混和後の安定性:>504時間(tc−10%:2.01分)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーカプセル壁、及び少なくとも一種のゴム添加剤を含むコアを有し、
カプセル壁が、少なくとも一種の反応性樹脂成分及び少なくとも一種のポリ電解質成分又はイオノマー成分から構成されることを特徴とするマイクロカプセル。
【請求項2】
反応性樹脂成分がメラミンホルムアルデヒド樹脂及び/又はポリ尿素樹脂である、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
ポリ尿素樹脂がジイソシアネート及び多官能性アミンから形成される、請求項2に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
ポリ電解質成分及び/又はイオノマー成分がアニオン置換ポリマーである、請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
アニオン置換ポリマーが、アクリル酸及びメタクリル酸、マレイン酸、ビニルリン酸、ビニルスルホン酸、及びスチレンホスホン酸のホモ及びコポリマーからなる群から選択される、請求項4に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
カプセル壁が、水中に可溶のメラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ電解質から形成される、請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
カプセル壁が、有機溶媒中に可溶のメラミンホルムアルデヒド樹脂及びイオノマーから形成される、請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
コアがイオウから構成される、請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
イオウが液体又は固体の形態で存在している、請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項10】
マイクロカプセルのイオウ含量が、少なくとも70重量%、特に80〜95重量%である、請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項11】
マイクロカプセルが更なる外側のカプセル壁又は被覆を有する、請求項1〜10のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項12】
外側のカプセル壁又は被覆が、少なくとも一種の直鎖ポリマー、特にポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、並びに長鎖イソシアネートのデンプン脂肪酸エステル及びデンプンカルバメートから構成される、請求項1〜11のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項13】
外側のカプセル壁又は被覆が、少なくとも一種の低分子量有機又は無機物質、特にワックス、脂肪酸誘導体、シリコーン、シロキサン、及び/又はシリケートから構成される、請求項1〜11のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項14】
マイクロカプセルが、1〜30μm、特に5〜20μmの平均粒径を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項15】
カプセル壁の壁厚が30〜100nmである、請求項1〜14のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項16】
マイクロカプセルが、120℃以下、特に140℃以下の温度の、混練機、カレンダー装置、又は二軸押出機における配合及び処理条件下で熱的及び機械的に安定である、請求項1〜15のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項17】
カプセル壁が、加硫条件下で溶解してゴム添加剤を放出する、請求項1〜16のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項18】
以下の工程:
(a)少なくとも一種のゴム添加剤を、強剪断を用いて、反応性樹脂を形成する少なくとも一種の化合物、及び少なくとも一種のポリ電解質成分又はイオノマー成分を含む溶液中に分散させ;そして
(b)触媒を加えることによるか及び/又は温度の効果によって、ゴム添加剤を被包するカプセル壁を形成する;
工程によって、少なくとも一種のゴム添加剤を含むコアを有するマイクロカプセルを製造する方法。
【請求項19】
工程(a)において、反応性樹脂を形成する成分がプレポリマーである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)において反応性樹脂を、反応性樹脂を形成する化合物からその場で形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
反応性樹脂が、メラミンホルムアルデヒド樹脂及び/又はポリ尿素樹脂である、請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ポリ尿素樹脂が、ジイソシアネート及び多官能性アミンから形成される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ポリ電解質成分及び/又はイオノマー成分がアニオン置換ポリマーである、請求項18〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
アニオン置換ポリマーが、アクリル酸及びメタクリル酸、マレイン酸、ビニルリン酸、ビニルスルホン酸、スチレン、及びスチレンホスホン酸のホモ及びコポリマーからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(a)において、メラミンホルムアルデヒド樹脂及びポリ電解質を水溶液中に溶解する、請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
工程(a)において、メラミンホルムアルデヒド樹脂及びイオノマーを有機溶媒中に溶解する、請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
ゴム添加剤として液体又は固体の形態のイオウを用いる、請求項18〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
カプセル壁の形成の後に、これを熱的及び/又は化学的に硬化させる、請求項17〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
更なる外側のカプセル壁又は被覆をマイクロカプセル上に付着させる、請求項18〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
外側のカプセル壁又は被覆が、少なくとも一種の直鎖ポリマー、特にポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、並びに長鎖イソシアネートのデンプン脂肪酸エステル及びデンプンカルバメートから構成される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
外側のカプセル壁又は被覆が、少なくとも一種の低分子量有機又は無機物質、特にワックス、脂肪酸誘導体、シリコーン、シロキサン、及び/又はシリケートから構成される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
天然及び合成ゴムの加硫中における請求項1〜17のいずれかに記載のマイクロカプセルの使用。

【公表番号】特表2009−503165(P2009−503165A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523258(P2008−523258)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007499
【国際公開番号】WO2007/012495
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(505090182)シル・プリュス・ザイラッハー・アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】