説明

マイクロチップを使用した計測装置

【課題】個々のマイクロチップの特性差を簡便に、より安価に排除できるマイクロチップを用いた計測装置を提供する。
【解決手段】測定部及び流路を有するマイクロチップ100内の試料液を移動させる送液機構200と、前記マイクロチップ100内の測定部の光学物理量を測定する光学測定手段310と、前記マイクロチップ100を積載した収容部130を水平に移動させる収容部移動機構120と、送液機構200の送液制御、光学測定手段310の測定タイミング及び測定箇所の制御、収容部130の位置決め制御を自動的に行う制御手段400と、測定された測定値から前記試料液に含まれる測定対象物質濃度を算出する算出手段400と、を備え、制御手段400は光学測定手段310に前記試料液が前記測定部に送液される前と送液された後とに測定部の光学物理量を測定させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップを使用した計測装置に関し、特に個々のマイクロチップの特性差を排除できる計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロチップを用いた計測装置は様々な提案がなされている。例えば下記特許文献1には検出器と、トレイの移動機構と、泳動液注入機構と、試薬注入機構と、電源装置と、制御ボードとを備える、これらが一つのケース内に一体収納されているマイクロチップ電気泳動装置が開示されている。この装置では検出器の検出位置決めを個々のマイクロチップの流路側面に当たった散乱光のバックグラウンド上昇のピーク位置の中間位置にチップの流路が来るようにトレイの位置決めを行っている。ここで用いられるマイクロチップは互いに交差する分離流路と試料導入流路が形成されている。位置決めされたマイクロチップの分離流路にライン状に光を集光して照射し透過光を同時に受光してその泳動パターンを検出している。
【0003】
また下記特許文献2には、バックグラウンドノイズに影響されずに蛍光強度の時間変化特性を測定することが出来る蛍光強度測定方法及び装置が開示されている。ここでは画像撮像部により撮像されたキャピラリ画像の所定の位置に所定の大きさの領域を設定して、キャピラリ内を泳動するサンプルに励起光を照射してサンプルが発生する蛍光光の画像を採取して、領域内の蛍光光の平均値を算出してこの平均値による時間−蛍光強度の特性を測定している。
【特許文献1】特開平10−246721号公報
【特許文献2】特開2003−207450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1で開示されているマイクロチップを用いた計測装置では、マイクロチップのバックグラウンドノイズは排除できない。個々のマイクロチップには形状誤差等による特性の差がありバックグラウンドノイズを含むことによる計測値にばらつきが生じる。
【0005】
また特許文献2で開示された装置では画像撮影部によって撮像された映像をもとにゴミやほこり又はキャピラリの側壁などをさけて測定領域を設定することによってゴミやほこり又はキャピラリの側壁などから発生するノイズを測定値に含まないようにしている。画像撮像部としてはCCDイメージセンサが記載されている。一般的にCCDイメージセンサは感度が低く、特許文献2の図8に記載のように感度を上げるためにイメージインテンシファイア等を用いると非常に高価なものとなる。
【0006】
本発明は、上記のような現状を鑑みてなされたものであって、個々のマイクロチップから発生するバックグラウンドノイズなどの特性差を簡便に、より安価に排除できるマイクロチップを用いた計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、鋭意検討した結果、測定されるマイクロチップの位置と測定する光学測定手段の検出タイミングとを制御することによって、一つの測定に対し光学測定手段に試料液がマイクロチップの測定部に送液される前と送液された後とにマイクロチップの測定部の光学物理量を測定させることにより特性差が排除出来ることを見いだした。
【0008】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のマイクロチップを用いた計測装置は、試料液が流れることが出来る流路と流路中に形成された光学物理量を測定される測定部とを有するマイクロチップ内の前記試料液を移動させる送液機構と、前記マイクロチップ内の前記測定部の前記光学物理量を測定する光学測定手段と、前記マイクロチップを積載した収容部を水平に沿って移動させる収容部移動機構と、前記送液機構の送液制御、前記光学測定手段の測定タイミング及び測定箇所の制御、前記収容部移動機構の位置決め制御を自動的に行う制御手段と、測定された測定値から前記試料液に含まれる測定対象物質濃度を算出する算出手段と、を備え、前記制御手段は、一つの前記試料液に対して前記光学測定手段に前記試料液が前記測定部に送液される前と送液された後とに前記測定部の前記光学物理量を測定させることを特徴とする。
【0009】
試料液が測定部に送液される前の測定部の光学物理量は個々のマイクロチップのバックグラウンドノイズにあたる。そのため試料液を送液される前の測定部の測定値を試料液の測定部への送液後の測定値から減ずることによって、個々のマイクロチップのバックグラウンドノイズを減ずることが出来る。
【0010】
この場合、マイクロチップは流路及び測定部を有しマイクロチップ内の試料液を流路内の測定部を通過して移動させることが出来る形状のものであれば特に形状の限定はない。試料液の送液手段は、試料液を移動させることが出来れば特に限定されない。圧力や電荷をかけて送液することが挙げられる。
【0011】
また前記マイクロチップは1つの前記測定部と1つの前記流路とを持つ1つの測定ラインを複数個並列に並んで有し、前記制御手段は少なくとも2つの前記測定ラインの前記測定部の前記光学物理量を測定させ、前記算出手段は一つの前記測定ラインと他の前記測定ラインとの前記測定値から前記試料液の前記測定対象物質濃度を算出することも出来る。
【0012】
同一のマイクロチップに複数の測定ラインを有し、複数の測定ラインの測定値をある一つの測定値と比較することにより個々の特性差をより減ずることが出来る。
【0013】
また前記制御手段は、前記収容部移動機構及び前記光学測定手段に、前記収容部を連続的に一方向に移動させながら複数の前記測定ラインの前記測定部の前記光学物理量の測定を行わせ、前記測定値は少なくとも測定された信号のピーク値をピックアップするものとすることが出来る。
【0014】
収容部を連続的に移動させながら複数の測定ラインを測定することにより高速計測が可能となり、また測定値のうち少なくともピーク値をピックアップすることにより測定の位置誤差を少なくすることが出来る。ピーク値のピックアップは、個々の測定ライン毎にその最大ピーク値をピックアップするとより好ましい。
【0015】
前記送液機構は吸引ポンプによる気体の吸引により前記試料液を送液するものとしても良い。気体を介する送液とすることにより試料液を他の緩衝液などで濃度を低くすることなく送液することが出来る。また吸引ポンプとマイクロチップを接続するのに用いる吸引チューブ内には試料液が触れないため、試料液毎のチューブの交換が不要となり、より簡便に送液できる。
【0016】
また前記光学測定手段は蛍光強度測定手段としても良い。蛍光強度測定は吸光強度測定などの他の光学強度測定に比べて感度が高くより微量な光学物理量を測定することが出来る。
【0017】
また前記制御手段は前記試料液に含まれる気泡を浮上除去させるために前記収容部移動機構を前記試料液の送液開始前に水平に沿って互いに相反する2方向に作動させるようにしてもよい。送液開始前に収容部を作動させることにより簡便に試料液に含まれる気泡を除去することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
上記のような本発明のマイクロチップを使用した計測装置によれば、個々のマイクロチップのバックグラウンドノイズを排除することが出来、測定精度を向上させることができる。また同一マイクロチップ内の他の測定ラインの測定値と比較出来ることにより、マイクロチップの測定ライン毎の特性差も排除することが出来る。また複数の測定ラインを収容部を移動させながら測定出来るので高速計測が出来る。また少なくともピーク値をピックアップすることにより測定の位置誤差を少なくすることが出来る。
【0019】
またマイクロチップを載せた収容部を送液開始前に水平に沿って互いに相反する2方向に作動させることにより計測の妨げとなる気泡を簡便に排除することが出来る。
【0020】
また光学測定手段を蛍光強度測定手段とすることにより感度が高くより微量な光学物理量を測定することが出来る。
【0021】
また試料液の送液を気体の吸引による送液方法とすることにより試料液を他の緩衝液などで濃度を低くすることなく送液することが出来る。また吸引を吸引ポンプによる吸引とすることにより、より簡便に送液できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明のマイクロチップを使用した計測装置の一実施形態の内部構造を示す概略斜視図である。図2は図1の一実施形態で使用したマイクロチップの斜視図である。図3は図1の一実施形態の装置ブロック図である。図4は図1の一実施形態の動作を示すフローチャートである。図5は図1の一実施形態の動作を示す他のフローチャートである。また図6に図1の実施形態で使用したマイクロチップの概略図を示す。また図7に図1の実施形態で使用したマイクロチップの模式断面説明図を示す。
【0023】
図1にマイクロチップを使用した蛍光強度測定機1000の内部構造を示す。蛍光強度測定機1000の内部機構はケース500に納められている。マイクロチップ100は図2に示された構造を持っている。
【0024】
まず用いたマイクロチップについて説明する。もちろんマイクロチップは以下の形状に限定されるものではない。図2に示すようにマイクロチップ100は、樹脂基板1と第1被覆樹脂フィルム6と第2被覆樹脂フィルムとからなる。樹脂基板1は、アクリル樹脂(三菱レイヨン社製アクリライト品番000(紫外線透過タイプ))製であり、第1被覆樹脂フィルム6及び第2被覆樹脂フィルム7は厚み0.1mmの片側にマイクロカプセル型接着剤を塗布されたポリオレフィン系樹脂フィルム(3M社製、品番9795、マイクロプレート用シーリングテープ)で形成されている。
【0025】
樹脂基板1は厚さ1.7mm縦26mm横40mmの樹脂板に各2つずつの液体導入孔2、液体溜め孔3、流路5、測定部4、通路9、気体通路10、吸引口8及び蛍光強度測定機に取り付けるための取り付け用孔11が形成されている。樹脂基板1の上面を1u、下面を1dと示す。液体導入孔2から吸引口8までの一つの測定ラインをch1ライン、他方の測定ラインをch2ラインとする。
【0026】
液体導入孔2は直径5mmの円柱状貫通孔であり高さは樹脂基板1の厚み1.7mmが高さとなる。同様に液体溜め孔3は幅2mm長さ9mm高さ1.7mmの楕円円又は長円柱状貫通孔、取り付け用孔11は直径2.5mm高さ1.7mmの円柱状貫通孔である。通路9は直径0.5mm高さ1.7mmの円柱状貫通孔と円柱状貫通孔の樹脂基板上面1u側から慨直角に折れ曲がって樹脂基板1平面に平行に延び液体溜め孔3の上面側に通じる直径0.5mmの凹部状通路とからなり、気体通路10は直径0.5mm高さ1.7mmの円柱状貫通孔と円柱状貫通孔の樹脂基板上面1u側から慨直角に折れ曲がって樹脂基板1平面に平行に延び液体溜め孔3の上面側に通じる直径0.5mmの凹部状気体通路であり、吸引口8は気体通路10につながる直径0.5mmの孔である。
【0027】
流路5は樹脂基板1の下面1d側に液体導入孔2と液体溜め孔3とをつなぐように幅1mm高さ130μmで形成された、断面形状が矩形の下側1d側に開口した凹部であり、樹脂基板1の厚み方向に貫通してはいない。図2に示されていないが貫通孔である液体導入孔2及び液体溜め孔3の高さに比べて流路5の高さは約1/10となっている。
【0028】
測定部4は流路5と同等の高さ130μm直径1mmの円柱状凹部であり、測定部4の前の流路51、測定部4の後の流路52は測定部4から前後に長さ1mmずつ流路5の幅1mmが幅50μmの互いに平行に流れる細い幅の流路4本に分岐している。言い換えると流路5は測定部4の前後で流路の幅が狭まることによって測定部4から後述する担持物質が流れていかない構造となっている。
【0029】
図2に示されていないが流路5は一端部が液体導入孔2の下端側の空間につながるように形成されている。また流路5は液体溜め孔3に直接つながるのではなく液体溜め孔3に通じる通路9を介してつながっている。また液体溜め孔3は気体通路10を介して吸引口8につながっている。取り付け用孔11は樹脂基板1の液体溜め孔3等の形成されていない場所に長手方向に並んで一定距離離れて2つ形成されている。
【0030】
樹脂基板1の下面1dには取り付け用孔11が形成されている箇所を除いて樹脂基板1と同等の縦横幅を有する縦20mm横40mmの第1被覆樹脂フィルム6が第1被覆樹脂フィルム6の片面に塗布されたマイクロカプセル型接着剤によって接合されている。図2には図示されていないが、第1被覆樹脂フィルム6には吸引口8の位置に吸引口8と同等の大きさの直径0.5mmの孔が形成されている。樹脂基板1の上面1uには、液体溜め孔3の上側開口に当たる箇所を覆うように縦20mm横15mmの第2被覆樹脂フィルム7が第2被覆樹脂フィルム7の片面に塗布されているマイクロカプセル型接着剤によって接合されている。液体導入孔2の上側開口には第2被覆樹脂フィルム7は接合されず上側は開口となっている。
【0031】
流路5の液体溜め孔3と液体導入孔2との間に測定部4が形成されている。測定部4には直径90μmのポリスチレン性のビーズが60個から70個封入されている。ビーズには後で説明するように擬似抗原をあらかじめ固定化してある。測定部4に封入されているビーズは直径90μmあるので、幅50μmの流路51及び流路52を通れないため測定部4から流路5中に流れ出すことはない。
【0032】
図1に示すように蛍光強度測定機1000は、マイクロチップ100を収容する収容部としてのトレイ130が設けられている。トレイ130を水平面内で図1に示すY方向に移動させる収容部移動機構としてトレイ130を動かすモーター120、モーター120により回転する歯車125と図1に図示されていないトレイ130の側面に設けられたY方向移動歯車とが設けられている。歯車125とY方向移動歯車がかみ合うことによってトレイ130はモーター120によってY方向に移動され、マイクロチップ100を所定の位置に位置決めすることが出来る。マイクロチップ100の位置決めされる位置はマイクロチップ100の取り付け作業位置及び光学的検出位置である。
【0033】
図1では光学測定手段として蛍光測定器310が用いられている。光源としてレーザー300が用いられ、レーザー300の波長405nmの光はマイクロチップ100の測定部4に下部1d側から斜めに照射され、測定部4から発せられる波長655nmの光信号を蛍光測定器310によって検出する。レーザー300としてキコー技研社製青紫色コリメートレーザーを用い、蛍光測定器として浜松ホトニクス社製SiフォトダイオードS9295を用いた。
【0034】
レーザー300はトレイ130の下側から照射され、トレイ130はマイクロチップの各測定部4に当たる箇所にそれぞれに対応する20mm角の孔が形成されている。そのためレーザー300からのレーザー光はトレイ130に邪魔されずに測定部4に直接照射され、同様に蛍光はトレイ4に邪魔されずに放射され光学測定器に検知される。
【0035】
マイクロチップ100はトレイ130に位置決めされて載せられ取り付けられている。取り付けはトレイ130に形成された図示されていない取り付け用突起物にマイクロチップ100の取り付け用孔11をはめ込むことによって行われる。マイクロチップ100はマイクロチップ100の上面1u側が上面になるようにトレイ130に取り付けられる。またマイクロチップ100はマイクロチップ100の横方向がトレイ130のX方向に平行になるように取り付けられている。
【0036】
位置決めされたマイクロチップ100に取り付け用カバー110がかぶせられることによって、吸引ポンプ200及び吸引ポンプ210からの吸引経路が形成される構造となっている。取り付け用カバー110はマイクロチップ100の上面1u中央は開放し、マイクロチップ100の上面周囲、側面及び下面を密閉状態に保つ構造となっている。取り付け用カバー110がマイクロチップ100を上側から押さえつけることによりマイクロチップ100はトレイ130に押しつけられて固定される。
【0037】
吸引ポンプ200は吸引チューブ220によってトレイ130の吸引取り付け口131を介してマイクロチップ100の下面1d側に存在するCh1ラインの吸引口8につながっている。同様に吸引ポンプ210は吸引チューブ230によってトレイ130の吸引取り付け口131を介してマイクロチップ100の下面1d側に存在するCh2ラインの吸引口8につながっている。図1には図示されていないがトレイ130のマイクロチップ100の吸引口8に当たる箇所には弾力材がひかれており気密性をたかめている。
【0038】
吸引チューブ220及び吸引チューブ230はフレキシブルなチューブ配管である。吸引ポンプ210はch1ラインの送液を行い、吸引ポンプ230はch2ラインの送液を行う。
【0039】
各制御は複数の制御ボード400によって行われている。図3に装置ブロック図を示す。図3に示すようにトレイ130に収容されたマイクロチップ100にレーザー300から励起光を照射しマイクロチップ100の測定部4から反射された蛍光を蛍光測定器310で検出する。制御ボード400はCPUボード410、ドライバ回路401、A/D420、温調回路402を含む。
【0040】
CPUボード410は制御手段と算出手段と記憶手段とを有する。CPUボード410は制御手段としてドライバ回路401を介してトレイ130の位置決めをさせるモーター120の制御、マイクロチップ100のch1ラインの送液をするための吸引ポンプ200の制御、マイクロチップ100のch2ラインの送液をするための吸引ポンプ210の制御、レーザー300の入射制御とを行う。また蛍光測定器310の温調回路402の制御も行う。温調回路402は蛍光測定器310の電気的雑音を下げるために温度調節を制御する回路である。
【0041】
CPUボード410は蛍光測定器310で検出された蛍光の強度をA/D420で変換されたデータを元に算出し、記憶する手段も有する。又算出された測定結果をLCD440によって表示させることもできる。図1にはLCD440は図示されていないが、LCD440を表示手段として有してもよいし、外部機構として表示手段を持っても良い。CPUボード410はスイッチ430によってON/OFFされる。
【0042】
本発明においては、CPUボード410及びドライバ回路401が制御手段にあたり、CPUボード410が算出手段にあたる。
【0043】
図4に一実施形態の動作を示すフローチャートを示す。図4及び図1、図2、図3を参照して動作の説明を行う。この場合マイクロチップ100のch1ラインを用いた試料液の測定について説明する。
【0044】
まずトレイ130をマイクロチップ取り付け位置まで移動させる。図1において示すように蛍光強度測定機1000の内部機構はケース500に納められている。マイクロチップ100の取り付けは人の手でやるため、トレイ130をケース500の外に出す必要がある。そのためステップS50として、CPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御することによってトレイ130をケース500より排出させる。
【0045】
次に排出されたトレイ130に人の手によってマイクロチップ100をはめ込み、取り付け用カバー110を取り付けることによって、トレイ130にマイクロチップ100をセットする(ステップS51)。次にマイクロチップ100のch1ラインの液体導入孔2にサンプルである試料液をマイクロピペットやシリンジ等を用いて人の手で注入する(ステップS52)。
【0046】
次に図1には図示されていないがケース500に設けられたトレイ引き込みボタンを押すことによって、CPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御し、トレイ130を蛍光強度測定機1000のケース500の内部に引き込み、マイクロチップ100の測定部4にレーザー300の光が当たる位置に位置決めする(ステップS53)。
【0047】
次に図1、図2に示すようにCPUボード410はドライバ回路401を介して吸引ポンプ200の吸引を開始し、マイクロチップ100の流路5にサンプルが充填され、測定部4に到達した直後で送液をストップさせる(ステップS54)。この時点を送液前の時点とする。
【0048】
次に送液前の測定部の蛍光強度の値(初期値)を計測させる(ステップS55)。CPUボード410はドライバ回路401を介してレーザー300の照射を開始させる。レーザー300の照射によって測定部4から発する蛍光を蛍光測定器310で検出しA/D420によって変換されたデータをCPUボード410が受け取る。この時レーザー300の照射を続けたままCPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御しトレイ130をY方向に微調整して測定部4のほぼ全域にレーザー光が当たるように動かす。従って蛍光測定器310は測定部4のほぼ全域の蛍光強度を検知する。CPUボード410は受け取ったデータのうちピーク値となるもの、より好ましくは最大値となるデータをピックアップして初期値として記憶手段に記憶させる。ピーク値より好ましくは最大値をピックアップすることによりマイクロチップの測定位置の誤差を少なくすることが出来る。
【0049】
次に図1、図2に示すようにCPUボード410はドライバ回路401を介して吸引ポンプ200の吸引を再開始し、試料液が測定部4を通り抜け、液体溜め孔3に行くまで送液をさせる(ステップS56)。
【0050】
次に送液後の測定部の蛍光強度の値(終了値)を計測させる(ステップS57)。計測は初期値の計測と同様に行う。CPUボード410はドライバ回路401を介してレーザー300の照射を開始させる。レーザー300の照射によって測定部4から発する蛍光を蛍光測定器310で検出しA/D420によって変換されたデータをCPUボード410が受け取る。この時レーザー300の照射を続けたままCPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御しトレイ130をY方向に微調整して測定部4のほぼ全域にレーザー光が当たるように動かす。従って蛍光測定器は測定部4のほぼ全域の蛍光強度を検知する。CPUボード410は受け取ったデータのうちピーク値となるもの、より好ましくは最大値となるデータをピックアップして終了値として記憶手段に記憶させる。
【0051】
次に濃度換算を行う(ステップS58)。CPUボード410はCPUボード410に記憶された終了値から初期値を引き、又あらかじめ記憶されている検量線と比較して試料液中の測定対象物質濃度を算出する。ここであらかじめ記憶されている検量線とは、既知の測定対象物質濃度を持つ試料液を用いて上記と同様に蛍光強度を測定し、蛍光強度と測定対象物質濃度とを比較した検量線である。検量線は、あらかじめCPUボード410の記憶手段に記憶させておく。
【0052】
次に次のサンプルがあるかどうか確認する(ステップS59)。ない場合はトレイ130を排出させ、マイクロチップ100を取り除いて測定を終了する。ある場合は次のサンプルのためにマイクロチップ100を新しいものと入れ替えて測定を継続するか、マイクロチップ100の他のラインの液体導入孔2に導入された他のサンプルの測定を継続する。
【0053】
次に2つの測定ラインを測定させ、また測定ライン毎のマイクロチップの特性差を削除出来る測定動作を説明する。図5にch1ライン及びch2ラインの測定ラインを用いた計測方法の動作フローチャートを示す。この場合マイクロチップ100のch1ラインで測定対象物質を含む試料液をch2ラインで測定対象物質を含まない試料液の測定を行う。図1、図2、図3及び図5を用いて動作の説明を行う。またここでは液体導入孔2において気泡を抜くためにトレイ130を前後に移動させる手順を加えて説明する。
【0054】
上記図4で説明したステップS50と同様にCPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御することによってトレイ130をケース500より排出させる(ステップS60)。
【0055】
次に排出されたトレイ130に人の手によってマイクロチップ100をはめ込み、取り付け用カバー110を取り付けることによって、トレイ130にマイクロチップ100をセットする(ステップS61)。次にマイクロチップ100のch1ラインの液体導入孔2に測定対象物質を含む試料液を、ch2ラインの液体導入孔2に測定対象物質を含まない試料液をマイクロピペット又はシリンジ等を用いて人の手で注入する(ステップS62)。
【0056】
次に図1には図示されていないがケース500に設けられたトレイ引き込みボタンを押すことによって、CPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御し、トレイ130を蛍光強度測定機1000のケース500の内部に引き込み、マイクロチップ100の測定部4にレーザー300の光が当たる位置に位置決めする(ステップS63)。
【0057】
次にCPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御し、トレイ130をY方向の互いに相反する2方向にトレイ130をゆらすように数回動かし、マイクロチップ100の液体導入孔2内の気泡を液体導入孔2の上面開口から除去させる(ステップS64)。この時トレイ130がゆらされることによりマイクロチップ100の液体導入孔2内の試料液表面がならされ試料液の表面張力状態を均一にすることが出来る。表面張力状態が均一にされると吸引性能が良くなる。
【0058】
次に図1、図2及び図3に示すようにCPUボード410はドライバ回路401を介して吸引ポンプ200及び吸引ポンプ210の吸引を開始し、マイクロチップ100の流路5にサンプルが充填され、測定部4に到達した直後で送液をストップさせる(ステップS64)。この時点を送液前の時点とする。
【0059】
次にch1ライン及びch2ラインの送液前の測定部の蛍光強度の値(初期値)を計測させる(ステップS65)。マイクロチップ100には図2に示すようにch1ライン及びch2ラインが平行に並んで形成されている。またトレイ130にはマイクロチップの100の横方向がX方向に平行になるように取り付けられている。そのためマイクロチップ100に形成されたch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4はトレイ130のX方向に平行になる位置に固定されている。またトレイ130にはch1ライン及びCh2ラインの測定部4に当たる箇所に各々測定用の孔が形成されている。
【0060】
ここではトレイ130をY方向に移動させながらch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4を連続的に測定する。CPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御しトレイ130をY方向に動かしch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4に連続してレーザー光が当たるように動かす。同時にCPUボード410はドライバ回路401を介してレーザー300の照射を開始させる。レーザー300の照射によってch1ライン及びch2ラインの測定部4から発する蛍光を蛍光測定器310で検出しA/D420によって変換されたデータをCPUボード410が受け取る。蛍光測定器310はch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4のほぼ全域の蛍光強度を検知する。CPUボード410は受け取ったデータのうちch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4の各々のピーク値となるもの、より好ましくは最大値となるデータをピックアップしてch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4の初期値として記憶手段に記憶させる。
【0061】
次に図1、図2に示すようにCPUボード410はドライバ回路401を介して吸引ポンプ200及び吸引ポンプ210の吸引を再開始し、各試料液がch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4を通り抜け、各々の液体溜め孔3に行くまで送液をさせる(ステップS67)。
【0062】
次に送液後の測定部の蛍光強度の値(終了値)を計測させる(ステップS68)。計測は初期値の計測と同様に行う。トレイ130をY方向に移動させながらch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4を連続的に測定する。CPUボード410はドライバ回路401を介してモーター120を制御しトレイ130をY方向に動かしch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4に連続してレーザー光が当たるように動かす。同時にCPUボード410はドライバ回路401を介してレーザー300の照射を開始させる。レーザー300の照射によってch1ライン及びch2ラインの測定部4から発する蛍光を蛍光測定器310で検出しA/D420によって変換されたデータをCPUボード410が受け取る。従って蛍光測定器310はch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4のほぼ全域の蛍光強度を検知する。CPUボード410は受け取ったデータのうちch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4の各々のピーク値となるもの、より好ましくは最大値となるデータをピックアップしてch1ラインの測定部4及びch2ラインの測定部4の終了値として記憶手段に記憶させる。
【0063】
次に濃度換算を行う。まずCPUボード410はCPUボード410に記憶されたch1ラインの終了値からch1ラインの初期値を引く(ステップS69)。次に同様に、CPUボード410はCPUボード410に記憶されたch2ラインの終了値からch2ラインの初期値を引く(ステップS70)。ch2ラインは測定対象物質を含まない試料液を測定するラインであるので、ch2ラインの測定した値はブランク値となる。
【0064】
次にCPUボード410はCPUボード410に記憶されたch1ラインの終了値からch1ラインの初期値を引いた値をch2ラインの終了値からch2ラインの初期値を引いた値で割り変化量を求める(ステップS71)。ここであらかじめ既知の濃度を持つ試料液を用いて同様に蛍光強度の変化量を測定し、蛍光強度の変化量と測定対象物質濃度を比較した検量線を作製して、CPUボード410の記憶手段に記憶させておく。
【0065】
次にCPUボード410はCPUボード410に記憶された変化量をあらかじめ記憶されている検量線と比較して試料液中の測定対象物質濃度を算出する(ステップS72)。
【0066】
次に次のサンプルがあるかどうか確認する(ステップS73)。ない場合はトレイ130を排出させ、マイクロチップ100を取り除いて測定を終了する。ある場合は次のサンプルのためにマイクロチップ100を新しいものと入れ替え、測定を継続する。
【0067】
下記に上記マイクロチップを用いて蛍光強度測定を行った試験例の説明をする。
【0068】
この試験例では、トランスに用いられた絶縁油から抽出したPCBの量の測定を行うため、抗原抗体反応を利用した蛍光強度測定を行った。
【0069】
複数個の直径90μmのポリスチレンビーズ(粒子径標準粒子)にPCBに擬似させたPCB擬似抗原を固定させた。
【0070】
ビーズ0.125gをエタノールで洗浄して乾燥させ、リン酸緩衝液で調整したPCB擬似抗原溶液20μg/mlを2.5ml加え、室温で一昼夜攪拌して擬似抗原をビーズ表面に物理吸着させた。4℃で保存した擬似抗原吸着ビーズを純水で洗浄した。洗浄後各70個のビーズをマイクロチップのch1ライン及びch2ラインの測定部4に詰め、マイクロチップを5分間減圧乾燥させた。
【0071】
PCBと結合力を有するPCB抗体に蛍光物質(登録商標Qdot 655:インビトロジェン社製)を標識化した。PCB抗体の標識化は、SMCC(スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)を用いて活性化したQdotをDTT(ジチオスレイトール)を用いて還元したPCB抗体と混合した後、β−メルカプトエタノールでブロッキングしてから濃縮及び精製を行った。標識化方法はインビトロジェン社の標識キットマニュアルにならって行った。
【0072】
測定対象試料液30μlと蛍光物質Qdotを標識化されたPCB抗体溶液240μlとを混合した。この時、PCB抗体溶液は、試料液に含まれると予想されるPCBよりも10倍過剰になるようにあらかじめ決めた量を混合している。上記混合液をマイクロチップのch1ラインの液体導入孔2に10μl注入した。ch2ラインの液体導入孔2には測定対象試料液を含まないPCB抗体溶液10μlを注入した。
【0073】
この時トレイ130をY方向の互いに相反する方向に数回移動させた。
【0074】
次に吸引ポンプ200及び吸引ポンプ210を作動させて各ラインの送液を行った。吸引ポンプ200及び吸引ポンプ210の吸引速度は10μl/minとし、30秒送液し、測定部4に試料液が到達した直後で送液をストップした。この時点を送液前の時点とした。
【0075】
この送液前の測定部4における蛍光強度を測定した。トレイ130をY方向に動かしながらレーザー300からレーザー光を照射し、蛍光測定器310で測定部4から発せられた蛍光を検知した。
【0076】
次に送液を吸引速度1μl/minで再開し、開始から合計約10分間送液したところで送液を止めた。この時点を送液前の時点とした。測定部4には試料液の気泡がない状態で送液することができた。
【0077】
同様に試料液の送液後の測定部4における蛍光強度を測定した。ch1ラインの送液前の測定値、送液後の測定値及びch2ラインの送液前の測定値、送液後の測定値から変化量を求め、あらかじめ記憶されている変化量と濃度との検量線と比較してch1ラインの試料液中の濃度を算出させた。
【0078】
このようにすることによってマイクロチップの個々の特性差によらない精度の良い計測が出来た。
【0079】
ここで行った試験では液体導入孔2に導入された測定対象試料液と標識化されたPCB抗体溶液との混合液は送液されている間に測定対象試料液と標識化されたPCB抗体とが抗原抗体反応をおこし、測定対象試料液中のPCBは全て標識化されたPCB抗体と結合した。標識化されたPCB抗体は測定対象試料液中の予想PCB量より過剰に入れてあるので、PCBと反応していない標識化されたPCB抗体が測定対象試料液中に存在している。
【0080】
測定部4に送液された測定対象試料液中のPCBと反応していない標識化されたPCB抗体は測定部4において測定部4に封入されているビーズに固定化されたPCB擬似抗原と抗原抗体反応を起こし、標識化されたPCB抗体が測定部4に封入されているビーズに固定化される。固定化された標識化されたPCB抗体以外の物質は液体溜め孔3まで送液され、測定部4にはビーズに固定化された標識化されたPCB抗体が残り、標識物質の蛍光強度が測定された。前に測定した測定部4での混合液の送液前の蛍光強度をここで測定された蛍光強度から引くことで、測定試料のみからの由来の蛍光強度を求めた。そして同一マイクロチップ内に形成された測定ライン中の測定対象物質を含まない試料液から求められた蛍光強度との変化量を求めることによってあらかじめ既知量のPCBを用いて同様に計測した検量線と比較して試料液中のPCBの量を算出した。
【0081】
上記した実施形態で使用したマイクロチップについて更に説明する。
【0082】
図6に図1の実施形態で使用したマイクロチップの概略図を示す。図6の(a)は概略平面図であり、図6の(b)は概略側面図である。また図7に図1の実施形態で使用したマイクロチップの模式断面説明図を示す。
【0083】
図7に示すように流路5は一端部5fが液体導入孔2の下端2d側の空間につながるように形成されている。液体溜め孔3は図6の(a)に示すように流路5の延長線上にはなく延長線上から一定の空間をあけて横に配置されている。これは液体溜め孔3の容積を必要に応じて大きく取るために流路5の延長線上からはずしたものである。
【0084】
図7に図6の模式断面説明図を示す。図7は試料液の流れを説明するために説明用に作成した図であるので各孔等の縮尺及び位置関係が実際と異なる。図7において樹脂基板1の上面を1u、下面を1dと示す.図7では通路9及び気体通路10がわかるように記載した。実際は図6(a)(b)に示すように通路9及び気体通路10は液体溜め孔3のむこう側にありむこう側から図面の手前方向に延び液体溜め孔3の上部とつながっている。
【0085】
図7を用いて試料液の流れを説明する。図7において試料液の吸引される方向を矢印A1〜A6でしめしている。試料液21が液体導入孔2から流路5の測定部4を通って液体溜め孔3まで流れるラインが構成される。液体導入孔2に導入された試料である試料液21は吸引口8からの吸引によって液体溜め孔3まで移送される。
【0086】
流路5は液体導入孔2の下端2dから樹脂基板1の平面方向に延びているので、試料液21に泡22が含まれていても、泡22は液面に浮かんで流路5には入りにくい構造となっている。
【0087】
また流路5と液体溜め孔3とは直接つながらず、通路9によって一度樹脂基板1の上面1u側に持ち上げられる形になる。そのため試料液21は矢印A2で示すように一度樹脂基板上面1uに持ち上げられため液体溜め孔3に試料液21が一度入れば(矢印A3)、液体溜め孔3がいっぱいになるまで逆流はしにくい構造になっている。また液体溜め孔3は液体導入孔2よりも例えば1.5倍以上の容積を持つように大きさを設定すればまず液体溜め孔3がいっぱいになることはない。また吸引口8につながる気体通路10は液体溜め孔3の上部3u側につながっているので液体溜め孔3がいっぱいになるまで試料液21が吸引口8から吸い出されることはなく液体溜め孔3に溜められている。吸引された気体は気体通路10を通って、矢印A4、矢印A5、矢印A6の向きに吸引され吸引口8から樹脂基板1の外部に吸い出される。
【0088】
また図7の樹脂基板1の下に記載した矢印B1、B2は蛍光強度測定に際して励起光の入射方向B1と蛍光の放出方向B2を示す。入射及び放出角度は正確なものではない。励起光は矢印B1の方向から第1被覆樹脂フィルム6を通過して樹脂基板1の測定部4にあたり測定部4からの蛍光の放出光が第1被覆樹脂フィルム6を通過して矢印B2の方向に放出される。放出された蛍光の蛍光強度が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明のマイクロチップを使用した計測装置の一実施形態の内部構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1の一実施形態で使用したマイクロチップの斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態の装置ブロック図である。
【図4】図1の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の一実施形態の動作を示す他のフローチャートである。
【図6】図1の一実施形態で使用したマイクロチップの概略図である。
【図7】図1の一実施形態で使用したマイクロチップの模式断面説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1・・・樹脂基板、2・・・液体導入孔、3・・・液体溜め孔、4・・・測定部、
5・・・流路、6・・・第1被覆樹脂フィルム、7・・・第2被覆樹脂フィルム、
8・・・吸引口、9・・・通路、10・・・気体通路、11・・・取り付け用孔、
100・・・マイクロチップ、110・・・取り付け用カバー、120・・・モーター、
130・・・トレイ、300・・・レーザー、310・・・蛍光測定器、
200、210・・・吸引ポンプ、220、230・・・吸引チューブ、
400・・・制御ボード、500・・・ケース、1000・・・蛍光強度測定機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液が流れることが出来る流路と前記流路中に形成された光学物理量を測定される測定部とを有するマイクロチップ内の前記試料液を移動させる送液機構と、
前記マイクロチップ内の前記測定部の前記光学物理量を測定する光学測定手段と、
前記マイクロチップを積載した収容部を水平に沿って移動させる収容部移動機構と、
前記送液機構の送液制御、前記光学測定手段の測定タイミング及び測定箇所の制御、前記収容部移動機構の位置決め制御を自動的に行う制御手段と、
測定された測定値から前記試料液に含まれる測定対象物質濃度を算出する算出手段と、
を備え、前記制御手段は、一つの前記試料液に対して前記光学測定手段に前記試料液が前記測定部に送液される前と送液された後とに前記測定部の前記光学物理量を測定させることを特徴とするマイクロチップを使用した計測装置。
【請求項2】
前記マイクロチップは1つの前記測定部と1つの前記流路とを持つ1つの測定ラインを複数個並列に並んで有し、前記制御手段は少なくとも2つの前記測定ラインの前記測定部の前記光学物理量を測定させ、前記算出手段は一つの前記測定ラインと他の前記測定ラインとの前記測定値から前記試料液の前記測定対象物質濃度を算出する請求項1に記載のマイクロチップを使用した計測装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記収容部移動機構及び前記光学測定手段に、前記収容部を連続的に一方向に移動させながら複数の前記測定ラインの前記測定部の前記光学物理量の測定を行わせ、前記測定値は少なくとも測定された信号のピーク値をピックアップするものである請求項1または2に記載のマイクロチップを使用した計測装置。
【請求項4】
前記送液機構は吸引ポンプによる気体の吸引により前記試料液を送液する請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロチップを使用した計測装置。
【請求項5】
前記光学測定手段は蛍光強度測定手段である請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロチップを使用した計測装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記試料液に含まれる気泡を浮上除去させるために前記収容部移動機構を前記試料液の送液開始前に水平に沿って互いに相反する2方向に作動させる請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロチップを使用した計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−232937(P2008−232937A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75185(P2007−75185)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】