説明

マイクロレイヤー構造を含むフィルム

マイクロレイヤー構造を含むフィルムが提供される。一般的な実施態様において、本開示は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、その1番目のマイクロレイヤーに接着した、軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを含む、オートクレーブ可能なフィルムを提供する。その1番目のマイクロレイヤーとその2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。一つの実施態様において、この軟質ポリマーは約70℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する。別の実施態様において、この軟質ポリマーは、約100℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般的にポリマーフィルムに関連する。より具体的には、本開示は、マイクロレイヤー(microlayer)構造を含むオートクレーブ可能なポリマーフィルムに関連する。
【0002】
同時押出フィルムは、様々な産業で広く使用されており、それは食品または医学用溶液の包装のための容器を含む。これらの同時押出フィルムは、使用または輸送における損傷に抵抗する強靭性または能力を提供するべきである。そのフィルムはまた、適用にふさわしい望ましい強さの剥れシール(peel seal)および永続的に容器を封入する耐久シールの両方を作製する能力を有し得る。それに加えて、オートクレーブ滅菌を必要とする医学的適用のために、そのフィルムは、フィルムの寸法および強さを維持しながら、121℃におけるオートクレーブに耐え得るべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、マイクロレイヤー構造を含むポリマーフィルムに関連する。一般的な実施態様において、本開示は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーおよび、1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質(flexible)ポリマーの2番目のマイクロレイヤーを含む、オートクレーブ可能なフィルムを提供する。1番目のマイクロレイヤーおよび2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。
【0004】
一つの実施態様において、軟質ポリマーは約70℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する。別の実施態様において、その軟質ポリマーは、約100℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する。
【0005】
一つの実施態様において、そのオートクレーブ可能なフィルムは、1番目のマイクロレイヤーと2番目のマイクロレイヤーの少なくとも10層の交互の層の連続構造を含む。別の実施態様において、そのオートクレーブ可能なフィルムは、1番目のマイクロレイヤーと2番目のマイクロレイヤーとの約10層から約2000層までの交互の層の連続構造を含む。代替の実施態様において、そのオートクレーブ可能なフィルムは、少なくとも1層の1番目のマイクロレイヤーと少なくとも1層の2番目のマイクロレイヤーの、あらゆる量およびあらゆる順序での、約10層から約2000層までの連続構造を含む。
【0006】
一つの実施態様において、その熱耐性ポリマーは、1つまたは複数のポリプロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、またはその組み合わせである。一つの実施態様において、その軟質ポリマーは、1つまたは複数のエラストマーのポリプロピレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、またはその組み合わせである。その軟質ポリマーはまた、エチレン−アルファオレフィンプラストマー、オレフィンブロックコポリマー、またはその組み合わせの形態の、実質的に直鎖状のポリエチレンであり得る。それに加えて、その軟質ポリマーは、エチレンコポリマーであり得る。代替の実施態様において、1番目のマイクロレイヤーおよび2番目のマイクロレイヤーは、ポリ塩化ビニル(PVC)を除外する。
【0007】
別の実施態様において、本開示は、スキン層、コア層、およびシール層を含む、オートクレーブ可能なフィルムを提供する。コア層は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、その1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを含み、その1番目のマイクロレイヤーおよびその2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。スキン層およびシール層は、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、ナイロン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、コポリエステルエーテル、またはその組み合わせのような材料を含み得る。一つの実施態様において、そのスキン層および/またはそのシール層は、それぞれ約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、1つまたは複数のマイクロレイヤーの形態である。
【0008】
別の実施態様において、本開示は、1番目のスキン層、コア層、および2番目のスキン層を含むフィルムを提供する。その1番目のスキン層および/またはその2番目のスキン層はまた、それぞれ約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、1つまたは複数のマイクロレイヤーの形態であり得る。
【0009】
代替の実施態様において、本開示は、オートクレーブ可能なフィルムを作製する方法を提供する。その方法は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを同時押出成形する工程を含む。1番目のマイクロレイヤーおよび2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。
【0010】
本開示の利点は、しわにならずにオートクレーブ可能な、改良された非バリヤーフィルム(non−barrier film)を提供することである。
【0011】
本開示の別の利点は、改良された非PVCフィルムを提供することである。
【0012】
本開示のさらに別の利点は、ポリマーフィルムのための改良されたコア層を提供することである。
【0013】
本開示のさらに別の利点は、非PVCフィルムを作製する改良された方法を提供することである。
【0014】
さらなる特徴および利点が本明細書中で記載され、そして以下の詳細な説明および図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本開示の一つの実施態様のマイクロレイヤー構造の横断面の図である。
【図2】図2は、本開示の一つの実施態様のマイクロレイヤー構造を含むフィルムの横断面の図である。
【図3A】図3Aおよび3Bは、表1および2のマイクロレイヤーフィルムの物理的特徴を説明する。
【図3B】図3Aおよび3Bは、表1および2のマイクロレイヤーフィルムの物理的特徴を説明する。
【図4】図4は、本開示の実施態様(複数)における交互のマイクロレイヤー構造を含む2つのフィルム対、対応するマイクロレイヤー構造と同じ材料の混合物を含む2つのフィルムの比較(ヤング率(E’)対温度)を示すグラフである。
【図5】図5は、本開示の実施態様(複数)における交互のマイクロレイヤー構造を含む2つのフィルム対、対応するマイクロレイヤー構造と同じ材料の混合物を含む2つのフィルムの比較(ヤング率(E’)対温度)を示すグラフである。
【図6】図6は、本開示の実施態様(複数)における交互のマイクロレイヤー構造を含む2つのフィルム対、対応するマイクロレイヤー構造と同じ材料の混合物を含む2つのフィルムの比較(ヤング率(E’)対温度)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、マイクロレイヤー構造を含むポリマーフィルムに関連する。そのマイクロレイヤー構造は、超薄ポリマー層の組み合わせを含み、そしてポリマーフィルムに改良された特徴を与えるためにデザインし得る。そのマイクロレイヤー構造を、特定の波長の光を選択的に選別または反射する、光学的フィルムとして使用し得る。そのオートクレーブ可能なフィルムはまた、使用または輸送における損傷に抵抗する強靭性または能力を有し得る。
【0017】
出願人は、驚くべきことに、マイクロレイヤー構造の一部として使用する場合に、オートクレーブする温度(例えば121℃)より低い融解温度を有する軟質ポリマー材料を、オートクレーブ可能なフィルムを生産するためにうまく使用し得ることを発見した。例えば、オートクレーブ処理を含む医学的適用のために、そのフィルムは、表面がしわになることなく、フィルムの寸法、強さ、および幾何学を維持しながら、121℃におけるオートクレーブに耐える。
【0018】
図1に示した一般的な実施態様において、本開示は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤー12、および1番目のマイクロレイヤー12に接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤー14を含む、オートクレーブ可能なフィルム10を提供する。1番目のマイクロレイヤー12および2番目のマイクロレイヤー14はそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。
【0019】
代替の実施態様において、その軟質ポリマーは、例えば約120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃未満等を含む、標準的なオートクレーブ温度の融解温度より低い融解温度を有し得る。一つの実施態様において、その軟質ポリマーは、約70℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する。一つの実施態様において、その軟質ポリマーは、約100℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する。
【0020】
一つの実施態様において、そのオートクレーブ可能なフィルムは、その1番目のマイクロレイヤーおよびその2番目のマイクロレイヤーの少なくとも10層の交互の層の連続構造を含む。そのフィルムはさらに、その1番目のマイクロレイヤーとその2番目のマイクロレイヤーの約10層から約2000層までの交互の層の連続構造を含み得る。一つの実施態様において、そのオートクレーブ可能なフィルムは、少なくとも1層のその1番目のマイクロレイヤーと少なくとも1層のその2番目のマイクロレイヤーの、あらゆる適当な数および順序での、約10層から約2000層までの連続構造を含み得る。一つの実施態様において、その1番目のマイクロレイヤーおよび/またはその2番目のマイクロレイヤーは、あらゆるPVCを除外する。
【0021】
その熱耐性ポリマーは、例えばポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、環状オレフィンコポリマー、またはその組み合わせであり得る。
【0022】
その軟質ポリマーは、例えばエラストマーのポリプロピレン、低密度ポリエチレン(例えば、約0.90未満の密度を有する実質的に直鎖状のポリエチレン)、超低密度ポリエチレン、またはその組み合わせであり得る。その軟質ポリマーはまた、エチレン−アルファオレフィンプラストマー、オレフィンブロックコポリマー、またはその組み合わせの形態の、実質的に直鎖状のポリエチレンであり得る。あるいは、その軟質ポリマーは、酢酸ビニル(EVA)、アクリル酸メチル(EMA)、またはアクリル酸(EAA)のような、不飽和カルボン酸またはカルボン酸エステルを有するエチレンコポリマーであり得る。適当なエチレンポリマーは、約50℃より高い融点温度を有する。
【0023】
適当なランダムコポリマーポリプロピレンは、Flint Hills ResourcesによってHUNTSMANという商品名で、およびBorealisによってBOREALISおよびTOTALという商品名で販売されているものを含む。適当なポリプロピレンホモポリマーは、Flint Hills ResourcesによってHUNTSMANという商品名で販売されているものを含む。適当な低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンは、Dow Chemical CompanyによってAFFINITYおよびENGAGEという商品名で販売されているものを含む。適当なオレフィンブロックコポリマーは、Dow Chemical CompanyによってINFUSEという商品名で販売されているものを含む。
【0024】
そのマイクロレイヤーフィルムはさらに、その1番目および2番目のマイクロレイヤーに加えて、1つまたは複数のさらなる層を含み得る。代替の実施態様において、本開示は、スキン層22、そのスキン層22に接着したコア層24、およびそのコア層24に接着したシール層26を含む、オートクレーブ可能なフィルム20を提供する。そのコア層24は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、その1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを含む。その1番目のマイクロレイヤーおよびその2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。
【0025】
そのスキン層および/またはそのシール層はまた、それぞれ約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、1つまたは複数のマイクロレイヤーの形態であり得る。別の実施態様において、そのスキン層および/またはそのシール層は、約10ミクロンより大きな厚さを有する。それに加えて、そのシール層は、例えば複数区画の容器の一部として、剥れシール層または耐久シール層として使用するために必要な特徴を有し得る。
【0026】
代替の実施態様において、本開示は、1番目のスキン層、その1番目のスキン層に接着したコア層、およびそのコア層に接着した2番目のスキン層を含むフィルムを提供する。そのコア層は、前に述べた実施態様において記載したような微細構造層を含む。その1番目のスキン層および/またはその2番目のスキン層はまた、それぞれ約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する1つまたは複数のマイクロレイヤーの形態であり得る。一つの実施態様において、その1番目のスキン層および/またはその2番目のスキン層は、約10ミクロンより大きな厚さを有する。
【0027】
そのスキン層は、1つまたは複数のランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、ナイロン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、コポリエステルエーテル、またはその組み合わせのような、適当なスキン材料を含み得る。そのシール層は、1つまたは複数のランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、ナイロン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、コポリエステルエーテル、またはその組み合わせのような、適当なシール可能な材料を含み得る。そのフィルムはさらに、マイクロレイヤーを含むコア層に、少なくとも1つのスキン層およびシール層を接着する、1つまたは複数のタイ層(tie layer)を含み得る。
【0028】
適当なランダムコポリマーポリプロピレンは、Flint Hills ResourcesによってHUNTSMANという商品名で、およびBorealisによってBOREALISおよびTOTALという商品名で販売されているものを含む。適当なポリプロピレンホモポリマーは、Flint Hills ResourcesによってHUNTSMANという商品名で販売されているものを含む。適当なスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーは、Kraton PolymersによってKRATONという商品名で販売されているものを含む。適当なナイロンは、EMSによってGRIVORYおよびGRILONという商品名で販売されているものを含む。
【0029】
前に議論したように、同時押出したフィルムの靭性および熱抵抗性を改良するためのアプローチは、1つまたは複数のスキンおよび/またはシール層を有するフィルムの、コア層または中間層としてのマイクロレイヤー構造を含むことである。代替の実施態様において、そのコア層は、以下のものを含み得る:
・ポリプロピレン(PP)マイクロレイヤーと超低密度ポリエチレン(ULDPE)マイクロレイヤーの交互のマイクロレイヤー。PPマイクロレイヤーは、その121℃より高い融点のために、フィルムに改良されたオートクレーブ耐性(autoclavability)を与える。ULDPEマイクロレイヤーは、高い柔軟性および強靭性を提供する、エチレンアルファオレフィンに基づくプラストマー、オレフィンブロックコポリマー(OBC、例えばINFUSE(登録商標)[供給会社:Dow])等を含み得る。
・PPマイクロレイヤーとPPエラストマーマイクロレイヤーの交互のマイクロレイヤー。ExxonMobil VISTAMAXX(登録商標)またはDow VERSIFY(登録商標)のような、PPエラストマーは、エラストマーの性能のためのより小さいおよびより少ない晶子を含む、アイソタクティックなポリプロピレンであり、それはフィルムの柔軟性および強靭性に寄与する。
・環状オレフィンコポリマー(COC)マイクロレイヤーとULDPEマイクロレイヤーの交互のマイクロレイヤー。TOPAS(登録商標)6013F−04(供給会社:Topas Advanced Polymers)のような、COCマイクロレイヤーは、優れた透明性、およびオートクレーブ耐性を提供する。
・COCマイクロレイヤー(例えばTOPAS(登録商標)6013F−04)とPPエラストマーマイクロレイヤーの交互のマイクロレイヤー。
【0030】
各マイクロレイヤーの厚さは、約0.01から約10ミクロンの範囲であり得る。そのマイクロレイヤーは、しわになることのない121℃におけるオートクレーブ耐性、優れた透明性、および高い強靭性を提供し得る。
【0031】
代替の実施態様において、本開示は、オートクレーブ可能なフィルムを作製する方法を提供する。その方法は、熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、その1番目のマイクロレイヤーに接着した、軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを同時押出成形する工程を含む。その軟質ポリマーは、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有し得る。その1番目のマイクロレイヤーおよびその2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する。その1番目および2番目のマイクロレイヤーを、マイクロ押出成形技術のような、あらゆる適当な方法を用いて押出成形し得る。そのマイクロレイヤー構造はまた、あらゆる適当な方法を用いて、スキン層またはシール層のようなさらなる層と同時押出成形し得る。
【実施例】
【0032】
例として、そして制限でなく、以下の実施例は本開示の様々な実施態様を説明する。本明細書中で記載された百分率は、他に明記しなければ、重量百分率である。
【0033】
実施例1
表1および2に示す実験的フィルムは、0.5から10ミクロンまでのマイクロレイヤーの厚さを有する。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

表1および2から、A/Bの厚さは、単一のマイクロレイヤーAとマイクロレイヤーBとを加えた、合わせた厚さを示す。括弧内に示した百分率は、マイクロレイヤーAまたはマイクロレイヤーBいずれかの、個々の重量百分率を示し、それはまた組合わせた厚さA/Bに関するマイクロレイヤーAおよびマイクロレイヤーBの厚さのパーセントに対応する。表2に関して、そのスキン層の1つをシール層に置換して、フィルムに、熱、高周波、超音波等の下での封止性を与え得る。
【0036】
表1および表2において使用されるポリマーの重要な性質を、表3に列挙する。図3Aおよび3Bは、表1および2のマイクロレイヤーフィルムの物理的性質を列挙する。
【0037】
【表3】

図4−6は、本開示の実施態様における交互のマイクロレイヤー構造を含む2つのフィルム対、対応するマイクロレイヤー構造と同じ材料の混合物を含む2つのフィルムの、ヤング率(E’)対温度の比較を示すグラフである。そのフィルムは、熱耐性ポリマーと軟質ポリマーとの交互のマイクロレイヤーでできている。ポリマー混合物を用いて作製された比較するフィルムは、マイクロレイヤー構造を有さないこと以外は、マイクロレイヤー構造と同じ比の熱耐性ポリマーおよび軟質ポリマーを含む。
【0038】
図4−6において見られるように、マイクロレイヤー構造を含むフィルムは、改良された熱抵抗性または121℃におけるオートクレーブ耐性を有する。温度が上昇するにつれて、マイクロレイヤー構造を含むフィルムは、マイクロレイヤー構造の形態ではなく対応するポリマー混合物を含むフィルムと比較して、オートクレーブ温度またはそれより高い温度で、その寸法および強度をより良く維持し得る。
【0039】
本明細書中で記載された、現在好ましい実施態様に対する様々な変更および修飾が、当業者には明らかであることが理解されるべきである。そのような変更および修飾を、本内容の意図および範囲から離れることなく、およびその意図された利点を減ずることなく行い得る。従って、そのような変更および修飾は、添付の特許請求の範囲によって含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、該1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを含む、オートクレーブ可能なフィルムであって、該1番目のマイクロレイヤーおよび該2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、オートクレーブ可能なフィルム。
【請求項2】
前記軟質ポリマーは、約70℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項3】
前記軟質ポリマーは、約100℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項4】
前記1番目のマイクロレイヤーおよび前記2番目のマイクロレイヤーの少なくとも10層の交互の層の連続構造を含む、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項5】
前記1番目のマイクロレイヤーと前記2番目のマイクロレイヤーの約10層から約2000層までの交互の層の連続構造を含む、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項6】
少なくとも1層の前記1番目のマイクロレイヤーと少なくとも1層の前記2番目のマイクロレイヤーの約10層から約2000層までの連続構造を含む、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項7】
前記熱耐性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、環状オレフィンコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記軟質ポリマーが、エラストマーのポリプロピレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルを有するエチレンのコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項9】
前記軟質ポリマーが、エチレン−アルファオレフィンプラストマー、オレフィンブロックコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される実質的に直鎖状のポリエチレンを含む、請求項8に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項10】
前記1番目のマイクロレイヤーおよび前記2番目のマイクロレイヤーではない少なくとも1つのさらなる層をさらに含む、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項11】
前記1番目のマイクロレイヤーおよび前記2番目のマイクロレイヤーは、ポリ塩化ビニルを除外する、請求項1に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項12】
オートクレーブ可能なフィルムであって、該オートクレーブ可能なフィルムは:
スキン層;
熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、該1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを含む、コア層であって、該1番目のマイクロレイヤーおよび該2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、コア層;ならびに
シール層、
を含む、オートクレーブ可能なフィルム。
【請求項13】
前記スキン層が、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、ナイロン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、コポリエステルエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項14】
前記シール層が、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ナイロン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、コポリエステルエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項15】
前記1番目のマイクロレイヤーおよび前記2番目のマイクロレイヤーの少なくとも10層の交互の層の連続構造を含む、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項16】
前記1番目のマイクロレイヤーと前記2番目のマイクロレイヤーの約10層から約2000層までの交互の層の連続構造を含む、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項17】
前記熱耐性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、環状オレフィンコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項18】
前記軟質ポリマーが、エラストマーのポリプロピレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルを有するエチレンのコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項19】
前記軟質ポリマーが、エチレン−アルファオレフィンプラストマー、オレフィンブロックコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される実質的に直鎖状のポリエチレンである、請求項18に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項20】
前記1番目のマイクロレイヤーおよび前記2番目のマイクロレイヤーは、ポリ塩化ビニルを除外する、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項21】
前記スキン層および前記シール層の少なくとも一方は、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有するマイクロレイヤーの形態である、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項22】
前記シール層が、剥れシールまたは耐久シールとして使用可能である、請求項12に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項23】
オートクレーブ可能なフィルムであって、該オートクレーブ可能なフィルムは:
1番目のスキン層;
熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと、該1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを含む、コア層であって、該1番目のマイクロレイヤーおよび該2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、コア層;ならびに
2番目のスキン層、
を含む、オートクレーブ可能なフィルム。
【請求項24】
前記1番目のスキン層および前記2番目のスキン層の少なくとも一方が、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有するマイクロレイヤーの形態である、請求項23に記載のオートクレーブ可能なフィルム。
【請求項25】
オートクレーブ可能なフィルムを作製する方法であって、該方法は:
熱耐性ポリマーの1番目のマイクロレイヤーと該1番目のマイクロレイヤーに接着した、約50℃および約120℃の間の範囲の融解温度を有する軟質ポリマーの2番目のマイクロレイヤーとを同時押出成形する工程を包含し、該1番目のマイクロレイヤーおよび該2番目のマイクロレイヤーはそれぞれ、約0.01ミクロンおよび約10ミクロンの間の範囲の厚さを有する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−540300(P2010−540300A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528128(P2010−528128)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/078591
【国際公開番号】WO2009/046196
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】