説明

マイクロ反応装置

【課題】分岐部での分岐後の試料濃度の不均一を抑える。
【解決手段】試料導入部4aは分岐部8,10,12を備えて試料導入口2から全ての分析ウエル6に対して段階的に、かつ均等に分岐する流路構造を備えている。試料導入部4aは流れに沿った分岐部8,10間の流路20a,20b、及び分岐部10,12間の流路22a〜20dにそれぞれ濃度分布変更部24を備えている。濃度分布変更部24の一例は、分岐部8,10の後に流路を一旦分岐させ、立体交差させた後に再度合流させることで、分岐後の流路断面方向の試料濃度の偏りを補正するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、μTAS(Micro Total Analysis Systems)技術を用いた、微量な試料について多数の試験を行うためのマイクロ反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、細胞の薬剤や毒物に対する影響を評価するための細胞を対象とした分析装置についてみると、細胞に対して多種類の薬剤の反応を測定する場合、一般に、マイクロプレートと呼ばれる24〜384個の容器を1枚のプレート上に形成したものが用いられている。また近年、微細加工技術を用いて数cm程度のプレートの上に1000個以上の容器を形成し、細胞分析を行った報告もなされているが、いずれのプレートも個々の容器は開口部が開放された凹部として形成されている。
【0003】
そのような開放系の容器をもつマイクロプレート等の容器を分析容器としてそこに細胞を導入する場合、手動又はロボットによりマイクロピペット等の分注器具を用いて容器内に細胞を注入している。
しかしながら、このような細胞導入方法の場合、容器個数に比例して細胞導入に要する時間が増える。また1プレート上の容器個数が増えるにしたがって、1容器あたりの体積が小さくなるため、細胞培養液が蒸発して培養液濃度が変化する時間が短くなる。そのため、細胞導入に要する時間を短くしなければならなくなるので、1プレート上の容器個数が増えると細胞導入時間が問題になってくる。
【0004】
そのような開放系の容器の問題を解決するために、細胞培養液の蒸発を抑えながら複数の分析容器に細胞を分注することのできるようにするために、μTAS技術を用いて、微量な試料を効率よく分析するためのマイクロ反応装置が多く報告されている。そのようなマイクロ反応装置は、基体内に形成された複数個の細胞分析容器と、試料導入口から導入された細胞試料を基体内で流しながら全ての細胞分析容器に分配する試料導入部と、全ての細胞分析容器から試料排出口につながる試料排出流路とを備えている。
【0005】
そのようなマイクロ反応装置で、分析の効率をより向上させるには、集積する細胞分析容器数を増やすことが望ましいが、細胞分析容器数数を増加させると各細胞分析容器に分析細胞を均等に分配することが困難になってしまう。
基体内に形成された複数の分析容器に試料を均等に分配することを目的として、本発明者らは受動的な試料導入法を提案している(非特許文献1参照。)。受動的な試料導入法とは、流路を流れる試料に相互作用する力やエネルギーを外部から与えることなく、流路を段階的に分岐させることによって流路を流れる試料を分配することを意味している。
【0006】
図6(A),(B)にその提案された方法の概念図を示す。一つの試料導入口(この場合は細胞導入口)2から導入された微粒子分散流体試料中の細胞は、基体内の細胞導入部4の流路を通って均等に分配されながら基体内の分析ウエル6である細胞分析容器に導入される。その際、導入された細胞は細胞導入部4の各分岐点においてほぼ均等に分配され、1回の導入操作によって複数の分析ウエル6にほぼ均等に細胞が導入される。
この方法は、マイクロプレートと異なり各分析容器は蓋をされた状態であるため、分析容器の体積が小さくなった場合でも細胞培養液などの液の蒸発が抑えられる。
【特許文献1】特開2004−156926号公報
【非特許文献1】M.Kanai, et.al. "A Multi Cellular Diagnostic Device for High-throughput Analysis",Proceeding of μTAS2004, pp.126-128, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
提案された図6の方法を用いることにより、一度の動作で多数の分析ウエル6に同時に試料を導入することが可能であるが、流体試料が細胞分散溶液のように、固体成分と輸送用液体からなり、かつ固体成分の拡散係数が十分に大きくない場合は、各分析ウエル6に導入される量(例えば細胞の数)にばらつきが生じてしまう。これは、図7(A),(B)に示されるように、1段目の分岐後に流路断面方向での試料の濃度に差が生じ、次段以降の分岐では均等な濃度で試料が分配されないことが原因となっている。すなわち、1段目の分岐部8では試料導入口2から導入された試料が流路断面方向の中央部で濃度が高くなる対称的な濃度分布14をもっている。これは流路壁面との摩擦のために流路中央部で多く試料が流れるためである。そのため、その分岐部8では試料が流路断面方向の中央で分割されて分岐するため均等に分割されるが、分岐された後の試料の流路断面方向での濃度分布16−1,16−2は非対称的な濃度分布となる。その濃度分布16−1,16−2を維持したまま次段の分岐部10で流路断面方向の中央で分割されるので、その分岐部10での分岐後は濃度分布18−1,18−2として示されるように試料の濃度に差が生じる。さらに、次段以降の分岐部が存在する場合は、分岐後の試料濃度の不均一が強調されることになる。
【0008】
このような問題は、対象が細胞である場合に限らず、微粒子が液中に分散した微粒子分散流体試料を扱う場合の共通の問題であるので、本発明は細胞分散溶液も含めて広く微粒子分散流体試料を対象とする。
そこで、本発明の目的は、提案された試料分配方法を用いたマイクロ反応装置において、分岐部での分岐後の試料濃度の不均一を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のマイクロ反応装置は、基体内に形成された複数個の分析ウエルと、試料導入口から導入された微粒子分散流体試料を基体内で流しながら全ての分析ウエルに分配する試料導入部と、全ての分析ウエルから試料排出口につながる試料排出流路とを備えたものであって、試料導入部は、少なくとも2段階の分岐部を備えて試料導入口から全ての分析ウエルに対して段階的に、かつ均等に分岐する流路構造と、流れに沿った分岐部間の流路に配置され、その流路での流路断面方向の微粒子濃度分布が対称的になるように変更する濃度分布変更部とを備えている。
【0010】
濃度分布変更部の一形態は、流路を流路断面方向に少なくとも3つに分岐する分岐流路を備え、流路断面方向での微粒子濃度が相対的に最も高くなっている部分に入口をもつ分岐流路が合流位置では流路断面方向の中央に配置されるように、それらの分岐流路のうちの少なくとも2つが立体的に交差しているものである。
【0011】
分岐部が1流路を2流路に分岐するT字型分岐部である場合、微粒子濃度が最も高くなっている部分はその分岐部での流体導入側の流路から見て奥側であるので、その場合の濃度分布変更部の好ましい一例は、その分岐部での流体導入側の流路から見て奥側の部分を合流位置での流路断面方向の中央に導くように分岐流路を構成しているものである。
【0012】
濃度分布変更部の他の形態は、流体の流れを撹拌する撹拌部である。撹拌部の一例は流れに直交する方向に延びた微小柱状構造からなるピラー構造である。ピラー構造としては、特許文献1に示されたものを採用することができる。そのピラーの間隔を目的とする微粒子が通過できる大きさとすることにより、流体試料がピラーの間を通過する際に攪拌されて濃度分布変更部が均一化される。
【0013】
試料排出流路は試料排出口に向かって段階的に、かつ均等に合流を繰り返す流路構造をもっていることが好ましい。
このマイクロ反応装置の好ましい用途の1つは細胞分析装置である。その場合、試料が細胞培養液に生体細胞が分散した細胞分散溶液となり、分析ウエルが試料細胞を分析するための細胞分析容器となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマイクロ反応装置は、その試料導入部の分岐部間の流路に流路断面方向の微粒子濃度分布が対称的になるように変更する濃度分布変更部を備えているので、分岐後の試料濃度分布が流路断面方向で非対称的になっても濃度分布変更部により対称的になるように変更されるので、次段の分岐部において均等に分割することができるようになり、全ての分析ウエルに試料の微粒子が均等に分配されるようになる。
【0015】
一形態の濃度分布変更部では分岐部の後に流路を一旦分岐させ、立体交差させた後に再度合流させることにより、濃度分布変更部を通過した後の流路断面方向の試料濃度の偏りを明確に補正することができる。
分岐部が1流路を2流路に分岐するT字型分岐部である場合に、その分岐部での流体導入側の流路から見て奥側の部分を合流位置での流路断面方向の中央に導くようにすれば、濃度分布変更部を通過することより非対称であった濃度分布がより確実に補正される。
【0016】
他の形態の濃度分布変更部として、ピラー構造のように、流体の流れを撹拌する撹拌部を設けた場合は、一形態に示した立体交差構造のものに比べて製造が容易になる。
試料排出流路が試料排出口に向かって段階的に、かつ均等に合流を繰り返す流路構造をもっている場合には、各分析ウエルから試料排出口までの試料排出流路の流路抵抗も互いに等しくなり、細胞導入流部から各分析ウエルへの微粒子の均等な分配が一層容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。
図1(A)は一実施例の試料導入側の部分を示している。全体の概略的な構造は、図6(A),(B)に示されたものと同じく、基体内に形成された複数個の分析ウエル6と、試料導入口2から導入された微粒子分散流体試料を基体内で流しながら全ての分析ウエル6に分配する試料導入部4と、全ての分析ウエル6から試料排出口7につながる試料排出流路9とを備えている。
【0018】
試料導入部は図1(A)では符号4aとして示されている。試料導入部4aは、少なくとも2段階の分岐部8,10,12を備えて試料導入口2から全ての分析ウエル6に対して段階的に、かつ均等に分岐する流路構造を備えている。この実施例では、一例として8個の分析ウエル6が設けられているので、それら8個の分析ウエル6に試料を分配するために、3段階の分岐部8,10,12が設けられている。
【0019】
また、試料導入部4aは流れに沿った分岐部8,10間の流路20a,20b、及び分岐部10,12間の流路22a〜20dにそれぞれ濃度分布変更部24を備えている。濃度分布変更部24はそれが配置されている流路での流路断面方向の微粒子濃度分布が対称的になるように変更する機能を備えたものである。
【0020】
濃度分布変更部24の一例を図1(B)に示す。この濃度分布変更部24は、分岐部8,10の後に流路を一旦分岐させ、立体交差させた後に再度合流させることで、分岐後の流路断面方向の試料濃度の偏りを補正するものである。具体的には、濃度分布変更部24は流路断面方向に少なくとも3つに分岐する分岐流路24a,24b,24cを備え、流路断面方向での微粒子濃度が相対的に最も高くなっている部分に入口をもつ分岐流路24aが合流位置では流路断面方向の中央に配置されるように、それらの分岐流路のうちの少なくとも2つが立体的に交差している。すなわち、この場合、分岐部8,10は1流路を2流路に分岐するT字型分岐部であるので、その分岐部での流体導入側の流路(分岐前の流路)から見て奥側の部分で微粒子濃度が相対的に最も高くなるので、その部分に入口をもつ分岐流路24aを合流位置では流路断面方向の中央に配置することが必要である。他の分岐流路24b,24cは合流位置では流路断面方向の中央以外の位置に配置すればよい。分岐流路24aは分岐流路24b,24cの一方又は両方と立体的に交差することになる。この例では分岐流路24aは分岐流路24b,24cの両方と立体的に交差しているが、分岐流路24aは分岐流路24bとのみ交差するように分岐流路24bが合流位置では図で下側にくるように配置し、分岐流路24cが合流位置では図で上側にくるように配置してもよい。
【0021】
濃度分布変更部24がこのような立体交差流路構造をもつことによって、流体試料がその立体交差構造を通過することで、濃度の高い領域が流路中央に導かれ、その結果として非対称であった濃度分布16−1,16−2が17−1,17−2で示されるように補正される。
【0022】
図2に実際に作製した流路構造体の例を示す。(A)は構造体の上方から観察した電子顕微鏡像、(B)は構造体の下方から観察した電子顕微鏡像である。
【0023】
図3は蛍光試薬を用いて流れを可視化した蛍光顕微鏡像である。蛍光試薬としては、ローダミンB水溶液を使用した。(A)は第1段目の分岐部8の部分、(B)は第2段目の分岐部10の部分をそれぞれ示している。濃度分布変更部24では符号I,II,IIIで示されるように、(A)の右側の立体交差部入口と、(B)の左側の立体交差部出口が繋がっている。
【0024】
蛍光強度に注目すると、(A)で第1段目の分岐部へ進入する前の試薬濃度は流路中央で高いことが分かる。次に第1段目の分岐部を通過した直後は、その分岐部に導入する流路からみて奥側の側壁付近で濃度が高いことが分かる。ここでは、その分岐部での流体導入側の流路から見て奥側の濃度が相対的に最も高くなって部分に入口をもつ分岐流路Iが合流位置では流路断面方向の中央に配置され、その分岐流路Iは分岐流路IIとのみ交差し、分岐流路IIIはどの分岐流路とも交差していない。そして、その立体交差部を通過することで、(B)に示されるように再び流路中央で試薬濃度が高くなっていることが分かる。この結果から、この濃度分布変更部24の立体流路構造を用いることで、非対称であった濃度分布が補正されることが確認できる。
【0025】
この実施例を細胞分析装置として使用し、試料導入口2から試料として細胞培養液に生体細胞が分散した細胞分散溶液を注入すると、導入された細胞分散溶液中の細胞は試料導入部4aの流路を通り、濃度分布変更部24で濃度分布が補正されながら均等に分配されていき、細胞分析容器である分析ウエル6に導入される。このように、1回の導入操作によって複数の分析ウエル6に均等に細胞が導入される。
【0026】
本発明のマイクロ反応装置を製造する方法は特に限定されるものではなく、微細加工技術を使用して実現することができる。その一例として、シリコン基板にドライエッチングを施すことで形成することができる。具体的に示すと、濃度分布変更部24では、例えば図2(A),(B)のように符号II,IIIで示される分岐流路をシリコン基板の裏面側に形成し、スルーホールを介して表側の流路に接続することにより立体交差部を形成することができる。分析ウエル6、試料導入部4の流路、濃度分布変更部24、試料排出流路9及び分析ウエル6を形成したシリコン基板の両面に、試料導入口と試料排出口7をあけたホウ珪酸ガラス板を陽極接合することにより、このマイクロ反応装置を形成することができる。
【0027】
図4にはこの実施例のマイクロ反応装置を使用し、直径が10〜20μmのポリスチレン製の蛍光ビーズを分散させた溶液を試料として実際に導入実験を行い、各分析ウエル6に導入された蛍光ビーズの量を比較した結果を示す。分析ウエル6の数は8であり、端から順に番号をつけた。(A)は濃度分布変更部を設けなかった場合を示す比較例、(B)は実施例の濃度分布変更部24を設けた場合である。図7の結果から、濃度分布変更部を設けることにより、8つの分析ウエル6での蛍光ビーズ導入数のばらつきが小さくなっていることが分かる。
【0028】
図5は他の実施例における濃度分布変更部34を示したものである。濃度分布変更部34は図1の実施例の濃度分布変更部24に替わるものである。他の流路構成及び分析ウエルその他の構成は図1の実施例と同じである。
濃度分布変更部34は中央部で流路幅が広くなるように湾曲した側壁をもっており、その流路の底面には流れに直交する方向に延びた微小柱状構造からなるピラー構造を備えている。
【0029】
そのピラー構造もシリコン基板にドライエッチング方法により形成することができる。また、特許文献1に記載されているように、石英ガラス基板にレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを鋳型にしてニッケル層を電着してニッケルパターンを形成した後、そのニッケルパターンをマスクにしてNLD法により石英ガラス基板をドライエッチングしてピラー を形成することもできる。NLDエッチングとはプラズマエッチングの一種で、コイルによってチャンバ内に磁気中性線を含む領域を生じさせ、この領域でプラズマを発生させることによって得た、低圧・高密度・低温のプラズマを用いてエッチングを行うものである。微細加工に適し、かつエッチング速度も速いという特長を持つ。
【0030】
この濃度分布変更部34は流体の流れを撹拌する撹拌部の作用をするものであるとともに、中央部で流路幅が広くなっていることから細胞などの微小粒子は流れの中央部に集まる作用もすることにより、この濃度分布変更部34を経た後の試料の濃度分布は中央部が高濃度になる対称的な分布を示すようになる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のマイクロ反応装置は、微量な1つの試料について同時に多数の試験を行うための反応装置として、例えば細胞の薬剤や毒物に対する影響を評価するための細胞分析装置などとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一実施例のマイクロ反応装置の主要部を概略的に示す平面図であり、(A)は分析ウエルへの試料導入側を示したもの、(B)は1つ分岐部近傍を拡大して示したものである。
【図2】同実施例の電子顕微鏡像であり、(A)は構造体の上方から観察したもの、(B)は構造体の下方から観察したものである。
【図3】蛍光試薬を用いて流れを可視化した蛍光顕微鏡像であり、(A)は第1段目の分岐部の部分、(B)は第2段目の分岐部の部分である。
【図4】同実施例における試料導入実験の結果を示す図であり、(A)は濃度分布変更部を設けなかった比較例、(B)は濃度分布変更部を設けた実施例の場合である。
【図5】他の実施例における濃度分布変更部を示す概略平面図である。
【図6】提案中の受動的試料導入法を採用したマイクロ反応装置を概略的に示す図であり、(A)は透視図として示す斜視図、(B)は試料の流れを示す要部斜視図である。
【図7】同受動的試料導入法における濃度分布の変化を示す図であり、(A)は試料導入部を示す平面図、(B)は分岐部における濃度分布の変化を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0033】
2 試料導入口
4a 試料導入部
6 分析ウエル
7 試料排出口
9 試料排出流路
8,10,12 分岐部
20a,20b,22a〜20d 分岐部間の流路
24,34 濃度分布変更部
24a,24b,24c 濃度分布変更部の分岐流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体内に形成された複数個の分析ウエルと、試料導入口から導入された微粒子分散流体試料を基体内で流しながら全ての前記分析ウエルに分配する試料導入部と、全ての前記分析ウエルから試料排出口につながる試料排出流路とを備え、
前記試料導入部は、少なくとも2段階の分岐部を備えて前記試料導入口から全ての前記分析ウエルに対して段階的に、かつ均等に分岐する流路構造と、流れに沿った分岐部間の流路に配置され、その流路での流路断面方向の微粒子濃度分布が対称的になるように変更する濃度分布変更部とを備えたことを特徴とするマイクロ反応装置。
【請求項2】
濃度分布変更部は前記流路を流路断面方向に少なくとも3つに分岐する分岐流路を備え、流路断面方向での微粒子濃度が相対的に最も高くなっている部分に入口をもつ分岐流路が合流位置では流路断面方向の中央に配置されるように、それらの分岐流路のうちの少なくとも2つが立体的に交差している請求項1に記載のマイクロ反応装置。
【請求項3】
前記分岐部は1流路を2流路に分岐するT字型分岐部であり、
濃度分布変更部はその分岐部での流体導入側の流路から見て奥側の部分を合流位置での流路断面方向の中央に導くように分岐流路を構成している請求項2に記載のマイクロ反応装置。
【請求項4】
濃度分布変更部は流体の流れを撹拌する撹拌部である請求項1に記載のマイクロ反応装置。
【請求項5】
前記撹拌部は流れに直交する方向に延びた微小柱状構造からなるピラー構造である請求項4に記載のマイクロ反応装置。
【請求項6】
前記試料排出流路は前記試料排出口に向かって段階的に、かつ均等に合流を繰り返す流路構造をもっている請求項1から5のいずれかに記載のマイクロ反応装置。
【請求項7】
前記試料が細胞培養液に生体細胞が分散した細胞分散溶液であり、分析ウエルが試料細胞を分析するための細胞分析容器であって、このマイクロ反応装置が細胞分析装置を構成している請求項1から6のいずれかに記載のマイクロ反応装置。

【図1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−113922(P2007−113922A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302519(P2005−302519)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】