説明

マイナスイオン生成溶液及びマイナスイオン生成装置

【課題】空気中において比較的長寿命のマイナスイオンを発生させることができ、しかも、銀イオンと有機ゲルマニウムとが共存する噴霧前の液中において、銀イオンを安定して存在させることのできるマイナスイオン生成溶液及びマイナスイオン生成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るマイナスイオン生成溶液では、噴霧装置で噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできる液状のマイナスイオン生成溶液において、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有させることとした。また、本発明に係るマイナスイオン生成装置では、液状のマイナスイオン生成溶液を噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできるマイナスイオン生成装置において、前記マイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイナスイオン生成溶液及びマイナスイオン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レナード効果等を利用して発生させたマイナスイオンは、人体に対して抗酸化作用を生起したり、脱臭効果を生起可能であることが知られている。
【0003】
特に、水に超音波振動を付与して霧化することにより得られる霧には多量のマイナスイオンが含まれており、この霧を利用したマイナスイオン生成装置が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−86329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようにして発生させたマイナスイオンは空気中に放散された直後から消滅し始めるため、空気中に浮遊するマイナスイオンの量は急速に減少し、抗酸化作用や脱臭効果を充分に享受することができなくなる場合があった。
【0005】
そこで近年、本発明者らは、水に銀イオンと有機ゲルマニウムとを含有させ、この調製液に超音波振動を付与して噴霧することにより、空気中に浮遊するマイナスイオンの寿命を延ばすことが可能であることを見出した。
【0006】
ところが、調製液中における銀イオンは、有機ゲルマニウムと共存させることで不安定化されてしまい、銀粒子として析出したり、凝集したりして、霧化した際にマイナスイオンの延命効果を生起できないおそれがあった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、空気中において比較的長寿命のマイナスイオンを発生させることができ、しかも、銀イオンと有機ゲルマニウムとが共存する噴霧前の液中において、銀イオンを安定して存在させることのできるマイナスイオン生成溶液及びマイナスイオン生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係るマイナスイオン生成溶液では、噴霧装置で噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできる液状のマイナスイオン生成溶液において、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有させることとした。
【0009】
また、本発明に係るマイナスイオン生成装置では、液状のマイナスイオン生成溶液を噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできるマイナスイオン生成装置において、前記マイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有することを特徴とすることとした。
【0010】
さらに、本発明に係るマイナスイオン生成装置では、以下の点にも特徴を有する。
【0011】
(1)前記マイナスイオン生成溶液を貯留するタンクと、同タンクの流出口に配設され、前記マイナスイオン生成溶液を濾過しながら通水するフィルタと、同フィルタを経て流出したマイナスイオン生成溶液を霧化する超音波発生ユニットと、を備え、同超音波発生ユニットは、25〜40Wの出力を有すること。
【0012】
(2)前記フィルタは、濾材充填部を備えており、同濾材充填部には、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を充填していること。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のマイナスイオン生成溶液では、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有させることとしたため、空気中において比較的長寿命のマイナスイオンを発生させることができ、しかも、銀イオンと有機ゲルマニウムとが共存する噴霧前の液中において、銀イオンを安定して存在させることができる。
【0014】
請求項2に記載のマイナスイオン生成装置では、液状のマイナスイオン生成溶液を噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできるマイナスイオン生成装置において、前記マイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有することとしたため、空気中において比較的長寿命のマイナスイオンを発生させることができ、しかも、銀イオンと有機ゲルマニウムとが共存する噴霧前の液中において、銀イオンを安定して存在させることができる。
【0015】
請求項3に記載のマイナスイオン生成装置では、前記マイナスイオン生成溶液を貯留するタンクと、同タンクの流出口に配設され、前記マイナスイオン生成溶液を濾過しながら通水するフィルタと、同フィルタを経て流出したマイナスイオン生成溶液を霧化する超音波発生ユニットと、を備え、同超音波発生ユニットは、25〜40Wの出力を有することとしたため、超音波振動によって銀イオンや有機ゲルマニウムが崩壊してしまうのを防止しつつ、両者を霧中に偏り無く放散させることができる。
【0016】
請求項4に記載のマイナスイオン生成装置では、前記フィルタは、濾材充填部を備えており、同濾材充填部には、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を充填していることとしたため、マイナスイオンの生成効率を更に向上させることができ、しかも、霧に微弱な放射能を付与して、ヒトなどの生体に良い作用を示す生理的刺激(所謂、ホルミシス効果)を生起させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、噴霧装置で噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできる液状のマイナスイオン生成溶液において、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有させることを特徴とするマイナスイオン生成溶液を提供するものである。
【0018】
すなわち、本発明に係るマイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムとを含有させて、長寿命のマイナスイオンを発生可能とすると共に、テルペン系芳香物質を添加することにより、銀イオンの減少を抑制し、長期に亘って保存可能なマイナスイオン生成溶液としている。
【0019】
ここで、水性溶媒とは、水を含む溶媒のことをいい、水単独、あるいは水と有機溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール)との混合溶媒のことをいう。
【0020】
また、銀イオンは特に限定されるものではなく、銀の塩化物を水性溶媒に溶解して調製しても良く、また、有機骨格や蛋白質等と結合させたり、銀コロイドとすることにより水性溶媒中での安定性を向上させたものであっても良い。
【0021】
この銀イオンは、近年安全性の高い殺菌成分として注目されており、マイナスイオン生成溶液中の微生物の繁殖を抑制したり、また、噴霧した霧に殺菌効果を付与するという効果も有している。
【0022】
したがって、このマイナスイオン生成溶液の使用者が霧の雰囲気中に包まれることにより、ぜんそくの改善や、微生物由来の炎症の改善、アトピー性皮膚炎の改善、乾皮症の改善、皮膚の真菌感染症の改善、風邪予防、インフルエンザ予防等の効果を享受することができる。
【0023】
有機ゲルマニウムは、有機物にゲルマニウム原子が結合したものであり、特に限定されるものではない。
【0024】
テルペン系芳香物質は、炭素数が5個のヘミテルペン、10個のモノテルペン、15個のセスキテルペン、20個のジテルペン、25個のセスタテルペン、30個のトリテルペン、40個のテトラテルペンのいずれであっても良い。具体的には、リモネンやピネン等を用いることができる。
【0025】
また、テルペン系芳香物質は、上述の具体例のように精製された物質をマイナスイオン生成溶液に添加してもよいが、例えば、レモン、オレンジ由来の果実抽出エキスや、マツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹から得られる樹木抽出エキスや、野菜、草花、薬草から得られる植物エキスとして添加するようにしても良い。
【0026】
上述のように、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムとを含有させて、長寿命のマイナスイオンを発生可能とすると共に、テルペン系芳香物質を添加することで、長寿命のマイナスイオンを発生可能としながら、銀イオンの保存性を向上させることができる。
【0027】
また、銀イオン、有機ゲルマニウム、テルペン系芳香物質の他に、植物や樹木由来の精油やレシチンを添加するようにしても良い。
【0028】
植物や樹木由来の精油を添加することにより、いわゆるフィトンチッド効果を生起して、マイナスイオン生成溶液の使用者に、リラクゼーション効果を享受させることができる。
【0029】
また、レシチンを添加することにより、銀イオンの保存性を保ちながらも、疎水性のテルペン系芳香物質をマイナスイオン生成溶液中に容易に分散させることができる。
【0030】
本発明に係るマイナスイオン生成装置では、液状のマイナスイオン生成溶液を噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできるマイナスイオン生成装置において、マイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有することを特徴としている。
【0031】
したがって、マイナスイオン生成装置の使用者が、同マイナスイオン生成装置より噴霧されるマイナスイオン生成溶液の霧雰囲気に囲まれることにより、マイナスイオンによる効果を充分に享受することができる。
【0032】
また、このマイナスイオン生成装置は、前記マイナスイオン生成溶液を貯留するタンクと、同タンクの流出口に配設され、前記マイナスイオン生成溶液を濾過しながら通水するフィルタと、同フィルタを経て流出したマイナスイオン生成溶液を霧化する超音波発生ユニットと、を備え、同超音波発生ユニットは、25〜40Wの出力を有することとしている。
【0033】
したがって、マイナスイオン生成溶液を霧化する際に、超音波振動によって銀イオンや有機ゲルマニウムが崩壊してしまうのを防止でき、空気中(霧中)において、マイナスイオンの寿命を延長させることができる。
【0034】
また、本発明者らは、本発明を完成させるべく行った研究過程において、25W以下の超音波振動では、銀イオンの霧化効率が悪く、有機ゲルマニウムが率先して霧化されてしまうため、マイナスイオン生成装置中に貯留されているマイナスイオン生成溶液中の銀イオン濃度が上昇し、銀イオンと有機ゲルマニウムとの濃度バランスが崩れてしまうことを見出している。
【0035】
この濃度バランス、具体的には、銀イオンと有機ゲルマニウムとのモル数の比率が、100〜100000:1〜10000、さらに具体的には0.01〜10ppmの銀イオンと、0.1ppb〜1ppmの有機ゲルマニウムという濃度バランスが崩れてしまうと、霧中のマイナスイオンの延命効果が充分に発揮されず、短命化してしまうという問題があった。
【0036】
そこで、超音波振動の出力を25W〜40Wとすることにより、銀イオンと有機ゲルマニウムの適正な濃度バランスを保ったまま霧化させることができ、霧中のマイナスイオンの寿命を効果的に延命させることができる。
【0037】
また、出力を40W以上としてしまうと、これ以上濃度バランスの改善に寄与することはなく、むしろ、銀イオンや有機ゲルマニウムの不安定化や崩壊を誘発するおそれがあるため好ましくない。
【0038】
なお、銀イオンと有機ゲルマニウムとをそれぞれ前記所定濃度で含有するマイナスイオン生成溶液を霧化することにより、霧中のマイナスイオンが長寿命化される仕組みについては未だ充分な解明がなされているとは言い難い。
【0039】
しかしながら、本発明者らは、銀イオンが、有機ゲルマニウムを構成する半導体化したゲルマニウムと結合し、さらに、マイナスイオン生成溶液中のテルペン系芳香物質がこれらのバインダーとして機能することにより、霧中のマイナスイオンと、空気中のプラスイオンとが互いに結合して電気的に中和されるのを阻害し、マイナスイオンが長寿命化するものと予想している。
【0040】
本発明に係るマイナスイオン生成装置のフィルタは、濾材充填部を備えており、同濾材充填部には、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を充填するようにしても良い。
【0041】
すなわち、フィルタ内部を流通するマイナスイオン生成溶液の流路中に、濾材を充填可能な空間を有する濾材充填部を形成し、タンク内のマイナスイオン生成溶液は、濾材に接触しながらフィルタを介して流出するようにしている。
【0042】
そして、この濾材としては、活性炭や、磁石若しくは磁性体や、ミネラルを溶出可能な岩石や、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石等を使用することができる。
【0043】
特に、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を、濾材充填部に充填することにより、岩石から放射される放射線がマイナスイオン生成溶液の電離を促して、マイナスイオンの発生効率を向上させることができる。
【0044】
しかも、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石が、マイナスイオン生成溶液の水性溶媒に微弱な放射能を付与したり、同岩石中の微量の放射性物質をマイナスイオン生成溶液中に溶出させることにより、霧に微弱な放射能を付与することができ、マイナスイオン生成装置の使用者にホルミシス効果を享受させることができる。
【0045】
また、濾材として磁石若しくは磁性体を用いることにより、マイナスイオン生成溶液を構成する水性溶媒を磁化して、いわゆる磁化水と同様の状態とすることができる。
【0046】
以下、本発明に係るマイナスイオン生成溶液及びマイナスイオン生成装置について、図面を参照しながら説明する。説明の便宜上、まずマイナスイオン生成装置について説明し、その後、マイナスイオン生成溶液について説明する。
【0047】
〔マイナスイオン生成装置の構成〕
図1は、本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aの外観を示しており、図1(a)はマイナスイオン生成装置Aの正面図、図1(b)はマイナスイオン生成装置Aの右側面図である。
【0048】
本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aは、後に詳述するマイナスイオン生成溶液Bを貯留する溶液貯留部10と、同溶液貯留部10から取り出したマイナスイオン生成溶液Bを霧化する装置本体20と、この装置本体20で発生させたマイナスイオン生成溶液Bの霧を通気して放散させる霧吹出部30とで構成している。
【0049】
溶液貯留部10は、半透明の合成樹脂で右側面視略半楕円球状に形成された中空のタンク11と、同タンク11の上部に配設した把持片12とを備えており、同把持片12とタンク11上部との間に形成された空間に手を挿入して把持することにより、装置本体20から取り外し可能に形成している。
【0050】
装置本体20は、その周面の一部に操作部21を配設しており、マイナスイオン生成装置Aを操作可能としている。
【0051】
操作部21は、操作部21全体の化粧板の役割を果たす操作パネル22と、同操作パネル22上に配設されたマイナスイオン生成装置Aの操作を行うための操作ボタン23,23…と、マイナスイオン生成装置Aの稼働状態を使用者に対して表示するための液晶表示部24とを備えている。
【0052】
複数ある操作ボタン23,23…は、それぞれ機能が割り当てられており、マイナスイオン生成装置Aの電源のON/OFFの切替や、霧発生量の調整や、後述する回動ノズル31の回動速度の調整を行うことができるようにしている。
【0053】
また、液晶表示部24には、現在の霧発生量や、回動ノズル31の回動速度が表示される。なお、この液晶表示部24には、発生させた霧中に含まれるマイナスイオンの量を表示するようにしても良い。
【0054】
霧吹出部30は、装置本体20にて発生した霧を上方へ向けて誘導する筒状体32と同筒状体32の先端に配設した中空状の回動ノズル31とを備えており、同回動ノズル31は、筒状体32を中心に回動可能に構成している。
【0055】
また、回動ノズル31の先端部には、マイナスイオン生成装置Aにて発生させた霧を外気に向けて放出する吹出口33を穿設しており、回動ノズル31が回動しながら吹出口33より霧が放出されるように構成している。
【0056】
次に、図2を参照しながら、マイナスイオン生成装置Aの内部の構成について更に具体的に説明する。図2は、マイナスイオン生成装置Aの分解斜視図である。
【0057】
まず、溶液貯留部10について説明すると、タンク11の下部には、タンク11内にマイナスイオン生成溶液Bを補給するための底部開口(図示せず)が設けられており、同底部開口に螺着可能なフィルタ13が配設されている。
【0058】
すなわち、タンク11に収容されているマイナスイオン生成溶液Bは、装置本体20側に供給される際に、フィルタ13を通過して供給される。このフィルタ13の構造については、後に図3を用いて説明する。
【0059】
次に、装置本体20について説明すると、装置本体20のハウジングとして機能する本体ケース40と、本体ケース40の周面に形成された切欠部に嵌装される操作部21と、本体ケース40の上部開口を閉塞する受皿41とを備えている。
【0060】
また、本体ケース40と受皿41との間に形成される内部空間には、超音波を発生する超音波発生ユニット42と、同超音波発生ユニット42へ供給する電気の変圧を行う変圧器43と、これらの機器を空冷するための送風ファン44及び同送風ファン44を収容するファンケース45とを配設している。超音波発生ユニット42には、超音波の発生源となる超音波振動子50が配設されている。
【0061】
略盆形状に形成した受皿41には、その上面に平面視略円形状の貯留凹部46と、同貯留凹部よりもやや半径が大きく深い平面視略円形状の霧化凹部47とが形成されている。
【0062】
また、貯留凹部46と霧化凹部47とは、それぞれ連通部48を介して連結されており、タンク11から貯留凹部46に流出したマイナスイオン生成溶液Bは、霧化凹部47へと流入するように形成している。
【0063】
また、貯留凹部46の略中央部には、円柱状の押圧突片49を配設しており、タンク11を装置本体20(受皿41)に載置した際に、後述するフィルタ13の弁軸61を押圧して弁を開放し、タンク11内部のマイナスイオン生成溶液Bを貯留凹部46に流出可能としている。
【0064】
一方、霧化凹部47の底面部には、前述の超音波発生ユニット42の超音波振動子50を露出させており、超音波発生ユニット42を駆動させることにより、超音波振動子50から超音波が発せられて、霧化凹部47に滞留するマイナスイオン生成溶液Bの液面上に、同マイナスイオン生成溶液Bが霧化されて発生した霧(以下、製剤霧ともいう。)が出現することとなる。
【0065】
そして、この超音波発生ユニット42は、マイナスイオン生成溶液Bの液面から10〜50mmのところに超音波振動子50の表面がくるように配設しており、100〜110Vの駆動電圧で、(霧化しない)1〜15kHz(加水分解が促進される)の共振周波数を有する超音波振動子50から超音波が発信されるようにしている。この際の消費電力は約35〜37Wで、単位時間あたりの霧化量は最大200mL/hである。
【0066】
ここで、共振周波数が1kHzを下回ると、マイナスイオン生成溶液Bが霧化されなくなってしまうおそれがあり、15kHzを上回ると、マイナスイオン生成溶液B中に含有させたテルペン系芳香物質や有機ゲルマニウム等の加水分解を促進してしまうため好ましくない。
【0067】
超音波発生ユニット42を、上述のような構成とすることにより、マイナスイオン生成溶液Bに含まれる銀イオンと、有機ゲルマニウムとを適正な濃度のまま放散させることができるのである。
【0068】
次に、霧吹出部30について説明すると、筒状体32の内部には、回動ノズル31を回動させるための駆動装置34が配設されている。
【0069】
この駆動装置34は、モータカバー36の内部にノズル回動用モータ35を収納して形成しており、ノズル回動用モータ35のモータ軸37をモータカバー36のカバー軸38に連結させている。
【0070】
また、筒状体32には、一端を回動ノズル31に連結させた伝動ロッド(図示せず)が内蔵されており、同伝動ロッドの他端を前述のカバー軸38に連結させている。
【0071】
したがって、ノズル回動用モータ35を駆動することにより、モータ軸37が回動し、この回転力がカバー軸38及び伝動ロッドを介して回動ノズル31に伝達されて、回動ノズル31が回動することとなる。
【0072】
次に、図3を用いてフィルタ13の構造について説明する。
【0073】
タンク11の底面部に配設したフィルタ13は、タンク11の中空内部に突出するフィルタ本体60と、同フィルタ本体60に嵌合すると共に、タンク11底部に穿設した前述の底部開口(図示せず)を閉塞するフィルタ蓋体62とで構成している。
【0074】
フィルタ本体60は、円筒状且つ短尺の外筒63と、同外筒63の中空内部に配設した円筒状且つ長尺の内筒64とを備えており、外筒63の上部を上部閉塞板65で閉塞している。但し、内筒の上端部68は、上部閉塞板65によって閉塞されておらず、間隙を形成している。
【0075】
また、外筒63と内筒64との間に形成された空間を濾材充填部67としており、同濾材充填部67の下方には、マイナスイオン生成溶液Bを流通可能に形成した環状目皿板66を嵌装している。
【0076】
したがって、環状目皿板66下方近傍のマイナスイオン生成溶液Bは、環状目皿板66を介して濾材充填部67に入り、内筒上端部68を越えて内筒64の内側へ流入し、内筒下端部69の開口から流出可能となっている。
【0077】
ここで、濾材充填部67には、図4にも示すように、濾材を収容することができる。濾材は特に限定されるものではなく、例えば、マイナスイオン生成溶液Bが流通可能な程度に(礫状に)破砕した活性炭や化石化珊瑚、磁石等の磁性体などとしても良い。
【0078】
そして、濾材として特に好ましくは、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を挿入すると良い。このような岩石としては、例えば、秋田県の玉川温泉やオーストラリア等で産出される北投石や同様の組成を有する岩石が挙げられる。なお、図3中において、説明の便宜上、濾材充填部67に収容している濾材は省略している。
【0079】
一方、フィルタ蓋体62は、平面視略2重円状の蓋体本体70と、同蓋体本体70の略中心部に配設された止水弁71とをそなえている。
【0080】
蓋体本体70は、略椀状の外壁体72の内側に、環状の内壁体73を立設して形成しており、前述の止水弁71は、外壁体72の底面略中心部を貫通させて配設している。
【0081】
また、内壁体73の上端周面部には、複数箇所(本実施形態では3箇所)に切欠部74を形成しており、この切欠部74がタンク11底面の係止片(図示せず)に係合して前述の底部開口を閉塞するようにしている。
【0082】
止水弁71は、図3及び図4にも示すように、外壁体72の底面略中心部を貫通する円筒状の弁座75と、弁座75の半径方向略中心部を挿通する弁軸61と、同弁軸61に巻装された弾性体としての引っ張りバネ76(図4参照)と、弁軸61の先端部近傍に固定され、弁座75の上部開口を閉塞可能に逆円錐形状に形成した弁体77とで構成されている。
【0083】
すなわち、止水弁71は、通常の状態において、引っ張りバネ76により弁体77を弁座75の上部開口に密着させており、前述の内筒64内のマイナスイオン生成溶液Bを弁座75の出水口78から流出しないようにしている。以下、この状態を止水状態という。
【0084】
また、出水口78から弁軸61の下端部を引っ張りバネ76の付勢力に抗して押圧し、弁体77を押し上げることにより、内筒64内のマイナスイオン生成溶液Bを、弁体77と弁座75の上端部との間を介して、弁座75の中空内部を流下させ、出水口78から流出可能としている。以下、この状態を流出可能状態という。
【0085】
それゆえ、前述したように、溶液貯留部10を装置本体20(受皿41)に載置すると、貯留凹部46に立設した押圧突片49が弁軸61を上方へ押圧して弁を開放し、タンク11内部のマイナスイオン生成溶液Bを貯留凹部46に流出させることができる。
【0086】
上述してきた構成を踏まえ、タンク11内に貯留されているマイナスイオン生成溶液Bが霧化されて製剤霧となるまでの一連の流れを、図4を用いて以下に説明する。
【0087】
タンク11内に予め貯留したマイナスイオン生成溶液Bは、フィルタ13の止水弁71が止水状態となっているため、出水口78から流出しない。
【0088】
ここで、溶液貯留部10を装置本体20に載置することで、止水弁71の弁軸61が、受皿41の押圧突片49と当接し、上方に押圧されて止水弁71が流出可能状態となる。
【0089】
すると、タンク11内のマイナスイオン生成溶液Bは、環状目皿板66を介して濾材充填部67へ流入し、北投石80に接触しながら上昇する。
【0090】
濾材充填部67の内筒上端部68近傍に達したマイナスイオン生成溶液Bは、内筒上端部68と上部閉塞板65との間に形成した間隙を抜けて内筒64の内部に流入する。
【0091】
ここで、止水弁71は流出可能状態にあるため、マイナスイオン生成溶液Bは、弁座75の内部を流下して、出水口78から貯留凹部46へ流出することとなる。
【0092】
貯留凹部46に流出したマイナスイオン生成溶液Bは、連通部48を通って霧化凹部47に流入し、徐々に水嵩を増して、貯留凹部46と霧化凹部47との両者を満たす。
【0093】
ここで、装置本体20に通電すると、霧化凹部47の底面に露出した超音波振動子50が超音波を発生させ、その直上方の水面に製剤霧が発生する。
【0094】
この製剤霧は、装置本体20に内蔵した送風ファン44の風により、筒状体32内部を上昇し、回動ノズル31の吹出口33に至り、マイナスイオン生成装置Aの外部に放出される。
【0095】
この際、ノズル回動用モータ35を駆動させることにより、回動ノズル31が回動するため、製剤霧はマイナスイオン生成装置Aの周囲の広範囲に亘って放散されることとなる。
【0096】
〔マイナスイオン生成溶液〕
次に、製剤霧の原料となるマイナスイオン生成溶液Bについて説明する。
【0097】
本実施形態に係るマイナスイオン生成溶液Bは、表1に示す組成としている。
【表1】

【0098】
ここで、銀イオン溶液は、殺菌性や抗菌性を生起するものであり、人体に対して安全な物を使用している。なお、マイナスイオン生成溶液B中における銀イオン溶液由来の銀イオン終濃度は、本実施形態において0.3ppm程度としているが、0.01〜10ppmの範囲内で適宜調整することができる。
【0099】
テルペン含有植物抽出液は、テルペン系芳香物質として有機ゲルマニウム存在下での銀イオンの安定化を図る役割を果たすものであり、また、天然殺菌成分としての役割も担っている。
【0100】
併せて、テルペン含有植物抽出液は、フィトンチッド成分を含有していることから、製剤霧雰囲気中の使用者に対して、リラクゼーション等の癒しの効果を生起することができる。
【0101】
有機ゲルマニウムは、人体に対して様々な生理活性を有することが知られており、製剤霧雰囲気中の使用者に、痛みやしびれをなくす効果や、鬱状態を改善する効果、血流を改善する効果、血圧を調整する効果、白血球の働きを強化する効果、活性酸素を除去する効果、蛋白と糖との結合を阻止して糖尿病合併症を予防する効果、白内障の予防改善効果、抗原抗体反応を調整してアレルギー疾患を改善する効果、免疫細胞を活性化し悪性腫瘍等を抑制する効果、抗ガン薬の副作用軽減効果、骨量減少の抑制効果、老化現象の遅延効果等があるものと考えられている。
【0102】
そして、本発明の特徴として、銀イオンと有機ゲルマニウムとテルペンとを配合してマイナスイオン生成溶液Bを調製することにより、銀イオンの変質を防止するとともに、マイナスイオンを長寿命化させるようにしているのである。
【0103】
また、表1中において、乳化剤とアルコールはテルペン含有植物抽出液をマイナスイオン生成溶液B中で分散させるために使用している。
【0104】
〔試験1〕
次に、有機ゲルマニウム存在下における銀イオンの安定性について、テルペン系芳香物質の有無を違えて試験した結果を以下に示す。
【0105】
本試験では、次のサンプルを調製して試験を行った。
(薬液A)銀イオンと有機ゲルマニウムとを含有する溶液
(薬液B)銀イオンとテルペン系芳香物質とを含有する溶液
(薬液C)銀イオンと有機ゲルマニウムとテルペン系芳香物質とを含有する溶液
(薬液D)銀イオンを含有する溶液(コントロール)
【0106】
これら薬液A〜Dについて、12ヶ月間の保存試験を行った結果を表2に示す。
【表2】

【0107】
表2からも分かるように、薬液Aは、テルペン系芳香物質を含有させていないため、有機ゲルマニウムの存在により銀イオンが不安定化され、12ヵ月目には銀イオン濃度がほぼ0ppmとなった。
【0108】
また、薬液Bについてもまた、12ヵ月目には銀イオン濃度が0.1ppm程度と、非常に低い値となることが分かる。特に、ここで注目すべきは、テルペン系芳香物質のみでは、銀イオンが安定化されない点である。
【0109】
そして、薬液Cは、コントロールである薬液Dと同様に、12ヵ月目においても初期濃度とほぼ同等の銀イオン濃度を維持していた。
【0110】
これらの結果から、銀イオンは有機ゲルマニウムとテルペン系芳香物質との存在下において安定化するものと考えられる。
【0111】
〔試験2〕
次に、本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aにより、マイナスイオン生成溶液B又はその他の溶液を霧化した際に生じるマイナスイオンの量について検証を行った結果を示す。
【0112】
本試験において使用したサンプルは以下の通りである。
(サンプルA)本実施形態に係るマイナスイオン生成溶液B
(サンプルB)水道水
(サンプルC)市販ミネラルウォーター
(サンプルD)脱イオン蒸留水
【0113】
各サンプルをそれぞれタンク11に収容し、マイナスイオン生成装置Aを可動させて約5分後の霧中のマイナスイオン量を測定したグラフを表3に示す。
【表3】

【0114】
表3中、縦軸は発生させた霧1cm3中のマイナスイオンの個数を示しており、横軸はサンプルの種類を示している。
【0115】
表3からも分かるように、本実施形態に係るマイナスイオン生成溶液B(サンプルA)により発生させた製剤霧には、マイナスイオン生成装置Aから次々に供給される長寿命化したマイナスイオンが多量に蓄積するため、1cm3あたり70000個もの多量のマイナスイオンが検出された。
【0116】
サンプルBにより発生させた霧中には、1cm3あたり6500個、サンプルCにより発生させた霧中には1cm3あたり15000個、サンプルDにより発生させた霧中には1cm3あたり20000個のマイナスイオンが検出された。
【0117】
これらの結果より、本実施形態に係るマイナスイオン生成溶液Bは、効率よくマイナスイオンを発生できることが示唆された。
【0118】
〔試験3〕
次に、マイナスイオン生成装置Aのフィルタ13に形成した濾材充填部67に、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する北投石を収容し、マイナスイオン生成溶液Bを霧化した際に生じるマイナスイオンの個数について検討を行った。
【0119】
マイナスイオン生成溶液Bをタンク11に収容し、北投石の有無を違えてマイナスイオン生成装置Aを可動させ、約5分後の製剤霧中のマイナスイオン量を測定したグラフを表4に示す。
【表4】

【0120】
表4中、縦軸は発生させた霧1cm3中のマイナスイオンの数を示しており、横軸は北投石の有無を示している。
【0121】
表4からも分かるように、濾材充填部67に北投石を収容して発生させた製剤霧には、1cm3あたり86200個もの多量のマイナスイオンが検出された。
【0122】
一方、濾材充填部67に北投石を収容せずに発生させた製剤霧には、1cm3あたり71500個と、北投石を収容して発生させた製剤霧に比して少ない結果となった。
【0123】
これらの結果より、濾材充填部67に放射能を有する岩石を充填することで、さらに効率よくマイナスイオンを発生できることが示唆された。
【0124】
これまで述べてきたように、本発明に係るマイナスイオン生成溶液Bによれば、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有させることとしたため、空気中において比較的長寿命のマイナスイオンを発生させることができ、しかも、銀イオンと有機ゲルマニウムとが共存する噴霧前の液中において、銀イオンを安定して存在させることができる。
【0125】
また、本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aでは、液状のマイナスイオン生成溶液を噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできるマイナスイオン生成装置において、前記マイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有することとしたため、空気中において比較的長寿命のマイナスイオンを発生させることができ、しかも、銀イオンと有機ゲルマニウムとが共存する噴霧前の液中において、銀イオンを安定して存在させることができる。
【0126】
しかも、マイナスイオン生成装置Aの超音波発生ユニット42の出力を25〜40Wととしたため、超音波振動によって銀イオンや有機ゲルマニウムが崩壊してしまうのを防止しつつ、両者を霧中に偏り無く放散させることができる。
【0127】
また、濾材充填部67には、例えば北投石などの0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を充填することにより、マイナスイオンの生成効率を更に向上させることができ、しかも、霧に微弱な放射能を付与して、ヒトなどの生体に良い作用を示す生理的刺激(所謂、ホルミシス効果)を生起させることができる。
【0128】
また、一例として、室内でマイナスイオン生成溶液Bをマイナスイオン生成装置Aにて霧化することにより、室内を浄化しつつ、例えば玉川温泉のような放射能泉の湯治場の雰囲気を作ることができるのである。
【0129】
しかも、マイナスイオン生成溶液Bに含有した銀イオンや有機ゲルマニウムが個々に有する生理活性を享受できることは勿論である。
【0130】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0131】
例えば、本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aに配設したタンク11の容量を小さくしたり、装置本体20を小さくすることにより、コンパクトな形状としても良い。
【0132】
マイナスイオン生成装置Aをコンパクトな形状とすることにより、専有面積を減少させることができ、使用者が所望する場所に気軽に配置して、使用機会をさらに増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aの外観を示した説明図である。
【図2】本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aの分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aに配設したフィルタの分解説明図である。
【図4】本実施形態に係るマイナスイオン生成装置Aの断面説明図である。
【符号の説明】
【0134】
A マイナスイオン生成装置
B マイナスイオン生成溶液
11 タンク
13 フィルタ
42 超音波発生ユニット
50 超音波振動子
67 濾材充填部
80 北投石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧装置で噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできる液状のマイナスイオン生成溶液において、
水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有させることを特徴とするマイナスイオン生成溶液。
【請求項2】
液状のマイナスイオン生成溶液を噴霧することによりマイナスイオンを発生させることのできるマイナスイオン生成装置において、
前記マイナスイオン生成溶液は、水性溶媒に銀イオンと、有機ゲルマニウムと、テルペン系芳香物質とを含有することを特徴とするマイナスイオン生成装置。
【請求項3】
前記マイナスイオン生成溶液を貯留するタンクと、
同タンクの流出口に配設され、前記マイナスイオン生成溶液を濾過しながら通水するフィルタと、
同フィルタを経て流出したマイナスイオン生成溶液を霧化する超音波発生ユニットと、を備え、
同超音波発生ユニットは、25〜40Wの出力を有することを特徴とする請求項2に記載のマイナスイオン生成装置。
【請求項4】
前記フィルタは、濾材充填部を備えており、同濾材充填部には、0.3〜0.7マイクロシーベルトの放射能を有する岩石を充填していることを特徴とする請求項3に記載のマイナスイオン生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−298714(P2009−298714A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153202(P2008−153202)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(508174610)株式会社ソレイユ (1)
【Fターム(参考)】