説明

マグネットローラ

【課題】軸部一体型マグネットローラにおいて、軸部の先端部(先端面)から導通をとるような現像器構成の場合でも、低価格で簡易に軸部より確実に現像バイアス電圧を確保する。
【解決手段】強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部8と軸部7,9を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材10を装着し、かつ前記軸部の先端部と前記金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に組み込まれるマグネットローラに関する。
【背景技術】
【0002】
マグネットローラとしては、金属シャフトの外周にマグネットピースを配置したマグネットローラ、あるいは、軸部と本体部が一体になった軸部一体型マグネットローラ等が知られている。特に、軸部一体型マグネットローラは低コストの利点を生かして、画像形成装置に組み込まれる現像ローラとして広く用いられている。
【0003】
従来から、軸部一体型マグネットローラの軸部表面に通電のための導電性部材を設けることにより、該導電性部材を介して非磁性スリーブにバイアス電圧が印加できるようになり、構造が極めて簡単となる軸部一体型マグネットローラ(特許文献1)、また、軸部一体型マグネットローラのシャフト部の外周部に、軸部一体型マグネットローラの本体部及びシャフト部よりも高い耐摩耗性を有する金属またはプラスチックからなる保護スリーブを設けることにより、シャフト部の摺動摩耗が少なく、マグネットローラの偏心やふれ等が抑制できると共に、シャフトの摩耗や損傷も防止して耐久性を向上させることができる軸部一体型マグネットローラ(特許文献2)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−135961号公報。
【特許文献2】特開平8−234561号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では導電性部材を円筒状のカラーとして形成するため、軸部の先端部(先端面)から導通をとるような現像器構成の場合、電気的導通を得ることができなくなり、スリーブに現像バイアス電圧を印加できなくなる場合がある。
【0006】
特許文献2では、シャフトの摺動部のみに保護スリーブを被せており、これはシャフトの摩耗を防止する目的であって、シャフトからの導通を目的としていないため、電気的導通を得ることができなくなり、スリーブに現像バイアス電圧を印加できなくなる場合がある。
【0007】
このため、軸部一体型マグネットローラにおいて、軸部の先端部(先端面)から導通をとるような現像器構成の場合でも、低価格で簡易に軸部より確実に現像バイアス電圧を確保することが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部と軸部を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着してなるマグネットローラ、である。
【0009】
さらに、本発明は、強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部と軸部を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着し、かつ前記軸部の先端部と前記金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙を設けてなるマグネットローラ、である。
【0010】
また、本発明は、上記空隙の軸方向寸法を軸部外径寸法の0.05倍以上3倍以下としたマグネットローラ、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、樹脂磁石材料にて軸部及び本体部を一体成形したマグネットローラにおいて、軸部の先端部(先端面)から導通をとるような現像器構成の場合でも、軸部より確実に現像バイアス電圧を確保することができ、さらに、軸部先端部の形状を自由に設計できるので、成形性が向上するとともに樹脂磁石原料が節約できコストダウンとなる。また、軸部摺動部の耐磨耗性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のマグネットローラを成形する金型 (a)はキャビティ容積が最小の時 (b)はキャビティ容積が最大(所望の容積)の時
【図2】本発明のマグネットローラ斜視図
【図3】本発明の金属部材を装着したマグネットローラ斜視図
【図4】金属部材を装着する装置
【図5】マグネットローラ軸部摩耗テスト装置
【図6】本発明の別のマグネットローラ斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明のマグネットローラについて1例をあげて詳細に説明する。
【0014】
本発明は、強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部と軸部を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着してなるマグネットローラ、である。
【0015】
本発明において、軸部に金属製部材を装着する方法は特に制限はないが、予めキャビティ内に上記金属製部材を挿入しておき、その後溶融樹脂磁石を注入して金属製部材付き軸部一体型マグネットローラを形成する方法が、成形が容易で、かつ後工程で金属製部材を軸部に挿入する工程も省ける点で好ましい。
【0016】
例えば図1に示す成形装置において、予めキャビティ(3)内に上記金属製部材を挿入しておき、その後、図1に示すように、ゲート口(1)から溶融状態の樹脂磁石材料を射出注入し、スライド金型(6)をキャビティ容積が増大する方向に移動させながら、金型内磁場発生ヨーク(以下磁性ヨークと呼ぶ)(5箇所)から発生させた磁場(240K・A/m〜2400K・A/m)により該溶融樹脂磁石材料を配向着磁し、所定の位置で該スライド金型の移動を停止し、冷却固化させて、軸部一体型マグネットローラを形成する。
【0017】
本発明の金属製部材は特に制限はないが、マグネット端部への磁気的影響を避けるため、例えばステンレス(SUS303、SUS304、SUS316、等)等の非磁性体が好ましい。
【0018】
軸部一体型マグネットローラの少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着することにより、外周部からだけでなく、軸部の先端部(先端面)から導通をとるような現像器構成の場合でも、軸部より確実に現像バイアス電圧を確保することができる。
【0019】
また、本発明は、強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部と軸部を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着し、かつ前記軸部の先端部と前記金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙を設けてなるマグネットローラ、である。
【0020】
図1に示すような成形装置を用いて、軸部一体型のマグネットローラを成形する。図1に示すように、ゲート口(1)から溶融状態の樹脂磁石材料を射出注入し、スライド金型(6)をキャビティ容積が増大する方向に移動させながら、金型内磁場発生ヨーク(以下磁性ヨークと呼ぶ)(5箇所)から発生させた磁場(240K・A/m〜2400K・A/m)により該溶融樹脂磁石材料を配向着磁し、所定の位置で該スライド金型の移動を停止し、冷却固化させて、図2に示すような軸一体型マグネットローラを形成する。
【0021】
本発明では、図3に示すように、前記軸部一体型マグネットローラの少なくとも供電側の軸部(7)の外周部と先端部(先端面)に金属製部材(10)を装着する。さらに、前記軸部の先端部と前記金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙(11)を設けている。
【0022】
上記軸部に上記金属製部材を装着する方法は特に制限はないが、軸部一体型マグネットローラを形成し、その後上記金属製部材を軸部に挿入する方法が好ましい。
【0023】
金属製部材を軸部一体型マグネットローラの軸部に挿入する方法において、軸部外径寸法と該軸部の外周部に装着する金属製部材の内径寸法との関係は特に制限はないが、金属製部材の内径寸法<軸部外径寸法(圧入)、金属製部材の内径寸法≒軸部外径寸法(軽圧入)、金属製部材の内径寸法>軸部外径寸法、等の方法がある。金属製部材の内径寸法<軸部外径寸法(圧入)の場合接着剤は不要となるが、金属製部材の内径寸法≒軸部外径寸法(軽圧入)や金属部材の内径寸法>軸部外径寸法の場合は接着剤を使用する方が好ましい。接着剤は特に制限はないが、シアノアクリレート系接着剤(瞬間接着剤)やエポキシ系接着剤、等が好ましい。ただし、上記の圧入の場合は、圧入時に軸部が折れる可能性があるため、後者の2つの方法を採用するのが好ましい。
【0024】
上記金属製部材の挿入方法は特に制限はないが、図4に示すように、成形された軸部一体型マグネットローラを固定し、該軸部一体型マグネットローラの軸部Dカット面と上記金属製部材のDカット面が合致するように配置し、軸部外周部あるいは金属製部材内周部に接着剤を塗布し、手動あるいは自動で挿入し固着する。
【0025】
本発明において、前記軸部の先端部と前記金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙を設ける方法は特に制限はないが、軸部一体型マグネットローラを形成する際に、軸部一体型マグネットローラを成形後、金属製部材を挿入する側の軸部軸方向長さを、該金属製部材の先端部内側軸方向長さより短くし、該軸部に金属製部材を挿入して、該金属製部材の先端部内側と該軸部先端との間に空隙を設けるようにするのが好ましい。
【0026】
上記軸部一体型マグネットローラの軸部先端と金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙を設けることにより、上記軸部先端部の形状設計の自由度が向上する。例えば上記軸部先端部に大きな面取りや大きなR面を施したりすることにより、上記金属製部材の挿入が容易となり、また、空隙分の樹脂磁石材料が削減できコストダウンとなる。
【0027】
また、本発明の空隙の軸方向寸法は軸部外径寸法の0.05倍以上3倍以下が好ましい。
【0028】
上記空隙の軸方向寸法を軸部外径の0.05倍以上3倍以下とすることにより、該空隙部の金属製部材の強度が確保でき、かつマグネット軸部先端部の樹脂磁石材料が不要となり、コストダウンとなる。
【0029】
空隙の軸方向寸法を軸部外径の0.05倍未満にした場合、上記のコストダウン効果が薄れ、また、マグネット軸部先端部と金属製部材の先端部内側とが干渉し、金属製部材の装着不良等の不具合が発生する場合がある。また、空隙の軸方向寸法が軸部外径の3倍を超える場合、空隙部の寸法が長くなり、該空隙部の金属製部材の強度が低下し、変形等による寸法不良が発生する場合がある。
【0030】
上記発明は、キャビティ内にスライド金型を設置し、該スライド金型を後退させながら
溶融樹脂磁石をキャビティ内に徐々に充填させるという成形方法で説明したが、通常の射出成形方法で行ってもよい。
【0031】
上記発明では、マグネットローラ材料として、以下のような強磁性体粉末および樹脂バインダーを用いることができる。
【0032】
強磁性体粉末としては、MO・nFe23(nは自然数)で代表される化学式を持つ異方性フェライト磁性粉などがあげられる。式中のMとして、Sr、Baまたは鉛などの1種類または2種類以上が適宜選択して用いられる。
【0033】
また、強磁性体粉末として、異方性フェライト磁性粉、等方性フェライト磁性粉、異方性希土類磁性粉(例えばSmFeN系)、等方性希土類磁性粉(例えばNdFeB系)を単独または2種類以上を混合して用いてもよい。要求される磁束密度により適宜選択すればよい。
【0034】
樹脂バインダーとしては、ポリアミド樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスフィド)、EVA(エチレンー酢酸ビニル共重合体)、EVOH(エチレンービニルアルコール共重合体)及びPVC(ポリ塩化ビニル)などの1種類または2種類以上、もしくはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂の1種類または2種類以上を混合して用いることができる。
【0035】
上記に示した単独磁性粉あるいは混合磁性粉の含有率は50〜95重量%の範囲が好ましい。単独磁性粉あるいは混合磁性粉の含有率が50重量%未満では、磁性粉不足により、マグネットローラの磁気特性が低下して所望の磁力が得られにくくなり、また、それらの含有率が95重量%を超えると、樹脂バインダー不足となり成形性が損なわれるおそれがある。
【0036】
添加剤としては、磁性粉の表面処理剤としてシラン系やチタネート系等のカップリング剤、流動性を良好にするポリスチレン系・フッ素系滑剤等、安定剤、可塑剤、もしくは難燃剤などを添加する。
【実施例】
【0037】
以下に本発明を実施例および比較例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
図2のマグネットローラ用材料として、樹脂バインダーにナイロン6樹脂(ユニチカ製A1015P)を10重量%(滑剤、安定剤を含む)、強磁性体粉末に異方性ストロンチウムフェライト(SrO・6Fe23)粉末(DOWAエフテック社製NF−350)を90重量%とし、これらを混合して溶融混練し、ペレット状に成形した。図1に示す成形装置を用いて、金属製部材をスライド金型側の軸部キャビティに挿入しておき、ゲート口から上記ペレットを溶融状態にした樹脂磁石材料を射出注入し、スライド金型をキャビティ容積が増大する方向に移動させながら、励磁源(5箇所)から発生させた磁場(240K・A/m〜2400K・A/m)により該溶融樹脂磁石材料を配向着磁し、所定の位置で該スライド金型の移動を停止し、冷却固化させて、図6に示すような軸一体型マグネットローラを形成した。
【0039】
上記マグネットローラ本体部の外径をφ13.6mm、マグネットローラ軸部の外径をφ6mm(金属製部材含む)、長軸側軸部長さを30mm(金属製部材含む)、短軸側軸部長さを5mm、マグネットローラ本体部の軸方向長さを315mm、マグネットローラ全長を350mm(金属製部材含む)とした。
【0040】
上記金属製部材は片方の端部に先端面を有する全長30mm、肉厚0.5mmのステンレス(SUS316)を用いた。
【0041】
なお、得られたマグネットローラは以下の方法で評価した。
【0042】
軸部先端部からの導通可否は、○:可、×:否、で評価した。
【0043】
また、成形性を評価するため、上記長軸部先端形状を図2に示すようなR形状とした。
【0044】
成形性は成形品を目視にて確認し、○:良好、△:実用レベルで問題無し、×:成形不良発生、で評価した。
【0045】
また、コストダウン効果(空隙容量)は、○:効果あり、△:やや効果あり、×:効果無し、で評価した。
【0046】
さらに、軸部の摺動部の耐磨耗性は、得られた軸部一体型マグネットローラを図5に示すマグネットローラ回転装置にて150rpmにて45時間連続回転させ、回転前後の軸部磨耗量(軸部の外径差)を測定し、○:耐磨耗性良好(外径差3μm以内)、△:やや耐磨耗性あり(外径差3μm超〜7μm以内)、×:耐磨耗性無し(外径差7μm超)、で評価した。
【0047】
上記評価の結果を表1に示した。
【0048】
(実施例2)
図2のマグネットローラ用材料として、樹脂バインダーにナイロン6樹脂(ユニチカ製A1015P)を10重量%(滑剤、安定剤を含む)、強磁性体粉末に異方性ストロンチウムフェライト(SrO・6Fe23)粉末(DOWAエフテック社製NF−350)を90重量%とし、これらを混合して溶融混練し、ペレット状に成形した。図1に示す成形装置を用いて、ゲート口から上記ペレットを溶融状態にした樹脂磁石材料を射出注入し、スライド金型をキャビティ容積が増大する方向に移動させながら、励磁源(5箇所)から発生させた磁場(240K・A/m〜2400K・A/m)により該溶融樹脂磁石材料を配向着磁し、所定の位置で該スライド金型の移動を停止し、冷却固化させて、図2に示すような軸一体型マグネットローラを形成した。
【0049】
上記マグネットローラ本体部の外径をφ13.6mm、マグネットローラ軸部の外径をφ5mm、長軸側軸部長さを22.5mm、短軸側軸部長さを5mm、マグネットローラ本体部の軸方向長さを315mm、マグネットローラ全長を342.5mmとした。
【0050】
さらに、図4に示す装置により、長軸側軸部に金属製部材を挿入固着した。装着後のマグネットローラを図3に示す。
【0051】
上記金属製部材は片方の端部に先端面を有する全長30mm、肉厚0.5mmのステンレス(SUS316)を用い、金属製部材内周面にシアノアクリレート系瞬間接着剤を塗布し、上記長軸側軸部に挿入固着した。この場合、長軸側軸部外径をφ5mm−0.01〜−0.05mmとし、金属製部材の内径をφ5mm+0.01〜+0.05mmとした。また、金属製部材装着後の空隙の軸方向寸法を7mmとした。
【0052】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0053】
上記評価の結果を表1に示した。
【0054】
(実施例3)
長軸側軸部の長さを29.25mmとすることにより、金属製部材装着後の空隙の軸方向寸法を0.25mmとする以外はすべて実施例2と同様に行なった。
【0055】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0056】
上記評価の結果を表1に示した。
【0057】
(実施例4)
長軸側軸部の長さを14.5mmとすることにより、金属製部材装着後の空隙の軸方向寸法を15mmとする以外はすべて実施例2と同様に行なった。
【0058】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0059】
上記評価の結果を表1に示した。
【0060】
(実施例5)
長軸側軸部の長さを29.35mmとすることにより、金属製部材装着後の空隙の軸方向寸法を0.15mmとする以外はすべて実施例2と同様に行なった。
【0061】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0062】
上記評価の結果を表1に示した。
【0063】
(実施例6)
長軸側軸部の長さを12.5mmとすることにより、金属製部材装着後の空隙の軸方向寸法を17mmとする以外はすべて実施例2と同様に行なった。
【0064】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0065】
上記評価の結果を表1に示した。
【0066】
(比較例1)
先端面がない金属製部材を用いる以外はすべて実施例2と同様に行った。
【0067】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0068】
上記評価の結果を表1に示した。
【0069】
(比較例2)
長軸部に金属製部材を装着せず、軸部外径をφ6mmとする以外はすべて実施例2と同様に行なった。
【0070】
なお、得られたマグネットローラは実施例1に記載の方法にて評価した。
【0071】
上記評価の結果を表1に示した。
【0072】
【表1】

【0073】
比較例1および2と比べると、実施例1〜6は、軸部の先端部(先端面)からの導通が可能であり、かつ耐摩耗性も良好である。さらに、実施例2〜6は、空隙を設けたことにより、成形性が良好で、コストダウン効果がある。
【符号の説明】
【0074】
1 ゲート口
2 固定側金型
3 キャビティ
4 可動側金型
5 励磁源
6 スライド金型
7 マグネットローラ軸部(給電側:長軸側)
8 マグネットローラ本体部
9 マグネットローラ軸部(短軸側)
10 金属部材
11 空隙部
12 マグネットローラ固定装置
13 金属部材挿入装置
14 金属部材装着装置のベース台
15 マグネットローラ軸部支持部
16 マグネットローラ軸部摩耗テスト装置のベース台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部と軸部を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着してなることを特徴とするマグネットローラ。
【請求項2】
強磁性体粉末と樹脂バインダーとを含む溶融状態の混合物をキャビティに注入し磁場印加し、本体部と軸部を一体成形したマグネットローラにおいて、少なくとも一方の軸部の外周部と先端部(先端面)に金属製部材を装着し、かつ前記軸部の先端部と前記金属製部材の先端部内側との軸方向に空隙を設けてなることを特徴とするマグネットローラ。
【請求項3】
上記空隙の軸方向寸法を軸部外径寸法の0.05倍以上3倍以下としたことを特徴とする請求項第2項記載のマグネットローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164807(P2010−164807A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7424(P2009−7424)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(596087214)栃木カネカ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】