説明

マスクシールトレーナ

【課題】
【解決手段】第1通路及び第2通路を含む、マスク換気の練習装置。第1通路は、空気源と患者マスクの内部との間に連通を提供するように設計されている。患者マスクは、人間の口及び/又は鼻を覆って配置されるように設計されている。第2通路は、空気源と背圧手段との間に連通を提供するように設計されている。背圧手段は、人間の気道の抵抗をシミュレートするように適応される。また、この装置は、呼吸している人間と外気との間に連通を提供するように設計された第3通路を含むことが出来る。この通路は、患者弁とマスクとの間に配置しようとする一体化アダプタに形成することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1通路及び第2通路を具え、マスク換気を練習する手段に関して、前記第1通路が空気源と患者マスクの内部との間を連通するように設計されており、前記患者マスクが人間の鼻及び/又は口を覆って配置されるように設計されている手段に関する。
【0002】
今日では、マスク換気の練習は、主としてマネキンを使用して行われる。これらのマネキンは、多くの人員を扱って基本的トレーニングを行うことに優れている。というのは、マネキンは、例えば、口内呼気吹き込み法を用いて、あるいはバッグマスク換気を用いて、マネキンの「肺」に空気を吹き込む、又は他の方法で空気を送り込むことを可能にするからである。一般的には、マネキンは丈夫であり、治療中に生じるどんな間違いにも耐える。
【0003】
しかしながら、これらのマネキンは、共通の問題を抱えている。すなわち、それらは顔の形、髪の成長及び人間に生じる独特な特徴における自然の変化のある人間ではない、ということである。人間の顎、頬及び皮膚は大きく変わることがある。また、マネキンは動きがないのに対して、人間は、頭の移動角度が変わったり、目鼻立ちの柔らかさ、肌質、脂肪層などを示すことが出来る。
【0004】
マネキンを使用した病院のトレーニングプログラムを完了した後、新人の救助者は現場に送られ、及び/又は病院で練習させられる。ここで、彼又は彼女は、仕事場で熟練救助者を観察する時間が与えられる。また、この段階を終了すると、彼又は彼女は、多かれ少なかれ、命を助けるという困難な仕事に直面する。マネキンで練習してから、救助者は本物の人命救助の試みに加わる。この人間は、マネキンと同じように振る舞うわけではない。最も大きな問題の一つは、人には顔の形、あるいは顔の体毛があり、これが、患者マスク(呼吸マスク)と顔の間に良好なシールを行うことを困難にしていることである。患者は、落としたり、又は取り外さなければならない義歯を有するかもしれず、このことが口の周辺部分を緩くし、この部分に対してシールすることを困難にする。
【0005】
貧弱なマスクシールの結果は、患者への空気の供給が減少することである。従って、蘇生が成功する機会が少なくなる。
【0006】
救助者のトレーニングを見ながら、いくつかの研究が実施された。つい2001年に出版されたアメリカ心臓学会の教科書、「Fundamentals of BLS for Healthcare Providers」、には、次のことが記載されている。「幾つかの研究は、訓練中の救助者は、装置の使用に熟練していないので、マネキンに対して適切に息を吹き込んでいることを示している。救助者一人では、バッグを押して、かつ解放気道を維持しながら、顔を気密シールすることは困難である。」
【0007】
教科書、「Basic Trauma Life Support」(Brady2000)には、次のように記載されている。「マスクの漏れは深刻な問題である。これによって、中咽頭に送られる容量がしばしば40%又はそれ以上減少する。」
【0008】
いくつかの他の教科書シリーズも同じ問題を扱っている。一般的に、この教科書シリーズは、特に実際に人間に対して練習出来る回数には制限があるので、精神運動性スキルについて、十分な練習を行うことが困難であると述べている。また、トレーニング中に自身の呼吸する筋肉を使用しないようにしなければならず、代わりにバッグからの空気を肺に流入させなければならないボランティアに、直接換気することが可能である。このことは、ボランティアにとって極めて不快な状況である。加えて、バッグにフィルターを装備しなければ、バッグは汚染される。
【0009】
GB2339392には、蘇生用マスクが記載されている。このマスクは、ボールを収容した出口パイプを有する。ボールの動きを管理して、患者に対するガスの供給、又は患者の呼気を検査することが出来る。このマスクは、トレーニング用のものではない。ボールは空気流れに対して小さな抵抗を提供するが、空気を出来るだけ妨害しないように通過させるために、この抵抗は出来るだけ小さくあるべきである。この結果、ボールは人間の肺の抵抗をシミュレートした抵抗を提供しないので、このマスクは、トレーニング目的には好適ではない。抵抗は、マスク内に十分な圧力を作るにはあまりに小さく、救助者がこのことに気づかずに、マスクと患者との間に不十分な空気シールが生じることがある。
【0010】
本発明は、健康な生きている人間に対してマスクシールを練習することによって、救助者トレーニングプログラムにおける上記の欠点を改善することを提案する。一例として、ボランティアは必然的に、このことは、良好なマスクシールを達成する救助訓練の間、一定期間息を止めておくことになる。
【0011】
これは、上記第2通路が空気源と背圧手段との間を連通するように設計されており、上記背圧手段が人間の気道の抵抗をシミュレートするようにした、本発明の装置によって達成される。
【0012】
ボランティアは、(空気溜めからの空気が自分の肺の中に強制的に送られないようにするために)訓練中に自分の呼吸を止めなければならないので、このトレーニング期間は、幾分少なくなる。
【0013】
従って、本発明の好ましい実施例は、ボランティアがトレーニングを中断することなく必要な時に呼吸出来るようにしながら、生きている人間に対して練習出来るようにする装置を提供することを目的とする。
【0014】
これは、呼吸している人間と外気との間を連通することによって達成される。
【0015】
これは、空気溜めからの空気を第1通路を介してマスク内部に送ることが出来る救助者に対して満足のいくトレーニング状況を提供し、これによって、患者の鼻及び/又は口の周辺部分に対するマスクのシーリングを検査することが出来る。また、ボランティアが経験する不快感は減少する。というのも、彼は、第1通路を介する膨張に関係なく、第2通路を介して呼吸することが出来るからである。
【0016】
好ましくは、本装置は、空気流れの制御を容易にするために前記第1通路を通る空気の流れを示す表示器手段を有する。
【0017】
好ましくは、この表示器は、上記第1通路の中に横方向の位置においてバイアスされたダンパであり、これは、目視制御を容易にし、実装に好都合である。
【0018】
好ましい実施例では、背圧手段が人工肺であり、これは、充填時に上記空気源から送り出される容量を表示する。これによって、従来の試験肺の使用が可能になる。
【0019】
代替の実施例では、背圧手段が、制限である。これは、低コストで、多くの場合に十分な背圧手段である。
【0020】
好ましい実施例では、第1、第2及び第3通路が、患者弁とマスクとの間に配置されるように設計された一体化アダプタに形成されている。これによって、従来のマスク及び従来の患者弁がの使用が可能になる。
【0021】
代替の実施例では、第1及び第2通路が、一体化アダプタに形成され、第3通路が、別のユニットに形成されている。これは、子供用のトレーニング装置の構成を容易にする。
【0022】
更に、代替の実施例では、第3通路は、マスクの連結部から前記の第1通路まである距離をマスクの壁を通って延在している。これによって、従来の蘇生装置を、特殊なトレーニングマスクに直接使用することが可能になる。
【0023】
好ましくは、第3通路は、呼吸をしている人間の口及び鼻の双方に連通する。これによって、トレーニング前に人間の鼻を閉じる必要がなくなる。
【0024】
好ましくは、背圧手段によって提供される抵抗は、5〜40cmHO/l/s、例えば、約20cmHO/l/sであり、この値は、人間の気道の抵抗値によく合致する。
【0025】
好ましくは、背圧手段は、人間の気道のコンプライアンスをまねするコンプライアンスを有し、そのコンプライアンスは、0.01〜0.15l/cmHO、例えば、約0.02l/cmHOであり、この値は、人間の気道の抵抗値によく合致する。
【0026】
上記及び下記において、空気源は、マスクシールを試験するために必要とされる圧力を供給することが出来る、あらゆる源を意味することを強調したい。空気源は、外部から、若しくは空気溜めから空気を吸引するバッグ(しばしばAMBU−バッグと称される)であってよく、又は、圧力タンク、救助者自身の肺、若しくは他の適当な源であってもよい。
【0027】
ここで、本発明を、具体例によってより詳細に説明し、添付図面に例示する。
【0028】
図1は、呼吸をしている人間に対して練習をするときに使用される装置の構成を示す断面図である。ボランティア1は横になって示されている。標準22mmの内径連結部を有する患者マスク2は、ボランティアの口及び鼻を覆って配置される。このマスクは、どのタイプの市販のマスクでもよく、例えば、Laerdal Medical社によって、商品番号860220又は870220のもとに製造販売されているものである。
【0029】
本発明によるアダプタ3は、患者マスク2に連結される。このアダプタ3を、以下に詳細に説明する。アダプタ3は患者弁4に連結されている。これは、Laerdal Medical社によって、商品番号851300、851200又は560200のもとに製造販売されているタイプのものでも他の製造業者からの同等の患者弁であってもよく、標準22mm外径連結部を備えたノズルを有する。このような弁の構成及び動作は当業者によく知られているので、患者弁をここでより詳細に説明しない。本発明で重要なことは、患者弁が患者の方向に空気を入れ、患者からの空気が外気に逃げるように設計されていることである。
【0030】
更に、患者弁に連結されているバッグ5がある。このバッグ5は、Laerdal Medical社によって、商品番号870100、860100又は850100のもとに製造販売されているタイプのものであってよく、又は、他の製造業者からの同等のバッグであってもよい。また、代替として、例えば米国特許5217006に記載されているようなポンプを使うことも出来る。また、ガス動力調整器、又は、特別な場合には、圧力ガスシリンダ又は電動ポンプを使用することも可能である。しかしながら、手動ポンプの使用が、トレーニングによって得られる利益を最大限にすであろう。
【0031】
バッグ5の反対の端部には、吸気弁6がある。これはNO20023404に記載されているタイプのもの、又は同等の弁であってもよい。本発明で重要な唯一の特徴は、吸気弁6がバッグ5の中に空気を入れ、空気が反対方向に流れることを防止するように設計されなければならないことである。
【0032】
また、アダプタ3には、ホース7を介して人工肺が連結されている。この人工肺はマネキンに見られるのと同じタイプのものでよく、又は簡単なバッグであってもよい。
【0033】
図3を参照すると、アダプタ3の断面が示されている。このアダプタ3は、5つの連結管を有する。第1連結部9は、患者弁4に連結されるように設計されている。第2連結部10は、患者マスク2に連結するように設計されている。第2連結部10が第1連結部9の反対側に配置されるのが実用的である。第3連結部11は、人工肺8に通じるホース7に連結するように設計されている。第4連結部12は、外気に通じる。第5連結部13は、連結部10の内側に配置され、ホース20に連結されるように設計されている(図2参照)。第3及び第5連結部11、13は、互いに自由に連通している。しかしながら、これら2つの連結部11、13と残りの連結部との間は連通していない。第1連結部9は、第4連結部12及び第2連結部10とも連通している。第1及び第2連結部9、10の間には、ダンパ14が配置される。このダンパ14は、第1及び第2連結部9、10の間の連通が閉鎖される位置と、これに対してある角度を成す位置(図4参照)の間で、第1ヒンジ15を中心に傾くように設計されている。ここで、第1及び第2連結部9、10の間は開放連通している。ダンパ14は、ヒンジ15の一方の側に、アダプタ3においてショルダー17に接する第1部分16と、ヒンジ15の他方の側に、ショルダー17の外側にある第2部分18とを有する。ダンパ14の第1部分16は、ダンパ14の第2部分よりも重く、これによって、図3に示されるような中立位置が与えられる。
【0034】
半壁19は、その中立位置にあるダンパ14の下側に位置された第4連結部12の穴の部分(図3の配置によれば)を覆っており、空気がダンパ14を越えて第4連結部12に流れることを防止している。
【0035】
上記によれば、第1通路は第1連結部9と第2連結部10の間に形成され、第2通路は第1連結部9と第4連結部12の間に形成され、第3通路は第3連結部11と第5連結部13の間に形成されている。
【0036】
ここで、図2における詳細な断面について説明する。図示されるように、ホース20がボランティア1の口から第5連結部13に延びており、これによって、対の矢印21によって示されるように、ボランティアが口を通して呼吸し、ホース20及びアダプタ3のの第3通路によって空気を外気と交換することが可能になる。
【0037】
救助者がバッグ5を押すと、矢印22によって示されるように、空気は患者弁4を経てアダプタ3の第2通路を通り、ホース7へ、そして人工肺8に強制的に送られる。人工肺8は、空気の導入が肺8に目に見える膨らみをもたらすように構成される。更に、この肺はある量の抵抗を提供し、これによって、人間の肺を換気する感覚の模倣が提供される。肺からの排気は同じ経路を逆流し、患者弁のポートを介して外気に出される。この肺8は、マスクシールがどれだけ良好か、またバッグの容量がどれだけ良好であるかを表示する。
【0038】
この操作を行う間、過剰圧力が患者マスクの中に蓄積する。空気が鼻を介してボランティアの呼吸経路を通って飲み込まされることを防止するために、ボランティアには鼻クリップ23が提供される。
【0039】
マスクシールが弱いと、患者マスク内の過剰圧力が、このマスクとボランティアの顔との間に抜けてしまう。アダプタ3の第1連結部9を通って流れる空気のいくらかが、第1通路を通って、このマスクの内側に流れる。この漏れによって、人工肺8が十分に持ち上がらなくなり、次いで、バッグ5が圧縮している間に、救助者が感じる抵抗がより少なくなる。
【0040】
ダンパ14の目的は、付加的な漏れ表示器として作動することであり、これを以上の機能意義はないが、図4a及び図4bにこの機能を示す。好ましくは、アダプタ3は透明材料でできており、ダンパ14を目に見えるようにする。もし空気が、第3通路だけを通って肺8に流れるならば、ダンパは図4aに示されるように水平になる。(すなわち、ショルダー17に接する。)マスクシールが劣化して空気がいくらかを第1通路に流れると、ダンパは、空気流れの中で、図4bに示す位置に傾き、これによって、ユーザは第1通路を通る漏れ流れに迅速に気づくことが出来る。
【0041】
人工肺の代わりに第4連結部12で制限を設けて所定量の抵抗を作り、人の肺の抵抗及び背圧の錯覚を創り出すことも可能である。
【0042】
上記は、既存の部材を大いに使用出来る事実を示している。患者マスク、患者弁、バッグ及び吸引弁は、実際の患者の治療に使用するものと同じ部材であってよい。ホース7及び20は標準ホース材料で、肺8は今日マネキンに使用されているもののうちの一つであってよい。従って、アダプタ3だけが、このトレーニング目的のために特別に作られるものである。更に、ホース7及び20を有するアダプタ3を取り外して、患者弁4を直接患者マスク2に連結するだけで、本装置を通常の患者治療装置に転用することが可能である。
【0043】
図1に示すトレーニング装置を使用する場合、ホース7及びアダプタ3だけが汚染される。このため、これらの部材は使い捨てであってよく、あるいは、それらを使用後に洗浄出来る方法で構成することが出来る。残りの部材は、次のボランティアに使用される前に洗浄することは必要ではない。また、汚染にさらされる部材の数を減少するために、系にエアフィルターを導入することも可能である。
【0044】
なお、患者マスク及び/又は患者弁を一体化した部分として構成したアダプタを想定することも可能である。
【0045】
アダプタ3及びホース20は総てワンピースで製造してもよい。
【0046】
更なる別の代替例では、第3通路及びホースを形成する連結管を、第1ユニット(シュノーケル)として構成してもよく、第2通路を形成する連結管は、第2ユニットとして構成することが出来る。これら2つのユニットを組み立てて、アダプタ3としてもよい。この利点は、使用後に第1ユニットだけが汚染されるということである。このユニットは、アダプタ3よりも幾分単純であり、従って多少安価になるかもしれない。欠点は、組み立て体が少し複雑になることである。本発明の単純な実施例では、第1ユニット(シュノーケル)のみを使用することも可能である。というのは、マスク内に強制された空気は出口がないからである。これはマスクシールをテストするためにはよく機能するが、伝達容量の検査を可能は出来ない。
【0047】
肺8の代わりに、容量表示器、例えば電子容量表示器を使用してもよい。
【0048】
本発明の簡略化した実施例では、マスクを通して、ボランティアの口及び/又は鼻へ延びるシュノーケルが設けられている。このシュノーケルは、マスク内の穴を貫通するホース、又はマスクに一体化した部分であってもよい。
【0049】
考えられる代替は、図5に例示されるような特殊トレーニングマスクを作ることである。このマスクは、人工肺と連通している。従って、実際には、人工肺(これは背圧装置と同じである)は、背圧装置と同様に空気源から顔マスクへの通路の延長部に位置されている。これによって、バッグの患者弁と患者マスクとの間の連結リンクが不要になる。その代わりに、別のトレーニングマスクが使用される。このトレーニングマスクは、マスクの側壁を通る連結、あるいはマスク連結管を介した別の連通のいずれかによってボランティアが外気に向かって自由に呼吸出来るようにする別の通路を有してもよい。
【0050】
図6a、b及びcは、成人の容量調節された換気の特徴的な波形を示す。図6aは、時間(秒単位)に対する呼吸器内外圧差(cmHO)を示す。グラフが示すように、吸気段階(これは約1秒間続く)中に、圧力は0から約36cmHOまで上昇し、その後に直ちに圧力は解放されて、肺に息を吐き出させる。図6bは、管理された容量(ml単位)を示す。吸気段階の間、容量は同じ1秒の時間に0から700mlに上昇し、その後に圧力が解放され、容量は約3秒の時間で吐き出される。
【0051】
図6cは、肺の出入り流量(l/min)を示す。流量は約0.5秒の時間で0から65l/minまで上昇し、次いで、次の0.5秒で再び0に減少する。圧力が解放されると、流量は再び増加するが反対の方向であり、急に約100l/minの最大値になり、次の3秒まで上昇し徐々に0まで減少する。
【0052】
容量及び流量は救助者によって、例えば彼又は彼女の手がバッグを押すことで、制御される。救助者がバッグを十分に空にしたのであれば、彼又は彼女は、(成人のバッグで追加の酸素供給がない場合)約700〜1000mlの空気を供給したことになる。追加の酸素供給がある場合は、全体の供給容量は、約400〜600mlに制限されるべきである。この空気/酸素の供給は、約1秒を要する。
【0053】
本発明による背圧装置を用いると、空気/酸素が供給されている間に圧力が上昇して、救助者に対して実際に近い生命体験を創り出す。抵抗は、5〜40cmHO/l/sの範囲内にすべきである。典型的な健康成人の気道は、約20cmHO/l/sの抵抗を有する。従って、背圧装置は、ほぼこの抵抗値に対応すべきである。しかし、背圧装置は、例えば、喘息(これは健康な肺よりも抵抗が大きい)をシミュレートするために、抵抗値の調節のオプションを有することが好ましい。調節可能な背圧装置は、例えば、調節可能な制限によって実現することが出来る。これを提供するための手段は、当業者に容易に入手可能である。
【0054】
また、人間の肺は、典型的には約0.02l/cmHOのコンプライアンスを有する。このコンプライアンスは、0.01〜0.15l/cmHOの範囲内で調節可能である。これは、例えば、COAD(慢性閉塞性気道疾患)(この疾患は、肺がひどく硬くなる)のシミュレーションを可能にする。調節可能なコンプライアンスは、例えば、長さや数を変えることが出来る弾性手段を有する試験肺によって、得ることが出来る。これらの手段は、当業者に容易に入手可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、呼吸している人間に対して呼吸促進を実施するための本発明に従ったトレーニング装置の配置を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の詳細を示す。
【図3】図3は、本発明に係るアダプタの断面を示す。
【図4a】図4aは、良いマスクシールと悪いマスクシールの場合に、それぞれどのように図3のアダプタが動作するかを示す透視図である。
【図4b】図4bは、良いマスクシールと悪いマスクシールの場合に、それぞれどのように図3のアダプタが動作するかを示す透視図である。
【図5】図5は、本発明の別の具体例を例示する。
【図6a】図6aは、成人の容量調節された換気に関する特徴的な波形を示す。
【図6b】図6bは、成人の容量調節された換気に関する特徴的な波形を示す。
【図6c】図6cは、成人の容量調節された換気に関する特徴的な波形を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通路及び第2通路を具え、前記第1通路が空気源と患者マスクの内部との間に連通を提供するように設計されたマスク換気の練習装置において、前記患者マスクは人間の鼻及び/又は口を覆って配置されるように設計され、前記第2通路は空気源と背圧手段との間を連通するように設計されており、前記背圧手段が人間の気道の抵抗をシミュレートすることを特徴とする、マスク換気の練習装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、呼吸をする人間と外気との間を連通するように設計された第3通路を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、前記第1通路が、前記第1通路を通って空気流れを表示する表示器手段を含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、前記表示器が、前記第1通路において横方向の位置においてバイアスされたダンパであることを特徴とする装置。
【請求項5】
前記請求項のうちの一つに記載の装置において、前記背圧手段が、充填時に前記空気源から送り出された容量を表示する人工肺であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載の装置において、前記背圧手段が制限手段であることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記請求項のうちの一つに記載の装置において、前記第1、第2及び第3通路が患者弁と前記マスクとの間に配置されるように設計された一体化アダプタ内に形成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜6のうちの一項に記載の装置において、前記第1及び第2通路が一体化アダプタ内に形成され、前記第3通路が別のユニット内に形成されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、前記第3通路がマスクの連結部から前記第1通路にある距離でマスクの壁の中を延在していることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項2〜9のうちの一項に記載の装置において、前記第3通路が前記呼吸をする人間の鼻と口の双方に連通することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、前記第2通路が前記患者マスクから前記背圧装置に延在していることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記請求項のうちの一つに記載の装置において、前記背圧手段によって提供される抵抗が5〜40cmHO/l/sであることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記請求項のうちの一つに記載の装置において、前記背圧手段によって提供される抵抗が約20cmHO/l/sであることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記請求項のうちの一項に記載の装置において、前記背圧手段が、人間の気道のコンプライアンスをシミュレートするコンプライアンスを有することを特徴とする装置。
【請求項15】
前記請求項のうちの一項に記載の装置において、背圧手段が0.01〜0.15l/cmHOのコンプライアンスを有することを特徴とする装置。
【請求項16】
前記請求項のうちの一項に記載の装置において、背圧手段が約0.02l/cmHOのコンプライアンスを有することを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate


【公表番号】特表2007−509641(P2007−509641A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532154(P2006−532154)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000293
【国際公開番号】WO2005/030334
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503206994)レールダル メディカル エー エス (10)
【氏名又は名称原語表記】Laerdal Medical AS
【Fターム(参考)】