説明

マスクブランク用基板

【課題】チャック前後の主表面の平坦度変化をより小さくして、フォトマスク起因の位置ずれを非常に少なくすることができ、さらに、フォトマスク毎のチャック前後の基板変形の傾向の相違を非常に少なくすること。
【解決手段】本発明のマスクブランク用基板は、2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に中心点を設定し、該中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸を基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、前記第一対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィプロセスにおいて使用されるフォトマスク用のマスクブランク用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスのフォトリソグラフィプロセスにおいて、フォトマスクが用いられている。半導体デバイスの微細化が進むにつれて、このフォトリソグラフィプロセスでの微細化に対する要求が高まっている。特に、微細化に対応するためにArF露光光(193nm)を使用する露光装置の高NA化が進み、さらに液浸露光技術が導入されることによってさらなる高NA化が進んできている。このような微細化の要求、および高NA化に対応するために、フォトマスクの平坦度を高くすることが求められる。すなわち、パターン線幅の微細化が進むことによって、平坦度に起因する転写パターンの位置ずれの許容される量が小さくなったこと、また、高NA化が進むに従い、リソグラフィ工程での焦点裕度が少なくなったことから、マスク基板の、特にパターンを形成する側の主表面(以下、この側の主表面を単に主表面又は基板主表面という。)の平坦度がより重要になってきている。
【0003】
一方、このフォトマスクは、露光装置のマスクステージに真空チャックによりチャックされると、マスクステージや真空チャックとの相性により、チャック時に大きく変形することがある。すなわち、従来、チャック前のフォトマスクの平坦度で製品管理を行っているので、チャック前に良品であっても、マスクステージや真空チャックとの相性によっては、露光装置のマスクステージにチャックしたときに、フォトマスクの平坦度が大きく悪化する場合がある。特に、主表面の形状の対称性が比較的低く、捩れた形状の傾向になる基板においては、その傾向が顕著であった。このため、フォトマスクを真空チャックにチャックしたときの平坦度を考慮する必要が生じてきている。従来、露光装置のマスクステージにチャックした後の平坦度が良好なマスク基板を選択するための方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法においては、複数のマスク基板の各々について、主表面の表面形状および平坦度を測定し、次いでこの基板を露光装置のマスクステージにチャックしたときの平坦度の変化についてシミュレーションを行うことで、マスクステージにチャックする前後の両方において、平坦度の良い表面形状を有するマスク基板を選択できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−50458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法によれば、複数のマスク基板(マスクブランク用基板)の各々について、主表面の表面形状を示す情報と、露光装置のマスクステージにチャックする前後の主表面の平坦度情報を取得するか、又はマスク基板の主表面の平坦度と露光装置のマスクチャックの構造とからマスク基板を露光装置にセットした時のシミュレーションによる主表面の平坦度を示す情報を取得しなければならなかった。そのため、従来、露光装置のマスクステージにチャックした後の平坦度が良好なマスク基板を選択するために、非常に手間がかかっていた。また、マスクステージにマスク基板をチャックする構造は、露光装置により異なっており、露光装置毎にマスク基板を選択することが必要となる。
【0006】
従来は、基板の研磨工程で基板主表面の平坦度をより仕上げることに注力し、その研磨された基板の中から高い平坦度に研磨にされた基板を選定し、さらに使用する露光装置に合うものをシミュレーションによって抽出する手法をとっていた。しかし、複数枚の基板を同時に研磨する両面研磨装置によって、高い平坦度を有する基板となるように研磨した際、同時に研磨した基板のうち、その目標とした平坦度に達する基板の枚数は少なく、基板生産の歩留まりが悪く問題となっていた。さらに、前記の通り、高い平坦度に研磨された基板が必ずしも使用する露光装置に適合する基板になるとは限らず、基板生産の歩留まりが大幅に低下し、問題となっていた。
【0007】
半導体製造プロセスにおいては、半導体デバイスの回路パターンを有する積層構造を形成する際、各層でフォトリソグラフィ工程を行う。回路パターンは、下層と上層との間においても配線を形成する必要があるため、各層のパターンの重ね合わせ精度は重要である。特に、近年のパターンの微細化・高密度化により、半導体デバイスの積層構造を形成する際に使用されるフォトマスクのセットには、高い重ね合わせ精度が要求されている。すなわち、フラッシュメモリhp(ハーフピッチ)36nm世代で1.3nm以下、hp25nm世代で0.9nm以下のウェハ上での重ね合わせ精度が要求されている。しかし、フォトマスクのセットにおいて、各フォトマスクでパターンを高い位置精度で形成できたとしても、各フォトマスクで両基板の露光装置に真空チャックしたときの基板変形の傾向が異なってしまうと、各基板上のパターンの位置ずれについても異なった傾向を示していまい、重ね合わせ精度が悪化してしまう。
【0008】
また、近年、パターンの微細化および高密度化が飛躍的に進んできており、1つのマスクに微細であり高密度なパターンを形成することに限界が生じ始めている。このリソグラフィ技術の問題点を解決する手段の1つとして、ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術が開発されている。ダブルパターニング/ダブル露光技術は、いずれも、1つの微細・高密度パターンを2つの比較的疎なパターン(第1のパターン、第2のパターン)となるように分割し、その2つのパターンがそれぞれ形成されたフォトマスク(第1のフォトマスク、第2のフォトマスク)を作製するところまでは同じである。
【0009】
ダブルパターニング技術の場合は、まず、半導体デバイスの最表層上に塗布された第1のレジスト膜に対して、第1のフォトマスクを用いて第1のパターンを転写する露光工程および現像工程を行い、第1のパターンを第1のレジスト膜に転写する(第1のレジストパターン形成)。次に、第1のレジスト膜パターンをエッチングマスクとして最表層をドライエッチングし、最表層に第1のパターンを転写する。次に、第1のレジストパターンを剥離し、最表層上に第2のレジスト膜を塗布する。次に、第2のフォトマスクを用いて第2のパターンを第2のレジスト膜に転写する露光工程および現像工程を行い、第2のパターンを第2のレジスト膜に転写する(第2のレジストパターン形成)。次に、第2のレジスト膜パターンをエッチングマスクとして最表層をドライエッチングし、最表層に第2のパターンを転写する。これらの工程を行うことにより、半導体デバイスの最表層に第1のパターンと第2のパターンが合成された微細・高密度パターンを転写することができる。
【0010】
一方、ダブル露光技術の場合は、半導体デバイスの最表層上に塗布されたレジスト膜に対して、第1のフォトマスクで第1のパターンを転写する露光工程を行い、さらに第2のフォトマスクで第2のパターンを転写する露光工程を行うという、同じレジスト膜に対して2回露光を行う。この工程後のレジスト膜に現像処理を行うことで、レジスト膜に第1のパターンと第2のパターンが合成された微細・高密度パターンを転写することができる。その後の半導体デバイスの最表層への微細・高密度パターンの転写は従来通りの工程で行う。
【0011】
ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術のいずれの技術においても、使用される2枚セットのフォトマスクで露光転写される第1のパターンと第2のパターンの重ね合わせ精度が、半導体デバイスのパターン転写精度に大きく影響する(重ね合わせの精度が低いと、半導体デバイスに形成される導電線幅が大きく変動したり、断線状態や短絡状態になってしまう等、半導体デバイスとして致命的な問題となる)。このフォトマスクのセットにおいて、各フォトマスク上にパターンを非常に高い位置精度で形成できたとしても、各フォトマスクで露光装置に真空チャックしたときの基板変形の傾向が異なってしまうと、各基板上のパターンの位置ずれについても異なった傾向を示していまい、重ね合わせ精度が大幅に悪化してしまう。
【0012】
一般に、フォトマスクの転写パターンが形成された薄膜上面には、型枠の片面に露光光を透過する樹脂膜が張られた構造のペリクルが貼り付けられる。これは、フォトマスクの転写パターン面にパーティクルが付着することを防止するために必要なものである。しかし、ペリクルを転写パターンが形成された薄膜に貼り付けたときにも、基板に変形力が加わる。このとき、各フォトマスクで基板変形の傾向が異なってしまうと、各基板上のパターンの位置ずれについても異なった傾向を示してしまい、重ね合わせ精度が大幅に悪化してしまう。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、チャック前後の主表面の平坦度変化をより小さくして、フォトマスク起因の位置ずれを非常に少なくすることができ、さらに、フォトマスク毎のチャック前後の基板変形の傾向の相違を非常に少なくすることができるマスクブランク用基板、マスクブランク、反射型マスクブランク、フォトマスク、反射型マスク、マスクブランク用基板セット、マスクブランクセット、フォトマスクセット、およびこれらを用いて製造される半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のマスクブランク用基板は、(1)2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に設定された中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸を基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、(2)前記第一対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とする。
【0015】
本発明のマスクブランク用基板は、前記第二対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し、その算出した高さ測定値の差分の全個数のうち、少なくとも95%に当たる個数の差分が所定値以内であることが好ましい。
【0016】
本発明のマスクブランク用基板は、(1)2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に設定された中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸のそれぞれを基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、(2)前記中心点を回転軸に全測定点を90度回転させ、回転前の全測定点と回転後の全測定点とを重ね合わせたときに、重なる位置にある測定点同士で高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とする。
【0017】
本発明のマスクブランク用基板においては、前記測定点が転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に設定されていることが好ましい。
【0018】
本発明のマスクブランク用基板においては、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面における132mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であり、かつ算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が10nm以内であることが好ましい。
【0019】
本発明のマスクブランク用基板においては、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面における142mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であり、かつ算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が20nm以内であることが好ましい。
【0020】
これらの構成によれば、対称性の高いマスクブランク用基板を実現することができる。対称性の高い主表面形状であると、露光装置へのチャック時に基板に加わる変形力のばらつきが小さく偏った変形を生じにくい。また、このマスクブランク用基板からフォトマスク作製した後に、転写パターンが形成された薄膜上面にペリクルを貼り付けた時においても、基板に加わる変形力のばらつきが小さく偏った変形を生じにくい。このため、チャック後の主表面の平坦度をより良好にすることができ、フォトマスク起因の位置ずれを非常に少なくすることができる。さらに、主表面の132mm角内の領域での平坦度を0.3μm以下と規定することにより、露光装置へのチャック前の平坦度を高い水準とすることができるので、露光装置へのチャック前後の平坦度変化量も小さくなり、よりフォトマスク起因の位置ずれを抑制することができる。また、より厳しい条件である主表面の142mm角内の領域での平坦度を0.3μm以下と規定するとより高水準のマスクブランク用基板とできるため好ましい。
【0021】
本発明のマスクブランク用基板においては、露光装置に設置される際、吸引チャックされる領域である前記主表面のチャック領域内において算出した高さ測定値の差分について、全差分点数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が2nm以内であることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、基板主表面の露光装置に吸引チャックされる領域の対称性を大幅に向上させることができるので、吸引チャック時の基板に加わる変形力がより均等になり、このマスクブランク用基板を基に、非常に高精度のフォトマスクを作製することができる。
【0023】
本発明のマスクブランク用基板においては、前記測定点が転写パターンを形成する薄膜を設ける側とは反対側の主表面に設定され、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が5nm以内であることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、特に、露光装置へのセット時に基板の裏面側をチャックされるEUV(Extreme Ultra Violet)露光用の反射型マスクに用いるマスクブランク用基板に用いると最適である。この構成の基板は、裏面において高い対称性を有し、高い平坦度を有するため、裏面側がチャックされるときの基板変形力がより均等になり、多層反射膜や吸収体パターンが形成されている表側の主表面の平坦度変化を抑制することができる。これにより、EUV露光用反射型マスクにおける位置ずれを大幅に抑制できる。
【0025】
本発明のマスクブランクは、上記の構成のマスクブランク用基板の主表面に転写パターン形成用薄膜が形成されていることが好ましい。
【0026】
本発明の反射型マスクブランクは、上記の転写パターンを形成する薄膜を設ける側とは反対側の主表面について主表面形状が規定されたマスクブランク用基板において、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に多層反射膜と転写パターン形成用薄膜が形成され、反対側の主表面に裏面膜が形成されていることが好ましい。
【0027】
本発明のフォトマスクは、上記の構成のマスクブランクの転写パターン形成用薄膜に転写パターンが形成されていることが好ましい。
【0028】
本発明の反射型マスクは、上記の構成の反射型マスクブランクの転写パターン形成用薄膜に転写パターンが形成されていることが好ましい。
【0029】
本発明のマスクブランク用基板セットは、上記の構成のマスクブランク用基板を複数枚セットとすることが好ましい。
【0030】
本発明のマスクブランクセットは、上記の記載のマスクブランクを複数枚セットとすることが好ましい。
【0031】
本発明のフォトマスクセットは、フォトマスクを2枚セットとしたものであって、1つの転写パターンからダブルパターニング/ダブル露光技術により分割された2つの転写パターンが、2枚のフォトマスクの転写パターン形成用薄膜に分かれて形成されていることが好ましい。
【0032】
これらの構成によれば、対称性の高い基板同士は、露光装置にチャックされたときに同じ基板形状変形の傾向を示す。フォトマスクの位置ずれの傾向も同じ傾向となり、しかも平坦度変化量も小さく抑制されるため、フォトマスクセットの各フォトマスク同士の位置精度を非常に高い水準とすることができる。
【0033】
本発明の半導体デバイスの製造方法は、上記の記載のフォトマスクを用い、フォトリソグラフィ法により、フォトマスクの転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写する工程を有することが好ましい。
【0034】
本発明の半導体デバイスの製造方法は、上記の記載の反射型マスクを用い、EUVリソグラフィ法により、反射型マスクの転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写する工程を有することが好ましい。
【0035】
本発明の半導体デバイスの製造方法は、上記の記載のフォトマスクセットを用い、フォトリソグラフィ法により、フォトマスクの転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明のマスクブランク用基板は、(1)2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に設定された中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸を基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、(2)前記第一対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し(同様に、第二対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士についても高さ測定値の差分を算出するとなおよい。)、あるいは、前記中心点を回転軸に全測定点を90度回転させ、回転前の全測定点と回転後の全測定点とを重ね合わせたときに、重なる位置にある測定点同士で高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とする。
【0037】
これにより、主表面形状が対称性(線対称、あるいは回転(点)対称)の高いマスクブランク用基板を提供することができる。そして、露光装置にチャックした際に一方向に偏った変形を起こすことを抑制でき、チャック前後の主表面形状の変化量(基板形状の変形量)を小さくすることができる。その結果、主表面を高い平坦度で維持することができ、フォトマスク起因の位置ずれを非常に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係るマスクブランク用基板の主表面を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るマスクブランク用基板の主表面を示す側面図である。
【図3】測定点間の差分と測定点個数との間の関係を示す図である。
【図4】測定点間の差分と測定点個数との間の関係を示す図である。
【図5】マスクステージのチャック領域における測定点を説明するための図である。
【図6】測定点間の差分と測定点個数との間の関係を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明に係る対称性を有しない基板の主表面形状を示す図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明に係る対称性を有する基板の主表面形状を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るマスクブランクスを製造する際に用いられるスパッタリング装置の概略構成を示す図である。
【図10】MRF加工法による加工状態を説明する概略図であり、(a)は正面方向断面図を示し、(b)は側面方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
本発明のマスクブランク用基板は、(1)2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に設定された中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸を基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、(2)前記第一対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とする。
【0041】
ここで、上記のように規定する対称性について説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施の形態に係るマスクブランク用基板を示す平面図である。図1に示すマスクブランク用基板1は、所定の研磨を施した方形状の基板であり、図1に示す主表面は、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面である。
【0043】
この主表面においては、左右両端面1a,1bに対して平行かつ等距離である第一対称軸Aと、上下両端面1c,1dに対して平行かつ等距離である第二対称軸Bとがそれぞれ設定されている。また、主表面の例えば132mm角内の領域(破線で囲まれた領域)で、左右対称軸Aおよび上下対称軸Bを基準に所定間隔で仮想グリッド(一点鎖線)を設定してそのグリッド交点(○印)を測定点としている。
【0044】
本発明に係るマスクブランク用基板における対称性とは、図2に示すように、例えば、主表面の132mm角内の領域(図1における破線で囲まれた領域)で、各測定点(例えば、第1測定点、第2測定点)における基準面からの主表面の高さを測定し、第一対称軸Aに直交する方向で、第一対称軸Aから左右等距離の関係にある両測定点(第1測定点、第2測定点)での高さ測定値の差分(D1)を算出し、この高さ測定値の差分の算出を各測定点で行い、この算出した高さ測定値の差分について、全個数(算出した差分の総数)のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内(例えば、10nm以内)であることをいう。
【0045】
すなわち、この対称性は、図2に示すように、第一対称軸Aを中心にして左右等距離の関係にあるそれぞれの測定点において基準面に対する当該測定点の高さを測定し、両測定結果の差分を各測定点で算出し、その差分の個数をカウントしたときに、図3に示すように、差分の全個点の数のうち少なくとも95%の個数が所定値(±10nm以内)に入ることを意味する。これにより、少なくとも主表面の第一対称軸Aを中心とした高い対称性は確保することができ、特に露光装置のチャック領域(図5参照)が第一対称軸A方向に掛かる場合においては、対称に基板変形力が加わるため、主表面の平坦度変化量を抑制でき、高い平坦度を実現できる。
【0046】
さらに第二対称軸B方向に露光装置のチャック領域に掛かる場合に対しても高い平坦度を確実に実現するには、同様に、主表面の第二対称軸Bに直交する方向に対しても、第二対称軸Bから上下等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分(D1)を算出し、この高さ測定値の差分の算出を各測定点で行い、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値(例えば、10nm)以内であるものを適用すればよい。
【0047】
なお、主表面の平坦度をより向上させる場合には、露光装置へのチャック前の主表面の平坦度を向上させるとよく、主表面の132mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であることを条件として付加することが好ましい。
【0048】
あるいは、本発明に係るマスクブランク用基板における対称性とは、図1に示す仮想グリッドおよび測定点を用いて、主表面の132mm角内の領域で、第一対称軸Aと第二対称軸Bとの交点Xで両対称軸に直交する回転軸(紙面手前側−紙面奥側の軸)を中心に全測定点を90度回転させ(図1中の矢印方向)、回転前の全測定点と重ね合わせたときに、重なる回転前の測定点(例えば、測定点X1)と回転後の(別の)測定点(例えば、測定点X2)との間で差分を算出し、図3に示すように、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値(例えば、10nm)以内であることをいう。
【0049】
すなわち、この対称性は、第一対称軸Aと第二対称軸Bに対して直交し、第一対称軸Aと第二対称軸Bとの交点Xを紙面を横切る方向を中心にして回転したときに重なるそれぞれの測定点において基準面に対する当該測定点の高さを測定し、両測定結果の差分を算出し、その差分の個数をカウントしたときに、図3に示すように、全個数のうち少なくとも95%の個数の差分が所定値(±10nm)に入ることを意味する。
【0050】
これにより、主表面全体の高い対称性は確保することができ、特に露光装置のチャック領域(図5参照)が第一対称軸A方向に掛かる場合でも第二対称軸B方向に掛かる場合でも、対称に基板変形力が加わるため、主表面の平坦度変化量を抑制でき、高い平坦度を実現できる。
【0051】
なお、本発明に係るマスクブランク用基板では、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%以上に当たる個数が所定値以内であるものであればよいことにしているが、この95%の数値は、品質管理で製品のばらつきを見るときに用いられる標準偏差における2σに相当する。この程度の精度ばらつきであれば、その後の転写パターン形成用薄膜の成膜プロセス、フォトマスク加工プロセス、露光プロセスなどの精度誤差に吸収される程度の高精度といえる。また、本発明の高精度なマスクブランク用基板を製造するために生じる製品歩留りの悪化を許容範囲内に抑えることもできる。製品歩留まりよりもより高精度な主表面形状が求められる場合においては、標準偏差における3σ(99.7%)を算出した高さ測定値の差分の全個数のうち所定値以内に入るようにするとよい。
【0052】
また、主表面の平坦度をより向上させる場合には、露光装置へのチャック前の主表面の平坦度を向上させるとよく、主表面の132mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であることを条件として付加することが好ましい。一般に、半導体デバイス製造に用いられるフォトマスクの場合、パターン形成用薄膜に転写パターンを形成する領域は、主表面の中心を基準として132mm×104mmの内側とされている。マスクブランク用基板のパターン形成用薄膜が形成される側の主表面における少なくとも132mm角内の領域は、高さ測定値の差分や平坦度について考慮する必要があるためである。
【0053】
あるいは、本発明に係るマスクブランク用基板における対称性とは、図1に示す仮想グリッドおよび測定点を用いて、図2に示すように、主表面の142mm角内の領域で、各測定点(例えば、第1測定点、第2測定点)における基準面からの主表面の高さを測定し、第一対称軸Aに直交する方向で、第一対称軸Aから左右等距離の関係にある両測定点(第1測定点、第2測定点)での高さ測定値の差分(D1)を算出し、この高さ測定値の差分の算出を各測定点で行い、図4に示すように、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が±20nm以内であることをいう。これにより、主表面のより広い142mm角内の領域で、少なくとも主表面の第一対称軸Aを中心としたより高い対称性を確保することができ、特に露光装置のチャック領域(図5参照)が第一対称軸A方向に掛かる場合においては、対称に基板変形力が加わるため、主表面の平坦度変化量をより抑制でき、高い平坦度を実現できる。
【0054】
さらに第二対称軸B方向に露光装置のチャック領域に掛かる場合に対しても高い平坦度を確実に実現するには、同様に、主表面の第二対称軸Bに直交する方向に対しても、第二対称軸Bから上下等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分(D1)を算出し、この高さ測定値の差分の算出を各測定点で行い、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値(例えば、20nm)以内であるものを適用すればよい。
【0055】
なお、主表面の平坦度をより向上させる場合には、露光装置へのチャック前の主表面の平坦度を向上させるとよく、主表面の142mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であることを条件として付加することが好ましい。
【0056】
あるいは、本発明に係るマスクブランク用基板における対称性とは、図1に示す仮想グリッドおよび測定点を用いて、主表面の142mm角内の領域で、第一対称軸Aと第二対称軸Bとの交点Xで両対称軸に直交する回転軸(紙面手前側−紙面奥側の軸)を中心に全測定点を90度回転させ(図1中の矢印方向)、回転前の全測定点と重ね合わせたときに、重なる回転前の測定点(例えば、測定点X1)と回転後の(別の)測定点(例えば、測定点X2)との間で差分を算出し、図4に示すように、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値(例えば、20nm以内)であることをいう。これにより、主表面のより広い142mm角内の領域で、かつ主表面全体で高い対称性は確保することができ、特に露光装置のチャック領域(図5参照)が第一対称軸A方向に掛かる場合でも第二対称軸B方向に掛かる場合でも、対称に基板変形力が加わるため、主表面の平坦度変化量を抑制でき、高い平坦度を実現できる。
【0057】
なお、マスクブランク用基板をベースに最終的に作製されるフォトマスクにおいて、転写パターンが形成された転写パターン形成用薄膜上面には、前記のようなペリクルが張り付けられることが多い。このペリクルは、主表面の132mm角の内側の領域に張り付けられる場合もあるが、142mm角の内側の領域に張り付けられる場合も多い。ペリクルが張り付けられる部分は基板に変形力が加わるので、142mm角の内側の領域における高さ測定値の差分や平坦度についても考慮することには意味がある。
【0058】
なお、主表面の平坦度をより向上させる場合には、露光装置へのチャック前の主表面の平坦度を向上させるとよく、主表面の142mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であることを条件として付加することが好ましい。
【0059】
また、主表面に薄膜を設け、さらにその薄膜に転写パターンを形成してなるフォトマスクが露光装置に設置される際、図5に示す吸引チャックされる領域である主表面のチャック領域内において算出した(図2における第3測定点(丸印)において測定した)高さ測定値の差分について、図6に示すように、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分D2が2nm以内であることが好ましい(図2参照)。
【0060】
これにより、露光装置のチャック力が直接掛かる領域の対称性を確保することにより、基板に掛かる変形力がほぼ対称になり、主表面の平坦度変化量を大幅に抑制でき、非常に高い平坦度を実現できる。
【0061】
半導体デバイスの微細化が加速している一方で、従来の光露光の短波長化は露光限界に近づいてきている。そこで、高解像の露光技術として、ArFエキシマレーザーよりさらに短波長のEUV光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィ(以下、「EUVL」と記す。)が有望視されている。ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2nm〜100nm程度の光をいう。このEUV光用のフォトマスク(反射型マスク)として、例えば、基板上に多層膜構造を有する反射層が設けられ、該反射層上に軟X線又は真空紫外線を吸収する吸収体がパターン状に設けられている露光用反射型マスクが挙げられる。
【0062】
EUV光用の反射型マスクにおいては、多層反射膜を有する主表面が高い圧縮応力を持つので、凸面に変形をするし、その裏面(つまりチャックにより吸着される側の主表面)は凹面となる。この反射型マスクは、露光装置に取り付ける際に、静電チャックにより固定される。この場合、マスク基板とマスクステージの接触点より、吸着を広げていくことになるため、マスク基板は、外側からマスクステージに接触し、吸着力は内側に広がっていく。この反射型マスクは、多層反射膜による高い圧縮応力により、裏面(吸着面)が凹面であるので、最初に外側の部分がマスクステージに接触する。このときに生じた中心部の隙間は完全には解消されず、吸着不良あるいは、吸着をしても、基板が完全には矯正されない(平坦にならない)という問題がある。このため、EUVマスクにおいては、裏面においても平坦度をより高くする必要があり、裏面についても、高い対称性があることが望まれる。
【0063】
本発明に係るEUVマスク用のマスクブランク用基板においては、その裏面(転写パターンを形成する薄膜を設ける側とは反対側の主表面)について、図2に示すように、主表面の142mm角内の領域(破線で囲まれた領域)で、各測定点(例えば、第1測定点、第2測定点)における基準面からの主表面の高さを測定し、第一対称軸Aに直交する方向で、第一対称軸Aから左右等距離の関係にある両測定点(第1測定点、第2測定点)での高さ測定値の差分(D1)を求めると共に、第二対称軸Bに直交する方向で、第二対称軸Bから上下等距離の関係にある両測定点(第1測定点、第2測定点)での高さ測定値の差分(D1)を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が5nm以内であることをいう。
【0064】
これにより、裏面の主表面の142mm角内の領域で高い対称性を確保することができ、裏面全体にチャック力が掛かっても、裏面の主表面の平坦度変化量を小さく抑制でき、同時に表側(転写パターンを形成する薄膜を設ける側)の主表面の平坦度変化も小さく抑制でき、高い平坦度を実現できる。
【0065】
なお、高さ測定値の差分の算出については、第一対称軸Aと第二対称軸Bとの交点Xで両対称軸に直交する回転軸を中心に全測定点を90度回転させる回転対称で行っても同様の効果が得られる。
【0066】
また、マスクブランク用基板の形状や高さの差は、TTV(板厚ばらつき)を、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で測定することにより上記のようにして求めることができる。この波長シフト干渉計は、マスクブランク用基板の被測定面および裏面からそれぞれ反射した反射光と測定機基準面(前方基準面)との干渉縞から、被測定面の高さの差を位相差として算出し、各干渉縞の周波数の違いを検出し、マスクブランク用基板の被測定面および裏面からそれぞれ反射した反射光による測定機基準面(前方基準面)との干渉縞を分離し、被測定面の凹凸形状を測定するものである。
【0067】
上述した対称性を有しない捩れた形状を持つ基板は、露光装置のマスクステージにチャックしたときに、フォトマスクの平坦度が大きく悪化する。例えば、捩れた形状を持つ基板を露光装置のマスクステージに吸着する前の形状は、図7(a)に示すようになる。このような形状を持つ基板を露光装置のマスクステージに吸着すると、図7(b)に示すようになる。図7(b)は、基板を露光装置のマスクステージに吸着した際の表面形状を予測した図である。この表面形状の予測は、露光装置のマスクチャック構造と既に取得したマスクブランク用基板の主表面の平坦度とから、シミュレーションすることにより行う(特開2004−157574号公報参照)。図7(b)から分かるように、この基板は、マスクステージに吸着した状態において、ゆがみが大きく、重ね合わせ精度の低下を招きやすい形状を有している。また、この基板における露光装置への吸着前後での形状の変化量は、図7(c)に示すようになる。
【0068】
一方、上述した対称性を有する本発明に係る基板は、露光装置のマスクステージにチャックしたときに、フォトマスクがほぼ平坦となる。例えば、上述した対称性を有する基板を露光装置のマスクステージに吸着する前の形状は、図8(a)に示すようになる。このような形状を持つ基板を露光装置のマスクステージに吸着すると、図8(b)に示すようになる。図8(b)は、基板を露光装置のマスクステージに吸着した際の表面形状を予測した図である。この表面形状の予測は、上記と同様にして行う(特開2004−157574号公報参照)。図8(b)から分かるように、この基板は、マスクステージに吸着した状態において、ほぼ平坦であり、重ね合わせ精度の低下を招かない形状を有している。また、この基板における露光装置への吸着前後での形状の変化量は、図8(c)に示すようになる。
【0069】
露光装置のマスクステージに吸着する前の形状は、本発明に係る対称性を有しない基板であっても本発明に係る対称性を有する基板であっても、同じく平坦度が0.3μmであるが、露光装置のマスクステージに吸着する後の形状が全く異なる。すなわち、露光装置のマスクステージに吸着する後の形状をフラットにするためには、マスクブランク用基板が本発明に係る対称性を有することが必要であることが分かる。
【0070】
半導体製造プロセスにおいては、半導体デバイスの回路パターンを有する積層構造を形成する際、各層でフォトリソグラフィ工程を行う。回路パターンは、下層と上層との間においても配線を形成する必要があるため、各層のパターンの重ね合わせ精度は重要である。特に、近年のパターンの微細化・高密度化により、半導体デバイスの積層構造を形成する際に使用されるフォトマスクのセットには、高い重ね合わせ精度が要求されている。
【0071】
このようなフォトマスクのセットにおいて、各フォトマスクでパターンを高い位置精度で形成できたとしても、各フォトマスクにおける両基板の主表面形状が異なっていると、露光装置に真空チャックしたときの基板変形の傾向が異なってしまう。さらに、それに起因し、基板上のパターンの位置ずれについても異なった傾向を示すため、2枚のフォトマスクの重ね合わせ精度が悪化してしまう。このため、半導体デバイスの回路パターンを有する積層構造をウェハ上に形成する際に使用されるフォトマスクセットで用いる基板セットについては、パターンを形成する側の主表面形状が近似した形状を持つことが望ましい。
【0072】
一方、近年、パターンの微細化および高密度化が飛躍的に進んできており、1つのマスクに微細であり高密度なパターンを形成することに限界が生じ始めている。このリソグラフィ技術の問題点を解決する手段の1つとして、ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術が開発されている。ダブルパターニング/ダブル露光技術は、いずれも、1つの微細・高密度パターンを2つの比較的疎なパターン(第1のパターン、第2のパターン)となるように分割し、その2つのパターンがそれぞれ形成されたフォトマスク(第1のフォトマスク、第2のフォトマスク)を作製するところまでは同じである。
【0073】
ダブルパターニング技術の場合は、まず、半導体デバイスのウェハの最表層(導電層、絶縁層、半導体層、ハードマスク等)上に塗布された第1のレジスト膜に対して、第1のフォトマスクを用いて第1のパターンを転写する露光工程および現像工程を行い、第1のパターンを第1のレジスト膜に転写する(第1のレジストパターン形成)。次に、第1のレジスト膜パターンをエッチングマスクとして最表層をドライエッチングし、最表層に第1のパターンを転写する。次に、第1のレジストパターンを剥離し、最表層上に第2のレジスト膜を塗布する。次に、第2のフォトマスクを用いて第2のパターンを第2のレジスト膜に転写する露光工程および現像工程を行い、第2のパターンを第2のレジスト膜に転写する(第2のレジストパターン形成)。次に、第2のレジスト膜パターンをエッチングマスクとして最表層をドライエッチングし、最表層に第2のパターンを転写する。これらの工程を行うことにより、半導体デバイスの最表層に第1のパターンと第2のパターンが合成された微細・高密度パターンを転写することができる。
【0074】
一方、ダブル露光技術の場合は、半導体デバイスのウェハの最表層(導電層、絶縁層、半導体層、ハードマスク等)上に塗布されたレジスト膜に対して、第1のフォトマスクで第1のパターンを転写する露光工程を行い、さらに第2のフォトマスクで第2のパターンを転写する露光工程を行うという、同じレジスト膜に対して2回露光を行う。この工程後のレジスト膜に現像処理を行うことで、レジスト膜に第1のパターンと第2のパターンが合成された微細・高密度パターンを転写することができる。その後の半導体デバイスの最表層への微細・高密度パターンの転写は従来通りの工程で行う。
【0075】
ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術のいずれの技術においても、使用される2枚セットのフォトマスクで露光転写される第1のパターンと第2のパターンの重ね合わせ精度が、半導体デバイスのパターン転写精度に大きく影響する(重ね合わせの精度が低いと、半導体デバイスに形成される導電線幅が大きく変動したり、断線状態や短絡状態になってしまう等、半導体デバイスとして致命的な問題となる。)。フォトマスク上にパターンを非常に高い位置精度で形成できたとしても、セットの2枚のフォトマスクにおける各基板の主表面形状が異なっていると、露光装置に真空チャックしたときの基板変形の傾向が異なってしまう。さらに、それに起因し、基板上のパターンの位置ずれについても異なった傾向を示すため、2枚のフォトマスクの重ね合わせ精度が大幅に悪化してしまう。このため、ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術において使用される2枚セットのフォトマスクで用いる基板セットについては、パターンを形成する側の主表面形状が近似した形状を持つことが望ましい。したがって、ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術において使用される2枚セットのフォトマスクで用いる基板セットについては、それぞれ上述した本発明に係る対称性を持つ主表面を有する基板を用いることが好ましい。
【0076】
本発明において、マスクブランク用基板としては、ガラス基板を用いることができる。ガラス基板としては、マスクブランクとして用いられるものであれば、特に限定されない。例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。また、EUV反射型マスクブランクス用ガラス基板の場合は、露光時の熱による被転写パターンの歪みを抑えるために、約0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは約0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するガラス材料が使用される。さらに、EUV反射型マスクブランクは、ガラス基板上に多数の膜が形成されるため、膜応力による変形を抑制できる剛性の高いガラス材料が使用される。特に、65GPa以上の高いヤング率を有するガラス材料が好ましい。例えば、SiO−TiO系ガラス、合成石英ガラスなどのアモルファスガラスや、β−石英固溶体を析出した結晶化ガラスが用いられる。
【0077】
このようなマスクブランクス用基板は、例えば、粗研磨工程、精密研磨工程および超精密研磨工程を経て製造することができる。このとき、製造する基板は、上述した対称性を主表面が有することを最低限目指して研磨加工される。対称性に優れた形状の基板を作成する具体的な手法としては、磁性流体研磨(MRF(Magneto Rheological Finishing))などが挙げられる。
【0078】
図10は、MRF加工法による加工状態を説明する概略図であり、(a)は正面方向断面図を、(b)は側面方向断面図を示している。同図において、MRF加工法によれば、鉄(図示せず)を含む磁性流体41中に含有させた研磨砥粒(図示せず)を、磁場援用により、被加工物であるマスクブランクス用基板1に高速で接触させるとともに、接触部分の滞留時間を制御することにより、局所的に研磨加工している。すなわち、回転自在に支持された円盤状の電磁石6に、磁性流体41と研磨スラリー42の混合液(磁性研磨スラリー4)を投入して、その先端を局所加工の研磨スポット5とし、除去すべき凸部分13を研磨スポット5に接触させている。このようにすると、円盤上の磁場に沿って磁性研磨スラリー4が、基板1側に研磨スラリー42が多く分布し、電磁石6側に磁性流体41が多く分布する、ほぼ二層状態をなして流れる。この状態の一部分を局所的に研磨加工する研磨スポット5とし、基板1の表面と接触させることにより、凸部分13を局所的に研磨し数十nmの平坦度に制御する。
【0079】
このMRF加工法は、従来の研磨方法と異なり、常に研磨スポット5が流動しているため、加工工具の磨耗や形状変化による加工精度の劣化がなく、さらに、基板1を高荷重で押圧する必要がないので、表面変位層における潜傷やキズが少ないといったメリットがある。また、MRF加工法は、研磨スポット5を接触させながら基板1を移動させる際、所定領域ごとに設定された加工取り代(必要加工量)に応じて基板1の移動速度を制御することにより、容易に除去量を調節することができる。
【0080】
磁性流体41に混合する研磨スラリー42は、微細な研磨粒子を液体に分散させたものが用いられる。研磨粒子は、例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、コロイダルシリカなどであり、被加工物の材質や加工表面粗さなどに応じて適宜選択される。これらの研磨粒子は、水、酸性溶液、アルカリ性溶液などの液体中に分散されて研磨スラリー42となり、磁性流体41に混合される。
【0081】
このようなマスクブランク用基板の主表面上に少なくとも転写パターン形成用薄膜として遮光膜を形成することによりマスクブランクとすることができる。この遮光膜を構成する材料としては、クロム、タンタル、モリブデンシリサイドに代表される遷移金属シリサイドを挙げることができる。クロム系遮光膜の場合には、クロムに、窒素、酸素、炭素、フッ素およびホウ素から選ばれる1以上の元素を添加してもよい。タンタル系遮光膜の場合には、タンタルに、窒素、酸素、炭素、フッ素およびホウ素から選ばれる1以上の元素を添加してもよい。遷移金属シリサイド中の遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ハフニウム、ニオブ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウムの何れか一つまたは合金があげられる。また、フォトマスクの用途や構成により、その他の膜、反射防止膜や半透過膜などを適宜形成しても良い。反射防止膜の材料としては、クロム系材料であれば、CrO、CrON、CrOCNなど、タンタル系材料であれば、TaN、TaO、TaNO、TaBN、TaBO、TaBNOなど、MoSi系材料であれば、MoSiON、MoSiO、MoSiN、MoSiOC、MoSiOCNなど(他の遷移金属シリサイドの場合は、前記のMoSi化合物のMoを当該遷移金属に代えればよい。)を用いることが好ましい。また、転写パターン形成用薄膜として位相シフト膜の材料としては、MSiON、MSiO、MSiN、MSiOC、MSiOCN(M:Mo,W,Ta,Zr,Ni,Ru,Rh,Pd,Hf等)などを用いることが好ましい。
【0082】
遮光膜や位相シフト膜はスパッタリング法により成膜することができる。スパッタリング装置としては、DCマグネトロンスパッタ装置やRFマグネトロンスパッタ装置などを用いることができる。マスクブランク用基板への遮光性膜のスパッタリングの際に、基板を回転させ、かつ、スパッタターゲットを基板の回転軸から所定角度傾斜させた位置にターゲットを配置して成膜することが好ましい。このような成膜法により、遮光膜の面内のばらつきを小さくし、均一に形成することができる。
【0083】
基板を回転させ、かつ、スパッタターゲットを基板の回転軸から所定角度傾斜させた位置にターゲットを配置して成膜する場合においては、位相角および透過率の面内の分布は、基板とターゲットの位置関係によっても変化する。ターゲットと基板の位置関係について、図9を用いて説明する。オフセット距離(基板の中心軸と、ターゲットの中心を通りかつ前記基板の中心軸と平行な直線との間の距離)は、位相角および透過率の分布を確保すべき面積によって調整される。一般には分布を確保すべき面積が大きい場合に、必要なオフセット距離は大きくなる。本実施例の形態においては、142mm角内の基板内で位相角分布±2°以内および透過率分布±0.2%以内を実現するために、オフセット距離は200mmから350mm程度が必要であり、好ましいオフセット距離は240mmから280mmである。ターゲット−基板間垂直距離(T/S)は、オフセット距離により最適範囲が変化するが、142mm角内の基板内で位相角分布±2°以内および透過率分布±0.2%以内を実現するために、ターゲット−基板間垂直距離(T/S)は、200mmから380mm程度が必要であり、好ましいT/Sは210mmから300mmである。ターゲット傾斜角は成膜速度に影響し、大きな成膜速度を得るために、ターゲット傾斜角は、0°から45°が適当であり、好ましいターゲット傾斜角は10°から30°である。
【0084】
上述した少なくとも遮光膜に対してフォトリソグラフィおよびエッチングによりパターニングを行って転写パターンを設けることによりフォトマスクを製造することができる。なお、エッチングのエッチャントについては、被エッチング膜の材料に応じて適宜変更する。
【0085】
EUV光用の反射型マスクブランクの構成としては、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、多層反射膜、保護膜(ない場合あり)、バッファ膜(ない場合あり)、吸収体膜(転写パターン形成用薄膜)が積層形成され、反対側の主表面に、EUV露光装置や成膜装置のチャックステージにチャックされる裏面膜が形成されたものが一般的である。裏面膜は、EUV露光装置や成膜装置のチャックステージは静電チャックの場合が多いことから、裏面膜は導電性を有した導電裏面膜であることが望ましい。この場合、裏面膜としては、Cr系材料では、Cr金属や、CrにO,N,C,BおよびFから選ばれる1以上の元素を含有したCr化合物等が好ましい。また、Ta系材料では、Ta金属や、TaB、TaN、TaO、TaBN、TaBO、TaNO、TaBNO等が望ましい。また、裏面膜は単層であっても、前記材料の多層膜であってもよい。
【0086】
多層反射膜は、EUV光を高い反射率(少なくとも60%以上)で反射させる必要があり、低屈折率材料(Si等)からなる低屈折率層と高屈折率材料(Mo等)からなる高屈折率層の組み合わせを交互に30〜60周期積層した構造を有する。例えば、波長13〜14nmのEUV光に適用可能な多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期多層膜が好ましく用いられる。この他にも、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。
【0087】
保護膜は、吸収体膜に転写パターンを形成するドライエッチング時に多層反射膜の最表面がダメージを受けないように保護する役割や、最表面が表面酸化することを抑制する役割を有している。保護膜に適した材料としては、Ru系材料では、Ru金属やRu化合物、RuNb、RuZr等があり、Si系材料では、SiO、SiON等がある。
【0088】
バッファ膜は、吸収体膜に転写パターンを形成するドライエッチング時に多層反射膜の最表面がダメージを受けないように保護する役割や、転写パターンが形成された吸収体膜に欠陥があった場合にFIB(Focused Ion Beam)で修正する場合に、多層反射膜の最表面がダメージを受けないように保護する役割を有する。バッファ膜に適した材料としては、Cr系材料があげられ、Cr金属やCr化合物(CrN、CrO、CrC、CrON、CrOC、CrOCN)などがある。
【0089】
吸収体膜は、転写パターンを形成するための薄膜であり、EUV光に対する高い吸収率を有するものが用いられる。吸収体膜には、タンタル系材料が最も用いられており、Ta金属やTa化合物(TaB、TaN、TaO、TaNO、TaBN、TaBO、TaBNO等)が好適である。またタンタルシリサイド系材料(TaSi、TaSiN、TaSiO、TaSiON等)も適用可能である。また、エッチングプロセスにより転写パターンが形成された後の吸収体膜のパターン欠陥検査において、検査光にDUV光(150〜400nm)が適用される場合が多いことから、吸収体膜を2層構造とし、下層にEUV光に対する吸収率の高い材料からなる吸収層とし、上層にDUV光に対する反射率が低反射な材料からなる低反射層とする場合もある。この場合、下層には、前記の吸収体膜に適用可能な材料を用いる。上層には、前記の材料のうち、DUV光に対して比較的低反射率な材料(酸化度や窒化度が高い材料)を用いることや、SiON等のSi系酸化物・窒化物・酸窒化物材料やCrON等のCr系酸化物・窒化物・酸窒化物材料などが用いられる。
【実施例1】
【0090】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例1について説明する。
【0091】
合成石英ガラス基板に対してラッピング加工およびチャンファリング加工を施したガラス基板に対して、以下の研磨条件で粗研磨工程を行った。粗研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するためにガラス基板を超音波洗浄した。なお、加工圧力、上下定盤の各回転数、研磨時間等の研磨条件は、適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径2μm〜3μm)+水
研磨パッド:硬質ポリシャ(ウレタンパッド)
【0092】
次いで、粗研磨後のガラス基板に対して、以下の研磨条件で精密研磨工程を行った。精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するためにガラス基板を超音波洗浄した。この精密研磨工程後のガラス基板の転写パターンを形成する側の主表面形状は、4隅が凸になるように諸条件を調整して研磨を行う。これは、次の超精密研磨工程では、基板主表面の4隅が優先的に研磨されてしまう特性があるためであり、これにより、4隅の縁ダレを抑制することができ、基板主表面の142mm角内における平坦度を0.3μm以下とすることができる。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径1μm)+水
研磨パッド:軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
【0093】
次いで、精密研磨後のガラス基板に対して、以下の研磨条件で超精密研磨工程を行った。超精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するためにガラス基板を超音波洗浄した。なお、加工圧力、上下定盤の各回転数、研磨時間などの研磨条件は、適宜調整して行った。この超精密研磨工程では、基板形状が方形であることに起因して4隅が優先的に研磨されやすい特性を有している。基板主表面の表面粗さを所定の粗さ0.4nm以下となるようにしつつ、基板主表面の142mm角内における平坦度が0.3μmよりも大きくならないように、研磨条件を設定している。このようにして本発明に係るガラス基板(152.4mm×152.4mm×6.35mm)を作製した。
研磨液:コロイダルシリカ(平均粒径100nm)+水
研磨パッド:超軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
【0094】
このようにして得られたガラス基板の主表面の平坦度および対称性について、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で調べた。主表面の平坦度と対称性を調べるため、最初に、(1)所定の研磨を施した方形状の基板における転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、左右両端面に対して平行かつ等距離である第一対称軸と、上下両端面に対して平行かつ等距離である第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記主表面の132mm角内の領域で、前記第一対称軸および前記第二対称軸を基準に所定間隔で仮想グリッドを設定してそのグリッド交点を測定点とし、各測定点における基準面からの前記主表面の高さを測定した。次に、(2)測定値から基板の132mm角内領域での平坦度を算出し、0.3μmよりも大きいものは不合格品とした。さらに、(3)前記第一対称軸に直交する方向で、前記第一対称軸から左右等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分を求めると共に、前記第二対称軸に直交する方向で、前記第二対称軸から上下等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が10nm以内であることを満足するかどうかで判定した。
【0095】
判定の結果、本発明に係る対称性を備えた基板は使用可能な合格品とし、局所加工が必要とされ、その領域が特定されたガラス基板に対しては、MRF加工法による局所加工を行う。すなわち、磁性流体中に含有させた研磨砥粒を、磁場援用により、基板と接触させ、接触部分の滞留時間を制御することにより、局所的に研磨加工を行う。この研磨加工では、凸部位の凸度が大きいほど、研磨砥粒による接触部分の滞留時間を長くする。また、凸部位の凸度が小さいほど、研磨砥粒による接触部分の滞留時間を短くして制御する。
【0096】
次いで、このようにして得られたガラス基板上に、それぞれ裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる遮光膜(転写パターンを形成する薄膜)をその順で形成した。具体的には、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar,CO,N,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:CO:N:He=24:29:12:35)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.7kWで、裏面反射防止層としてCrOCN膜を39nmの膜厚に成膜した。次に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar,NO,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:NO:He=27:18:55)とし、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を1.7kWで、遮光層としてCrON膜を17nmの膜厚に成膜した。次に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar,CO,N,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:CO:N:He=21:37:11:31)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.8kWで、表面反射防止層としてCrOCN膜を14nmの膜厚に成膜した。このようにしてマスクブランクを製造した。
【0097】
このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、それぞれにDP技術を用い、DRAM hp32nm世代に該当する1つの微細・高密度な転写パターンを2つの比較的疎なパターンに分けられた2つの転写パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0098】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、それぞれにDE技術を用い、DRAM hp32nm世代に該当する1つの微細・高密度な転写パターンを2つの比較的疎なパターンに分けられた2つの転写パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0099】
さらに、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例2】
【0100】
実施例1と同様に、精密研磨および超精密研磨工程を行って複数のガラス基板を得た。このようにして得られたガラス基板の主表面の平坦度および対称性について、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で調べた。主表面の平坦度と対称性を調べるため、最初に、(1)所定の研磨を施した方形状の基板における転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、左右両端面に対して平行かつ等距離である第一対称軸と、上下両端面に対して平行かつ等距離である第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記主表面の132mm角内の領域で、前記第一対称軸および前記第二対称軸を基準に所定間隔で仮想グリッドを設定してそのグリッド交点を測定点とし、各測定点における基準面からの前記主表面の高さを測定した。次に、(2)測定値から基板の132mm角内領域での平坦度を算出し、0.3μmよりも大きいものは不合格品とした。さらに、(3)第一対称軸と第二対称軸との交点で両対称軸に直交する回転軸を中心に全測定点を90度回転させ、回転前の全測定点と重ね合わせたときに、重なる回転前の測定点と回転後の(別の)測定点との間で差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が10nm以内であることを満足するかどうかで判定した。
【0101】
次いで実施例1と同様に、上記基板セットの各ガラス基板上に、それぞれ裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる遮光膜(転写パターンを形成する薄膜)をその順で形成し、マスクブランクを製造した。
【0102】
このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp32nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0103】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp32nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0104】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例3】
【0105】
実施例1と同様に、精密研磨および超精密研磨工程を行って複数のガラス基板を得た。このようにして得られたガラス基板の主表面の平坦度および対称性について、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で調べた。主表面の平坦度と対称性を調べるため、最初に、(1)所定の研磨を施した方形状の基板における転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、左右両端面に対して平行かつ等距離である第一対称軸と、上下両端面に対して平行かつ等距離である第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記主表面の142mm角内の領域で、前記第一対称軸および前記第二対称軸を基準に所定間隔で仮想グリッドを設定してそのグリッド交点を測定点とし、各測定点における基準面からの前記主表面の高さを測定した。次に、(2)測定値から基板の142mm角内領域での平坦度を算出し、0.3μmよりも大きいものは不合格品とした。さらに、(3)前記第一対称軸に直交する方向で、前記第一対称軸から左右等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分を求めると共に、前記第二対称軸に直交する方向で、前記第二対称軸から上下等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が20nm以内であることを満足するかどうかで判定した。
【0106】
次いで実施例1と同様に、上記基板セットの各ガラス基板上に、それぞれ裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる遮光膜(転写パターンを形成する薄膜)をその順で形成し、マスクブランクを製造した。
【0107】
このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0108】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0109】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例4】
【0110】
実施例1と同様に、精密研磨および超精密研磨工程を行って複数のガラス基板を得た。このようにして得られたガラス基板の主表面の平坦度および対称性について、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で調べた。主表面の平坦度と対称性を調べるため、最初に、(1)所定の研磨を施した方形状の基板における転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、左右両端面に対して平行かつ等距離である第一対称軸と、上下両端面に対して平行かつ等距離である第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記主表面の142mm角内の領域で、前記第一対称軸および前記第二対称軸を基準に所定間隔で仮想グリッドを設定してそのグリッド交点を測定点とし、各測定点における基準面からの前記主表面の高さを測定した。次に、(2)測定値から基板の142mm角内領域での平坦度を算出し、0.3μmよりも大きいものは不合格品とした。さらに、(3)第一対称軸と第二対称軸との交点で両対称軸に直交する回転軸を中心に全測定点を90度回転させ、回転前の全測定点と重ね合わせたときに、重なる回転前の測定点と回転後の(別の)測定点との間で差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が20nm以内であることを満足するかどうかで判定した。
【0111】
次いで実施例1と同様に、上記基板セットの各ガラス基板上に、それぞれ裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる遮光膜(転写パターンを形成する薄膜)をその順で形成し、マスクブランクを製造した。
【0112】
このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0113】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0114】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例5】
【0115】
実施例1と同様に、精密研磨および超精密研磨工程を行って複数のガラス基板を得た。このようにして得られたガラス基板の主表面の平坦度および対称性について、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で調べた。主表面の平坦度と対称性を調べるため、最初に、(1)所定の研磨を施した方形状の基板における転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、左右両端面に対して平行かつ等距離である第一対称軸と、上下両端面に対して平行かつ等距離である第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記主表面の142mm角内の領域、および露光装置にチャックされる部分であるチャック領域で、前記第一対称軸および前記第二対称軸を基準に所定間隔で仮想グリッドを設定してそのグリッド交点を測定点とし、各測定点における基準面からの前記主表面の高さを測定した。次に、(2)測定値から基板の142mm角内領域での平坦度を算出し、0.3μmよりも大きいものは不合格品とした。さらに、(3)前記第一対称軸に直交する方向で、前記第一対称軸から左右等距離の関係にある142mm角内領域内の両測定点での高さ測定値の差分を求めると共に、前記第二対称軸に直交する方向で、前記第二対称軸から上下等距離の関係にある142mm角内領域内の両測定点での高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が20nmより大きいものは不合格品とした。最後に(4)前記第一対称軸に直交する方向で、前記第一対称軸から左右等距離の関係にあるチャック領域内の両測定点での高さ測定値の差分を求めると共に、前記第二対称軸に直交する方向で、前記第二対称軸から上下等距離の関係にある、チャック領域内の両測定点での高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が2nm以内であることを満足するかどうかで判定した。
【0116】
次いで実施例1と同様に、上記基板セットの各ガラス基板上に、それぞれ裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる遮光膜(転写パターンを形成する薄膜)をその順で形成し、マスクブランクを製造した。
【0117】
このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0118】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0119】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例6】
【0120】
実施例1において作製されたマスクブランク用基板について、ガラス基板上に、遮光膜(転写パターンを形成する薄膜)として、MoSiON膜(裏面反射防止層)、MoSi(遮光層)、MoSiON膜(反射防止層)を形成した。具体的には、Mo:Si=21:79(原子%比)のターゲットを用い、ArとOとNとHeをスパッタリングガス圧0.2Pa(ガス流量比Ar:O:N:He=5:4:49:42)とし、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(MoSiON膜)を7nmの膜厚で形成し、次いで、同じターゲットを用い、Arをスパッタリングガス圧0.1Paとし、DC電源の電力を2.0kWで、モリブデンおよびシリコンからなる膜(MoSi膜:膜中のMoとSiの原子%比は約21:79)を30nmの膜厚で形成し、次いで、Mo:Si=4:96(原子%比)のターゲットを用い、ArとOとNとHeをスパッタリングガス圧0.1Pa(ガス流量比Ar:O:N:He=6:5:11:16)とし、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(MoSiON膜)を15nmの膜厚で形成し、マスクブランクを製造した。遮光膜の合計膜厚は52nmとした。この条件で成膜された裏面反射防止層、遮光層および表面反射防止層は、遮光膜全体で低応力であり、基板の形状変化を最小限に抑制できた。
【0121】
このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp32nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0122】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例1と同様にDRAM hp32nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0123】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例7】
【0124】
実施例2において作製されたマスクブランク用基板について、ガラス基板上に実施例6と同一構造の裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる遮光膜を形成した。次いで、このようにして、得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例2と同様にDRAM hp32nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0125】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例2と同様にDRAM hp32nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0126】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例8】
【0127】
実施例3において作製されたマスクブランク用基板について、ガラス基板上に実施例6と同一構造の裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる遮光膜を形成した。次いで、このようにして、得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例3と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0128】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例3と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0129】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例9】
【0130】
実施例4において作製されたマスクブランク用基板について、ガラス基板上に実施例6と同一構造の裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる遮光膜を形成した。次いで、このようにして、得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例4と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0131】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例4と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0132】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例10】
【0133】
実施例5において作製されたマスクブランク用基板について、ガラス基板上に実施例6と同一構造の裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる遮光膜を形成した。次いで、このようにして、得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例5と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0134】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、実施例5と同様にDRAM hp22nm世代に該当するDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp22nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0135】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例11】
【0136】
実施例1において作製されたマスクブランク用基板について、ガラス基板上に、位相シフト膜と、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる遮光膜を形成した。具体的には、スパッタターゲットとしてMoとSiの混合ターゲット(原子%比Mo:Si=10:90)を用い、Ar,N,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:N:He=5:49:46)とし、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を2.8kWで、位相シフト膜としてMoSiN膜を69nmの膜厚に成膜した。次に、位相シフト膜が成膜された基板を250℃で5分間加熱処理(アニール処理)した。
【0137】
次に、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる遮光膜を形成した。具体的には、最初に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar,CO,N,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:CO:N:He=22:39:6:33)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.7kWで、裏面反射防止層としてCrOCN膜を30nmの膜厚に成膜した。次に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar,Nの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:N=83:17)とし、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を1.7kWで、遮光層としてCrN膜を4nmの膜厚に成膜した。次に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar,CO,N,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:CO:N:He=21:37:11:31)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.8kWで、表面反射防止層としてCrOCN膜を14nmの膜厚に成膜した。この条件で成膜された裏面反射防止層、遮光層および表面反射防止層は、遮光膜全体で低応力であり、また、位相シフト膜も低応力であり、基板の形状変化を最小限に抑制できた。
【0138】
次いで、このようにして得られた2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、それぞれにDP技術を用い、DRAM hp32nm世代に該当する1つの微細・高密度な転写パターンを2つの比較的疎なパターンに分けられた2つの転写パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの位相シフト膜に形成し、転写パターンの外周に遮光帯のパターンを遮光膜に形成してDP用フォトマスクセットを作製した。各DP用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDP用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDP用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線がなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0139】
また、同様に製造された2枚のマスクブランクをマスクブランクセットとして用い、それぞれにDE技術を用い、DRAM hp32nm世代に該当する1つの微細・高密度な転写パターンを2つの比較的疎なパターンに分けられた2つの転写パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの位相シフト膜に形成し、転写パターンの外周に遮光帯のパターンを遮光膜に形成してDE用フォトマスクセットを作製した。各DE用フォトマスクについて、マスク検査機で検査したところ、DRAM hp32nm世代のDE用フォトマスクに求められる条件を満たしていた。さらに、このDE用フォトマスクセットを用いて、露光装置で転写対象物(ウェハ上のレジスト膜等)に対してパターン転写を行ったところ、重ね合わせ精度不足に起因する転写対象物の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【0140】
さらに、同様に製造された2枚のマスクブランクのそれぞれに、DRAM hp45nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの位相シフト膜に形成し、転写パターンの外周に遮光帯のパターンを遮光膜に形成してフォトマスクセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。
【実施例12】
【0141】
実施例1と同様に、精密研磨および超精密研磨工程を行って複数のガラス基板(ただし、SiO−TiOガラス基板)を得た。このようにして得られたガラス基板の主表面の平坦度および対称性について、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で調べた。主表面の平坦度と対称性を調べるため、最初に、(1)所定の研磨を施した方形状の基板における転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、左右両端面に対して平行かつ等距離である第一対称軸と、上下両端面に対して平行かつ等距離である第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記主表面の高さ測定可能な領域全体に、前記第一対称軸および前記第二対称軸を基準に所定間隔で仮想グリッドを設定してそのグリッド交点を測定点とし、各測定点における基準面からの前記主表面の高さを測定した。次に、(2)前記第一対称軸に直交する方向で、前記第一対称軸から左右等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分を求めると共に、前記第二対称軸に直交する方向で、前記第二対称軸から上下等距離の関係にある両測定点での高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、その算出した全数のうち少なくとも95%にあたる数の差分が5nm以内であることを満足するかどうかで判定した。
【0142】
次に、合格品のガラス基板の転写パターンを形成する薄膜を設ける側と反対側の主表面について、実施例1と同様の手順で合格品を選定した。このようにして得られたガラス基板の転写パターンを形成する薄膜を設ける側と反対側の主表面に、CrNからなる導電性の裏面膜を形成した。次いで、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に、波長13〜14nmの露光光波長帯域のEUV露光光に適した多層反射膜であるMo膜/Si膜周期多層反射膜を形成した。即ち、MoターゲットとSiターゲットを使用し、イオンビームスパッタリングにより基板上に交互に積層して形成した。Si膜を4.2nm、Mo膜を2.8nm、これを一周期として、40周期積層した後、Si膜を4.2nm成膜した。次に、保護膜として、RuNbターゲットを用いてRuNb膜を2.5nmに成膜し、多層反射膜付き基板を製造した。
【0143】
次に、上述のように得られた多層反射膜付き基板の保護膜上に、バッファ膜を形成した。バッファ膜は、窒化クロム膜を20nmの厚さに形成した。Crターゲットを用いて、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)と窒素(N)の混合ガスを用いてDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜した。成膜されたCrNx膜において、窒素(N)は10at%(x=0.1)とした。そして、このバッファ膜上に、吸収体膜として、TaとBとNを含む材料を80nmの厚さで形成した。即ち、TaBを含むターゲットを用いて、アルゴン(Ar)に窒素(N)を10%添加して、DCマグネトロンスパッタリング法によって成膜し、反射型マスクブランクを得た。
【0144】
このようにして得られた2枚の反射型マスクブランクのそれぞれに、DRAM hp32nm世代に該当する半導体デバイスの積層構造の各回路パターンを、それぞれ所定の工程によって各マスクブランクの吸収体膜に形成して反射型マスクのセットを作製した。このフォトマスクセットを用いて、半導体デバイスの各回路パターン形成時において、露光装置でウェハ上のレジスト膜に各フォトマスクを使用して、積層構造を転写したところ、各積層構造の重ね合わせ精度不足に起因する上下層間の配線短絡や断線はなく、高い重ね合わせ精度を有していることが検証できた。すなわち、反射型マスクの裏面側を露光装置のステージに静電チャックしたときの基板変形が微小であり、かつその変形は基板間でほぼ同じ傾向であったことにより、吸収体膜のパターンの位置ずれも微小かつその傾向もほぼ同じとなり、高い重ね合わせ精度が実現できたものである。
【0145】
このように、本発明によれば、対称性の高いマスクブランク用基板を実現することができる。このため、チャック後の主表面の平坦度をより良好にして、フォトマスク起因の位置ずれを非常に少なくすることができる。
【0146】
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における測定点の数、仮想グリッド間隔、材料、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 マスクブランク用基板
4 磁性研磨スラリー
5 研磨スポット
6 電磁石
13 凸部分
41 磁性流体
42 研磨スラリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に設定された中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸を基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、前記第一対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とするマスクブランク用基板。
【請求項2】
前記第二対称軸を基準に線対称の位置にある測定点同士について高さ測定値の差分を算出し、その算出した高さ測定値の差分の個数のうち、少なくとも95%に当たる個数の差分が所定値以内であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク用基板。
【請求項3】
2つの主表面と4つの端面を有する基板の主表面に設定された中心点を通りいずれかの端面に平行な第一対称軸と、前記中心点を通り第一対称軸に直交する第二対称軸とをそれぞれ設定し、前記第一対称軸および第二対称軸を基準にグリッド状に測定点を設定して基準面からの前記主表面の高さをそれぞれ測定し、前記中心点を回転軸に全測定点を90度回転させ、回転前の全測定点と回転後の全測定点とを重ね合わせたときに、重なる位置にある測定点同士で高さ測定値の差分を算出し、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が所定値以内であることを特徴とするマスクブランク用基板。
【請求項4】
前記測定点は、転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
【請求項5】
転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面における132mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であり、かつ算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が10nm以内であることを特徴とする請求項4記載のマスクブランク用基板。
【請求項6】
転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面における142mm角内の領域での平坦度が0.3μm以下であり、かつ算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が20nm以内であることを特徴とする請求項4記載のマスクブランク用基板。
【請求項7】
露光装置に設置される際、吸引チャックされる領域である前記主表面のチャック領域内において算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が2nm以内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
【請求項8】
前記測定点は、転写パターンを形成する薄膜を設ける側とは反対側の主表面に設定され、算出した高さ測定値の差分について、全個数のうち少なくとも95%にあたる個数の差分が5nm以内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のマスクブランク用基板の主表面に転写パターン形成用薄膜が形成されていることを特徴とするマスクブランク。
【請求項10】
請求項8記載のマスクブランク用基板の転写パターンを形成する薄膜を設ける側の主表面に多層反射膜および転写パターン形成用薄膜が形成され、転写パターンを形成する薄膜を設ける側とは反対側の主表面に裏面膜が形成されていることを特徴とする反射型マスクブランク。
【請求項11】
請求項9記載のマスクブランクの前記転写パターン形成用薄膜に転写パターンが形成されていることを特徴とするフォトマスク。
【請求項12】
請求項10記載の反射型マスクブランクの前記転写パターン形成用薄膜に転写パターンが形成されていることを特徴とする反射型マスク。
【請求項13】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のマスクブランク用基板を複数枚セットとしたことを特徴とするマスクブランク用基板セット。
【請求項14】
請求項9記載のマスクブランクを複数枚セットとしたことを特徴とするマスクブランクセット。
【請求項15】
請求項11記載のフォトマスクを2枚セットとしたフォトマスクセットであって、1つの転写パターンからダブルパターニング/ダブル露光技術により分割された2つの転写パターンが、2枚のフォトマスクの転写パターン形成用薄膜に分かれて形成されていることを特徴とするフォトマスクセット。
【請求項16】
請求項11記載のフォトマスクを用い、フォトリソグラフィ法によりフォトマスクの転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項17】
請求項12記載の反射型マスクを用い、EUVリソグラフィ法により反射型マスクの転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写して製造された半導体デバイスの製造方法。
【請求項18】
請求項15記載のフォトマスクセットを用い、フォトリソグラフィ法によりフォトマスクの転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−256066(P2012−256066A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179341(P2012−179341)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2010−540483(P2010−540483)の分割
【原出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】