説明

マスク角部円形化効果のモデル化によるプロセスモデル精度の向上

一実施形態は、マスク角部円形化(MCR)効果をモデル化する改良型プロセスモデルを決定するシステムおよび技術を提供する。動作中、システムは、マスクレイアウトと、マスクレイアウトにフォトリソグラフィープロセスを適用することによって生成されたプロセスデータとを受信してもよい。システムはまた、一式のMCR構成要素を含有してもよい、未較正プロセスモデルを受信してもよい。次に、システムは、マスクレイアウトにおいて一式の角部を識別してもよい。次いで、システムは、修正されたマスクレイアウトを得るように、一式の角部に近接するマスクレイアウトを修正してもよい。あるいは、システムは、一式のマスク層を決定してもよい。次に、システムは、修正されたマスクレイアウトおよび/または一式のマスク層、およびプロセスデータを使用して、未較正プロセスモデルを較正することによって、改良型プロセスモデルを決定してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、半導体の設計および製造に関する。より具体的には、本発明は、マスクの角部円形化(MCR)効果のモデル化による、プロセスモデルの精度の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
コンピューティング技術の急速な進歩により、場合によっては一兆バイトにもなるデータセットで、毎秒、一兆回の計算的演算を実行させることが可能になった。こうした進歩は、シングルチップに何千万ものデバイスを集積することを可能にした、半導体製造技術の劇的な向上のおかげであるといえる。
【0003】
半導体製造技術は、通常は、複雑な物理的および化学的相互作用を含む、多数のプロセスを含む。これらの複雑な相互作用の働きを予測するための、厳密な公式を見つけることはほぼ不可能であるため、研究者は、通常は、これらのプロセスの働きを予測するために、経験的データに適合するプロセスモデルを使用する。半導体チップの設計時に、多数の適用においてプロセスモデルを使用可能である。例えば、通常、半導体製造プロセスの望ましくない効果を補償するためのレイアウトの補正に、プロセスモデルを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセスモデルの低い精度は、ダウンストリーム・アプリケーションの効果に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、プロセスモデルの低い精度は、光近接効果補正(OPC)の効果を低下させる可能性がある。半導体集積化密度は、急激な高密度化が続いているため、プロセスモデルの精度はますます重要になってきている。従って、プロセスモデルの精度の向上が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明の実施形態は、マスクの角部円形化効果をモデル化する、改良型プロセスモデルを決定するシステムおよび技術を提供する。プロセスモデルは、通常、カーネル係数をプロセスデータに適合または較正することによって、決定される。プロセスデータは、通常、モデル化される半導体製造プロセスをマスクレイアウトに適用することで、生成される。
【0006】
本発明の一実施形態は、一式の角部に近接するマスクレイアウトを修正し、プロセスモデル較正時に、この修正されたマスクレイアウトを使用できる。あるいは、一実施形態は、一式のマスク層を決定できる。マスク層のうちの1つは、マスクレイアウトそのものにしてもよい、または、マスクレイアウトのパターンの実質的な全てを含んでもよい。他のマスク層は、マスクレイアウトの角部に関するパターンを含んでもよい。実施形態は、一式のマスク層を使用して、プロセスモデルを較正してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、集積回路の設計および製造の種々のステップを示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う、通常の光学的なシステムを示す。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトの一部を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態に従う、フォトリソグラフィーマスクを示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、MCR効果をモデル化するプロセスモデルを決定する単一層アプローチを図示する、フローチャートを示す。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトにおける一式の角部を示す。
【図5B】図5B−図5Fは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトを一式の角部に近接して修正可能な方法を示す。
【図5C】図5B−図5Fは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトを一式の角部に近接して修正可能な方法を示す。
【図5D】図5B−図5Fは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトを一式の角部に近接して修正可能な方法を示す。
【図5E】図5B−図5Fは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトを一式の角部に近接して修正可能な方法を示す。
【図5F】図5B−図5Fは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトを一式の角部に近接して修正可能な方法を示す。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に従う、MCR効果をモデル化するプロセスモデルを決定する、複数層アプローチを図示するフローチャートを示す。
【図7A】図7Aおよび図7Bは、本発明の一実施形態に従う、一式のマスク層を示す。
【図7B】図7Aおよび図7Bは、本発明の一実施形態に従う、一式のマスク層を示す。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態に従う、外側角部のマスク層を示す。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態に従う、内側角部のマスク層を示す。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に従う、改良型プロセスモデルを決定する、プロセスを図示するフローチャートを示す。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に従う、コンピュータシステムを示す。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に従う、プロセスモデルの格納方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
(集積回路(IC)設計フロー)
図1は、本発明の一実施形態に従う、集積回路の設計および製造における種々のステップを示す。
【0009】
プロセスは、通常、EDAソフトウェア設計プロセスを使用して実施される製品アイデア(ステップ100)から開始される(ステップ110)。設計が最終化すると、通常、テープアウトされ(イベント140)、次に、完成したチップ(結果170)を生成するために、製造プロセス(ステップ150)およびパッケージングならびに組み立てプロセス(ステップ160)が行われる。
【0010】
EDAソフトウェア設計プロセス(ステップ110)は、ステップ112−130を含むが、これは、説明目的で以下に記載されているにすぎず、かつ、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、実際の集積回路の設計では、設計者は、以下に記載されるシーケンスとは異なるシーケンスで設計ステップを実施しなければならない場合がある。
【0011】
システム設計(ステップ112):このステップで、設計者は、実装したい機能を記述する。設計者は、さらに、機能、チェックコスト等を絞り込むために、状況想定プランニングを実施してもよい。このステージでは、ハードウェアとソフトウェアのアーキテクチャのパーティショニングが生じる可能性がある。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Model Architect、Saber(登録商標)、System Studio、および、DesignWare(登録商標)製品を含む。
【0012】
論理設計および機能的検証(ステップ114):このステージでは、システムのモジュールのVHDLまたはVerilogコードを記述し、機能的精度について、設計のチェックを行う。より具体的には、正確な出力が生じることを保証するために、設計をチェックする。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、VCS(登録商標)、Vera(登録商標)、DesignWare(登録商標)、Magellan(登録商標)、Formality(登録商標)、ESPおよびLeda(登録商標)製品を含む。
【0013】
テストのための統合および設計(ステップ116):ここでは、VHDL/Verilogを、ネットリストに変換する。標的技術のために、ネットリストは最適化され得る。さらに、完成したチップをチェックするために、テストの設計および実施が可能である。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Design Compiler(登録商標)、Physical Compiler(登録商標)、Test Compiler、Power Compiler(登録商標)、FPGA Compiler、TetraMAX(登録商標)、およびDesignWare(登録商標)の製品を含む。
【0014】
ネットリスト検証(ステップ118):このステップでは、時間的な制約の遵守およびVHDL/Verilog放射源コードとの対応について、ネットリストをチェックする。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Formality(登録商標)、PrimeTime(登録商標)、およびVCS(登録商標)製品を含む。
【0015】
設計プランニング(ステップ120):ここでは、タイミングおよび最上位のルーティングについて、チップの全体的な配置図を構成および分析する。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Astro(登録商標)およびIC Compiler製品を含む。
【0016】
物理的実装(ステップ122):このステップでは、配置(回路エレメントの位置決定)およびルーティング(回路エレメントの接続)を行う。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Astro(登録商標)およびIC Compiler製品を含む。
【0017】
分析および抽出(ステップ124):このステージでは、トランジスタレベルで回路の機能が検証され、これにより、状況想定の絞込みが可能となる。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、AstroRail(登録商標)、PrimeRail、PrimeTime(登録商標)、およびStar−RCXT(登録商標)製品を含む。
【0018】
物理的検証(ステップ126):このステップでは、製造、電気的事項、リソグラフィー的事項、および回路の適正さを保証するために、設計をチェックする。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Hercules(登録商標)製品を含む。
【0019】
分解能向上(ステップ128):このステップは、設計の製造可能性を向上させるための、レイアウトの形状的操作に関する。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、Proteus/Progen、ProteusAF、およびPSMGen製品を含む。
【0020】
マスクデータ作成(ステップ130):このステップは、完成チップを作成するために、マスクの生産のための「テープアウト」データを提供する。このステップで使用可能なSynopsys,Inc.の例示的なEDAソフトウェア製品は、製品のCATS(登録商標)ファミリを含む。
【0021】
上記のステップのうちの1つ以上において、本発明の実施形態を使用可能である。具体的には、分解能向上ステップ128中に、本発明の一実施形態を使用可能である。
【0022】
(プロセスモデル)
プロセスモデルは、通常は、複雑な物理的および化学的相互作用に関与する、1つ以上の半導体製造プロセスの働きをモデル化する。プロセスモデルは、通常、カーネル係数を経験的データに適合または較正させることによって、決定される。経験的データは、通常、モデル化される半導体製造プロセスを、1つ以上のテストレイアウトに適用することによって、生成される。例えば、ウエハ上にテストレイアウトをプリントするために、フォトリソグラフィープロセスを使用可能である。次に、エッチングプロセスの前および/または後で、ウエハ上の特徴の限界寸法(CD)を計測することにより、経験的データを取得可能である。次に、フォトリソグラフィープロセスをモデル化するプロセスモデルを決定するために、プロセスモデルを経験的データに適合可能である。
【0023】
プロセスモデルが決定されると、半導体チップの設計および製造時に、多数の適用において、これを使用可能である。例えば、通常は、光近接効果補正(OPC)および分解能向上技術(RET)をサポートするために、プロセスモデルが使用される。これらのモデルは、テープアウトフロー中の、適切な時間フレームにおける、フルチップ(full−chip)データベース操作を可能にする。
【0024】
未較正プロセスモデルは、通常は、パラメータおよび/または係数に関連付けられる構成要素を含む。較正時、最終的なプロセスモデルを得るために、パラメータおよび/または係数を、統計的に経験的データに適合可能である。プロセスモデルの構成要素は、通常は、特定の物理的効果をモデル化するために設計される数学式である。例えば、プロセスモデルは、
【0025】
【数1】

で表すことができる。ここで、Kは構成要素またはカーネルであり、CはKに関連付けられる係数である。経験的データは、レイアウトの異なる位置のCD等の、所望の特性の値を含んでもよい。プロセスモデルが経験的データに適合されると、これを、他のレイアウトの所望の特性の値を予測するために使用可能である。
【0026】
通常、予測されたデータが経験的データに正確に一致するように、係数値を較正することは不可能である。正確な適合が可能な場合でも、生成されたプロセスモデルが適切に補間および/または外挿しない可能性があるため、望ましいとはいえない場合がある。通常は、統計的適合技術は、経験的データおよび予測されたデータの間の誤差が最小化されるように、パラメータおよび/または係数を決定するために使用される。一実施形態において、システムは、パラメータおよび/または係数値を決定するために、最小二乗の適合技術を使用可能である。
【0027】
適切に補間および外挿が行われる場合、すなわち、適合プロセス中に使用されたレイアウトとは異なるレイアウトに適用した際に、プロセスモデルが正確な結果を生成する場合、プロセスモデルは、ロバストであると考えられる。概して、プロセスモデルが使用するモデル化機能またはカーネルが少なければ少ないほど、よりロバストになる。しかしながら、使用するカーネルの数が少ないと、プロセスモデルの精度が低下する可能性がある。このため、通常、プロセスモデルのロバストさと精度との間にはトレードオフが存在する。
【0028】
(フォトリソグラフィープロセスモデル)
フォトリソグラフィープロセスモデルの光学的なモデルは、通常、部分的にコヒーレントな光学的なシステムの働きをモデル化する、ホプキンスモデルに基づく。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に従う、通常の光学系を示す。
【0030】
放射源202からの放射は、コンデンサ204によって平行にすることができる。平行光は、次に、マスク206、アパーチャ208、レンズ本体210を通過し、ウエハ212上に像を形成可能である。
【0031】
ホプキンスモデルは、次の式を用いて表せる。
【0032】
【数2】

式中、I(x,y)は、ウエハ上の点(x,y)における光学的な強度であり、L(x,y、x’,y’)は、光源およびマスクの集中型モデルであり、Lは、Lの複素共役であり、J(x’,y’、x”,y”)は、マスク上の光の2つの点の間のコヒーレンスをモデル化する。集中型モデル(L)は、基本的に、光源のアレイとして、マスクを処理する。特に、L(x,y、x’,y’)は、マスク上の点(x’,y’)を点放射源としてモデル化し、J(x’,y’、x”,y”)は、マスク上の点(x’,y’)および(x”,y”)から発散される光の間の非干渉性をモデル化する。集中型モデル(L)は、マスクおよび放射源の間の畳み込みとして、表すことができる。例えば、集中型モデルは、以下のように、マスクモデルおよび放射源モデルを使用して、表すことができる。
【0033】
【数3】

ここで、M(x’,y’)はマスクをモデル化し、K(x,y、x’,y’)は、放射源をモデル化する。
【0034】
光学的なシステムをモデル化する、相互透過係数(TCC)行列と呼ばれる4D(4次元)行列を決定するために、ホプキンスモデルを使用可能である。次に、一式の直交2D(2次元)カーネルを使用して、TCC行列を表すことができる。一式の直交カーネルは、TCC行列の固有機能を使用して決定できる。ウエハ上の特徴は、一式の2Dカーネルをマスクで畳み込むことによって決定できる。フォトリソグラフィーおよびプロセスモデル化の一般的な情報は、Alfred Kwok−Kit Wong,Optical Imaging in Projection Microlithography,SPIE−International Society for Optical Engine,2005、および、Grant R.Fowles,Introduction to Modern Optics,2nd Edition,Dover Publications,1989に記載されている。
【0035】
一実施形態において、システムは、光学的なシステムを表すために、ゼルニケ多項式と呼ばれる一式の直交機能を使用する。ゼルニケ多項式は、光学的なシステムでよく観察される光行差の種類と同じ形態の項で成る。例えば、あるゼルニケ多項式は、デフォーカスに関連付けられてもよく、別のものは、斜面等に関連付けられてもよい。光学的なシステムは、式
【0036】
【数4】

を用いて表すことができ、式中、Zはゼルニケ多項式であり、Cは、Zに関連付けられる光学的な係数である。一実施形態において、システムは、光学的なモデルがMCR効果もモデル化するように、光学的なモデルの係数を修正してもよい。あるいは、システムは、MCR効果を捕捉するために、さらなるカーネルまたは構成要素を、光学的なモデルに追加してもよい。
【0037】
(マスクの角部円形化効果のモデル化)
プロセスモデルの精度は、現行の半導体集積化密度において非常に重要になっており、将来的にさらに重要になると予想される。従来のプロセスモデルは、現行の集積化密度では精度が十分でないため、プロセスモデルの精度を向上するための大きな必要性に迫られている。
【0038】
プロセスモデルは、通常、物理的モデルまたはブラックボックスモデルまたはその組み合わせに基づく。物理的モデルは基礎的な物理的プロセスをモデル化するが、ブラックボックスモデルは、通常は、包括的なモデル化機能を使用する。ブラックボックスのモデル化アプローチは多数の欠点を有する可能性があるため、一般的には、物理的モデル化アプローチが好適である。第一に、ブラックボックスモデルで使用される包括的なモデル化機能は、通常、大量の経験的データを収束させる必要がある。第二に、ブラックボックスモデルは、物理的モデルほど正確ではない。具体的には、ブラックボックスモデルは、テストレイアウトを使用して得られる経験的データに適合されている。しかしながら、これは、モデルが、他のレイアウトで正確に機能することを保証するものではない。第三に、経験的データは、通常、特定のプロセス点で(すなわち、特定のプロセス条件下で)得られるものである。このため、特定のプロセス点の経験的データに適合するブラックボックスモデルは、デフォーカスまたは異なる露光エネルギー等の異なるプロセス条件では、正しく機能しない可能性がある。このため、一般的には、ブラックボックスモデルではなく物理的モデルを使用することが望ましい。
【0039】
しかしながら、適切な物理的モデルの決定には、非常に困難が多い。通常の物理的モデル化アプローチでは、まず、看過できない、かつ、プロセスモデルによってモデル化されていない、システム的なプロセス変動を識別する必要がある。次に、システム的な変動を生じさせる、基礎的な物理的プロセスを識別する必要がある。最後に、ランタイムパフォーマンスを低下させることなく、基礎的な物理的プロセスを正確にモデル化するモデルを決定する必要がある。
【0040】
現行の集積化密度では、マスクの角部円形化(MCR)効果は、看過できないシステム的なプロセス変動を生じさせる。従来のプロセスモデルは、これらを完全に無視しているため、または、基礎的な物理的プロセスを正確に捕捉しないブラックボックスモデル化技術を使って、効果をモデル化しようとしているため、こうした効果を正確にモデル化していない。本発明の一実施形態は、従来の技術とは対照的に、適切な物理的モデルを決定することにより、モデルMCR効果を正確にモデル化する。
【0041】
図3Aは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトの一部を示す。
【0042】
多角形302はマスクレイアウトの一部であり、内側角部304および外側角部306を有する。内側角部は、その内部角が180°よりも大きい角度である。例えば、内側角部304の内部角308は、180°よりも大きい。逆に、外側角部は、その内部角が180°未満の角度である。例えば、外側角部306の内部角310は、180°未満である。
【0043】
図3Bは、本発明の一実施形態に従う、フォトリソグラフィーマスクを示す。
【0044】
フォトリソグラフィーマスクは、通常は、電子ビームリソグラフィーを使用して製造される。マスクレイアウトの形状は、通常、フォトリソグラフィーマスクに完全には転写されない。具体的には、マスクレイアウトの鋭角は、マスク製造中に「角部円形化」されることがある。この効果は、「マスクの角部円形化」として公知である。例えば、図3Aに示される多角形302を製造する場合、図3Bに示される多角形352が作成される可能性がある。MCR効果は、図3Aに示されるマスクレイアウトにおける角部304および306に、図3Bに示されるフォトリソグラフィーマスクにおける、それぞれ、丸み付けした角部354および356を生じさせてもよい。
【0045】
従来のプロセスモデルは、通常は、多角形302等の「完全な」多角形を含むマスクレイアウトを使用して、ウエハ上の形状を予測する。しかしながら、フォトリソグラフィーマスク上の実際の多角形は、多角形352のように、「完全」ではないため、従来のモデルによって生じる結果は、不正確である。角部円形化効果のモデル化にブラックボックスモデルを使用する従来のアプローチは、ブラックボックスモデルは、異なる種類の角部に異なる方法で影響を及ぼす基礎的な物理的プロセスを正確には捕捉しない場合があるため、有効でない場合がある。例えば、内側角部および外側角部上のMCR効果は異なる場合があり、この差が、ブラックボックスモデルによって適切に捕捉されない場合がある。さらに、ブラックボックスモデルを使用してMCR効果をモデル化する従来のアプローチは、プロセスモデルが、線幅と線間パターン等の、他の種類のパターンで不正確になる可能性がある。
【0046】
本発明で使用されるモデル化アプローチは、基礎的な物理的プロセスに基づくMCR効果をモデル化するため、上記の欠点の影響を受けることがない。以下のセクションにおいて、本発明の一実施形態に従う、MCR効果のモデル化のためのアプローチを説明する。
【0047】
(単一層アプローチ)
図4は、本発明の一実施形態に従う、MCR効果をモデル化するプロセスモデルを決定する、単一層アプローチを図示するフローチャートを示す。
【0048】
単一層アプローチでは、プロセスは、マスクレイアウトを受信することによって開始可能である(ステップ402)。尚、マスクレイアウトは、通常は、MCRの効果を表さない、完全な形状の多角形を含む。
【0049】
次に、システムは、フォトリソグラフィープロセスをマスクレイアウトに適用することによって、生成されたプロセスデータを受信できる(ステップ404)。プロセスデータは、モデル化される半導体製造プロセスでマスクレイアウトが行われた際に生成された、特徴の重要な寸法を計測することにより、生成することができる。
【0050】
次に、システムは、未較正プロセスモデルを受信できる(ステップ406)。未較正プロセスモデルは、通常は、
【0051】
【数5】

で示すことができ、式中、Kは、構成要素またはカーネル、Cは、Kに関連付けられる係数である。「未較正」プロセスモデルにおいて、係数Cは、通常、不明である。
【0052】
次に、システムは、マスクレイアウトの一式の角部を識別できる(ステップ408)。
【0053】
図5Aは、本発明の一実施形態に従う、マスクレイアウトの一式の角部を示す。
【0054】
多角形502は、マスクレイアウトの一部である。システムは、マスクレイアウトの全ての角部を識別してもよい、または、角部のうちのいくつかのみを識別してもよい。例えば、システムは、角部504、506、508、510、512、および514を識別してもよい。さらに、システムは、その形状、サイズ、位置、またはMCR効果の大きさあるいは強度に影響を及ぼすことのあるいずれかの他の特徴に基づき、マスクレイアウトにおける角部を分類してもよい。一実施形態において、システムは、角部を、2つの種類、つまり内側角部および外側角部に分類する。例えば、システムは、角部504、506、510、512、および514を外側角部、角部508を内側角部に分類してもよい。
【0055】
システムは、次に、修正されたマスクレイアウトを得るために、一式の角部に近接するマスクレイアウトを修正可能である(ステップ410)。マスクレイアウトの修正はMCR効果に関係し得るが、修正の形状およびサイズは、マスクの角部円形化によって生成された実際の形状およびサイズと直接対応しない場合がある。一実施形態は、修正の形状およびサイズを、プロセスデータに適合するパラメータとして処理する。
【0056】
図5B−図5Fは、本発明の一実施形態に従う、一式の角部に近接した、マスクレイアウトの修正可能な方法を示す。
【0057】
システムは、一式の角部のうちの1つの角部に斜角アーチファクトを追加することにより、マスクレイアウトを修正可能である。図5Bは、システムが、斜角アーチファクト522および524を、外側角部504および内側角部508に、それぞれ追加可能な方法を示す。図5Bは、斜角アーチファクトが多角形の全ての角部に追加されたことを示すが、システムは、多角形の角部のうちのいくつかのみに斜角アーチファクトを追加してもよい。斜角アーチファクトのサイズは、マスク製造中に生じる実際の角部円形化の量と、直接対応しなくてもよい。具体的には、一実施形態は、プロセスモデルの精度を最大限に向上させる斜角サイズを経験的に決定する。
【0058】
尚、外側角部に斜角アーチファクトを追加すると、通常、斜角アーチファクト522等の多角形をカットすることになるが、内側角部に斜角アーチファクトを追加すると、通常、斜角アーチファクト524等の多角形の面積が拡大する。本発明の一実施形態は、内部および外側角部に近接して、マスクレイアウトを異なる方法で修正するため、内側角部および外側角部の間のこの差を直接モデル化する。これに対して、ブラックボックスモデル化を使用する従来のアプローチは、この差を捕捉することができない場合がある。
【0059】
斜角アーチファクトを追加する代わりに、システムは、切り欠きアーチファクトを追加可能である。図5Cは、システムが、切り欠きアーチファクト532および534を、外側角部504および内側角部508にそれぞれ追加可能な方法を示す。斜角アーチファクトと同様に、切り欠きアーチファクトを外側角部に追加すると、通常、切り欠きアーチファクト532等の多角形はカットされ、切り欠きアーチファクトを内側角部に追加すると、通常、切り欠きアーチファクト534等の多角形の面積が拡大する。図5Cは、切り欠きアーチファクトが多角形の全ての角部に追加されたことを示すが、システムは、多角形の角部のうちのいくつかのみに、切り欠きアーチファクトを追加してもよい。さらに、斜角アーチファクトと同様に、一実施形態は、プロセスモデルの精度を最大限に向上させる切り欠きサイズを、経験的に決定してもよい。
【0060】
システムは、異なる種類の角部に、異なる種類のアーチファクトを追加してもよい。特に、システムは、異なる種類のアーチファクトを、内側および外側角部に追加してもよい。例えば、システムは、異なるサイズの切り欠きを、内側および外側角部に追加できる。図5Dは、システムが、切り欠き542等のより大きい切り欠きを外側角部に、切り欠き544等のより小さい切り欠きを内側角部に、追加可能な方法を示す。図5Eは、システムが、切り欠きアーチファクトを、切り欠き552等の外側角部のみに追加でき、角部508等の内側角部には切り欠きを追加できない様子を示す。
【0061】
あるいは、システムは、切り欠きを内側角部に、斜角を外側角部に、またはこの逆で、追加してもよい。これらのアーチファクトおよび修正技術は、説明のために以下に記載されているにすぎず、かつ、本発明を限定することを意図するものではない。多くの修正および変動が、当業者には容易に明らかであろう。例えば、図5Fは、システムが、切り欠き562等の切り欠きをいくつかの角部に、斜角564等の斜角をいくつかの角部に追加でき、角部508等のいくつかの角部にはアーチファクトを追加できない様子を示す。
【0062】
次に、システムは、修正されたマスクレイアウトおよびプロセスデータを使用する、未較正プロセスモデルを較正することによって、改良型プロセスモデルを決定可能である(ステップ412)。
【0063】
具体的には、システムは、プロセスデータを使用する、未較正プロセスモデルの適合係数によって、プロセスモデルを決定できる。適合プロセスは、未較正プロセスモデルのカーネルの、修正されたマスクレイアウトによる畳み込みを含むことができる。例えば、一実施形態は、プロセスモデルを較正するための最小二乗の適合技術を使用できる。具体的には、未較正プロセスモデル
【0064】
【数6】

の係数Cは、以下のように、最小二乗の適合を解くことで、決定できる。
【0065】
【数7】

式中、
【0066】
【数8】

は、サンプル点iにおけるカーネルKによるマスクレイアウトの畳み込みであり、dは、サンプル点iにおける経験的プロセスデータである。尚、上記の式は、式の2つの側が互いにほぼ等しくてもよいことを示す。これは、式を正確に満たす一式の係数を決定することが不可能である可能性があることによる。しかしながら、こうした一式の係数が存在する場合、式の「ほぼ等しい」という記号は、等号として解釈すべきである。
【0067】
(複数層アプローチ)
図6は、発明の一実施形態に従う、MCR効果をモデル化するプロセスモデルを決定する複数層アプローチを示す、フローチャートを示す。
【0068】
単一層アプローチと同様に、複数層アプローチは、マスクレイアウトを受信することによって開始可能であり(ステップ602)、フォトリソグラフィープロセスをマスクレイアウトに適用することによって、生成されたプロセスデータを受信可能である(ステップ604)。
【0069】
次に、システムは、光学的な構成要素および一式のマスクの角部円形化(MCR)構成要素を含むことができる、未較正プロセスモデルを受信できる(ステップ606)。一式のMCR構成要素は、MCR効果をモデル化するように設計される1つ以上のMCR構成要素を含むことができる。尚、ここで使用される「一式のMCR構成要素」というフレーズは、一式が複数のMCR構成要素を有することを必ずしも示唆するものではない。具体的には、一実施形態において、一式は、1つのMCR構成要素のみを含んでもよい。
【0070】
例えば、以下のように未較正プロセスモデルを表してもよい。
【0071】
【数9】

式中、
【0072】
【数10】

は、m個のカーネルを有する光学的な構成要素を表し、Xは、j番目のMCR構成要素を表す。各MCR構成要素は、
【0073】
【数11】

等、1つ以上のカーネルを含むことができ、式中、Cは、j番目のMCR構成要素におけるk番目の係数、Kは、j番目のMCR構成要素におけるk番目のカーネルである。
【0074】
一実施形態において、一式のMCR構成要素は、2つの構成要素、すなわち、それぞれ内側角部および外側角部のMCR効果をモデル化する内側角部構成要素および外側角部構成要素を含んでもよい。
【0075】
尚、こうした構成要素は、エッチング効果等の他の効果をモデル化するのに役立つ場合があるため、一式のMCR構成要素を使用することが有利である場合がある。具体的には、一式のMCR構成要素を使用することで、プロセスモデルの全体としての精度を向上させるために役立つ可能性のある適合プロセス時に、さらなる自由度を提供してもよい。
【0076】
次に、システムは、マスクレイアウトの一式の角部を識別できる(ステップ608)。
【0077】
システムは、第1のマスク層および一式のMCRマスク層を含む、一式のマスク層を決定できる(ステップ610)。第1のマスク層は、マスクレイアウトの実質的に全てのパターンを含むことができる。さらに、各MCRマスク層の実質的に全てのパターンは、一式の角部に近接するマスクレイアウトのパターンに関することができる。各MCRマスク層は、MCR構成要素に関連付けることができる。
【0078】
図7Aおよび図7Bは、本発明の一実施形態に従う、一式のマスク層を示す。
【0079】
図7Aに示される第1のマスク層は、基本的に、マスクレイアウトの複製物である。しかしながら、第1のマスク層は、マスクレイアウトの全てのパターンを必ずしも含む必要はない。図7Bに示されるMCRマスク層は、一式の角部に近接するマスクレイアウトのパターンに関するパターンを取得する。例えば、図7Bは、図7Aで示される多角形702の角部に関する、斜角形状704、706、708、710、712、および714を含む。
【0080】
一実施形態において、一式のMCR層は、2つのマスク層、つまり、内側角部のマスク層および外側角部のマスク層を含む。内側角部のマスク層の実質的に全てのパターンは、内側角部に近接するマスクレイアウトのパターンに関する。同様に、外側角部のマスク層の実質的に全てのパターンは、外側角部に近接するマスクレイアウトのパターンに関する。
【0081】
図8Aは、本発明の一実施形態に従う、外側角部のマスク層を示す。外側角部のマスク層は、図7Aに示される多角形702の外側角部に関する、斜角形状804、806、810、812、および814を含む。
【0082】
図8Bは、本発明の一実施形態に従う、内側角部のマスク層を示す。内側角部のマスク層は、図7Aに示される多角形702の内側角部に関する、斜角形状808を含む。
【0083】
上記のマスク層は斜角形状を使用するが、システムは、切り欠き等の他の形状を使用してもよい。これらのマスク層のパターンは、説明のために示されているものであり、本発明を限定することを意図しているものではない。従って、多くの修正および変更が、当業者には容易に明らかであろう。
【0084】
マスク層が決定されると、システムは、一式のマスク層およびプロセスデータ(ステップ612)を使用する、未較正プロセスモデルを較正することで、改良型プロセスモデルを決定できる。
【0085】
具体的には、システムは、プロセスデータを使用する、未較正プロセスモデルに係数を適合させることによって、プロセスモデルを決定できる。適合プロセスは、マスクレイアウト、または、マスクレイアウトの実質的に全てのパターンを含むマスク層による、光学的な構成要素の畳み込みを含むことができる。さらに、適合プロセスは、各MCR構成要素の、関連付けられるMCRマスク層による畳み込みを含むことができる。尚、MCR層は、通常、マスクレイアウトの1D(1次元)領域に関するパターンを含まないため、プロセスデータとのMCR構成要素の適合は、1D領域の改良型プロセスモデルの精度を低下させない可能性がある。
【0086】
図9は、本発明の一実施形態に従う、改良型プロセスモデルを決定するプロセスを図示するフローチャートを示す。
【0087】
システムは、マスクレイアウトを受信してもよい(ステップ902)。次に、システムは、内側角部を識別してもよい(ステップ904)。システムは、次に、外側角部を識別してもよい(ステップ906)。
【0088】
次に、システムは、モデルの形態を選択してもよい(ステップ908)。例えば、システムは、MCR効果をモデル化する1層アプローチまたは複数層アプローチを選択してもよい。尚、システムは、1層アプローチと複数層アプローチの両方の局面を利用する、混合アプローチも選択してもよい。具体的には、混合アプローチは、マスクレイアウトを修正し、一式のマスク層をマスクの角部円形化効果のモデル化に使用してもよい。
【0089】
システムは、次に、モデルの角部の形態を選択してもよい(ステップ910)。例えば、システムは、斜角形状、切り欠き形状、またはMCR効果のモデル化に適した任意の他の形状を選択してもよい。次に、システムは、モデルを較正し(ステップ912)、モデルを出力してもよい(ステップ914)。
【0090】
MCR効果をモデル化するこれらの異なるオプションは、異なる格納および計算の要件を有してもよい。例えば、切り欠きの代わりに斜角を有するプロセスモデルは、より正確である可能性があるが、ダウンストリーム・アプリケーションの計算的要件を増大させる可能性もある。同様に、単一層アプローチの代わりに複数層アプローチを使用することで、より多くの格納が必要になる可能性がある。このため、適切なモデル化アプローチを選択するには、所定のアプリケーションの特定の制約および要件の分析を実行する必要がある可能性がある。
【0091】
図10は、本発明の一実施形態に従う、コンピュータシステムを示す。
【0092】
コンピュータシステム1002は、プロセッサ1004、メモリ1006、および格納装置1008を含む。コンピュータシステム1002は、ディスプレイ1014、キーボード1010、およびポインティングデバイス1012に結合され得る。格納装置1008は、アプリケーション1016および1018、およびプロセスモデル1020を格納できる。
【0093】
動作時に、コンピュータシステム1002は、アプリケーション1016を、メモリ1006にロード可能である。次に、システムは、アプリケーション1016を使用して、プロセスモデル1020を決定できる。アプリケーション1016は、格納装置1008上にプロセスモデル1020を格納できる。システムは、パラメータおよび/または係数をコンピュータ可読記憶媒体に格納することによって、プロセスモデルを格納できる。一実施形態において、システムは、パラメータ、係数、カーネル識別子、および、パラメータおよび係数をその各カーネル識別子に関連付ける情報を格納してもよい。カーネル識別子は、カーネルを識別する文字列にすることが可能である、または、カーネルを表す式にすることが可能である。システムは、アプリケーション1018を、メモリ1006にロード可能である。アプリケーション1018は、次に、プロセスモデル1020をメモリ1006にロード可能であり、近接補正を決定する、または、フォトレジスト層のパターンの形状を予測するために、プロセスモデル1020を使用することが可能である。
【0094】
図11は、本発明の一実施形態に従う、プロセスモデルを格納可能な方法を示す。
【0095】
ユーザ1102は、プロセスモデルを決定するために、コンピュータ1104を使用してもよい。次に、ユーザ1102は、パラメータ、係数、カーネル識別子、およびパラメータおよび係数を、コンピュータ1104のハードディスクまたは取り外し可能なコンピュータ可読記憶媒体上のカーネル識別子に関連付ける情報を格納してもよい。あるいは、ユーザ1102は、ネットワーク1110によってコンピュータ1104に結合されるデータベース1112に、プロセスモデルを格納してもよい。ユーザ1106は、ネットワーク1110上で、ユーザ1102からプロセスモデルを受信してもよい。あるいは、ユーザ1106は、データベース1112からプロセスモデルを取得してもよい。ユーザ1106は、パラメータ、係数、カーネル識別子、およびパラメータおよび係数をカーネル識別子に関連付ける情報を読み込むことで、コンピュータ1108にプロセスモデルをロードできる。
【0096】
(結論)
この詳細な説明に記載されているデータ構造およびコードは、通常は、コンピュータシステムによって使用されるコードおよび/またはデータを格納可能な任意のデバイスまたは媒体であり得る、コンピュータ可読格納媒体に格納される。これは、ディスクドライブ、磁気テープ、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスクまたはデジタルビデオディスク)、または、現在公知のあるいは将来的に開発されるコンピュータ可読媒体を格納可能な他の媒体等の、揮発性メモリ、非揮発性メモリ、磁気および光学記憶装置を含むが、これに限定されない。
【0097】
さらに、本発明の実施形態の上記の記載は、説明および記述を目的として示されているにすぎない。これらは、排他的であること、または本発明を開示された形態に限定することを意図するものではない。従って、当業者に、多くの修正および変更が容易に明らかであろう。さらに、上記の開示は、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、添付の請求項によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク角部円形化効果をモデル化する、改良型プロセスモデルを決定する方法であって、該方法は、
マスクレイアウトを受信することと、
該マスクレイアウトにフォトリソグラフィープロセスを適用することによって生成された、プロセスデータを受信することと、
未較正プロセスモデルを受信することと、
該マスクレイアウトにおいて一式の角部を識別することと、
修正されたマスクレイアウトを得るために、該一式の角部に近接する該マスクレイアウトを修正することであって、該マスクレイアウトへの該修正は、マスク角部円形化効果に関する、ことと、
該修正されたマスクレイアウトおよび該プロセスデータを使用して、該未較正プロセスモデルを較正することによって、該改良型プロセスモデルを決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記マスクレイアウトを修正することは、斜角アーチファクトを、前記一式の角部のうちの1つの角部に追加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスクレイアウトを修正することは、切り欠きアーチファクトを、前記一式の角部のうちの1つの角部に追加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一式の角部は、内側角部および外側角部を含み、前記マスクレイアウトを修正することは、
第1のアーチファクトを該内側角部に追加することと、
第2のアーチファクトを該外側角部に追加することであって、該第2のアーチファクトは、該第1のアーチファクトとは異なる、ことと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のアーチファクトのサイズは、前記第2のアーチファクトのサイズとは異なる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のアーチファクトの形状は、前記第2のアーチファクトの形状とは異なる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータによって実行されると、マスク角部円形化効果をモデル化する改良型プロセスモデルを決定する方法を該コンピュータに実施させる命令を記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、該方法は、
マスクレイアウトを受信することと、
該マスクレイアウトにフォトリソグラフィープロセスを適用することによって生成された、プロセスデータを受信することと、
未較正プロセスモデルを受信することと、
該マスクレイアウトにおいて一式の角部を識別することと、
修正されたマスクレイアウトを得るために、該一式の角部に近接する該マスクレイアウトを修正することであって、該マスクレイアウトへの該修正は、マスク角部円形化効果に関する、ことと、
該修正されたマスクレイアウトおよび該プロセスデータを使用して、該未較正プロセスモデルを較正することによって、該改良型プロセスモデルを決定することと
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
前記マスクレイアウトを修正することは、斜角アーチファクトを、前記一式の角部のうちの1つの角部に追加することを含む、請求項7に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記マスクレイアウトを修正することは、切り欠きアーチファクトを、前記一式の角部のうちの1つの角部に追加することを含む、請求項7に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記一式の角部は、内側角部および外側角部を含み、前記マスクレイアウトを修正することは、
第1のアーチファクトを該内側角部に追加することと、
第2のアーチファクトを該外側角部に追加することであって、該第2のアーチファクトは、該第1のアーチファクトとは異なる、ことと
を含む、請求項7に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記第1のアーチファクトのサイズは、前記第2のアーチファクトのサイズとは異なる、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記第1のアーチファクトの形状は、前記第2のアーチファクトの形状とは異なる、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
マスク角部円形化効果をモデル化する、改良型プロセスモデルを決定する方法であって、該方法は、
マスクレイアウトを受信することと、
該マスクレイアウトにフォトリソグラフィープロセスを適用することによって生成された、プロセスデータを受信することと、
光学的構成要素と、
一式のマスク角部円形化(MCR)構成要素であって、各MCR構成要素は、MCR効果をモデル化するように設計される、一式のMCR構成要素と
を含む、未較正プロセスモデルを受信することと、
該マスクレイアウトにおいて一式の角部を識別することと、
該マスクレイアウトにおいて実質的に全てのパターンを含む、第1のマスク層と、
一式のMCRマスク層であって、各MCRマスク層における実質的に全てのパターンは、該一式の角部に近接する該マスクレイアウトにおけるパターンに関し、各MCRマスク層は、MCR構成要素と関連付けられる、一式のMCRマスク層と
を含む、一式のマスク層を決定することと、
該一式のマスク層および該プロセスデータを使用して、該未較正プロセスモデルを較正することによって、該改良型プロセスモデルを決定することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記一式のMCR構成要素は、
内側角部のMCR効果をモデル化する内側角部構成要素と、
外側角部のMCR効果をモデル化する外側角部構成要素と
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記一式のMCRマスク層は、
内側角部マスク層であって、該内側角部マスク層における実質的に全てのパターンは、内側角部に近接する前記マスクレイアウトのパターンに関する、内側角部マスク層と、
外側角部マスク層であって、該外側角部マスク層における実質的に全てのパターンは、外側角部に近接する該マスクレイアウトのパターンに関する、外側角部マスク層と
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記改良型プロセスモデルを決定することは、
前記光学的構成要素を、前記第1のマスク層で畳み込むことと、
各MCR構成要素を、前記関連MCRマスク層で畳み込むことと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
コンピュータによって実行されると、マスク角部円形化効果をモデル化する改良型プロセスモデルを決定する方法を該コンピュータに実施させる命令を記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、該方法は、
マスクレイアウトを受信することと、
該マスクレイアウトにフォトリソグラフィープロセスを適用することによって生成された、プロセスデータを受信することと、
光学的構成要素と、
一式のマスク角部円形化(MCR)構成要素であって、各MCR構成要素は、MCR効果をモデル化するように設計される、一式のMCR構成要素と
を含む、未較正プロセスモデルを受信することと、
該マスクレイアウトにおいて一式の角部を識別することと、
該マスクレイアウトにおいて実質的に全てのパターンを含む、第1のマスク層と、
一式のMCRマスク層であって、各MCRマスク層における実質的に全てのパターンは、該一式の角部に近接する該マスクレイアウトにおけるパターンに関し、各MCRマスク層は、MCR構成要素と関連付けられる、一式のMCRマスク層と
を含む、一式のマスク層を決定することと、
該一式のマスク層および該プロセスデータを使用して、該未較正プロセスモデルを較正することによって、該改良型プロセスモデルを決定することと
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記一式のMCR構成要素は、
内側角部のMCR効果をモデル化する内側角部構成要素と、
外側角部のMCR効果をモデル化する外側角部構成要素と
を含む、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記一式のMCRマスク層は、
内側角部マスク層であって、該内側角部マスク層における実質的に全てのパターンは、内側角部に近接する前記マスクレイアウトのパターンに関する、内側角部マスク層と、
外側角部マスク層であって、該外側角部マスク層における実質的に全てのパターンは、外側角部に近接する該マスクレイアウトのパターンに関する、外側角部マスク層と
を含む、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記改良型プロセスモデルを決定することは、
前記光学的構成要素を、前記第1のマスク層で畳み込むことと、
各MCR構成要素を、前記関連MCRマスク層で畳み込むことと
を含む、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
コンピュータによって実行されと、改良型プロセスモデルを決定する方法を該コンピュータに実施させる命令を記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、該方法は、
マスクレイアウトを受信することと、
プロセスデータを受信することであって、該プロセスデータは、該マスクレイアウトおよびフォトリソグラフィープロセスを使用して生成された特徴の限界寸法を測定することによって、生成される、ことと、
光学的構成要素と、
MCR効果をモデル化するように設計される、角部円形化(MCR)構成要素と
を含む、未較正プロセスモデルを受信することと、
該マスクレイアウトにおいて一式の角部を選択することと、
MCRマスク層を決定することであって、該MCRマスク層における実質的に全てのパターンは、該一式の角部に近接する該マスクレイアウトにおけるパターンに関する、ことと、
該マスクレイアウト、該MCRマスク層、および該プロセスデータを使用して、該未較正プロセスモデルを較正することによって、該改良型プロセスモデルを決定することと、
該改良型プロセスモデルを出力することと
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記改良型プロセスモデルを決定することは、
前記光学的構成要素を、前記マスクレイアウトで畳み込むことと、
前記MCR構成要素を、前記MCRマスク層で畳み込むことと
を含む、請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−541003(P2010−541003A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526869(P2010−526869)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/088957
【国際公開番号】WO2009/041987
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(597035274)シノプシス, インコーポレイテッド (33)
【氏名又は名称原語表記】SYN0PSYS, INC.
【Fターム(参考)】