説明

マッサージに好適な化粧料

【課題】 温感ジェル状化粧料において、防腐効果を抗菌性多価アルコールで置換し、通常抗菌性多価アルコールの添加で損なわれる温感付与効果を補う技術を発展させ、化粧料の温感効果を高める技術を提供するという重要な課題を解決する。
【解決手段】
アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩と多価アルコール90質量%とメントール及び/又はグリセリルモノメンチルエーテルとを含有するジェル状化粧料において、前記多価アルコールとして、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコール10〜30質量%と、抗菌性多価アルコールとして、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールを5〜40質量%含有する化粧料を提供する。更に、トウガラシエキスを含有させた化粧料が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、マッサージ用の化粧料として好適な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年はストレス過負荷の時代であり、この為種々のストレス緩和策が考案されている。その中で、エステティックは全身に作用して、ストレスを緩和させるばかりではなく、ストレスが及ぼした身体への影響も回復できるので、特に注目を集めている。近年のエステティックの進歩は、施術方法の科学的解析に留まらず、施術に好適な化粧料媒体の開発にも及んでいる。特に、エステティックにおいては、施術時の温感の程度が、その奏功率に大きな影響を与えるため、好ましい温感刺激を与える化粧料媒体が開発されている。即ち、エステティックの開始時、施術媒体としての化粧料を皮膚においたときに、冷感を感じると交感神経が刺激されるため、エステティックによるリラクゼーション効果を損なうことが指摘されている。その様な交感神経刺激を防ぐ目的で、前記温感付与化粧料媒体が開発されている。その様な化粧料としては、例えば、グリセリンなどの多価アルコールの水和熱を利用したものが存する。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)しかしながら、この様な温感付与化粧料に於いては、温感の付与が充分とは言い難い場合が少なからず存することと、温感付与により、パラベンなどの刺激感を増悪する場合が存し、製剤の目指した効果が必ずしも得られているとは言い難かった。この点を改良し、防腐効果を1,2−ペンタンジオールなどの抗菌性多価アルコールで置換し、かかる抗菌性多価アルコールの添加で損なわれた温感付与効果を、メントールやグリセリルモノメンチルエーテルの添加で補う技術が開発されている(例えば、特許文献3を参照)。しかしながら、1,2−ペンタンジオールを抗菌成分として採用することにより、温感の持続性効果が損なわれる場合が存し、リラクゼーション付与効果が充分に得られない場合も存した。即ち、この様な技術の改良による更なる効果の向上が望まれていたと言える。
【0003】
一方、1)アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩と、2)多価アルコール90質量%と、3)メントール及び/又はグリセリルモノメンチルエーテルとを、含有するジェル状化粧料において、前記多価アルコールとして、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコール10〜30質量%と、抗菌性多価アルコールとして、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールを5〜40質量%含有する化粧料はまだ知られていないし、この様な構成の化粧料が前記の特性を有していることも知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−33842号公報
【特許文献2】特開2003−300839号公報
【特許文献3】特開2006−117610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、温感ジェル状化粧料に於ける、防腐効果を1,2−ペンタンジオールなどの抗菌性多価アルコールで置換し、かかる抗菌性多価アルコールの添加で損なわれた温感付与効果を、メントールやグリセリルモノメンチルエーテルの添加で補う技術を更に発展させ、温感効果を高める技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、温感ジェル状化粧料に於ける、防腐効果を1,2−ペンタンジオールなどの抗菌性多価アルコールで置換し、かかる抗菌性多価アルコールの添加で損なわれた温感付与効果を、メントールやグリセリルモノメンチルエーテルの添加で補う技術を更に発展させ、温感効果を高める技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩と、2)多価アルコール90質量%と、3)メントール及び/又はグリセリルモノメンチルエーテルとを含有するジェル状化粧料において、前記多価アルコールとして、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコール10〜30質量%と、抗菌性多価アルコールとして、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールを5〜40質量%含有する構成を採用することにより、温感特性の向上が為しうることを見いだし、発明完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1>1)アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩と、2)多価アルコール90質量%と、3)メントール及び/又はグリセリルモノメンチルエーテルとを、含有するジェル状化粧料において、前記多価アルコールとして、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコール10〜30質量%と、抗菌性多価アルコールとして、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールを5〜40質量%含有することを特徴とする、化粧料。
<2>更に、トウガラシエキスを含有することを特徴とする、<1>に記載の化粧料。
<3>パラベン類を配合していないことを特徴とする、<1>又は<2>に記載の化粧料。
<4>温感を付与するマッサージ用の化粧料であることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温感ジェル状化粧料に於ける、防腐効果を1,2−ペンタンジオールなどの抗菌性多価アルコールで置換し、かかる抗菌性多価アルコールの添加で損なわれた温感付与効果を、メントールやグリセリルモノメンチルエーテルの添加で補う技術を更に発展させ、温感効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<1>アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩
本発明の化粧料は、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を必須成分として含有することを特徴とする。カルボキシビニルポリマーは化粧料で増粘剤として汎用されているものを使用すれば良く、アルキル変性されたカルボキシビニルルポリマーとしては、炭素数10〜30に分布したアルキル基でエステル化されたアクリル酸乃至はメタクリル酸とアクリル酸乃至はメタクリル酸のコポリマーが好ましく例示でき、該コポリマーはジビニルエーテルなどによって部分的に架橋構造を有していても良い。この様なアルキル変性カルボキシビニルポリマーには、既に化粧料原料として市販されているものが存し、かかる市販品を購入して利用することが出来る。この様な市販品としては、例えば、グッドリッチ社より市販されている「ペムレンTR−1」「ペムレンTR−2」或いは「カーボポール1382」等が好ましく例示できる。特に好ましいものは、アルキル変性されていない、通常のカルボキシビニルポリマーである。又、これらの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。特に好ましいものは、多価アルコールにおいて溶解する塩基である、トリエタノールアミンの塩である。本発明の化粧料に於いては、かかるアルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩は、唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明の化粧料に於いて、かかるアルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩の好ましい含有量は、0.05〜1質量%であり、より好ましくは0.1〜0.7質量%である。
【0009】
<2>本発明の化粧料の必須成分であるメントール 及び/又はグリセリルモノメンチルエーテル
本発明の化粧料は、メントール 及び/又はグリセリルモノメンチルエーテルを必須成分として含有することを特徴とする。かかる成分は、必須成分である1気圧、25℃で液状のポリエチレングリコールを含む多価アルコールの発生させる水和熱による温感を増感せしめ、心地よい、非常に暖かい刺激として生体に感じせしめる作用を有する。この様な作用を発揮するためには、かかる成分は、化粧料中に、0.1〜2質量%含有させるのが好ましく、より好ましくは0.2〜1質量%である。これは少なすぎると増感効果を得られない場合が存し、多すぎると温感を越えて、刺激感を感じる場合が存するためである。特に好ましい形態としては、温感増感効果はあまり大きくないが、増感効果の持続性に優れるグリセリルモノメンチルエーテルのみを含有させる形態が例示できる。
【0010】
<3>本発明の化粧料の必須成分である多価アルコール
本発明の化粧料は、必須成分として、多価アルコールを90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含有し、前記多価アルコールとして、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコールを10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%と、抗菌性多価アルコールとして、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールを5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%含有することを特徴とする。本発明の化粧料では、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール及びジプロピレングリコール以外の多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、1気圧25℃の条件で流動性を有しないポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、マルチトール、ソルビトールなどが好適に例示できるが、グリセリンを選択することが特に好ましい。これはグリセリンの水和熱が心地よさを具現化するのに適しているためである。
【0011】
前記1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコールとしては、平均分子量に換算して、200〜800のものが好ましく、300〜600のものが特に好ましい。これは温感付与効果に優れるためである。
【0012】
抗菌性多価アルコールとしての、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールの含有は温感付与効果を損なわずに、抗菌性を保持するためのものである。ここで、1,3−ブタンジオールは抗菌作用を主として、温熱効果を従とした特徴の成分であり、ジプロピレングリコールは温熱効果を主として、抗菌作用を従とした特徴の成分であり、このバランスを取る意味で、この両者を併用することが好ましく、該併用においては、混合比は、1,3−ブタンジオールの質量:ジプロピレングリコールの質量=3:1〜1:3が好ましい。
【0013】
この様な構成を採用することにより、温感付与効果が、初回温度が高くなり、温感付与時間が長くなることにより、向上する。又、温感刺激や、メントール等の化学刺激の存在下でも、ブチルパラベンなどのパラベン類の存在を必要としないために、スティンギングの増感を起こさず、快適な使用ができる。これにより、顕著なリラクゼーション効果を得ることが出来る。
【0014】
<4>本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記必須成分を含有し、ジェル状であることを特徴とする。又、この様な構成を採用する結果、優れた温感付与性を有する。本発明の化粧料は、延展性において、殆ど摩擦係数が変化することなく延展出来るので、リラクゼーションを目的の一つにおいた、エステティック施術に於ける施術用の化粧料用媒体として使用することが特に好ましい。更に、多価アルコールによる溶剤効果も有するため、マッサージ媒体でありながら、クレンジング機能も有する。該クレンジング機能はクレンジング料として十分な程度存するので、クレンジングの目的のみで使用することも可能である。
【0015】
本発明の化粧料に於いては、前記成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。これらの内、特に好ましい成分としては、温感効果を増強できるトウガラシエキスが例示でき、好ましい含有量としては、0.01〜0.05質量%が例示できる。かかる成分は多すぎると刺激感を呈する場合が存し、少なすぎると効果を奏しない場合が存する。又、含有することが好ましくない成分としてはブチルパラベンなどのパラベン類が例示できるし、温感付与効果を損なう要因となる水分含有量は、水分の配合を控えて、出来る限り少なくすることが好ましい。具体的には1質量%以下が好ましく例示できる。本発明の化粧料は、かかる必須成分、任意成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0016】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加える。
【実施例】
【0017】
以下に示す処方に従って、本発明の化粧料である、透明ゲル化粧料を作成した。即ち、イの成分を均一に攪拌し、これに攪拌下徐々にロの成分を加え、ゲルを形成させ、本発明の化粧料である、化粧料1を得た。同様に処理して、化粧料1のグリセリンモノメンチルエーテルをメントールに置換したものを化粧料2,化粧料1のトウガラシエキスをグリセリンに置換した化粧料3を調製した。

【比較例】
【0018】
化粧料1のポリエチレングリコール400をグリセリンに置換した比較例1、1,3−ブタンジオール及びジプロピレングリコールをグリセリンに置換した比較例2、グリセリンモノメンチルエーテルをグリセリンに置換した比較例3、化粧料1の1,3−ブタンジオール及びジプロピレングリコールをブチルパラベンに置換した比較例4も作成した。

【0019】
【表1】

【0020】
<試験例1>
5人の女性被験者を用い、化粧料1〜3、比較例1〜4を用いてエステティック施術(顔面のマッサージ)を5分間行い、施術直前の皮膚温、施術直後の皮膚温、施術後5分の皮膚温を熱電対型温度計で計測し、(施術後の皮膚温−施術直前の皮膚温)/施術直前の皮膚温×100で塗布直後、塗布後5分の皮膚温の上昇率(%)を算出した。結果を表2に示す。この結果より、本願発明の化粧料1〜3は比較例に比べ、優れた温度上昇特性を有し、施術後5分でも温度の低下の程度は少なかったことがわかる。
【0021】
【表2】

【0022】
<試験例2>
5人の女性被験者において、温感の有無を以下の5点で評価した。結果は表3に示した。
1. 実感が高い(5点)、2.やや実感が高い(4点)、3.実感はある(3点)、
4.ほとんど実感はない(2点)、 5.実感が全くない(1点)
の5点で評価し、点数が低いほど温感の実感が低いと評価した。
【0023】
【表3】

【0024】
表3の結果から本願発明の化粧料の顕著に温感を感じることが明らかとなった。

【0025】
<試験例3>
化粧料1〜3、比較例1〜4について、防腐剤の効きにくい、真菌(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))に対しての抗菌性を調べた。即ち、培地としては、はSDA培地を用いた。方法は、上記平板培地に検体を0.1ml塗抹し、白金耳で接種し、接種後1日、3日目にコロニー数をカウントした。結果を表4に示す。これより、本願発明の化粧料である化粧料1〜3は、比較例2に比べて防腐力に優れることが判る。また、比較例1,3は,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールが含有されていることから、防腐力は本願発明と同程度であった。また、比較例4もブチルパラベンが含有されていることから防腐力は化粧料1〜3と同様に高い効果を示した。
【0026】
【表4】

【0027】
<スティンギング試験>
比較例4、化粧料2の1,3−ブタンジオール及びジプロピレングリコールをグリセリンに置換した化粧料(比較例5)について、スティンギング試験を行った。即ち、化粧料において、一過性の刺激を感じやすいパネラー5名を用い、視覚を遮った状態で、刺激感を感じた場合に教えてほしいと伝え、37℃に加温したサンプルを綿棒に含ませて軽くタッチさせ、刺激感を感じるかどうかを試験した。その結果、パラベンを含有する比較例4、比較例5において、何れのパネラーにおいても刺激感の訴えがあった。しかしながら、同様に本発明の化粧料1〜3についてスティンギングテストを実施しても刺激感の訴えはなかった。

【0028】
以上の結果より、本願発明の化粧料を用いた施術により皮膚温の上昇が認められ、温感実感が高いことが明らかとなり、パラベンを加えずとも防腐力は高く、パラベンを含有された場合と比べて刺激感が少ないことが証明された。

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、温感ジェル状化粧料に於ける、防腐効果を有し抗菌性多価アルコールの添加で損なわれた温感付与効果を補い、温感効果を高めた化粧料に応用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩と、2)多価アルコール90質量%と、3)メントール及び/又はグリセリルモノメンチルエーテルとを、含有するジェル状化粧料において、前記多価アルコールとして、1気圧25℃の条件で流動性を有するポリエチレングリコール10〜30質量%と、抗菌性多価アルコールとして、1,3−ブタンジオール及び/又はジプロピレングリコールを5〜40質量%含有することを特徴とする、化粧料。
【請求項2】
更に、トウガラシエキスを含有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
パラベン類を配合していないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
温感を付与するマッサージ用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2010−37272(P2010−37272A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202045(P2008−202045)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】