説明

マッサージ椅子

【課題】簡素な構成でも、腕への高質な施療を行うことができるマッサージ椅子を提供する。
【解決手段】座面12の両側に設けられた肘掛け部15の上面15aには空気袋17が備えられるとともに、カバー片16の下面16aには使用者の腕を押圧するツボ押圧用突部18,19が一体に設けられ、膨縮する空気袋17とツボ押圧用突部18,19とで使用者の腕を上下方向に圧迫する施療が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気袋を膨縮させ使用者に施療を行うマッサージ椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ椅子の肘掛け部等などに設けた空気袋をエアポンプにより膨脹及び収縮させ、使用者に施療を行うマッサージ椅子が広く知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2のマッサージ椅子では、肘掛け部と、その肘掛け部の上方に肘掛け部の上面に対して接離可能かつ所定間隔以上の離間が規制されたカバー片とが設けられており、肘掛け部とカバー片との間には手や腕などを挿入することができるようになっている。また、肘掛け部とカバー片とが対向する肘掛け部の上面及びカバー片の下面には、エアポンプからの空気の給排により膨縮する空気袋が設けられており、これら空気袋で使用者の腕(主として前腕部)を上下方向に挟持して押圧する施療を行っている。また両文献とも、カバー片側の空気袋にて、前腕部の手三里や曲池というツボを集中的に押圧する構成となっており、より高質な施療が行えるようになっている。
【特許文献1】特開2005−177279号公報
【特許文献2】特開2005−349130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のマッサージ椅子では、肘掛け部の上面及びカバー片の下面のそれぞれに設けられる空気袋にて腕を挟持する構成のため、多くの空気袋が使用されているが、空気袋の数に比例するようにエアポンプと空気袋とを接続する配管路や、各配管路の途中に設けられた電磁弁などの部品の部品点数が増える要因となっていた。そのため、簡素な構成でも、高質な施療が遜色なく行えるように構成するのが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡素な構成でも、腕への高質な施療を行うことができるマッサージ椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、使用者の着座可能な座面の両側に設けられた肘掛け部と、該肘掛け部の上面側に設けられ前記使用者の腕を前記肘掛け部とで挟持可能なカバー片とを備え、前記肘掛け部の上面と前記カバー片の下面との間で空気袋の膨縮による施療を行うマッサージ椅子であって、前記肘掛け部の上面には前記空気袋が備えられるとともに、前記カバー片の下面には前記使用者の腕のツボ押圧用突部が一体に設けられ、膨縮する前記空気袋と前記ツボ押圧用突部とで前記使用者の腕を上下方向に圧迫する施療を行うことをその要旨とする。
【0007】
この発明では、肘掛け部の上面には空気袋が備えられるとともに、カバー片の下面には使用者の腕のツボ押圧用突部が一体に設けられ、膨縮する空気袋とツボ押圧用突部とで使用者の腕を上下方向に圧迫する施療が行われる。そのため、肘掛け部の上面及びカバー片の下面のそれぞれに空気袋を設けた場合と比較して、空気袋の数及びそれに関わる配管路や電磁弁等の数を少なく簡素に構成でき、空気袋とツボ押圧用突部とで腕に対して高質な施療を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ椅子において、前記ツボ押圧用突部は、前記カバー片に一体成形されていることをその要旨とする。
この発明では、ツボ押圧用突部がカバー片に一体成形されたことで、例えばツボ押圧用突部を別部品としてカバー片に取り付けて構成した場合と比較して部品点数を少なくでき、より簡素な構成を図ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のマッサージ椅子において、前記ツボ押圧用突部は、前記使用者の前腕部のツボである手三里及び曲池にそれぞれ対応して独立して設けられていることをその要旨とする。
【0010】
この発明では、ツボ押圧用突部は、使用者の前腕部のツボである手三里及び曲池にそれぞれ対応して独立して設けられている。これにより、手三里と曲池とを独立して押圧することができ、より効果的な施療を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡素な構成でも、腕への高質な施療を行うことができるマッサージ椅子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ椅子10を示す。マッサージ椅子10は、左右一対の支持脚部11にて支持された座面12の後端に背もたれ部13が幅方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられ、該座面12の後端にオットマン14が同方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられている。座面12の両側には、前後方向に延びる肘掛け部15が組み付けられている。
【0013】
肘掛け部15の前端には、カバー片16が幅方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられている。即ち、カバー片16は、その後端自由端側が肘掛け部15の上面15aから所定角度で拡開するように設けられており、使用者の前腕部A(図2及び図3参照、腕の肘から手側部分)が肘掛け部15との間に挿入できるようになっている。カバー片16と対向する肘掛け部15の上面15aには空気袋17が設置され、肘掛け部15の上面15aと対向するカバー片16の下面16aには2つのツボ押圧用突部18,19が肘掛け部15側に向けて突出する態様でカバー片16に一体に設けられている。この場合、カバー片16は樹脂成形品であり、ツボ押圧用突部18,19はその成形に伴って一体成形される。
【0014】
ツボ押圧用突部18,19は、図2に示すように、膨縮する空気袋17とで肘掛け部15及びカバー片16との間に挿入された使用者の前腕部Aの施療を行うためのものであり、図3に示すように使用者の前腕部Aのツボである手三里と曲池とを独立して刺激するように設けられている。また、ツボ押圧用突部18,19は、手三里と曲池とをそれぞれ押圧する長方形状の押圧面18a,19aを有し、該押圧面18a,19aの長手方向である幅方向長さがカバー片16の幅方向長さと同程度とされ、手三里と曲池とを押圧するには十分広い面積で形成されている。
【0015】
肘掛け部15の上面15aに設置される空気袋17には、可撓性を有する配管路としての接続ホース20の先端が接続され、該接続ホース20の基端は、座面12の下側の支持脚部11間に設置される駆動装置21に向けて取り回されている。
【0016】
駆動装置21は、家庭用商用電源の供給に基づいて電動駆動されるエアポンプ22と、該エアポンプ22にそれぞれ接続された複数の電磁弁23(図1では1つのみ図示)とから構成されている。電磁弁23の吐出側接続部23aには肘掛け部15側の空気袋17から延びる接続ホース20の基端が接続されている。
【0017】
そして、エアポンプ22の駆動により圧縮空気が生成され、電磁弁23が大気開放側から供給側に切り替わると、該エアポンプ22からの圧縮空気が接続ホース20を通じて空気袋17が膨張する。このとき、空気袋17の膨脹に伴って上方向(カバー片16側)に押し上げられる使用者の前腕部Aがツボ押圧用突部18,19に押し付けられるようになっている。一方、空気袋17の所定の膨張動作が終了すると、電磁弁23が供給側から大気開放側に切り替わり、空気袋17内の空気が大気に開放され、該空気袋17の収縮動作となる。施療時には、この膨張・収縮動作が繰り返される。
【0018】
これにより、肘掛け部15とカバー片16との間に使用者の前腕部Aを挿入した状態(この場合、手のひらを肘掛け部15の上面15aに向けて配置)では、ツボ押圧用突部18,19が前腕部Aの上面にある手三里や曲池などのツボを押圧し、所定押圧後、空気袋17の空気が抜かれて収縮し、その押圧状態から解放される。このように前腕部Aには、上下方向からの押圧に基づく揉みや圧迫といった施療が行われる。
【0019】
因みに、このマッサージ椅子10には、座面12の両側部には臀部用の一対の空気袋24が設置され、背もたれ部13の下部両側には腰部用の一対の空気袋25が設置され、オットマン14にはふくらはぎ部用の複数の空気袋26が設置されている。各空気袋24〜26は、エアポンプ22及び各空気袋24〜26に対応する電磁弁(図示略)の作動により膨縮が行われて、臀部や腰部、ふくらはぎ部といった各施療部位もエアマッサージが行われるようになっている。
【0020】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)肘掛け部15の上面15aには空気袋17が備えられるとともに、カバー片16の下面16aには使用者の腕を押圧するツボ押圧用突部18,19が一体に設けられ、膨縮する空気袋17とツボ押圧用突部18,19とで使用者の前腕部Aを上下方向に圧迫する施療が行われる。そのため、例えば肘掛け部15の上面15a及びカバー片16の下面16aのそれぞれに空気袋を設けた場合と比較して、空気袋の数及びそれに関わる接続ホースや電磁弁等の数を少なく簡素に構成でき、空気袋17とツボ押圧用突部18,19とで前腕部Aに対して高質な施療を行うことができる。
【0021】
(2)ツボ押圧用突部18,19がカバー片16に一体成形されたことで、例えばツボ押圧用突部18,19を別部品としてカバー片16に取り付けて構成した場合と比較して部品点数を少なくでき、より簡素な構成を図ることができる。
【0022】
(3)ツボ押圧用突部18,19は、使用者の前腕部Aのツボである手三里及び曲池にそれぞれ対応して独立して設けられている。これにより、手三里と曲池とを独立して押圧することができ、より効果的な施療を行うことができる。
【0023】
(4)ツボ押圧用突部18,19は、手三里と曲池とをそれぞれ押圧する長方形状の押圧面18a,19aを有し、該押圧面18aの長手方向である幅方向長さがカバー片16の幅方向長さと同程度とされ、手三里と曲池とを押圧するには十分広い面積で形成されている。そのため、肘掛け部15の上面15aに挿入する前腕部Aが推奨位置からずれたとしても、手三里や曲池のツボを刺激することが可能である。また、使用者の身体の大きさ、つまり前腕部Aの大きさの違いにも対応することができる。
【0024】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、カバー片16に2つのツボ押圧用突部18,19を設けているが、これに限らず、ツボ押圧用突部を1つ若しくは3つ以上の突起を設けてもよい。
【0025】
・上記実施形態では、ツボ押圧用突部18,19を使用者の前腕部Aの手三里や曲池といったツボを押圧するような位置に設けているが、これに限らず、その他のツボでもよい。
【0026】
・上記実施形態では、ツボ押圧用突部18,19の押圧面18a,19aを広い面積の長方形状としたが、手三里や曲池などのツボをより集中的に押圧すべくその面積を小とした突起状にツボ押圧用突部を形成してもよい。
【0027】
・上記実施形態では、カバー片16にツボ押圧用突部18,19を一体成形しているが、カバー片16とは別部材で構成したツボ押圧用突部18,19をカバー片16に取り付けるようにしてもよい。
【0028】
・上記実施形態では、特に言及していないが、背もたれ部13に使用者の背中を施療する揉み玉による機械式のマッサージ機構を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態におけるマッサージ椅子の概略構成図である。
【図2】前腕部挿入時の説明をするための説明図である。
【図3】ツボ押圧用突部の位置を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10…マッサージ椅子、12…座面、15…肘掛け部、15a…上面、16…カバー片、16a…下面、17…空気袋、18,19…ツボ押圧用突部、A…前腕部(腕)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の着座可能な座面の両側に設けられた肘掛け部と、該肘掛け部の上面側に設けられ前記使用者の腕を前記肘掛け部とで挟持可能なカバー片とを備え、前記肘掛け部の上面と前記カバー片の下面との間で空気袋の膨縮による施療を行うマッサージ椅子であって、
前記肘掛け部の上面には前記空気袋が備えられるとともに、前記カバー片の下面には前記使用者の腕のツボ押圧用突部が一体に設けられ、膨縮する前記空気袋と前記ツボ押圧用突部とで前記使用者の腕を上下方向に圧迫する施療を行うことを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ椅子において、
前記ツボ押圧用突部は、前記カバー片に一体成形されていることを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッサージ椅子において、
前記ツボ押圧用突部は、前記使用者の前腕部のツボである手三里及び曲池にそれぞれ対応して独立して設けられていることを特徴とするマッサージ椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−195609(P2009−195609A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43094(P2008−43094)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】