マッサージ機
【課題】 椅子型のマッサージ機において、もみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、好みの形状に容易に選択できるようにする。
【解決手段】 上下一対のもみ玉を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、水平軸回りに上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機であって、操作器5には、電源入/切スイッチ32a、基本的なマッサージ動作のスイッチ38および自動コース選択スイッチ37を設けるとともに、手掌、手根、拇指のそれぞれのもみ手の形状に対応したもみ手選択スイッチ35a,35b,35cを設ける。したがって、自動コースの施療中でも、前記スイッチ35a,35b,35cの一操作で、使用者はもみ手の形状を、好みの形状に切換えることができる。
【解決手段】 上下一対のもみ玉を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、水平軸回りに上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機であって、操作器5には、電源入/切スイッチ32a、基本的なマッサージ動作のスイッチ38および自動コース選択スイッチ37を設けるとともに、手掌、手根、拇指のそれぞれのもみ手の形状に対応したもみ手選択スイッチ35a,35b,35cを設ける。したがって、自動コースの施療中でも、前記スイッチ35a,35b,35cの一操作で、使用者はもみ手の形状を、好みの形状に切換えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、特に上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、椅子型のマッサージ機において、施療子の軌跡を変更して、人がもんでいるようなマッサージ感に近付けたマッサージ機は数多く存在する。また、特許文献1で見られるように、上下一対の施療子の間隔を変更したり、特許文献2や3で見られるように、施療子の揺動を固定/解除することで、使用者の背中に前記上下一対の施療子の両方を接触させたり、一方のみを接触させたりすることで、より効果的なマッサージを行えるようにした構成も多数存在する。
【0003】
しかしながら、前記上下一対の施療子の間隔を変更可能とすることで、それらでつかみ動作を実現した構成はなく、本件出願人は、先に特許文献4において、そのような構成でつかみ動作を実現するにあたって、エアバッグを使用することで、施療子のつかみ方が柔らかくても(痛みを伴うような過大な力でつかんでしまうようなことがなく)、これまでは効果の得難かったつかみ動作において、強いマッサージ効果が得られる構成を提案している。また、この未公開の技術では、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能とすることで、使用者の背中に前記上下一対の施療子の両方を接触させたり、一方のみを接触させたりすることで、もみ手の形まで変化可能に構成されている。
【特許文献1】特開2001−149436号公報
【特許文献2】特開平11−309189号公報
【特許文献3】特開2001−198169号公報
【特許文献4】特願2004−219299号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この未公開の技術では、もみ手の形まで変化させることが可能であるが、使用者が所望とする手の形を実現するには、前記上下一対の施療子の間隔を調整し、かつ該一対の施療子を揺動させるかどうかを設定しなければならず、操作が煩雑で、使用者はどのように使用したらよいのか分からず、また自分が所望とするマッサージに有効な選択が分からず、その高い機能を生かせていないのが現実である。
【0005】
本発明の目的は、もみ手の形状を好みの形状に容易に選択することができる椅子型のマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージ機は、上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を前記上下方向に揺動可能な機構を有する椅子型のマッサージ機であって、前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、間隔が長で揺動が可、間隔が短で揺動が可の3通りの組合わせをそれぞれ実現する個別の操作手段を有することを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機であって、前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、具体的には使用者に一方の施療子を接触させ、拇指による強い指圧に等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が長で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、手掌(パー)による柔らかいマッサージに等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が短で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、柔らかい手根(グー)による押しやもみに等しい効果を得ることができる組合わせとの3通りの組合わせを、それぞれ一操作で選択可能な個別の操作手段を設ける。
【0008】
したがって、使用者は、所望とする組合わせに対応した操作手段を1回操作するだけで、もみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、好みの形状に容易に選択することができる。また、具体的効果が乏しいと思われる施療子間隔が短で揺動が不可、すなわち硬い手根(グー)の組合わせに対しては対応する操作手段を設けないので、最小限の操作手段で、有効な動作を実現することができる。
【0009】
また、本発明のマッサージ機は、前記操作手段に関連して、現在選択されている組合わせを表示する表示手段をさらに設けることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、押しボタンスイッチなどで実現される操作手段内に選択されると点灯する発光手段を設けたり、前記操作手段に隣接して別途に表示手段を設けるなどして、現在選択されている組合わせを表示する表示手段をさらに設けることで、使用者は現在選択されているもみ手の形状を容易に確認することができ、適切な選択を容易に行うことができる。
【0011】
さらにまた、本発明のマッサージ機は、予め定められた施療プログラムに従った手順で施療を行うことができる自動施療機能を実現する動作制御手段を有し、前記動作制御手段は、前記操作手段からの出力に応答し、前記施療プログラム内の施療子の間隔および揺動の可否を、選択された組合わせに固定することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、上述のようにもみ手の形まで変化可能に構成した場合、自動施療機能で予め定められた施療プログラムに従った手順で自動的に施療を行うにあたって、もみ手の形は、それぞれのマッサージ動作で最も適切と思われ形にデフォルト値が設定されるが、それを前記操作手段の操作によって、一気に切換えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマッサージ機は、以上のように、上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機であって、前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、具体的には使用者に一方の施療子を接触させ、拇指による強い指圧に等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が長で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、手掌(パー)による柔らかいマッサージに等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が短で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、柔らかい手根(グー)による押しやもみに等しい効果を得ることができる組合わせとの3通りの組合わせを、それぞれ一操作で選択可能な個別の操作手段を設ける。
【0014】
それゆえ、使用者は、所望とする組合わせに対応した操作手段を1回操作するだけで、もみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、好みの形状に容易に選択することができる。また、具体的効果が乏しいと思われる施療子間隔が短で揺動が不可、すなわち硬い手根(グー)の組合わせに対しては対応する操作手段を設けないので、最小限の操作手段で、有効な動作を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係るマッサージ機の斜視図である。マッサージ機本体1は、上半身マッサージを行うための後述の施療子を備えるマッサージ機構を搭載した背もたれ部2と、腕置き部3と、下腿部のマッサージを行うためのエアバッグを備える脚置き部4と、マッサージ動作の種類、強弱、位置調節等を行うための操作器5とを備えて構成される。
【0016】
前記背もたれ部2の内部には、図2で示すマッサージ施療装置10が内臓されている。マッサージ施療装置10は、左右一対で構成されており、この図2は左側のマッサージ施療装置の左側面を示し、図略の右側のマッサージ施療装置は対称に構成される。左右のマッサージ施療装置10が連動して動作することで、もみやたたきなどのマッサージ動作が可能になるとともに、図示しない昇降機構によって背もたれ部2内を昇降することで、背筋伸ばしなどが可能となっている。
【0017】
マッサージ施療装置10は、施療子である上下一対のもみ玉11,12を有し、前記各もみ玉11,12は、ステイ13,14の遊端側においてピン11a,12aによって水平軸線回りに回転可能に枢支されている。前記ステイ13,14の基端側は、人間の手首に相当するつかみ支軸15によってアームプレート16の一端において水平軸線回りに揺動可能に支持されている。前記アームプレート16の略中央は支軸17によって水平軸線回りに揺動可能に支持されており、またこのアームプレート16には、略円弧状に形成され外周面に歯車18が刻設された駆動プレート19が固着されており、該アームプレート16の他端側で、前記歯車18には図示しないモータの出力軸に固着された歯車20が噛合している。この歯車20が回転することで、人間の腕に相当するするアームプレート16がひじに相当する支軸17回りに揺動し、前記もみ玉11,12およびステイ13,14が背もたれ部2から出没することになる。
【0018】
一方、前記アームプレート16には、フロートエアバック取り付け台21が設けられており、フロートエアバック22の一端が固着されている。前記フロートエアバック22の他端にはフロートエアバック天面台23が設けられており、このフロートエアバック天面台23は前記ステイ13の背面側に設けられている。また、ステイ13にはつかみエアバック天面台24が設けられており、つかみエアバック25の一端が固着されている。前記つかみエアバック25の他端にはつかみエアバック天面台26が設けられており、このつかみエアバック天面台26は前記ステイ14に接続されている。
【0019】
このような構成によって、図3→図4で示すように、つかみエアバック25を膨張させることで、ステイ13に対してステイ14の交差する角度は小さくなり、その遊端に設けられた前記もみ玉11,12の間隔を狭くすることができる。また、図3→図5で示すように、フロートエアバック22を膨張させることで、アームプレート16からステイ13が押し出され、これに連動してステイ14が後退する。
【0020】
そして、図3では、前記フロートエアバック22は縮小しており、したがってステイ13は、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってアームプレート16に対して前記つかみ支軸15回りに揺動可能となっており、さらにステイ14も、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってステイ13に対して揺動可能となっている。したがって、図3では、もみ玉11,12の間隔が長く、かつステイ13,14は柔らかく揺動が可能となり、両方のもみ玉11,12は使用者の背中30に広範囲に接触し、かつその湾曲に追従して接触するので、手掌(パー)のような柔らかい接触感を得ることができるもみ手の形が再現されている。
【0021】
一方、図4では、前記フロートエアバック25は縮小しており、したがってステイ13は、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってアームプレート16に対して揺動可能となっているけれども、つかみエアバック25が膨張しているので、ステイ14はステイ13に対して前記狭い角度で交差し、かつ該ステイ13に対して一体(固定)となっている。したがって、図4は、もみ玉11,12の間隔が短く、かつステイ13,14はつかみ支軸15回りに柔らかく揺動が可能となり、両方のもみ玉11,12は使用者の背中30の狭い範囲で接触し、かつその湾曲に追従して接触するので、前記手掌より小さく、指より大きな接触感を得ることができる柔らかい手根(グー)のようなもみ手の形が再現されている。
【0022】
さらにまた、図5では、前記フロートエアバック22は膨張しており、したがってステイ13はアームプレート16に対して固定されており、ステイ14は、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってステイ13に対して前記つかみ支軸15回りに揺動可能となっている。したがって、図5は、もみ玉11,12の間隔が長く、かつステイ13が押し出されて固定され、使用者の背中30に一方のもみ玉11のみを接触させ、拇指のようなもみ手の形が再現されている。
【0023】
ここで、前記フロートエアバック22を膨張してステイ13をアームプレート16から押し出して固定し、かつつかみエアバック25を膨張すると、もみ玉11,12の間隔が短く固定され、硬い手根(グー)を再現することができる。しかしながら、もみやつかみのマッサージにおいて、そのようなもみ手の形は必要に乏しく、本発明で採用するのは、一対のもみ玉11,12における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、前述の3通りである。もみ玉11,12の間隔および揺動の可否によって形成される前述のもみ手の形を、図6に纏めて示す。
【0024】
なお、前記もみ玉11,12の間隔の変更や、揺動の可否の切換えは、前記エアバッグに限らず、モータに送りねじを使用した構成などでも実現することができる。
【0025】
図7は、上述のように構成されるマッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。前記操作器5側の制御回路31とマッサージ機本体1側の制御回路41とは、有線または無線で(図7では有線で)相互に通信可能となっているとともに、マッサージ機本体1側の電源回路42において、商用電源43から作成された電力が、操作器5側の各回路へ供給される(無線の場合は、内蔵電池から電源供給)。
【0026】
前記操作器5は、もみ玉11,12の動かし方を変更するための動作選択スイッチや、もみ玉11,12の作動および各種調節のためのスイッチから成るスイッチ群32および選択情報やもみ玉の動作位置等についての各種情報を表示するための表示部33,34を備えるとともに、マイクロコンピュータから成り、操作された内容やもみ玉に関する情報を前記マッサージ機本体1側の制御回路41との間で通信する前記制御回路31を備えて構成されている。
【0027】
前記スイッチ群32は、たとえば電源入/切スイッチと、マッサージ動作を終了した際に各部を折り畳み、収納状態とする収納スイッチと、もみ玉の動作を選択するための動作選択スイッチと、もみ幅を選択するための幅選択スイッチと、もみ強度を選択するための強弱選択スイッチと、もみ方向を選択するための上下選択スイッチと、もみ速度を選択するための速度選択スイッチと、各種の自動コースの中からコースを選択するための自動コース選択スイッチと、肩位置を調整するための肩位置選択スイッチと、前述のようなもみ手の形を選択するもみ手選択スイッチとを備えて構成されている。
【0028】
前記電源入/切スイッチで電源が投入され、動作選択スイッチで動作が選択されると、手動モードとなり、幅選択スイッチで選択されたもみ幅で、強弱選択スイッチで選択されたもみ強度で、上下選択スイッチで選択されたもみ方向で、速度選択スイッチで選択されたもみ速度で、参照符35で示すような、前記もみ手選択スイッチで選択された形状のもみ手で、前記もみ玉11,12の駆動が行われる。そのもみ玉11,12の動作としては、参照符36で示すような、もみ上げ、もみ下げ、たたき、背筋伸ばし、部分背筋伸ばし、たたき背筋伸ばし、部分たたき背筋伸ばし、指圧、3段指圧、おしもみ、こねもみなどである。
【0029】
また、前述のような動作選択スイッチによる個別動作ではなく、前記電源入/切スイッチで電源が投入され、前記自動コース選択スイッチによって各種の自動コースの中からコースが選択されると、幅選択スイッチで選択されたもみ幅で、強弱選択スイッチで選択されたもみ強度で、前記もみ玉11,12の駆動が行われる。その自動コースとしては、予めプログラムされており、参照符37で示すような、上半身コース、首・肩コース、リラックスコース、リフレッシュコースなどである。
【0030】
前記マッサージ機本体1側では、マッサージ機構44と、マイクロコンピュータから成り、前記操作器5側の制御回路31からの制御指令に応答して、前記マッサージ機構44や、前記背もたれ部2を起伏駆動するリクライニング手段45を駆動し、動作制御手段である前記制御回路41と、前記電源回路42と、前記もみ玉11,12の動作位置(上下位置、幅位置、強弱位置)や、もみ玉11,12の動作速度を検出し、その検出結果を前記制御回路41に入力して制御に反映させる各種のセンサ46とを備えて構成される。
【0031】
図8は、前記操作器5を拡大して示す正面図である。操作機5の中央には、液晶表示パネルなどから成る表示部34が設けられており、その周囲に、前記スイッチ群32が配置されている。前記スイッチ群32のうち、電源入/切スイッチ32a、基本的なマッサージ動作のスイッチ38、自動コース選択スイッチ37およびもみ手選択スイッチ35は、操作器5の前面に個別に設けられており、操作頻度の少ない残余のスイッチは、蓋39を開放して操作するようになっている。
【0032】
注目すべきは、本発明では、前記もみ手選択スイッチ35として、図8で示すように、前記図3、図4および図5で示す手掌、手根および拇指の各もみ手に個別に対応したスイッチ35a,35b,35cが設けられていることである。操作手段であるこれらのスイッチ35a,35b,35cを操作するだけで、前記エアバッグ22,25に吸排気が行われ、所望とするもみ手の形が再現される。前記各スイッチ35a,35b,35c内には、発光ダイオードなどから成る前記表示部33が、それぞれ参照符号33a,33b,33cで示すように埋め込まれており、選択されたもみ手に対応した表示部が点灯する。
【0033】
また、前記表示部34には、現在施療中のもみ手の形を表示するもみ手表示部40が設けられている(図8では、理解し易くするために、前記手掌、手根および拇指の総てのもみ手が示されているが、実際に表示されるのは、選択されたもみ手に対応した1種類だけである。)。使用者は、この表示部34のもみ手表示部40を見ることで、選択されているもみ手の形を確認することができる。なお、このようなピクトの表示によって使用者に認識させる以外に、文字表示や音声表示でも、同様の効果を得ることができる。
【0034】
上述のように構成されるマッサージ機において、先ず動作選択スイッチによる手動モードでは、前述のように選択されたもみ幅、もみ強度、もみ方向、もみ速度、もみ手形状で、前記もみ玉11,12の駆動が行われ、もみ上げ、もみ下げ、たたき、背筋伸ばし、部分背筋伸ばし、たたき背筋伸ばし、部分たたき背筋伸ばし、指圧、3段指圧、おしもみ、こねもみなどの手技が行われる。このとき、各選択スイッチによる選択が行われていない場合にはデフォルト値やセンシングなどによって動作が行われる。すなわち、強度や速度はたとえば中程度のデフォルト値に設定され、肩位置などはセンシングによって設定される。一方、もみ手の形は、各手技に最も適切と思われる形状が予めデフォルト値として選ばれており、使用者が前記スイッチ35a,35b,35cから選択することでその選択された形状となり、選択されない場合は前記デフォルト値の形状となる。
【0035】
同様に、自動コースでも、各手技に最も適切と思われる形状が予めデフォルト値として選ばれており、使用者が前記スイッチ35a,35b,35cから選択することでその選択された形状となり、選択されない場合は前記デフォルト値の形状となる。図9は、前記自動コースにおける手技の流れと、各手技に対応したデフォルト値のもみ手の形状とを説明するための図である。この図9で示す例は、前述の上半身コースの例である。
【0036】
図10は、施療途中で前記もみ手選択スイッチ35が操作された場合のもみ手の変化を表し、第8ステップの背筋伸ばしの手技の開始直後または途中にスイッチ35cが選択されて拇指が選択された例を示している。この図10では、前記各スイッチ35a,35b,35cのいずれかが操作されると、次に他のスイッチが操作されるまで、但しコース終了まで他のスイッチが操作されない場合はコース終了まで、選択されたもみ手に変更が行われる例を示しており、したがって、変更された前記第8ステップの背筋伸ばしの手技以降、総てのステップが拇指に切換わっている。
【0037】
これに対して、図11の例は、前記各スイッチ35a,35b,35cのいずれかが操作されると、その手技のみ、デフォルト値から選択されたもみ手に変更が行われる例を示しており、したがって前記第8ステップの背筋伸ばしの手技のみ、拇指に切換わっている。
【0038】
このように構成することで、上下一対のもみ玉11,12における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、マッサージに有効な3つの組合わせのいずれかを、もみ手選択の個別のスイッチ35a,35b,35cを操作するだけの一操作で選択することができ、使用者は、所望とするもみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、容易に選択することができる。これによって、より心地良いマッサージを提供することができる。また、具体的効果が乏しいと思われるもみ玉11,12の間隔が短く、かつステイ13,14の揺動が不可、すなわち硬い手根(グー)の組合わせに対しては、対応するスイッチを設けないので、最小限の操作手段で、有効な動作を実現することができる。
【0039】
また、前記各もみ手選択のスイッチ35a,35b,35cに関連して、現在選択されているもみ手の形を表示する表示部33a,33b,33cおよびもみ手表示部40を設けているので、使用者は現在選択されているもみ手の形状を容易に確認することができ、適切な選択を容易に行うことができる。
【0040】
さらにまた、制御回路41が、自動施療機能で予め定められた施療プログラムに従った手順で自動的に施療を行うにあたって、もみ手の形は、それぞれのマッサージ動作で最も適切と思われ形にデフォルト値が設定されるが、それを前記もみ手選択のスイッチ35a,35b,35cの操作によって、一気に切換えることができる。
【0041】
なお、図示していないが、記憶装置を備えて、使用者個々の好みのもみ手形状を記憶させておくことで、次の施療から、使用者の設定を行うだけで、その好みのもみ手でマッサージ動作を開始することができるので、さらに煩わしい操作なしでマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の一形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】図1で示すマッサージ機におけるマッサージ施療装置の構造を示す側面図である。
【図3】前記マッサージ施療装置によって再現されるもみ手の形状の一例を示すもので、手掌を再現した場合の側面図である。
【図4】前記マッサージ施療装置によって再現されるもみ手の形状の一例を示すもので、手根を再現した場合の側面図である。
【図5】前記マッサージ施療装置によって再現されるもみ手の形状の一例を示すもので、拇指を再現した場合の側面図である。
【図6】前記マッサージ施療装置によって再現される各もみ手の形状に対して、もみ玉の間隔およびその揺動の可否の関係を纏めて示す図である。
【図7】図1で示すマッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】操作器を拡大して示す正面図である。
【図9】自動コースにおける手技の流れと、各手技に対応したデフォルト値のもみ手の形状とを説明するための図である。
【図10】前記自動コースにおいて、施療途中でもみ手選択スイッチが操作された場合のもみ手の変化の一例を説明するための図である。
【図11】前記自動コースにおいて、施療途中でもみ手選択スイッチが操作された場合のもみ手の変化の他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
1 マッサージ機本体
2 背もたれ部
3 腕置き部
4 脚置き部
5 操作器
10 マッサージ施療装置
11,12 もみ玉
13,14 ステイ
15 つかみ支軸
16 アームプレート
17 支軸
18,20 歯車
19 駆動プレート
22 フロートエアバック
25 つかみエアバック
30 背中
31,41 制御回路
32 スイッチ群
32a 電源入/切スイッチ
33;33a,33b,33c 表示部
34 表示部
35;35a,35b,35c もみ手選択スイッチ
37 自動コース選択スイッチ
38 基本的なマッサージ動作のスイッチ
40 もみ手表示部
42 電源回路
43 商用電源
44 マッサージ機構
45 リクライニング手段
46 センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、特に上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、椅子型のマッサージ機において、施療子の軌跡を変更して、人がもんでいるようなマッサージ感に近付けたマッサージ機は数多く存在する。また、特許文献1で見られるように、上下一対の施療子の間隔を変更したり、特許文献2や3で見られるように、施療子の揺動を固定/解除することで、使用者の背中に前記上下一対の施療子の両方を接触させたり、一方のみを接触させたりすることで、より効果的なマッサージを行えるようにした構成も多数存在する。
【0003】
しかしながら、前記上下一対の施療子の間隔を変更可能とすることで、それらでつかみ動作を実現した構成はなく、本件出願人は、先に特許文献4において、そのような構成でつかみ動作を実現するにあたって、エアバッグを使用することで、施療子のつかみ方が柔らかくても(痛みを伴うような過大な力でつかんでしまうようなことがなく)、これまでは効果の得難かったつかみ動作において、強いマッサージ効果が得られる構成を提案している。また、この未公開の技術では、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能とすることで、使用者の背中に前記上下一対の施療子の両方を接触させたり、一方のみを接触させたりすることで、もみ手の形まで変化可能に構成されている。
【特許文献1】特開2001−149436号公報
【特許文献2】特開平11−309189号公報
【特許文献3】特開2001−198169号公報
【特許文献4】特願2004−219299号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この未公開の技術では、もみ手の形まで変化させることが可能であるが、使用者が所望とする手の形を実現するには、前記上下一対の施療子の間隔を調整し、かつ該一対の施療子を揺動させるかどうかを設定しなければならず、操作が煩雑で、使用者はどのように使用したらよいのか分からず、また自分が所望とするマッサージに有効な選択が分からず、その高い機能を生かせていないのが現実である。
【0005】
本発明の目的は、もみ手の形状を好みの形状に容易に選択することができる椅子型のマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージ機は、上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を前記上下方向に揺動可能な機構を有する椅子型のマッサージ機であって、前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、間隔が長で揺動が可、間隔が短で揺動が可の3通りの組合わせをそれぞれ実現する個別の操作手段を有することを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機であって、前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、具体的には使用者に一方の施療子を接触させ、拇指による強い指圧に等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が長で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、手掌(パー)による柔らかいマッサージに等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が短で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、柔らかい手根(グー)による押しやもみに等しい効果を得ることができる組合わせとの3通りの組合わせを、それぞれ一操作で選択可能な個別の操作手段を設ける。
【0008】
したがって、使用者は、所望とする組合わせに対応した操作手段を1回操作するだけで、もみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、好みの形状に容易に選択することができる。また、具体的効果が乏しいと思われる施療子間隔が短で揺動が不可、すなわち硬い手根(グー)の組合わせに対しては対応する操作手段を設けないので、最小限の操作手段で、有効な動作を実現することができる。
【0009】
また、本発明のマッサージ機は、前記操作手段に関連して、現在選択されている組合わせを表示する表示手段をさらに設けることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、押しボタンスイッチなどで実現される操作手段内に選択されると点灯する発光手段を設けたり、前記操作手段に隣接して別途に表示手段を設けるなどして、現在選択されている組合わせを表示する表示手段をさらに設けることで、使用者は現在選択されているもみ手の形状を容易に確認することができ、適切な選択を容易に行うことができる。
【0011】
さらにまた、本発明のマッサージ機は、予め定められた施療プログラムに従った手順で施療を行うことができる自動施療機能を実現する動作制御手段を有し、前記動作制御手段は、前記操作手段からの出力に応答し、前記施療プログラム内の施療子の間隔および揺動の可否を、選択された組合わせに固定することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、上述のようにもみ手の形まで変化可能に構成した場合、自動施療機能で予め定められた施療プログラムに従った手順で自動的に施療を行うにあたって、もみ手の形は、それぞれのマッサージ動作で最も適切と思われ形にデフォルト値が設定されるが、それを前記操作手段の操作によって、一気に切換えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマッサージ機は、以上のように、上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を略水平軸線回りで前記上下方向に揺動可能な機構を有することで、もみ手の形まで変化可能にした椅子型のマッサージ機であって、前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、具体的には使用者に一方の施療子を接触させ、拇指による強い指圧に等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が長で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、手掌(パー)による柔らかいマッサージに等しい効果を得ることができる組合わせと、間隔が短で揺動が可、具体的には使用者に両方の施療子を接触させ、柔らかい手根(グー)による押しやもみに等しい効果を得ることができる組合わせとの3通りの組合わせを、それぞれ一操作で選択可能な個別の操作手段を設ける。
【0014】
それゆえ、使用者は、所望とする組合わせに対応した操作手段を1回操作するだけで、もみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、好みの形状に容易に選択することができる。また、具体的効果が乏しいと思われる施療子間隔が短で揺動が不可、すなわち硬い手根(グー)の組合わせに対しては対応する操作手段を設けないので、最小限の操作手段で、有効な動作を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係るマッサージ機の斜視図である。マッサージ機本体1は、上半身マッサージを行うための後述の施療子を備えるマッサージ機構を搭載した背もたれ部2と、腕置き部3と、下腿部のマッサージを行うためのエアバッグを備える脚置き部4と、マッサージ動作の種類、強弱、位置調節等を行うための操作器5とを備えて構成される。
【0016】
前記背もたれ部2の内部には、図2で示すマッサージ施療装置10が内臓されている。マッサージ施療装置10は、左右一対で構成されており、この図2は左側のマッサージ施療装置の左側面を示し、図略の右側のマッサージ施療装置は対称に構成される。左右のマッサージ施療装置10が連動して動作することで、もみやたたきなどのマッサージ動作が可能になるとともに、図示しない昇降機構によって背もたれ部2内を昇降することで、背筋伸ばしなどが可能となっている。
【0017】
マッサージ施療装置10は、施療子である上下一対のもみ玉11,12を有し、前記各もみ玉11,12は、ステイ13,14の遊端側においてピン11a,12aによって水平軸線回りに回転可能に枢支されている。前記ステイ13,14の基端側は、人間の手首に相当するつかみ支軸15によってアームプレート16の一端において水平軸線回りに揺動可能に支持されている。前記アームプレート16の略中央は支軸17によって水平軸線回りに揺動可能に支持されており、またこのアームプレート16には、略円弧状に形成され外周面に歯車18が刻設された駆動プレート19が固着されており、該アームプレート16の他端側で、前記歯車18には図示しないモータの出力軸に固着された歯車20が噛合している。この歯車20が回転することで、人間の腕に相当するするアームプレート16がひじに相当する支軸17回りに揺動し、前記もみ玉11,12およびステイ13,14が背もたれ部2から出没することになる。
【0018】
一方、前記アームプレート16には、フロートエアバック取り付け台21が設けられており、フロートエアバック22の一端が固着されている。前記フロートエアバック22の他端にはフロートエアバック天面台23が設けられており、このフロートエアバック天面台23は前記ステイ13の背面側に設けられている。また、ステイ13にはつかみエアバック天面台24が設けられており、つかみエアバック25の一端が固着されている。前記つかみエアバック25の他端にはつかみエアバック天面台26が設けられており、このつかみエアバック天面台26は前記ステイ14に接続されている。
【0019】
このような構成によって、図3→図4で示すように、つかみエアバック25を膨張させることで、ステイ13に対してステイ14の交差する角度は小さくなり、その遊端に設けられた前記もみ玉11,12の間隔を狭くすることができる。また、図3→図5で示すように、フロートエアバック22を膨張させることで、アームプレート16からステイ13が押し出され、これに連動してステイ14が後退する。
【0020】
そして、図3では、前記フロートエアバック22は縮小しており、したがってステイ13は、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってアームプレート16に対して前記つかみ支軸15回りに揺動可能となっており、さらにステイ14も、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってステイ13に対して揺動可能となっている。したがって、図3では、もみ玉11,12の間隔が長く、かつステイ13,14は柔らかく揺動が可能となり、両方のもみ玉11,12は使用者の背中30に広範囲に接触し、かつその湾曲に追従して接触するので、手掌(パー)のような柔らかい接触感を得ることができるもみ手の形が再現されている。
【0021】
一方、図4では、前記フロートエアバック25は縮小しており、したがってステイ13は、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってアームプレート16に対して揺動可能となっているけれども、つかみエアバック25が膨張しているので、ステイ14はステイ13に対して前記狭い角度で交差し、かつ該ステイ13に対して一体(固定)となっている。したがって、図4は、もみ玉11,12の間隔が短く、かつステイ13,14はつかみ支軸15回りに柔らかく揺動が可能となり、両方のもみ玉11,12は使用者の背中30の狭い範囲で接触し、かつその湾曲に追従して接触するので、前記手掌より小さく、指より大きな接触感を得ることができる柔らかい手根(グー)のようなもみ手の形が再現されている。
【0022】
さらにまた、図5では、前記フロートエアバック22は膨張しており、したがってステイ13はアームプレート16に対して固定されており、ステイ14は、つかみ支軸15回りに取付けられたねじりばねなどによってステイ13に対して前記つかみ支軸15回りに揺動可能となっている。したがって、図5は、もみ玉11,12の間隔が長く、かつステイ13が押し出されて固定され、使用者の背中30に一方のもみ玉11のみを接触させ、拇指のようなもみ手の形が再現されている。
【0023】
ここで、前記フロートエアバック22を膨張してステイ13をアームプレート16から押し出して固定し、かつつかみエアバック25を膨張すると、もみ玉11,12の間隔が短く固定され、硬い手根(グー)を再現することができる。しかしながら、もみやつかみのマッサージにおいて、そのようなもみ手の形は必要に乏しく、本発明で採用するのは、一対のもみ玉11,12における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、前述の3通りである。もみ玉11,12の間隔および揺動の可否によって形成される前述のもみ手の形を、図6に纏めて示す。
【0024】
なお、前記もみ玉11,12の間隔の変更や、揺動の可否の切換えは、前記エアバッグに限らず、モータに送りねじを使用した構成などでも実現することができる。
【0025】
図7は、上述のように構成されるマッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。前記操作器5側の制御回路31とマッサージ機本体1側の制御回路41とは、有線または無線で(図7では有線で)相互に通信可能となっているとともに、マッサージ機本体1側の電源回路42において、商用電源43から作成された電力が、操作器5側の各回路へ供給される(無線の場合は、内蔵電池から電源供給)。
【0026】
前記操作器5は、もみ玉11,12の動かし方を変更するための動作選択スイッチや、もみ玉11,12の作動および各種調節のためのスイッチから成るスイッチ群32および選択情報やもみ玉の動作位置等についての各種情報を表示するための表示部33,34を備えるとともに、マイクロコンピュータから成り、操作された内容やもみ玉に関する情報を前記マッサージ機本体1側の制御回路41との間で通信する前記制御回路31を備えて構成されている。
【0027】
前記スイッチ群32は、たとえば電源入/切スイッチと、マッサージ動作を終了した際に各部を折り畳み、収納状態とする収納スイッチと、もみ玉の動作を選択するための動作選択スイッチと、もみ幅を選択するための幅選択スイッチと、もみ強度を選択するための強弱選択スイッチと、もみ方向を選択するための上下選択スイッチと、もみ速度を選択するための速度選択スイッチと、各種の自動コースの中からコースを選択するための自動コース選択スイッチと、肩位置を調整するための肩位置選択スイッチと、前述のようなもみ手の形を選択するもみ手選択スイッチとを備えて構成されている。
【0028】
前記電源入/切スイッチで電源が投入され、動作選択スイッチで動作が選択されると、手動モードとなり、幅選択スイッチで選択されたもみ幅で、強弱選択スイッチで選択されたもみ強度で、上下選択スイッチで選択されたもみ方向で、速度選択スイッチで選択されたもみ速度で、参照符35で示すような、前記もみ手選択スイッチで選択された形状のもみ手で、前記もみ玉11,12の駆動が行われる。そのもみ玉11,12の動作としては、参照符36で示すような、もみ上げ、もみ下げ、たたき、背筋伸ばし、部分背筋伸ばし、たたき背筋伸ばし、部分たたき背筋伸ばし、指圧、3段指圧、おしもみ、こねもみなどである。
【0029】
また、前述のような動作選択スイッチによる個別動作ではなく、前記電源入/切スイッチで電源が投入され、前記自動コース選択スイッチによって各種の自動コースの中からコースが選択されると、幅選択スイッチで選択されたもみ幅で、強弱選択スイッチで選択されたもみ強度で、前記もみ玉11,12の駆動が行われる。その自動コースとしては、予めプログラムされており、参照符37で示すような、上半身コース、首・肩コース、リラックスコース、リフレッシュコースなどである。
【0030】
前記マッサージ機本体1側では、マッサージ機構44と、マイクロコンピュータから成り、前記操作器5側の制御回路31からの制御指令に応答して、前記マッサージ機構44や、前記背もたれ部2を起伏駆動するリクライニング手段45を駆動し、動作制御手段である前記制御回路41と、前記電源回路42と、前記もみ玉11,12の動作位置(上下位置、幅位置、強弱位置)や、もみ玉11,12の動作速度を検出し、その検出結果を前記制御回路41に入力して制御に反映させる各種のセンサ46とを備えて構成される。
【0031】
図8は、前記操作器5を拡大して示す正面図である。操作機5の中央には、液晶表示パネルなどから成る表示部34が設けられており、その周囲に、前記スイッチ群32が配置されている。前記スイッチ群32のうち、電源入/切スイッチ32a、基本的なマッサージ動作のスイッチ38、自動コース選択スイッチ37およびもみ手選択スイッチ35は、操作器5の前面に個別に設けられており、操作頻度の少ない残余のスイッチは、蓋39を開放して操作するようになっている。
【0032】
注目すべきは、本発明では、前記もみ手選択スイッチ35として、図8で示すように、前記図3、図4および図5で示す手掌、手根および拇指の各もみ手に個別に対応したスイッチ35a,35b,35cが設けられていることである。操作手段であるこれらのスイッチ35a,35b,35cを操作するだけで、前記エアバッグ22,25に吸排気が行われ、所望とするもみ手の形が再現される。前記各スイッチ35a,35b,35c内には、発光ダイオードなどから成る前記表示部33が、それぞれ参照符号33a,33b,33cで示すように埋め込まれており、選択されたもみ手に対応した表示部が点灯する。
【0033】
また、前記表示部34には、現在施療中のもみ手の形を表示するもみ手表示部40が設けられている(図8では、理解し易くするために、前記手掌、手根および拇指の総てのもみ手が示されているが、実際に表示されるのは、選択されたもみ手に対応した1種類だけである。)。使用者は、この表示部34のもみ手表示部40を見ることで、選択されているもみ手の形を確認することができる。なお、このようなピクトの表示によって使用者に認識させる以外に、文字表示や音声表示でも、同様の効果を得ることができる。
【0034】
上述のように構成されるマッサージ機において、先ず動作選択スイッチによる手動モードでは、前述のように選択されたもみ幅、もみ強度、もみ方向、もみ速度、もみ手形状で、前記もみ玉11,12の駆動が行われ、もみ上げ、もみ下げ、たたき、背筋伸ばし、部分背筋伸ばし、たたき背筋伸ばし、部分たたき背筋伸ばし、指圧、3段指圧、おしもみ、こねもみなどの手技が行われる。このとき、各選択スイッチによる選択が行われていない場合にはデフォルト値やセンシングなどによって動作が行われる。すなわち、強度や速度はたとえば中程度のデフォルト値に設定され、肩位置などはセンシングによって設定される。一方、もみ手の形は、各手技に最も適切と思われる形状が予めデフォルト値として選ばれており、使用者が前記スイッチ35a,35b,35cから選択することでその選択された形状となり、選択されない場合は前記デフォルト値の形状となる。
【0035】
同様に、自動コースでも、各手技に最も適切と思われる形状が予めデフォルト値として選ばれており、使用者が前記スイッチ35a,35b,35cから選択することでその選択された形状となり、選択されない場合は前記デフォルト値の形状となる。図9は、前記自動コースにおける手技の流れと、各手技に対応したデフォルト値のもみ手の形状とを説明するための図である。この図9で示す例は、前述の上半身コースの例である。
【0036】
図10は、施療途中で前記もみ手選択スイッチ35が操作された場合のもみ手の変化を表し、第8ステップの背筋伸ばしの手技の開始直後または途中にスイッチ35cが選択されて拇指が選択された例を示している。この図10では、前記各スイッチ35a,35b,35cのいずれかが操作されると、次に他のスイッチが操作されるまで、但しコース終了まで他のスイッチが操作されない場合はコース終了まで、選択されたもみ手に変更が行われる例を示しており、したがって、変更された前記第8ステップの背筋伸ばしの手技以降、総てのステップが拇指に切換わっている。
【0037】
これに対して、図11の例は、前記各スイッチ35a,35b,35cのいずれかが操作されると、その手技のみ、デフォルト値から選択されたもみ手に変更が行われる例を示しており、したがって前記第8ステップの背筋伸ばしの手技のみ、拇指に切換わっている。
【0038】
このように構成することで、上下一対のもみ玉11,12における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、マッサージに有効な3つの組合わせのいずれかを、もみ手選択の個別のスイッチ35a,35b,35cを操作するだけの一操作で選択することができ、使用者は、所望とするもみ手の形状を、その時の体調やマッサージすべき部位などに応じて、容易に選択することができる。これによって、より心地良いマッサージを提供することができる。また、具体的効果が乏しいと思われるもみ玉11,12の間隔が短く、かつステイ13,14の揺動が不可、すなわち硬い手根(グー)の組合わせに対しては、対応するスイッチを設けないので、最小限の操作手段で、有効な動作を実現することができる。
【0039】
また、前記各もみ手選択のスイッチ35a,35b,35cに関連して、現在選択されているもみ手の形を表示する表示部33a,33b,33cおよびもみ手表示部40を設けているので、使用者は現在選択されているもみ手の形状を容易に確認することができ、適切な選択を容易に行うことができる。
【0040】
さらにまた、制御回路41が、自動施療機能で予め定められた施療プログラムに従った手順で自動的に施療を行うにあたって、もみ手の形は、それぞれのマッサージ動作で最も適切と思われ形にデフォルト値が設定されるが、それを前記もみ手選択のスイッチ35a,35b,35cの操作によって、一気に切換えることができる。
【0041】
なお、図示していないが、記憶装置を備えて、使用者個々の好みのもみ手形状を記憶させておくことで、次の施療から、使用者の設定を行うだけで、その好みのもみ手でマッサージ動作を開始することができるので、さらに煩わしい操作なしでマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の一形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】図1で示すマッサージ機におけるマッサージ施療装置の構造を示す側面図である。
【図3】前記マッサージ施療装置によって再現されるもみ手の形状の一例を示すもので、手掌を再現した場合の側面図である。
【図4】前記マッサージ施療装置によって再現されるもみ手の形状の一例を示すもので、手根を再現した場合の側面図である。
【図5】前記マッサージ施療装置によって再現されるもみ手の形状の一例を示すもので、拇指を再現した場合の側面図である。
【図6】前記マッサージ施療装置によって再現される各もみ手の形状に対して、もみ玉の間隔およびその揺動の可否の関係を纏めて示す図である。
【図7】図1で示すマッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】操作器を拡大して示す正面図である。
【図9】自動コースにおける手技の流れと、各手技に対応したデフォルト値のもみ手の形状とを説明するための図である。
【図10】前記自動コースにおいて、施療途中でもみ手選択スイッチが操作された場合のもみ手の変化の一例を説明するための図である。
【図11】前記自動コースにおいて、施療途中でもみ手選択スイッチが操作された場合のもみ手の変化の他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
1 マッサージ機本体
2 背もたれ部
3 腕置き部
4 脚置き部
5 操作器
10 マッサージ施療装置
11,12 もみ玉
13,14 ステイ
15 つかみ支軸
16 アームプレート
17 支軸
18,20 歯車
19 駆動プレート
22 フロートエアバック
25 つかみエアバック
30 背中
31,41 制御回路
32 スイッチ群
32a 電源入/切スイッチ
33;33a,33b,33c 表示部
34 表示部
35;35a,35b,35c もみ手選択スイッチ
37 自動コース選択スイッチ
38 基本的なマッサージ動作のスイッチ
40 もみ手表示部
42 電源回路
43 商用電源
44 マッサージ機構
45 リクライニング手段
46 センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を前記上下方向に揺動可能な機構を有する椅子型のマッサージ機であって、
前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、間隔が長で揺動が可、間隔が短で揺動が可の3通りの組合わせをそれぞれ実現する個別の操作手段を有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記操作手段に関連して、現在選択されている組合わせを表示する表示手段をさらに設けることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
予め定められた施療プログラムに従った手順で施療を行うことができる自動施療機能を実現する動作制御手段を有し、
前記動作制御手段は、前記操作手段からの出力に応答し、前記施療プログラム内の施療子の間隔および揺動の可否を、選択された組合わせに固定することを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【請求項1】
上下一対の施療子を有し、それらの間隔を変更可能であるとともに、前記一対の施療子を前記上下方向に揺動可能な機構を有する椅子型のマッサージ機であって、
前記一対の施療子における間隔の長短、および揺動の可否による4通りの組合わせの内、間隔が長で揺動が不可、間隔が長で揺動が可、間隔が短で揺動が可の3通りの組合わせをそれぞれ実現する個別の操作手段を有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記操作手段に関連して、現在選択されている組合わせを表示する表示手段をさらに設けることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
予め定められた施療プログラムに従った手順で施療を行うことができる自動施療機能を実現する動作制御手段を有し、
前記動作制御手段は、前記操作手段からの出力に応答し、前記施療プログラム内の施療子の間隔および揺動の可否を、選択された組合わせに固定することを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−204452(P2006−204452A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18750(P2005−18750)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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