説明

マッサージ機

【課題】施療者の好みの位置と施療の程度の設定を任意に設定できる。
【解決手段】施療手段21による施療位置が上下に移動することができるマッサージ機1である。施療手段21による上下間の施療範囲が少なくとも2つ以上に分割されていて分割された施療範囲を選択してあらかじめ決められた動作を自動的に行って施療する施療コースを選択できる施療範囲選択手段6を設ける。選択された施療範囲毎にあらかじめ決められた施療コースにおける施療の程度を設定する施療程度設定手段19を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に接触する施療手段が上下に移動する手段を有するマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマッサージ機においては、施療者はあらかじめ設定された施療コースのみで施療を行うため、好みに応じた施療コースを得ることができないという問題があった。
【0003】
従来のマッサージ機の一例として特許文献1を挙げる。
【特許文献1】特開平10−295754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、施療者の好みの位置と施療の程度の設定を任意に設定でき、しかもこれらの組み合わせにより、自動的に施療コースを生成することで施療者が好みに応じた施療コースを得ることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、施療手段21による施療位置が上下に移動することができるマッサージ機1であって、施療手段21による上下間の施療範囲が少なくとも2つ以上に分割されており、分割された施療範囲を選択してあらかじめ決められた動作を自動的に行って施療する施療コースを選択できる施療範囲選択手段6を設け、選択された施療範囲毎にあらかじめ決められた施療コースにおける施療の程度を設定する施療程度設定手段19を設け、施療範囲選択手段6により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行わないように制御するための制御部20を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、施療範囲選択手段6によりマッサージしたい施療範囲を選択して設定し、施療程度設定手段19により選択された施療範囲毎に施療の程度を選択して設定することで、施療者は好みに応じた施療範囲を好みの施療程度となった施療コースでマッサージできるものである。また施療範囲選択手段6により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行わないようにできる。
【0006】
また施療範囲選択手段6により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行なわず、施療範囲選択手段6により施療範囲が選択されたとしても、施療程度設定手段19により施療程度を設定されていない施療範囲はマッサージ動作を行なわないように制御する制御部20を設けることも好ましい。施療者が施療程度を選択していない施療範囲のマッサージをしないことで、施療者を満足させられる施療コースを生成できるものである。
【0007】
また、2つ以上に分割された施療範囲と程度による条件での施療コースをあらかじめ制御部20にデータとして備え、施療範囲選択手段6で選択された施療範囲と施療程度設定手段19で設定された施療程度の条件に応じて記憶しているデータを組み合わせて1つの施療コースを設定するための施療コース設定手段22を設けることが好ましい。このような構成とすることで、各施療範囲の条件と各施療範囲毎の施療程度の条件によりそれぞれの施療範囲における好みの施療コースを求め、この各施療範囲における好みの施療コースの組み合わせにより当該施療者に応じた一つの施療コースを生成して当該施療者の好みのマッサージが得られるものであり、また、少ないデータ量で施療者の好みに応じた多くの施療コースを生成できるものである。
【0008】
また、施療範囲選択手段6により分割された施療範囲の中で複数の施療範囲が選択された際に、施療程度設定手段19により設定された施療の程度の重い施療範囲からマッサージ動作を始めるコースを自動的に生成する手段を設けることが好ましい。このように施療者が程度の重いと選択した施療範囲からマッサージ動作を開始するので、施療者個々人に対応して該当する施療者に最も適した施療者を満足させられる施療コースを生成できるものである。
【0009】
また、施療範囲の選択及び施療程度の選択方法を音声で案内するための音声再生手段17を設けることが好ましい。このような構成とすることで、音声再生手段17により案内される施療範囲の選択方法及び施療程度の選択方法に基づいて操作ができて簡単に施療範囲の選択及び施療程度の選択ができ、施療者を満足させられる施療コースが簡単に得られるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、施療手段による施療位置が上下に移動することができるマッサージ機であって、施療手段による上下間の施療範囲が少なくとも2つ以上に分割されており、分割された施療範囲を選択してあらかじめ決められた動作を自動的に行って施療する施療コースを選択できる施療範囲選択手段を設け、選択された施療範囲毎にあらかじめ決められた施療コースにおける施療の程度を設定する施療程度設定手段を設けてあるので、施療者は好みに応じた施療範囲を好みの施療程度となった施療コースでマッサージでき、施療者個々人に応じた飽きのこないマッサージ感が得られるものである。また施療範囲選択手段により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行わないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1にはマッサージ機1の一実施形態の斜視図が示してあり、図4には制御ブロック図が示してある。図1に示すマッサージ機1は椅子型のマッサージ機の例を示しており、施療者は座部2に座って背を背もたれ部3にもたれさせると共に足載せ台4に足を載せ、施療手段21を構成する背もたれ部3に設けた上下移動自在な施療子と足載せ台4に設けたエアーマッサージ部とにより施療者をマッサージするようになっている。上記のようなマッサージ機1において、施療手段21による施療範囲が上下方向において2つ以上の施療範囲に分割してある。図1に示す実施形態においては施療手段21が施療子とエアーマッサージ部とからなり、この施療子とエアーマッサージ部とからなる施療手段21による上下間の施療範囲を5つの施療範囲(すなわち上から順に首部施療範囲L1、肩部施療範囲L2、背部施療範囲L3、腰施療範囲L4、脚部施療範囲L5)に分割してある。
【0013】
マッサージ機1には図2に示すような操作器5が設けてあり、操作器5には上記複数に分けた施療範囲L1、L2、L3、L4、L5を選択するための施療範囲選択手段6を構成する複数のスイッチ(首部選択スイッチ6a、肩部選択スイッチ6b、背部選択スイッチ6c、腰部スイッチ6d、脚部選択スイッチ6e)が設けてあって、選択手段6を構成する各スイッチを選択して操作することで好みの施療範囲を選択できるようになっている。また、操作器5には上記施療範囲選択手段6により選択された施療範囲毎にあらかじめ決められた施療コースにおける施療の程度を設定するための施療程度設定手段19が設けてある。
【0014】
図2に示す実施形態においては、施療範囲選択手段6を構成する複数のスイッチがそれぞれ施療程度設定手段19も兼用している。つまり、添付図面に示す実施形態においては、施療範囲選択手段6を構成する複数のスイッチ(首部選択スイッチ6a、肩部選択スイッチ6b、背部選択スイッチ6c、腰部スイッチ6d、脚部選択スイッチ6e)のうち任意のスイッチを1回押すと任意の施療範囲が選択されるが、この任意のスイッチを操作する(例えば押す)回数で選択された施療範囲における施療程度が選択されるものであり、操作器5に設けた決定スイッチ14を押すことで、選択した各施療範囲(施療場所)と程度の条件により施療コースが生成され、生成された施療コースに基づいて制御部20により施療手段21を制御して施療者の好みに応じた自動マッサージを行うようになっている。
【0015】
図3には程度を3段階とした場合の各施療コースの内容を示している。各施療コースは施療部位と施療手技と施療時間で内容が異なる。つまり、施療コースA1は首部施療範囲L1の位置で、刺激の弱い施療手技により、施療時間が1分間のコース内容である。施療コースA2は首部施療範囲L1の位置で、刺激の普通の施療手技により、施療時間が2分間のコース内容である。施療コースA3は首部施療範囲L1の位置で、刺激の強い施療手技により、施療時間が3分間のコース内容である。また、施療コースB1は肩部施療範囲L2の位置で、刺激の小さい施療手技により、施療時間が1分間のコース内容である。施療コースB2は肩部施療範囲L2の位置で、刺激の普通の施療手技により、施療時間が2分間のコース内容である。施療コースB3は肩部施療範囲L2の位置で、刺激の強い施療手技により、施療時間が3分間のコース内容である。また、施療コースC1は背部施療範囲L3の位置で、刺激の小さい施療手技により、施療時間が1分間のコース内容である。施療コースC2は背部施療範囲L3の位置で、刺激の普通の施療手技により、施療時間が2分間のコース内容である。施療コースC3は背部施療範囲L3の位置で、刺激の強い施療手技により、施療時間が3分間のコース内容である。施療コースD1は腰部施療範囲L4の位置で、刺激の小さい施療手技により、施療時間が1分間のコース内容である。施療コースD2は腰部施療範囲L4の位置で、刺激の普通の施療手技により、施療時間が2分間のコース内容である。施療コースD3は腰部施療範囲L4の位置で、刺激の強い施療手技により、施療時間が3分間のコース内容である。施療コースE1は脚部施療範囲L5の位置で、刺激の小さい施療手技により、施療時間が1分間のコース内容である。施療コースE2は脚部施療範囲L5の位置で、刺激の普通の施療手技により、施療時間が2分間のコース内容である。施療コースE3は脚部施療範囲L5の位置で、刺激の強い施療手技により、施療時間が3分間のコース内容であり、これらの各施療コースのデータが制御部20に設けたメモリに蓄積してある。
【0016】
そして、施療者が操作器5に設けた施療範囲選択手段6を構成する複数のスイッチ(首部選択スイッチ6a、肩部選択スイッチ6b、背部選択スイッチ6c、腰部スイッチ6d、脚部選択スイッチ6e)のうち好みのスイッチを押して施療範囲を選択すると共に当該スイッチの押回数を選択して当該施療範囲における施療程度を設定する。その後、決定スイッチ14を押すことで、施療範囲選択手段で選択された施療範囲と施療程度設定手段19で設定された施療程度の条件に応じて制御部20に設けた施療コース設定手段22により制御部20に設けたメモリ内に記憶しているデータを組み合わせて1つの施療コースを生成し、このようにして生成された施療コースで施療手段21を動作させてマッサージを行うものである。
【0017】
施療範囲選択手段により分割された施療範囲の中で複数の施療範囲が選択された際に、施療程度設定手段19により設定された施療の程度の重い施療範囲からマッサージ動作を始めるコースを自動的に生成する手段を設けるようにしてもよい。各施療範囲(各場所)での程度を複数段階(例えば3段階)とし、程度が軽い方を1、程度が普通を2、程度が重い方を3とすると、一例として施療者が首部選択スイッチ6aで程度2を選択し、肩部選択スイッチ6bで程度3を選択し、背部選択スイッチ6cで程度1を選択し、腰部スイッチ6dで程度3を選択した時は、施療コースの順番を肩部(肩部施療範囲L2)→腰部(腰部施療範囲L4)→首部(首部施療範囲L1)→背部(背部施療範囲L2)の順番で行うものである。このとき、同じ程度のものが複数ある場合には例えば上に位置する施療範囲が優先するようにしているが、同じ程度のものが複数ある場合にどれを優先させるかは上記例にのみ限定されないものである。
【0018】
ここで、施療範囲選択手段6により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行わないものであるが、更に、施療範囲選択手段6により施療範囲が選択されたとしても、施療程度設定手段19により施療程度を設定されていない施療範囲は制御部20によりマッサージ動作を行わないように制御する。例えば、施療範囲選択手段6を構成する任意のスイッチ(例えば首部選択スイッチ6a)を1回しか押さなかった場合には施療範囲である首部施療範囲L1は選択されたが、程度の設定が行われていないので、首部のマッサージ動作は行わないのである。また、各施療範囲(各場所)での程度を複数段階を0、1、2、3の4段階とし、程度が0の場所においては施療を行わないようにしてもよい。この場合の程度0は、該当するスイッチを1回押した場合に施療範囲の選択、2回押すと程度0、3回押すと程度1、4回押すと程度2、5回押すと程度3となるように設定してもよく、あるいは、該当するスイッチを1回押した場合に施療範囲の選択と程度0、2回押すと程度1、3回押すと程度2、4回押すと程度3となるように設定してもよい。いずれにしても、程度0の場合には該当する施療範囲のマッサージ動作を行わないものである。
【0019】
ところで、本発明において、施療範囲の選択及び施療程度の選択方法を音声で案内するための音声再生手段17を設けてもよいものである。すなわち、操作器5には図5に示すようにコース選択スイッチ16、スピーカーのような音声再生手段17が設けてあり、施療者がコース選択スイッチ16を押すと、音声再生手段17から「疲れている場所はどこですか」、「スイッチを押して選んで下さい」、「押す回数でお疲れ度を選ぶことができます」という音声が再生されて施療範囲の選択方法及び施療程度の選択方法が案内されるようになっている。この音声再生手段17により案内される施療範囲の選択方法及び施療程度の選択方法に基づいて施療者は操作器5において施療範囲選択手段6、施療程度設定手段19を操作して好みの施療範囲を選択すると共に各施療範囲における施療程度を設定する。これが終わると、音声再生手段17により「全て終わったら決定スイッチを押して下さい」という音声が再生されるので、決定スイッチ14を押すと、選択した各施療範囲(施療場所)と程度の条件により施療コースが生成され、生成された施療コースに基づいて制御部20により施療手段21を制御して施療者の好みに応じた自動マッサージを行うのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のマッサージ機の斜視図である。
【図2】同上のマッサージ機に設けた操作器の概略平面図である。
【図3】同上の複数に区分けした施療範囲と複数の程度に基づいて設定される施療コースを説明するための説明図である。
【図4】同上の制御ブロック図である。
【図5】同上のマッサージ機に設けた操作器の他の実施形態の概略平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 マッサージ機
6 施療範囲選択手段
17 音声再生手段
19 施療程度設定手段
20 制御部
21 施療手段
22 施療コース設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療手段による施療位置が上下に移動することができるマッサージ機であって、施療手段による上下間の施療範囲が少なくとも2つ以上に分割されており、分割された施療範囲を選択してあらかじめ決められた動作を自動的に行って施療する施療コースを選択できる施療範囲選択手段を設け、選択された施療範囲毎にあらかじめ決められた施療コースにおける施療の程度を設定する施療程度設定手段を設け、施療範囲選択手段により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行わないように制御するための制御部を設けて成ることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
施療範囲選択手段により選択されなかった施療範囲においてはマッサージ動作を行なわず、施療範囲選択手段により施療範囲が選択されたとしても、施療程度設定手段により施療程度を設定されていない施療範囲はマッサージ動作を行なわないように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
2つ以上に分割された施療範囲と程度による条件での施療コースをあらかじめ制御部にデータとして備え、施療範囲選択手段で選択された施療範囲と施療程度設定手段で設定された施療程度の条件に応じて記憶しているデータを組み合わせて1つの施療コースを設定するための施療コース設定手段を設けて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
施療範囲選択手段により分割された施療範囲の中で複数の施療範囲が選択された際に、施療程度設定手段により設定された施療の程度の重い施療範囲からマッサージ動作を始めるコースを自動的に生成する手段を設けて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
施療範囲の選択及び施療程度の選択方法を音声で案内するための音声再生手段を設けて成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75620(P2006−75620A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342500(P2005−342500)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【分割の表示】特願2001−180769(P2001−180769)の分割
【原出願日】平成13年6月14日(2001.6.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】