説明

マニュアル制御を可能にするためにオートマチックギアボックスのオフセットを制御する装置

本発明はギアボックスの外部制御のための装置に関し、本装置は第1の軸(I)を中心に旋回するギアシフトレバー(12)を備え、第1の軸(I)は、第2の軸(A)を中心に車両によって支持されるフレーム(16)に実質的に直交する。この装置には、レバー(12)を支持体(14)に接続するための、同一平面内に位置する複数のタイロッド(26、28)が設けられている。本発明は、フレーム(16)に固定され且つ第1の軸に平行な軸(D’)を中心として回転可能な戻し手段(4)が設けられてトランスミッション部材(5)を作動させることができ、前方のタイロッド(28)が、第2の軸(A)を中心として、前記戻し手段(4)の捕捉端部(41)と係合する位置と、前方タイロッド(28)が前記捕捉端部からオフセットしている係合解除位置との間で、回転可能であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、自動車のオートマチックトランスミッションの制御装置に関する。具体的には、本発明は、ダッシュボードギアシフトレバーを備え、マニュアル制御を可能にするオートマチックトランスミッションを行うためのオフセット制御装置に関する。
ダッシュボードより下方に位置する中央のコンソールに取り付けられているギアシフト装置と比較して、ダッシュボード上への配置は、特に運転者の手の動きをトランスミッションへ伝達するために使用される機構の大きさに起因して、ダッシュボードのスタイル又はデザインに問題を生じ得る。よって、この機構をオフセットして、制御人間工学と、運転者の配置形状の調和のとれたスタイルと、オートマチックトランスミッションのためのギアシフト機能の維持とのバランスを良くする必要がある。
【0002】
発明の技術背景
最新の自動車では、ギアシフトレバーがダッシュボードに取り付けられているオートマチックトランスミッション制御装置が公知である。このレバーは、支持体上で第1の軸を中心に旋回し、この支持体自体も、車両によって担持されているフレーム上で第2の軸を中心に旋回する。
本出願人による仏国特許第2849809号明細書及び仏国特許第2856960号明細書に記載の上述の種類の装置では、ギアがどのように噛み合っても、把持可能なシフトレバーの一部が運転者の手の届く範囲内に位置するように、装置の垂直方向の高さが低く且つレバーの移動が人間工学に適うものである。ダッシュボードに設けられているこの種の装置によって、腕をほぼ水平にする運転者は水平方向の力のみを加えればよく、上下方向への垂直方向の力を加えるために手首を「折る」ことがない。
しかしながら、この種の装置では、運転者には、例えば連続操作式の制御により、マニュアル式に且つ迅速にギアシフトを行うという選択肢が無い。また、この種の装置では、ある制御モードから別の制御モードに迅速に変更する選択肢が無く、ブレーキを加圧した後にのみパーキング位置からの動作を可能にするロック又は安全装置の操作も無い。
【0003】
発明の概要
よって、本発明の課題は、運転者に2種類のギアシフトの間での選択を与えるトランスミッション外部制御装置を提供することによって、従来技術の1つ以上の欠点を克服することである。
本発明のさらなる課題は、オートマチック制御モードとマニュアル制御モードの間の切り替えを行なうための小型の構成を提供することである。
【0004】
これを達成するために、本発明は、車両に対してほぼ横方向に延びる第1の軸を中心として旋回するギアシフトレバーを支持体上に備えている自動車トランスミッション外部制御装置を提供し、本装置では、支持体が、自動車によって担持されているフレームに対して、第1の軸と直角をなす第2の軸を中心として旋回するように取り付けられており、本装置は、支持体にレバーを接続するために同一平面内に位置する複数のタイバーが設けられている種類のものであり、レバーは縦方向及びこれと直交する横方向に可動である。本装置は、トランスミッション部材を操作するためにレバーの縦方向の運動を伝達する手段を備えており、この伝達手段がフレームに接続されていて第1の軸に平行な軸を中心に回転可能であること、及び、前記タイバーの内第1のタイバーが、第2の軸を中心として、
− 第1のタイバーの、レバーと反対側の端部が、前記伝達手段の連結端部の少なくとも1つの接触領域に対向することにより、レバーを縦方向に動かすと、第1のタイバーが伝達手段を回転させることができる、係合状態にある第1の位置と、
− 第1のタイバーの、レバーと反対側の端部が、前記伝達手段の連結端部から十分にオフセットした状態にあり、伝達手段とのいかなる接触も回避されている、係合が解除された状態にある第2の位置と
の間で回転可能であることを特徴とする。
【0005】
よって、本発明による装置は、例えばシーケンシャルマニュアル制御のような非オートマチック制御モードに変更するためにケーブルの接続を解除できる。更に、本装置はコンパクトであり、レバー、前方及び後方の2つのタイバー並びに支持体が、垂直方向の高さが小さい変形可能な四角形を形成している。
【0006】
別の特徴によれば、第1のタイバーの第1の端部はレバーの前方端部部分に固定されており、第1のタイバーは反対側の第2の端部によって伝達手段を動かし、前記連結端部は、係合位置で第1のタイバーの第2の端部を受容する突出したU字型部分を備えている。
別の特徴によれば、U字型部分の枝部は予め設定されたギャップを有し、これにより前記第2の端部と連結端部のU字型部分の内側接触領域との係合が可能であり、U字型部分の厚みと第2の端部の厚みはほぼ等しい。
【0007】
別の特徴によれば、伝達手段の主部分は、トランスミッション部材の玉継手に接続し、連結端部の方を向いており、この主部分と連結端部は曲げ部分によって接続されて一体部分を形成しており、この曲げ部分は予め設定された間隙を維持し、この間隙は、係合解除位置において、第1のタイバーの第2の端部の自由な回転運動を、伝達手段の主部分とU字型部分との間で可能にするのに十分であり、また前記間隙の厚みは、U字型部分の厚みの少なくとも2倍である。
別の特徴によれば、トランスミッション部材は、第1のタイバーが前記係合位置にある時に可動な伝達手段を介して、パーキング、リバース、ニュートラル及びオートマチックドライブの位置の内の1つに対応するレバーの縦方向の位置に関する情報を伝達するケーブルである。
【0008】
別の特徴によれば、フレームに対して旋回可能に取り付けられている支持体には、レバーの横方向運動によってタイバーを介して動かされるカムシステムが設けられており、このカムシステムは、下方位置と上方位置との間で垂直に可動な突出したラグを含み、フレームは、このラグの位置を示すための指標システムが設けられたアームを備えている。
よって、本発明は、有利には、レバーの横方向の動作によって切り替え可能な2つの別個の位置の間で運転者が感知可能な境界を提供し、これらの位置は、マニュアル位置M及びオートマチックドライブ位置D(「ドライブ」)に対応させることができる。
【0009】
別の特徴によれば、ラグの位置を示す指標システムは、アームの端部に、ラグの方を向く位置決め球状部材を具備しており、この部材は、ラグの端部に形成された隣接する2つの異なる凹部領域の一方又は他方にそれぞれ支持される。
別の特徴によれば、伝達手段は、機械式及び/又は電気機械式の制御部材によって操作される回転ブロック手段に接続されている。
つまり、本発明の装置は、操作レバーの位置の所定の変更のロックを有している。
【0010】
別の特徴によれば、前記回転ブロック手段は、伝達手段の主部分に接続された、少なくとも4つの歯部を備えるラグを含み、レバーには、ロックエレメントの操作ケーブルを引っ張るためのトリガが設けられており、このロックエレメントの一方の端部は、ラグの2つの歯部間にあるロック位置と、ケーブルがトリガによって引っ張られた時の解放位置との間で可動である。
別の特徴によれば、前記回転ブロック手段は、伝達手段の主部分に接続されているラグを含み、このラグには、ブレーキングを表す電気的な命令を受信する種類の電磁システムによって操作されるロッキングプランジャを受容するための少なくとも1つの溝又はスロットが設けられている。
よって、本装置が「シフトロック」型の安全装置を備えることにより、ブレーキに圧力を加えない状態で、所定の位置、例えばパーキングとして知られるパーキング位置から移動することが防止される。
【0011】
別の特徴によれば、前記ラグは、2つの歯部の間に、パーキング、リバース、ニュートラル及びオートマチックドライブからなる連続する位置のそれぞれに対応する連続するロック位置を有し、このラグは、ロッキングプランジャを受容し、且つロッキングプランジャのための少なくとも1つの端部停止面によって、パーキング位置からリバース位置への変更を行う位置においてラグの移動を制限するスロットを含み、更に、追加的な穴又はスロットが設けられて、パーキング位置に対応するロックされた位置でロッキングプランジャを受容する。
別の特徴によれば、パーキング位置に対応するロック位置の係合とは反対の方向へのラグの回転が簡単になるように、ラグの歯部が面取りされている。
【実施例】
【0012】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照する以下の説明により更に明らかにする。
以下の説明において、同一、同等又は同様の構成要素は同じ参照番号で示す。
図面には、本発明の好ましい実施形態による自動車トランスミッションの制御装置の全体を示す。
【0013】
周知のように、装置はギアシフトレバー(12)を備えており、このギアシフトレバー(12)は、車両の縦方向(V)にほぼ垂直な第1の軸(I)を中心に旋回できるように取り付けられている。周知のように、且つ本明細書の残りの部分で具体的に説明するように、第1の軸(I)は典型的な理論上の回転軸であり、この軸を中心にレバー(12)の横方向を中心とした旋回運動が行われる。レバー(12)は支持体(14)にも取り付けられており、この支持体(14)は、第2の軸(A)を中心として、車両に支持されているフレーム(16)に対して旋回できるように取り付けられている。公知のように、第2の軸(A)は、第1の軸(I)に対して直角をなす。支持体(14)は例えばバーからなり、その円筒形の両端部はフレーム(16)の2つの対向する滑り軸受(図3の20)で受容される。
公知のように、レバー(12)及び支持体(14)は、同一平面内に位置する2つの可動なタイバー(26、28)によって接続されている。後方のタイバー(26)及び前方のタイバー(28)はそれぞれ、レバー(12)及び支持体(14)に、上方及び下方ピボットによって関節接続されている。前方タイバー(28)の上方ピボット(32)及び下方ピボット(36)は、それぞれ軸(C、D)を有しており、これらの軸(C、D)は互いに、且つ後方タイバーの上方ピボットの軸(B)又は下方ピボットの軸のそれぞれに平行である。これらの全ての軸(B、C、D)は、図1に示すように、第2の軸(A)に直角である。
【0014】
このように、レバー(12)、支持体(14)及びタイバー(26、28)は、変形可能な四辺形を形成し、この四辺形では、各タイバー(26、28)の両端のエンドピボット(図3の32、36)を通るそれぞれの軸(X、Y)の方向は収束して支持体(14)に取り付けられたレバー(12)の第1の旋回軸(I)を決定する。装置の支持体(14)は、その第2の旋回軸(A)を中心としてほぼ水平且つ縦方向に延び、一方2つのタイバー(26、28)は、旋回する支持体(14)の第2の軸(A)を中心として同じ側に設けられているので、図1に示すように、レバー(12)、2つのタイバー、つまり前方タイバー及び後方タイバー(26、28)、並びに支持体(14)が、レバー(12)の第2の旋回軸(A)を通る縦方向の面内に、垂直方向の高さが小さい変形可能な四角形を形成する。
図1及び3に示すように、2つのタイバー(26、28)は更に前方に延びて、支持体(14)と、レバー(12)の前方に位置する自由端部(120)との間の縦方向距離を低減させる。このような構成によって、本発明による装置をダッシュボード(図示せず)に、垂直方向及び縦方向に小さい空間内に組み込むことができ、よってダッシュボード内が開放されて温度制御アクセサリ及び/又は車両走行支援を組み込むことができる。
【0015】
図1に示すように、操作ノブ(11)が被せられたレバー(12)の後方の操作部分は、中間部分に対して角度付けされ、且つ各タイバー(26、28)の対向する端部ピボット(32、36)を通る軸(X、Y)と第1の軸(I)とが収束する方向(Z)に向く少なくとも1つの部分(30)を備えている。レバー(12)は、縦方向又は横方向に運動可能である。図2に示すように、本発明は、オートマチックトランスミッションと、シーケンシャルマニュアル制御又はそれと同様の制御を統合することを課題としており、そのために、例えばトランスミッションのオートマチックモードのドライブ位置Dに直交する方向にレバーを動かした時、レバーの操作ゲートにより、マニュアル位置Mが得られる。このようなモードへ変更するために、オートマチックモードで使用される少なくとも1つのケーブル又はそれに類似のトランスミッション部材の接続解除を実施することが必要である。シーケンシャルマニュアル制御モードでは、オートマチックモードと異なり、運転者自身がギアシフトを実際に制御できなければならず、場合によってはギアを1つずつシフトダウンすることに加えて、近道を取るという選択肢を持たなければならない。つまり、操作ノブ(11)を2回、−(マイナス)の位置に向かって押すことによって、例えば5速から3速(又は4速から2速)へシフトダウンすることができ、所望でないギアを飛び越すことができる。
図2に示す位置P、R、N、Dは、オートマチックトランスミッションの従来のパーキング、リバース、ニュートラル及びドライブ位置である。位置Dと位置Pの間の双方向の連続的な変更は、操作レバー(12)の縦方向の動作によって行われる。図1に示すように、本発明による装置は、少なくとも1つのトランスミッション部材(5)を動かすレバー(12)の縦方向の移動(ML)を伝達する手段(4)を備えている。このトランスミッションケーブル又は同種の部材(5)はトランスミッションの下方部分に接続されて、トランスミッションのギアレシオの係合を操作するか又は操作しない。トランスミッションケーブル(5)は、伝達手段(4)を介して、図2に示す位置、つまりパーキング、リバース、ニュートラル及びオートマチック式ドライブの内の1つに対応するレバー(12)の縦方向の位置に関する情報を伝達することができる。
【0016】
伝達手段(4)は、フレーム(16)に接続されており、第1の軸(I)に平行な軸(D’)を中心に回転することができる。本発明の好ましい態様では、この伝達手段(4)は、タイバー(26、28)の一方が伝達手段(4)とのいわゆる係合位置にある場合にのみ可動である。このタイバーは例えば前方タイバー(28)であり、この係合位置とこれと異なる係合解除位置との間で、前記の第2の軸(A)を中心にして回転できる。本発明の好ましい実施形態では、前方タイバー(28)の第1の端部(27)はレバー(12)の前方端部部分(120)に固定されており、反対側の第2の端部(29)によって、第1のタイバー(28)は伝達手段(4)を動かすことができる。この伝達手段(4)は、玉継手(45)又はトランスミッション部材(5)の同等の取付け手段に接続する主部分と、前方タイバー(28)の自由端部(29)との係合により協働するか、又は協働しない第2の部分とを備えている。
【0017】
図1、3及び4に示すように、タイバー(28)の係合位置は、伝達手段(4)の連結端部(41)によって形成可能である。この連結端部(41)は、例えば、前方タイバー(28)の、レバー(12)とは反対側の端部(29)とほぼ相補的な形状を有している。この位置において、タイバー(28)のこの端部(29)は、連結端部(41)の少なくとも1つの接触領域の方を向いており、これにより、レバー(12)を縦方向に動かすと、前方タイバー(28)が伝達手段(4)を回転させることができる。特に図3に示すように、伝達手段(4)の回転の軸(D’)は、この位置において、前方タイバー(28)の旋回軸(D)と同軸である。伝達手段(4)の、第2の部分に形成されている連結端部(41)は、例えば、係合位置において前方タイバー(28)の第2の端部(29)を受容する突出するU字型部分を備えている。
係合解除位置では、支持体(14)に対し、タイバーの第2の端部(29)が異なる位置を取る。この係合解除位置では、レバー(12)とは反対側のこの端部(29)は、前記伝達手段(4)といかなる接触もしないように、伝達手段(4)の連結端部(41)から十分にオフセットされている。係合解除位置は、運転者がトランスミッションのオートマチックモードを止める時、例えばレバー(12)を図2に示す位置Mに位置させることによって得られる。
【0018】
図1及び3に示すように、U字型部分の枝部は予め設定されたギャップを有し、これにより、前記第2の端部(29)が連結端部(41)のU字型部分の内側接触領域と係合することができる。更に、U字型部分の厚み(e)と第2の端部(29)の厚みはほぼ等しい。伝達手段(4)の主部分は、有利には連結端部(41)の方を向くように構成され、主部分及び連結端部(41)は曲げ部分により接続される。換言すれば、伝達手段(4)は、連結端部(41)を形成する第2の部分に平行な主部分を備えている。伝達手段(4)は一体的に設計されて、主部分と第2の部分との間に予め設定された間隙(L)を維持するために使用される横方向の曲げ部分を備えることができ、この間隙(L)は、係合解除位置において、前方タイバー(28)の第2の端部(29)の自由回転運動を可能にするのに十分である。従って、このタイバー(28)の回転運動は、伝達手段(4)の主部分とU字型部分との間の縦方向の面内で行われ、前記クリアランス(L)の厚みは、U字型部分の厚み(e)の少なくとも2倍である。
従って、運転者がレバー(12)を横方向に運動(MT)させた場合、前方タイバー(28)及びその下方の旋回軸(D)は、第2の軸(A)を中心として支持体(14)と共に旋回し、タイバー(28)の自由端部(29)が伝達手段(4)の連結端部(41)に対向する位置からずれる。従って、この時伝達手段(4)はいかなる縦方向運動もトランスミッション部材(5)に伝達できない。よって、この部材(5)は、実際は、タイバー(28)が伝達手段(4)と係合する係合位置にある場合は図2に示す「PRND」の線に沿って移動するが、例えばシーケンシャルマニュアル制御であるM制御へ変更した場合はそのように動かない。
【0019】
次に、図4を参照して本発明を説明する。
フレーム(16)に対して旋回可能に取り付けられている支持体(14)にはカムシステムを設けることができ、このシステムは、レバー(12)を横方向に運動させること(MT)によってタイバー(26、28)を介して動かすことができる。このカムシステムは、下方位置と上方位置の間で垂直方向に動かすことができる突出するラグ(3)を含み、このラグ(3)の位置は、指標システムによって物理的に決めることができる。そのために、フレーム(16)は、例えば車両に対して横方向に延びる前記ラグ(3)に対向して配置される指標システムが設けられたアーム(8)を備える。
図4の実施形態では、ラグ(3)の位置を示す指標システムは、アーム(8)の端部に、前記ラグ(3)の端部に形成された異なる2つの隣接する凹部領域の一方又は他方をそれぞれ支持するように配置されたラグ(3)の方を向く位置決め球状部材(80)を含む。2つの凹部領域間の境界は、ラグの位置を固定する突出した山部である。図4の実施例によれば、オートマチック位置Dでは、ラグ(3)の下方の凹部領域が位置決め球部材(80)によって占有され(前方タイバーがその係合位置を占有している)、マニュアル位置Mでは、ラグ(3)の上方の凹部領域が占有される。
【0020】
次に、図2及び5を参照して本発明を説明する。
ギアシフトは、通常、PからR、DからN、NからR及びRからPへ位置を変更するために機械的なロックを備えることが必要である。本発明によれば、この種の安全装置は、フレーム(16)に設けられている回転ブロック手段を用いて得ることができ、これにより、運転者がレバー(12)に縦方向の運動(ML)を伝達することが防止される。この回転ブロック手段は、例えば、伝達手段(4)の主部分に接続されている少なくとも4つの歯部を備えるラグ(15)と連動するロックエレメント(17)を備えている。レバー(12)には、このロックエレメント(17)の操作ケーブル(90)又はそれと類似の操作手段を引っ張るためのトリガ(10)を設けることができる。ロックエレメント(17)の一方の端部(170)は、ラグ(15)の2つの歯部の間にある時のロック位置と、ケーブル(90)がトリガ(10)によって引っ張られた時の解放位置との間で可動である。
【0021】
更に一般的には、本発明の装置に使用される伝達手段(4)は、機械的及び/又は電気機械的な種類の制御部材によって操作される回転ブロック手段に接続されていなければならない。図5の実施形態では、回転ブロック手段は、伝達手段(4)に接続する少なくとも1つのラグ(15)を有し、このラグ(15)は、2つの異なるブロックエレメントによって固定されている。第1の機械的な種類のブロッキングは、前記ロックエレメント(17)によって、伝達手段の主部分を含む縦方向平面内で行われ、第2の電気機械的な種類のブロッキングは、ロッキングプランジャ(130)によって横方向に行われる。ラグ(15)には、例えば、電磁システム(13)によって操作されるこのロッキングプランジャ(130)を受容する少なくとも1つの溝又はスロットが設けられる。このシステム(13)は、ブレーキングを表す電気指令を受信する種類のものである。電磁システム(13)に電気的に接続されているブレーキに圧力が掛かると、ロッキングプランジャ(130)が横方向に並進運動し、これによりこのプランジャ(130)がラグ(15)に設けられている穴又はスロット内に挿入される。
図5に示すように、ラグ(15)は、ロッキングプランジャ(130)を受容し、且つパーキング位置からリバース位置へ変更する位置において、ロッキングプランジャ(130)のための少なくとも1つの端部停止面により、ラグ(15)の移動を制限するように設計されているスロット(151)を備えることができる。追加的な穴又はスロットを形成する穴(152)は、パーキング位置に対応するロックされた位置で、ロッキングプランジャ(130)を受容する。これにより、パーキング位置Pからの移動のための、シフトロックとして知られる電気機械的なロックを形成することができる。
【0022】
本発明の一実施形態では、ラグ(15)は、2つの歯部間のそれぞれで、オートマチックトランスミッションの連続的な位置、つまりパーキングP、リバースR、ニュートラルN及びオートマチックドライブDの各1つに対応する連続的なロック位置を有している。位置Pから位置Rへ変化させるために、二重の安全装置は、ブレーキに圧力を掛けてロッキングプランジャ(130)からラグ(15)を解放することと、トリガ(10)を操作してロックエレメント(17)の端部(170)を後退させることを必要とする。これにより、ロッキングプランジャ(130)と、少なくとも1つの隣接する歯部のストッパを形成しているロックエレメントの端部(170)は、いずれも伝達手段(4)の回転運動をブロックしなくなる。
【0023】
本発明の一実施形態では、トリガ(10)を介したラグ(15)のロック解除の動作は、DからN、NからR及びRからPのシフトのためにも行われる。これらのシフトのために電気機械的な操作は必要でなく、ロッキングプランジャ(130)はラグ(15)のスロット(151)内に留まる。もちろん、図5に示すラグ(15)を、伝達手段(4)に接続される1つ以上の同等な部材で置き換えることもでき、このような部材は、運転者によって操作される可動のブロックエレメントを受容することができる。
【0024】
別の実施形態では、ラグ(15)の端部が面取りされており、よって他の位置シフトを行うために、ラグ(15)をロック解除する動作を何ら必要としない。つまり、ラグ(15)の歯部を面取りすることにより、パーキング位置Pに対応するロック位置の係合と反対の方向へのラグ(15)の回転を容易にすることが可能である。
【0025】
本発明による制御装置の利点の1つは、トランスミッションの機構をオフセットさせる一方で、運転者のための人間工学的な経路を維持し、同時に複数のモードのギア制御を提供することである。
【0026】
当業者には明らかであるように、本発明には、特許請求の範囲に規定される分野から逸脱することなく、他の多数の特定の形態の実施形態が可能であり、本発明は上述の詳細な説明に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による制御装置を示す、45度前方から見た斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるオートマチックトランスミッションのゲートを示す。
【図3】図1の装置の部分図であり、本発明によって可能となるトランスミッションケーブルの接続解除機能を示す。
【図4】図1の装置の部分的な前方斜視図である。
【図5】図1の装置の後方図であり、所定の位置変更をブロックする安全装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のトランスミッションの外部制御装置であって、前記車にほぼ横方向に交わる第1の軸(I)を中心として旋回するギアシフトレバー(12)を支持体(14)上に備えており、該支持体(14)が、前記車によって担持されるフレーム(16)に対し、前記第1の軸(I)と直角をなす第2の軸(A)を中心として旋回できるように搭載されており、当該装置が、前記レバー(12)を前記支持体(14)に接続するための、同一平面内に位置する複数のタイバー(26、28)を備える種類のものであり、前記レバー(12)が縦方向及び横方向に可動であって、当該装置が、前記レバー(12)の縦方向の運動(ML)を伝達することによりトランスミッション部材(5)を動作させる伝達手段(4)を備え、該伝達手段(4)が前記フレーム(16)に接続されて第1の軸(I)に平行な軸(D’)を中心として回転可能であること、並びに、前記タイバーの内の第1のタイバー(28)が、前記第2の軸(A)を中心として、
− 前記第1のタイバー(28)の、前記レバー(12)とは反対側の端部(29)が、前記伝達手段(4)の連結端部(41)の少なくとも1つの接触領域の方を向いていることにより、前記レバー(12)を縦方向に動かすと、前記第1のタイバー(28)が前記伝達手段(4)を回転させることができる、係合状態にある第1の位置と、
− 前記第1のタイバー(28)の、前記レバー(12)とは反対側の端部(29)が、前記伝達手段(4)の前記連結端部(41)から十分にオフセットされていることにより、該伝達手段(4)は絶対的に接触しない、係合が解除されている第2の位置と
の間で回転可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1のタイバー(28)の第1の端部(27)が前記レバー(12)の前方端部部分(120)に固定されており、その反対側の第2の端部(29)によって、前記第1のタイバー(28)が伝達手段(4)を動かし、前記連結端部(41)が、係合位置において、前記第1のタイバー(28)の第2の端部(29)を受容するための突出するU字型部分を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記U字型部分の枝部が、前記第2の端部(29)と前記連結端部(41)のU字型部分の内側接触領域との係合を可能にする予め設定されたギャップを有し、前記U字型部分の厚み(e)と第2の端部(29)の厚みとがほぼ等しい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記伝達手段(4)が、前記トランスミッション部材(5)の玉継手に接続し且つ前記連結端部(41)の方を向くように配置された主部分を備えており、該主部分及び前記連結端部(41)が曲げ部分によって接続されて一体になっており、該曲げ部分は、係合解除位置において伝達手段(4)の主部分とU字型部分との間で前記第1のタイバー(28)の第2の端部(29)の自由な回転運動を可能にするのに十分な、予め設定された間隙(L)を維持するように構成されており、前記間隙(L)が、前記U字型部分の厚み(e)の少なくとも2倍である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記トランスミッション部材が、前記第1のタイバー(28)が前記係合位置にある時に可動である前記伝達手段(4)を介して、パーキング、リバース、ニュートラル及びオートマチックドライブの内の1つの位置に対応するレバー(12)の縦方向の位置に関する情報を伝達するケーブルである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記フレーム(16)に対して旋回可能に取り付けられた前記支持体(14)には、前記レバー(12)を横方向に動かすことによって前記タイバー(26、28)を介して動かされるカムシステムが設けられており、該カムシステムが、下方位置と上方位置との間で垂直方向に可動な突出するラグ(3)を含み、前記フレーム(16)が、前記ラグ(3)の位置を示す指標システムが設けられたアーム(8)を備えている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ラグ(3)の位置を示す前記指標システムが、前記アーム(8)の端部に、前記ラグ(3)に形成された隣接する異なる2つの凹型領域の一方又は他方に支持される位置決め球状部材(80)を具備している、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記伝達手段(4)が、機械的及び/又は電気機械的な制御部材によって操作される回転ブロック手段に接続されている、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記回転ブロック手段が、前記伝達手段(4)の主部分に接続される少なくとも4つの歯部を備えるラグ(15)を含み、前記レバー(12)に、ロックエレメント(17)の操作ケーブル(90)を引くためのトリガ(10)が設けられており、前記ロックエレメント(17)の一方の端部(170)が、前記ラグ(15)の2つの歯部間に位置するロック位置と、前記ケーブル(90)がトリガ(10)によって引かれている時の解放位置との間で可動である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記回転ブロック手段が、前記伝達手段(4)の主部分に接続するラグ(15)を備えており、当該ラグ(15)には少なくとも1つの溝又はスロットが設けられて、ブレーキングを表す電気的コマンドを受信する種類の電磁システム(13)によって操作されるロッキングプランジャ(130)を受容する、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記ラグ(15)が、それぞれ2つの歯部間で、パーキング、リバース、ニュートラル及びオートマチックドライブからなる連続位置のそれぞれに対応する連続するロック位置を有し、前記ラグ(15)が、ロッキングプランジャ(130)を受容し、且つパーキング位置からリバース位置へ変更するための位置において、前記ロッキングプランジャ(130)のための少なくとも1つの端部停止面によって前記ラグ(15)の移動を制限するスロットを有し、追加的な穴又はスロットが、パーキング位置に対応するロック位置において、前記ロッキングプランジャを受容する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ラグ(15)の歯部が面取りされていることにより、当該ラグ(15)の、パーキング位置に対応するロック位置の係合とは反対方向への回転が容易に行われる、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−535716(P2008−535716A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501380(P2008−501380)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050177
【国際公開番号】WO2006/097648
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】