説明

マニュアル改版プログラム

【課題】ソフトウェア製品のマニュアルの改版作業のうち、特に負担の大きい操作画面の画像の差し替え作業を省力化するとともに、作業時間の短縮化を実現する。
【解決手段】読込部10で、バージョンアップ前のCAD製品のマニュアルの文書ファイルである旧マニュアルファイル100を読み込む。画像差替部20で、読み込んだ旧マニュアルファイル100に含まれる画像を抽出し、抽出した画像のうち、バージョンアップ前の画像であって作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを有する旧画像のみを選別する。さらに、選別した旧画像における作業ウィンドウの画像で、バージョンアップ後の新画像における作業ウィンドウの画像を置換して、各旧画像に対応する新画像を生成する。さらに、生成部30では、旧マニュアルファイル100に含まれる全ての旧画像を夫々新画像に差し替えた新マニュアルファイル200を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア製品のマニュアルを改版する作業を省力化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェアの操作手順を記載したマニュアルは、文書作成ソフト(MicroSoft Word(登録商標))等で作成されることが多い。かかるマニュアルの作成においては、文書ファイルに操作手順等の説明文章を文字入力するとともに、説明対象となる画面のキャプチャを採取し、その画像を文書ファイル中に貼り付けるのが一般的である。そして、かかるマニュアルは、ソフトウェアのバージョンアップに伴い改版する必要がある。この改版作業では、機能変更等があった部分についての説明文章を変更したり、文書ファイルに含まれる画面の画像を差し替えたりする作業が行なわれる。
【0003】
また、一般的に、文書ファイルに含まれる画像を自動差し替えする技術の1つとして、特開2005−50332号公報では、文書ファイルに含まれる機械読み取り可能なコード(例えばバーコードなど)画像を抽出してそのコード内容を読み取り、読み取ったコード内容と同じコード内容を有する新たなコード画像を差し替え画像として自動生成し、文書ファイルの画像と差し替える技術が提供されている。
【特許文献1】特開2005−50332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マニュアルの改版作業において差し替え対象となるソフトウェアの画面の画像は、そもそもバーコードなどのように機械読み取り可能な特性を持ったものとは全く異なる。このため、マニュアルの改版作業では、特開2005−50332号公報で提供されている技術と同様の方法で差し替え画像を自動生成することは当然ながら不可能であり、画面の画像の差し替え作業にはかかる従来技術を適用することができず、手作業で行わざるを得なかった。さらに、かかる実情にも関わらず、ソフトウェアのバージョンアップでは、目新しさを強調するため、画面のデザインが共通して一新されることが多い。このため、マニュアルの改版作業では、このようにデザインが一新された画面全てについて、その実質的な機能変更等の有無に関わらず、文書ファイルに含まれる画像を差し替える必要があった。そして、これらの画面についてその画像を差し替えるには、実際にソフトウェアの操作を行い、これらの画面を全て表示させてキャプチャを採取し直す必要があるため、多大な労力と時間を必要としていた。しかも、マニュアルの改版作業は、ソフトウェアの開発が終了してから販売を開始するまでの短期間のうちに行なわなければならないことが多いため、かかる画面の画像の差し替え作業における負担は一層大きなものとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、ソフトウェアのマニュアルの改版作業のうち、特に負担の大きい、画面の画像の差し替え作業を省力化するとともに、その作業時間の短縮化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明においては、ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込み、第1文書ファイルから被差替画像を抽出する。また、抽出した被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する一方、ユーザにより予め設定された、作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である差替画像を読み込み、差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する。さらに、被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を抽出し、差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像で置換する。そして、第1文書ファイルに含まれる被差替画像を、置換した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する。
【0007】
また、本発明においては、差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像で置換する代わりに、被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像のみを被差替画像の大きさに拡大し、第1文書ファイルの被差替画像を、拡大した画像で夫々差し替えて第2文書ファイルを生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ソフトウェアの各画面が、作業ウィンドウと、それ以外の共通部分である操作ウィンドウと、を有することに着目してこれらを含んで構成された画面の画像を被差替画像とし、マニュアルに含まれる夫々の被差替画像が、被差替画像の作業ウィンドウの画像で差替画像の作業ウィンドウの画像を置換した画像で差し替えられ、新マニュアルが生成される。このため、かかる自動差し替えさえ実行すれば、ソフトウェアのマニュアルの改版処理において、マニュアルに含まれる各画面の操作ウィンドウの画像を一律で異なる操作ウィンドウの画像に変更することができる。従って、これまでのように、各画面の機能変更等の有無に関わらず、全ての画面について手作業で大量に差し替えを行なう必要がなくなり、マニュアルの改版作業が大幅に省力化され、作業時間が短縮化される。
【0009】
また、本発明によれば、被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像のみを被差替画像の大きさに拡大した拡大画像、即ち、被差替画像から操作ウィンドウが削除された画像が被差替画像の大きさに拡大され、この拡大された画像でマニュアルの被差替画像が差し替えられ、新マニュアルが生成される。このため、生成したマニュアルに含まれる画像は、その後に発生するソフトウェアのバージョンアップに伴う操作ウィンドウのデザインの変更に全く関係がなくなるため、さらに改版作業が省力化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
【0011】
図1は、本発明を具現化した、CAD製品の操作方法が記載されたマニュアルの改版を行うマニュアル改版装置の機能概要図を示す。ここでは、そのCAD製品の各画面が、作業ウィンドウと,それ以外の部分であって、各画面に共通し、バージョンアップに伴い一律でデザインの変更が生じる操作ウィンドウと,から構成されたことを前提とする。
【0012】
このマニュアル改版装置は、コンピュータで実現され、読込部10,画像差替部20,生成部30,旧画像フォルダ40及び新画像フォルダ50を含んで構成される。
【0013】
読込部10では、バージョンアップ前のCAD製品のマニュアルの文書ファイルである旧マニュアルファイル100を読み込む。なお、読込部10が、読込手段に相当する。
【0014】
画像差替部20では、読み込んだ旧マニュアルファイル100に含まれる画像を抽出し、抽出した画像のうち、バージョンアップ前のCAD製品の画面の画像であって作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを有する画像(以下、「旧画像」という。なお、被差替画像に相当する)のみを選別する。さらに、選別した旧画像における作業ウィンドウの画像で、バージョンアップ後のCAD製品の画面の画像であって作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを有する画像(以下、「新画像」という。なお、差替画像に相当する)における作業ウィンドウの画像を置換して、各旧画像に対応する新画像を生成する。なお、画像差替部20が、抽出手段,第1特定手段,置換手段に相当する。
【0015】
生成部30では、旧マニュアルファイル100に含まれる全ての旧画像を夫々新画像に差し替えた新マニュアルファイル200を生成する。なお、生成部30が、第1生成手段に相当する。
【0016】
また、旧画像フォルダ40には、ユーザにより予め次の画像が設定されている。即ち、旧画像のうち任意の1つである旧画像サンプル40Aと,差し替え対象となる各旧画像に共通して含まれる基準画像及びその範囲を特定するための画像であって、旧画像サンプル40Aと同一の画像のうち基準画像の範囲がユーザにより任意の色で塗り潰された基準画像特定用旧画像サンプル40Bと,旧画像における作業ウィンドウの範囲を特定するための画像であって、旧画像サンプル40Aと同一の画像のうち作業ウィンドウの範囲がユーザにより任意の色で塗り潰された作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル40Cと,が設定されている。一方、新画像フォルダ50にも同様に、ユーザにより予め次の画像が設定されている。即ち、新画像のうち任意の1つである新画像サンプル50Aと,新画像における作業ウィンドウの範囲を特定するための画像であって、新画像サンプル50Aと同一の画像のうち作業ウィンドウの範囲がユーザにより任意の色で塗り潰されている作業ウィンドウ特定用新画像サンプル50Bと,が設定されている。
【0017】
次に、マニュアル改版装置の読込部10,画像差替部20及び生成部30による改版処理について説明する。
【0018】
図2は、改版処理の内容を示し、この改版処理は、ユーザによる実行指示により開始される。
【0019】
ステップ1では、旧マニュアルファイル100を読み込み、旧マニュアルファイル100に含まれる画像を全て抽出する。なお、画像の抽出方法には様々なものがあるが、ここでは、次の方法を採用する。即ち、旧マニュアルファイル100がWord文書ファイルであることを前提とし、かかる旧マニュアルファイル100を「WEBページとして保存」する。そうすると、旧マニュアルファイル100に含まれる全ての画像がPNG形式ファイルとして格納された画像フォルダが、旧マニュアルファイル100のHTMLファイルとともに生成される。ここで、画像フォルダに格納された画像には、差し替えの対象となる旧画像と,差し替えの対象とならない画像(例えば操作説明に伴う吹き出しや挿絵など)と,の両方が含まれる。なお、ステップ1が、読込手段に相当する。
【0020】
ステップ2では、旧画像サンプル40A及び基準画像特定用旧画像サンプル40Bを比較し、その差分に基づいて、基準画像及びその範囲を特定する。なお、PNG形式ファイルの画像の場合、その画像ファイル構成要素のうちIDATチャンクに画像のイメージ情報を保持しており、このIDATチャンクの情報の差分に基づいて、かかる特定を行なうことができる。
【0021】
ステップ3では、旧画像サンプル40A及び作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル40Cを比較し、その差分に基づいて、旧画像サンプル40Aにおける作業ウィンドウの範囲を特定する。
【0022】
ステップ4では、新画像サンプル50A及び作業ウィンドウ特定用新画像サンプル50Bを比較し、その差分に基づいて、新画像サンプル50Aにおける作業ウィンドウの範囲を特定する。なお、ステップ3及び4が、第1特定手段に相当する。
【0023】
ステップ5では、旧マニュアルファイル100から抽出した画像を1つ読み込む。
【0024】
ステップ6では、基準画像の範囲に基づいて、読み込んだ画像における対応画像を抽出し、対応画像が基準画像と一致するか否かに基づいて、読み込んだ画像が差し替え対象となる旧画像であるか否かを判定する。読み込んだ画像における対応画像が基準画像と一致するとき、即ち、読み込んだ画像が旧画像であるときにはステップ7に進み(Yes)、読み込んだ画像における対応画像が基準画像と一致しないとき、即ち、読み込んだ画像が旧画像でないときにはステップ5に戻る(No)。なお、ステップ1,2,ステップ5及び6が、抽出手段に相当する。
【0025】
ステップ7では、旧画像サンプル40Aにおける作業ウィンドウの範囲に基づいて、旧画像における作業ウィンドウの範囲の画像を抽出する。そして、旧画像における作業ウィンドウの範囲の大きさと新画像サンプル50Aの作業ウィンドウの範囲の大きさとを比較し、両者が一致しないときには、旧画像における作業ウィンドウの範囲の画像の大きさを新画像サンプル50Aの作業ウィンドウの範囲の大きさにあわせて拡張又は縮小させる。さらに、新画像サンプル50Aにおける作業ウィンドウの範囲の画像を、当該旧画像における作業ウィンドウの範囲の画像で置換する。なお、ステップ7が、置換手段に相当する。
【0026】
ステップ8では、置換した画像の大きさと旧画像の大きさとを比較し、両者が一致しないときには、置換した画像の大きさを旧画像の大きさにあわせて拡張又は縮小させる。そして、旧マニュアルファイル100の旧画像を、置換した画像で差し替える。
【0027】
ステップ9では、旧マニュアルファイル100から抽出した画像を全て処理したか否かを判定する。画像を全て処理したときには、ステップ10に進み(Yes)、画像を全て処理していないときには、ステップ5に戻る(No)。
【0028】
ステップ10では、旧画像を全て差し替えた旧マニュアルファイル100を新たな名前で保存し、新マニュアルファイル200を生成する。なお、ステップ8及びステップ10が、第1生成手段に相当する。
【0029】
かかる改版処理によれば、新画像における作業ウィンドウの画像を、旧マニュアルファイル100に含まれる各旧画像における作業ウィンドウの画像で置換することで、新画像の操作ウィンドウと旧画像の作業ウィンドウが合成された画像が生成される。そして、旧マニュアルファイル100に含まれる旧画像がかかる画像で差し替えられて、新マニュアルファイル200が生成される。このため、かかる自動差し替えさえ実行すれば、デザインに一律して変更が生じた旧画像の操作ウィンドウが、新画像の操作ウィンドウに全て変更されて新しいマニュアルが生成される。従って、これまでのように、実際の機能変更に関係ない画面の画像までも手作業で大量に差し替えを行なう必要がなくなり、マニュアルの改版作業が大幅に省力化され、作業時間が短縮化される。
【0030】
ここで、かかる改版処理について、さらに各画像の具体例を示しつつ説明する。なお、前提として、予めユーザにより、旧画像フォルダ40に、旧画像サンプル40A,基準画像特定用旧画像サンプル40B及び作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル40Cとして、夫々図3,図4及び図5に示す画像が設定されているとする。さらに、新画像フォルダ50に、新画像サンプル50A及び作業ウィンドウ特定用新画像サンプル50Bとして、夫々図6及び図7に示す画像が設定されているとする。
【0031】
まず、旧マニュアルファイル100を読み込み、旧マニュアルファイル100に含まれる画像を全て抽出した後(ステップ1)、図3に示す旧画像サンプル40A及び図4に示す基準画像特定用旧画像サンプル40Bを比較する。すると、基準画像特定用旧画像サンプル40Bにおいて白く塗り潰された部分、即ち、図4において破線で囲んだ範囲に示される部分が差分となる。そして、図3に示す旧画像サンプル40Aのうち、この差分の範囲の画像、即ち、実線で囲んだ範囲の画像を基準画像とするとともに、この範囲を旧画像における基準画像の範囲として特定する(ステップ2)。
【0032】
次に、図3に示す旧画像サンプル40A及び図5に示す作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル40Cを比較する。すると、作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル40Cにおいて白く塗り潰された部分、即ち、図5において破線で囲んだ範囲に示す部分が差分となる。そして、この差分の範囲、即ち、図3において破線で囲んだ範囲を、旧画像サンプル40Aにおける作業ウィンドウの範囲として特定する(ステップ3)。
【0033】
さらに、図6に示す新画像サンプル50A及び図7に示す作業ウィンドウ特定用新画像サンプル50Bを比較する。すると、作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル50Bにおいて白く塗り潰された部分、即ち、図7において破線で囲んだ範囲に示す部分が差分となる。そして、この差分の範囲、即ち、図6において破線で囲んだ範囲を、新画像サンプル50Aにおける作業ウィンドウの範囲として特定する(ステップ4)。
【0034】
そして、旧マニュアルファイル100から抽出した画像を1つ読み込む(ステップ5)。ここで、読み込んだ画像が図8に示す画像である場合、図3に示す基準画像の範囲に基づいて、図8に示す画像における対応画像、即ち、図8において実線で囲んだ範囲(図3において実線で囲んだ範囲と同一の範囲)の画像を抽出し、これが図3に示す基準画像と一致するか否かを判定する。この具体例の場合には、両者が一致するため、この読み込んだ画像が旧画像であると判定される(ステップ6)。
【0035】
また、旧画像サンプル40Aにおける作業ウィンドウの範囲、即ち、図3において破線で囲んだ範囲に基づいて、読み込んだ旧画像における作業ウィンドウの範囲の画像、即ち、図8において破線で囲んだ範囲に示す作業ウィンドウの範囲の画像を抽出し、その大きさを、図6に示す新画像サンプル50Aにおける作業ウィンドウの範囲、即ち、破線で囲んだ範囲の大きさに合わせて調整した上で、図9に示すように、当該新画像サンプル50Aにおける作業ウィンドウの範囲の画像を、旧画像の作業ウィンドウの範囲の画像で置換する(ステップ7)。
【0036】
さらに、図9に示す置換した画像を、図8に示す旧画像の大きさに合わせて調整した上で、旧マニュアルファイル100における図8に示す旧画像を、図9に示す置換した画像で差し替える(ステップ8)。また、旧マニュアルファイル100から抽出した画像を全て処理したと判定すると(ステップ9)、置換した画像で旧画像を全て差し替えた旧マニュアルファイル100を新たな名前で保存し、新マニュアルファイル200を生成する(ステップ10)。
【0037】
なお、旧画像サンプル40A,基準画像特定用旧画像サンプル40B,作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル40C,新画像サンプル50A及び作業ウィンドウ特定用新画像サンプル50Bの夫々について、異なる画素数の画像を設定しておき、旧マニュアルファイル100から読み込んだ画像の画素数と一致する画像を選択するようにしてもよい。そのようにすれば、異なる画素数の画像がマニュアルに混在していても、適切に差し替えを行なうことができる。
【0038】
また、本実施例では、基準画像及びその範囲や,旧画像及び新画像における作業ウィンドウの範囲を特定するときに、対象とする範囲が任意の色で塗り潰された画像と塗り潰されていない画像との差分に基づいて、これらの範囲を特定する方法を採用している。かかる方法によれば、改版処理においてこれらの範囲を特定するために必要な情報をユーザが予め設定するときに、画像を適宜塗り潰し、その画像を各フォルダに格納するだけでかかる設定をすることができるため、例えば画像の範囲を特定する具体的な数値(ピクセル値など)を設定したりする必要がなく、その設定作業が簡単なものとなる。しかしながら、基準画像及びその範囲や,旧画像及び新画像における作業ウィンドウの範囲を特定することが可能であれば、かかる方法に限らず、どんな方法を用いてもよい。
【0039】
さらに、本実施例では、旧マニュアルから読み込んだ画像が差し替え対象となる旧画像であるか否かを判定するときに、基準画像と、旧マニュアルから読み込んだ画像における基準画像の範囲の画像と、を比較し、画像そのものが一致しているか否かに基づいて判定を行なっている。しかしながら、本願発明はかかる判定方法に限らず、OCR機能を用いて、基準画像に含まれる識別子(文字など)を特定し、その識別子が旧マニュアルから読み込んだ画像における基準画像の範囲の画像に含まれるか否かによって判定を行なってもよい。
【0040】
ところで、新画像における作業ウィンドウの範囲の画像を旧画像における作業ウィンドウの範囲の画像で差し替える代わりに、旧画像から操作ウィンドウを省いた画像、即ち、作業ウィンドウのみで構成される画像で差し替えてもよい。
【0041】
具体的には、前述の改版処理において、抽出した旧画像の作業ウィンドウのみを、旧画像そのものの大きさに拡張する。例えば、読み込んだ旧画像が図8に示す画像である場合、抽出された作業ウィンドウの範囲の画像を当該旧画像の大きさに拡張して、図10に示すような画像を生成する。そして、かかる作業ウィンドウの範囲の画像を拡張した画像で、旧マニュアルにおける旧画像を差し替える。
【0042】
このようにすれば、新しいマニュアルに含まれる画像は、バージョンアップに伴いデザインの変更が入る共通部分としての操作ウィンドウを含まないため、その後に発生する操作ウィンドウのデザインの変更に全く関係がなくなる。このため、さらに改版作業が省力化される。
【0043】
なお、本実施例ではCAD製品のマニュアルの改版処理について説明したが、CAD製品に限らず、作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを有するソフトウェア製品全てに適用可能である。
【0044】
(付記1)コンピュータを、ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込む読込手段と、前記第1文書ファイルから前記被差替画像を抽出する抽出手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する一方、ユーザにより予め設定された、作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である差替画像を読み込み、該差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する第1特定手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を抽出し、前記差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を、該被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像で置換する置換手段と、前記第1文書ファイルにおける前記被差替画像を、前記置換した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する第1生成手段と、として機能させることを特徴とするマニュアル改版プログラム。
【0045】
(付記2)前記置換手段は、抽出した前記被差替画像の大きさ及び前記差替画像における作業ウィンドウの範囲の大きさを比較し、両者が一致しないときに、該被差替画像の大きさを、該差替画像における作業ウィンドウの範囲の大きさに調整することを特徴とする付記1記載のマニュアル改版プログラム。
【0046】
(付記3)前記第1生成手段は、前記置換した画像の大きさ及び前記被差替画像の大きさを比較し、両者が一致しないときに、該置換した画像の大きさを、該被差替画像の大きさに調整することを特徴とする付記1又は付記2に記載のマニュアル改版プログラム。
【0047】
(付記4)前記第1特定手段は、任意の被差替画像と、該被差替画像のうち作業ウィンドウの範囲がユーザにより任意の色で塗り潰された画像と、を比較し、その差分に基づいて、被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する一方、前記差替画像と、該差替画像のうち前記作業ウィンドウの範囲がユーザにより任意の色で塗り潰された画像と、を比較し、その差分に基づいて、差替画像の作業ウィンドウの範囲を特定することを特徴とする付記1〜付記3のいずれか1つに記載のマニュアル改版プログラム。
【0048】
(付記5)前記第1特定手段は、画素数が異なる複数の差替画像から、前記被差替画像と画素数が一致する差替画像を選択して読み込むことを特徴とする付記1〜付記4のいずれか1つに記載のマニュアル改版プログラム。
【0049】
(付記6)コンピュータを、ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込む読込手段と、前記第1文書ファイルから前記被差替画像を抽出する抽出手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する第2特定手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像のみを、前記被差替画像の大きさに拡大する拡大手段と、前記第1文書ファイルに含まれる前記被差替画像を、前記拡大した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する第2生成手段と、として機能させることを特徴とするマニュアル改版プログラム。
【0050】
(付記7)前記抽出手段は、被差替画像に共通して含まれる基準画像及びその範囲を特定する一方、該基準画像の範囲に基づいて、前記第1文書ファイルに含まれる画像における対応画像を抽出し、該対応画像が前記基準画像と一致するときにのみ、該画像を被差替画像として選別することを特徴とする付記1〜付記6のいずれか1つに記載のマニュアル改版プログラム。
【0051】
(付記8)前記抽出手段は、被差替画像に共通して含まれる基準画像及びその範囲を特定するとともに、前記基準画像に含まれる識別子を特定する一方、該基準画像の範囲に基づいて、前記第1文書ファイルに含まれる画像における対応画像を抽出し、該対応画像に前記識別子が含まれるときにのみ、該画像を被差替画像として選別することを特徴とする付記1〜付記6のいずれか1つに記載のマニュアル改版プログラム。
【0052】
(付記9)前記抽出手段は、任意の被差替画像と、該被差替画像のうち前記基準画像の範囲がユーザにより任意の色で塗り潰された画像と、を比較し、その差分に基づいて、前記基準画像及びその範囲を特定することを特徴とする付記7又は付記8に記載のマニュアル改版プログラム。
【0053】
(付記10)ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込む読込手段と、前記第1文書ファイルから前記被差替画像を抽出する抽出手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する一方、ユーザにより予め設定された、作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である差替画像を読み込み、該差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する第1特定手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を抽出し、前記差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を、該被差替画像の作業ウィンドウの範囲の画像で置換する置換手段と、前記第1文書ファイルにおける前記被差替画像を、前記置換した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する第1生成手段と、を含んで構成された特徴とするマニュアル改版装置。
【0054】
(付記11)ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込む読込手段と、前記第1文書ファイルから前記被差替画像を抽出する抽出手段と、前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する第2特定手段と、前記被差替画像のうち作業ウィンドウの範囲の画像のみを、前記被差替画像の大きさに拡大する拡大手段と、前記第1文書ファイルに含まれる前記被差替画像を、前記拡大した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する第2生成手段と、を含んで構成された特徴とするマニュアル改版装置。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】マニュアル改版装置の機能概要図
【図2】改版処理を示すフローチャート
【図3】旧画像サンプルの具体例の説明図
【図4】新画像サンプルの具体例の説明図
【図5】差し替え対象となる旧画像の判定に用いる基準画像特定用旧画像サンプルの具体例の説明図
【図6】作業ウィンドウ特定用旧画像サンプルの具体例の説明図
【図7】作業ウィンドウ特定用新画像サンプルの具体例の説明図
【図8】旧マニュアルから読み込んだ旧画像の具体例の説明図
【図9】置換後の新画像サンプルの具体例の説明図
【図10】旧画像の作業ウィンドウのみを旧画像の大きさに拡張した画像の具体例の説明図
【符号の説明】
【0056】
10 読込部
20 画像差替部
30 生成部
40 旧画像フォルダ
40A 旧画像サンプル
40B 基準画像特定用旧画像サンプル
40C 作業ウィンドウ特定用旧画像サンプル
50 新画像フォルダ
50A 新画像サンプル
50B 作業ウィンドウ特定用新画像サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込む読込手段と、
前記第1文書ファイルから前記被差替画像を抽出する抽出手段と、
前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する一方、ユーザにより予め設定された、作業ウィンドウ及び操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である差替画像を読み込み、該差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する第1特定手段と、
前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を抽出し、前記差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像を、該被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像で置換する置換手段と、
前記第1文書ファイルにおける前記被差替画像を、前記置換した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する第1生成手段と、
として機能させることを特徴とするマニュアル改版プログラム。
【請求項2】
前記置換手段は、
抽出した前記被差替画像の大きさ及び前記差替画像における作業ウィンドウの範囲の大きさを比較し、両者が一致しないときに、該被差替画像の大きさを、該差替画像における作業ウィンドウの範囲の大きさに調整することを特徴とする請求項1記載のマニュアル改版プログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
ソフトウェアの操作方法を記載したマニュアルの文書ファイルであって、作業ウィンドウ及び各画面に共通する操作ウィンドウを含んで構成された画面の画像である被差替画像を含んだ第1文書ファイルを読み込む読込手段と、
前記第1文書ファイルから前記被差替画像を抽出する抽出手段と、
前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲を特定する第2特定手段と、
前記被差替画像における作業ウィンドウの範囲の画像のみを、前記被差替画像の大きさに拡大する拡大手段と、
前記第1文書ファイルに含まれる前記被差替画像を、前記拡大した画像で夫々差し替えた第2文書ファイルを生成する第2生成手段と、
として機能させることを特徴とするマニュアル改版プログラム。
【請求項4】
前記抽出手段は、
被差替画像に共通して含まれる基準画像及びその範囲を特定する一方、該基準画像の範囲に基づいて、前記第1文書ファイルに含まれる画像における対応画像を抽出し、該対応画像が前記基準画像と一致するときにのみ、該画像を被差替画像として選別することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のマニュアル改版プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−242852(P2008−242852A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82783(P2007−82783)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】