説明

マルチバンドカメラ

【課題】迷光が発生するのを防止したマルチバンドカメラを提供する。
【解決手段】互いに分光反射特性が異なる複数の分光反射領域を有する分光反射部21と
、分光反射部21に達した光のうち分光反射領域で反射しない光を吸収する光吸収部26
と、二次元撮像素子40に検出された検出信号に基づいて、複数のマイクロレンズ31に
より形成された複数の分光反射部21の像における分光反射領域に対応した16バンドの
分光強度をそれぞれ算出し、当該分光強度をそれぞれ複数のマイクロレンズ31の配列に
対応させて、16バンドの二次元分光画像を取得する画像処理部50とを備えて構成され
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一回の撮像でマルチバンドの二次元分光画像を得るマルチバンドカメラに関
する。
【背景技術】
【0002】
二次元画像のうち特定の波長域のみを抽出した二次元分光画像は、例えばマルチバンド
カメラによって撮像取得される。マルチバンドカメラの一形態として、対物レンズと、複
数の撮像波長領域に分割された分光フィルタアレイと、複数のマイクロレンズからなるマ
イクロレンズアレイと、分光フィルタアレイで分割されたスペクトル毎の画像を撮像する
二次元検出器とを備えて構成されるものがある(例えば、特許文献1を参照)。このよう
な形態のマルチバンドカメラの光学系の入射瞳位置に配置された分光フィルタアレイを構
成する個々のフィルタは、光学系に入射した光の一部の波長帯域を透過させる。このよう
なフィルタとして、所定の波長帯域のみを透過させるバンドパスフィルタが用いられる。
バンドパスフィルタのような複雑な分光特性が要求される場合、通常は誘電体多層膜から
なる干渉フィルタが適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7433042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、干渉フィルタは透過光以外の光を反射する性質があるため、分光フィル
タアレイの前にレンズが配置されていると、干渉フィルタで反射した光成分が該レンズの
表面で反射され、再び分光フィルタアレイに戻る。このとき、レンズからの戻り光が最初
に反射された干渉フィルタ以外の干渉フィルタに戻ると、干渉フィルタの分光特性によっ
ては、大部分の戻り光が干渉フィルタを透過し、迷光として撮像デバイス(二次元検出器
)まで到達する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、迷光が発生するのを防止した
マルチバンドカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明を例示する態様に従えば、物体の像を所定の結像面
上に結像させる結像光学系と、前記結像光学系の開口絞りの位置に配設され、互いに分光
反射特性が異なる複数の分光反射領域、もしくは、分光反射特性が連続的に変化する分光
反射領域を有して、前記結像光学系に入射した光を像側に向けて反射させる分光反射部と
、前記分光反射部に達した光のうち前記分光反射領域で反射しない光を吸収する光吸収部
と、前記所定の結像面上に二次元的に配列された正の屈折力を有する複数のマイクロレン
ズからなり、前記複数のマイクロレンズにより複数の分光反射部の像をそれぞれ同一平面
上に形成するマイクロレンズアレイと、前記同一平面上に二次元的に配列された複数の受
光部を有し、前記複数の受光部により前記複数の分光反射部の像をそれぞれ検出する光電
変換素子と、前記光電変換素子に検出された検出信号に基づいて、前記複数の分光反射部
の像における前記分光反射領域に対応した複数種の設定波長帯域での分光強度をそれぞれ
算出し、前記複数の分光反射部の像における前記分光強度をそれぞれ前記結像面における
前記複数のマイクロレンズの配列に対応させて、前記物体の画像情報を前記複数種の設定
波長帯域ごとに求める画像処理部とを備えて構成されることを特徴とするマルチバンドカ
メラが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、迷光が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マルチバンドカメラの概要構成図である。
【図2】分光反射部の像の1画素あたりの投影図である。
【図3】分光反射部を示す模式図である。
【図4】(a)は分光反射部および光吸収部の側面図であり、(b)は分光反射部および光吸収部の正面図である。
【図5】テレセントリック状態におけるマイクロレンズアレイでの光線の通り方を示す説明図である。
【図6】非テレセントリック状態におけるマイクロレンズアレイでの光線の通り方を示す説明図である。
【図7】テレセントリック結像の場合の画素構成ピクセル群を示す説明図である。
【図8】非テレセントリック結像の場合の画素構成ピクセル群を示す説明図である。
【図9】非テレセントリック結像の場合の画素構成ピクセル群を示す説明図である。
【図10】(a)は第1区画部の分光反射特性を示すグラフであり、(b)は第2区画部の分光反射特性を示すグラフである。
【図11】(a)は第3区画部の分光反射特性を示すグラフであり、(b)は帯域制限フィルタの分光透過特性を示すグラフである。
【図12】被写体画像の分光情報取得方法を(a)〜(c)の順に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る
マルチバンドカメラが図1に示されている。本実施形態のマルチバンドカメラ1は、撮像
光学系10と、二次元撮像素子40と、画像処理部50と、これらが内部に収容されるカ
メラ筐体5とを備えて構成される。また、撮像光学系10は、光軸AXに沿って物体側か
ら順に並んだ、第1光学系11と、第1平面鏡14と、分光反射部材20と、第2平面鏡
16と、第2光学系17と、帯域制限フィルタ18と、マイクロレンズアレイ30とを有
して構成される。
【0010】
図示しない被写体(物体)からの光は、第1光学系11、第1平面鏡14、分光反射部
材20、第2平面鏡16、第2光学系17を経て、さらに帯域制限フィルタ18およびマ
イクロレンズアレイ30を通過後、所定の結像面S1上で結像して物体像M1が形成され
る。ここで、第1平面鏡14および第2平面鏡16は、光路を折り曲げるだけの作用をす
る。また、分光反射部材20は、詳細は後述するが、撮像光学系10の瞳位置に配設され
、光路を折り曲げると同時に開口絞りとしても機能する。すなわち、開口絞りの位置より
も物体側に配置された第1光学系11と、開口絞りの位置よりも像側に配置された第2光
学系17とが、物体の像を所定の結像面S1上に結像させる結像光学系を構成する。
【0011】
マイクロレンズアレイ30は、所定の結像面S1上に二次元的に配列された正の屈折力
を有する複数の複数のマイクロレンズ31から構成される。すなわち、物体像M1が各マ
イクロレンズ31のレンズ面近傍に形成されるようにマイクロレンズアレイ30を配置し
て、複数のマイクロレンズ31により物体像M1を分割する。
【0012】
図2に示すように、マイクロレンズアレイ30中の個々のマイクロレンズ31は、分光
反射部材20を構成する分光反射部21の像(以下、分光反射部の像21´と称する)を
(同一平面上に)それぞれ一つ形成する。なお図2には、一つのマイクロレンズ31につ
いての投影光路を示してある。マイクロレンズ31の数だけ形成された分光反射部の像2
1´は、複数の受光部からなる二次元撮像素子40の撮像面S2上に互いに重なり合わな
いように形成され、それぞれ二次元撮像素子40により撮像される。二次元撮像素子40
には画像処理部50が電気的に接続され、二次元撮像素子40により撮像取得したマルチ
バンド画像データの処理・保存を行う。なお、画像処理部50は、設定演算部51、画像
情報演算部52、記憶部53、画像出力部54等を有して構成されている。
【0013】
ここで、焦点調整について説明する。図1に示すように、第1光学系11は、第1レン
ズ群12と、レンズ保持枠13とを有し、カメラ筐体5に対し撮像光学系10の光軸AX
に沿って前後移動可能に構成される。第1レンズ群12は円筒状に形成されたレンズ保持
枠13に保持されており、レンズ保持枠13の基端側にはネジ部(おねじ)が形成されて
いる。カメラ筐体5の先端部にはネジ部(めねじ)を有する穴状の第1光学系取付部6が
形成されており、レンズ保持枠13のネジ部(おねじ)を第1光学系取付部6のネジ部(
めねじ)に螺合させることで、第1光学系11(レンズ保持枠13)が第1光学系取付部
6に取り付けられる。そして、レンズ保持枠13を撮像光学系10の光軸AX中心に回転
させて、第1光学系11全体を撮像光学系10の光軸AXに沿って前後移動させることで
、撮像光学系10の焦点合わせを行う。
【0014】
なお、焦点調整の方式は、本実施形態のように第1レンズ群12が一体的に撮像光学系
10の光軸AXに沿って前後移動する方式に限定されるものではない。例えば、第1レン
ズ群12がさらに複数の部分群に分かれて非一体的に撮像光学系10の光軸AXに沿って
前後移動する方式であってもよい。
【0015】
第1光学系11よりも像側の光学系は全てカメラ筐体5に対して固定された状態となる
。したがって、物体像M1の任意の1点に集光する光線群に着目したとき、これらの光線
群の分光反射部材20(分光反射部21)への入射角度は焦点合わせによって動かない。
誘電体多層膜による干渉膜の反射・透過分光特性は、干渉膜への光線入射角度に応じて変
化するが、分光反射部材20における反射については光線角度変化がないので、このよう
な干渉膜を分光反射部材20に配設しても反射分光特性が安定することになる。なお、撮
影視野角を変えたいときは、第1光学系11を異なる焦点距離のものに交換する。その場
合でも、物体像M1の任意の1点に集光する光線群の分光反射部材20(分光反射部21
)への光線入射角度は変わらない。
【0016】
分光反射部材20は、図1および図4に示すような円柱状に形成され、撮像光学系10
(結像光学系)の開口絞りの位置に配設される分光反射部21と、分光反射部21の周囲
に配置される光吸収部26とを有して構成される。分光反射部21は、図3に示すように
、透明ガラス材を基材として正方形に形成される。この透明ガラス材の平面研磨面上には
、いずれも矩形の第1区画部22、第2区画部23、および第3区画部24が形成され、
それ以外の領域は透明なままになっている。第1区画部22と第2区画部23は、区画形
状が同一であり、端をそろえて平行に形成されている。第3区画部24は、第1区画部2
2および第2区画部23よりも長手方向が短く、第1区画部22および第2区画部23に
対して平行に形成されている。
【0017】
第1区画部22および第2区画部23は、誘電体多層膜からなる干渉膜(例えば、リニ
アバリアフルフィルタ:LVF)を用いて形成され、所定の波長帯域の光を透過させると
ともに、透過しない波長帯域の光を反射させる分光区画(分光反射領域)である。また、
第1区画部22および第2区画部23は、長手方向に沿って連続的に薄膜の膜厚が変化す
ることで、所定の撮像波長範囲内において透過波長帯域が連続的に変化するようになって
いる。図3における第1区画部22の右端部と第2区画部23の左端部は、所定範囲で反
射波長帯域(透過波長帯域)が重なるように設定されている。第3区画部24は、第1区
画部22および第2区画部23の全ての透過波長帯域を含む所定の撮像波長範囲の光をほ
ぼ均等に反射する反射区画(全波長帯反射領域)であり、例えば保護コート付きアルミニ
ウムコート鏡が用いられる。
【0018】
図4に示すように、分光反射部21の周囲および裏側は光吸収部26で囲まれている。
光吸収部26は、分光反射部21の周囲に設けられた周囲吸収材27と、分光反射部21
の裏面に設けられた裏面吸収材28とから構成されている。周囲吸収材27は、分光反射
部21を支持する基台部分の内側側面に塗布された黒色塗料であり、分光反射部21の外
側にあふれた入射光を吸収する。裏面吸収材28は、分光反射部21の裏面に接合された
光吸収フィルムであり、分光反射部21を透過した(すなわち、第1区画部22、第2区
画部23、および第3区画部24で反射しなかった)入射光を吸収する。
【0019】
マイクロレンズアレイ30を構成する複数のマイクロレンズ31の一つずつが、それぞ
れ一画素として機能する。一つのマイクロレンズ31は、図2に示すように、一つの分光
反射部の像21´を撮像面S2上に形成する。分光反射部の像21´の投影倍率は、分光
反射部の像21´の大きさがマイクロレンズ31の中に納まるように設定される。なお、
図1および図2に示すように、分光反射部21は撮像光学系10の光軸AXに対して反射
面が直交していないため、分光反射部の像21´も撮像面S2に対して若干角度を持って
形成されるが、投影倍率が小さいため像が傾くことによって発生する焦点ぼけは無視でき
る。
【0020】
図5に示すように、物体像M1がテレセントリック結像している場合は、結像光束がど
のマイクロレンズ31に対しても同等に通過し、マイクロレンズ31と分光反射部の像2
1´の位置関係は全てのマイクロレンズ31について同じになる。マイクロレンズ31の
縦横の大きさはそれぞれ二次元撮像素子40のピクセル(受光部)の整数倍に設定されて
いる。本実施形態では、マイクロレンズ31の縦横の大きさをそれぞれ10ピクセルに合
わせてある。この場合、図7に示すように10×10ピクセルを1単位とした画素構成ピ
クセル群41が、画像を構成する画素になる。複数の画素構成ピクセル群41,41,…
が撮像面S2を縦横に区切り、二次元的に隙間なく並ぶことで画像を形成する。分光反射
部21における第1区画部22の像、第2区画部23の像、および第3区画部24の像(
以下、第1区画部の像22´、第2区画部の像23´、および第3区画部の像24´と称
する)は、どの画素構成ピクセル群41内においても、相対的に同じ位置関係にある特定
の複数のピクセルに対応付けられる。
【0021】
一方、図6に示すように、物体像M1が非テレセントリック結像している場合は、結像
光束は像点の撮像光学系10の光軸AXからの距離に応じてマイクロレンズ31を異なる
角度で通過し、それに応じてマイクロレンズ31と分光反射部の像21´の位置関係も変
化する。図6に示した例では、像点が撮像光学系10の光軸AXから離れるほど、分光反
射部の像21´がマイクロレンズ31の光軸BXに対して撮像光学系10の光軸AXから
離れる方向にずれて形成される。このような場合、画素構成ピクセル群41の撮像面S2
上での番地決めは、例えば次のようにして行う。
【0022】
まず、各画素構成ピクセル群41の原点となる基準ピクセルP(0,0)を決定する。
予め、図1に示すように、物体位置に撮像領域全体にわたって撮像波長範囲全域で光る面
光源60を設置し、撮像する。面光源60に焦点を合わせる必要は必ずしもない。このと
き、図8および図9に示すように、第3区画部の像24´が第1区画部の像22´および
第2区画部の像23´と比べて短く形成されることを利用して、第3区画部の像24´を
識別する。ここで、図8および図9の中央領域には、撮像面S2上のピクセル配列の一部
が示されている。また、図8および図9の下方領域には、選択された横方向一行にある複
数ピクセルの出力値を表す棒グラフが示され、右側領域には、選択された縦方向一列にあ
る複数ピクセルの出力値を表す棒グラフが示されている。
【0023】
なお、撮像光学系10は、各ピクセル(受光部)の撮像波長範囲における分光特性、お
よび個々のピクセルの感度ばらつきについてフラット較正がなされているものとし、以下
ピクセルの出力値(信号出力値)と称する場合は、いずれも較正後の出力値であり、いず
れのピクセルについても同じ入力光量に対しては同じ出力値を示すものとする。
【0024】
基準ピクセルP(0,0)を決定するには、最初に、画素構成ピクセル群41の横方向
の境界を求める。このとき、画素構成ピクセル群41において、図8に太い横向き矢印で
示した第3区画部の像24´の位置に該当すると認識されたピクセル行に着目する。図8
に示す例では、ピクセル図の下側に示された出力パターンの中に、最低出力を示すピクセ
ルが横方向に5個存在する。このように最低出力ピクセルが奇数個存在する場合は、最低
出力ピクセル群の中央のピクセル列(図8の細い下向き矢印を参照)から左に10列目の
ピクセル列を画素構成ピクセル群41の左端境界のピクセル列とする。一方、図9に示す
例では、ピクセル図の下側に示された出力パターンの中に、最低出力を示すピクセルが横
方向に4個存在する。このように最低出力ピクセルが偶数個存在する場合は、最低出力ピ
クセル群の中央右側のピクセル列(図9の細い下向き矢印を参照)を画素構成ピクセル群
41の左端境界のピクセル列とする。
【0025】
次に、画素構成ピクセル群41の縦方向の境界を求める。このとき、画素構成ピクセル
群41において、図8に太い下向き矢印で示した左端境界のピクセル列に該当すると認識
されたピクセル列に着目する。図8に示す例では、ピクセル図の右側に示された出力パタ
ーンの中に、最低出力を示すピクセルが縦方向に2個存在する。このように最低出力ピク
セルが偶数個存在する場合は、最低出力ピクセル群の中央下側のピクセル行(図8の細い
横向き矢印を参照)を画素構成ピクセル群41の下端境界のピクセル行とする。一方、図
9に示す例では、ピクセル図の右側に示された出力パターンの中に、最低出力を示すピク
セルが縦方向に3個存在する。このように最低出力ピクセルが奇数個存在する場合は、最
低出力ピクセル群の中央のピクセル行の下側に隣接するピクセル行(図9の細い横向き矢
印を参照)を画素構成ピクセル群41の下端境界のピクセル行とする。
【0026】
このようにして決めた左端境界のピクセル列と下端境界のピクセル行に共通のピクセル
を、画素構成ピクセル群41の基準ピクセルP(0,0)と決める。各画素構成ピクセル
群41の基準ピクセルP(0,0)が決まったら、各ピクセルの出力パターンから、各画
素構成ピクセル群41内で、撮像時に使用するピクセルの割り振りを行う。本実施形態で
は、基準ピクセルP(0,0)から右に1ピクセル目、上に7ピクセル目のピクセルP(
1,7)と、同じく右に8ピクセル目、上に7ピクセル目のピクセルP(8,7)とを左
右境界とする8個のピクセルP(1,7)〜P(8,7)を、第1区画部撮像ピクセル群
42とする。
【0027】
また、基準ピクセルP(0,0)から右に1ピクセル目、上に4ピクセル目のピクセル
P(1,4)と、同じく右に8ピクセル目、上に4ピクセル目のピクセルP(8,4)と
を左右境界とする8個のピクセルP(1,4)〜P(8,4)を、第2区画部撮像ピクセ
ル群43とする。さらに、基準ピクセルP(0,0)から右に4ピクセル目、上に1ピク
セル目のピクセルP(4,1)と、同じく右に5ピクセル目、上に1ピクセル目のピクセ
ルP(5,1)とからなる2個のピクセルを、第3区画部撮像ピクセル群44とする。な
お、以上で述べた、第3区画部の像24´の識別、基準ピクセルP(0,0)の決定、お
よびピクセルの割り振り等は、画像処理部50の設定演算部51によって実行される。
【0028】
また、以上で述べたように、基準ピクセルP(0,0)から右にmピクセル目(基準ピ
クセルと同じ列の場合はm=0とする)、上にnピクセル目(基準ピクセルと同じ行の場
合はn=0とする)のピクセルをP(m,n)と表すことにする。これにより、10×1
0ピクセルを1単位とした画素構成ピクセル群41において、画素構成ピクセル群41の
左下端部に位置する基準ピクセルP(0,0)からの右上端部に位置するピクセルP(9
,9)までの全てのピクセルを個別に表すことができる。
【0029】
以上、非テレセントリック結像の場合においては、画素構成ピクセル群41中の18ピ
クセルを使用して、1画素あたり16波長チャネルのマルチバンド撮像を行う。但し、以
上で述べた方法は、画素構成ピクセル群41の撮像面S2上での番地決め方法の一例であ
って、これに限定されるものではない。
【0030】
以上のように構成されるマルチバンドカメラ1を用いた、被写体画像の分光特性情報の
取得方法について説明する。最短波長側の波長バンド(波長帯域)の中心波長をλsとし
、最長波長側の波長バンドの中心波長をλeとして、図1に示す帯域制限フィルタ18を
通したときの第1区画部22の分光反射特性を図10(a)に示し、第2区画部23の分
光反射特性を図10(b)に示す。また、同じ波長スケールにおける第3区画部24の分
光反射特性を図11(a)に示す。図10(a)、図10(b)、および図11(a)に
おいて、いずれも実線で示す最短波長側と最長波長側の撮像波長範囲境界での分光特性曲
線は、図11(b)に示す帯域制限フィルタ18の分光特性によって決まる。各光学素子
本来の撮像波長範囲外の分光特性については、図10(a)、図10(b)、および図1
1(a)において、点線で示してある。また、図10(a)および図10(b)に破線で
複数描かれているグラフ曲線は、それぞれ第1区画部22および第2区画部23上の複数
点における分光反射特性にそれぞれ対応している。なお、破線で描かれたグラフ曲線につ
いては、該当箇所において欠落させている波長バンド付近の分光特性しか描いていない。
【0031】
任意のマイクロレンズ31で切り出された物体像M1の一画素領域における分光特性情
報の取得は次のように行う。なお前述の通り、撮像光学系10は、ピクセル(受光部)の
撮像波長範囲における分光特性、および個々のピクセルの感度ばらつきについてフラット
較正がなされているとし、以下ピクセルの出力値(信号出力値)と称する場合は、いずれ
も較正後の出力値であり、いずれのピクセルについても同じ入力光量に対しては同じ出力
値を示すものとする。
【0032】
マイクロレンズ31によって物体像M1中の一要素分(一画素領域分)の光束が切り取
られ、撮像面S2上に第1区画部の像22´が形成される。第1区画部の像22´の一部
が第1区画部撮像ピクセル群42に含まれる8つの波長バンドのピクセルによって撮像さ
れる。図8および図9に示す非テレセントリック結像の場合、8個のピクセルP(1,7
)〜P(8,7)によって撮像される。この8個のピクセルP(1,7)〜P(8,7)
に対応する第1区画部22の部分領域をそれぞれ、第1部分領域R1〜第8部分領域R8
と称することにする。第1部分領域R1〜第8部分領域R8におけるそれぞれの平均的分
光反射特性の例を図10(a)に示す。図10(a)からわかるように、第1部分領域R
1〜第8部分領域R8からそれぞれ第1区画部撮像ピクセル群42の8個のピクセルP(
1,7)〜P(8,7)に達する光は、撮像波長範囲のうちそれぞれ異なる波長バンドの
光成分が除かれる。
【0033】
例えば、第1部分領域R1から第1区画部撮像ピクセル群42の一番左側のピクセルP
(1,7)に達する光は、中心波長がλsとなる最短波長側の波長バンドの光成分が除か
れる。そして、第1部分領域R1から第8部分領域Rまで右方へ移動するにしたがって、
撮像波長範囲から除かれる波長バンド(中心波長)が図10(a)の右方へ(波長の増加
する方向へ)段階的にシフトする。
【0034】
そこで、第1区画部撮像ピクセル群42の8個のピクセルP(1,7)〜P(8,7)
は、撮像波長範囲のうちそれぞれ異なる所定の(第1部分領域R1〜第8部分領域R8の
分光反射特性に応じた)波長帯域情報が欠落した光を受光し、その光強度を光電変換して
画像処理部50へ出力する。このとき、第1区画部撮像ピクセル群42の一番左側のピク
セルP(1,7)が第1部分領域R1からの光を検出し、これより右側に隣接した、ピク
セルP(2,7)が第2部分領域R2からの光を検出し、ピクセルP(3,7)が第3部
分領域R3からの光を検出し、ピクセルP(4,7)が第4部分領域R4の光からの光を
検出し、ピクセルP(5,7)が第5部分領域R5からの光を検出し、ピクセルP(6,
7)が第6部分領域R6からの光を検出し、ピクセルP(7,7)が第7部分領域R7か
らの光を検出し、ピクセルP(8,7)が第8部分領域R8からの光を検出する。
【0035】
マイクロレンズ31によって切り出された物体像M1の一画素領域における第2区画部
の像23´についても同様に、その一部が第2区画部撮像ピクセル群43の8個のピクセ
ルP(1,4)〜P(8,4)によって撮像される。この8個のピクセルP(1,4)〜
P(8,4)に対応する第2区画部23の部分領域をそれぞれ、第9部分領域R9〜第1
6部分領域R16と称することにする。第9部分領域R9〜第16部分領域R16におけ
るそれぞれの平均的分光反射特性の例を図10(b)に示す。図10(b)からわかるよ
うに、第9部分領域R9〜第16部分領域R16からそれぞれ第2区画部撮像ピクセル群
43の8個のピクセルP(1,4)〜P(8,4)に達する光は、撮像波長範囲のうちそ
れぞれ異なる波長バンドの光成分が除かれる。
【0036】
例えば、第9部分領域R9から第2区画部撮像ピクセル群43の一番左側のピクセルP
(1,4)に達する光は、第8部分領域R8の波長バンドに(波長の増加する方向に)隣
接した波長バンドの光成分が除かれる。さらに、第9部分領域R9から第16部分領域R
16まで右方へ移動するにしたがって、撮像波長範囲から除かれる波長バンド(中心波長
)が図10(b)の右方へ(波長の増加する方向へ)段階的にシフトする。そして、第1
6部分領域R16から第2区画部撮像ピクセル群43の一番右側のピクセルP(8,4)
に達する光は、中心波長がλeとなる最長波長側の波長バンドの光成分が除かれる。
【0037】
そこで、第2区画部撮像ピクセル群43の8個のピクセルP(1,4)〜P(8,4)
は、撮像波長範囲のうちそれぞれ異なる所定の(第9部分領域R9〜第16部分領域R1
6の分光反射特性に応じた)波長帯域情報が欠落した光を受光し、その光強度を光電変換
して画像処理部50へ出力する。このとき、第2区画部撮像ピクセル群43のうち一番左
側のピクセルP(1,4)が第9部分領域R9からの光を検出し、これより右側に隣接し
た、ピクセルP(2,4)が第10部分領域R10からの光を検出し、ピクセルP(3,
4)が第11部分領域R11からの光を検出し、ピクセルP(4,4)が第12部分領域
R12の光からの光を検出し、ピクセルP(5,4)が第13部分領域R13からの光を
検出し、ピクセルP(6,4)が第14部分領域R14からの光を検出し、ピクセルP(
7,4)が第15部分領域R15からの光を検出し、ピクセルP(8,4)が第16部分
領域R16からの光を検出する。
【0038】
なお、図10(a)および図10(b)からわかるように、撮像波長範囲の短波長側半
分を第1区画部撮像ピクセル群42の8個のピクセルP(1,7)〜P(8,7)が受け
持ち、撮像波長範囲の長波長側半分を第2区画部撮像ピクセル群43の8個のピクセルP
(1,4)〜P(8,4)が受け持っている。
【0039】
マイクロレンズ31によって切り出された物体像M1の一画素領域における第3区画部
の像24´の一部は、第3区画部撮像ピクセル群44を構成する2個のピクセルP(4,
1)〜P(5,1)によって撮像される。なお、第3区画部の像24´の分光特性は、マ
イクロレンズ31によって切り出された物体像M1の一画素領域に含まれる撮像波長領域
内の分光特性を全て含んでいる。すわなち、第3区画部24は、第1区画部22および第
2区画部23の第1〜第16部分領域R1〜R16と比較して、撮像波長領域の光を全て
反射させる全波長帯反射領域となる。第3区画部撮像ピクセル群44の2個のピクセルP
(4,1)〜P(5,1)は、撮像波長範囲内の(第1〜第16部分領域R1〜R16に
対応した)全ての波長帯域情報を有した光を受光し、その光強度を光電変換して画像処理
部50へ出力する。
【0040】
次に、画像処理部50に入力された各ピクセル情報を処理する。まず、第3区画部撮像
ピクセル群44の2個のピクセルP(4,1)〜P(5,1)の出力値(信号強度)の平
均を求め、求めた平均値(平均出力密度)を基準出力値とする。説明のため、物体の発光
分光特性が撮像波長範囲でフラットであるとすると、第3区画部撮像ピクセル群44の2
個のピクセルP(4,1)〜P(5,1)で受光した光の分光特性は図12(a)のよう
になり、図12(a)に示されるグラフの曲線の積分値を基準出力値とみなすことができ
る。この基準出力値から、第1区画部撮像ピクセル群42の8個のピクセルP(1,7)
〜P(8,7)および第2区画部撮像ピクセル群43の8個のピクセルP(1,4)〜P
(8,4)の出力値(すなわち、16種類の出力値)をそれぞれ減算する。
【0041】
図12(b)に、一例として第1区画部撮像ピクセル群42の一番左側のピクセルP(
1,7)で受光した光の分光特性を示す。このピクセルP(1,7)の出力値について上
記減算処理を行った後の減算値(信号強度)は、図12(a)に示されるグラフの値(す
なわち、全波長帯域での出力値)から図12(b)に示されるグラフの値(すなわち、第
1部分領域R1に対応する波長帯域情報が欠落した出力値)を差し引いた、図12(c)
に示されるグラフの曲線を積分したものである。すなわち、図12(c)に示す分光特性
を有する(第1部分領域R1において欠落した波長帯域が透過波長帯域となる)バンドパ
スフィルタを通して撮像した場合と同等の結果となる。
【0042】
以降同様にして、第1区画部撮像ピクセル群42の8個のピクセルP(1,7)〜P(
8,7)および第2区画部撮像ピクセル群43の8個のピクセルP(1,4)〜P(8,
4)について、所定の分光特性(透過波長帯域)を有する16波長のバンドパスフィルタ
を通した場合と同等の撮像結果を得る。その結果、マイクロレンズ31に対応する1画素
あたり、合計16バンドからなるマルチバンド情報(すなわち、16バンドの設定波長帯
域における物体からの光の信号強度)を取得することができる。
【0043】
以上の過程を全てのマイクロレンズ31(分光反射部の像21´)について行うことで
、被写体画像(物体像M1)を構成する全ての画素(マイクロレンズ31)に対応したマ
ルチバンド情報を求める。なお、以上で述べた、被写体画像の分光特性情報(マルチバン
ド情報)の取得は、画像処理部50の画像情報演算部52によって実行される。画像情報
演算部52で求めたマルチバンド情報は、画像処理部50の記憶部53に記憶され、画像
出力部54に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)などの外部情報処理システム(
図示せず)からの要求に応じて、記憶部53に記憶されたマルチバンド情報が画像出力部
54を通じて外部に出力される。
【0044】
この結果、本実施形態によれば、画像処理部50は、二次元撮像素子40に検出された
検出信号に基づいて、各マイクロレンズ31によって形成された複数の分光反射部の像2
1´における各部分領域R1〜R16に対応した16バンドの設定波長帯域での分光強度
(信号強度)をそれぞれ算出し、複数の分光反射部の像21´における分光強度(信号強
度)をそれぞれ結像面S1における複数のマイクロレンズ31の配列に対応させて、物体
の画像情報(被写体画像の分光特性情報)を16バンドの設定波長帯域ごとに求めること
ができる。このとき、分光反射部21に達した光のうち第1区画部22および第2区画部
23(分光反射領域)で反射しない光が光吸収部26によって吸収されるため、第1区画
部22および第2区画部23でのフィルタリングによって発生する不要な光が迷光化する
ことなく、迷光が発生するのを防止することが可能になる。
【0045】
また、画像処理部50は、第3区画部撮像ピクセル群44の各ピクセル(全波長帯受光
部)の検出信号強度と、第1区画部撮像ピクセル群42および第2区画部撮像ピクセル群
43の各ピクセル(分光反射領域受光部)の検出信号強度との差に基づいて、複数の分光
反射部の像21´における各部分領域R1〜R16に対応した16バンドの設定波長帯域
での分光強度(信号強度)をそれぞれ算出し、複数の分光反射部の像21´における分光
強度(信号強度)をそれぞれ結像面S1における複数のマイクロレンズ31の配列に対応
させて、物体の画像情報(被写体画像の分光特性情報)を16バンドの設定波長帯域ごと
に求める画像情報演算部52を有している。このようにすれば、誘電体多層膜からなる干
渉膜を用いて第1区画部22および第2区画部23(分光反射領域)を形成することがで
きるため、撮像波長範囲(全波長帯域)を広くすることが可能である。
【0046】
また、画像処理部50は、各マイクロレンズ31により形成される複数の分光反射部の
像21´に対応した、第3区画部撮像ピクセル群44の各ピクセル(全波長帯受光部)と
、第1区画部撮像ピクセル群42および第2区画部撮像ピクセル群43の各ピクセル(分
光反射領域受光部)とをそれぞれ設定する設定演算部51を有している。そのため、物体
像M1の結像状態に拘らず、分光反射部21における全波長帯反射領域(第3区画部24
)および分光反射領域(第1区画部22および第2区画部23)からの光を正確に検出す
ることができ、より正確な二次元分光画像を取得することが可能である。
【0047】
また、開口絞りの位置よりも物体側に配置された第1光学系11と、開口絞りの位置よ
りも像側に配置された第2光学系17とを有して結像光学系が構成され、第1光学系11
が合焦機能を有している。このように、開口絞りに該当する分光反射部21の前後に光学
系を配置することで、高い結像性能を実現しながら、第1光学系11のレンズ面での不要
な光の反射を防止して、迷光が発生するのを防止することができ、より正確で明瞭な二次
元分光画像を取得することが可能である。また、焦点調整によって第1光学系11が動い
ても、分光反射部21への光線入射角度条件が不変に保たれるため、分光特性が変動しな
いという効果もある。また、焦点合わせに使用する第1光学系11だけを交換することに
よって、様々な撮像視野を実現することができる。
【0048】
なお、上述の実施形態において、撮像波長範囲は、紫外域や、可視域、赤外域など、所
望の波長帯域に設定することができる。
【0049】
また、上述の実施形態において、分光反射部21の表面に、誘電体多層膜からなる干渉
膜を用いて形成された第1区画部22および第2区画部23(分光反射領域)と、アルミ
ニウムコート鏡を用いて形成された第3区画部24(全波長帯反射領域)とが形成されて
いるが、これに限られるものではない。例えば、透過波長帯域が連続的に変化する第1区
画部22および第2区画部23に代えて、透過波長帯域が互いに異なる複数の区画部(分
光反射領域)を分光反射部21の表面に形成し、各区画部からの光を複数のピクセル(分
光反射領域受光部)で(1ピクセルもしくは複数ピクセルごとに)検出してもよい。また
例えば、実施例に比べて撮像波長範囲が狭くなる可能性はあるが、分光反射部の表面に所
定の波長帯域の光だけを反射させるノッチフィルタを設けるようにしてもよい。この場合
、第3区画部24を用いずに、ノッチフィルタで反射した光の検出信号強度に基づいて、
二次元分光画像を取得することが可能である。
【0050】
また、上述の実施形態において、非テレセントリック結像の場合における、被写体画像
の分光特性情報の取得方法について説明しているが、これに限られるものではなく、テレ
セントリック結像の場合においても、同様にして被写体画像の分光特性情報を取得するこ
とができる。
【符号の説明】
【0051】
1 マルチバンドカメラ
10 撮像光学系
11 第1光学系 17 第2光学系
20 分光反射部材
21 分光反射部
22 第1区画部(第1の分光反射領域)
23 第2区画部(第2の分光反射領域)
24 第3区画部(全波長帯反射領域)
26 光吸収部
30 マイクロレンズアレイ 31 マイクロレンズ
40 二次元撮像素子(光電変換素子)
42 第1区画部撮像ピクセル群(分光反射領域受光部)
43 第2区画部撮像ピクセル群(分光反射領域受光部)
44 第3区画部撮像ピクセル群(全波長帯受光部)
50 画像処理部
51 設定演算部 52 画像情報演算部
53 記憶部 54 画像出力部
M1 物体像
S1 結像面 S2 撮像面
R1〜R16 第1〜第16部分領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の像を所定の結像面上に結像させる結像光学系と、
前記結像光学系の開口絞りの位置に配設され、互いに分光反射特性が異なる複数の分光
反射領域、もしくは、分光反射特性が連続的に変化する分光反射領域を有して、前記結像
光学系に入射した光を像側に向けて反射させる分光反射部と、
前記分光反射部に達した光のうち前記分光反射領域で反射しない光を吸収する光吸収部
と、
前記所定の結像面上に二次元的に配列された正の屈折力を有する複数のマイクロレンズ
からなり、前記複数のマイクロレンズにより複数の分光反射部の像をそれぞれ同一平面上
に形成するマイクロレンズアレイと、
前記同一平面上に二次元的に配列された複数の受光部を有し、前記複数の受光部により
前記複数の分光反射部の像をそれぞれ検出する光電変換素子と、
前記光電変換素子に検出された検出信号に基づいて、前記複数の分光反射部の像におけ
る前記分光反射領域に対応した複数種の設定波長帯域での分光強度をそれぞれ算出し、前
記複数の分光反射部の像における前記分光強度をそれぞれ前記結像面における前記複数の
マイクロレンズの配列に対応させて、前記物体の画像情報を前記複数種の設定波長帯域ご
とに求める画像処理部とを備えて構成されることを特徴とするマルチバンドカメラ。
【請求項2】
前記分光反射部は、前記複数種の設定波長帯域を全て含む全波長帯域の光を反射させる
全波長帯反射領域と、前記全波長帯域から前記設定波長帯域を除いた光を反射させる前記
分光反射領域とを有し、
前記光吸収部は、前記分光反射部に達した光のうち前記全波長帯反射領域および前記分
光反射領域で反射しない光を吸収し、
前記光電変換素子は、前記複数のマイクロレンズにより形成された前記複数の分光反射
部の像について、前記複数の受光部のうち、前記全波長帯反射領域からの光を全波長帯受
光部で検出するとともに、前記分光反射領域からの光を分光反射領域受光部で検出し、
前記画像処理部は、前記全波長帯受光部で検出された前記全波長帯反射領域の検出信号
強度と、前記分光反射領域受光部で検出された前記分光反射領域の検出信号強度との差に
基づいて、前記複数の分光反射部の像における前記複数種の設定波長帯域での分光強度を
それぞれ算出し、前記複数の分光反射部の像における前記分光強度をそれぞれ前記結像面
における前記複数のマイクロレンズの配列に対応させて、前記物体の画像情報を前記複数
種の設定波長帯域ごとに求める画像情報演算部と、
前記画像情報演算部により前記複数種の設定波長帯域ごとに求められた前記物体の画像
情報を外部に出力可能な画像出力部とを有して構成されることを特徴とする請求項1に記
載のマルチバンドカメラ。
【請求項3】
前記分光反射部は、分光反射特性が連続的に変化する前記分光反射領域を有し、
前記光電変換素子は、前記分光反射領域からの光を部分領域ごとに複数の分光反射領域
受光部で検出し、
前記分光反射領域の前記部分領域は、前記全波長帯域から前記複数種の設定波長帯域の
うちいずれかを除いた光を反射させ、前記全波長帯域から除かれる前記設定波長帯域が前
記部分領域ごとの分光反射特性に応じて変化するように設定され、
前記画像情報演算部は、前記全波長帯受光部で検出された前記全波長帯反射領域の検出
信号強度と、前記複数の分光反射領域受光部でそれぞれ検出された前記部分領域の検出信
号強度との差に基づいて、前記複数の分光反射部の像における前記複数種の設定波長帯域
での分光強度をそれぞれ算出することを特徴とする請求項2に記載のマルチバンドカメラ

【請求項4】
前記画像処理部は、前記複数のマイクロレンズにより形成される前記複数の分光反射部
の像に対応した、前記全波長帯受光部および前記分光反射領域受光部をそれぞれ設定する
ための処理を行う設定演算部を有して構成されることを特徴とする請求項2または3に記
載のマルチバンドカメラ。
【請求項5】
前記結像光学系は、前記開口絞りの位置よりも物体側に配置された第1光学系と、前記
開口絞りの位置よりも像側に配置された第2光学系とを有し、
前記第1光学系が合焦機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に
記載のマルチバンドカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51544(P2013−51544A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188203(P2011−188203)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】