マルチビューディスプレイ
大きな視域(23、24)を発生するが、クロストークを殆ど又は全く生じないマルチビューディスプレイ(49)を提供する。このディスプレイは、ディスプレイパネル(14)内のカラーフィルタ(19a〜19f)と協働する複数の色部(20a、20b、20c)を有するバリア(20)を具え、視域(23、24)に選択的に光を指向させうるようになっている。レンチキュラスクリーン(30)は、ディスプレイパネル(14)の互いに離れた結像ユニット(32a、32f)上へ光線を形成又は結像するよう構成することができ、それにより、隣接するユニット(32a、32f)が、異なる視域(23、24)に向かう異なるレンズ(30a、30b、30c)からの光により照射されるようにしうる。光源(35)は、隣接するレンズ(30a、30b、30c)間の境界と整列した位置において光を発生するようにし得る。結像ユニットは、情報を表示するのに使用しないユニット(32c、32f)により、第1の視域(23)に情報を表示するユニット(32a、32b)が、第2の視域(24)に情報を表示するユニット(32d、32e)から分離されるよう動作させることができる。隣接する列のユニット(32a、32b)を、一方の視域(23)に情報を表示するのに使用することができる。これら視域(23、24)は、散乱体(36)を用いて拡大することができる。切り替え可能な拡散体(40)又はバリア(48)を設けて、ディスプレイ(49)が各種マルチビューモード及びシングルビューモードの双方又はいずれか一方で動作しうるようにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像を発生させるディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
マルチビューディスプレイは、2人以上のユーザに異なる情報を提示するようしうるものである。図1は、通常のマルチビューディスプレイ装置1により2つの画像が形成される状態を表している。このようなディスプレイ1は、自動車のダッシュボード領域に設けて、ドライバ2にはルートプラン情報を提示する一方で、1人以上の搭乗者3には電子メールメッセージやデジタル多用途ディスク(DVD)の画像を表示することができる。ルートプラン情報は、ドライバ2が第1の視域4にいる場合に見ることができ、電子メールメッセージ等の情報は、搭乗者3が第2の視域5にいる場合に見ることができるようになっている。
【0003】
図1の構成においては、視域4及び5間に、双方の情報、すなわちドライバ2に表示される情報及び搭乗者3を対象とする情報の双方を同時に見ることができる領域6が存在する。換言すれば、領域6では、視域4に示される情報と視域5に示される情報との間のクロストークが存在することになる。既知のマルチビューディスプレイでは、視域4及び5の寸法が、クロストーク領域6の寸法と比べて比較的小さい。視域4及び5の開放角θは、代表的には約10°である。このことにより、ドライバ2及び搭乗者3が情報を見うる位置が制限されるてしまう。更に、ドライバ2又は搭乗者3が、クロストーク領域6の位置へ移動することも多い。
【0004】
自動車用途では、クロストーク領域6の存在は特に好ましくない。その理由は、後部座席の中央に座っている搭乗者7が、このクロストーク領域6に位置する場合があり、混乱した情報が示されるおそれがあるためである。また、安全性の理由から、ディスプレイ1は、搭乗者3に提示される情報をドライバ2が見れないようにしておく必要がある。従って、視域4及び5を物理的に分離すると共に、領域6のクロストークを最小にする必要がある。
【0005】
複数の画像を形成するための従来の方法は、視聴者の左目及び右目に異なる情報が向かう直視型立体三次元ディスプレイにおいて利用されているのと同様の原理に基づくものある。ある従来の技術では、図2に示すように、液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイパネル9の前方にレンチキュラスクリーン8を配置する。このディスプレイは、2つの画像10及び11を発生する。現在、利用可能なLCD装置は、大きい観察角を形成するために、厚さtが0.7mm又は1.1mmのガラスを有する。このような厚さのガラスを用いた場合、図2の構成に基づくマルチビューディスプレイは得られない。例えば、ディスプレイのサブピクセルのピッチpが0.042mmである場合、2つの隣接するサブピクセル9a及び9bから現れる光線は、レンチキュラスクリーン8のレンズの強さに拘わらず4°の角度で分離される。このような分離角度は、マルチビューディスプレイには不十分なものである。更に、この種のディスプレイは、視域と比べて大きなクロストーク領域を形成してしまう。
【0006】
他の従来の方法は、図3に示すようにディスプレイパネル9の前に配置した前方バリア12を利用するものである。このバリア12は、ディスプレイパネル9からの光を通過させる複数のスリット13を有し、視域4及び5と、著しく大きなクロストーク領域6とが形成される。視域4及び5の寸法は、バリア12の透過率に応じたものとなる。例えば、バリア12の透過率がゼロに近い場合、すなわちスリット13の幅が最小である場合、視域4及び5は約40°の開放角θを有することになる。しかし、バリア11の透過率を25%にすると、視域の開放角θは約10°にまで小さくなり、約20°の開放角θを有する著しく大きなクロストーク領域6が形成されてしまう。従って、大きい視域4及び5を発生させるためには、バリア12の透過率を制限する必要がある。しかし、このような構成では、高透過率のバリア12を使用したとしても、ディスプレイパネル9から現れる光の大部分が遮蔽されてしまうので光効率が悪くなる。
【0007】
更に他の既知の技術(図示せず)は、バックライト及びディスプレイパネルの間で配置され、複数のスリットを有する後部バリアを使用するものである。この構成によれば、スリット幅が限定されているため著しいクロストークを生じてしまう。図3のバリアの構成に関して上述したように、スリットの幅を減少させることによりクロストークを低減させることができるが、このようにするとディスプレイの光効率が悪くなってしまう。
【0008】
垂線から例えば±30°の角度に良好に分離された2つの視域を形成するためには、後部バリア及びディスプレイパネル間の分離度を、ディスプレイパネルのサブピクセルのピッチをpとした場合にp/0.3536より小さくする必要がある。分離は、通常、ガラスの中間シートにより行われる。しかし、この場合、代表的なサブピクセルの寸法は約99umであるため、280μmの厚さのガラスのシートが必要になるが、現在のところこのようなシートを利用することはできない。
【発明の開示】
【0009】
つまるところ、現在既知のマルチビューディスプレイ技術は、クロストークの存在する1つ以上の比較的大きい領域6により分離された限定的な寸法の視域4及び5を提供するものに過ぎない。本発明の目的は、従来技術のディスプレイと比べて比較的大きい2つ以上の視域を形成し、クロストークが防止されるか又は比較的小さい領域に抑制されるマルチビューディスプレイを提供することにある
【0010】
本発明の第1の観点によれば、2以上の関連する視域に向かう2以上の画像を表示するよう構成したマルチビューディスプレイは、複数の結像ユニット及びこれら結像ユニットの1つとそれぞれ関連している複数のカラーフィルタであって、第1のピッチに従い第1の色順序で配置されている当該複数のカラーフィルタを有するディスプレイパネルと、カラーフィルタ材料を具える複数の色部を有するバリアであって、これら色部が、前記第1のピッチのほぼ2倍の第2のピッチに従い、逆順にすると前記第1の色順序と対応するようになる第2の色順序で配置されている当該バリアとを有し、前記バリアは、光が、前記色部の1つと前記カラーフィルタの1つとを通過した後でディスプレイパネルを出るように位置決めされており、前記バリアの色部は、前記カラーフィルタと協働して、光が選択的に第1及び第2の視域に向かうよう通過させるようになっている。
【0011】
結像ユニットは、ピクセル若しくはサブピクセル又はこれらのグループにすることができる。第2のピッチは、第1のピッチの2倍である値から僅かに変化させて、例えば視点修正を行ったり、又は視域間の分離を改善したりすることができる。
【0012】
色部は、カラーフィルタの色順序と逆の色順序で配置する、つまりカラーフィルタと色部とは、互いに逆の色順序で配置する。例えば、カラーフィルタは、赤色、緑色及び青色の周期的な順序に配置することができ、この場合、色部は、青色、緑色及び赤色の周期的な順序で配置する。
【0013】
カラーバリアは、視聴者から見て結像ユニットの前方に配置し、光がバリアを通過する前にカラーフィルタを通過するようにしうる。或いは又、カラーバリアは、結像ユニットの後方に配置する後部バリアとすることができ、この場合、色部はコレステリックフィルタ材料を含むものとしうる。
【0014】
マルチビューディスプレイは、ディスプレイパネルの結像ユニットに対してバックライト照射を行うよう構成した光源を有してもよい。この光源は、複数の発光ダイオードを有し、これら発光ダイオードのうちの少なくとも2つが、それぞれ第1及び第2の色の光を発生するようにし、バリア及びカラーフィルタにおける色による光の選択的透過を促進させることができる。或いは又、カラーバリアを結像ユニットの前方に配置する場合、結像ユニットは、発光性の装置を有するものとしうる。
【0015】
バリアの色部及びカラーフィルタの双方又はいずれか一方は、黒色マトリクスにより互いに分離することができる。これら色部及びカラーフィルタは、ディスプレイにより発生される視域が非対称に配置されるよう整列させることができる。
【0016】
本発明の他の観点によれば、マルチビューディスプレイと、1つ以上の視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段とを有するディスプレイシステムが得られる。
【0017】
この観点によるディスプレイ又はディスプレイシステムは、自動車内の視聴者に情報を表示するよう構成できる。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、光がバリアを通過する前にカラーフィルタを通過するようにカラーバリアを位置決めした本発明の第1の観点によるマルチビューディスプレイの製造方法は、光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、これら複数の色部の上に光透過性材料のシートを配置する工程と、この光透過性材料のシート上に、ディスプレイパネルの複数のカラーフィルタを設ける工程とを有する。
【0019】
本発明の第3の観点によれば、光がカラーフィルタを通過する前に色部を通過するようにカラーバリアを位置決めした本発明の第1の観点によるマルチビューディスプレイの製造方法は、光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、これら複数の色部の上に、光透過性材料のシートを配置する工程と、前記光透過性材料のシート上の結像ユニットを制御する手段を設ける工程とを有する。
【0020】
本発明の第2及び第3の観点の方法により製造されるマルチビューディスプレイにおいて、カラーバリア及び結像ユニット間の分離度は、シートの厚さにより決定される。この厚さは、液晶装置の代表的な基板の厚さより薄くすることができる。このように分離度を低減させることは、従来技術の構成と比べて本発明のディスプレイにより形成される視域の寸法を増大させるのに役立つ。
【0021】
本発明の第4の観点によるマルチビューディスプレイは、第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、このディスプレイパネルを照射するよう位置決めした光源と、この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて、光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、第2のピッチで構成された複数のレンズを具える当該レンチキュラスクリーンとを有し、前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの結像ユニットに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっている。
【0022】
光源は、第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチに従い定められた位置に光線を発生するよう構成できる。これらの位置は、隣接するレンズ間の境界に整列させることができる。
【0023】
第5の本発明の観点によるマルチビューディスプレイは、第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、第2のピッチに従う複数の位置に複数の光線を発生するよう構成した光源と、この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、前記第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチで構成された複数のレンズを具え、これらレンズの境界が、前記光線の発生する位置に整列している当該レンチキュラスクリーンとを有し、前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの結像ユニットに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっている。
【0024】
本発明の第4又は第5の観点によるマルチビューディスプレイには、ディスプレイパネルから出力された光を拡散させる散乱体を設け、視域の寸法を更に増大させることができる。この散乱体は、所定の散乱プロファイルを有する制御散乱体にすることができる。例えば、散乱体は、周期的な構造的特徴を有する散乱表面を具えるものとしうる。
【0025】
第4の又は第5の観点によるマルチビューディスプレイは、切り替え可能な拡散体と、前記拡散体を拡散状態と光透過状態との間で切替えるようになっているモード切り替え手段とを有し、前記拡散体は、前記光源と前記結像ユニットとの間に位置しており、それにより、この拡散体が光透過状態にある場合には、光線が前記結像ユニットに結像され、この拡散体が拡散状態にある場合には、結像ユニットにほぼ均一な照射がなされるようになっている。これにより、ディスプレイは、マルチビューを形成する第1のモード、及びシングルビューを表示する第2のモードに切り替え可能になる。
【0026】
拡散体は、モード切り替え手段により、電界を印加し又は取り除くことによって、上記拡散状態及び透過状態間を切替えうるよう構成されている。
【0027】
本発明の第4又は第5の観点によるマルチビューディスプレイは、ディスプレイシステム内に、1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と共に設けることができる。
【0028】
本発明の第6の観点による、マルチビューディスプレイは、第1の視域に第1の画像を表示するよう構成された複数の第1の結像ユニットと、第2の視域に第2の画像を表示するよう構成された複数の第2の結像ユニットとを有し、これら第1の結像ユニット及び第2の結像ユニットが、複数の第3の結像ユニットにより分離されているディスプレイパネルと、複数の光線により前記ディスプレイパネルを照射するよう構成された照明部材とを有し、前記ディスプレイは、前記第1及び第2の画像を表示する際に前記第3の結像ユニットが使用されないようになっている。
【0029】
このように、結像ユニットは、視域に光を向けるためのバリアとして有効に作用する。第3の結像ユニットは、第1及び第2の画像が表示される際はスイッチが切られた状態にすることができる。
【0030】
第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、列に配置して結像ユニットの二次元アレイ部分を形成させることができる。複数の第1の結像ユニットは、アレイの隣接する列に配置された結像ユニットを有するものとしうる。同様に、複数の第2の結像ユニットは、ディスプレイパネルの隣接する列に配置された結像ユニットを有するものとしうる。第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、前記アレイにおいて、周期的な順序の列として配置できる。
【0031】
ディスプレイパネルは、3色の原色に対応するフィルタの列からなる通常の周期的な順序とは異なる配置の複数のフィルタを有するようにしうる。例えば、フィルタは、二次元アレイに構成してもよいし、又は4色以上の原色に基づくものとしてもよいし、或いはこれらの双方とすることもできる。
【0032】
照明部材は、光源と、前記光源及び前記ディスプレイパネル間に配置された、所定のピッチで構成された複数の光透過部分を具えるバリアとを有し、前記ディスプレイパネルが複数の光線により照射されるよう構成することができる。このマルチビューディスプレイには、選択的に光を透過する複数の光透過部分を有するバリアを設けることができ、これら光透過部分を第1のピッチで配置し、前記バリアを、前記結像ユニットから現れる光が当該バリア上に入射するように位置決めすることができる。
【0033】
バリアを設ける場合、バリアは、当該バリアが選択的に光を透過する透過モードと、当該バリアがほぼ光透過性となり、ディスプレイパネルが均一に照射されるようにする光透過モードとの間で切替えうる、液晶セルのような切り替え可能な装置の形態にすることができる。これにより、マルチビュー及びシングルビューモードの双方でディスプレイを操作しうるようになる。代案として、又はこれに加えて、バリアは、光透過部分が第1のピッチで配置されている第1のモードと、光透過部分が第2のピッチで配置されている第2のモードとで動作しうる液晶セルのような切り替え可能な装置にすることができる。
【0034】
ディスプレイパネルは、複数のカラーフィルタを有してもよい。カラーフィルタ及びバリアは、互いにずらして配置することができる。換言すれば、バリアは、カラーフィルタに対して斜めにすることができる。このような構成は、第1の及び第2の結像ユニットの双方又はいずれか一方の配置と、カラーフィルタの配置との不適合性を解消するのに利用することができる。
【0035】
照明部材は、光線を発生する光源と、前記ディスプレイパネル内に前記光線を結像するレンチキュラスクリーンとを有するようにしうる。
【0036】
前記第3の結像ユニット及び前記バリアの光透過部分は、ディスプレイパネルから出力される光が、非対称の配置の視域を形成するよう整列させる。
【0037】
マルチビューディスプレイは、自動車において、情報を表示するよう構成できる。
【0038】
本発明のこの観点は、マルチビューディスプレイと、1つ以上の視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段とを有するディスプレイシステムも提供するものである。
【0039】
本発明を、図面を参照した実施例により以下に詳細に説明する。
図4を参照するに、本発明の第1実施例によるマルチビューディスプレイは、ディスプレイパネル14及びバックライト15を有する。本例では、ディスプレイパネル14は、液晶材料のような電気光学活性材料の層16を有し、この層16は、2つの光透過性基板17及び18にはさまれている。この基板17、18は、ガラスか、プラスチック若しくは石英のような他の適切な光透過性材料から形成しうる。液晶材料を使用する場合、入射光の偏光方向を変えるための層16の動作原理は、ツイステッドネマチック(TN)、スーパツイステッドネマチック(STN)、垂直配向型ネマチック(VAN)、複屈折光学補償(OCB)、面内切替ネマチック(IPS)又は強誘電性作用のうちの任意のものに基づくものとすることができる。
【0040】
ディスプレイパネル14は、周知のようサブピクセルのアレイに分割されており、このパネル14には、アレイを駆動させて画像を表示させるアクティブマトリクス又はパッシブマトリクス(図示せず)が設けられている。
【0041】
縦方向にディスプレイを跨いで延在する一連の列の赤色、緑色及び青色フィルタを有するフィルタ層19が設けられている。視聴者から見ると、これらのフィルタによりサブピクセルの色が決定されることになる。このフィルタ層19の各フィルタは、黒色マトリクスにより隣接するフィルタから分離されている。図4及びそれ以降の図面において、赤色、緑色及び青色のフィルタは、それぞれ斜線、シェーディング及び網掛けにより示してあり、黒色マトリクスは、黒塗りで示してある。
【0042】
このフィルタ層19の前に、バリア20が設けられている。このバリア20は、基板17上に配置されており、ガラスその他の適切な光透過性材料のシート22によりフィルタ層19から分離されている。
【0043】
図5の平面図に示すバリア20は、黒色マトリクス22により分離された一連の列の赤色、青色及び緑色のカラーフィルタを有する。これらカラーフィルタは、フィルタ層19で用いられているのと逆の順序になるよう配置されている。図4の構成において、フィルタ層19は、赤色、緑色及び青色フィルタの周期の順序で配置されており、それに対し、バリア20は、青色、緑色及び赤色フィルタの列の順序になっている。バリア20において、フィルタの順序を逆転させるのは、異なる色の光が、ディスプレイパネルから同一角度で現れるようにするために必要なことである。フィルタ層19及びバリア20が、カラーフィルタを同じ順序で使用していると、赤色、緑色及び青色のサブピクセルからの光が、異なる方向に向かい、それぞれの独自の視域が形成されるおそれがある。
【0044】
この特定の実施例では、クロストークが発生するのを回避するために、バリア20の各列の幅wは、2p、すなわちサブピクセルのピッチの2倍にする。必要であれば、本発明の他の実施例に関して後述するように、列の幅wは、それよりやや小さい幅にしてもよいし、又はやや大きな幅にしてもよい。
【0045】
この特定例では、フィルタ層19及びバリア20は、各列のフィルタが、その下にあるサブピクセルの色と一致しないように構成している。しかし、フィルタ層19及びバリア20をこのように配置することは必要なことではない。本発明による他の構成では、フィルタ層18及びバリア20の複数の重なり合う部分の色を一致させることができる。
バリア20は、ホトリソグラフ処理を用いてホトポリマ材料の列を形成し、関連する色の色素を分散させることにより製造できる。赤色、緑色及び青色の列は、フィルタ層19の対応するカラーフィルタと同じフィルタ材料で形成できるが、このことは必要なことではない。
【0046】
フィルタ層19及びバリア20において使用する赤色、緑色及び青色のフィルタは、クロストークを回避するために、各種カラーフィルタの透過スペクトルが重ならないようにする必要がある。この場合、電気光学活性材料層16から生じる光は、フィルタ層19及びバリア20の色が一致する領域のみを通過しうるようになる。換言すれば、フィルタ層19の所定色のフィルタを通過していない光は、バリア20の同じ色のフィルタの列を通過し得ない。このことにより、図6に示すようにディスプレイから生じる光の方向が限定される。すなわち、この場合、フィルタ層18の緑色フィルタ19b及び19eを通過した光は、バリア20の緑色の列20bを通過する。しかし、この緑色の列20bは、赤色及び青色のフィルタ19a、19c、19d及び19fから生じる光を遮蔽する。
【0047】
バリア20による光の選択的透過、及びそれによるクロストークの回避は、良好に規定された波長の光を発するバックライト15を使用することで容易に行うことができる。このことは、複数の発光ダイオード(LED)を有するバックライトを用いることにより達成できる。赤色、緑色及び青色のLEDのスペクトルは、良好に分離されているため、LEDにより発生される特定の色の光を透過するが他の色を透過しないようにする1つ以上のカラーフィルタの構造が比較的簡単になる。
【0048】
図6を再度参照するに、緑色フィルタ19bから生じる光は、列20bを通過し適正な視域23が形成される。同時に、他の緑色フィルタ19eからの光が、同じ列20bを通過し破線で示される左の視域24が形成される。バリア20により、サブピクセル19b及び19eから現れる光が伝播しうる方向が制限される為、視域22及び23間に位置する中間領域25ではクロストークが起こらない。
【0049】
黒色マトリクスを設けることにより、中間領域25の寸法が大きくなり、クロストークが更に低減又は防止される。
【0050】
図7は、赤色、緑色及び青色のフィルタ材料の一連の列を有する、黒色マトリクスのないバリア26を示す。実際には、これらフィルタを分離する黒色マトリクスを設けることもできるが、この黒色マトリクスによるバリア26の性能に対する影響は無視しうる程度であることに注意されたい。図8は、バリア26のように有意な幅の黒色マトリクスを含まないフィルタ層27と、バリア26とを有するディスプレイにより形成される視域23′、24′及び中間領域25′を示す。中間領域25′の寸法は、バリア26内の列26aの寸法により規定される。この特定例では、バリア26は、サブピクセルのピッチpの2倍以下の幅wを有する列26aにより構成されている。代表的なサブピクセルの寸法99umに対して、列のピッチは、最大で198umになる。
【0051】
図8には、追加的に形成される視域28も示されている。前述した様に、この図においては、赤色フィルタ27b及び27cを通過する光が、バリア26の赤色の列26aを通過し左及び右の視域23′及び24′を形成することが示されている。しかし、赤色のサブピクセルからの光が、バリア26の他の赤色の列を通過し他の視域を形成する場合がある。この例では、破線で表すように、赤色フィルタ27bから現れる光がまた、赤色列26bをも通過し追加的な視域28を形成することが示されている。図示しないが、赤色フィルタ27cを通過する光の一部も赤色の列26bを通過して他の視域を形成するし、赤色フィルタ27a及び27dから現れる光も、赤色の列26a及び26bを通過し、以下同様に他の視域が形成される。このように、バリア26の単一の列26a、26bを通じて複数の追加的な視域が形成されるおそれがある。
【0052】
追加的な視域28の形成については、第2の実施例に関連して説明するが、このような側方視域は、図4のディスプレイによっても形成されるおそれがある。
【0053】
第1の実施例のディスプレイに関して、基板17において垂線に対して測定した場合に、主視域23及び24が開始する角度
及び終了する
角度
は、下式により計算できる。
【0054】
【数1】
【0055】
この式において、wは、単一の列20a〜20cの幅を表し、bは、フィルタ層19の黒色マトリクスの幅であり、pは、サブピクセル19a〜19fのピッチであり、dは、フィルタ層19及びバリア20間の分離度、この例ではシート22の厚みを表し、jは、列の数を示している。
【0056】
基板17を屈折率n=1.5のガラスから形成した場合、基板17及び空気間の界面における屈折を経た後の実際に視域22及び23が開始する角度α及び終了す角度βは、以下の式により与えられる。
【数2】
【0057】
この等式における最小及び最大の関数は、完全内部屈折による複合角を回避するのに使用されるものである。
【0058】
これらの角度α及びβは、以下のようにバリア20及びフィルタ層19の透過率に依存するものである。
【数3】
この式において、定数6は、各カラーフィルタの透過率が約1/3であり、列20a〜20cの幅wが、サブピクセル19a〜19fのピッチpの2倍であるために含まれているものである。
【0059】
図9は、d=0.7mm、p=0.1mm及びb=0.025mmとした実施例における角度α、βと、フィルタ層19及びバリア20の透過率との関係を表している。この例では、透過率が約0.18未満である場合、2対の視域23及び24並びに視域28及び29が形成される。第1の視域23と第3の視域28とは同じ情報を含んでいる。同様に、第2の視域24及び第4の視域29にも同一の情報が示されている。これら視域23、24、28及び29は重なっていないため、クロストークの発生が防止されている。
【0060】
視域23、24、28及び29の寸法は、フィルタ層19及びバリア20間の分離度dに依存するため、分離度dが小さいディスプレイによれば比較的大きい視域が形成される。図10は、列幅wをサブピクセルのピッチpの2倍にして、残りのパラメータを変化させなかった構成における角度α、βと、分離度dとの関係を示す。分離度dを1mmとした場合、参照符号23、24、28、28′29及び29′で示される6つの視域が形成され、これら符号の各々は、各視域の始まり及び終わりの角度、すなわち角度α及びβを示している。分離度dが、例えば0.35〜0.7mmの範囲内にある場合、4つの視域23、24、28及び29が形成される。分離度dが、0.35mm未満の場合、ディスプレイは2つの視域23、24のみを形成する。このように分離度が最も低い範囲では、視域の数が少なくなるが、限定された数の視域しか必要としない自動車用途に用いるディスプレイに対しては、このような構成が最も有用な場合もある。
【0061】
サブピクセルのピッチpを所定の比率に減少させた場合、換言すれば、解像度を増加させた場合でも、分離度d、黒色マトリクスの幅b及び列幅wを同じ比率で変化させれば、視域23及び24の寸法をそのまま維持できる。従って、より小さなサブピクセル、例えばピッチpが42umのサブピクセルを使用する場合でも、シート22の厚さdを下式で得られる値まで対応して減少させれば、視域23及び24の寸法を維持できる。
d=0.042/0.1×0.35≒0.150mm (5)
【0062】
再度図7及び8を参照するに、バリア26及びフィルタ層27が黒色マトリクスを有していない構成の場合、又は黒色マトリクスの寸法がディスプレイの性能に与える影響を無視しうる程度のものである場合、視域23及び24の開放角θは、以下の式により得られる。
【数4】
【0063】
従って、少なくとも20°の開放角θを有する2つの視域を得るために必要な分離度dは以下のようになる。
d<p/0.0781 (7)
【0064】
サブピクセルのピッチpを42μmとする構成については、分離度dは0.538mm以下になる。
【0065】
上述したように、既知のLCDにおける基板17の厚さは、0.7mm又は1.1mmである。所望の視域を得るためには、電気光学活性材料層16及びバリア20間に配置するシート22を比較的薄肉にする必要がある。好適な構造体は、以下のように得られる。
【0066】
図4を参照するに、基板17上へカラーフィルタ材料と、必要であれば黒色マトリクスとを堆積させることによりバリア20を形成する。このことは、フィルタ材料をホトポリマとする場合、ホトリソグラフ法を使用してカラーフィルタ材料の列を形成することで達成できる。基板17は、LCDにおいて用いられる厚さ0.7mm又は1.1mmの通常の基板とすることができる。その後、このバリア20の上部に、ガラス、石英又は光透過性プラスチックのような透明材料の薄肉シート22を配置する。この例では、シート22の厚さを約150μmにする。その後、このシート22上にフィルタ層19を形成する。このフィルタ層19は、バリア20を形成するのに使用したのと同様のホトリソグラフ法を使用して形成できる。必要に応じて、このフィルタ層19に黒色マトリクスを設けることができる。
【0067】
図11は、本発明の第3の実施例を示す。この例では、第1及び第2の実施例のようにフィルタ層18の前方にバリア20を配置する代わりに、バックライト15と電気光学活性材料層16との間にバリア20を位置させる。このようなバリア20は、上述したように、カラーフィルタ材料と必要であれば黒色マトリクスとを基板18上へ堆積させることにより形成する。基板18は、LCDにおいて用いられる通常の基板にすることができる。このバリア20の上部に、透明材料の薄肉シート22aを配置する。その後この薄肉シート22a上に、電気光学活性材料層16を動作させる為の、参照符号16aで一般に示される手段例えば電極及びTFTのアレイを設ける。
【0068】
バリア20の存在により、電気光学活性材料層16に入射する光は、所定の予め定めた方向においてのみサブピクセルを通過しうるようになる。図11は、列20a及びフィルタ19bの色が一致する場合に、光が、1つの列20aと、2つのフィルタ19bとを通過することを表している。これにより2つの視域23及び24が形成され、これらの中間領域25においてはクロストークが存在しなくなる。
【0069】
この特定例では、バリア20の列をコレステリックフィルタにするのが有利である。
コレステリックフィルタは光反射特性を有するため、ディスプレイの光効率を向上させることができる。その理由は、各列20aにより遮蔽された光が、バックライト15の方に反射され再利用しうるようになるためである。
【0070】
視域の始まり及び終わりの角度α及びβと、バリア20及びフィルタ層19間の分離度dや、列20aの幅wや、サブピクセルのピッチpや、黒色マトリクスの幅bとの関係は、第1及び第2の実施例に関して上述したとおりである。
【0071】
上記各例で得られる視域23及び24の配置は対称になっている。但し、用途によっては、視域23及び24を非対称に配置するのが好ましい場合もある。例えば、自動車用途では、ディスプレイを運転者の方へ回すのが好ましい場合がある。このことは、バリア20の列20a〜20cと、これら列と色が一致するフィルタ層19のフィルタ19a〜19fとが適切に配置されるようにディスプレイを構成することにより達成できる。この非対称の構成は、任意の前述した例に基づくものとしうる。図12は、本発明の第4の実施例によるマルチビューディスプレイのフィルタ層19及びバリア20を示しており、この例では、視域23及び24が上述したような非対称の配置になるよう構成されている。
【0072】
図13は、2つの視域を提供するよう構成された本発明の第5の実施例によるマルチビューディスプレイを示す。このディスプレイは、バックライト15と、ディスプレイパネル14と、レンチキュラスクリーン30とを有する。バックライト15は、平行光が出力されるよう構成されている。しかし、他の実施例では、バックライトは、その代わりに光線を放出するよう構成できる。
【0073】
レンチキュラスクリーン30は、バックライト15及びディスプレイパネル14間に配置されており、バックライト15からの光を集束させ、それによりディスプレイパネル14が、複数の光線により照射されるようなっている。レンチキュラスクリーン30のレンズのピッチPは、サブピクセルのピッチpの2倍である。この特定例において、サブピクセルのピッチpは0.15mmであり、レンチキュラスクリーン30のレンズのピッチPは0.3mmである。このレンチキュラスクリーン30を電気光学活性材料層16から分離する基板18の厚tは、0.7mmである。
【0074】
ディスプレイパネル14に使用されるフィルタ層31を図14の平面図に示す。この図には、下方に存在するサブピクセルの4つの列32a〜32dの位置も示されている。フィルタ層31は、ディスプレイの使用時に、フィルタが一連の横方向の行として配置されるよう構成されている。サブピクセルの列を交互に用いてそれぞれ表示を行わしめ、サブピクセルの列32a及び32cが第1の視域23に情報を表示し、サブピクセルの列32b及び32dが第2の視域24に情報を表示するようにする。
【0075】
図13は、レンチキュラスクリーン30の1つのレンズ30aを通過する光線を示している。レンズ30aは、サブピクセル上へ光線を結像し、一方のサブピクセルの列32aを通過する光線が、第1の視域23に向かい、他方のサブピクセルの列32fを通過する光線が、第2の視域24に向かうようにする。サブピクセルの列32aに隣接するサブピクセルの列32bは、破線で示すようにレンズ30bにより結像される光により照射される。サブピクセルの列32bに隣接する次のサブピクセルの列32cは、レンズ30cにより結像された光により照射される。このようにして、隣接するサブピクセルの列32a、32b、32c及び32fは、レンチキュラスクリーン30の異なるレンズ30a、30b及び30cを通過した光により照射される。サブピクセルの列32a及びその隣接するサブピクセルの列32bを通過する光は、それぞれ異なる方向、すなわちこれらサブピクセルの列32a及び32bにより表示される情報が見られる視域23及び24にに伝播される。
【0076】
図13のマルチビューディスプレイも、複数のクロストーク領域25、33及び34を形成する。視域23及び24間に位置する1つのクロストーク領域25は、限定されたスポット寸法sの光がディスプレイパネル14を通過することにより生じるものである。
【0077】
クロストーク領域33、34は、視域23、24の外側エッジで形成され、迷光により生ずる。視域24と隣接するクロストーク領域34では、視聴者が、他方の視域23に情報を表示するためのサブピクセル32を通過した光を認識してしまうおそれがある。
このことは、図13において、点線で示されており、レンズ30aからの光が、サブピクセル32fと隣接するサブピクセル32gを通過していることが分かる。この迷光は、第2の視域24に向かう。このサブピクセル32gは、第1の視域23に対して情報を表示するためのものである。従って、クロストーク領域34において、この迷光が、第1の視域23のための情報を表示することになる。同様に、クロストーク領域33では、図13の他の点線で示すように、視域23で見ることができる情報と共に、視域24に情報を表示する為のサブピクセル32を通過した光が見られることになる。
【0078】
視域23及び24の寸法は、バックライト15及びレンチキュラスクリーン30により形成される光線の開放角に依存するため、比較的小さな開放角を有する光線によれば、減少された寸法の視域23及び24が形成される。また、クロストーク領域25、33及び34の寸法は、光線の幅により決定される。視域23及び24とクロストーク領域25とを含む最大使用可能視角fは、基板17及び18の厚さtと、サブピクセルのピッチpとにより決定される。基板17及び18の厚さtを0.7mmとし、ピクセルを図13に示すように配置した構成では、最大使用可能視角fは72°になる。光線の幅を100μmとした場合、クロストーク領域25の開放角θは24°であり、各視域23及び23の開放角θは24°である。但し、光線及びレンチキュラスクリーン30の寸法を適切に選択することにより、30°の開放角θを有する視域23及び24を得ることができる。
【0079】
図13のディスプレイにより形成される視域23及び24は、従来技術によるディスプレイと比べて比較的大きいものであるが、明らかなクロストーク領域25、33及び34も形成されてしまう。図15に示される第6の実施例によるマルチビューディスプレイでは、ディスプレイ上に示される情報が領域25、33及び34で見られないようにすることでクロストークを回避しようとしている。
【0080】
図15に示されるディスプレイにおいて、バックライト35は、例えば、複数の光源を適切に構成することにより、又はマスクを使用することにより、或いはこれらの双方を行うことにより光線を発生するよう構成されている。光線は、サブピクセルのピッチpの約2倍のピッチlを有する。レンチキュラスクリーン30は、バックライト35及びディスプレイパネル14間に配置されている。図面の簡単化のために、電気光学活性材料層16は図示していない。この図において、サブピクセル32の位置は、フィルタ層31の対応するフィルタの位置により示されている。
【0081】
図15に示されるようなレンズ30a及び30bと光線との配置によれば、図13の構成において、レンズにより結像される限定されたスポット寸法sの光により生じる問題が発生しなくなる。従って、中央のクロストーク領域25は形成されない。
【0082】
レンチキュラスクリーン30のピッチPは、バックライト35により生ずる光線のピッチlにほぼ等しくなっている。レンズは、光線の間に位置されており、適切な強さで光線をサブピクセルに集束させるよう構成されている。サブピクセル上へ結像される際の光線の幅は、サブピクセルのピッチpより小さくして、隣接するサブピクセルが不所望に照射されるのを防止し、それにより視域23、24の端部にクロストーク領域が形成されるのを防止するのが好ましい。
【0083】
図14のディスプレイの場合と同様に、隣接するサブピクセルは、レンチキュラスクリーン30の異なるレンズにより結像された光により照射され、これらの光は、視域23及び24に対応する異なる方向に伝播され、これら視域において、関連するサブピクセルが情報を表示するようになる。
【0084】
基板17及び18が、0.7mmの厚さのガラスを有する場合、マルチビューディスプレイは、30°の視角θを有する視域23及び24を形成する。これら視域23及び24は、クロストークのない中間領域25により分離されている。図16は、2つのサブピクセルのそれぞれから情報が表示されるように図15のディスプレイを通る光線の経路を示す。左上の陰をつけた領域が、視域24に情報を表示する光線に対応しており、右上の陰をつけた領域が、視域23に情報を表示する同等の光線に対応している。
【0085】
図15のマルチビューディスプレイにおいて、各光線は、レンチキュラスクリーン30のレンズの隣のサブピクセル上に集束する。このような集束は、当該レンズにより行われるものである。例えば、レンズ30aにより集束された光線は、サブピクセル32aに結像され、レンズ30bにより集束された光線は、サブピクセル32b上へ結像される。このようにサブピクセル32a、32b及びレンズ30a、30bを互いに対応させることは必須の事項ではない。各レンズ30a及び30bが、当該レンズに隣接しないサブピクセル上に光線を集束させるような他の構成も使用できる。このような構成においては、情報が見えない中間領域25の寸法が、図15のマルチビューディスプレイにより形成されるものより大きくなる。
【0086】
ディスプレイパネル14が、視聴者及びマルチビューディスプレイ間の距離と比べて、大きなスクリーン領域を提供するものであれば、ディスプレイを構成する際に「視点修正」を行わなければならない場合がある。レンチキュラスクリーン30のピッチP及び光線のピッチlが、サブピクセルのピッチpの2倍である場合、視聴者は、表示された画像の全体を単一の位置から見れない場合がある。視点修正は、サブピクセルのピッチpの2倍を超える大きさであるピッチP及びlをそれぞれ有するレンチキュラスクリーン30及び光線を用いて行うことができる。レンチキュラスクリーン及び光線のピッチP及びlに対して必要な調整量は、1%未満、すなわち0.02p未満である。例えば、約0.002pの修正で充分な場合もある。このような構成により、視聴者が、ディスプレイ全体を観察しうるようになる。この視点修正の原理は、光線及びレンチキュラスクリーン30に対して適切なピッチl及びPを選択することにより、所望の寸法の視域23及び24を形成するために使用できる。
【0087】
視域の寸法を更に改善するための他の技術を、図17を参照して説明する。図17は、本発明の第7の実施例によるデュアルビューディスプレイを示す。図15と同様に、電気光学活性材料層16は図示していない。
【0088】
図15のデュアルビューディスプレイにおいて、情報が見えない中間領域25は、第1及び第2の視域23及び24間に形成されている。第1及び第2の視域23及び24は、図17に示すように、ディスプレイパネル14の前方に配置した専用の散乱体36を用いて大きくすることができる。これにより、中間領域25にも可視情報を提示しうるようになる。この特徴を、光線及びレンチキュラスクリーン30のピッチl、Pを最適化することに代えて、又はそれに加えて使用し、視域23及び24の寸法を所望のものとすることができる。
【0089】
クロストークを回避するために、散乱体36は、中間領域25の開放角θ以下の限定された角度範囲に入射光を散乱するようにする必要がある。換言すれば、散乱プロファイルを比較的狭くする必要がある。図18aは、通常の散乱プロファイルを示している。通常の散乱体では、この散乱プロファイルの「肩部」37に示されるように、かなりの部分の光が広い角度にわたり散乱される。これと対照的に、散乱体36は、図17bに示すような散乱プロファイルを有し、光は、比較的限定された角度範囲に散乱される。
【0090】
散乱体36は、限定された範囲の散乱角が得られるように構成した多数のファセットを有する粗面から形成できる。好適に構造化した散乱面38の例を図19aに示す。図18bは、他の構造化した散乱面39の例を示す。構造化した散乱面が、図示するような球面状素子39a、39b等を有するようにする必要はない。しかし、どのような構造体も、例えば10〜50umの寸法を有するサブピクセルのピッチpより小さな寸法にする必要がある。
【0091】
図20に示される本発明の第8の実施例において、マルチビューディスプレイは、デュアルビューモードとシングルビューモードとを切替えうるよう構成されている。デュアルビューモードで作動されると、各視聴者は、半分までのサブピクセルしか見ることができない。シングルビューモードにおいては、視聴者は、全てのサブピクセルを見ることができる、換言すれば、同じ情報が各視聴者に示されるようになる。
【0092】
図20のディスプレイにおいては、レンチキュラスクリーン30と電気光学活性材料層16(図示せず)との間に拡散体40が配置されている。この拡散体40は、電界を印加することにより光透過特性が変化する材料を用いて形成されている。例えば、拡散体40は、電界が印加された場合には透明になるが、電界が存在しないと拡散性になるポリマ分散液晶(PDLC)を用いて形成できる。拡散体40に用いる他の好適な材料は、通常は透明だが電圧が印加されると拡散性になる液晶ゲルである。
【0093】
拡散体40は、電界を印加することにより少なくとも2つの状態間で切替えることができる。電界は、電圧源41により供給し、スイッチ42を使用して制御する。第1の状態において、拡散体40は透明である為、サブピクセルはバックライト35から発生した光線により照射される。ディスプレイは、第6の実施例に関して説明したようにして複数の視域を発生する。拡散体40が第2の状態に切替えられると、拡散体が、バックライト36から発生した光線を拡散する為、サブピクセルは均一に照射されるようになる。ディスプレイは、シングルビューを発生し、視聴者は、第1視域23、第2視域、又は中間領域25のいずれの位置に存在するかに拘わらず全てのサブピクセルから表示される情報を認識しうるになる。
【0094】
従来の構成に関して説明したように、クロストークが発生する問題や、視域の寸法が限定される問題の一部は、バリア及びディスプレイパネル間の分離度dに対してサブピクセルのピッチpが小さいことにより生ずるものである。この分離度dは、バリア及びディスプレイパネル間に配置されるガラス又は類似の材料のシート厚tに応じたものとなる。この問題は、本発明の第9の実施例により解決される。
【0095】
通常のマルチビューディスプレイでは、ディスプレイパネルにおける隣接する列のサブピクセルは、それぞれ異なる視域に向かう情報を提示する。例えば、既知のデュアルビューディスプレイにおいて、図14に示されるようなフィルタ層31及びその下にあるサブピクセル32を使用する場合、サブピクセル32aの第1の列は、第1の視域に情報を表示し、それに対しサブピクセル32bの第2の列は、第2の視域に情報を表示し、その他以下同様に情報の表示が行われる。以下に記載する複数の例は、この通常の技術を使用しないものである。
【0096】
図21は、図22に示す本発明の第9の実施例によるマルチビューディスプレイに用いる、列32a〜列32d等に配置されるサブピクセルのアレイの一部を示す。
【0097】
図21において、サブピクセルは、それぞれ第1視域23に情報を表示するか、又は第2視域24に情報を表示するかに拘わらず「A」又は「B」の参照符号が付されている。
サブピクセル32a、32bの列「A」及びサブピクセル32d、32eの列「B」は、サブピクセル32c、32fの中間列により分離されており、これらの中間列は、情報が視域23、24に表示されている間、スイッチオフの状態、すなわち「暗い」状態に維持される。
【0098】
この特定例では、隣接する列のサブピクセルは、所定の視域に情報を提示するために使用される。列32a及び32bのサブピクセルは、第1の視域23に情報を提示するようになっており、それに対し、列32d及び32eのサブピクセルは、第2の視域23に情報を表示するようになっている。
【0099】
図22のディスプレイにおいては、バックライト15及びディスプレイパネル14間に、スリット44を有する後部バリア43が配置されている。スリット44は、暗ピクセルの中間列32c、32fに整列しており、その幅wは、サブピクセルのピッチpに等しい。
【0100】
このようにすると、光が「A」及び「B」のサブピクセルである列32a、32b、32d及び32eのみを通過しうるようになるので、サブピクセルのアレイが、第2のバリアとして作用するようになる。中間列32c及び32fが存在することにより、視域23及び24間の領域25におけるクロストークが防止される。
【0101】
この特定例では、スリット44の幅wは、サブピクセル32のピッチpと一致している。しかし、スリット44の幅wをサブピクセルのピッチpより小さくした他の構成でもクロストークを防止できる。視域23、24の開放角は、スリット43の幅w、バリア42とサブピクセル32との間の分離度d及び各スリット44に関連する視域の数に依存する。但し、バリアが、サブピクセルのピッチpより大きい幅wのスリットを有する場合には、得られる視域23及び24が重なり、クロストークが生じてしまう。
【0102】
サブピクセルの列32g及び32hにより表示される情報が見える視域23′の構成を、破線により図22に示す。この視域23′内には、サブピクセル列32g及び32hの一方のみからの情報が見える領域が存在する。これら領域を、それぞれ参照符号23´a及び23´bにより示す。これら領域の間には、重畳領域23´cが存在しており、この領域では、サブピクセルの列32g及び32hの双方により表示される情報が同時に見られる。
【0103】
2つの隣接するサブピクセルの列32a及び32b並びに32d及び32eをそれぞれ視域23及び24に情報を提示するために使用し、スリット44の幅wは、サブピクセルのピッチpに等しくしたこの特定例では、上述した重畳領域23´cの範囲を、以下のようにして計算できる。重畳領域23´cの開始する及び終わる角度が、それぞれα及びβで示される。但し、基板18と空気との間の界面で屈折する前における、重畳領域が開始する角度及び終わる角度は、以下の式により与えられる。
【数5】
【0104】
図23は、角度α及びβを、p/dの関数として示すグラフである。サブピクセルのピッチpが0.099mmであり、分離度dが0.7mmであるディスプレイにおいては、αは12°であり、βは24°である。従って、重畳領域23´cの開放角θは、12°になる。
【0105】
重畳ゾーン23´cの開放角を増やすために、任意的に複数の方法を使用できる。例えば、本発明の第10の実施例では、図24に示すように、ディスプレイパネル14の前方に拡散体45を配置することができる。拡散体45が、例えば10°の角度広がりを有するものであると、重畳領域23´cの寸法は、限定的なクロストーク領域が形成され、垂直方向の解像度が損なわれれ、ディスプレイパネル14の昼光下におけるコントラストが減少するという代償を払って向上することになる。しかし、水平方向においてのみ散乱する拡散体45を設ければ、垂直方向における解像度の損失を低減させるか、又は完全に防止できる。更に、特定方向にのみ光を散乱させる拡散体45、例えばMadico社製のLumisty(登録商標)箔を使用することもできる。この種の拡散体は、垂線に対して±15°の入射角を有する光に対しては透明であるが、この範囲の外側の入射角を有する光を散乱する。この種の拡散体35を使用することにより、通常の拡散体を用いる場合よりクロストークがより少なくなり、ディスプレイパネル14の昼光下でのコントラストの減少がより小さくなる。いずれにせよ、任意の種類の拡散体45により重畳領域23´cが拡大される。加えて、所定の画像を表示するのにアレイの1/3のサブピクセルしか使用されないことにより生じる表示画像のサブピクセレーションが、拡散体45を設けることにより視聴者に分かりにくくなる。
【0106】
視域23、24及び重畳ゾーン23´cの寸法は、バリア43及びサブピクセル32間の分離度dを減らす、例えば基板18の厚さを薄くすることによっても増大させることができる。
【0107】
同様の結果は、電気光学活性材料層(図示せず)に対してより近い位置で光線を有効に発生させることにより達成できる。この考え方は、図25に示す本発明の第11の実施例によるマルチビューディスプレイに適用されている。
【0108】
本例では、光線を発生するよう構成したバックライト35と、サブピクセル32との間にレンチキュラスクリーン46が配置されている。このレンチキュラスクリーン46は、サブピクセルから距離cの位置に光線を結像する。このレンチキュラスクリーン46のピッチPは、バックライト35により形成される光線のピッチlに等しい。レンチキュラスクリーン46は、そのレンズが光線と整列するように配置されている。この例において、サブピクセル32は、図21に示すように動作する為、「A」のサブピクセルの列32a、32bと、「B」のサブピクセルの列32d、32eと、暗サブピクセルの列32c、32fとの配列は、6つのサブピクセルの周期になっている。このため、レンチキュラスクリーン46のピッチは、サブピクセルのピッチpの6倍となる。
【0109】
この特定例では、暗サブピクセルの列32c、32fは、バックライト35により発生される光線と整列しているが、このように暗サブピクセルの列32c、32fを光線と整列させる必要はない。マルチビューディスプレイを、中間領域25におけるクロストークが解消されるよう構成するには、光線の幅を、サブピクセルのピッチpと同じかそれより小さくする必要がある。
【0110】
レンズのピッチPがサブピクセルのピッチpの6倍であるので、cの最大値は基板18の厚さの5/11になる。これにより、p/dの比率が5/11に減少する。サブピクセルのピッチpが0.099mmの場合に、有効なp/d比率は0.064である。このような構成によれば、αが26°でβが52°の、換言すると26°の開放角θの重畳ゾーン23´cが得られる。これは、図22のマルチビューディスプレイにより達成される12°の開放角よりも有利なものである。
【0111】
理想的には、バックライト35により形成される光線の開放角を、所定の光線からの光が、整列するレンズを通過するようなものになる。この条件を満足すれば、例えば、バックライト35bにおいて生じる光線からの光は、レンズ46bだけを通過し、隣接するレンズ46a及び46cは通過しないようになる。従って、薄肉のマルチビューディスプレイを得るためには、光線の開放角を小さくする必要がある。実際には、開放角は、単一のレンズ46aのピッチより大きくすることができる。このようにすると、バックライト35aにおける光線からの光は、隣接するレンズ46bを通過し、他の不所望な光線が発生することになる。
【0112】
開放角が大きい光線により生じる問題は、バックライト35とレンチキュラスクリーン46との間の距離eを、これらレンズ46a〜46dが正の整数倍の拡大率を生ずるように構成することで防止しうる。このような結像の例は、図25のマルチビューディスプレイを表す図26に示されており、この図26において、バックライト35及びレンチキュラスクリーン46間の距離eは、レンズ46a〜46dの拡大率が1に等しくなる距離になっている。これにより、35dの光線からの光は、隣接するレンズ46cに入り、35bの光線からの光と同じ位置で結像される。
換言すれば、迷光は、レンズ46bと、35bからの光線と、この特定例では上方に存在する暗サブピクセルの列32gとが整列する位置において、サブピクセル32から距離cの位置に結像する。
【0113】
サブピクセルのアレイが図21に従って動作する場合には、所定の表示を行うのにサブピクセルの1/3しか利用されず、上述したように視聴者が表示画像のサブピクセリゼーションを感知するおそれがある。更にまた、この構成は、一連の列の赤色、緑色及び青色として配置されている通常のフィルタレイアウトに対する互換性がない。その理由は、重畳領域23´c内では、3つの利用可能な原色のうちの2つしか見えないためである。
【0114】
この問題は、このカラーフィルタ層47用の特別なレイアウトを用いることで解決できる。例えば、フィルタ層47のフィルタを、垂直な列でなく複数の水平な行として、又は二次元アレイのカラーフィルタとして構成することができる。いずれの構成においても、単一の列32aにおける異なるサブピクセルからの光が、異なるカラーフィルタを通過しうるようになるため、重畳ゾーン23´cにおける可視情報は、利用可能な全ての原色を含むようになる。他の方法は、原色の数が異なるフィルタ層47を使用することである。例えば、フィルタ層47を、赤色、緑色、青色及び黄色の一連のフィルタの列として構成すれば、フィルタ層とサブピクセルの配置との間の非互換性が解消される。
【0115】
図22に示されるようなバリアを有する実施例では、バリア43に対してある角度でフィルタ層47を配置することが他の可能な解決方法となるが、この場合、ある程度のクロストークが発生するおそれがある。例えば、フィルタ層47及びバリア43は、これらフィルタ層47及びバリア43の双方又は一方をサブピクセルのアレイに対してある角度で配置することにより、これらの間の角度が1/3のタンジェント、すなわち約18.4°になるように構成できる。
【0116】
上述した説明では、スリット44から現れる光線が、6p以下、すなわち図21に示される配置のサブピクセルの1周期以内の開放角を有するものとしている。実際には、光の角度広がりはより大きくすることができるが、このようにすると視域23及び24が重複することになる。例えば、図22は、サブピクセル32i、32jを通過する2つの光線を、鎖線により示している。このことにより、視域23に示される情報が複製された他の視域(図示せず)が発生する。
【0117】
図27は、本発明の第12の実施例によるマルチビューディスプレイに用いる他の配置のサブピクセルを示す。ここで、列32aは、第1の視域23に情報を提示するために用いられ、列32cは、第2の視域24に情報を表示するために用いられる。列32aのような「A」サブピクセルと、列32cのような「B」サブピクセルとの間に配置されている列32b及び32dは、マルチビューディスプレイの使用時にスイッチを切られた状態に維持される。この構成は、サブピクセルのピッチpに等しい有効ピッチを有し、暗サブピクセル32b、32dの存在により、クロストークを抑制するよう作用する。
【0118】
図28は、図27により動作するサブピクセルアレイを有するマルチビューディスプレイを示す。この特定例において、スリット43の幅wは、サブピクセルのピッチpに等しい。マルチビューディスプレイは、2つの視域23及び24と、クロストークのない中間領域25とを形成する。
【0119】
図28のマルチビューディスプレイは、クロストークを低減し、又は防止するが、所定の画像を表示するのに各4つのサブピクセル32のうちの1つしか使用されないので、ディスプレイパネル14の解像度が低くなる。更に、サブピクセルのアレイの交互の列32b及び32dが、スイッチを切られた状態にあるため、マルチビューディスプレイの光効率も低くなる。
【0120】
図29は、本発明の第13の実施例によるマルチビューディスプレイに用いるサブピクセルのアレイを示す。この構成では、サブピクセルの3つの隣接列32a、32b及び32cは、第1の視域に情報を提示するために用いられ、3つの列32e、32f及び32gは、第2の視域に情報を表示するのに用いられる。マルチビューディスプレイの使用中スイッチを切られた状態に維持される中間列32d、32hが設けられている。このような実施例では、各8つのサブピクセルのうち3つが、所定の視域に情報を表示するのに用いられる。従って、この実施例は、第9〜12の実施例と比較してより大きな光効率を有し、また、赤色、緑色及び青色の通常のカラーフィルタの配置を使用しうるようになる。しかし、この実施例、及び所定の視域を提供するのに3つより多い隣接する列のピクセルを使用する他の実施例では、特定の視域を提供するために用いられる列の間の間隔iが比較的大きくなる。この特定例では、間隔iは、列32c及び32i間にある。このように間隔iが増大することにより、視覚アーチファクトが生ずるおそれがある。
【0121】
上述した第9〜13の実施例においては、サブピクセルがバリアとして有効に作用することにより光が選択されたサブピクセルを通過するようになり、クロストークが防止され、視域23及び24の寸法が増大し、或いはこれらの双方が可能になる。図21、図27及び図29の構成は、個々のサブピクセルの列32a〜32hがどのように使用されるのか、すなわち所定のサブピクセルの列32a〜32hがスイッチオンの状態にあるのか又はオフの状態にあるのか、そしてスイッチオンの状態にある場合には、どの情報が表示されるようになっているのか、という点で相違している。従って、単一のマルチビューディスプレイは、後部バリア43に対応する修正を行ったサブピクセルのアレイを動作させることにより、上記2以上の構成に従い動作モードを切替えうるよう、又は1以上画像のマルチビューモードとシングルビューモードとの間で切替えうるよう構成できる。
【0122】
この点について、後部バリア43を、液晶セル又は他の光遮断型装置のような切り替え可能なバリアにより置き換えて、それによりマルチビュー及びシングルビューモードを切替えうるディスプレイを提供しうる。このようなディスプレイは、上述したようなバリアを液晶セル48の形態で有する。この液晶セル48は、バリア43と同様に作用する第1の状態に切替えることができる。この液晶セル48のピクセル又はサブピクセルは、第9の実施例におけるバリア43の不透明部分及びスリット44に相当する光透過部及び暗部(縦線により示す)を形成するよう動作する。この状態において、ディスプレイは、上述したように複数の視域23、24を形成する。液晶セル48は、第2の状態に切替えられると、殆ど又は完全に透明になる。この場合、ディスプレイは、ディスプレイパネル14の全てのサブピクセル32を照射できるシングルビューを表示するのに用いることができる。
【0123】
必要であれば、6列の周期を有する構成のサブピクセルに関して前述したように、液晶セル48及びフィルタ層47は互いにある角度で配置することができる。
【0124】
ディスプレイは、液晶セル48が第1の状態にある場合に形成される光透過部及び暗部の配置を、当該セル48を適切に動作させることにより変えうるよう構成できる。
例えば、図30のディスプレイは、図21に示される6つのサブピクセルの周期を有するサブピクセル32の配置を使用している。ディスプレイは、サブピクセル32を動作させて図29に示されるような8つのサブピクセルの周期を有する配置を用いるよう再構成できるし、またセル48を動作させて適切な周期を有するバリアが得られるよう再構成できる。この場合、セル48は、サブピクセル32が4列毎に光透過性になるよう動作する。
【0125】
上述した第9、第10、第12及び第13の実施例は、それぞれ、バックライト15とサブピクセル32との間に位置するバリア43、48を有する。しかし、その代わりに、これらの構成におけるバリア43、48は、サブピクセル32の前方に配置することもできる。図31は、本発明の第14の実施例による前方バリアを有するディスプレイの実施例を示す。このディスプレイは、その他の点については、第13の実施例、すなわちバリアが液晶セル48であって、マルチビューを提示するためにセル48の一部のみが光透過性となる第1の状態と、シングルビューを形成するようディスプレイを使用する場合に殆どの又は全部のセルが光透過性となる第2の状態との間で切替えることができる例と同じである。上述した実施例と同様に必要であれば、バリア48及びフィルタ層47は、バリア48の光透過部分及びフィルタ層47のフィルタが互いに斜めになるように配置することができ、それにより、所定のサブピクセル列32a〜32gを通過した光線からの光が、フィルタ層の2以上の隣接するフィルタを通過して、複数の原色に基づく画像を形成しうるようにすることができる。
【0126】
第10及び第11の実施例における視域23、24又は重畳領域23´cの開放角は、第11の実施例に関して前述したように、拡散体及びレンチキュラスクリーンの双方又はいずれか一方を設けることにより更に改善できる。
【0127】
第9〜14の実施例において、サブピクセルのアレイは、それぞれ6つ、4つ、8つのサブピクセルの周期を有する配置に従い動作されるものであるが、サブピクセルのアレイの選択された列が暗く維持されるというこの構成の原理を用いれば他の周期を有する配置を提供することもできる。更に、各視域に対して同数のサブピクセルの列を使用する必要はなく、非対称のディスプレイを提供するために、図21、図27及び図29のサブピクセルの構成と異なるものとすることができる。例えば、1つの周期が、3つの「A」列のサブピクセルと、2つの「B」列のサブピクセルと、2つの中間列とを有する配置を使用できる。
【0128】
図32は、本発明によるディスプレイシステムを表す。このディスプレイシステムは、第1〜第3及び第5以降の実施例によるマルチビューディスプレイを有し、このディスプレイは、視聴者50及び51に対して情報を表示することを目的とした2つの視域23及び24を形成するようになっている。このディスプレイ49は、ディスプレイパネル14を動作するよう構成した制御部52を有するか、さもなくばこのような制御部に接続されている。例えば、ディスプレイパネル14が、TFTのアレイにより制御される液晶材料層16を有するのであれば、制御部52は、表示すべき画像データに基づきこのTFTを操作する。ディスプレイ49が、切り替え可能な拡散体36を有する場合には、制御部52は、電圧源41及びスイッチ手段42も制御しうるものとする。ディスプレイ49が、第14及び第15の実施例に関して説明した液晶セル47のような切り替え可能なバリアを有する場合、制御部52は、例えばTFTの専用アレイを使用することにより、液晶セル47を制御して所望の構成のバリアを提供しうるようにすることもできる。
【0129】
画像データは、1つ以上のデータ源54から発生させる又は受信する。例えば、ディスプレイシステムは、図33に示すように自動車53に取付けることができ、1つのデータ源54は、ルート選定情報を発生して、ドライバ50に係る視域23にこの情報を提示するプロセッサとすることができる。代案として、又はこれに加えて、画像データは、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤや、ビデオコンパクトディスク(VCD)プレーヤや、又はテレビジョン受信機若しくはテレビ電話の受信機のような地上若しくは衛星ネットワークを介してビデオ若しくはオーディオビデオ信号を受信するようになっている受信機等のデータ源54から得ることができる。他の好適なデータ源54の例は、インターネットのようなコンピュータネットワークに接続するよう構成されたターミナルである。
【0130】
必要であれば、オーディオ出力手段を設けて、表示される情報に関連するオーディオ信号を提供することもできる。オーディオ信号は、外部源及び制御部52の双方又はいずれか一方により提供できる。例えば、拡声器55又は1組以上のヘッドホン(図示せず)を介して音を提供するよう構成した出力部を設けることができる。
【0131】
図34は、本発明によるマルチビューディスプレイ56を有する他のディスプレイシステムを示す。この図においても、プロセッサ52と、データ源54と、オーディオ出力手段55とが示されている。この例では、ディスプレイ56は、非対称の視域23、24が形成されるよう構成されており、視域24は一方の視聴者50に向いている。例えば、自動車用途において、ドライバ50が道路から目をそらすことなく情報を見うるように、視域24を指向させることができる。視域23、24を非対称に配置することについては、第4の実施例に関して説明したとおりである。しかし、このような配置を得るために他の複数の実施例も採用しうる。例えば、第1、第2、第9、第10及び第12〜15の実施例は、バリア20、26、43、47及びフィルタ層19、27、41を適切に配列することにより非対称で配置された視域23及び24を生じるよう変更しうる。
【0132】
本発明の開示に基づき、当業者が、他の種々の変更例及び変型例を想起しうることは明らかであろう。このような変更例及び変型例は、液晶ディスプレイパネル若しくはその他のディスプレイパネル及びこれらの構成部材を含むディスプレイ装置の設計、製造及び使用において、本明細書に記載した機能の代わりに又はそれに加えて使用しうる公知の等価な特徴及び他の特徴を有するものである。
【0133】
前述した実施例は、特に、自動車用途に好適に使用されるデュアルビューディスプレイに関するものである。本発明は、2つより多い異なる画像を同時に提供するのに用いることもできる。例えば、本発明の第9〜13の実施例と同様にして、A、B、C及びDの視域を提供するサブピクセルのレイアウトを用いることができる。更にまた、本発明は、自動車用途に用いられるマルチビューディスプレイに限定されるものでなく、他の用途において、視聴者が所定の視域内に留まるような場所で複数の視聴者に異なる情報を提示するのに用いることができる。これらの他の用途には、航空機のキャビン、長距離バス、待合室、講義場等のディスプレイが含まれる。
【0134】
前述した実施例の特徴を、ディスプレイパネル14のサブピクセル、特にピッチpのサブピクセルに関して説明した。しかし、いかなる実施例によるマルチビューディスプレイも、その代わりに、光線、レンチキュラスクリーン又は他のパラメータのピッチが、ピクセルのピッチpに基づくように構成できる。これは、ディスプレイパネル14をモノクロディスプレイとする場合に特に好ましい。
【0135】
上述した通り、ディスプレイパネル14は液晶装置とする必要はない。他のディスプレイパネルを使用することもでき、このようなディスプレイパネルは光遮蔽型にする必要はない。他の好適なディスプレイパネルには、電気泳動ディスプレイや、エレクトロクロミックディスプレイや、エレクトロウェッティングディスプレイや、マイクロエレクトロメカニカル(MEMS)ディスプレイのようなマイクロメカニカルディスプレイが含まれる。本発明の第1、第2、第4及び第15の実施例のような前方バリアを有する構成においては、ディスプレイパネル14は、陰極線管(CRT)や、発光ダイオードのアレイや、有機発光ダイオード(OLED)や、電界放出ディスプレイ(FED)等の発光型ディスプレイデバイスにすることができる。
【0136】
独立した実施例に関連して説明した特徴は、適宜組合わせることができる。例えば、専用の散乱体及びスイッチ切り替え可能な拡散体の使用と、レンチキュラスクリーン及び光線に関して好適なピッチlを選択することにより得られる視域の構成とは、個別の実施例により説明したが、これらの特徴を組合わせて利用しこれら各々の特徴の利点を得ることができる。
【0137】
バリアを有する実施例において、バリアのスリットの幅wは、ピクセル又はサブピクセルのピッチpに所定の正の整数倍にする必要はない。上述したように、幅wは、視域の分離を良くするためにこの値より小さくすることもできるし、又は本発明の特定の例に関して説明したように、視点修正を行うために若しくは所望の寸法の視域を得るために僅かに大きくすることもできる。
【0138】
更に、専用の散乱体及び切り替え可能な拡散体を設けて、マルチビューディスプレイがマルチビュー及びシングルビューモード間を切替えうるようにすることは、本発明の第7及び第8の実施例に関してのみ説明した。しかし、このような拡散体は、本発明の他の任意の実施例に適宜設けることができる。更に、この切り替え可能な拡散体は、光線によりディスプレイパネルの一方の領域を照射してマルチビューを得ると同時に、ディスプレイパネルの他の領域を均一に照射してシングルビューを提供するよう操作できる。
【0139】
マルチビューディスプレイを用いて非対称な配置の視域を形成することは、第4の実施例に関してのみ説明した。しかし、前述した他の実施例も、このような非対称の配置を形成するよう構成しうる。例えば、第2及び第3の実施例を変更して、図12に示すのと同様にしてカラーバリア及びフィルタ層を整列させ、非対称の視域を発生させることができる。同様に、本発明の第9、第10及び第12〜15の実施例に基づく構成においても、バリア及びフィルタ層をこのように整列させることができる。
【0140】
本出願の特許請求の範囲は、前述した特徴の特定の組合せに係るものであるが、本発明の保護範囲は、任意の請求項に記載されているのと同一の発明に関するものであるか否かに拘わらず、また本発明が解決しようとするのと同じ技術的課題の一部若しくは全部を緩和するものであるか否かに拘わらず、本明細書に明示的若しくは暗示的に開示した新規な特徴若しくはこれら新規な特徴の組合わせ又はこれら特徴を一般化したものも含むものと理解されたい。出願人は、本願の出願係属中又は更にその後の手続において、これらの特徴又はこれら特徴の組合わせ或いはこれらの双方を有する新規な請求項を提示しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、通常のマルチビューディスプレイにより形成される視域及びクロストーク領域を示す線図である。
【図2】図2は、レンチキュラスクリーンを有する既知のマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図3】図3は、前方バリアを有する他の既知のマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図5】図5は、図4のマルチビューディスプレイのバリアの平面図である。
【図6】図6は、図4のマルチビューディスプレイの一部の拡大図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施例によるマルチビューディスプレイに使用するバリアの平面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施例によるマルチビューディスプレイの一部の拡大図である。
【図9】図9は、視域の範囲を、図4のマルチビューディスプレイのバリアの透過率の関数として示すグラフである。
【図10】図10は、視域の範囲を、図4のマルチビューディスプレイに関する結像装置とバリアとの間の距離の関数として示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の第3の実施例によるマルチビューディスプレイの一部を示す線図である。
【図12】図12は、本発明の第4の実施例によるマルチビューディスプレイの一部を示す線図である。
【図13】図13は、本発明の第5の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図14】図14は、図13のディスプレイのディスプレイパネルのフィルタ層を示す線図である。
【図15】図15は、本発明の第6の実施例による、マルチビューディスプレイを示す線図である。
【図16】図16は、図15のディスプレイを通過する光線の経路を示す線図である。
【図17】図17は、本発明の第7の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図18】図18a及び18bは、図16のマルチビューディスプレイにおいて、使用する通常の散乱体及び制御された散乱体の散乱プロファイルを示すグラフである。
【図19】図19a及び19bは、図16のマルチビューディスプレイに使用される好適な制御された散乱体の表面を示す線図である。
【図20】図20は、本発明の第8の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図21】図21は、本発明の第9の実施例によるマルチビューディスプレイに使用するサブピクセルのアレイを示す線図である。
【図22】図22は、本発明の第9の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図23】図23は、重畳領域が開始する及び終わる角度と、図22のマルチビューディスプレイの寸法との関係を示すグラフである。
【図24】図24は、本発明の第10の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図25】図25は、本発明の第11の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図26】図26は、図25のマルチビューディスプレイにおける迷光の結像を示す線図である。
【図27】図27は、本発明の第12の実施例によるマルチビューディスプレイに用いるサブピクセルのアレイを示す線図である。
【図28】図28は、本発明の第12の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図29】図29は、本発明の第13の実施例によるマルチビューディスプレイに使用するサブピクセルのアレイを示す線図である。
【図30】図30は、本発明の第14の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図31】図31は、本発明の第15の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図32】図32は、第1〜15の実施例のいずれかのマルチビューディスプレイを有するディスプレイシステムを示す線図である。
【図33】図33は、図32のディスプレイシステムを具える自動車を示す線図である。
【図34】図34は、第1〜15の実施例のいずれかのマルチビューディスプレイを有する他のディスプレイシステムを示す線図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像を発生させるディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
マルチビューディスプレイは、2人以上のユーザに異なる情報を提示するようしうるものである。図1は、通常のマルチビューディスプレイ装置1により2つの画像が形成される状態を表している。このようなディスプレイ1は、自動車のダッシュボード領域に設けて、ドライバ2にはルートプラン情報を提示する一方で、1人以上の搭乗者3には電子メールメッセージやデジタル多用途ディスク(DVD)の画像を表示することができる。ルートプラン情報は、ドライバ2が第1の視域4にいる場合に見ることができ、電子メールメッセージ等の情報は、搭乗者3が第2の視域5にいる場合に見ることができるようになっている。
【0003】
図1の構成においては、視域4及び5間に、双方の情報、すなわちドライバ2に表示される情報及び搭乗者3を対象とする情報の双方を同時に見ることができる領域6が存在する。換言すれば、領域6では、視域4に示される情報と視域5に示される情報との間のクロストークが存在することになる。既知のマルチビューディスプレイでは、視域4及び5の寸法が、クロストーク領域6の寸法と比べて比較的小さい。視域4及び5の開放角θは、代表的には約10°である。このことにより、ドライバ2及び搭乗者3が情報を見うる位置が制限されるてしまう。更に、ドライバ2又は搭乗者3が、クロストーク領域6の位置へ移動することも多い。
【0004】
自動車用途では、クロストーク領域6の存在は特に好ましくない。その理由は、後部座席の中央に座っている搭乗者7が、このクロストーク領域6に位置する場合があり、混乱した情報が示されるおそれがあるためである。また、安全性の理由から、ディスプレイ1は、搭乗者3に提示される情報をドライバ2が見れないようにしておく必要がある。従って、視域4及び5を物理的に分離すると共に、領域6のクロストークを最小にする必要がある。
【0005】
複数の画像を形成するための従来の方法は、視聴者の左目及び右目に異なる情報が向かう直視型立体三次元ディスプレイにおいて利用されているのと同様の原理に基づくものある。ある従来の技術では、図2に示すように、液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイパネル9の前方にレンチキュラスクリーン8を配置する。このディスプレイは、2つの画像10及び11を発生する。現在、利用可能なLCD装置は、大きい観察角を形成するために、厚さtが0.7mm又は1.1mmのガラスを有する。このような厚さのガラスを用いた場合、図2の構成に基づくマルチビューディスプレイは得られない。例えば、ディスプレイのサブピクセルのピッチpが0.042mmである場合、2つの隣接するサブピクセル9a及び9bから現れる光線は、レンチキュラスクリーン8のレンズの強さに拘わらず4°の角度で分離される。このような分離角度は、マルチビューディスプレイには不十分なものである。更に、この種のディスプレイは、視域と比べて大きなクロストーク領域を形成してしまう。
【0006】
他の従来の方法は、図3に示すようにディスプレイパネル9の前に配置した前方バリア12を利用するものである。このバリア12は、ディスプレイパネル9からの光を通過させる複数のスリット13を有し、視域4及び5と、著しく大きなクロストーク領域6とが形成される。視域4及び5の寸法は、バリア12の透過率に応じたものとなる。例えば、バリア12の透過率がゼロに近い場合、すなわちスリット13の幅が最小である場合、視域4及び5は約40°の開放角θを有することになる。しかし、バリア11の透過率を25%にすると、視域の開放角θは約10°にまで小さくなり、約20°の開放角θを有する著しく大きなクロストーク領域6が形成されてしまう。従って、大きい視域4及び5を発生させるためには、バリア12の透過率を制限する必要がある。しかし、このような構成では、高透過率のバリア12を使用したとしても、ディスプレイパネル9から現れる光の大部分が遮蔽されてしまうので光効率が悪くなる。
【0007】
更に他の既知の技術(図示せず)は、バックライト及びディスプレイパネルの間で配置され、複数のスリットを有する後部バリアを使用するものである。この構成によれば、スリット幅が限定されているため著しいクロストークを生じてしまう。図3のバリアの構成に関して上述したように、スリットの幅を減少させることによりクロストークを低減させることができるが、このようにするとディスプレイの光効率が悪くなってしまう。
【0008】
垂線から例えば±30°の角度に良好に分離された2つの視域を形成するためには、後部バリア及びディスプレイパネル間の分離度を、ディスプレイパネルのサブピクセルのピッチをpとした場合にp/0.3536より小さくする必要がある。分離は、通常、ガラスの中間シートにより行われる。しかし、この場合、代表的なサブピクセルの寸法は約99umであるため、280μmの厚さのガラスのシートが必要になるが、現在のところこのようなシートを利用することはできない。
【発明の開示】
【0009】
つまるところ、現在既知のマルチビューディスプレイ技術は、クロストークの存在する1つ以上の比較的大きい領域6により分離された限定的な寸法の視域4及び5を提供するものに過ぎない。本発明の目的は、従来技術のディスプレイと比べて比較的大きい2つ以上の視域を形成し、クロストークが防止されるか又は比較的小さい領域に抑制されるマルチビューディスプレイを提供することにある
【0010】
本発明の第1の観点によれば、2以上の関連する視域に向かう2以上の画像を表示するよう構成したマルチビューディスプレイは、複数の結像ユニット及びこれら結像ユニットの1つとそれぞれ関連している複数のカラーフィルタであって、第1のピッチに従い第1の色順序で配置されている当該複数のカラーフィルタを有するディスプレイパネルと、カラーフィルタ材料を具える複数の色部を有するバリアであって、これら色部が、前記第1のピッチのほぼ2倍の第2のピッチに従い、逆順にすると前記第1の色順序と対応するようになる第2の色順序で配置されている当該バリアとを有し、前記バリアは、光が、前記色部の1つと前記カラーフィルタの1つとを通過した後でディスプレイパネルを出るように位置決めされており、前記バリアの色部は、前記カラーフィルタと協働して、光が選択的に第1及び第2の視域に向かうよう通過させるようになっている。
【0011】
結像ユニットは、ピクセル若しくはサブピクセル又はこれらのグループにすることができる。第2のピッチは、第1のピッチの2倍である値から僅かに変化させて、例えば視点修正を行ったり、又は視域間の分離を改善したりすることができる。
【0012】
色部は、カラーフィルタの色順序と逆の色順序で配置する、つまりカラーフィルタと色部とは、互いに逆の色順序で配置する。例えば、カラーフィルタは、赤色、緑色及び青色の周期的な順序に配置することができ、この場合、色部は、青色、緑色及び赤色の周期的な順序で配置する。
【0013】
カラーバリアは、視聴者から見て結像ユニットの前方に配置し、光がバリアを通過する前にカラーフィルタを通過するようにしうる。或いは又、カラーバリアは、結像ユニットの後方に配置する後部バリアとすることができ、この場合、色部はコレステリックフィルタ材料を含むものとしうる。
【0014】
マルチビューディスプレイは、ディスプレイパネルの結像ユニットに対してバックライト照射を行うよう構成した光源を有してもよい。この光源は、複数の発光ダイオードを有し、これら発光ダイオードのうちの少なくとも2つが、それぞれ第1及び第2の色の光を発生するようにし、バリア及びカラーフィルタにおける色による光の選択的透過を促進させることができる。或いは又、カラーバリアを結像ユニットの前方に配置する場合、結像ユニットは、発光性の装置を有するものとしうる。
【0015】
バリアの色部及びカラーフィルタの双方又はいずれか一方は、黒色マトリクスにより互いに分離することができる。これら色部及びカラーフィルタは、ディスプレイにより発生される視域が非対称に配置されるよう整列させることができる。
【0016】
本発明の他の観点によれば、マルチビューディスプレイと、1つ以上の視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段とを有するディスプレイシステムが得られる。
【0017】
この観点によるディスプレイ又はディスプレイシステムは、自動車内の視聴者に情報を表示するよう構成できる。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、光がバリアを通過する前にカラーフィルタを通過するようにカラーバリアを位置決めした本発明の第1の観点によるマルチビューディスプレイの製造方法は、光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、これら複数の色部の上に光透過性材料のシートを配置する工程と、この光透過性材料のシート上に、ディスプレイパネルの複数のカラーフィルタを設ける工程とを有する。
【0019】
本発明の第3の観点によれば、光がカラーフィルタを通過する前に色部を通過するようにカラーバリアを位置決めした本発明の第1の観点によるマルチビューディスプレイの製造方法は、光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、これら複数の色部の上に、光透過性材料のシートを配置する工程と、前記光透過性材料のシート上の結像ユニットを制御する手段を設ける工程とを有する。
【0020】
本発明の第2及び第3の観点の方法により製造されるマルチビューディスプレイにおいて、カラーバリア及び結像ユニット間の分離度は、シートの厚さにより決定される。この厚さは、液晶装置の代表的な基板の厚さより薄くすることができる。このように分離度を低減させることは、従来技術の構成と比べて本発明のディスプレイにより形成される視域の寸法を増大させるのに役立つ。
【0021】
本発明の第4の観点によるマルチビューディスプレイは、第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、このディスプレイパネルを照射するよう位置決めした光源と、この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて、光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、第2のピッチで構成された複数のレンズを具える当該レンチキュラスクリーンとを有し、前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの結像ユニットに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっている。
【0022】
光源は、第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチに従い定められた位置に光線を発生するよう構成できる。これらの位置は、隣接するレンズ間の境界に整列させることができる。
【0023】
第5の本発明の観点によるマルチビューディスプレイは、第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、第2のピッチに従う複数の位置に複数の光線を発生するよう構成した光源と、この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、前記第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチで構成された複数のレンズを具え、これらレンズの境界が、前記光線の発生する位置に整列している当該レンチキュラスクリーンとを有し、前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの結像ユニットに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっている。
【0024】
本発明の第4又は第5の観点によるマルチビューディスプレイには、ディスプレイパネルから出力された光を拡散させる散乱体を設け、視域の寸法を更に増大させることができる。この散乱体は、所定の散乱プロファイルを有する制御散乱体にすることができる。例えば、散乱体は、周期的な構造的特徴を有する散乱表面を具えるものとしうる。
【0025】
第4の又は第5の観点によるマルチビューディスプレイは、切り替え可能な拡散体と、前記拡散体を拡散状態と光透過状態との間で切替えるようになっているモード切り替え手段とを有し、前記拡散体は、前記光源と前記結像ユニットとの間に位置しており、それにより、この拡散体が光透過状態にある場合には、光線が前記結像ユニットに結像され、この拡散体が拡散状態にある場合には、結像ユニットにほぼ均一な照射がなされるようになっている。これにより、ディスプレイは、マルチビューを形成する第1のモード、及びシングルビューを表示する第2のモードに切り替え可能になる。
【0026】
拡散体は、モード切り替え手段により、電界を印加し又は取り除くことによって、上記拡散状態及び透過状態間を切替えうるよう構成されている。
【0027】
本発明の第4又は第5の観点によるマルチビューディスプレイは、ディスプレイシステム内に、1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と共に設けることができる。
【0028】
本発明の第6の観点による、マルチビューディスプレイは、第1の視域に第1の画像を表示するよう構成された複数の第1の結像ユニットと、第2の視域に第2の画像を表示するよう構成された複数の第2の結像ユニットとを有し、これら第1の結像ユニット及び第2の結像ユニットが、複数の第3の結像ユニットにより分離されているディスプレイパネルと、複数の光線により前記ディスプレイパネルを照射するよう構成された照明部材とを有し、前記ディスプレイは、前記第1及び第2の画像を表示する際に前記第3の結像ユニットが使用されないようになっている。
【0029】
このように、結像ユニットは、視域に光を向けるためのバリアとして有効に作用する。第3の結像ユニットは、第1及び第2の画像が表示される際はスイッチが切られた状態にすることができる。
【0030】
第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、列に配置して結像ユニットの二次元アレイ部分を形成させることができる。複数の第1の結像ユニットは、アレイの隣接する列に配置された結像ユニットを有するものとしうる。同様に、複数の第2の結像ユニットは、ディスプレイパネルの隣接する列に配置された結像ユニットを有するものとしうる。第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、前記アレイにおいて、周期的な順序の列として配置できる。
【0031】
ディスプレイパネルは、3色の原色に対応するフィルタの列からなる通常の周期的な順序とは異なる配置の複数のフィルタを有するようにしうる。例えば、フィルタは、二次元アレイに構成してもよいし、又は4色以上の原色に基づくものとしてもよいし、或いはこれらの双方とすることもできる。
【0032】
照明部材は、光源と、前記光源及び前記ディスプレイパネル間に配置された、所定のピッチで構成された複数の光透過部分を具えるバリアとを有し、前記ディスプレイパネルが複数の光線により照射されるよう構成することができる。このマルチビューディスプレイには、選択的に光を透過する複数の光透過部分を有するバリアを設けることができ、これら光透過部分を第1のピッチで配置し、前記バリアを、前記結像ユニットから現れる光が当該バリア上に入射するように位置決めすることができる。
【0033】
バリアを設ける場合、バリアは、当該バリアが選択的に光を透過する透過モードと、当該バリアがほぼ光透過性となり、ディスプレイパネルが均一に照射されるようにする光透過モードとの間で切替えうる、液晶セルのような切り替え可能な装置の形態にすることができる。これにより、マルチビュー及びシングルビューモードの双方でディスプレイを操作しうるようになる。代案として、又はこれに加えて、バリアは、光透過部分が第1のピッチで配置されている第1のモードと、光透過部分が第2のピッチで配置されている第2のモードとで動作しうる液晶セルのような切り替え可能な装置にすることができる。
【0034】
ディスプレイパネルは、複数のカラーフィルタを有してもよい。カラーフィルタ及びバリアは、互いにずらして配置することができる。換言すれば、バリアは、カラーフィルタに対して斜めにすることができる。このような構成は、第1の及び第2の結像ユニットの双方又はいずれか一方の配置と、カラーフィルタの配置との不適合性を解消するのに利用することができる。
【0035】
照明部材は、光線を発生する光源と、前記ディスプレイパネル内に前記光線を結像するレンチキュラスクリーンとを有するようにしうる。
【0036】
前記第3の結像ユニット及び前記バリアの光透過部分は、ディスプレイパネルから出力される光が、非対称の配置の視域を形成するよう整列させる。
【0037】
マルチビューディスプレイは、自動車において、情報を表示するよう構成できる。
【0038】
本発明のこの観点は、マルチビューディスプレイと、1つ以上の視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段とを有するディスプレイシステムも提供するものである。
【0039】
本発明を、図面を参照した実施例により以下に詳細に説明する。
図4を参照するに、本発明の第1実施例によるマルチビューディスプレイは、ディスプレイパネル14及びバックライト15を有する。本例では、ディスプレイパネル14は、液晶材料のような電気光学活性材料の層16を有し、この層16は、2つの光透過性基板17及び18にはさまれている。この基板17、18は、ガラスか、プラスチック若しくは石英のような他の適切な光透過性材料から形成しうる。液晶材料を使用する場合、入射光の偏光方向を変えるための層16の動作原理は、ツイステッドネマチック(TN)、スーパツイステッドネマチック(STN)、垂直配向型ネマチック(VAN)、複屈折光学補償(OCB)、面内切替ネマチック(IPS)又は強誘電性作用のうちの任意のものに基づくものとすることができる。
【0040】
ディスプレイパネル14は、周知のようサブピクセルのアレイに分割されており、このパネル14には、アレイを駆動させて画像を表示させるアクティブマトリクス又はパッシブマトリクス(図示せず)が設けられている。
【0041】
縦方向にディスプレイを跨いで延在する一連の列の赤色、緑色及び青色フィルタを有するフィルタ層19が設けられている。視聴者から見ると、これらのフィルタによりサブピクセルの色が決定されることになる。このフィルタ層19の各フィルタは、黒色マトリクスにより隣接するフィルタから分離されている。図4及びそれ以降の図面において、赤色、緑色及び青色のフィルタは、それぞれ斜線、シェーディング及び網掛けにより示してあり、黒色マトリクスは、黒塗りで示してある。
【0042】
このフィルタ層19の前に、バリア20が設けられている。このバリア20は、基板17上に配置されており、ガラスその他の適切な光透過性材料のシート22によりフィルタ層19から分離されている。
【0043】
図5の平面図に示すバリア20は、黒色マトリクス22により分離された一連の列の赤色、青色及び緑色のカラーフィルタを有する。これらカラーフィルタは、フィルタ層19で用いられているのと逆の順序になるよう配置されている。図4の構成において、フィルタ層19は、赤色、緑色及び青色フィルタの周期の順序で配置されており、それに対し、バリア20は、青色、緑色及び赤色フィルタの列の順序になっている。バリア20において、フィルタの順序を逆転させるのは、異なる色の光が、ディスプレイパネルから同一角度で現れるようにするために必要なことである。フィルタ層19及びバリア20が、カラーフィルタを同じ順序で使用していると、赤色、緑色及び青色のサブピクセルからの光が、異なる方向に向かい、それぞれの独自の視域が形成されるおそれがある。
【0044】
この特定の実施例では、クロストークが発生するのを回避するために、バリア20の各列の幅wは、2p、すなわちサブピクセルのピッチの2倍にする。必要であれば、本発明の他の実施例に関して後述するように、列の幅wは、それよりやや小さい幅にしてもよいし、又はやや大きな幅にしてもよい。
【0045】
この特定例では、フィルタ層19及びバリア20は、各列のフィルタが、その下にあるサブピクセルの色と一致しないように構成している。しかし、フィルタ層19及びバリア20をこのように配置することは必要なことではない。本発明による他の構成では、フィルタ層18及びバリア20の複数の重なり合う部分の色を一致させることができる。
バリア20は、ホトリソグラフ処理を用いてホトポリマ材料の列を形成し、関連する色の色素を分散させることにより製造できる。赤色、緑色及び青色の列は、フィルタ層19の対応するカラーフィルタと同じフィルタ材料で形成できるが、このことは必要なことではない。
【0046】
フィルタ層19及びバリア20において使用する赤色、緑色及び青色のフィルタは、クロストークを回避するために、各種カラーフィルタの透過スペクトルが重ならないようにする必要がある。この場合、電気光学活性材料層16から生じる光は、フィルタ層19及びバリア20の色が一致する領域のみを通過しうるようになる。換言すれば、フィルタ層19の所定色のフィルタを通過していない光は、バリア20の同じ色のフィルタの列を通過し得ない。このことにより、図6に示すようにディスプレイから生じる光の方向が限定される。すなわち、この場合、フィルタ層18の緑色フィルタ19b及び19eを通過した光は、バリア20の緑色の列20bを通過する。しかし、この緑色の列20bは、赤色及び青色のフィルタ19a、19c、19d及び19fから生じる光を遮蔽する。
【0047】
バリア20による光の選択的透過、及びそれによるクロストークの回避は、良好に規定された波長の光を発するバックライト15を使用することで容易に行うことができる。このことは、複数の発光ダイオード(LED)を有するバックライトを用いることにより達成できる。赤色、緑色及び青色のLEDのスペクトルは、良好に分離されているため、LEDにより発生される特定の色の光を透過するが他の色を透過しないようにする1つ以上のカラーフィルタの構造が比較的簡単になる。
【0048】
図6を再度参照するに、緑色フィルタ19bから生じる光は、列20bを通過し適正な視域23が形成される。同時に、他の緑色フィルタ19eからの光が、同じ列20bを通過し破線で示される左の視域24が形成される。バリア20により、サブピクセル19b及び19eから現れる光が伝播しうる方向が制限される為、視域22及び23間に位置する中間領域25ではクロストークが起こらない。
【0049】
黒色マトリクスを設けることにより、中間領域25の寸法が大きくなり、クロストークが更に低減又は防止される。
【0050】
図7は、赤色、緑色及び青色のフィルタ材料の一連の列を有する、黒色マトリクスのないバリア26を示す。実際には、これらフィルタを分離する黒色マトリクスを設けることもできるが、この黒色マトリクスによるバリア26の性能に対する影響は無視しうる程度であることに注意されたい。図8は、バリア26のように有意な幅の黒色マトリクスを含まないフィルタ層27と、バリア26とを有するディスプレイにより形成される視域23′、24′及び中間領域25′を示す。中間領域25′の寸法は、バリア26内の列26aの寸法により規定される。この特定例では、バリア26は、サブピクセルのピッチpの2倍以下の幅wを有する列26aにより構成されている。代表的なサブピクセルの寸法99umに対して、列のピッチは、最大で198umになる。
【0051】
図8には、追加的に形成される視域28も示されている。前述した様に、この図においては、赤色フィルタ27b及び27cを通過する光が、バリア26の赤色の列26aを通過し左及び右の視域23′及び24′を形成することが示されている。しかし、赤色のサブピクセルからの光が、バリア26の他の赤色の列を通過し他の視域を形成する場合がある。この例では、破線で表すように、赤色フィルタ27bから現れる光がまた、赤色列26bをも通過し追加的な視域28を形成することが示されている。図示しないが、赤色フィルタ27cを通過する光の一部も赤色の列26bを通過して他の視域を形成するし、赤色フィルタ27a及び27dから現れる光も、赤色の列26a及び26bを通過し、以下同様に他の視域が形成される。このように、バリア26の単一の列26a、26bを通じて複数の追加的な視域が形成されるおそれがある。
【0052】
追加的な視域28の形成については、第2の実施例に関連して説明するが、このような側方視域は、図4のディスプレイによっても形成されるおそれがある。
【0053】
第1の実施例のディスプレイに関して、基板17において垂線に対して測定した場合に、主視域23及び24が開始する角度
及び終了する
角度
は、下式により計算できる。
【0054】
【数1】
【0055】
この式において、wは、単一の列20a〜20cの幅を表し、bは、フィルタ層19の黒色マトリクスの幅であり、pは、サブピクセル19a〜19fのピッチであり、dは、フィルタ層19及びバリア20間の分離度、この例ではシート22の厚みを表し、jは、列の数を示している。
【0056】
基板17を屈折率n=1.5のガラスから形成した場合、基板17及び空気間の界面における屈折を経た後の実際に視域22及び23が開始する角度α及び終了す角度βは、以下の式により与えられる。
【数2】
【0057】
この等式における最小及び最大の関数は、完全内部屈折による複合角を回避するのに使用されるものである。
【0058】
これらの角度α及びβは、以下のようにバリア20及びフィルタ層19の透過率に依存するものである。
【数3】
この式において、定数6は、各カラーフィルタの透過率が約1/3であり、列20a〜20cの幅wが、サブピクセル19a〜19fのピッチpの2倍であるために含まれているものである。
【0059】
図9は、d=0.7mm、p=0.1mm及びb=0.025mmとした実施例における角度α、βと、フィルタ層19及びバリア20の透過率との関係を表している。この例では、透過率が約0.18未満である場合、2対の視域23及び24並びに視域28及び29が形成される。第1の視域23と第3の視域28とは同じ情報を含んでいる。同様に、第2の視域24及び第4の視域29にも同一の情報が示されている。これら視域23、24、28及び29は重なっていないため、クロストークの発生が防止されている。
【0060】
視域23、24、28及び29の寸法は、フィルタ層19及びバリア20間の分離度dに依存するため、分離度dが小さいディスプレイによれば比較的大きい視域が形成される。図10は、列幅wをサブピクセルのピッチpの2倍にして、残りのパラメータを変化させなかった構成における角度α、βと、分離度dとの関係を示す。分離度dを1mmとした場合、参照符号23、24、28、28′29及び29′で示される6つの視域が形成され、これら符号の各々は、各視域の始まり及び終わりの角度、すなわち角度α及びβを示している。分離度dが、例えば0.35〜0.7mmの範囲内にある場合、4つの視域23、24、28及び29が形成される。分離度dが、0.35mm未満の場合、ディスプレイは2つの視域23、24のみを形成する。このように分離度が最も低い範囲では、視域の数が少なくなるが、限定された数の視域しか必要としない自動車用途に用いるディスプレイに対しては、このような構成が最も有用な場合もある。
【0061】
サブピクセルのピッチpを所定の比率に減少させた場合、換言すれば、解像度を増加させた場合でも、分離度d、黒色マトリクスの幅b及び列幅wを同じ比率で変化させれば、視域23及び24の寸法をそのまま維持できる。従って、より小さなサブピクセル、例えばピッチpが42umのサブピクセルを使用する場合でも、シート22の厚さdを下式で得られる値まで対応して減少させれば、視域23及び24の寸法を維持できる。
d=0.042/0.1×0.35≒0.150mm (5)
【0062】
再度図7及び8を参照するに、バリア26及びフィルタ層27が黒色マトリクスを有していない構成の場合、又は黒色マトリクスの寸法がディスプレイの性能に与える影響を無視しうる程度のものである場合、視域23及び24の開放角θは、以下の式により得られる。
【数4】
【0063】
従って、少なくとも20°の開放角θを有する2つの視域を得るために必要な分離度dは以下のようになる。
d<p/0.0781 (7)
【0064】
サブピクセルのピッチpを42μmとする構成については、分離度dは0.538mm以下になる。
【0065】
上述したように、既知のLCDにおける基板17の厚さは、0.7mm又は1.1mmである。所望の視域を得るためには、電気光学活性材料層16及びバリア20間に配置するシート22を比較的薄肉にする必要がある。好適な構造体は、以下のように得られる。
【0066】
図4を参照するに、基板17上へカラーフィルタ材料と、必要であれば黒色マトリクスとを堆積させることによりバリア20を形成する。このことは、フィルタ材料をホトポリマとする場合、ホトリソグラフ法を使用してカラーフィルタ材料の列を形成することで達成できる。基板17は、LCDにおいて用いられる厚さ0.7mm又は1.1mmの通常の基板とすることができる。その後、このバリア20の上部に、ガラス、石英又は光透過性プラスチックのような透明材料の薄肉シート22を配置する。この例では、シート22の厚さを約150μmにする。その後、このシート22上にフィルタ層19を形成する。このフィルタ層19は、バリア20を形成するのに使用したのと同様のホトリソグラフ法を使用して形成できる。必要に応じて、このフィルタ層19に黒色マトリクスを設けることができる。
【0067】
図11は、本発明の第3の実施例を示す。この例では、第1及び第2の実施例のようにフィルタ層18の前方にバリア20を配置する代わりに、バックライト15と電気光学活性材料層16との間にバリア20を位置させる。このようなバリア20は、上述したように、カラーフィルタ材料と必要であれば黒色マトリクスとを基板18上へ堆積させることにより形成する。基板18は、LCDにおいて用いられる通常の基板にすることができる。このバリア20の上部に、透明材料の薄肉シート22aを配置する。その後この薄肉シート22a上に、電気光学活性材料層16を動作させる為の、参照符号16aで一般に示される手段例えば電極及びTFTのアレイを設ける。
【0068】
バリア20の存在により、電気光学活性材料層16に入射する光は、所定の予め定めた方向においてのみサブピクセルを通過しうるようになる。図11は、列20a及びフィルタ19bの色が一致する場合に、光が、1つの列20aと、2つのフィルタ19bとを通過することを表している。これにより2つの視域23及び24が形成され、これらの中間領域25においてはクロストークが存在しなくなる。
【0069】
この特定例では、バリア20の列をコレステリックフィルタにするのが有利である。
コレステリックフィルタは光反射特性を有するため、ディスプレイの光効率を向上させることができる。その理由は、各列20aにより遮蔽された光が、バックライト15の方に反射され再利用しうるようになるためである。
【0070】
視域の始まり及び終わりの角度α及びβと、バリア20及びフィルタ層19間の分離度dや、列20aの幅wや、サブピクセルのピッチpや、黒色マトリクスの幅bとの関係は、第1及び第2の実施例に関して上述したとおりである。
【0071】
上記各例で得られる視域23及び24の配置は対称になっている。但し、用途によっては、視域23及び24を非対称に配置するのが好ましい場合もある。例えば、自動車用途では、ディスプレイを運転者の方へ回すのが好ましい場合がある。このことは、バリア20の列20a〜20cと、これら列と色が一致するフィルタ層19のフィルタ19a〜19fとが適切に配置されるようにディスプレイを構成することにより達成できる。この非対称の構成は、任意の前述した例に基づくものとしうる。図12は、本発明の第4の実施例によるマルチビューディスプレイのフィルタ層19及びバリア20を示しており、この例では、視域23及び24が上述したような非対称の配置になるよう構成されている。
【0072】
図13は、2つの視域を提供するよう構成された本発明の第5の実施例によるマルチビューディスプレイを示す。このディスプレイは、バックライト15と、ディスプレイパネル14と、レンチキュラスクリーン30とを有する。バックライト15は、平行光が出力されるよう構成されている。しかし、他の実施例では、バックライトは、その代わりに光線を放出するよう構成できる。
【0073】
レンチキュラスクリーン30は、バックライト15及びディスプレイパネル14間に配置されており、バックライト15からの光を集束させ、それによりディスプレイパネル14が、複数の光線により照射されるようなっている。レンチキュラスクリーン30のレンズのピッチPは、サブピクセルのピッチpの2倍である。この特定例において、サブピクセルのピッチpは0.15mmであり、レンチキュラスクリーン30のレンズのピッチPは0.3mmである。このレンチキュラスクリーン30を電気光学活性材料層16から分離する基板18の厚tは、0.7mmである。
【0074】
ディスプレイパネル14に使用されるフィルタ層31を図14の平面図に示す。この図には、下方に存在するサブピクセルの4つの列32a〜32dの位置も示されている。フィルタ層31は、ディスプレイの使用時に、フィルタが一連の横方向の行として配置されるよう構成されている。サブピクセルの列を交互に用いてそれぞれ表示を行わしめ、サブピクセルの列32a及び32cが第1の視域23に情報を表示し、サブピクセルの列32b及び32dが第2の視域24に情報を表示するようにする。
【0075】
図13は、レンチキュラスクリーン30の1つのレンズ30aを通過する光線を示している。レンズ30aは、サブピクセル上へ光線を結像し、一方のサブピクセルの列32aを通過する光線が、第1の視域23に向かい、他方のサブピクセルの列32fを通過する光線が、第2の視域24に向かうようにする。サブピクセルの列32aに隣接するサブピクセルの列32bは、破線で示すようにレンズ30bにより結像される光により照射される。サブピクセルの列32bに隣接する次のサブピクセルの列32cは、レンズ30cにより結像された光により照射される。このようにして、隣接するサブピクセルの列32a、32b、32c及び32fは、レンチキュラスクリーン30の異なるレンズ30a、30b及び30cを通過した光により照射される。サブピクセルの列32a及びその隣接するサブピクセルの列32bを通過する光は、それぞれ異なる方向、すなわちこれらサブピクセルの列32a及び32bにより表示される情報が見られる視域23及び24にに伝播される。
【0076】
図13のマルチビューディスプレイも、複数のクロストーク領域25、33及び34を形成する。視域23及び24間に位置する1つのクロストーク領域25は、限定されたスポット寸法sの光がディスプレイパネル14を通過することにより生じるものである。
【0077】
クロストーク領域33、34は、視域23、24の外側エッジで形成され、迷光により生ずる。視域24と隣接するクロストーク領域34では、視聴者が、他方の視域23に情報を表示するためのサブピクセル32を通過した光を認識してしまうおそれがある。
このことは、図13において、点線で示されており、レンズ30aからの光が、サブピクセル32fと隣接するサブピクセル32gを通過していることが分かる。この迷光は、第2の視域24に向かう。このサブピクセル32gは、第1の視域23に対して情報を表示するためのものである。従って、クロストーク領域34において、この迷光が、第1の視域23のための情報を表示することになる。同様に、クロストーク領域33では、図13の他の点線で示すように、視域23で見ることができる情報と共に、視域24に情報を表示する為のサブピクセル32を通過した光が見られることになる。
【0078】
視域23及び24の寸法は、バックライト15及びレンチキュラスクリーン30により形成される光線の開放角に依存するため、比較的小さな開放角を有する光線によれば、減少された寸法の視域23及び24が形成される。また、クロストーク領域25、33及び34の寸法は、光線の幅により決定される。視域23及び24とクロストーク領域25とを含む最大使用可能視角fは、基板17及び18の厚さtと、サブピクセルのピッチpとにより決定される。基板17及び18の厚さtを0.7mmとし、ピクセルを図13に示すように配置した構成では、最大使用可能視角fは72°になる。光線の幅を100μmとした場合、クロストーク領域25の開放角θは24°であり、各視域23及び23の開放角θは24°である。但し、光線及びレンチキュラスクリーン30の寸法を適切に選択することにより、30°の開放角θを有する視域23及び24を得ることができる。
【0079】
図13のディスプレイにより形成される視域23及び24は、従来技術によるディスプレイと比べて比較的大きいものであるが、明らかなクロストーク領域25、33及び34も形成されてしまう。図15に示される第6の実施例によるマルチビューディスプレイでは、ディスプレイ上に示される情報が領域25、33及び34で見られないようにすることでクロストークを回避しようとしている。
【0080】
図15に示されるディスプレイにおいて、バックライト35は、例えば、複数の光源を適切に構成することにより、又はマスクを使用することにより、或いはこれらの双方を行うことにより光線を発生するよう構成されている。光線は、サブピクセルのピッチpの約2倍のピッチlを有する。レンチキュラスクリーン30は、バックライト35及びディスプレイパネル14間に配置されている。図面の簡単化のために、電気光学活性材料層16は図示していない。この図において、サブピクセル32の位置は、フィルタ層31の対応するフィルタの位置により示されている。
【0081】
図15に示されるようなレンズ30a及び30bと光線との配置によれば、図13の構成において、レンズにより結像される限定されたスポット寸法sの光により生じる問題が発生しなくなる。従って、中央のクロストーク領域25は形成されない。
【0082】
レンチキュラスクリーン30のピッチPは、バックライト35により生ずる光線のピッチlにほぼ等しくなっている。レンズは、光線の間に位置されており、適切な強さで光線をサブピクセルに集束させるよう構成されている。サブピクセル上へ結像される際の光線の幅は、サブピクセルのピッチpより小さくして、隣接するサブピクセルが不所望に照射されるのを防止し、それにより視域23、24の端部にクロストーク領域が形成されるのを防止するのが好ましい。
【0083】
図14のディスプレイの場合と同様に、隣接するサブピクセルは、レンチキュラスクリーン30の異なるレンズにより結像された光により照射され、これらの光は、視域23及び24に対応する異なる方向に伝播され、これら視域において、関連するサブピクセルが情報を表示するようになる。
【0084】
基板17及び18が、0.7mmの厚さのガラスを有する場合、マルチビューディスプレイは、30°の視角θを有する視域23及び24を形成する。これら視域23及び24は、クロストークのない中間領域25により分離されている。図16は、2つのサブピクセルのそれぞれから情報が表示されるように図15のディスプレイを通る光線の経路を示す。左上の陰をつけた領域が、視域24に情報を表示する光線に対応しており、右上の陰をつけた領域が、視域23に情報を表示する同等の光線に対応している。
【0085】
図15のマルチビューディスプレイにおいて、各光線は、レンチキュラスクリーン30のレンズの隣のサブピクセル上に集束する。このような集束は、当該レンズにより行われるものである。例えば、レンズ30aにより集束された光線は、サブピクセル32aに結像され、レンズ30bにより集束された光線は、サブピクセル32b上へ結像される。このようにサブピクセル32a、32b及びレンズ30a、30bを互いに対応させることは必須の事項ではない。各レンズ30a及び30bが、当該レンズに隣接しないサブピクセル上に光線を集束させるような他の構成も使用できる。このような構成においては、情報が見えない中間領域25の寸法が、図15のマルチビューディスプレイにより形成されるものより大きくなる。
【0086】
ディスプレイパネル14が、視聴者及びマルチビューディスプレイ間の距離と比べて、大きなスクリーン領域を提供するものであれば、ディスプレイを構成する際に「視点修正」を行わなければならない場合がある。レンチキュラスクリーン30のピッチP及び光線のピッチlが、サブピクセルのピッチpの2倍である場合、視聴者は、表示された画像の全体を単一の位置から見れない場合がある。視点修正は、サブピクセルのピッチpの2倍を超える大きさであるピッチP及びlをそれぞれ有するレンチキュラスクリーン30及び光線を用いて行うことができる。レンチキュラスクリーン及び光線のピッチP及びlに対して必要な調整量は、1%未満、すなわち0.02p未満である。例えば、約0.002pの修正で充分な場合もある。このような構成により、視聴者が、ディスプレイ全体を観察しうるようになる。この視点修正の原理は、光線及びレンチキュラスクリーン30に対して適切なピッチl及びPを選択することにより、所望の寸法の視域23及び24を形成するために使用できる。
【0087】
視域の寸法を更に改善するための他の技術を、図17を参照して説明する。図17は、本発明の第7の実施例によるデュアルビューディスプレイを示す。図15と同様に、電気光学活性材料層16は図示していない。
【0088】
図15のデュアルビューディスプレイにおいて、情報が見えない中間領域25は、第1及び第2の視域23及び24間に形成されている。第1及び第2の視域23及び24は、図17に示すように、ディスプレイパネル14の前方に配置した専用の散乱体36を用いて大きくすることができる。これにより、中間領域25にも可視情報を提示しうるようになる。この特徴を、光線及びレンチキュラスクリーン30のピッチl、Pを最適化することに代えて、又はそれに加えて使用し、視域23及び24の寸法を所望のものとすることができる。
【0089】
クロストークを回避するために、散乱体36は、中間領域25の開放角θ以下の限定された角度範囲に入射光を散乱するようにする必要がある。換言すれば、散乱プロファイルを比較的狭くする必要がある。図18aは、通常の散乱プロファイルを示している。通常の散乱体では、この散乱プロファイルの「肩部」37に示されるように、かなりの部分の光が広い角度にわたり散乱される。これと対照的に、散乱体36は、図17bに示すような散乱プロファイルを有し、光は、比較的限定された角度範囲に散乱される。
【0090】
散乱体36は、限定された範囲の散乱角が得られるように構成した多数のファセットを有する粗面から形成できる。好適に構造化した散乱面38の例を図19aに示す。図18bは、他の構造化した散乱面39の例を示す。構造化した散乱面が、図示するような球面状素子39a、39b等を有するようにする必要はない。しかし、どのような構造体も、例えば10〜50umの寸法を有するサブピクセルのピッチpより小さな寸法にする必要がある。
【0091】
図20に示される本発明の第8の実施例において、マルチビューディスプレイは、デュアルビューモードとシングルビューモードとを切替えうるよう構成されている。デュアルビューモードで作動されると、各視聴者は、半分までのサブピクセルしか見ることができない。シングルビューモードにおいては、視聴者は、全てのサブピクセルを見ることができる、換言すれば、同じ情報が各視聴者に示されるようになる。
【0092】
図20のディスプレイにおいては、レンチキュラスクリーン30と電気光学活性材料層16(図示せず)との間に拡散体40が配置されている。この拡散体40は、電界を印加することにより光透過特性が変化する材料を用いて形成されている。例えば、拡散体40は、電界が印加された場合には透明になるが、電界が存在しないと拡散性になるポリマ分散液晶(PDLC)を用いて形成できる。拡散体40に用いる他の好適な材料は、通常は透明だが電圧が印加されると拡散性になる液晶ゲルである。
【0093】
拡散体40は、電界を印加することにより少なくとも2つの状態間で切替えることができる。電界は、電圧源41により供給し、スイッチ42を使用して制御する。第1の状態において、拡散体40は透明である為、サブピクセルはバックライト35から発生した光線により照射される。ディスプレイは、第6の実施例に関して説明したようにして複数の視域を発生する。拡散体40が第2の状態に切替えられると、拡散体が、バックライト36から発生した光線を拡散する為、サブピクセルは均一に照射されるようになる。ディスプレイは、シングルビューを発生し、視聴者は、第1視域23、第2視域、又は中間領域25のいずれの位置に存在するかに拘わらず全てのサブピクセルから表示される情報を認識しうるになる。
【0094】
従来の構成に関して説明したように、クロストークが発生する問題や、視域の寸法が限定される問題の一部は、バリア及びディスプレイパネル間の分離度dに対してサブピクセルのピッチpが小さいことにより生ずるものである。この分離度dは、バリア及びディスプレイパネル間に配置されるガラス又は類似の材料のシート厚tに応じたものとなる。この問題は、本発明の第9の実施例により解決される。
【0095】
通常のマルチビューディスプレイでは、ディスプレイパネルにおける隣接する列のサブピクセルは、それぞれ異なる視域に向かう情報を提示する。例えば、既知のデュアルビューディスプレイにおいて、図14に示されるようなフィルタ層31及びその下にあるサブピクセル32を使用する場合、サブピクセル32aの第1の列は、第1の視域に情報を表示し、それに対しサブピクセル32bの第2の列は、第2の視域に情報を表示し、その他以下同様に情報の表示が行われる。以下に記載する複数の例は、この通常の技術を使用しないものである。
【0096】
図21は、図22に示す本発明の第9の実施例によるマルチビューディスプレイに用いる、列32a〜列32d等に配置されるサブピクセルのアレイの一部を示す。
【0097】
図21において、サブピクセルは、それぞれ第1視域23に情報を表示するか、又は第2視域24に情報を表示するかに拘わらず「A」又は「B」の参照符号が付されている。
サブピクセル32a、32bの列「A」及びサブピクセル32d、32eの列「B」は、サブピクセル32c、32fの中間列により分離されており、これらの中間列は、情報が視域23、24に表示されている間、スイッチオフの状態、すなわち「暗い」状態に維持される。
【0098】
この特定例では、隣接する列のサブピクセルは、所定の視域に情報を提示するために使用される。列32a及び32bのサブピクセルは、第1の視域23に情報を提示するようになっており、それに対し、列32d及び32eのサブピクセルは、第2の視域23に情報を表示するようになっている。
【0099】
図22のディスプレイにおいては、バックライト15及びディスプレイパネル14間に、スリット44を有する後部バリア43が配置されている。スリット44は、暗ピクセルの中間列32c、32fに整列しており、その幅wは、サブピクセルのピッチpに等しい。
【0100】
このようにすると、光が「A」及び「B」のサブピクセルである列32a、32b、32d及び32eのみを通過しうるようになるので、サブピクセルのアレイが、第2のバリアとして作用するようになる。中間列32c及び32fが存在することにより、視域23及び24間の領域25におけるクロストークが防止される。
【0101】
この特定例では、スリット44の幅wは、サブピクセル32のピッチpと一致している。しかし、スリット44の幅wをサブピクセルのピッチpより小さくした他の構成でもクロストークを防止できる。視域23、24の開放角は、スリット43の幅w、バリア42とサブピクセル32との間の分離度d及び各スリット44に関連する視域の数に依存する。但し、バリアが、サブピクセルのピッチpより大きい幅wのスリットを有する場合には、得られる視域23及び24が重なり、クロストークが生じてしまう。
【0102】
サブピクセルの列32g及び32hにより表示される情報が見える視域23′の構成を、破線により図22に示す。この視域23′内には、サブピクセル列32g及び32hの一方のみからの情報が見える領域が存在する。これら領域を、それぞれ参照符号23´a及び23´bにより示す。これら領域の間には、重畳領域23´cが存在しており、この領域では、サブピクセルの列32g及び32hの双方により表示される情報が同時に見られる。
【0103】
2つの隣接するサブピクセルの列32a及び32b並びに32d及び32eをそれぞれ視域23及び24に情報を提示するために使用し、スリット44の幅wは、サブピクセルのピッチpに等しくしたこの特定例では、上述した重畳領域23´cの範囲を、以下のようにして計算できる。重畳領域23´cの開始する及び終わる角度が、それぞれα及びβで示される。但し、基板18と空気との間の界面で屈折する前における、重畳領域が開始する角度及び終わる角度は、以下の式により与えられる。
【数5】
【0104】
図23は、角度α及びβを、p/dの関数として示すグラフである。サブピクセルのピッチpが0.099mmであり、分離度dが0.7mmであるディスプレイにおいては、αは12°であり、βは24°である。従って、重畳領域23´cの開放角θは、12°になる。
【0105】
重畳ゾーン23´cの開放角を増やすために、任意的に複数の方法を使用できる。例えば、本発明の第10の実施例では、図24に示すように、ディスプレイパネル14の前方に拡散体45を配置することができる。拡散体45が、例えば10°の角度広がりを有するものであると、重畳領域23´cの寸法は、限定的なクロストーク領域が形成され、垂直方向の解像度が損なわれれ、ディスプレイパネル14の昼光下におけるコントラストが減少するという代償を払って向上することになる。しかし、水平方向においてのみ散乱する拡散体45を設ければ、垂直方向における解像度の損失を低減させるか、又は完全に防止できる。更に、特定方向にのみ光を散乱させる拡散体45、例えばMadico社製のLumisty(登録商標)箔を使用することもできる。この種の拡散体は、垂線に対して±15°の入射角を有する光に対しては透明であるが、この範囲の外側の入射角を有する光を散乱する。この種の拡散体35を使用することにより、通常の拡散体を用いる場合よりクロストークがより少なくなり、ディスプレイパネル14の昼光下でのコントラストの減少がより小さくなる。いずれにせよ、任意の種類の拡散体45により重畳領域23´cが拡大される。加えて、所定の画像を表示するのにアレイの1/3のサブピクセルしか使用されないことにより生じる表示画像のサブピクセレーションが、拡散体45を設けることにより視聴者に分かりにくくなる。
【0106】
視域23、24及び重畳ゾーン23´cの寸法は、バリア43及びサブピクセル32間の分離度dを減らす、例えば基板18の厚さを薄くすることによっても増大させることができる。
【0107】
同様の結果は、電気光学活性材料層(図示せず)に対してより近い位置で光線を有効に発生させることにより達成できる。この考え方は、図25に示す本発明の第11の実施例によるマルチビューディスプレイに適用されている。
【0108】
本例では、光線を発生するよう構成したバックライト35と、サブピクセル32との間にレンチキュラスクリーン46が配置されている。このレンチキュラスクリーン46は、サブピクセルから距離cの位置に光線を結像する。このレンチキュラスクリーン46のピッチPは、バックライト35により形成される光線のピッチlに等しい。レンチキュラスクリーン46は、そのレンズが光線と整列するように配置されている。この例において、サブピクセル32は、図21に示すように動作する為、「A」のサブピクセルの列32a、32bと、「B」のサブピクセルの列32d、32eと、暗サブピクセルの列32c、32fとの配列は、6つのサブピクセルの周期になっている。このため、レンチキュラスクリーン46のピッチは、サブピクセルのピッチpの6倍となる。
【0109】
この特定例では、暗サブピクセルの列32c、32fは、バックライト35により発生される光線と整列しているが、このように暗サブピクセルの列32c、32fを光線と整列させる必要はない。マルチビューディスプレイを、中間領域25におけるクロストークが解消されるよう構成するには、光線の幅を、サブピクセルのピッチpと同じかそれより小さくする必要がある。
【0110】
レンズのピッチPがサブピクセルのピッチpの6倍であるので、cの最大値は基板18の厚さの5/11になる。これにより、p/dの比率が5/11に減少する。サブピクセルのピッチpが0.099mmの場合に、有効なp/d比率は0.064である。このような構成によれば、αが26°でβが52°の、換言すると26°の開放角θの重畳ゾーン23´cが得られる。これは、図22のマルチビューディスプレイにより達成される12°の開放角よりも有利なものである。
【0111】
理想的には、バックライト35により形成される光線の開放角を、所定の光線からの光が、整列するレンズを通過するようなものになる。この条件を満足すれば、例えば、バックライト35bにおいて生じる光線からの光は、レンズ46bだけを通過し、隣接するレンズ46a及び46cは通過しないようになる。従って、薄肉のマルチビューディスプレイを得るためには、光線の開放角を小さくする必要がある。実際には、開放角は、単一のレンズ46aのピッチより大きくすることができる。このようにすると、バックライト35aにおける光線からの光は、隣接するレンズ46bを通過し、他の不所望な光線が発生することになる。
【0112】
開放角が大きい光線により生じる問題は、バックライト35とレンチキュラスクリーン46との間の距離eを、これらレンズ46a〜46dが正の整数倍の拡大率を生ずるように構成することで防止しうる。このような結像の例は、図25のマルチビューディスプレイを表す図26に示されており、この図26において、バックライト35及びレンチキュラスクリーン46間の距離eは、レンズ46a〜46dの拡大率が1に等しくなる距離になっている。これにより、35dの光線からの光は、隣接するレンズ46cに入り、35bの光線からの光と同じ位置で結像される。
換言すれば、迷光は、レンズ46bと、35bからの光線と、この特定例では上方に存在する暗サブピクセルの列32gとが整列する位置において、サブピクセル32から距離cの位置に結像する。
【0113】
サブピクセルのアレイが図21に従って動作する場合には、所定の表示を行うのにサブピクセルの1/3しか利用されず、上述したように視聴者が表示画像のサブピクセリゼーションを感知するおそれがある。更にまた、この構成は、一連の列の赤色、緑色及び青色として配置されている通常のフィルタレイアウトに対する互換性がない。その理由は、重畳領域23´c内では、3つの利用可能な原色のうちの2つしか見えないためである。
【0114】
この問題は、このカラーフィルタ層47用の特別なレイアウトを用いることで解決できる。例えば、フィルタ層47のフィルタを、垂直な列でなく複数の水平な行として、又は二次元アレイのカラーフィルタとして構成することができる。いずれの構成においても、単一の列32aにおける異なるサブピクセルからの光が、異なるカラーフィルタを通過しうるようになるため、重畳ゾーン23´cにおける可視情報は、利用可能な全ての原色を含むようになる。他の方法は、原色の数が異なるフィルタ層47を使用することである。例えば、フィルタ層47を、赤色、緑色、青色及び黄色の一連のフィルタの列として構成すれば、フィルタ層とサブピクセルの配置との間の非互換性が解消される。
【0115】
図22に示されるようなバリアを有する実施例では、バリア43に対してある角度でフィルタ層47を配置することが他の可能な解決方法となるが、この場合、ある程度のクロストークが発生するおそれがある。例えば、フィルタ層47及びバリア43は、これらフィルタ層47及びバリア43の双方又は一方をサブピクセルのアレイに対してある角度で配置することにより、これらの間の角度が1/3のタンジェント、すなわち約18.4°になるように構成できる。
【0116】
上述した説明では、スリット44から現れる光線が、6p以下、すなわち図21に示される配置のサブピクセルの1周期以内の開放角を有するものとしている。実際には、光の角度広がりはより大きくすることができるが、このようにすると視域23及び24が重複することになる。例えば、図22は、サブピクセル32i、32jを通過する2つの光線を、鎖線により示している。このことにより、視域23に示される情報が複製された他の視域(図示せず)が発生する。
【0117】
図27は、本発明の第12の実施例によるマルチビューディスプレイに用いる他の配置のサブピクセルを示す。ここで、列32aは、第1の視域23に情報を提示するために用いられ、列32cは、第2の視域24に情報を表示するために用いられる。列32aのような「A」サブピクセルと、列32cのような「B」サブピクセルとの間に配置されている列32b及び32dは、マルチビューディスプレイの使用時にスイッチを切られた状態に維持される。この構成は、サブピクセルのピッチpに等しい有効ピッチを有し、暗サブピクセル32b、32dの存在により、クロストークを抑制するよう作用する。
【0118】
図28は、図27により動作するサブピクセルアレイを有するマルチビューディスプレイを示す。この特定例において、スリット43の幅wは、サブピクセルのピッチpに等しい。マルチビューディスプレイは、2つの視域23及び24と、クロストークのない中間領域25とを形成する。
【0119】
図28のマルチビューディスプレイは、クロストークを低減し、又は防止するが、所定の画像を表示するのに各4つのサブピクセル32のうちの1つしか使用されないので、ディスプレイパネル14の解像度が低くなる。更に、サブピクセルのアレイの交互の列32b及び32dが、スイッチを切られた状態にあるため、マルチビューディスプレイの光効率も低くなる。
【0120】
図29は、本発明の第13の実施例によるマルチビューディスプレイに用いるサブピクセルのアレイを示す。この構成では、サブピクセルの3つの隣接列32a、32b及び32cは、第1の視域に情報を提示するために用いられ、3つの列32e、32f及び32gは、第2の視域に情報を表示するのに用いられる。マルチビューディスプレイの使用中スイッチを切られた状態に維持される中間列32d、32hが設けられている。このような実施例では、各8つのサブピクセルのうち3つが、所定の視域に情報を表示するのに用いられる。従って、この実施例は、第9〜12の実施例と比較してより大きな光効率を有し、また、赤色、緑色及び青色の通常のカラーフィルタの配置を使用しうるようになる。しかし、この実施例、及び所定の視域を提供するのに3つより多い隣接する列のピクセルを使用する他の実施例では、特定の視域を提供するために用いられる列の間の間隔iが比較的大きくなる。この特定例では、間隔iは、列32c及び32i間にある。このように間隔iが増大することにより、視覚アーチファクトが生ずるおそれがある。
【0121】
上述した第9〜13の実施例においては、サブピクセルがバリアとして有効に作用することにより光が選択されたサブピクセルを通過するようになり、クロストークが防止され、視域23及び24の寸法が増大し、或いはこれらの双方が可能になる。図21、図27及び図29の構成は、個々のサブピクセルの列32a〜32hがどのように使用されるのか、すなわち所定のサブピクセルの列32a〜32hがスイッチオンの状態にあるのか又はオフの状態にあるのか、そしてスイッチオンの状態にある場合には、どの情報が表示されるようになっているのか、という点で相違している。従って、単一のマルチビューディスプレイは、後部バリア43に対応する修正を行ったサブピクセルのアレイを動作させることにより、上記2以上の構成に従い動作モードを切替えうるよう、又は1以上画像のマルチビューモードとシングルビューモードとの間で切替えうるよう構成できる。
【0122】
この点について、後部バリア43を、液晶セル又は他の光遮断型装置のような切り替え可能なバリアにより置き換えて、それによりマルチビュー及びシングルビューモードを切替えうるディスプレイを提供しうる。このようなディスプレイは、上述したようなバリアを液晶セル48の形態で有する。この液晶セル48は、バリア43と同様に作用する第1の状態に切替えることができる。この液晶セル48のピクセル又はサブピクセルは、第9の実施例におけるバリア43の不透明部分及びスリット44に相当する光透過部及び暗部(縦線により示す)を形成するよう動作する。この状態において、ディスプレイは、上述したように複数の視域23、24を形成する。液晶セル48は、第2の状態に切替えられると、殆ど又は完全に透明になる。この場合、ディスプレイは、ディスプレイパネル14の全てのサブピクセル32を照射できるシングルビューを表示するのに用いることができる。
【0123】
必要であれば、6列の周期を有する構成のサブピクセルに関して前述したように、液晶セル48及びフィルタ層47は互いにある角度で配置することができる。
【0124】
ディスプレイは、液晶セル48が第1の状態にある場合に形成される光透過部及び暗部の配置を、当該セル48を適切に動作させることにより変えうるよう構成できる。
例えば、図30のディスプレイは、図21に示される6つのサブピクセルの周期を有するサブピクセル32の配置を使用している。ディスプレイは、サブピクセル32を動作させて図29に示されるような8つのサブピクセルの周期を有する配置を用いるよう再構成できるし、またセル48を動作させて適切な周期を有するバリアが得られるよう再構成できる。この場合、セル48は、サブピクセル32が4列毎に光透過性になるよう動作する。
【0125】
上述した第9、第10、第12及び第13の実施例は、それぞれ、バックライト15とサブピクセル32との間に位置するバリア43、48を有する。しかし、その代わりに、これらの構成におけるバリア43、48は、サブピクセル32の前方に配置することもできる。図31は、本発明の第14の実施例による前方バリアを有するディスプレイの実施例を示す。このディスプレイは、その他の点については、第13の実施例、すなわちバリアが液晶セル48であって、マルチビューを提示するためにセル48の一部のみが光透過性となる第1の状態と、シングルビューを形成するようディスプレイを使用する場合に殆どの又は全部のセルが光透過性となる第2の状態との間で切替えることができる例と同じである。上述した実施例と同様に必要であれば、バリア48及びフィルタ層47は、バリア48の光透過部分及びフィルタ層47のフィルタが互いに斜めになるように配置することができ、それにより、所定のサブピクセル列32a〜32gを通過した光線からの光が、フィルタ層の2以上の隣接するフィルタを通過して、複数の原色に基づく画像を形成しうるようにすることができる。
【0126】
第10及び第11の実施例における視域23、24又は重畳領域23´cの開放角は、第11の実施例に関して前述したように、拡散体及びレンチキュラスクリーンの双方又はいずれか一方を設けることにより更に改善できる。
【0127】
第9〜14の実施例において、サブピクセルのアレイは、それぞれ6つ、4つ、8つのサブピクセルの周期を有する配置に従い動作されるものであるが、サブピクセルのアレイの選択された列が暗く維持されるというこの構成の原理を用いれば他の周期を有する配置を提供することもできる。更に、各視域に対して同数のサブピクセルの列を使用する必要はなく、非対称のディスプレイを提供するために、図21、図27及び図29のサブピクセルの構成と異なるものとすることができる。例えば、1つの周期が、3つの「A」列のサブピクセルと、2つの「B」列のサブピクセルと、2つの中間列とを有する配置を使用できる。
【0128】
図32は、本発明によるディスプレイシステムを表す。このディスプレイシステムは、第1〜第3及び第5以降の実施例によるマルチビューディスプレイを有し、このディスプレイは、視聴者50及び51に対して情報を表示することを目的とした2つの視域23及び24を形成するようになっている。このディスプレイ49は、ディスプレイパネル14を動作するよう構成した制御部52を有するか、さもなくばこのような制御部に接続されている。例えば、ディスプレイパネル14が、TFTのアレイにより制御される液晶材料層16を有するのであれば、制御部52は、表示すべき画像データに基づきこのTFTを操作する。ディスプレイ49が、切り替え可能な拡散体36を有する場合には、制御部52は、電圧源41及びスイッチ手段42も制御しうるものとする。ディスプレイ49が、第14及び第15の実施例に関して説明した液晶セル47のような切り替え可能なバリアを有する場合、制御部52は、例えばTFTの専用アレイを使用することにより、液晶セル47を制御して所望の構成のバリアを提供しうるようにすることもできる。
【0129】
画像データは、1つ以上のデータ源54から発生させる又は受信する。例えば、ディスプレイシステムは、図33に示すように自動車53に取付けることができ、1つのデータ源54は、ルート選定情報を発生して、ドライバ50に係る視域23にこの情報を提示するプロセッサとすることができる。代案として、又はこれに加えて、画像データは、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤや、ビデオコンパクトディスク(VCD)プレーヤや、又はテレビジョン受信機若しくはテレビ電話の受信機のような地上若しくは衛星ネットワークを介してビデオ若しくはオーディオビデオ信号を受信するようになっている受信機等のデータ源54から得ることができる。他の好適なデータ源54の例は、インターネットのようなコンピュータネットワークに接続するよう構成されたターミナルである。
【0130】
必要であれば、オーディオ出力手段を設けて、表示される情報に関連するオーディオ信号を提供することもできる。オーディオ信号は、外部源及び制御部52の双方又はいずれか一方により提供できる。例えば、拡声器55又は1組以上のヘッドホン(図示せず)を介して音を提供するよう構成した出力部を設けることができる。
【0131】
図34は、本発明によるマルチビューディスプレイ56を有する他のディスプレイシステムを示す。この図においても、プロセッサ52と、データ源54と、オーディオ出力手段55とが示されている。この例では、ディスプレイ56は、非対称の視域23、24が形成されるよう構成されており、視域24は一方の視聴者50に向いている。例えば、自動車用途において、ドライバ50が道路から目をそらすことなく情報を見うるように、視域24を指向させることができる。視域23、24を非対称に配置することについては、第4の実施例に関して説明したとおりである。しかし、このような配置を得るために他の複数の実施例も採用しうる。例えば、第1、第2、第9、第10及び第12〜15の実施例は、バリア20、26、43、47及びフィルタ層19、27、41を適切に配列することにより非対称で配置された視域23及び24を生じるよう変更しうる。
【0132】
本発明の開示に基づき、当業者が、他の種々の変更例及び変型例を想起しうることは明らかであろう。このような変更例及び変型例は、液晶ディスプレイパネル若しくはその他のディスプレイパネル及びこれらの構成部材を含むディスプレイ装置の設計、製造及び使用において、本明細書に記載した機能の代わりに又はそれに加えて使用しうる公知の等価な特徴及び他の特徴を有するものである。
【0133】
前述した実施例は、特に、自動車用途に好適に使用されるデュアルビューディスプレイに関するものである。本発明は、2つより多い異なる画像を同時に提供するのに用いることもできる。例えば、本発明の第9〜13の実施例と同様にして、A、B、C及びDの視域を提供するサブピクセルのレイアウトを用いることができる。更にまた、本発明は、自動車用途に用いられるマルチビューディスプレイに限定されるものでなく、他の用途において、視聴者が所定の視域内に留まるような場所で複数の視聴者に異なる情報を提示するのに用いることができる。これらの他の用途には、航空機のキャビン、長距離バス、待合室、講義場等のディスプレイが含まれる。
【0134】
前述した実施例の特徴を、ディスプレイパネル14のサブピクセル、特にピッチpのサブピクセルに関して説明した。しかし、いかなる実施例によるマルチビューディスプレイも、その代わりに、光線、レンチキュラスクリーン又は他のパラメータのピッチが、ピクセルのピッチpに基づくように構成できる。これは、ディスプレイパネル14をモノクロディスプレイとする場合に特に好ましい。
【0135】
上述した通り、ディスプレイパネル14は液晶装置とする必要はない。他のディスプレイパネルを使用することもでき、このようなディスプレイパネルは光遮蔽型にする必要はない。他の好適なディスプレイパネルには、電気泳動ディスプレイや、エレクトロクロミックディスプレイや、エレクトロウェッティングディスプレイや、マイクロエレクトロメカニカル(MEMS)ディスプレイのようなマイクロメカニカルディスプレイが含まれる。本発明の第1、第2、第4及び第15の実施例のような前方バリアを有する構成においては、ディスプレイパネル14は、陰極線管(CRT)や、発光ダイオードのアレイや、有機発光ダイオード(OLED)や、電界放出ディスプレイ(FED)等の発光型ディスプレイデバイスにすることができる。
【0136】
独立した実施例に関連して説明した特徴は、適宜組合わせることができる。例えば、専用の散乱体及びスイッチ切り替え可能な拡散体の使用と、レンチキュラスクリーン及び光線に関して好適なピッチlを選択することにより得られる視域の構成とは、個別の実施例により説明したが、これらの特徴を組合わせて利用しこれら各々の特徴の利点を得ることができる。
【0137】
バリアを有する実施例において、バリアのスリットの幅wは、ピクセル又はサブピクセルのピッチpに所定の正の整数倍にする必要はない。上述したように、幅wは、視域の分離を良くするためにこの値より小さくすることもできるし、又は本発明の特定の例に関して説明したように、視点修正を行うために若しくは所望の寸法の視域を得るために僅かに大きくすることもできる。
【0138】
更に、専用の散乱体及び切り替え可能な拡散体を設けて、マルチビューディスプレイがマルチビュー及びシングルビューモード間を切替えうるようにすることは、本発明の第7及び第8の実施例に関してのみ説明した。しかし、このような拡散体は、本発明の他の任意の実施例に適宜設けることができる。更に、この切り替え可能な拡散体は、光線によりディスプレイパネルの一方の領域を照射してマルチビューを得ると同時に、ディスプレイパネルの他の領域を均一に照射してシングルビューを提供するよう操作できる。
【0139】
マルチビューディスプレイを用いて非対称な配置の視域を形成することは、第4の実施例に関してのみ説明した。しかし、前述した他の実施例も、このような非対称の配置を形成するよう構成しうる。例えば、第2及び第3の実施例を変更して、図12に示すのと同様にしてカラーバリア及びフィルタ層を整列させ、非対称の視域を発生させることができる。同様に、本発明の第9、第10及び第12〜15の実施例に基づく構成においても、バリア及びフィルタ層をこのように整列させることができる。
【0140】
本出願の特許請求の範囲は、前述した特徴の特定の組合せに係るものであるが、本発明の保護範囲は、任意の請求項に記載されているのと同一の発明に関するものであるか否かに拘わらず、また本発明が解決しようとするのと同じ技術的課題の一部若しくは全部を緩和するものであるか否かに拘わらず、本明細書に明示的若しくは暗示的に開示した新規な特徴若しくはこれら新規な特徴の組合わせ又はこれら特徴を一般化したものも含むものと理解されたい。出願人は、本願の出願係属中又は更にその後の手続において、これらの特徴又はこれら特徴の組合わせ或いはこれらの双方を有する新規な請求項を提示しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、通常のマルチビューディスプレイにより形成される視域及びクロストーク領域を示す線図である。
【図2】図2は、レンチキュラスクリーンを有する既知のマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図3】図3は、前方バリアを有する他の既知のマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図5】図5は、図4のマルチビューディスプレイのバリアの平面図である。
【図6】図6は、図4のマルチビューディスプレイの一部の拡大図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施例によるマルチビューディスプレイに使用するバリアの平面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施例によるマルチビューディスプレイの一部の拡大図である。
【図9】図9は、視域の範囲を、図4のマルチビューディスプレイのバリアの透過率の関数として示すグラフである。
【図10】図10は、視域の範囲を、図4のマルチビューディスプレイに関する結像装置とバリアとの間の距離の関数として示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の第3の実施例によるマルチビューディスプレイの一部を示す線図である。
【図12】図12は、本発明の第4の実施例によるマルチビューディスプレイの一部を示す線図である。
【図13】図13は、本発明の第5の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図14】図14は、図13のディスプレイのディスプレイパネルのフィルタ層を示す線図である。
【図15】図15は、本発明の第6の実施例による、マルチビューディスプレイを示す線図である。
【図16】図16は、図15のディスプレイを通過する光線の経路を示す線図である。
【図17】図17は、本発明の第7の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図18】図18a及び18bは、図16のマルチビューディスプレイにおいて、使用する通常の散乱体及び制御された散乱体の散乱プロファイルを示すグラフである。
【図19】図19a及び19bは、図16のマルチビューディスプレイに使用される好適な制御された散乱体の表面を示す線図である。
【図20】図20は、本発明の第8の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図21】図21は、本発明の第9の実施例によるマルチビューディスプレイに使用するサブピクセルのアレイを示す線図である。
【図22】図22は、本発明の第9の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図23】図23は、重畳領域が開始する及び終わる角度と、図22のマルチビューディスプレイの寸法との関係を示すグラフである。
【図24】図24は、本発明の第10の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図25】図25は、本発明の第11の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図26】図26は、図25のマルチビューディスプレイにおける迷光の結像を示す線図である。
【図27】図27は、本発明の第12の実施例によるマルチビューディスプレイに用いるサブピクセルのアレイを示す線図である。
【図28】図28は、本発明の第12の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図29】図29は、本発明の第13の実施例によるマルチビューディスプレイに使用するサブピクセルのアレイを示す線図である。
【図30】図30は、本発明の第14の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図31】図31は、本発明の第15の実施例によるマルチビューディスプレイを示す線図である。
【図32】図32は、第1〜15の実施例のいずれかのマルチビューディスプレイを有するディスプレイシステムを示す線図である。
【図33】図33は、図32のディスプレイシステムを具える自動車を示す線図である。
【図34】図34は、第1〜15の実施例のいずれかのマルチビューディスプレイを有する他のディスプレイシステムを示す線図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の関連する視域に向かう2以上の画像を表示するよう構成したマルチビューディスプレイであって、
複数の結像ユニットと、これら結像ユニットの1つとそれぞれ関連している複数のカラーフィルタであって、第1のピッチに従い第1の色順序で配置されている当該複数のカラーフィルタとを有するディスプレイパネルと、
カラーフィルタ材料を具える複数の色部を有するバリアであって、これら色部が、前記第1のピッチのほぼ2倍の第2のピッチに従い、逆順にすると前記第1の色順序と対応するようになる第2の色順序で配置されている当該バリアと
を有し、
前記バリアは、光が、前記色部の1つと前記カラーフィルタの1つとを通過した後でディスプレイパネルを出るように位置決めされており、前記バリアの色部は、前記カラーフィルタと協働して、光が選択的に第1及び第2の視域に向かうよう通過させるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、光が、前記色部の1つを通過する前に前記カラーフィルタの1つを通過するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項3】
請求項1に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、光が、前記カラーフィルタの1つを通過する前に前記色部の1つを通過するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項4】
請求項3に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記色部のカラーフィルタ材料が、コレステリックフィルタ材料であるマルチビューディスプレイ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、ディスプレイパネルの前記結像ユニットを照射するよう構成された光源を有するマルチビューディスプレイ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
バリアは、前記第1のピッチをpとするとp/0.0781より小さい分離間隔だけ前記カラーフィルタから離間されているマルチビューディスプレイ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアの色部は、黒色マトリクスにより互いに分離されているマルチビューディスプレイ。
【請求項8】
請求項7に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
複数の前記カラーフィルタは、黒色マトリクスにより互いに分離されているマルチビューディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、前記カラーフィルタから0.35mmより小さい分離間隔で離間されているマルチビューディスプレイ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアの色部及び前記カラーフィルタは、ディスプレイパネルから出る光が、非対称な配置の視域を発生するよう整列されているマルチビューディスプレイ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記光源が、複数の発光ダイオードを有し、これら発光ダイオードのうちの少なくとも2つは、それぞれ第1及び第2の色の光を放出するようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記結像ユニットが、発光性の装置であるマルチビューディスプレイ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイと、
1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と
を有するディスプレイシステム。
【請求項14】
自動車において情報を表示するよう構成された請求項1〜12のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ又は請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
異なる視域に異なる情報を表示するための請求項1〜12又は14のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ或いは請求項13又は14に記載のディスプレイシステムの使用方法。
【請求項16】
請求項2に記載のマルチビューディスプレイの製造方法であって、
光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、
これら複数の色部の上に光透過性材料のシートを配置する工程と、
この光透過性材料のシート上に、ディスプレイパネルの複数のカラーフィルタを設ける工程と
を有するマルチビューディスプレイの製造方法。
【請求項17】
請求項3又は4に記載のマルチビューディスプレイの製造方法であって、
光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、
これら複数の色部の上に、光透過性材料のシートを配置する工程と、
前記光透過性材料のシート上の結像ユニットを制御する手段を設ける工程と
を有するマルチビューディスプレイの製造方法。
【請求項18】
第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、
このディスプレイパネルを照射するように構成された光源と、
この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、第2のピッチで構成された複数のレンズを具える当該レンチキュラスクリーンと
を有し、
前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの前記結像ユニットのに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項19】
請求項18に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記光源は、前記第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチで前記光線を発生するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項20】
請求項19に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記光源は、前記レンズ間の境界に整列した位置に光線を発生するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項21】
第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、
第2のピッチに従う複数の位置に複数の光線を発生するよう構成した光源と、
この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、前記第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチで構成された複数のレンズを具え、これらレンズの境界が、前記光線の発生する位置に整列している当該レンチキュラスクリーンと
を有し、
前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの結像ユニットに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、前記ディスプレイパネルから出力された光を散乱させる散乱体を有するマルチビューディスプレイ。
【請求項23】
請求項22に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記散乱体は、所定の散乱プロファイルを有する制御散乱体であるマルチビューディスプレイ。
【請求項24】
請求項22又は23に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記散乱体は、周期的な構造的特徴を有する散乱表面を有するマルチビューディスプレイ。
【請求項25】
請求項19、20又は21に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、
切り替え可能な拡散体と、
前記拡散体を拡散状態と光透過状態との間で切替えるようになっているモード切り替え手段と
を有し、
前記拡散体は、前記光源と前記結像ユニットとの間に位置しており、それにより、この拡散体が光透過状態にある場合には、光線が前記結像ユニットに結像され、この拡散体が拡散状態にある場合には、結像ユニットにほぼ均一な照射がなされるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項26】
請求項25に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記モード切り替え手段は、電界を印加し及び取り除くことにより、前記拡散体を前記光透過状態及び前記拡散状態間で切替えるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項27】
請求項18〜26のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイと、
1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と
を有するディスプレイシステム。
【請求項28】
自動車において情報を表示するよう構成された請求項18〜26のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ又は請求項27に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項29】
異なる視域に異なる情報を表示するための請求項26〜28のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ或いは請求項27又は28に記載のディスプレイシステムの使用方法。
【請求項30】
第1の視域に第1の画像を表示するよう構成された複数の第1の結像ユニットと、第2の視域に第2の画像を表示するよう構成された複数の第2の結像ユニットとを有し、これら第1の結像ユニット及び第2の結像ユニットが、複数の第3の結像ユニットにより分離されているディスプレイパネルと、
複数の光線により前記ディスプレイパネルを照射するよう構成された照明部材と
を有し、
前記ディスプレイは、前記第1及び第2の画像を表示する際に前記第3の結像ユニットが使用されないようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項31】
請求項30に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第3の結像ユニットは、前記第1及び第2の画像が表示されている際にスイッチが切られた状態にあるマルチビューディスプレイ。
【請求項32】
請求項30又は31に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、列として配置され、結像ユニットの二次元アレイ部分を形成しているマルチビューディスプレイ。
【請求項33】
請求項32に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記複数の第1の結像ユニットは、前記ディスプレイパネルの隣接する列に配置された結像ユニットを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項34】
請求項33に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記複数の第2の結像ユニットは、前記ディスプレイパネルの隣接する列に配置された結像ユニットを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項35】
請求項32に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、前記アレイにおいて周期的な順序の列として配置されているマルチビューディスプレイ。
【請求項36】
請求項32〜35のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記ディスプレイパネルは、二次元アレイとして配置された複数のカラーフィルタを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項37】
請求項32〜35のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記ディスプレイパネルは、少なくとも4色の原色に基づく複数のカラーフィルタを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項38】
請求項30〜37のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、
光源と、
前記光源及び前記ディスプレイパネル間に配置された、所定のピッチで構成された複数の光透過部分を具えるバリアと
を有し、
前記ディスプレイパネルが複数の光線により照射されるよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項39】
請求項30〜37のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、選択的に光を透過する複数の光透過部分を具えるバリアを有し、これら光透過部分は、第1のピッチで配置されており、前記バリアは、前記結像ユニットから現れる光が当該バリア上に入射するよう位置決めされているマルチビューディスプレイ。
【請求項40】
請求項38に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、当該バリアが選択的に光を透過する透過モードと、当該バリアがほぼ光透過性となり、ディスプレイパネルが均一に照射されるようにする光透過モードとの間を切替えうる切り替え可能な装置であるマルチビューディスプレイ。
【請求項41】
請求項38又は39に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、前記光透過部分が第1のピッチで配置される第1のモードと、前記光透過部分が第2のピッチで配置される第2のモードとで動作しうる切り替え可能な装置であるマルチビューディスプレイ。
【請求項42】
請求項40又は41に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、液晶セルであるマルチビューディスプレイ。
【請求項43】
請求項38〜42のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記ディスプレイパネルが複数のカラーフィルタを有し、前記バリア及び前記複数のカラーフィルタは、非平行に配置されているマルチビューディスプレイ。
【請求項44】
請求項38に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記照明部材は、光線を発生する光源と、前記ディスプレイパネル内に前記光線を結像するレンチキュラスクリーンとを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項45】
請求項30〜44のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第3の結像ユニット及び前記バリアの光透過部分は、ディスプレイパネルから出力される光が、非対称な視域を形成するよう整列されているマルチビューディスプレイ。
【請求項46】
請求項30〜45のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイと、
1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と
を有するディスプレイシステム。
【請求項47】
自動車において情報を表示するよう構成した請求項30〜45のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ又は請求項46に記載のディスプレイシステム。
【請求項48】
それぞれ関連する視域に異なる情報を表示するための請求項30〜45又は47のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ或いは請求項47に記載のディスプレイシステムの使用方法。
【請求項1】
2以上の関連する視域に向かう2以上の画像を表示するよう構成したマルチビューディスプレイであって、
複数の結像ユニットと、これら結像ユニットの1つとそれぞれ関連している複数のカラーフィルタであって、第1のピッチに従い第1の色順序で配置されている当該複数のカラーフィルタとを有するディスプレイパネルと、
カラーフィルタ材料を具える複数の色部を有するバリアであって、これら色部が、前記第1のピッチのほぼ2倍の第2のピッチに従い、逆順にすると前記第1の色順序と対応するようになる第2の色順序で配置されている当該バリアと
を有し、
前記バリアは、光が、前記色部の1つと前記カラーフィルタの1つとを通過した後でディスプレイパネルを出るように位置決めされており、前記バリアの色部は、前記カラーフィルタと協働して、光が選択的に第1及び第2の視域に向かうよう通過させるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、光が、前記色部の1つを通過する前に前記カラーフィルタの1つを通過するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項3】
請求項1に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、光が、前記カラーフィルタの1つを通過する前に前記色部の1つを通過するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項4】
請求項3に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記色部のカラーフィルタ材料が、コレステリックフィルタ材料であるマルチビューディスプレイ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、ディスプレイパネルの前記結像ユニットを照射するよう構成された光源を有するマルチビューディスプレイ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
バリアは、前記第1のピッチをpとするとp/0.0781より小さい分離間隔だけ前記カラーフィルタから離間されているマルチビューディスプレイ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアの色部は、黒色マトリクスにより互いに分離されているマルチビューディスプレイ。
【請求項8】
請求項7に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
複数の前記カラーフィルタは、黒色マトリクスにより互いに分離されているマルチビューディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、前記カラーフィルタから0.35mmより小さい分離間隔で離間されているマルチビューディスプレイ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアの色部及び前記カラーフィルタは、ディスプレイパネルから出る光が、非対称な配置の視域を発生するよう整列されているマルチビューディスプレイ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記光源が、複数の発光ダイオードを有し、これら発光ダイオードのうちの少なくとも2つは、それぞれ第1及び第2の色の光を放出するようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記結像ユニットが、発光性の装置であるマルチビューディスプレイ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイと、
1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と
を有するディスプレイシステム。
【請求項14】
自動車において情報を表示するよう構成された請求項1〜12のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ又は請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
異なる視域に異なる情報を表示するための請求項1〜12又は14のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ或いは請求項13又は14に記載のディスプレイシステムの使用方法。
【請求項16】
請求項2に記載のマルチビューディスプレイの製造方法であって、
光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、
これら複数の色部の上に光透過性材料のシートを配置する工程と、
この光透過性材料のシート上に、ディスプレイパネルの複数のカラーフィルタを設ける工程と
を有するマルチビューディスプレイの製造方法。
【請求項17】
請求項3又は4に記載のマルチビューディスプレイの製造方法であって、
光透過性基板上に複数の色部を設ける工程と、
これら複数の色部の上に、光透過性材料のシートを配置する工程と、
前記光透過性材料のシート上の結像ユニットを制御する手段を設ける工程と
を有するマルチビューディスプレイの製造方法。
【請求項18】
第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、
このディスプレイパネルを照射するように構成された光源と、
この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、第2のピッチで構成された複数のレンズを具える当該レンチキュラスクリーンと
を有し、
前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの前記結像ユニットのに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項19】
請求項18に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記光源は、前記第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチで前記光線を発生するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項20】
請求項19に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記光源は、前記レンズ間の境界に整列した位置に光線を発生するよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項21】
第1のピッチで構成した複数の結像ユニットを具えるディスプレイパネルと、
第2のピッチに従う複数の位置に複数の光線を発生するよう構成した光源と、
この光源から放出された光を集束して、前記複数の結像ユニットにおいて光線の結像部を形成するよう構成されたレンチキュラスクリーンであって、前記第2のピッチにほぼ等しい第3のピッチで構成された複数のレンズを具え、これらレンズの境界が、前記光線の発生する位置に整列している当該レンチキュラスクリーンと
を有し、
前記第2のピッチは、前記第1のピッチのほぼ整数倍であり、前記レンズは、互いに離間された2つの結像ユニットに結像部を形成するようになっており、隣接する結像ユニットは、互いに異なるレンズにより形成される結像部により照射されるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、前記ディスプレイパネルから出力された光を散乱させる散乱体を有するマルチビューディスプレイ。
【請求項23】
請求項22に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記散乱体は、所定の散乱プロファイルを有する制御散乱体であるマルチビューディスプレイ。
【請求項24】
請求項22又は23に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記散乱体は、周期的な構造的特徴を有する散乱表面を有するマルチビューディスプレイ。
【請求項25】
請求項19、20又は21に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、
切り替え可能な拡散体と、
前記拡散体を拡散状態と光透過状態との間で切替えるようになっているモード切り替え手段と
を有し、
前記拡散体は、前記光源と前記結像ユニットとの間に位置しており、それにより、この拡散体が光透過状態にある場合には、光線が前記結像ユニットに結像され、この拡散体が拡散状態にある場合には、結像ユニットにほぼ均一な照射がなされるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項26】
請求項25に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記モード切り替え手段は、電界を印加し及び取り除くことにより、前記拡散体を前記光透過状態及び前記拡散状態間で切替えるようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項27】
請求項18〜26のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイと、
1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と
を有するディスプレイシステム。
【請求項28】
自動車において情報を表示するよう構成された請求項18〜26のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ又は請求項27に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項29】
異なる視域に異なる情報を表示するための請求項26〜28のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ或いは請求項27又は28に記載のディスプレイシステムの使用方法。
【請求項30】
第1の視域に第1の画像を表示するよう構成された複数の第1の結像ユニットと、第2の視域に第2の画像を表示するよう構成された複数の第2の結像ユニットとを有し、これら第1の結像ユニット及び第2の結像ユニットが、複数の第3の結像ユニットにより分離されているディスプレイパネルと、
複数の光線により前記ディスプレイパネルを照射するよう構成された照明部材と
を有し、
前記ディスプレイは、前記第1及び第2の画像を表示する際に前記第3の結像ユニットが使用されないようになっているマルチビューディスプレイ。
【請求項31】
請求項30に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第3の結像ユニットは、前記第1及び第2の画像が表示されている際にスイッチが切られた状態にあるマルチビューディスプレイ。
【請求項32】
請求項30又は31に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、列として配置され、結像ユニットの二次元アレイ部分を形成しているマルチビューディスプレイ。
【請求項33】
請求項32に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記複数の第1の結像ユニットは、前記ディスプレイパネルの隣接する列に配置された結像ユニットを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項34】
請求項33に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記複数の第2の結像ユニットは、前記ディスプレイパネルの隣接する列に配置された結像ユニットを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項35】
請求項32に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第1、第2及び第3の複数の結像ユニットは、前記アレイにおいて周期的な順序の列として配置されているマルチビューディスプレイ。
【請求項36】
請求項32〜35のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記ディスプレイパネルは、二次元アレイとして配置された複数のカラーフィルタを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項37】
請求項32〜35のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記ディスプレイパネルは、少なくとも4色の原色に基づく複数のカラーフィルタを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項38】
請求項30〜37のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、
光源と、
前記光源及び前記ディスプレイパネル間に配置された、所定のピッチで構成された複数の光透過部分を具えるバリアと
を有し、
前記ディスプレイパネルが複数の光線により照射されるよう構成されているマルチビューディスプレイ。
【請求項39】
請求項30〜37のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
このマルチビューディスプレイは、選択的に光を透過する複数の光透過部分を具えるバリアを有し、これら光透過部分は、第1のピッチで配置されており、前記バリアは、前記結像ユニットから現れる光が当該バリア上に入射するよう位置決めされているマルチビューディスプレイ。
【請求項40】
請求項38に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、当該バリアが選択的に光を透過する透過モードと、当該バリアがほぼ光透過性となり、ディスプレイパネルが均一に照射されるようにする光透過モードとの間を切替えうる切り替え可能な装置であるマルチビューディスプレイ。
【請求項41】
請求項38又は39に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、前記光透過部分が第1のピッチで配置される第1のモードと、前記光透過部分が第2のピッチで配置される第2のモードとで動作しうる切り替え可能な装置であるマルチビューディスプレイ。
【請求項42】
請求項40又は41に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記バリアは、液晶セルであるマルチビューディスプレイ。
【請求項43】
請求項38〜42のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記ディスプレイパネルが複数のカラーフィルタを有し、前記バリア及び前記複数のカラーフィルタは、非平行に配置されているマルチビューディスプレイ。
【請求項44】
請求項38に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記照明部材は、光線を発生する光源と、前記ディスプレイパネル内に前記光線を結像するレンチキュラスクリーンとを有するマルチビューディスプレイ。
【請求項45】
請求項30〜44のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイにおいて、
前記第3の結像ユニット及び前記バリアの光透過部分は、ディスプレイパネルから出力される光が、非対称な視域を形成するよう整列されているマルチビューディスプレイ。
【請求項46】
請求項30〜45のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイと、
1つ以上の前記視域に表示される情報に対応するオーディオ信号を出力するようになっているオーディオ出力手段と
を有するディスプレイシステム。
【請求項47】
自動車において情報を表示するよう構成した請求項30〜45のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ又は請求項46に記載のディスプレイシステム。
【請求項48】
それぞれ関連する視域に異なる情報を表示するための請求項30〜45又は47のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ或いは請求項47に記載のディスプレイシステムの使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2007−507001(P2007−507001A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527551(P2006−527551)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051838
【国際公開番号】WO2005/031444
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051838
【国際公開番号】WO2005/031444
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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