説明

マルチフィラメント導体およびその製造方法

帯状基板(2)と少なくとも1つの超電導層(3)とを有するマルチフィラメント導体(1)であって、少なくとも1つの超電導層(3)が帯状基板(2)の少なくとも一方の表面に形成されて複数のフィラメント(20,20’)に分割されており、帯状基板(2)がそれの長手方向の延びに平行に第1方向(21)を有し、少なくとも1つのフィラメント(20,20’)がそれの長手方向の延びに平行に第2方向(22)を有するマルチフィラメント導体(1)において、帯状基板(2)の第1方向(21)と少なくとも1つのフィラメント(20,20’)の第2方向(22)とが零よりも大きい角度をなしていることを特徴とするマルチフィラメント導体(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状基板と少なくとも1つの超電導層とを有するマルチフィラメント導体に関する。この少なくとも1つの超電導層が、帯状基板の少なくとも1つの表面に形成され、複数のフィラメントに分割されている。帯状基板がそれの長手方向の延びに平行に第1方向を有し、少なくとも1つのフィラメントがそれの長手方向の延びに平行に第2方向を有する。更に本発明はこのようなマルチフィラメント導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導層を有するマルチフィラメント導体は、とりわけ超電導装置における導体として使用される。それらの導体は、例えば磁気スピン断層撮影装置の超電導巻線、電動機、発電機、又は電流制限装置に使用することができる。例えばY2BaCu37(YBCO)のような高温超電導(HTS)材料を使用する場合、導体は液体窒素の温度において既に超電導特性に達する。こうして、信頼性のある低コストの超電導装置を実現することができる。
【0003】
産業用の第2世代(2G)のHTS導体は、電流担持層として金属の帯状支持体の上に形成された単結晶のHTS薄膜、特にセラミックYBCOからなるHTS薄膜を有する。その支持体の上に単結晶のHTS薄膜を形成するために、その支持体がテクスチャ化された多層緩衝層で覆われ、その多層緩衝層の上にHTS層が、例えば蒸着、レーザ蒸着又は化学分解のような堆積法よって形成される。
【0004】
HTS層の上には付加的に常電導の保護層もしくは安定化層が形成され、この層は、HTS層内における欠陥個所および常電導化した短い区間を橋絡することができ、HTS層を機械的損傷から保護する。常電導層は一般に銀および/又は銅からなる。緩衝層、HTS層および安定化層からなる積層体がその上に形成された帯状支持体は、一般に数ミリメータ又は数センチメータの範囲内の幅を有する。
【0005】
交流用途では、しばしば帯状支持体に対して垂直方向の時間的に変化する磁界成分が発生する。それによって、HTS層内に、そして僅かではあるが安定化層にも、輸送電流に重畳する循環遮蔽電流が誘導される。これらの遮蔽電流は熱の形で放出される電気損失をもたらし、冷却装置によってHTS導体から排出されなければならない。それによって、古典的な抵抗性の導体に比べてHTS導体の使用により達成されるエネルギ節約による経済的な利点が縮小され、又は完全になくなる。
【0006】
単位長当たりの電力損失Ph/Lは、交番磁界振幅ΔBと、周波数fと、臨界電流ICと、磁界に対して垂直方向の有効導体幅dfとに比例する。
h/L = f×ΔB×IC×df
【0007】
NbTi超電導体およびNb3Sn超電導体においては、その横断面が、例えば銅である金属母材の中に埋め込まれた小さなdfを有する多数の薄いフィラメントに分割されることによって上記の損失が低減される。しかし、この措置は導体が捩じられるか、もしくは撚られる場合にのみ有効である。
【0008】
この原理のHTS導体への転用がレーベル導体によってもたらされた。多数の平行なHTS被覆された帯状支持体から構成されているこの種のレーベル導体が特許文献1から公知である。HTS導体のこの構成における損失は個別の帯の幅によって決定される。損失を更に最小限にするために、超電導層と銅からなる安定化層とを、帯状支持体の長手方向に平行な縦溝によって複数のフィラメントに分割することが、例えば特許文献2から公知である。その支持体にまで到達する縦溝を形成する方法は、機械的加工、化学的エッチング、レーザ加工、フォトレジスト法および局部的破壊結晶配列法を含む。それによって、1つの支持体上の1つのフィラメントが、支持体の長手方向軸線に平行に延びる多数の個別フィラメントに分割される。有効導体幅dfは、1つのフィラメントとして超電導被覆された支持体の幅ではなく、支持体上における個別フィラメントの幅となる。
【0009】
短い導体試料においては損失の低減が検証可能であるが、長い導体路、例えば超電導巻線においてはフィラメント間の磁気結合がなくならず、例えばコイルに存在する外部の交番磁界が依然として大きな遮蔽電流を誘導する。これらの遮蔽電流は超電導材料の臨界電流密度を上回ることがあり、それによって超電導導体が抵抗領域に移行する。再び熱の形で放出されなければならない大きな電気損失が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第03/100875号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0191202号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の課題は、従来技術からの公知のマルチフィラメント導体に比べて電気損失を更に減少させたマルチフィラメント導体を提供することにある。特に、本発明によるマルチフィラメント導体の課題は、外部の交番磁界内でのマルチフィラメント導体中の電流誘導を最小限に抑えることにある。本発明の他の課題は、外部の交番磁界内でのマルチフィラメント導体中の電流誘導を最小限に抑えることによって最小の電気損失を有するマルチフィラメント導体を製造するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、マルチフィラメント導体に関しては請求項1の特徴により解決され、マルチフィラメント導体の製造方法に関しては請求項11により解決される。
【0013】
本発明によるマルチフィラメント導体およびマルチフィラメント導体の製造方法の有利な実施形態はそれぞれに対応した従属項で明らかにされている。その際に、独立請求項の特徴は、それぞれに対応した従属項の特徴、又は複数の対応した従属項の特徴と組み合わせることができる。
【0014】
本発明によるマルチフィラメント導体は帯状基板と少なくとも1つの超電導層とを有する。少なくとも1つの超電導層は帯状基板の少なくとも1つの表面に形成されていて、複数のフィラメントに分割されている。帯状基板はそれの長手方向の延びに平行に第1方向を有し、少なくとも1つのフィラメントはそれの長手方向の延びに平行に第2方向を有する。帯状基板の第1方向と少なくとも1つのフィラメントの第2方向とは零よりも大きい角度をなしている。
【0015】
それによって、複数の導体が重ねて巻かれている例えばコイルにマルチフィラメント導体を使用する場合に、交番磁界用途における損失ならびに産業用超電導導体中の局部的な欠陥個所の影響を効果的に低減することができる。特に2本巻きコイルにおいては、損失の著しい低減が達成される。マルチフィラメント導体に対する垂直方向の交番磁界振幅ΔBによる損失Phは、導体幅ではなくて個別フィラメントの幅に依存する。ヒステリシス損失の割合は係数df/bだけ減少する。高い磁界精度が要求される磁石用途、例えば核スピン断層撮影装置、核共鳴スペクトロメータおよび加速装置においては、フィラメント幅に限定される比較的小さい遮蔽電流によって発生させられる、実効体積中の磁界欠陥が著しく低減される。
【0016】
帯状基板の第1方向と少なくとも1つのフィラメントの第2方向との間の角度が、30度と60度との間に、特に45度であるのが格別に有利である。少なくとも1つのフィラメントが、特に第1方向に平行な長手方向成分なしに、完全に第2方向に沿って形成されているとよい。第1方向に沿った長手方向成分は、例えば2本の線により巻回されるコイルのような用途において損失を高める。
【0017】
帯状基板が、第1表面を前面に、それに対向する第2表面を裏面に有し、第1表面にも第2表面にも複数のフィラメントが形成されているとよい。第1表面の複数のフィラメントが、第2表面の複数のフィラメントの長手方向に平行な第3方向に等しくない、第2方向を有するのがよい。それによって、2本の線により巻回されるコイルにおけると同様の損失低減効果が、この導体において達成される。
【0018】
特に転位された導体構成の場合には損失の少ない通電が達成される。更に、前面の少なくとも1つのフィラメントと、裏面の少なくとも1つのフィラメントとが、特に帯状基板の1つ又は2つの側面における少なくとも1つの第3表面に形成された少なくとも1つの層を介して、導電接続されているとよい。転位長が20cmの範囲内にあるとよい。
【0019】
1つの表面における少なくとも2つの隣接するフィラメント間に少なくとも1つの電気的なブリッジが形成されているならば、超電導層内の欠陥個所の橋絡を格別に効果的に行なうことができ、従って損失を更に低減することができる。1つ又は複数のブリッジによって、少なくとも2つの隣接するフィラメントの1つ又は複数の電気接続部が形成されている。少なくとも1つの電気的なブリッジが一方の表面の中央に配置されていて、特にブリッジの長手方向が帯状基板の第1方向に平行であるとよい。局部的に電流容量の低下した欠陥のある1つのフィラメントが、ブリッジおよび隣接するフィラメントを介して電気的に橋絡される。
【0020】
マルチフィラメント導体が、帯状支持体材料、少なくとも1つの緩衝層、少なくとも1つの超電導層、特に高温超電導(HTS)層、および/又は少なくとも1つの安定層からなる積層体を有するとよい。緩衝層は、支持体材料上においてエピタキシャル成長させられた単結晶の超電導層を可能にする。HTS層は、液体窒素領域の温度においても超電導特性を有するマルチフィラメント導体の使用を可能にする。安定化層は、超電導層を機械的損傷から保護すると共に、超電導層内の局部的な電流容量低下個所を電気的に橋絡し、即ち超電導層を安定化しかつ機械的および電気的に保護する。
【0021】
支持体材料が金属、特に鋼からなるとよい。少なくとも1つの緩衝層が、AL、イットリア、IBAD−MgO、Homo−epi−MgO、LMOからなるグループからの少なくとも1つの材料、又はこれらの材料からの組み合わせもしくは合金、又はこれらの材料からなる積層体を含むとよい。少なくとも1つの超電導層がYBCOからなるとよい。少なくとも1つのブリッジが、同様にYBCO、特に少なくとも1つのHTS層のYBCOからなるとよい。これはブリッジを介しても損失の少ない電気伝導を可能にする。少なくとも1つの安定化層が、銅又は銀からなるか、又は少なくとも1つの銅層および/又は少なくとも1つの銀層を有する積層体を含むとよい。少なくとも1つのブリッジが、少なくとも1つの安定化層の材料からなるか又はこれを含んでもよく、これはブリッジの簡単な製造を可能にする。
【0022】
支持体材料が50〜100μmの範囲の厚さと10mmの範囲の幅とを有するとよい。少なくとも1つの緩衝層が100nmの範囲の厚さを有するとよい。少なくとも1つの超電導層が1μmの範囲の厚さを有し、少なくとも1つのフィラメントが0.5mmの範囲の幅を有するとよい。少なくとも1つの安定化層が3μm〜300μmの範囲の厚さを有するとよい。これらはマルチフィラメント導体の多くの用途にとって都合のよい大きさである。
【0023】
上述のマルチフィラメント導体を製造するための本発明による方法は次のステップを有する。
互いに向かい合っている面を有する2つの帯状支持体材料が機械的に結合され、
各1つの帯状支持体材料における機械的に結合された前記面とは反対側の面に少なくとも1つの超電導層が形成され、
その超電導層の上に安定化層が形成され、
第1の帯状支持体材料の安定化層と、第2の帯状支持体材料の安定化層とが、2つの帯状支持体材料の両側の縁部において、該縁部を介して両安定化層の電気接続が行なわれるように重ね合わされて形成され、そして、
複数の超電導層および複数の安定化層がフィラメントに分割される。
【0024】
2つの帯状支持体が完全に一致するように互いに結合されるとよい。この方法によって少ないステップでマルチフィラメント導体の簡単で低コストの製造が可能となる。
【0025】
これらの層の形成が、電気分解、ろう付け、蒸着、スパッタリング、および/又は気相中での金属化合物の熱分解によって行なわれるとよい。複数のフィラメントへの超電導層および安定化層の分割が、機械的に、又はレーザおよび/又はエッチング、特に乾式又は湿式の化学エッチングによって、それぞれの層の端から端まで複数の溝により行なわれるとよい。特にエッチング法においてはフォトリソグラフィが使用されるとよい。代わりに、これらの層の形成は、まだ被覆されていない基板帯の溝位置への印刷又は貼り付けによって行なってもよい。後続の超電導層および安定化層の堆積工程の際に、ここには材料が付着せず、従って所望のフィラメント構造が形成される。
【0026】
これらの溝は、帯状基板の第1方向と少なくとも1つのフィラメントの第2方向との間の零に等しくない角度で形成されるとよい。複数の螺旋状の電流路が生じるように、複数のフィラメントが2つの帯状支持体材料上においてそれらの縁部を跨いで導電接続されるとよい。
【0027】
二重層状の基板の2つの帯状支持体材料が耐熱性で絶縁性の中間層又は間隙によって互いに分離されるとよい。これは、特に2つの帯状支持体材料の溶接によって、1つの帯状支持体材料が折り曲げられて2つの重なり合った帯に形成されることによって、又は、特に帯状支持体材が、テクスチャ化される圧延工程の前に、1つの管が平らに圧潰されることによって行なわれるとよい。
【0028】
マルチフィラメント導体を製造するための本発明による方法に対しても、本発明によるマルチフィラメント導体に関する既述の利点がもたらされる。
【0029】
以下において、従属請求項の特徴による有利な発展的構成を有する本発明の好ましい実施形態を、次の図に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来技術に基づく基板軸線に平行な複数のフィラメントを有するマルチフィラメント導体の斜視図である。
【図2】従来技術に基づくマルチフィラメント導体の1つのフィラメントの層構造の斜視図である。
【図3】基板の前面および裏面に基板周囲に斜めに螺旋状に延在するように形成された複数のフィラメントを有する本発明によるマルチフィラメント導体の斜視図である。
【図4】図3に示されたマルチフィラメント導体に類似した、ただし隣接するフィラメント同士の間にブリッジ部が形成されているマルチフィラメント導体の斜視図である。
【図5】前面における(実線で境界を示した)フィラメントと裏面における(破線で境界を示した)フィラメントとを有する図3に示されたマルチフィラメント導体の平面図である。
【図6a】直接的に結合された2つの支持体を有する図3に示されたマルチフィラメント導体の断面図である。
【図6b】圧潰された管を基板として有する図3に示されたマルチフィラメント導体の断面図である。
【図6c】開放側の側面に溶接部を有する、基板として折り畳まれた部分からなる図3に示されたマルチフィラメント導体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、従来技術に基づくマルチフィラメント導体1の長手方向軸線に垂直な断面を、マルチフィラメント導体1の前方からの斜視図で示す。マルチフィラメント導体1は、前面9および裏面10を備えた帯状基板2を有する。帯状基板2の第1方向21は帯状基板2の長手方向として定義されている。第1方向21に平行に、帯状基板2の前面21に細長い形をした互いに平行な緩衝層4の複数のストリップが形成されている。緩衝層4の複数のストリップは互いに隔てられていて第2方向22を有する。この第2方向22は緩衝層4のストリップの長手方向に相当する。緩衝層4のストリップの上には、例えばYBCO材料からなる超電導層3が形成されている。超電導層3の上には、薄い銀層(Ag層)5aおよび銅層(Cu層)5bが保護もしくは安定化層5として形成されている。それぞれ緩衝層4と超電導層3と安定化層5とからなる複数の積層体もしくは複数のフィラメント20の間には、フィラメント20同士を分離するための複数の溝6が形成されている。
【0032】
マルチフィラメント導体1に時間的に変化する外部磁界(B)8が作用する場合には、安定化層5および/又は超電導層3に電流Iが誘導される。これらの誘導電流Iは、半数のフィラメント20において一方の電流方向7で流れ、残りの半数のフィラメント20においてそれと反対の電流方向7’で流れる。これらの電流Iは一般にフィラメント20の臨界電流を上回り、超電導導体を抵抗状態に追い込み、その際に著しい抵抗損失が生じる。電流Iは、図1による捩じられていない導体において、全体帯幅bが大きくなると直線的に上昇し、幅dfのフィラメント20への分割は何の作用も発揮しない。
【0033】
図2には従来技術による1つのフィラメント20の層構造が詳細に示されている。基板2の前面9には薄いアルミニウム(Al)層11がストリップとして形成されており、図2においては、そのストリップに沿った断面表示の斜視図を見ることができる。Al層11の上にはイットリア層12がある。その上にIBAD−酸化マグネシウム(MgO)層13およびエピタキシャルHomo−epi−MgO層14が堆積されている。エピタキシャルHomo−epi−MgO層14の上にはエピタキシャルLMO層15が形成されている。これらの層11〜15は一緒に緩衝層4を構成し、基板2に対する電気絶縁作用をする。これらは単結晶配列された基盤として役立ち、基板2上の緩衝層3の上方に、例えばYBCOからなる超電導層3の単結晶の成長をもたらす。
【0034】
超電導層3上には銀(Ag)層5aおよび銅(Cu)層5bが形成されている。これらの両層は安定化層5を構成し、この安定化層は超電導層3を機械的損傷から保護しかつ単結晶の超電導材料内の欠陥個所を電気的に橋絡する。
【0035】
基板2の裏面10には他のCu層が第2の安定化層5’として形成されているとよい。
【0036】
図1および図2におけるマルチフィラメント導体1の基板2はハステロイ(登録商標)又は鋼からなり、50μmの厚さおよび10mmの幅を有する。図2に示されたフィラメント20は、100nmの厚さの緩衝層3を有し、0.5mmの幅を持つ。超電導層3は1μmの厚さであり、基板2の前面9における安定化層5は23μmの厚さに形成されており、20μmの厚さのCu層を有する。基板2の裏面10における安定化層5’は20μmの厚さである。
【0037】
図3には本発明によるマルチフィラメント導体1が上方からの斜視図で示されている。マルチフィラメント導体1の基板2はハステロイ(登録商標)又は鋼からなり、50μmの厚さおよび10mmの幅を有する。この実施例においては、複数のフィラメント20,20’が、フィラメント20の長手方向である第2方向22をもって基板2上に配置されており、その第2方向22と基板2の長手方向である第1方向21とが零に等しくない角度をなしている。これらの超電導フィラメント20,21’は、それぞれ第1支持体16および第2支持体17の一方の表面上に配置されている。2つの支持体16および17は、フィラメント20,20’を備えた表面の反対側にある裏面において、機械的には互いに結合されているが、電気的には中間層29によって実質的に分離されている。接触し合っている裏面は以下において機械的結合面18と呼ぶ。2つの支持体16,17および中間層29は、一緒に本発明によるマルチフィラメント導体1の帯状基板2を構成する。
【0038】
基板2の一方の表面における複数のフィラメント20,20’間にはそれぞれ複数の溝6が連続的に形成されているので、2つの隣接するフィラメント20,20’の超電導層3はそれぞれ電気的に互いに分離されている。第1支持体16上のこれらのフィラメント20はそれぞれ、支持体16の縁部19におけるフィラメント20が支持体16,17の縁部19において第2支持体17のフィラメント20’とピッタリ重なり合うように配置されている。支持体16および17上に安定化層が堆積もしくは形成される際に、縁部19に安定化層5の材料が同時に堆積される。それによってこの材料を介して支持体16のフィラメント20が支持体17のフィラメント20’と電気的に結合される。溝6の形成時に、これらの溝が同様に縁部19における安定化層5の材料を完全に貫通して形成されるので、縁部19において重なり合っているフィラメント20および20’のみが互いに電気的に接続されている。
【0039】
各層の厚さならびに基板2およびフィラメント20,20’の幅は、図1および図2のマルチフィラメント導体1に関する前述の厚さおよび幅と等しい。
【0040】
前面9におけるフィラメント20の角度は、裏面10におけるフィラメント20’の角度の逆符号の値を有する。この角度値は1〜5度もしくは−1〜−5度の範囲にある。前面9および裏面10には、帯状基板2の両側の縁部19において終端する限定された長さbを有する複数の超電導フィラメント20,20’が形成されている。超電導フィラメント20,20’上に、常電導材料、例えば銅からなる安定化層5,5’が形成されている。この安定化層5,5’は、フィラメント20,20’の超電導層3と電気的に接続されており、超電導導体の欠陥のある常電導個所で電流の橋渡しをすることができる。帯状基板2の複数の縁部19には、前面9および裏面10のフィラメント20,20’が常電導層を介して電気的に接続されるように、安定化層5,5’が形成されている。
【0041】
それによって、帯状基板2の周りには1つ又は複数の螺旋状の平行な電流路が発生し、該電流路は帯状基板2の縁部19における短い常電導領域まで超電導状態にある。従って、本発明により、古典的な超電導導体技術から公知の「ツイスト」を捩じられた平行超電導フィラメント形式で有する、交番磁界用途において損失の少ない薄膜超電導導体がもたらされる。
【0042】
図4には本発明によるマルチフィラメント導体1の代替実施例が示されている。このマルチフィラメント導体1は、隣接するフィラメント20,20’の間にブリッジ23が付加的に形成されていることを除けば、図3に示されたマルチフィラメント導体1と類似する。ブリッジ23は、層構造からは図1乃至3のフィラメント20,20’に等しく構成されているか、又は安定化層5のみから、又は安定化層5および超電導層3のみから構成されている。ブリッジ23は電気伝導性に形成されていて、フィラメント20,20’の超電導層3内の欠陥個所を隣接するフィラメント20,20’の超電導層3を介して橋絡することができる。図4においてブリッジ23は、渡り部分として、基板2の表面の中央にその基板の第1方向に沿って配置されている。しかしその代替としてブリッジ23は、縁部19又はその近くに配置されていてもよい。ブリッジ23は、連続的な渡り部分としてではなくて、その都度2つの隣接するフィラメント20,20’間の表面に交互に又は不規則に配置されていてもよい。図4に示された実施例において、ブリッジ23の幅aは基板2の一方の面における1つのフィラメントの長さbの1/20の範囲内にある。材料および必要な電流容量に応じてブリッジ23の幅を他の値にすることもできる。
【0043】
マルチフィラメント導体1において、1つのフィラメント20もしくは20’における局部的な欠陥個所が電流容量を低下させる確率は、長さの増加および幅の減少にともなって上昇する。従って、比較的長いマルチフィラメント導体1を有する巻線においては、互いに絶縁されたフィラメント20もしくは20’を有するマルチフィラメント導体1の全体の電流容量は著しく損なわれる。フィラメント20もしくは20’間のブリッジ23の配置によって、欠陥のあるフィラメント20もしくは20’から隣のフィラメント20もしくは20’への電流の再配分を行なうことができる。フィラメント20もしくは20’に沿って欠陥個所間の平均距離が転位長Lよりもかなり長い場合には、全電流は十分に健全な電流路を獲得し、全電流の臨界値は、長いマルチフィラメント導体1においても、僅かしか低下しない。
【0044】
図5には図3に示された実施形態に相当するマルチフィラメント導体1の平面図が示されている。第1支持体16上のフィラメント20(図5におけるフィラメント20の幅の境界として実線)の第2方向22が、第2支持体17上のフィラメント20’(図5におけるフィラメント20’の幅の境界としての破線)の長手方向の延びの第3方向26に対して、或る角度で配置されていることがはっきり分る。従って、支持体16上のフィラメント20および支持体上のフィラメント20’は或る角度をなしている。この角度はほんの僅かな角度範囲にある。しかし、例えば図5に示されているように、別の角度も考えられ得る。
【0045】
縁部19における電気接続により、第1支持体16上の複数のフィラメント20および第2支持体17上の複数のフィラメント20’は、1つの捩じられたもしくは転位された1つのマルチフィラメント導体1を形成する。これらのフィラメント20,20’は導体を螺旋状に取り巻く。マルチフィラメント導体1に対して垂直な交番磁界振幅ΔBによる損失Phにとって、フィラメント20,20’なしの導体の場合には導体幅bが決定的であるが、フィラメント20,20’がある場合には個別フィラメント20,20’の幅dfが決定的な影響を与える。ヒステリシス損失の成分は係数df/bだけ減少する。緩衝層4が支持体16,17に対して十分に絶縁されているならば、フィラメント20,20’の転位によって、フィラメント20,20’間に誘導される遮蔽電流による損失もより小さくなり、又は零に等しい。2つの任意の平行なフィラメント20又は20’間の平面を通る磁束は積算されて転位長Lに応じた一回転後にその都度零になる。従って、その間において誘起される電圧は、そしてそれに伴う損失を発生する渦電流は、マルチフィラメント導体1の全長に関係なく効果的に低減される。
【0046】
図5には、前面9における2つの任意のフィラメント20又は裏面10における2つの任意のフィラメント20’によって取り囲まれた平面Aが鎖線として例示されている。平面Aに対して垂直方向の磁界成分をBとすると、平面Aは磁束B×Aによって貫通される。基板2の前面9のフィラメント20および裏面10のフィラメント20’の2つの交差点27,28のそれぞれを介して、誘起電圧U=0.5A・dB/dtが生じる。その誘起電圧は導体中央において最大であり、縁部19において零である。第1支持体16と第2支持体17との間の本発明による電気絶縁層29は、フィラメント20および20’間の薄い基板2を垂直に通る誘導電流を防止する。これらの誘導電流が流れると、フィラメント20,20’内の輸送電流に重畳し、フィラメントト20,20’を損失のある抵抗性領域に追い込み、付加的に基板2に抵抗損失を生じさせるであろう。第1支持体16と第2支持体17との間の電気絶縁層29もしくは中間層により、基板2を介する磁気結合が阻止される。
【0047】
例えば核スピン断層撮影装置、加速装置、核共鳴スペクトロメータにおけるように高い磁界精度が必要とされる磁石用途においては、フィラメント幅に局在する比較的小さい遮蔽電流によって、それにより発生させられる磁界の実効体積が著しく低減される。従って本発明によるマルチフィラメント導体は臨界的な直流用途においても使用可能である。
【0048】
フィラメント20および20’間で縁部19を介して常電導の電気接触を行なう場合には、近似的に、
n=ρnп(dn+dS)/(dnn
である抵抗Rnが存在する。ρnは比電気抵抗、であり、dn,dSは常電導層および支持体16、7の厚さであり、Ln=dfL/2bは第1方向21におけるブリッジ23の長さであり、dfはフィラメント幅である。撚り長L当たり2個のブリッジ23は、各フィラメント20,20’において積算されて、
<Rn>/1=ρnп(dn+dS)2b/(dnf2
なる単位長当たりの平均抵抗となる。
【0049】
この抵抗は、転位長Lが大きくなるにともなって非常に小さくなる。例えば、b=10mmの幅と、0.3mmの全厚と、Ic=300Aと、幅df=0.5mmの幅の15個のフィラメント20,20’と、je=100A/mm2なるマルチフィラメント導体1内の実効臨界電流密度と、L=20cmなる転位長もしくは撚り長と、77Kでの銅のρn=2×10-9Ωmと、dn=dS=0.1mmなる銅層5および基板2の厚さとを有するマルチフィラメント導体1に関しては、銅ブリッジ23を通る1つのフィラメント20,20’の平均抵抗が、
<Rn>/1=12.5μOhm/m
によって与えられる。
【0050】
フィラメント20,20’においてI=Ic/15=20Aである場合に、電圧降下は250μV/mすなわち2.5μV/cmである。これは、一般に産業用超電導導体において臨界電流が定義される電圧降下1μV/cmの範囲内にある。
【0051】
付加的損失は電流の2乗で増大する。Ic=300Aの場合、これはマルチフィラメント導体1の1メートル当たり75mW、すなわち1キロアンペアメートル当たり250mWである。従って、従来の解決策と比較した場合に、本発明によるHTS材料を有するマルチフィラメント導体1は、銅からなる抵抗性導体に比べて90%のエネルギ節約をもたらす。超電導材料における磁気損失Phは、既に述べたように小さいフィラメント幅dfによって低減することができる。従って、超電導ケーブル、超電導変圧器、超電導導体を有する電気機械における50/60ヘルツでの交流用途および他の用途が、本発明によるマルチフィラメント導体1により経済的に実現できる。
【0052】
それに加えて、従来の銅導体に対する利点として、1〜2桁大きい実現可能な電流密度がもたらされる。
【0053】
図6a乃至6cには、第1支持体16および第2支持体17の少なくとも1つの中間層による結合部18の異なる実施形態を有する図5に示されたマルチフィラメント導体1の断面図が示されている。これらのフィラメント20,20’は、緩衝層4と超電導層3と安定化層5からなる既述のフィラメント20,20’と同様に構成されている。隣接するフィラメント20,20’間にそれぞれ溝6が形成されている。基板2の前面9におけるフィラメント20および裏面10におけるフィラメント20’は縁部19を介して安定化層5によって互いに電気的に接続されている。
【0054】
図6aにおいては、第1支持体16および第2支持体17が、それらの裏面を介して、それぞれ互いに平面的に電気絶縁されて結合されている。この結合は、例えばそれらの裏面相互の接着によって行なうことができる。支持体16および17間に付加的に熱絶縁層を配置することができる。
【0055】
図6bにおいては、支持体16および17が、基板材料2からなる管24が圧潰されることによって形成されている。薄い絶縁性の隙間を管内に残すことができ、この隙間は冷却に利用することもできる。例えば液体窒素をその隙間を通して案内し、マルチフィラメント導体1を液体窒素によって付加的に内側から冷却することができる。
【0056】
図6cにおいては、第1支持体16および第2支持体17が、1つの幅広の支持体の折り畳みによって形成されている。この幅広の支持体の幅は1つの支持体16,17の幅の2倍に等しい。折り畳み線が幅広の支持体の中心における縦軸線に沿って延びている。折り畳み線は基板2の一方の縁部19をなし、基板2の反対側の縁部19に沿って溶接又は接着継ぎ目25が第1支持体16および第2支持体17を機械的に安定に互いに結合することができる。安定化層5の堆積および溝6の形成の際に、複数の縁部19を介して、それぞれ第1支持体16および第2支持体17のフィラメント20が結合される。溝6が形成により、一方の支持体16又は17の隣接するフィラメント20が、縁部19においてもそれぞれ電気的に互いに分離されている。図6a乃至6cにおける実施例と図4の実施例との組み合わせは、ブリッジ23を介して、一方の支持体16又は17上のフィラメント20の電気接続をもたらす。
【符号の説明】
【0057】
1 マルチフィラメント導体
2 帯状基板
3 超電導層
4 緩衝層
5,5’ 安定化層
5a 銀層
5b 銅層
6 溝
7,7’ 電流方向
8 外部磁界
9 前面
10 裏面
11 アルミニウム層
12 イットリア層
13 IBAD−MgO層
14 Homo−epi−MgO層
15 LMO層
16 第1支持体
17 第2支持体
18 機械的結合面
19 縁部
20,20’フィラメント
21 第1方向
22 第2方向
23 ブリッジ
24 管
25 溶接又は接着継ぎ目
26 第3方向
27 交差点
28 交差点
29 中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状基板(2)と少なくとも1つの超電導層(3)とを有するマルチフィラメント導体(1)であって、前記少なくとも1つの超電導層(3)が帯状基板(2)の少なくとも一方の表面に形成されて複数のフィラメント(20,20’)に分割されており、前記帯状基板(2)がそれの長手方向の延びに平行に第1方向(21)を有し、前記少なくとも1つのフィラメント(20,20’)がそれの長手方向の延びに平行に第2方向(22)を有するマルチフィラメント導体(1)において、帯状基板(2)の第1方向(21)と少なくとも1つのフィラメント(20,20’)の第2方向(22)とが零よりも大きい角度をなしていることを特徴とするマルチフィラメント導体(1)。
【請求項2】
帯状基板(2)の第1方向(21)と少なくとも1つのフィラメント(20,20’)の第2方向(22)との間の角度が1度と5度との間にあること、および/又は少なくとも1つのフィラメント(20,20’)が、特に第1方向(21)に平行な長手方向成分なしに、完全に第2方向(22)に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項3】
帯状基板(2)が第1表面を前面(9)に有し、それに対向する第2表面を裏面(10)に有し、第1表面にも第2表面にも複数のフィラメント(20,20’)が形成されており、特に第1表面のフィラメント(20)が第2方向(22)を有し、この第2方向(22)が、第2表面のフィラメント(20’)の長手方向に平行な第3方向(23)に等しくないことを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項4】
前面(9)の少なくとも1つのフィラメント(20)が、裏面(10)の少なくとも1つのフィラメント(20’)と導電接続されていること、特に帯状基板(2)の1つ又は2つの側面における少なくとも1つの第3表面に形成された少なくとも1つの層(19)を介して導電接続されていることを特徴とする請求項3記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項5】
1つの表面における少なくとも2つの隣接するフィラメント(20,20’)の間に少なくとも1つの電気的なブリッジ(23)が形成され、該ブリッジ(23)によってそれらの少なくとも2つの隣接するフィラメント(20,20’)の電気接続が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電気的なブリッジ(23)がその1つの表面の中央に配置されていること、特に前記ブリッジ(23)の長手方向が帯状基板(2)の第1方向(21)に平行になるように配置されていることを特徴とする請求項5記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項7】
マルチフィラメント導体(1)が、帯状の支持体材料(16,17)、少なくとも1つの緩衝層(4)、好ましくは高温超電導(HTS)層である少なくとも1つの超電導層(3)および/又は少なくとも1つの安定化層(5)からなる積層体を有することを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項8】
支持体材料(16,17)が金属、特に鋼からなること、および/又は
少なくとも1つの緩衝層(4)が、AL(11)、イットリア(12)、IBAD −MgO(13)、Homo−epi−MgO(14)、LMO(15)からなるグループからの少なくとも1つの材料又はこれらの材料からの組み合わせおよび/又は積層体を含むこと、および/又は
少なくとも1つの超電導層(3)がYBCO、特に少なくとも1つのHTS層のYBCOを含むこと、および/又は
少なくとも1つの安定化層(5)が銅又は銀からなるか又は少なくとも1つの銅層(5b)および/又は少なくとも1つの銀層(5a)を有する積層体を含むこと、および/又は
少なくとも1つのブリッジ(23)が少なくとも1つの安定化層(5)の材料からなるか又はこれを含むこと、
を特徴とする請求項7記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項9】
支持体材料(16,17)が50〜100μmの範囲の厚さと10mmの範囲の幅とを有すること、および/又は少なくとも1つの緩衝層(4)が100nmの範囲の厚さを有すること、および/又は少なくとも1つの超電導層(3)が1μmの範囲の厚さを有すること、および/又は少なくとも1つのフィラメント(20,20’)が0.5mmの範囲の幅を有すること、および/又は少なくとも1つの安定化層(5)が3μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項7又は8記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項10】
前記複数のフィラメント(20,20’)が転位されていること、特に20cmの範囲の転位長で転位されていることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載のマルチフィラメント導体(1)。
【請求項11】
互いに向かい合っている面を有する2つの帯状支持体材料(16,17)が機械的に結合され、特に同一形状に結合され、
各1つの帯状支持体材料(16,17)における機械的に結合された前記面とは反対側の面に少なくとも1つの超電導層(3)が形成され、
その超電導層(3)の上に安定化層(5)が形成され、
第1の帯状支持体材料(16)の安定化層(5)と、第2の帯状支持体材料(17)の安定化層(5’)とが、2つの帯状支持体材料(16,17)の両側の縁部(19)において、該縁部(19)を介して両安定化層(5,5’)の電気接続が行なわれるように部分的に重ね合わされて形成され、そして、
これらの超電導層(3)および安定化層(5,5’)が複数のフィラメント(20,20’)に分割されることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載のマルチフィラメント導体(1)の製造方法。
【請求項12】
前記層の形成が電気分解、ろう付け、蒸着、スパッタリング、および/又は気相中での金属化合物の熱分解によって行なわれること、および/又は複数のフィラメント(20,20’)への超電導層(3)および安定化層(5,5’)の分割が、レーザおよび/又はエッチング、特に化学エッチングによって、1つの層をそれぞれ端から端まで走る複数の溝(6)により行なわれることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
帯状基板(2)の第1方向(21)と少なくとも1つのフィラメント(20,20’)の第2方向(22)との間の零に等しくない角度で複数の溝(6)が形成され、螺旋状の複数の電流路が生じるように、複数のフィラメント(20,20’)が2つの帯状支持体材料(16,17)上において両側の縁部(19)を介して導電接続されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記層の形成が、印刷、貼付け、電気分解、ろう付け、蒸着、スパッタリングおよび/又は気相中での金属化合物の熱分解によって行なわれ、フィラメント構造(20,20’)が直接的に形成されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
2つの帯状支持体材料(16,17)が耐熱性で絶縁性の中間層(29)および/又は間隙によって互いに分離され、これが、特に2つの帯状支持体材料(16,17)の溶接(25)によって、又は1つの帯状支持体材料が折り曲げられて2つの重なり合った帯状体(16,17)に形成されることによって、又は特に帯状支持体材料(16,17)が、テクスチャ化される圧延工程の前に、1つの管(24)が平らに圧潰されることによって行なわれることを特徴とする請求項11乃至14の1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公表番号】特表2013−503422(P2013−503422A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526028(P2012−526028)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062285
【国際公開番号】WO2011/023670
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】