説明

マルチメディア再生装置

【課題】表示画面に表示されるオブジェクトの視認性を向上させる。
【解決手段】メニュー制御部48は、メニュー画面にアイコンやテキストなどのオブジェクトを表示するときに、背景画像とオブジェクトとの外観上の区別を容易にするために、オブジェクトに陰影をつける。画像生成部110は、第1モード、第2モードなど、複数の陰影描画方法を実現する機能を含み、背景画像に応じて陰影描画方法を選択して切り替える。画像生成部110は、予め格納部80に格納された画像を背景画像として表示しているときは、第1モードを選択し、そうでないときは、第2モードを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マルチメディア再生装置に関する。この発明は、特に、マルチメディア再生装置におけるグラフィカルユーザインタフェイスの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクレコーダやDVD(デジタル多目的ディスク)レコーダ、これらの複合機器、デジタルカメラといったデジタル家庭電化製品の普及が急速に進んでいる。これらの製品の普及は、単に製品自体の需要を喚起するだけでなく、映画、音楽、ゲームといったデジタルコンテンツの需要をも高め、今や景気回復の起爆剤として注目されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デジタル家庭電化製品の多くは、家庭のリビングルームで使用されることを前提としているが、製品およびコンテンツの需要をいっそう喚起するためには場所を選ばず様々なコンテンツを楽しめる機器の普及が必要と考えられる。そうした要求を満たすためには、テレビ画面を用いたデジタル家庭電化製品と遜色のない操作性や快適性がそのユーザインタフェイスに強く求められるところである。
【0004】
グラフィカルユーザインタフェイスにおいて、アイコンやテキストなどのオブジェクトを画面に表示する際に、オブジェクトの色彩と、オブジェクトの表示位置における背景画像の色彩とが近い場合、オブジェクトが見にくくなることがある。グラフィカルユーザインタフェイスの使い勝手を向上させるためには、オブジェクトの視認性を向上させる技術が要求される。
【0005】
本発明者は以上の課題に基づき本発明をなしたもので、その目的は、グラフィカルユーザインタフェイスにおいて表示されるオブジェクトの視認性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のマルチメディア再生装置は、画面に表示されるオブジェクトを描画するオブジェクト描画部と、前記画面に表示される背景画像を描画する背景描画部と、複数の異なる方法で前記オブジェクトの陰影を描画する複数の陰影描画部と、前記背景画像に応じて、前記陰影を描画する陰影描画部を選択する選択部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記陰影描画部のうちの1つは、前記背景画像の正規化された画素値を1から減じた値に予め設定された値を乗じ、得られた値を元の画素値から減じる第1モードにより、前記陰影を描画してもよく、また、前記背景画像の画素値から予め設定された値を減じる第2モードにより、背景画像に陰影を描画してもよい。
【0008】
前記選択部は、前記背景画像として、該マルチメディア再生装置に予め格納された画像が表示されているときは前記第1モードを選択し、そうでないときは前記第2モードを選択してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グラフィカルユーザインタフェイスにおいて表示されるオブジェクトの視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施例におけるマルチメディア再生装置は、静止画、動画、音楽、ゲームなどの複数種のコンテンツを再生または実行できる携帯型複合機器である。この装置は、小型の液晶表示パネルを内蔵し、操作手段としては画面上の表示内容と十字キーや各種キーを用いる。通常、複数種のコンテンツをコンピュータ上で再生する場合、各コンテンツはそれぞれの種類に応じたビューアなど個別のプログラムを用いる。これら個別のプログラムはそれぞれ異なるベンダーにより制作されたものであり、通常、共通したインタフェイスを有しておらず、それぞれの操作方法に統一感はない。
【0011】
本実施例におけるマルチメディア再生装置は、複数種のコンテンツ再生を共通インタフェイスの下に統合し、共通の操作性をユーザに与える。また、メニュー画面においては複数の記録媒体に格納された複数種のコンテンツを一度にすべて表示するのではなく、コンテンツの種類別で記録媒体別にコンテンツ内容を示唆するアイコンおよびメニュー用画像を表示する。具体的には、動画再生、写真再生、音楽再生、ゲーム実行といった各再生機能の種類を象徴するアイコンを横方向に表示し、光ディスクやメモリカードといった記録媒体の種類やそれらに格納されたコンテンツの内容を象徴するアイコンをそれぞれ縦方向に表示することによりメニュー画面を構成する。これにより、ユーザは比較的小さい画面の中で所望のコンテンツを容易に探して選択することができる。さらに、ユーザの直感に訴えるような視覚性と簡素な操作性を実現したインタフェイスを提供することにより、ユーザの利便性を高める。
【0012】
本実施の形態では、マルチメディア再生装置のグラフィカルユーザインタフェイスにおいて、画面上に表示されるアイコンや文字列などのオブジェクトに陰影をつけることにより、立体的な視覚効果を与えるとともに、背景画像とオブジェクトの間に境界を設け、オブジェクトの視認性を向上させる。このとき、背景画像に応じて適切な陰影の描画方法を選択して切り替えることにより、陰影をより効果的に付加し、オブジェクトの視認性をさらに向上させる技術を提案する。まず、マルチメディア再生装置の全体構成について説明し、その後、本実施の形態に特徴的な陰影の表示方法について説明する。
【0013】
図1は、マルチメディア再生装置の外観を示す。マルチメディア再生装置10は、携帯型の電子機器であり、動画、静止画、音楽などのデジタルコンテンツを再生できるほか、ゲームプログラムなどのコンテンツを実行することができる。各コンテンツは、マルチメディア再生装置10に着脱できる外部記録媒体から主に読み出される。本実施例における外部記録媒体は、小型光ディスク70とメモリカード72である。小型光ディスク70およびメモリカード72は、それぞれマルチメディア再生装置10に設けられた図示しない駆動装置に装填される。小型光ディスク70は、CD−ROMやDVD−ROMより小さな直径の光ディスクが保護カートリッジに納められて構成され、数GBの記憶容量をもつ読出専用の光ディスクである。この小型光ディスク70は、音楽データや静止画データはもちろんのこと、映画などの比較的データサイズの大きな動画データを格納することができる。メモリカード72は、デジタルカメラや携帯電話にも着脱できる小型のメモリカードであり、静止画データ、動画データ、音声データなどの比較的データサイズの小さなデータを格納することができる。
【0014】
マルチメディア再生装置10には、液晶ディスプレイ12と、十字キー14、アナログスティック16、ボタンキー18、ホームボタン20などのキーが設けられる。ユーザはマルチメディア再生装置10の左右端を両手で把持し、主に左手の親指で十字キー14またはアナログスティック16を用いて上下左右の方向を指示し、主に右手の親指でボタンキー18を用いて各種の操作を指示する。ホームボタン20は、十字キー14やボタンキー18と異なり、マルチメディア再生装置10の左右端を両手で把持したときにいずれかの指で押下しにくい位置に設けられ、誤操作の防止が図られている。液晶ディスプレイ12には、図2以降で説明するグラフィカルユーザインタフェイスによるメニュー画面および各コンテンツの再生画面が表示される。また、マルチメディア再生装置10には、USBポート、赤外線ポート、無線LAN通信の機能がさらに搭載されており、これらのポートまたは通信機能を介して他の装置との間でデータを送受信する。
【0015】
図2は、マルチメディア再生装置の構成を示す機能ブロック図である。マルチメディア再生装置10は、操作部40、読出部44、表示処理部46、メニュー制御部48、表示部30、格納部80、およびゲーム実行部82を備える。マルチメディア再生装置10は、ハードウエア的には、CPU、RAM、ROM、描画回路などの構成で実現でき、ソフトウエア的にはデータ入力機能、データ保持機能、画像処理機能、描画機能などの諸機能を発揮するプログラムで実現されるが、図2ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組み合わせによって様々な形で実現できる。各部は、操作部40を介したユーザの操作に基づいて制御される。
【0016】
操作部40は、方向決定部92、指示決定部94、操作制御部95を含み、ユーザの操作を介してコンテンツの再生に関する指示を取得する。方向決定部92は、十字キー14またはアナログスティック16を介してユーザにより入力された上下左右の方向に関する指示を取得する。指示決定部94は、ボタンキー18やホームボタン20を介してユーザにより入力された再生開始、再生停止、選択決定、選択取消、メニュー画面呼び出しなどの指示を取得する。特に指示決定部94は、ホームボタン20が押下されるたびにその押下指示をメニュー画面の表示と非表示の切替指示として取得する。また、指示決定部94は、コンテンツの再生または実行を終了させる指示を取得したとき、メニュー画面へ戻る指示が同時になされたものと認識する。方向決定部92および指示決定部94は、複数のボタン、ボタン押下を検知する回路、および検知したことを認識するプログラムなどの組み合わせで構成される。
【0017】
操作制御部95は、方向決定部92および指示決定部94が取得した指示に応じて、読出部44、表示処理部46、メニュー制御部48、ゲーム実行部82、表示部30の各部を制御する。表示部30は、液晶ディスプレイ12にメニュー画面や各コンテンツの再生画像を表示する。
【0018】
読出部44は、入出力端子制御部84、無線LAN通信部85、赤外線通信部86、ディスク制御部88、およびメモリカード制御部89を含み、主に、再生されるコンテンツのデータ格納領域として装填された外部記録媒体からコンテンツを読み出す。ディスク制御部88は、小型光ディスク70から映画や音楽などのコンテンツを読み出す。メモリカード制御部89は、メモリカード72から画像や音楽などのコンテンツを読み出し、ゲームプログラムの保存データなどのデータをメモリカード72へ書き込む。入出力端子制御部84は、USB接続された他の装置との間でデータを入出力する。無線LAN通信部85は、IEEE802.11a/b/gなどの無線LAN通信を介して他の装置との間でデータを送受信する。赤外線通信部86は、IrDAなどの赤外線通信を介して他の装置との間でデータを送受信する。
【0019】
ディスク制御部88およびメモリカード制御部89は、小型光ディスク70またはメモリカード72から、ユーザからのコンテンツ再生指示に先立ってコンテンツのメニュー用画像を読み出す。ここでいうメニュー用画像は、コンテンツの概要を視覚的に示す画像であり、例えば、タイトル、データサイズ、再生時間、製作時期、内容の説明文、サムネイル画像などの概要が含まれる。メニュー用画像は、画像サイズに関する所定の規則にしたがって作成され、コンテンツの概要を視覚的に表現した前景画像と、背景として用いられる後景画像とで構成される。ただし、前景画像と後景画像のいずれか一方のみがメニュー用画像として小型光ディスク70やメモリカード72に格納されていてもよいし、前景画像または後景画像として複数枚の画像が格納されていてもよく、これらはコンテンツ制作者の任意である。
【0020】
ディスク制御部88およびメモリカード制御部89は、小型光ディスク70またはメモリカード72から、ユーザからのコンテンツ再生指示に先立ってコンテンツの内容を示すコンテンツアイコンを読み出す。コンテンツアイコンは、他のコンテンツと区別させるためにその内容を象徴する絵や図形にて表現され、動画形式で生成された動画アイコンと静止画形式で生成された静止画アイコンが含まれる。また、ディスク制御部88およびメモリカード制御部89は、小型光ディスク70またはメモリカード72に格納されたコンテンツに含まれる画像からサムネイルを生成し、そのサムネイルをコンテンツアイコンとして取得してもよい。
【0021】
入出力端子制御部84、無線LAN通信部85、および赤外線通信部86は、USB、無線LAN通信、赤外線通信を介して他の装置がマルチメディア再生装置10に接続された場合、その装置からディスク制御部88およびメモリカード制御部89と同様にコンテンツのメニュー用画像とコンテンツアイコンを取得する。
【0022】
格納部80は、複数の機能アイコンのデータと複数の媒体アイコンのデータを保持する。複数の機能アイコンは、それぞれが異なる種類のコンテンツを再生する複数の再生機能の種類を象徴する。複数の媒体アイコンは、マルチメディア再生装置10に装填可能な外部記録媒体の種類を象徴する。機能アイコンとしては、例えば写真再生機能を象徴するアイコン、音楽再生機能を象徴するアイコン、動画再生機能を象徴するアイコン、ゲーム実行機能を象徴するアイコン、および各種設定機能を象徴するアイコンが格納部80によりあらかじめ保持される。媒体アイコンとしては、小型光ディスク70を象徴するアイコンとメモリカード72を象徴するアイコンが格納部80によりあらかじめ保持される。また、格納部80には、読出部44により読み出されたコンテンツアイコンや読出部44により読み出されたコンテンツから生成されたコンテンツアイコン、対応するコンテンツアイコンが取得されなかったコンテンツのためにあらかじめ用意される共通のコンテンツアイコンが保持される。
【0023】
格納部80は、小型光ディスク70や特定のコンテンツに視聴制限の制限レベルが設定されている場合に、その視聴制限を動作させるか否かに関してユーザにより設定された制限設定データをさらに格納する。具体的には、視聴制限の動作レベルに関する設定が制限設定データに含まれる。制限設定データに設定された動作レベルとコンテンツに設定された制限レベルが比較され、制限レベルが動作レベル以下であればそのコンテンツの再生または実行が許可される。視聴制限をオフにしたい場合は、例えば視聴制限機能をオフに設定したり、最も緩い動作レベルに設定すればよい。また、いかなる動作レベルの設定がなされた場合にもその視聴制限を解除できるパスワードがあらかじめユーザから設定され、そのパスワードが制限設定データに格納される。
【0024】
表示処理部46は、復号処理部96、合成処理部98、出力バッファ100、オンスクリーンバッファ102を含み、特にコンテンツの再生に関するメニュー画面の表示と記録媒体から読み出されたコンテンツの再生または実行を処理する。復号処理部96は、操作部40が取得したユーザの指示に基づき、小型光ディスク70やメモリカード72などの外部記録媒体から読み出された動画データ、静止画データ、音声データなどの符号化データを復号する。特に小型光ディスク70やメモリカード72に暗号化されたデータが格納されている場合、その暗号化データの復号もまた復号処理部96が処理する。復号処理部96は、復号した再生データを出力バッファ100へ格納する。出力バッファ100は、再生データを表示部30へ送る前にその再生データを一時的に蓄積する。オンスクリーンバッファ102は、オンスクリーンディスプレイ表示用の画像データを表示部30へ出力する前にその画像データを一時的に蓄積する。オンスクリーンディスプレイ表示用の画像データは、例えばメニュー制御部48により生成されるメニュー画面の画像データである。なお、出力バッファ100およびオンスクリーンバッファ102は、物理的には一つのバッファメモリで構成されてもよいし、別個のバッファメモリで構成されてもよい。
【0025】
合成処理部98は、出力バッファ100に蓄積された再生データとオンスクリーンバッファ102に蓄積されたオンスクリーンディスプレイ表示用の画像データを合成して表示部30へ送る。表示部30は、合成処理部98から送られたデータを液晶ディスプレイ12に表示させる。
【0026】
メニュー制御部48は、メニュー管理部104、コンテンツ制御部106、エフェクト処理部108、画像生成部110を含み、メニュー画面の画像データを生成する。メニュー管理部104は、再生機能の種類と記録媒体の種類をメニュー項目として管理する。メニュー管理部104は、小型光ディスク70またはメモリカード72から読み出されたコンテンツの項目を記憶するとともに、再生機能の種類、記録媒体の種類、およびコンテンツの項目としてそれぞれどの項目が現在選択されているかを記憶する。また、各記録媒体に格納されたコンテンツとそのコンテンツを再生する機能の対応関係を記憶する。例えば、装填された小型光ディスク70に動画再生機能と対応するコンテンツおよび音楽再生機能と対応するコンテンツが格納されている場合に、それぞれ機能、記録媒体、コンテンツの対応関係がメニュー管理部104により記憶される。
【0027】
コンテンツ制御部106は、操作部40が取得したユーザの指示に基づき、外部記録媒体からのコンテンツの読出開始とそのコンテンツの再生または実行の開始を制御する。エフェクト処理部108は、メニュー画面におけるアイコンの動作を処理する。例えば各アイコンのスクロール、拡大および縮小などの動作を処理するとともに、アイコンが動画アイコンの場合はその再生を処理する。
【0028】
画像生成部110は、操作部40が取得したユーザの指示に基づき、複数の機能アイコンと一つ以上の媒体アイコンとを二次元配列した形でメニュー画面の画像データを生成する。例えば画像生成部110は、複数の機能アイコンを水平方向に配列し、媒体アイコンを垂直方向に配列する。これら二つの配列は画面の略中央近傍で交差し、画像生成部110は交差位置およびその近傍に表示される機能アイコンと媒体アイコンを注目対象として視覚的に強調する。このように注目すべきアイコンが画面の略中央近傍に表示されるので、コンテンツ再生中にメニュー画面へ切り替えるような場合に、ユーザは視点の移動を最小限に済ますことができる。画像生成部110により生成されたメニュー画面の画像データはオンスクリーンバッファ102へ送られる。
【0029】
エフェクト処理部108は、方向決定部92が左右方向の指示を取得したときに機能アイコンの配列をユーザの指示にしたがって水平方向にスクロール表示させ、方向決定部92が上下方向の指示を取得したときに媒体アイコンの配列を垂直方向にスクロール表示させる。ただし、表示される媒体アイコンが一つの場合は垂直方向にスクロールさせない。また各アイコンは、水平方向の配列と垂直方向の配列の交点を所定位置に据え置いたままスクロール表示される。このように二つのアイコン配列の交点が画面上で所定位置に据え置かれ、注目すべきコンテンツがつねに同じ位置に表示されるので、ユーザは視点を移動させる必要がなく注目すべきコンテンツを把握しやすい。また、多数のコンテンツの全体感を視覚的に把握させやすい。エフェクト処理部108は、注目すべき機能アイコンおよび媒体アイコンの強調表示を処理する。アイコンの強調表示は、例えば他のアイコンと異なる色彩による表示とその変化、アイコンの拡大表示とその状態へ遷移する動きなど、他のアイコンと異なる形式により表現される。
【0030】
画像生成部110は、強調表示された媒体アイコンに対応する外部記録媒体から読み出されたメニュー用画像を、ユーザからのコンテンツ再生指示に先立って媒体アイコンの近傍に配置する。これにより、ユーザはコンテンツを再生する前にそのコンテンツの概要を知ることができ、利便性を高めることができる。画像生成部110は、メニュー用画像を機能アイコンの配列および媒体アイコンの配列と視覚的に融合させた形でメニュー画面の画像データを生成する。例えばメニュー画像が前景画像と後景画像で構成される場合に、画像生成部110は後景画像の上に各アイコンの配列を重ね合わせ、その上に前景画像を重ね合わせる。これにより、前景画像、後景画像、およびアイコンの配列を互いに干渉させずに視覚的に融合させることができる。
【0031】
画像生成部110は、外部記録媒体から読み出されたコンテンツアイコンを媒体アイコンの位置またはその近傍に配置する。画像生成部110は、注目対象として強調するコンテンツアイコンとして動画形式で生成されたアイコンを配置し、注目対象以外のコンテンツアイコンとして静止画形式で生成されたアイコンを配置する。
【0032】
読出部44は、装填された外部記録媒体に格納されたコンテンツが視聴制限の対象とされているか否かを示す制限情報をその外部記録媒体から読み出す。画像生成部110は、注目対象として配置すべき媒体アイコンに対応する外部記録媒体に格納されたコンテンツが視聴制限の対象であることが制限情報に定められていた場合、格納部80に格納された制限設定データを参照する。制限設定データにおいて視聴制限を動作させる動作レベルが設定されていた場合、画像生成部110は視聴制限の解除に必要なパスワードの要求ダイアログを表示し、正しいパスワードがユーザにより入力されることを条件にメニュー用画像を配置する。コンテンツの内容のみならず、その内容を示唆するメニュー用画像においても所定年齢以下のユーザにとって視聴が好ましくない場合がある。本実施例によればメニュー用画像でさえも視聴制限の対象とすることによって、そうした視聴制限の有効性を担保することができる。入力されたパスワードは、コンテンツの再生が終了されるまで有効とされ、再生終了後にあらたにメニュー画面の呼び出しが指示されると再びパスワードの要求ダイアログが表示される。
【0033】
ゲーム実行部82は、ディスク制御部88やメモリカード制御部89によって小型光ディスク70やメモリカード72から読み出されるゲームプログラムを実行する。ゲーム実行部82は、操作部40により取得されるユーザの指示に基づいてゲームプログラムの動作を処理するとともに、ゲームの映像および音声を表示部30へ送る。
【0034】
図3は、メニュー画面の一例を示す。メニュー画面50において、水平方向に複数の機能アイコンが並んだ機能アイコン配列52と、垂直方向に一つ以上の媒体アイコンが並んだ媒体アイコン配列54とが交差する二次元配列が表示される。機能アイコン配列52には、マルチメディア再生装置10がもつ再生機能の種類を象徴するアイコンとして、設定機能アイコン56、写真再生機能アイコン58、音楽再生機能アイコン60、動画再生機能アイコン62、ゲーム実行機能アイコン64が含まれる。媒体アイコン配列54には、メモリカードアイコン66および小型光ディスクアイコン68などの媒体アイコンが含まれる。機能アイコン配列52および媒体アイコン配列54で構成されるメニュー画面50はオンスクリーン表示であり、通常、いわゆる壁紙と呼ばれる背景画像の前面に重ね合わされて表示されるが、例えばコンテンツ再生画像の前面に重ね合わされて表示される場合もある。背景領域に現在再生中のコンテンツ映像が表示される場合、エフェクト処理部108は機能アイコン配列52と媒体アイコン配列54が表示される領域に、背景領域との外観上の区別を容易にするための彩色を施してもよく、またコンテンツ映像の明るさを調整するなどの方法により外観上の区別を容易にしてもよい。
【0035】
機能アイコン配列52と媒体アイコン配列54が交差する領域(以下、「交差領域」という)140に位置する機能アイコンは、ユーザにより現在選択されている注目対象であり、他の機能アイコンと異なる色彩にてやや拡大される形で強調される。図3では写真再生機能アイコン58が注目対象として強調表示されている。交差領域140は、メニュー画面50の略中央に位置したままその位置が据え置かれ、操作部40を介したユーザの左右方向の指示に応じて機能アイコン配列52全体が左右方向に移動し、交差領域140に位置した機能アイコンの色彩とアイコンサイズが変化する。ユーザは左右の方向指示をするだけで所望の再生機能を選択できる。
【0036】
エフェクト処理部108は、機能アイコンの左右方向の移動を、機能アイコン配列52の領域全体を左右方向にスクロールすることによって実現する。エフェクト処理部108は、機能アイコン配列52に含まれる複数の機能アイコンをカルーセル表示させてもよく、その場合ユーザは左右いずれか一方向を指示し続ければすべての機能アイコンをメニュー画面50の略中央位置に順次表示させることができる。エフェクト処理部108は、各機能アイコンを左右に移動させる間はこれらをすべて同色、同サイズで表示し、交差領域140にいずれかの機能アイコンが位置したときにその機能アイコンの色彩とサイズを変化させ、機能アイコンの下に「フォト」などの機能名を表示する。エフェクト処理部108は、色彩の変化として、機能アイコンの明度、彩度、色相などの要素を変化させてもよいし、点滅表示することにより色彩を変化させてもよい。このように、交差領域140に位置する機能アイコンをその他の機能アイコンと異なる表示態様で表示するため、ユーザは直感的に注目対象を把握することができる。
【0037】
エフェクト処理部108は、機能アイコンが左右方向へ移動中であって交差領域140にいずれの機能アイコンも位置していないときには媒体アイコン配列54を表示させず、いずれかの機能アイコンが交差領域140に位置したときに、媒体アイコン配列54を交差領域140の下の位置から垂直方向に繰り出すように展開表示する。ユーザは、交差領域140に注目しながら機能アイコンを左右にスクロール操作するだけでその機能に対応した媒体アイコン配列54を展開表示させることができる。逆に、媒体アイコン配列54が表示された状態で左右方向の指示があった場合、エフェクト処理部108は展開されていた媒体アイコン配列54を交差領域140に向かって収納するような動きで表示する。
【0038】
注目領域142は、ユーザによる操作の対象となる外部記録媒体の媒体アイコンが表示されるべき領域であり、その位置はメニュー画面50の略中央の位置に据え置かれる。画像生成部110は、この注目領域142の近傍位置、すなわち注目領域142の直上に交差領域140が位置するように媒体アイコン配列54を表示する。注目領域142は媒体アイコン配列54の一部を構成するとともに、エフェクト処理部108は注目領域142内に位置する媒体アイコン、図3ではメモリカードアイコン66を、注目対象として拡大する形で強調表示する。その他の媒体アイコンである小型光ディスクアイコン68は、注目対象であるメモリカードアイコン66より小さいサイズで表示される。
【0039】
操作部40がユーザによる上下方向の指示を取得する間は、その指示に応じて各媒体アイコンが上下方向に移動する。エフェクト処理部108は、媒体アイコンの上下方向の移動を、媒体アイコン配列54の領域全体を上下方向にスクロールさせることにより実現する。エフェクト処理部108は、媒体アイコン配列54に含まれる媒体アイコンをカルーセル表示させてもよく、その場合ユーザは上下いずれか一方向を指示し続ければすべての媒体アイコンをメニュー画面50に順次表示させることができる。ユーザが操作部40を介して斜め方向を指示した場合、操作部40はこれを上下方向の指示とみなし、媒体アイコン配列54のスクロール表示が優先される。これにより、ユーザが媒体アイコン配列54をスクロールさせる間に、不意の機能変更、すなわち機能アイコン配列52の左右方向のスクロールを実行してしまうような誤操作を防止できる。
【0040】
エフェクト処理部108は、各媒体アイコンを上下に素早く移動させる間はこれらをすべて同サイズで表示し、上下の移動が停止されていずれかの媒体アイコンが注目領域142で位置確定したときにその媒体アイコンのサイズを拡大させてもよいし、移動中の媒体アイコンが注目領域142を通るたびに拡大させるなどにより強調表示してもよい。エフェクト処理部108は、注目領域142に位置した媒体アイコンを強調表示するために、その明度、彩度、色相などの要素をさらに変化させてもよいし、点滅表示してもよい。注目領域142に位置した媒体アイコンが拡大表示されると、その近傍位置、すなわち右方には注目対象の記録媒体に関する属性が媒体説明表示120として表示される。図3においては、注目対象であるメモリカードアイコン66の右方にその記録媒体の名称である「MemoryCard」の文字列と、その容量を示す「32MB」の文字列が媒体説明表示120として表示される。この媒体説明表示120には、あらかじめ用意された記録媒体の名称などのテキストと、記録媒体の容量などの検出された情報とが説明文として含まれる。画像生成部110は、機能アイコン配列52をメニュー画面50の垂直方向における中央よりやや上方に表示するとともに、媒体アイコン配列54をメニュー画面50の水平方向における中央よりやや左方に表示する。これにより、注目領域142に位置する媒体アイコンと媒体説明表示120の組み合わせは、メニュー画面50の略中央位置に表示される。ユーザはメニュー画面50の中央に記録媒体の属性を見ることができ、これらの内容を容易に認識できる。
【0041】
図4は、メニュー画面の別の例を示す。小型光ディスク70またはメモリカード72にメニュー用画像が格納されていた場合、図4のようにそのメニュー用画像がメニュー画面50に表示される。これらの図の場合、メニュー用画像として前景画像130、第1後景画像132、および第2後景画像134が機能アイコン配列52やコンテンツアイコン配列150と融合した形で表示されている。前景画像130は、コンテンツのタイトル、作成日、再生時間、内容の説明などが記述された画像であり、コンテンツ制作者により自由にデザインされ、小型光ディスク70またはメモリカード72の所定領域に所定のファイル名にて格納される。前景画像130は、機能アイコン配列52への干渉を回避した大きさの画像であり、図4のように機能アイコン配列52と重ならないよう表示される。図4の前景画像130は、映画の題名、映画の封切り日、上映時間、映画ストーリーの概要などの情報が記述された画像である。
【0042】
第1後景画像132は、機能アイコン配列52に背景として重なる大きさの画像であり、図4に示すようにメニュー画面50の約半分を占める。第1後景画像132は、メニュー画面50の右側に表示されるとともに、その下半分の前面に前景画像130が表示され、第1後景画像132の中央よりやや上部分の前面には機能アイコン配列52が重なって表示され、さらにその上側領域はシステム情報として時刻表示122とバッテリ残量表示124が配置される。このように第1後景画像132は前景画像130、機能アイコン配列52、時刻表示122、バッテリ残量表示124が前面に重なって表示されることを前提としており、そうした前提の下で図柄やモチーフがコンテンツ制作者によりデザインされる。また、第1後景画像132は、小型光ディスク70またはメモリカード72の所定領域に所定のファイル名にて格納され、メニュー画面50の右側約半分の領域に表示される。なお、前景画像130および第1後景画像132が一体的に一つの画像として生成されてもよく、その場合、第1後景画像132の下側約半分の領域に、本来前景画像130として表示すべきコンテンツのタイトル、作成日、再生時間、内容の説明などが記述される。
【0043】
第2後景画像134は、メニュー画面50において第1後景画像132を除いた残りの部分を占め、第1後景画像132と同様に他の表示内容との重なりを前提としてデザインされた壁紙でもよいし、現在再生中のコンテンツ映像であってもよい。第2後景画像134は、図3においても機能アイコン配列52やコンテンツアイコン配列150、メモリカードアイコン66、コンテンツ説明表示121などの背景に表示される画像であり、ユーザによるコンテンツ選択のための諸操作と関わりなく表示される。図4に示す通り、第2後景画像134はその前面に機能アイコン配列52の一部や小型光ディスクアイコン68、動画アイコン126などのアイコン、前景画像130および第1後景画像132、時刻表示122、バッテリ残量表示124が重なっている。以上のように、第1後景画像132および第2後景画像134はそれぞれ機能アイコン配列52やコンテンツアイコン配列150などの各アイコンやシステム情報と重なる背景として表示される前提の下でコンテンツ制作者によりデザインされる。また、第2後景画像134の前面に第1後景画像132を重ね合わせて表示するために、第1後景画像132にアルファブレンディング用のα値を設定しておいてもよい。その場合、第1後景画像132および第2後景画像134はアルファブレンディングにより調和されることを前提としたデザインにて製作しておいてもよい。これにより、前景画像130、第1後景画像132、第2後景画像134の各デザインに応じて注目すべきコンテンツの内容を視覚的に多様な表現を用いてメニュー画面50に示すことができ、ユーザはコンテンツの内容を直感的かつ容易に把握することができる。
【0044】
図4の状態で注目領域142に位置するコンテンツの再生決定指示を操作部40がユーザから取得すると、コンテンツ制御部106はメニュー画面50の画像データを非表示にし、選択されたコンテンツの再生を開始する。コンテンツ再生中においては、ユーザがホームボタン20を介してメニュー画面の呼び出しを指示すると、コンテンツ再生中の画面にメニュー画面が重ね合わされて表示される。ここで表示されるメニュー画面には、コンテンツが再生決定されたときの状態が再現される。
【0045】
つづいて、本実施の形態に特徴的な陰影の表示方法について説明する。図3及び図4に示すように、メニュー制御部48は、メニュー画面50に媒体アイコン、機能アイコン、媒体説明表示120、時刻表示122、バッテリ残量表示124など、テキストや画像などのオブジェクトを表示するときに、背景画像とオブジェクトとの外観上の区別を容易にするために、オブジェクトに陰影をつける。これにより、背景画像とオブジェクトの間に陰影による境界が設けられるので、オブジェクトと背景画像を容易に区別することができるようになり、オブジェクトの視認性を向上させることができる。
【0046】
図3に示したように、背景画像として、マルチメディア再生装置10の格納部80などに予め用意されていた背景画像(以下、「システム画像」という)が第2後景画像134として表示される場合と、図4に示したように、コンテンツ制作者により用意され、小型光ディスク70やメモリカード72などの記録媒体に格納されているメニュー用画像が前景画像130や第1後景画像132として表示される場合がある。後者の場合、コンテンツ制作者がメニュー用画像を自由に作成することが許されるため、オブジェクトがこの背景画像と重なって表示される領域において、陰影と背景画像との区別がつきにくく、陰影が目立たなくなる可能性がある。
【0047】
このような問題を回避するために、画像生成部110は、前景画像130、第1後景画像132、第2後景画像134などの背景画像として、システム画像が表示されているのか、その他の画像が表示されているのかを検知し、それに応じて、陰影の描画方法を切り替える。これにより、より効果的な陰影をオブジェクトにつけることができるので、オブジェクトの視認性を向上させることができ、ひいては、ユーザの使用感を向上させることができる。
【0048】
この技術を実現するために、画像生成部110は、複数の陰影描画方法を実現する機能を含むが、ここでは、陰影描画方法の例として、2つの描画モードについて説明する。
【0049】
第1のモードは、背景色の色彩をより強くコントラストをつけることにより陰影を表現する方法である。例えば、背景色が緑がかった色であれば、より強い緑色で陰影を描画する。これにより、鮮やかで美しい陰影が得られる。第2のモードは、背景色を暗くすることにより陰影を描画する方法である。これにより、背景色の色彩によらず確実に陰影を表現することができる。以下、図5から図7を参照して、これらの陰影描画方法について詳述する。
【0050】
図5は、オブジェクトの陰影のテクスチャを示す。この例では、丸いオブジェクトの陰影として、丸い陰影テクスチャが用意されている。テクスチャ200には、後述する描画モードにより使用されるカラー値及びアルファ値が設定されている。陰影201は、一様なカラー値を有してもよいし、例えば中心部が濃く端部が薄い影になるように、グラデーションがつけられていてもよい。カラー値は、0から1までの係数として保持されてもよいし、0から階調数までの値として保持されてもよい。カラー値は、R、G、Bの各色で異なる値が設定されてもよいし、同じ値が設定されてもよい。ここでは、説明を容易にするために、陰影201に一様に(0.5、0.5、0.5)という値が設定されているものとする。陰影ではない領域202には、カラー値として(0,0,0)が設定される。
【0051】
上述したように、本実施の形態では、複数の描画方法で陰影を描画するが、これらの描画方法において、共通の陰影テクスチャが利用されてもよい。すなわち、共通のカラー値を用い、演算式のみを変更して、異なる陰影を表現してもよい。これにより、メモリの消費量を節減することができる。
【0052】
図6(a)(b)は、第1モードによる陰影の描画方法について説明するための図である。図6(a)は、陰影を描画すべき領域の、ある画素の背景画像の画素値を示す。ここで、画素値は、0から1までの値に正規化されているものとする。図6(a)の例では、(R,G,B)の画素値は、(0.5,0.8,0.5)である。
【0053】
第1モードでは、まず、画素値を1から減じた値に陰影のカラー値を乗じ、さらに、得られた値を元の画素値から減じる。図6(a)の例では、まず、各色の画素値を1から減じて、(0.5,0.2,0.5)となる。これに、陰影のカラー値(0.5,0.5,0.5)を乗じて、(0.25,0.1,0.25)となる。さらに、この値を元の画素値から減じて、(0.25,0.7,0.25)となる。この結果を図6(b)に示す。演算の結果、画素値が負の値になった場合は、0にしてもよい。
【0054】
このように、第1モードでは、陰影をつける領域の背景画像に対して上述した演算を施すことにより、画素値の大きな色については小さな値が減じられ、画素値の小さい色については大きな値が減じられるので、よりコントラストの強い色彩となり、鮮やかな陰影を表現することができる。
【0055】
図7(a)(b)は、第2モードによる陰影の描画方法について説明するための図である。図6(a)は、陰影を描画すべき領域の、ある画素の背景画像の画素値を示す。ここで、画素値は、0から1までの値に正規化されているものとする。図6(a)の例では、(R,G,B)の画素値は、(0.5,0.8,0.5)である。
【0056】
第2モードでは、減算アルファブレンディング法を用いる。すなわち、画素値からカラー値を減じる。図6(a)の例では、画素値(0.5,0.8,0.5)からカラー値(0.5,0.5,0.5)を減じて、(0.0,0.3,0.0)となる。この結果を図7(b)に示す。演算の結果、画素値が負の値になった場合は、0にしてもよい。
【0057】
このように、第2モードでは、陰影をつける領域の背景画像に対して上述した演算を施すことにより、背景画像を暗くして、陰影を表現する。第2モードでは、単に各色の明度を下げて暗くするだけであるから、背景画像の色彩によらず、確実に陰影をつけることができるので、オブジェクトの視認性を適切に確保することができる。
【0058】
上述した第1モード及び第2モードにおける演算は、表示装置の画素単位で行われる。すなわち、画像生成部110は、画素ごとに、背景画像の画素値と、陰影テクスチャのカラー値とを取得して、陰影を描画するための演算を実施する。ここで、例えば、アイコンが拡大/縮小表示される場合など、背景画像の画素値や陰影テクスチャのカラー値が、表示装置の画素と1対1で対応していない場合、バイリニア法などを用いて補間することにより、表示装置の画素ごとに画素値やカラー値を算出すればよい。
【0059】
画像生成部110は、選択部の機能も有しており、背景画像に応じて陰影を描画するモードを選択して切り替える。具体的には、画像生成部110は、背景画像としてシステム画像が表示されているときには、システム画像はオブジェクトの視認性を妨げないような画像を用意できるので、第1モードを選択する。これにより、より美しい視覚効果を得ることができる。画像生成部110は、背景画像としてシステム画像以外の画像が表示されているときには、視認性の確保を優先し、第2モードを選択する。すなわち、オブジェクトの視認性が確保されるか否かを予測できない画像を背景画像として表示するときには、第2モードにより陰影を描画する。このように、最適な陰影の描画方法を選択することにより、オブジェクトの視認性を確保しつつ、表現力を高めることができる。
【0060】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、その各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を説明する。
【0061】
実施例においては携帯型複合機器を例示したが、変形例においては携帯型以外のデジタル機器で実現してもよいし、パーソナルコンピュータなどの装置で実現してもよい。
【0062】
陰影の描画方法として、第1モードと第2モードを挙げたが、その他の既知の任意の技術を利用してもよく、例えば、「焼き込み」などにより陰影を描画してもよい。3以上の描画方法を用意しておき、背景画像の種類に応じて適宜選択して切り替えてもよい。
【0063】
第1モードにおいて、R、G、Bの全ての画素値が0か1のいずれかである場合は、演算により画素値が変化しないので、この場合は、第2モードや他の描画方法に切り替えてもよい。例えば、画素値を所定値に設定してもよい。
【0064】
また、背景画像の色彩、画素値などを解析して、適切な描画方法を選択してもよい。例えば、画像生成部110が、アイコンなどのオブジェクトを表示する際に、表示位置の近傍の領域における背景画像の画素値を取得して、オブジェクトの画素値と比較し、画素値の差が所定値以下であれば、オブジェクトと背景画像の色彩が似ていて区別がつきにくいと考えられるので、第2モードを選択してもよい。逆に、オブジェクトと背景画像の色彩が似ていなければ、第1モードを選択してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】マルチメディア再生装置の外観を示す図である。
【図2】マルチメディア再生装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】メニュー画面の一例を示す図である。
【図4】メニュー画面の別の例を示す図である。
【図5】オブジェクトの陰影のテクスチャを示す図である。
【図6】図6(a)(b)は、第1モードによる陰影の描画方法について説明するための図である。
【図7】図7(a)(b)は、第2モードによる陰影の描画方法について説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
10 マルチメディア再生装置、 30 表示部、 40 操作部、 44 読出部、 46 表示処理部、 48 メニュー制御部、 50 メニュー画面、 52 機能アイコン配列、 54 媒体アイコン配列、 70 小型光ディスク、 72 メモリカード、 80 格納部、 82 ゲーム実行部、 126 動画アイコン、 130 前景画像、 132 第1後景画像、 134 第2後景画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示されるオブジェクトを描画するオブジェクト描画部と、
前記画面に表示される背景画像を描画する背景描画部と、
複数の異なる方法で前記オブジェクトの陰影を描画する複数の陰影描画部と、
前記背景画像に応じて、前記陰影を描画する陰影描画部を選択する選択部と、
を含むことを特徴とするマルチメディア再生装置。
【請求項2】
前記陰影描画部のうちの1つは、前記背景画像の正規化された画素値を1から減じた値に予め設定された値を乗じ、得られた値を元の画素値から減じる第1モードにより、前記陰影を描画することを特徴とする請求項1に記載のマルチメディア再生装置。
【請求項3】
前記陰影描画部のうちの1つは、前記背景画像の画素値から予め設定された値を減じる第2モードにより、背景画像に陰影を描画することを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチメディア再生装置。
【請求項4】
前記オブジェクトの陰影のテクスチャを保持する格納部を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のマルチメディア再生装置。
【請求項5】
前記複数の陰影描画部において、共通の前記テクスチャを用いて陰影を描画することを特徴とする請求項4に記載のマルチメディア再生装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記背景画像として、該マルチメディア再生装置に予め格納された画像が表示されているときは前記第1モードを選択し、そうでないときは前記第2モードを選択することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のマルチメディア再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−162815(P2006−162815A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352101(P2004−352101)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】