説明

マンジプロパミドとその誘導体の合成方法

一般式(I)の化合物(ただし、Rはアルキニル基であり;R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル-アルキル、フェニル、フェニルアルキルであり、これらの基はすべて、1個以上の同じか異なるハロゲン原子;アルコキシ;アルケニルオキシ;アルキニルオキシ;アルコキシアルキル;ハロアルコキシ;アルキルチオ;ハロアルキルチオ;アルキルスルホニル;ホルミル;アルカノイル;ヒドロキシ;シアノ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;カルボキシル;アルコキシカルボニル;アルケニルオキシカルボニル;アルキニルオキシカルボニルのいずれかを含むことが可能であり;nは0〜3の整数である)の調製方法であって、(i)一般式(III)の化合物(ただし、R、R1、nは上に定義した通りであり;mとm'は、独立に0または1であり;mとm'がどちらも0である場合には、Aは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれかであり(炭素原子は8個までであることが好ましい)、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;mとm'の一方が0で他方が1である場合には、Aは、少なくとも2個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが好ましい)を含むアルカンジイル基、アルケンジイル基、アルキンジイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;mとm'が両方とも1である場合には、Aは、少なくとも3個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが好ましい)を含むアルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;基Aが3個以上の炭素原子を含んでいる場合には、1個以上の炭素原子は、それぞれ、場合によっては1個の酸素原子で置換されていてもよいが、その場合には少なくとも1個の炭素原子がこの分子内の任意の2つの酸素原子の間になければならない)を、一般式(IV)の化合物と反応させて一般式(II)の化合物(ただし、R、R1、nは上に定義した通りである)を取得し、(ii)一般式(II)の化合物を
(ただしLは離脱基である)と反応させて上に定義した一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫活性のあるいくつかのフェニルプロパルギルエーテル誘導体の調製方法と、そのためのいくつかの中間体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によって調製できる殺虫活性のあるフェニルプロパルギルエーテル誘導体は、例えばWO 01/87822に記載されている。殺虫活性のあるこれらフェニルプロパルギルエーテル誘導体は、一般式(A):
【化1】

に対応する。その中には、この誘導体の光学異性体と、そのような異性体の混合物が含まれる。ただし、一般式(A)において、
RIは、水素、アルキル、シクロアルキル、場合によっては置換されているアリールのいずれかであり;
RIIとRIIIは、それぞれ独立に、水素またはアルキルであり;
RIVは、アルキル、アルケニル、アルキニルのいずれかであり;
RV、RVI、RVII、RVIIIは、それぞれ独立に、水素またはアルキルであり;
RIXは、水素、場合によっては置換されているアルキル、場合によっては置換されているアルケニル、場合によっては置換されているアルキニルのいずれかであり;
RXは、場合によっては置換されているアリール、または場合によっては置換されているヘテロアリールであり;
Zは、ハロゲン、場合によっては置換されているアリールオキシ、場合によっては置換されているアルコキシ、場合によっては置換されているアルケニルオキシ、場合によっては置換されているアルキニルオキシ、場合によっては置換されているアリールチオ、場合によっては置換されているアルキルチオ、場合によっては置換されているアルケニルチオ、場合によっては置換されているアルキニルチオ、場合によっては置換されているアルキルスルフィニル、場合によっては置換されているアルケニルスルフィニル、場合によっては置換されているアルキニルスルフィニル、場合によっては置換されているアルキルスルホニル、場合によっては置換されているアルケニルスルホニル、場合によっては置換されているアルキニルスルホニルのいずれかである。
【0003】
上記一般式(A)の化合物のさまざまな調製方法がWO 01/87822に記載されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、殺虫活性のある一般式(I)のフェニルプロパルギルエーテル誘導体:
【化2】

(ただし、
Rはアルキニル基であり;
R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル-アルキル、フェニル、フェニルアルキルであり、これらの基はすべて、1又は数個の同じか異なるハロゲン原子;アルコキシ;アルケニルオキシ;アルキニルオキシ;アルコキシアルキル;ハロアルコキシ;アルキルチオ;ハロアルキルチオ;アルキルスルホニル;ホルミル;アルカノイル;ヒドロキシ;ハロゲン;シアノ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;カルボキシル;アルコキシカルボニル;アルケニルオキシカルボニル;アルキニルオキシカルボニルのいずれかを含むことが可能であり;
nは0〜3の整数である)に至るさらに別の好ましい経路に関する。
【0005】
“アルキル”、“アルケニル”、“アルキニル”という用語は、単独で、または他の置換基の一部として、1〜8個の炭素原子(アルケニルまたはアルキニルの場合は2〜8個)を含んでいることが適当である。炭素原子は1〜6個(または2〜6個)であることがより適当であり、1〜4個(または2〜4個)であることがさらに好ましい。
【0006】
Rの具体例は、エチニル、プロプ-1-イニル、プロプ-2-イニル、ブト-1-イニル、ブト-2-イニル、1-メチル-2-ブチニル、ヘクス-1-イニル、1-エチル-2-ブチニル、オクト-1-イニルなどである。最も好ましいのはプロプ-2-イニルである。
【0007】
R1の典型例は、4-クロロ、4-ブロモ、3,4-ジクロロ、4-クロロ-3-フルオロ、3-クロロ-4-フルオロ、4-メチル、4-エチル、4-プロパルギルオキシ、3-メチル、4-フルオロ、4-エテニル、4-エチニル、4-プロピル、4-イソプロピル、4-t-ブチル、4-エトキシ、4-エチニルオキシ、4-フェニルオキシ、4-メチルチオ、4-メチルスルホニル、4-シアノ、4-ニトロ、4-メトキシカルボニル、3-ブロモ、3-クロロ、2-クロロ、2,4-ジクロロ、3,4,5-トリクロロ、3,4-ジフルオロ、3,4-ジブロモ、3,4-ジメトキシ、3,4-ジメチル、3-クロロ-4-シアノ、4-クロロ-3-シアノ、3-ブロモ-4-メチル、4-メトキシ-3-メチル、3-フルオロ-4-メトキシ、4-クロロ-3-メチル、4-クロロ-3-トリフルオロメチル、4-ブロモ-3-クロロ、4-トリフルオロメチル、4-トリフルオロメトキシ、4-メトキシなどである。R1は、3-ハロ、4-ハロ、3,4-ジハロであることが好ましく、4-クロロであることがより好ましい。
【0008】
nが2または3である場合には、R1基は同じでも異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0009】
したがって本発明の第1の特徴は、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、(i)一般式(III)の化合物:
【化3】

(ただし、
R、R1、nは上に定義した通りであり;
mとm'は、独立に0または1であり;
mとm'がどちらも0である場合には、Aは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれかであり(炭素原子は8個までであることが好ましい)、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;
mとm'の一方が0で他方が1である場合には、Aは、少なくとも2個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが好ましい)を含むアルカンジイル基、アルケンジイル基、アルキンジイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;
mとm'が両方とも1である場合には、Aは、少なくとも3個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが好ましい)を含むアルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;
基Aが3個以上の炭素原子を含んでいる場合には、1個以上の炭素原子は、それぞれ、場合によっては1個の酸素原子で置換されていてもよいが、その場合には少なくとも1個の炭素原子がこの分子内の任意の2つの酸素原子の間になければならない)を、一般式(IV)の化合物:
【化4】

と反応させて一般式(II)の化合物:
【化5】

(ただし、R、R1、nは上に定義した通りである)を取得し、
(ii)一般式(II)の化合物を
【化6】

(ただしLは離脱基である)と反応させて上に定義した一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法に関する。
【0010】
“アルカンジイル”および“アルカントリイル”という用語は、それぞれ2つまたは3つの自由原子価を持つ(すなわち水素原子が2個または3個欠けている)アルカン基を意味する。自由原子価は、異なる炭素原子上に存在していることが好ましい。
【0011】
“アルケンジイル”および“アルケントリイル”という用語は、それぞれ2つまたは3つの自由原子価を持つアルケン基を意味する。自由原子価は、異なる炭素原子上に存在していることが好ましい。
【0012】
“アルキンジイル”および“アルキントリイル”という用語は、それぞれ2つまたは3つの自由原子価を持つアルキン基を意味する。自由原子価は、異なる炭素原子上に存在していることが好ましい。
【0013】
適切な離脱基Lとしては、ハロゲン、スルホン酸アルキル、スルホン酸ハロアルキル、場合によっては置換されたスルホン酸アリールなどがあり、好ましいLは、クロロまたはメシラートである。
【0014】
一般式(III)の化合物の例として以下のものが挙げられる。
【0015】
【化7】

【0016】
ステップ(i)は、50℃〜150℃の温度範囲で実施することが好ましい。反応は、溶融した状態で、または不活性溶媒(例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼンなど)の存在下で行なわせることができる。反応温度はエステルの反応性に依存する。反応性が低いエステル(例えばメチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル)には反応性の高いアルコール(例えばジエチルアミノエタノール、エチレングリコール、トリエタノールアミン、プロパルギルアルコール)を添加するか、例示したアルコールのエステルを直接用いて反応温度を下げ、副反応を回避するとよい。反応温度は通常は70℃〜120℃である。より高い温度では副生成物の形成が増大する。
【0017】
ステップ(ii)は、最も一般的な極性溶媒と非極性溶媒(例えば炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、塩素化炭化水素(例えばクロロベンゼン)、エーテル(例えばTHF、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えばアセトニトリル))の中で、または水との混合物の中で、塩基(例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩)の存在下にて実施することが好ましい。溶媒または溶媒混合物は、化合物(II)と塩基に対して不活性であることが好ましい。塩基は、広い範囲で添加することが好ましく、1モルの化合物(II)につき1〜2モルの範囲で添加することがより好ましい。相間移動触媒(例えば第三級アンモニウム塩)を0.5〜10モル%の範囲で使用することが好ましい。反応は、20〜150℃の温度範囲で行なわせることが好ましい。温度は50〜100℃の範囲がより好ましい。
【0018】
一般式(III)の化合物は、一般式(V)の化合物:
【化8】

から、または一般式(VI)の化合物:
【化9】

から、または一般式(VII)の化合物:
【化10】

から調製することができる。ただし、R、R1、m、m'、n、Aは上に定義した通りであり、Xは離脱基である。適切な離脱基として、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモなど)、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリールなどがある。
【0019】
したがって本発明の第2の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)(a)上に定義した一般式(V)の化合物をエステル化することによって、あるいは
(b)上に定義した一般式(VI)の化合物を一般式:
【化11】

のアルコール(ただしA、m、m'は上に定義した通りである)と反応させることによって、あるいは
(c)上に定義した一般式(VII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させることによって、
一般式(III)の化合物を取得し;
(ii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iii)一般式(II)の化合物を
【化12】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0020】
ステップ(i)(a)は、溶融した状態で、または不活性溶媒(例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼンなど)の存在下で実施することが好ましい。反応速度を大きくするには触媒(例えば硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸)を添加するとよい。変換率を大きくするには、反応水を蒸溜によって除去すること、または化学的に分解(例えばオルトギ酸トリメチルエステルを添加)して除去することが好ましい。この反応は、0℃〜150℃の温度で行なわせることが好ましい。温度は50℃〜100℃の範囲がより好ましい。
【0021】
ステップ(i)(b)は、溶媒(例えば炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、水)の中で実施することが好ましい。アルコールそのものを溶媒として用いることもできる。このような溶媒の混合物も使用できる。反応は、酸(例えば有機酸または無機酸)の存在下で行なわせる。酸としては、ハロゲン化水素(例えば塩化水素、塩化臭素)、硫酸、リン酸などがある。反応は、-80℃〜反応混合物の沸点の範囲の温度で行なわせることが好ましい。温度は0℃〜100℃の範囲がより好ましい。
【0022】
ステップ(i)(c)は、塩基(例えばトリアルキルアミン)の存在下かつ水の不在下で実施することが好ましい。反応は、塩基(例えば炭酸カリウム)またはアルコール(例えばプロパルギルアルコール)の存在下にて溶媒(例えば炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、塩素化炭化水素(例えばクロロベンゼン)、エーテル(例えばTHF、ジオキサン、アニソール)、アミド(例えばDNF))の中で行なわせることが好ましい。反応温度は0℃〜100℃が好ましい。
【0023】
ステップ(ii)と(iii)は上記のようにして実施される。
【0024】
一般式(V)の化合物は、一般式(VIII)の化合物:
【化13】

から、または一般式(IX)の化合物:
【化14】

から、または一般式(X)の化合物:
【化15】

から調製することができる。ただし、R1、n、Xは上に定義した通りであり、Yは同じでも異なっていてもよく、アルコキシ基またはハロゲンであり、C1〜4アルコキシまたはハロであることが好ましく、メトキシまたはクロロであることがより好ましい。
【0025】
したがって本発明の第3の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)(a)上に定義した一般式(VIII)の化合物をアルコールR-OHと反応させることによって、あるいは
(b)上に定義した一般式(IX)の化合物を塩基の存在下でアルコールR-OHと反応させることによって、あるいは
(c)上に定義した一般式(X)の化合物を塩基の存在下でアルコールR-OHおよびトリハロメタンまたはトリハロ酢酸と反応させることによって、
上に定義した一般式(V)の化合物を取得し;
(ii)一般式(V)の化合物をエステル化して上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iv)一般式(II)の化合物を
【化16】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を取得する操作を含む方法が提供される。
【0026】
ステップ(i)(a)は、塩基(例えばアルカリ金属水酸化物、第三級アミン)の存在下で実施することが好ましい。塩基は、1モルの化合物(VIII)につき2〜10モル、好ましくは2.5〜3.5モルの割合で使用するのが適切である。1モルの塩基を用いると、炭酸化合物(VIII)が中和される。反応は、-50℃〜120℃の範囲の温度で行なわせることが好ましい。温度は-10℃〜50℃の範囲がより好ましい。アルコールR-OHを溶媒として用いることができる。あるいは別の溶媒(例えば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ケトン、エーテル、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO))を使用することもできる。反応は、水の不在下で行なわせることが好ましい。
【0027】
ステップ(i)(b)は、塩基(例えばアルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、ナトリウム-アルコラートやカリウム-アルコラート(例えばナトリウムメトキシド)、塩基化窒素(例えば1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデス-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ-[2.2.2]-オクタン(DABCO)(トリエチレンジアミンとしても知られる)))の存在下で実施する。このような塩基の混合物も使用できる。反応は、-80℃〜150℃の温度で行なわせることが好ましい。温度は、30℃〜100℃の範囲がより好ましい。反応は、溶媒の中で行なわせるのが適切である。溶媒としては、極性または非極性の有機溶媒(例えば炭化水素、エーテル、アミド(例えばDME)、ジグリム、ジオキサン、THF、アニソール、NMP、DMSO、アルコール)がある。アルコールR-OHは溶媒としても機能することができる。
【0028】
ステップ(i)(c)は、-80℃〜150℃の範囲の温度で実施することが好ましい。温度は、0℃〜70℃の範囲がより好ましい。トリハロメタンはメタンの誘導体であり、3個の水素原子が同じハロゲン(フッ素、塩素、臭素のいずれか)または異なるハロゲンによって置換されている。このようなトリハロメタンの例は、クロロホルム、ブロモホルム、クロロジブロモメタン、ブロモ-ジクロロメタンである。適切な塩基性水酸化物は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)である。反応は、溶媒の中で行なわせることが好ましい。溶媒としては、炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、水などがある。このような溶媒の混合物も使用できる。アルコールおよび/またはトリハロメタンも溶媒として使用できる。一実施態様では、アルコールR-OHが溶媒として使用される。さらに別の一実施態様では、トリハロメタンが溶媒として使用される。
【0029】
ステップ(ii)〜(iv)は上記のようにして実施される。
【0030】
上に定義した一般式(VI)の化合物は、一般式(XI)の化合物:
【化17】

(ただしR、R1、nは上に定義した通りである)から直接に調製すること、または一般式(XII)の化合物:
【化18】

(ただしR、R1、nは上に定義した通りである)を経由して調製することができる。
【0031】
したがって本発明の第4の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(a)上に定義した一般式(XI)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、あるいは
(b)(i)上に定義した一般式(XI)の化合物を塩素化剤と反応させて上に定義した一般式(XII)の化合物を取得し、
(ii)その後、一般式(XII)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、
上に定義した一般式(VI)の化合物を取得し、
(ii)一般式(VI)の化合物を一般式:
【化19】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iv)一般式(II)の化合物を
【化20】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0032】
ステップ(i)(a)は、ブロンステッド酸(無機強酸である塩化水素、塩化臭素、硫酸など)、ルイス酸(III族化合物である三フッ化ホウ素など)、金属塩(例えば亜鉛塩(塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)など)、鉄塩(塩化鉄(III)など)、コバルト塩(塩化コバルト(II)など)、アンチモン塩(塩化アンチモン(V)など)、スカンジウム塩(トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)など)、イットリウム塩(トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)など)、インジウム塩(塩化インジウム(III)など)、ランタン塩(トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)など)、ビスマス塩(塩化ビスマス(III)、臭化ビスマス(III)など))の存在下で実施することが好ましい。酸は、化学量論的量よりも少ない量を用いることが好ましい。適切なシアン化剤としては、シアン化水素、シアノシラン(シアン化トリアルキルシリル(例えばシアン化トリメチルシリルや同様のシアノヒドリン))などがある。反応は、溶媒(炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、シクロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、アミド(例えばN,N-ジメチルアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン))の中で行なわせることが好ましい。溶媒の混合物も使用できる。反応は、-80℃〜150℃の範囲の温度で行なわせることが好ましい。温度は0℃から70℃の範囲がより好ましい。
【0033】
ステップ(i)(b)(i)は、-80℃〜100℃の温度範囲で実施することが好ましい。温度は0℃〜25℃の範囲であることがより好ましい。塩素化剤は、有機塩化物(低級アルカノイル塩化物(例えば塩化アセチルなど))または無機酸塩化物(塩化チオニル、塩化スルフリル、オキシ塩化リンなど)であることが好ましい。塩素化剤の混合物を用いることもできる。反応は適切な溶媒の中で行なわせる。溶媒としては、炭化水素(例えばヘキサン、クロロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)などがある。溶媒の混合物も使用できる。
【0034】
ステップ(i)(b)(ii)は、適切な溶媒の中で実施する。溶媒としては、炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、アミド(例えばN,N-ジメチルアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン)、水などがある。これら溶媒の混合物も使用できる。適切なシアン化剤としては、金属シアン化物(アルカリ金属シアン化物、アルカリ土類金属シアン化物(例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム))などがある。反応は、-50℃〜100℃の範囲の温度で行なわせることが好ましい。温度は0℃〜40℃であることがより好ましい。
【0035】
ステップ(ii)〜(iv)は上記のようにして実施される。
【0036】
上に定義した一般式(VII)の化合物は、一般式(XIII)の化合物:
【化21】

(ただしR1、n、Xは上に定義した通りであり、Xはハロゲン(クロロが好ましい)である)から調製することができる。
【0037】
したがって本発明の第5の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)上に定義した一般式(XIII)の化合物を一般式:
【化22】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(VII)の化合物を取得し;
(ii)一般式(VII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)を反応させて一般式(III)の化合物を取得し;
(iii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iv)一般式(II)の化合物を
【化23】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0038】
ステップ(i)は、アルコールを用いて酸塩化物を変換するための通常の条件にて塩基(例えばトリアルキルアミン)の存在下で実施することが好ましい。例えば溶媒はアルコール(プロパルギルアルコールなど)にすることができ、反応温度は-20℃〜150℃の範囲である。温度は0℃〜60℃の範囲が好ましい。
【0039】
ステップ(ii)〜(iv)は上記のようにして実施される。
【0040】
上に定義した一般式(VIII)の化合物は、一般式(XIV)の化合物:
【化24】

(ただしR1とnは上に定義した通りである)から調製することができる。
【0041】
したがって本発明の第6の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)上に定義した一般式(XIV)の化合物のハロゲン化によって上に定義した一般式(VIII)の化合物を取得し;
(ii)一般式(VIII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(V)の化合物を取得し;
(iii)一般式(V)の化合物のエステル化によって上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化25】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0042】
ステップ(i)は、溶融状態で、または不活性溶媒(例えば酢酸、またはたいていのハロゲン化芳香族溶媒とハロゲン化脂肪族溶媒)の中で実施することができる。反応速度を大きくするため、1モルの化合物(XIV)につき0.01〜1.0モルの範囲で触媒(例えば赤リン、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、五臭化リン、塩化チオニル、臭化チオニル、ホスゲン)を添加することが推奨される。この範囲は0.1〜0.5モルが好ましい。化合物(XIV)のハロゲン化は、臭素、塩素、または対応するスクシンイミドを用いて50℃〜200℃の温度範囲で実施することができる。温度は80℃〜150℃が好ましい。
【0043】
ステップ(ii)〜(v)は上記のようにして実施することができる。
【0044】
上に定義した一般式(IX)の化合物は、上に定義した一般式(X)の化合物、または一般式(XV)の化合物:
【化26】

(ただしR1とnは上に定義した通りである)から調製することができる。
【0045】
したがって本発明の第7の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)(a)トリハロメタン-アニオンを上に定義した一般式(X)の化合物に添加することによって;あるいは
(b)トリハロアセトアルデヒドを上に定義した一般式(XV)の化合物に添加することによって、
上に定義した一般式(IX)の化合物を取得し;
(ii)一般式(IX)の化合物を塩基の存在下でアルコールR-OHおよびトリハロメタンと反応させて上に定義した一般式(V)の化合物を取得し;
(iii)一般式(V)の化合物をエステル化して上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化27】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0046】
ステップ(i)(a)は、溶媒の中で実施することが好ましい。溶媒としては、炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、アミド(例えばN,N-ジメチルアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン)、水などがある。溶媒の混合物も使用できる。トリハロメタンはメタンの誘導体であり、3個の水素原子が同じハロゲン(フッ素、塩素、臭素のいずれか)または異なるハロゲンによって置換されている。このようなトリハロメタンの例は、クロロホルム、ブロモホルム、クロロジブロモメタン、ブロモ-ジクロロメタンである。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いること、またはトリハロメタンカルボン酸を、対応するトリハロメタンカルボン酸塩の存在下で用いること(例えばトリクロロ酢酸の存在下でのトリクロロ酢酸ナトリウム塩またはトリクロロ酢酸カリウム塩)もできる。反応は-80℃〜150℃の範囲の温度で実施することが好ましい。温度は0〜70℃の範囲がより好ましい。
【0047】
ステップ(i)(b)は、適切な溶媒の中で実施される。溶媒としては、二硫化炭素、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族化合物(例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)などがある。溶媒の混合物も使用できる。トリハロアセトアルデヒドはアセトアルデヒドの誘導体であり、3個の水素原子が同じハロゲン(フッ素、塩素、臭素のいずれか)または異なるハロゲンによって置換されている。このようなトリハロアセトアルデヒドの例は、トリクロロアセトアルデヒド、トリブロモアセトアルデヒド、クロロジブロモアセトアルデヒド、ブロモジクロロアセトアルデヒドである。反応は-80℃〜150℃の範囲の温度で実施することが好ましい。温度は-10℃〜70℃の範囲がより好ましい。
【0048】
ステップ(ii)〜(v)は上記のようにして実施される。
【0049】
上に定義した一般式(XI)の化合物は、上に定義した一般式(X)の化合物から調製される。
【0050】
したがって本発明の第8の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)上に定義した一般式(X)の化合物を酸の存在下でアルコールR-OHと反応させて上に定義した一般式(XI)の化合物を取得し;
(ii)(a)一般式(XI)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、あるいは
(b)(i)塩素化剤と反応させて上に定義した一般式(XII)の化合物を取得した後、(ii)一般式(XII)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、
上に定義した一般式(VI)の化合物を取得し;
(iii)一般式(VI)の化合物を一般式:
【化28】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化29】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0051】
ステップ(i)は、適切な溶媒の存在下で実施される。溶媒としては、炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン)、クロロ炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)などがある。好ましい一実施態様では、アルコールR-OHを溶媒として用いる。溶媒の混合物も使用できる。反応は、酸の存在下で行なわせることが好ましい。酸としては、ブロンステッド酸(無機強酸である塩化水素、塩化臭素、硫酸など)、ルイス酸(III族化合物である三フッ化ホウ素、金属塩(例えば亜鉛塩(塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)など)、鉄塩(塩化鉄(III)など)、コバルト塩(塩化コバルト(II)など)、アンチモン塩(塩化アンチモン(V)など)、スカンジウム塩(トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)など)、イットリウム塩(トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)など)、インジウム塩(塩化インジウム(III)など)、ランタン塩(トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)など)、ビスマス塩(塩化ビスマス(III)、臭化ビスマス(III)など))が挙げられる。酸は、化学量論的量よりも少ない量を用いることが好ましい。反応は、オルトエステル(例えば低級アルキルカルボン酸のオルトエステル)や低級アルキルアルコール(アルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリエチルなど)の存在下でも行なわせることができる。オルトエステルは、反応生成物(エステルとアルコール)を蒸溜によって反応混合物から除去できる場合に用いることが好ましい。反応は、-80℃〜反応混合物の沸点の範囲の温度で行なわせることが好ましい。温度は0℃から100℃の範囲がより好ましい。
【0052】
ステップ(ii)〜(v)は上記のようにして実施される。
【0053】
上に定義した一般式(XIII)の化合物は、一般式(XVI)の化合物:
【化30】

(ただしR1、W、nは上い定義した通りである)から調製することができる。
【0054】
したがって本発明の第9の特徴により、上に定義した一般式(I)の化合物の調製方法であって、
(i)上に定義した一般式(XVI)の化合物のハロゲン化によって上に定義した一般式(XIII)の化合物を取得し;
(ii)一般式(XIII)の化合物を一般式:
【化31】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(VII)の化合物を取得し;
(iii)一般式(VII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化32】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法が提供される。
【0055】
ステップ(i)は、カナダ国特許第967978号に記載されているようにして、溶融状態で、または不活性溶媒(例えば塩素化された炭化水素、塩素化された芳香族化合物)の中で50℃〜150℃の範囲の温度にて実施される。
【0056】
ステップ(ii)〜(v)は上記のようにして実施される。
【0057】
一般式(IV)、(X)、(XIV)、(XV)、(XVI)の化合物は従来技術で知られており、当業者であればその調製方法を容易に知ることができる。
【0058】
あるいは一般式(IV)の化合物は、以下の反応スキームに従う新しい方法で調製することができる。
【0059】
【化33】

【0060】
一般式(IVA)の化合物を調製する従来法では、かなりの量の水性廃棄物が発生する、および/または高価な触媒を使用する。発生する水性廃棄物は処理する(漂白剤または過酸化水素を用いてシアン化物を分解する)必要があるが、それには非常にコストがかかり、しかも毒性成分がまだ含まれている排水が発生する。
【0061】
上記のスキームでは、以下に示す方法のうちの1つによって化合物(IVB)を化合物(IVA)に変換する。
(i)化合物(IVB)をシアン化物(例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム)(わずかに過剰であることが好ましい)とpHを5〜9(6〜7が好ましい)にして反応させた後、pHを3未満にする。
(ii)有機溶媒または水性溶媒の中で化合物(IVB)をHCNと反応させる。
(iii)触媒量のシアン化物または一般的な塩基の存在下で化合物(IVB)をアセトンシアノヒドリンと反応させる。
【0062】
次にH2/Pd-CとH2SO4/MeOHを用いて化合物(IVA)を還元する。第1の方法では、H2/Pd-CとH2SO4/MeOHをまとめて添加すると、中間体(IVA")を経由してプロセスが進行する。第2の方法では、H2SO4/MeOHをまず最初に添加して中間体(IVA')を得た後、H2/Pd-Cを用いて還元する。
【0063】
したがって本発明のさらに別の一実施態様により、一般式(IV)の化合物の調製方法であって、
(i)化合物(IVB)を
(a)5〜9(6〜7が好ましい)のpHにてシアン化物と反応させた後、pHを3未満に小さくすることによって、あるいは
(b)有機溶媒または水性溶媒の中でHCNと反応させることによって、あるいは
(c)触媒量のシアン化物または一般的な塩基の存在下でアセトンシアノヒドリンと反応させることによって、
化合物(IVA)を取得し、
(ii)H2/Pd-CとH2SO4/MeOHを用いて化合物(IVA)を還元し、中間体(IVA')または(IVA")とその互変異性体を経由して化合物(IV)を取得する操作を含む方法が提供される。
【0064】
中間体(IVA')と(IVA")、ならびにその“ヒドロキシエナミン”互変異性体も新規であり、本発明のさらに別の特徴となる。
【0065】
一般式(III)の化合物から一般式(II)の化合物を調製する方法も新規な進歩性のある方法であり、本発明のさらに別の特徴となる。
【0066】
一般式(II)、(III)、(V)、(VI)、(VII)、(XI)、(XII)の中間体の多く、その中でもR1がハロ(例えば4-クロロ)であるものも新規であり、したがってこそれぞれが本発明のさらに別の特徴となる。
【0067】
上述のさまざまな反応をすべて表示した反応スキームを図面に示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
これから以下の実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0069】
実施例1
1-(ビス-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-4-クロロ-ベンゼン(4-クロロ-ベンズアルデヒド-ジ-プロパルギルアセタール)(一般式(XI)の化合物)
【0070】
【化34】

【0071】
4-クロロ-ベンズアルデヒド(14.3g)をプロパルギルアルコール(56.6g)と濃塩酸(0.1ml)に添加する。この反応混合物を撹拌し、80℃に加熱する。次に、オルトギ酸トリメチル(11.9g)を連続的に1時間かけて添加する。得られた反応混合物を85℃にて5時間にわたって撹拌し、いくらかの材料を蒸溜によって除去する。この反応混合物を室温まで冷却する。t-ブチルメチルエーテル(200ml)を添加する。有機相を40%亜硫酸水素ナトリウム溶液(2×200ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。1-(ビス-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-4-クロロ-ベンゼン(18.8g)が無色の油として得られる。
【0072】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.45 (t, 2H);4.15 (dd, 2H);4.3 (dd, 2H);5.85 (s, 1H);7.35 (d, 2H);7.45 (d, 2H)。
【0073】
実施例2
1-クロロ-4-(クロロ-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-ベンゼン(一般式(XII)の化合物)
【0074】
【化35】

【0075】
1-(ビス-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-4-クロロ-ベンゼン(11.7g)を1時間かけて塩化アセチル(19.9g)と塩化チオニル(0.2ml)に添加する。必要に応じて冷却することにより温度を20℃に維持する。この反応混合物を室温にて20時間にわたって撹拌する。この反応混合物を真空を利用して20〜30℃にて蒸発させる。1-クロロ-4-(クロロ-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-ベンゼン(13.4g)が油として得られる。
【0076】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.6 (t, 1H);4.6 (d, 2H);6.75 (s, 1H);7.35 (8d, 2H);7.45 (d, 2H)。
【0077】
実施例3
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-アセトニトリル(一般式(VI)の化合物)
【0078】
【化36】

【0079】
シアン化ナトリウム(3.1g)を含むN,N-ジメチルホルムアミド(40ml)に1-クロロ-4-(クロロ-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-ベンゼン(13.0g)を室温にて2時間かけて添加する。この反応混合物を室温にて3時間にわたって撹拌した後、水(200ml)の中に注ぐ。この水には水酸化ナトリウム(4g)が含まれていた。水相をt-ブチルメチルエーテル(2×200ml)で抽出する。有機相を水(2×50ml)で洗浄し、1つにまとめ、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-アセトニトリル(9.2g)が得られるので、それを、溶離液として酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカ・ゲル上のフラッシュ・カラム・クロマトグラフィによって精製する。
【0080】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.6 (t, 1H);4.4 (d, 2H);5.5 (s, 1H);7.4〜7.5 (m, 4H)。
【0081】
実施例4
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-アセトニトリル(一般式(VI)の化合物)
【0082】
【化37】

【0083】
窒素雰囲気下で、臭化ビスマス(III)(0.22g)と1-(ビス-プロプ-2-イニルオキシ-メチル)-4-クロロ-ベンゼン(6.7g)を含むジクロロメタン(50ml)にシアン化トリメチルシリル(3.1g)を室温にて添加する。この反応混合物を室温にて48時間にわたって撹拌した後、0.5Mの塩酸(50ml)の中に注ぐ。有機相を分離し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。粗(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-アセトニトリル(3.7g)が油として得られる。
【0084】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.6 (t, 1H);4.4 (d, 2H);5.5 (s, 1H);7.4〜7.5 (m, 4H)。
【0085】
実施例5
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸メチルエステル(一般式(III)の化合物)
【0086】
【化38】

【0087】
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-アセトニトリル(6.4g)と37%塩酸(12.6g)の混合物を含むメタノール(40ml)を16時間にわたって還流温度に加熱する。この反応化合物を室温まで冷却し、水(25ml)を添加する。水相を酢酸エチル(2×25ml)で抽出する。有機相を1つにまとめ、水(1×25ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。粗(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸メチルエステルが油として得られる。
【0088】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.5 (t, 1H);3.7 (s, 3H);4.15 (dd, 1H);4.3 (dd, 1H);5.2 (s, 1H);7.3〜7.5 (m, 4H)。
【0089】
実施例6
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(一般式(V)の化合物)
【0090】
【化39】

【0091】
a)水酸化カリウム(23.4g、アッセイ90%)とプロパルギルアルコール(70ml)の混合物を、4-クロロ-ベンズアルデヒド(7.2g)とクロロホルム(13.4g)を含むプロパルギルアルコール(10ml)に50℃にて5時間かけて添加する。この反応化合物を50℃にてさらに3時間にわたって撹拌する。室温まで冷却した後、水(150ml)を添加する。得られた混合物をt-ブチルメチルエーテル(150ml)で抽出する。有機相を再び4Mの水酸化カリウム(50ml)で抽出する。水性アルカリ抽出液を1つにまとめ、濃塩酸を添加することによって酸性化する(pH<3)。水相をt-ブチルメチルエーテル(2×150ml)で抽出する。有機相を1つにまとめ、水(1×100ml)で抽出し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(7.7g)が油として得られる。それを放置すると固化する。
【0092】
b)4-クロロ-ベンズアルデヒド(7.2g)を含むプロパルギルアルコール(15ml)を50℃まで加熱する。水酸化カリウム(31.2%、アッセイ90%)とプロパルギルアルコール(150ml)の混合物、ならびにブロモホルム(13g)とプロパルギルアルコール(15ml)の混合物を50℃にて同時に1時間かけて添加する。この反応混合物を50℃にてさらに5時間にわたって撹拌する。室温まで冷却した後、水(150ml)を添加する。得られた混合物をt-ブチルメチルエーテル(150ml)で抽出する。有機相を再び4Mの水酸化カリウム(50ml)で抽出する。水性アルカリ抽出液を1つにまとめ、濃塩酸を添加することによって酸性化する(pH<3)。水相をt-ブチルメチルエーテル(2×150ml)で抽出する。有機相を1つにまとめ、水(1×100ml)で抽出し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(10.4g)が油として得られる。それを放置すると固化する。
【0093】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.5 (t, 1H);4.15 (dd, 1H);4.3 (dd, 1H);5.2 (s, 1H);7.3〜7.5 (m, 4H);7.2〜9.5 (s, 広い, 1H)。
【0094】
実施例7
2,2,2-トリクロロ-1-(4-クロロ-フェニル)-エタノール(一般式(IX)の化合物)
【0095】
【化40】

【0096】
4-クロロ-ベンズアルデヒド(35.5g)とトリクロロ酢酸(61.5g)の混合物を含むN,N-ジメチルホルムアミド(200ml)を30〜35℃にて撹拌する。トリクロロ酢酸ナトリウム塩(71.5g)を何回かに分けて20分かけて添加する。場合によっては冷却が必要となる。この反応混合物を30℃にて2時間にわたって撹拌する。終わり頃にネバネバしてくるため、追加のN,N-ジメチルホルムアミド(150ml)を装填する。この反応混合物を水(700ml)の中に注ぐ。水相を酢酸エチル(600ml)で抽出する。有機相を分離し、水(300ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。2,2,2-トリクロロ-1-(4-クロロ-フェニル)-エタノールが油として得られる。
【0097】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):4.1 (s, 広い, 1H);5.2 (s, 1H);7.3 (d, 2H);7.55 (d, 2H)。
【0098】
実施例8
2,2,2-トリクロロ-1-(4-クロロ-フェニル)-エタノール(一般式(IX)の化合物)
【0099】
【化41】

【0100】
クロロベンゼン(1400g)とトリクロロ-アセトアルデヒド(384g)の混合物を0〜2℃にて撹拌する。塩化アルミニウム(274g)を同じ温度にて何回かに分けて110分かけて添加する。場合によっては冷却が必要となる。この反応混合物を0〜5℃にて5時間にわたって撹拌する。この反応混合物を氷/水(3000g)に注ぐ。有機相を分離し、水で3回洗浄し(それぞれ500g)、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。2,2,2-トリクロロ-1-(4-クロロ-フェニル)-エタノールが油として得られる。
【0101】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):4.1 (s, 広い, 1H);5.2 (s, 1H);7.3 (d, 2H);7.55 (d, 2H)。
【0102】
実施例9
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(一般式(V)の化合物)
【0103】
【化42】

【0104】
プロパルギルアルコール(300g)と2,2,2-トリクロロ-1-(4-クロロ-フェニル)-エタノール(501g)の混合物に、プロパルギルアルコールに15%の水酸化ナトリウムが溶けた溶液(1820g)を70〜75℃にて3時間かけて添加する。場合によっては冷却が必要となる。この反応混合物を同じ温度にて3時間にわたって撹拌する。大半の溶媒を蒸溜によって除去した後、残留物を室温まで冷却し、水/酢酸エチルを添加する。有機相を再び2Mの水酸化ナトリウム(50ml)で抽出する。水性アルカリ抽出液を1つにまとめ、濃塩酸を添加することによって酸性化する(pH<3)。水相を酢酸エチルで2回抽出する。有機相を1つにまとめ、水で抽出し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(10.4g)が油として得られる。
【0105】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.5 (t, 1H);4.15 (dd, 1H);4.3 (dd, 1H);5.2 (s, 1H);7.3〜7.5 (m, 4H);7.2〜9.5 (s, 広い, 1H)。
【0106】
実施例10
2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(3-メトキシ-4-プロプ-2-イニルオキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミド(一般式(I)の化合物)
【0107】
【化43】

【0108】
1モルの2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドを500mlのトルエンに溶かした溶液に、207gの炭酸カリウム(1.5モル)と10gの臭化テトラブチルアンモニウムを添加する。この混合物を90℃まで加熱し、トルエンに1.4モルの塩化プロパルギルが含まれた35%溶液を30分かけて添加する。3時間後、2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドの変換が完了する。この塩を溶かすため、水を500ml添加し、トルエン生成物相を分離する。トルエンを80℃/20ミリバールにて完全に蒸発させ、メタノールで置換する。0℃に冷却することにより、生成物である2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(3-メトキシ-4-プロプ-2-イニルオキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドが溶液から結晶化するため、濾過し、0℃にて200mlのメタノールで洗浄する。この生成物を真空下で50℃にて乾燥させる。315gの2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(3-メトキシ-4-プロプ-2-イニルオキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドが得られる。LCによる純度は98%である。融点=94〜96℃。
【0109】
実施例11
2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミド(一般式(II)の化合物)
【0110】
【化44】

【0111】
(1モルの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸から得られる)1モルの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸2-[2-(4-クロロ-フェニル)-2-プロプ-2-イニルオキシ-アセトキシ]-エチルエステル(“グリコールエステル”)を500gのクロロベンゼンに溶かした溶液に、1.05モルの4-(2-アミノ-エチル)-2-メトキシ-フェノール(“AE-フェノール”)と0.3モルのジエチルアミノエタノールを添加する。この反応混合物を90〜100℃に加熱し、クロロベンゼンを真空下で蒸溜によって除去する。90〜100℃にて3〜4時間にわたって撹拌した後、グリコールエステルの変換が完了する。500gのトルエンと250mlの水を添加する。50〜70℃にて5分間にわたって撹拌した後、水相を分離する。トルエン相に250mlの水を添加し、32%塩酸水溶液を用いてpHを0.5〜1.0に調節し、過剰なAE-フェノールとジメチルアミノエタノールを除去する。水相を分離し、2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドを含むトルエン相に20gのプロリス・ラピッド(漂白剤)を場合によっては添加し、50〜60℃にて30分間にわたって撹拌した後、濾過する。生成物である2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドを92%の収率(LC分析による)で含むこのトルエン濾液を次のステップでそのまま用いる。2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドは、-10℃におけるトルエン溶液からの結晶化/濾過によって一部を分離することができ、224gの収量となる(グリコールエステルに基づく理論の60%)。融点=93〜95℃。
【0112】
実施例11a
2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミド(一般式(II)の化合物)
【0113】
【化45】

【0114】
(1モルの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸から得られる)1モルの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸2-[2-(4-クロロ-フェニル)-2-プロプ-2-イニルオキシ-アセトキシ]-エチルエステル(“グリコールエステル”)を500gのクロロベンゼンに溶かした溶液に、1.05モルの4-(2-アミノ-エチル)-2-メトキシ-フェノール(“AE-フェノール”)と0.3モルのジエチルアミノエタノールを添加する。この反応混合物を90〜100℃に加熱し、クロロベンゼンを真空下で蒸溜によって除去する。90〜100℃にて3〜4時間にわたって撹拌した後、グリコールエステルの変換が完了する。500gのトルエンと250mlの水を添加する。50〜70℃にて5分間にわたって撹拌した後、水相を分離する。トルエン相に250mlの水を添加し、32%塩酸水溶液を用いてpHを0.5〜1.0に調節し、過剰なAE-フェノールとジメチルアミノエタノールを除去する。水相を分離し、2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドを含むトルエン相に20gのプロリス・ラピッド(漂白剤)を場合によっては添加し、50〜60℃にて30分間にわたって撹拌した後、濾過する。このトルエン濾液に12%Na2CO3溶液または50%K2CO3溶液を添加し、pHを8.5〜10.5に調節し、酸性部分を含む副生成物を除去する。生成物である2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドを92%の収率(LC分析による)で含む有機相を次のステップでそのまま用いる。2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドは、-10℃におけるトルエン溶液からの結晶化/濾過によって一部を分離することができ、224gの収量となる(グリコールエステルに基づく理論の60%)。融点=93〜95℃。
【0115】
実施例12
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸2-ヒドロキシエチルまたは(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸2-[2-(4-クロロ-フェニル)-2-プロプ-2-イニルオキシ-アセトキシ]-エチルエステル(一般式(III)の化合物)
【0116】
【化46】

【0117】
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(1モル)を600gのクロロベンゼンに溶かした溶液に、0.75モルのエチレングリコールと4gのp-トルエンスルホン酸を添加し、真空下で90〜100℃という還流温度に加熱する。反応水を凝縮液から分離し、クロロベンゼンを反応装置に戻す。1時間後、エステル化が完了する。完了後、100gのクロロベンゼンを蒸溜によって除去する。反応混合物はエチレングリコールのモノエステルとジエステルが含んでおり、それを分離することなく次のステップ(実施例11)で直接2-(4-クロロ-フェニル)-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-エチル]-2-プロプ-2-イニルオキシアセトアミドに変換する。
【0118】
実施例13
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸メチルエステル(一般式(III)の化合物)
【0119】
【化47】

【0120】
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(1モル)を500gのクロロベンゼンに溶かした溶液に、2モルのメタノールと、1モルのオルトギ酸トリメチルエステルと、4gのp-トルエンスルホン酸を添加する。この混合物を50〜60℃に加熱し、(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸のエステル化が完了するまでこの温度を2〜3時間にわたって維持する。真空下で50〜60℃にて蒸溜することによってメタノールやギ酸メチルといった低沸点化合物を除去する。“メチルエステル”がクロロベンゼンに溶けた溶液を分離することなく次のステップで化合物(II)に直接変換することができる。溶媒を真空下で蒸溜によって除去すると、245gの油が得られる。LC分析によって測定すると、その中には236gの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸メチルエステルが含まれている。
【0121】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.5 (s, HC≡);3.7 (s, OCH3);4.2+4.3 (2d, CH2);5.2 (1s, CH);7.35 (4H, Ar)。
【0122】
実施例14
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸(一般式(V)の化合物)
【0123】
【化48】

【0124】
撹拌式反応装置の中に、500gのクロロベンゼンと、177〜187gの90〜95%水酸化カリウム(3.0モル)と、112gのプロパルギルアルコール(2モル)をあらかじめ装填する。15〜20℃にて、1モルのブロモ-(4-クロロ-フェニル)酢酸を800gのクロロベンゼンに溶かした溶液(または1モルのブロモ-(4-クロロ-フェニル)酢酸/実施例15aに記載した酸塩化物からなる反応混合物)を滴下漏斗を通じて2時間かけて添加する。この反応混合物をさらに1〜2時間にわたって放置し、ブロモ-(4-クロロ-フェニル)酢酸の変換を完了させる。この反応物を500mlの水で希釈し、塩酸を用いて35〜40℃にてpHを0.5に調節する。水相を有機生成物相から分離した後、90〜100℃にて真空下で蒸溜することによって800gのクロロベンゼンを除去する。残ったクロロベンゼン溶液は、LC分析によると218gの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸を含んでいる(収率=ブロモ-(4-クロロ-フェニル)酢酸に基づく理論の97%)。(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸のクロロベンゼン溶液は、次のステップでそのまま用いることができる。
【0125】
“プロパルギル酸”、すなわち(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸は、50%溶液に濃縮した後、0℃における結晶化/濾過によって一部を分離することができる。約170gの(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸を結晶化した形態で分離することができる。融点=69〜70℃。
【0126】
実施例15
ブロモ-(4-クロロ-フェニル)-酢酸(一般式(VIII)の化合物)
【0127】
【化49】

【0128】
(苛性洗浄機に接続された)還流冷却器を備える撹拌式反応装置の中で、171gの4-クロロフェニル酢酸を750gのクロロベンゼンの中にあらかじめ溶かした後、41gの三塩化リン(0.3モル)を添加する。この混合物を100〜110℃に加熱し、280gの臭素(1.75モル)を滴下漏斗を通じて1時間以内に添加する。この反応混合物を110〜115℃にてさらに3〜4時間にわたって撹拌し、4-クロロフェニル酢酸の変換を完了させる(LCによって制御)。この反応混合物を50℃に冷却し、100mlの水を添加する。NaHSO3溶液を添加することによって過剰な臭素を分解する。NaOH水溶液を用いて反応混合物のpHを1に調節した後、有機生成物相を水相から分離する。クロロベンゼン相は、LC分析によると237gのブロモ-(4-クロロ-フェニル)-酢酸を含んでいる(収率=4-クロロ-フェニル酢酸に基づく理論の95%)。“ブロモ酸”、すなわちブロモ-(4-クロロ-フェニル)-酢酸は、50%溶液に濃縮し、0℃における結晶化/濾過によって一部を分離することができる。約200gのブロモ-(4-クロロ-フェニル)-酢酸を結晶化した形態で分離することができる。融点=92〜93℃。
【0129】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):5.3 (s, 1H);7.4 (4H, Ar);9.7 (1H, OH)。
【0130】
実施例15a
ブロモ-(4-クロロ-フェニル)-酢酸(一般式(VIII)の化合物)
【0131】
【化50】

【0132】
(苛性洗浄機に接続された)還流冷却器を備える撹拌式反応装置の中で、171gの4-クロロフェニル酢酸を400gのクロロベンゼンの中にあらかじめ溶かした後、105℃まで加熱する。30分以内に42gの塩化チオニルを105〜110℃にて添加して酸塩化物を一部形成させる。この反応混合物に256gの臭素(1.6モル)を105〜108℃にて90分以内に添加する。この反応混合物を105〜108℃にてさらに2〜3時間にわたって撹拌し、4-クロロ-フェニル-酢酸の変換を完了させる(HPLCによって制御)。真空度が250ミリバールになるまで90℃にて蒸溜することによって過剰な臭素を臭素/クロロベンゼン混合物として除去すると、反応混合物の色が茶色から黄色に変化した。この臭素蒸溜液は次のバッチで再利用できる。ブロモ-(4-クロロ-フェニル)-酢酸と酸塩化物の混合物を含む反応混合物をクロロベンゼンで希釈して重量を800gにした後、実施例14に従って直接(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸に変換することができる。
【0133】
実施例16
ブロモ-(4-クロロ-フェニル)-アセチルクロリド(一般式(XIII)の化合物)
【0134】
【化51】

【0135】
(苛性洗浄機に接続された)還流冷却器を備える撹拌式反応装置の中で、171gの4-クロロフェニル酢酸を600gのトルエンと7gのジメチルホルムアミドの中にあらかじめ溶かす。この混合物を50℃まで加熱し、125gのホスゲンを2〜5時間かけて表面の下に導入する。トルエンを真空下での蒸溜によって完全に除去し、残った4-クロロフェニル酢酸クロリドに226gの臭素を90℃にて1〜2時間以内に添加する。この反応混合物を完全に変換するためにさらに1時間にわたって撹拌した後、真空にして過剰な臭素を除去する。オレンジ色の残留物290gの中に約260gの4-クロロフェニル-ブロモ酢酸クロリド(4-クロロフェニル酢酸に基づく理論の97%)が含まれている。GC分析によると、それはメチルエステル誘導体であることがわかった。
【0136】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):5.7 (s, 1H);7.4 (s, 4H, Ar)。
【0137】
実施例17
(4-クロロ-フェニル)-プロプ-2-イニルオキシ-酢酸プロプ-2-イニルエステル(一般式(III)の化合物)
【0138】
【化52】

【0139】
70mlのプロパルギルアルコールと35mlのN-エチルジイソプロピルアミンの混合物に、14gのブロモ-(4-クロロフェニル)アセチルクロリドを0〜5℃にて15分以内に添加し、一般式(VII)の化合物を形成する。次にこの反応混合物を60℃に加熱し、この温度で8時間にわたって撹拌すると、上記の一般式(III)の化合物が得られる。この反応混合物を400mlの氷/水の中に注ぐ。塩酸を用いてpHを3に調節し、生成物を100mlのジエチルエーテルで3回抽出する。1つにまとめた抽出液をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空下で50℃にて蒸発させる。12gの残留物は茶色の油である。
【0140】
1H-NMR (CDCl3)δ(ppm):2.45+2.55 (2s, HC≡);4.2+4.7 (2q, CH2);5.3 (1s, CH);7.4 (4H, Ar)。
【0141】
実施例18
4-(1-ヒドロキシアセトニトリル)-2-メトキシ-フェノール(一般式(IVA)の化合物)
【0142】
A1.1リットルの丸底フラスコの中で、80g(0.52当量)の4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(化合物(IVB)、バニリン)を5℃にて135gの水の中に懸濁させる。2時間かけて90g(0.64当量)の35%シアン化ナトリウム溶液と78g(0.68当量)の32%塩酸を5℃の温度にてpHを6.5に制御しながら並行して供給した。供給が終わると懸濁液を5℃にてpH6.5で6〜8時間にわたって撹拌し、反応物の変換を完了させた。次に32%HClを用いてpHを1〜2に調節した後、シアノヒドリンを有機溶媒の中に抽出するために160gのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)を添加した。この2層混合物を周囲温度にて1時間にわたって撹拌した。撹拌機を停止した後、層を分離させ、下方の水層を分離し、MTBE層に0.8g(0.01当量)のクロロ酢酸を添加してシアノヒドリンを安定化させた後、溶媒を交換した。MTBE溶液を減圧下(100〜500ミリバール)で40〜60℃にて蒸溜すると、化合物(IVA)が黄色の油または結晶性残留物として93g(分離した化合物の収率94%)得られた。
【0143】
A2.1リットルの丸底フラスコの中で、100g(0.64当量)の4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(化合物(IVB)、バニリン)を周囲温度にて165gの水の中に懸濁させる。次に、得られた懸濁液をよく撹拌しながら15℃まで冷却した後、30分間にわたって撹拌する。次に130g(0.8当量)の30%シアン化ナトリウム溶液と130g(0.4当量)の30%硫酸を15℃の温度にてpHを6.0〜6.5に調節しながら4〜6時間かけて並行して供給する。この同時添加が終了すると、生成物の結晶化が起こるまで反応物を撹拌し、結晶化が始まったときから懸濁液をpH6.5にして15℃にて2時間にわたって撹拌して反応物の変換を完了させる。次に約2gの30%硫酸を添加することによってpHを1.5以下に調節した後、170gのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)を添加する。生成物を25〜30℃にて1時間にわたって撹拌して有機層の中に抽出する。撹拌機を停止した後、層を分離させ、下方の水層を分離し、MTBE層に1g(0.01当量)のクロロ酢酸を添加してシアノヒドリンを安定化させた後、溶媒を交換する。次にMTBE溶液を減圧下(100〜500ミリバール)で40〜60℃にて蒸溜すると、化合物(IVA)が黄色の油または結晶性残留物として112g(分離した化合物の収率96%)得られる。
【0144】
A3.1リットルの丸底フラスコの中で、160g(1.03当量)の4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(化合物(IVB)、バニリン)を周囲温度にて160gの水の中に懸濁させる。次に4gのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)を添加し、得られた懸濁液をよく撹拌しながら15℃に冷却する。次に、約4gの10%NaOHを添加することによってpHを7.0〜7.5に調節する。次に85g(1.26当量)の40%HCN水溶液を撹拌しているバニリン/水スラリーに30〜60分かけて供給する。HCNの添加が終了すると、(必要な場合には)20%硫酸または10%NaOHを用いてpHを6.5に調節する。反応物がすぐに透明になり、その後15℃にてpHを6.0〜6.5にして3時間にわたって撹拌する。通常は、撹拌中に生成物が透明な溶液から結晶化し始める。結晶化が始まると、懸濁液を1〜2時間にわたって撹拌して反応物の変換を完了させる。
【0145】
次に約3gの20%硫酸を添加してpHを1.5以下に調節した後、170gのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)を添加する。25〜30℃にて1時間にわたって撹拌しながら生成物を有機層の中に抽出する。撹拌機を停止した後、層を分離させ、下方の水層を分離し、MTBE層に1g(0.01当量)のクロロ酢酸を添加してシアノヒドリンを安定化させた後、溶媒を交換する。次にMTBE溶液を減圧下(100〜500ミリバール)で40〜60℃にて蒸溜すると、化合物(IVA)が黄色の油または結晶性残留物として180g(分離した化合物の収率96%)得られる。
【0146】
B.50mlの丸底フラスコに機械式撹拌機、温度計、冷却器、通気ガス洗浄機(1:1=NaOCl:NaOH)を取り付けるとともに、不活性雰囲気にした。HCNをテトラヒドロフラン(THF)に溶かした溶液(17%w/w)を調製した後、公知の文献に記載されている方法によってこの実験を実施した。水酸化カリウム(0.26g、0.02当量)とシアン化水素をTHF(5.02ml、1.5当量)に溶かした溶液を反応装置に装填した後、THF(5ml)をさらに装填した。バニリン(3.07g)をTHF(5ml)に溶かし、撹拌式反応装置に数分間かけて装填した。反応物を周囲温度にて3.5時間にわたって撹拌した後(淡い黄色の液体の中に少量の白色固形物)、定量的HPLCを利用した分析によって収率を調べた。変換率90%、収率83%。
【0147】
C.8.5gのアセトンシアノヒドリン(1当量)を含むフラスコに15.2gのバニリン(1当量)を数回に分けて1時間かけて添加した。1時間にわたって撹拌した後、0.8mlの35%シアン化ナトリウム溶液を添加した(0.05当量)。得られた混合物を室温にて5日間にわたって放置した後、75gのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)と9gの水を添加して反応を停止させた。有機層をHPLCによって分析すると、バニリンシアノヒドリンが36%の収率で形成されたことがわかった。反応しなかったバニリンは、目に見える他の少量成分にすぎない。
【0148】
実施例19
4-アミノエチル-2-メトキシフェノール(中間体IVA"を経由した一般式(IV)の化合物)
【0149】
300mlの加圧反応装置に30mlのメタノールと31.1gの98%硫酸(1.41当量)を添加した。木炭上に5%パラジウムを担持した触媒3.8g(0.004当量)が10mlのメタノールに含まれたスラリーを添加した後、10mlのメタノールで洗浄した。反応装置を5バールの水素圧にして20〜25℃という温度を維持し、100gの40%バニリンシアノヒドリンをメタノールに溶かした溶液(1当量のバニリンシアノヒドリン)を4時間かけて供給した後、15mlのメタノールで洗浄した。20分間にわたって撹拌した後、常圧に戻して75mlの水を添加した。この混合物を45℃にて撹拌して生成物を溶解させた後、触媒を濾過によって取り出した。触媒ケークを3×25mlの水で洗浄し、洗浄液を母液とまとめると、生成物の溶液が315g得られた。HPLCによると、その中には10.0%のAE-フェノールが含まれていた(収率86%)。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】化合物(I)を調製するための反応スキーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

(ただし、
Rはアルキニル基であり;
R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル-アルキル、フェニル、フェニルアルキルであり、これらの基はすべて、1又は数個の同じか異なるハロゲン原子;アルコキシ;アルケニルオキシ;アルキニルオキシ;アルコキシアルキル;ハロアルコキシ;アルキルチオ;ハロアルキルチオ;アルキルスルホニル;ホルミル;アルカノイル;ヒドロキシ;ハロゲン;シアノ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;カルボキシル;アルコキシカルボニル;アルケニルオキシカルボニル;アルキニルオキシカルボニルのいずれかを含むことが可能であり;
nは0〜3の整数である)の調製方法であって、
(i)一般式(III)の化合物:
【化2】

(ただし、
R、R1、nは上に定義した通りであり;
mとm'は、独立に0または1であり;
mとm'がどちらも0である場合には、Aは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれかであり(炭素原子は8個までであることが適当である)、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1又は数個の基で置換されており;
mとm'の一方が0で他方が1である場合には、Aは、少なくとも2個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが適当である)を含むアルカンジイル基、アルケンジイル基、アルキンジイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1又は数個の基で置換されており;
mとm'が両方とも1である場合には、Aは、少なくとも3個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが適当である)を含むアルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1又は数個の基で置換されており;
基Aが3個以上の炭素原子を含んでいる場合には、1又は数個の炭素原子は、それぞれ、場合によっては1個の酸素原子で置換されていてもよいが、その場合には少なくとも1個の炭素原子がこの分子内の任意の2つの酸素原子の間になければならない)を、一般式(IV)の化合物:
【化3】

と反応させて一般式(II)の化合物:
【化4】

(ただし、R、R1、nは上に定義した通りである)を取得し、
(ii)一般式(II)の化合物を
【化5】

(ただしLは離脱基である)と反応させて上に定義した一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項2】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)(a)一般式(V)の化合物:
【化6】

(ただし、R、R1、nは上に定義した通りである)をエステル化することによって、あるいは
(b)一般式(VI)の化合物:
【化7】

(ただし、R、R1、nは上に定義した通りである)を一般式:
【化8】

のアルコール(ただしA、m、m'は上に定義した通りである)と反応させることによって、あるいは
(c)一般式(VII)の化合物:
【化9】

(ただしR1、X、m、m'、n、Aは上に定義した通りであり、Xは離脱基である)をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させることによって、
一般式(III)の化合物を取得し;
(ii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iii)一般式(II)の化合物を
【化10】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項3】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)(a)一般式(VIII)の化合物:
【化11】

(ただしR1、n、Xは上に定義した通りである)をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させることによって、あるいは
(b)一般式(IX)の化合物:
【化12】

(ただしR1とnは上に定義した通りであり、Yは同じでも異なっていてもよく、アルコキシ基またはハロゲンである)を塩基の存在下でアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させることによって、あるいは
(c)一般式(X)の化合物:
【化13】

(ただしR1とnは上に定義した通りである)を塩基の存在下でアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)およびトリハロメタンと反応させることによって、
上に定義した一般式(V)の化合物を取得し;
(ii)一般式(V)の化合物をエステル化して上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iv)一般式(II)の化合物を
【化14】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を取得する操作を含む方法。
【請求項4】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(a)一般式(XI)の化合物:
【化15】

(ただしR、R1、nは上に定義した通りである)をシアン化剤と反応させることによって、あるいは
(b)(i)上に定義した一般式(XI)の化合物を塩素化剤と反応させて一般式(XII)の化合物:
【化16】

(ただしR、R1、nは上に定義した通りである)を取得し、
(ii)その後、一般式(XII)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、
上に定義した一般式(VI)の化合物を取得し、
(ii)一般式(VI)の化合物を一般式:
【化17】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iv)一般式(II)の化合物を
【化18】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項5】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)一般式(XIII)の化合物:
【化19】

(ただしR1、n、Xは上に定義した通りであり、Wはハロゲンである)を一般式:
【化20】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(VII)の化合物を取得し;
(ii)一般式(VII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)を反応させて一般式(III)の化合物を取得し;
(iii)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(iv)一般式(II)の化合物を
【化21】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項6】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)一般式(XIV)の化合物:
【化22】

(ただしR1とnは上に定義した通りである)のハロゲン化によって上に定義した一般式(VIII)の化合物を取得し;
(ii)一般式(VIII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(V)の化合物を取得し;
(iii)一般式(V)の化合物のエステル化によって上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化23】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項7】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)(a)トリハロメタン-アニオンを上に定義した一般式(X)の化合物に添加することによって;あるいは
(b)トリハロアセトアルデヒドを一般式(XV)の化合物:
【化24】

(ただしR1とnは上に定義した通りである)に添加することによって、
上に定義した一般式(IX)の化合物を取得し;
(ii)一般式(IX)の化合物を塩基の存在下でアルコールR-OHおよびトリハロメタンと反応させて上に定義した一般式(V)の化合物を取得し;
(iii)一般式(V)の化合物をエステル化して上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化25】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項8】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)上に定義した一般式(X)の化合物を酸の存在下でアルコールR-OHと反応させて上に定義した一般式(XI)の化合物を取得し;
(ii)(a)一般式(XI)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、あるいは
(b)(i)塩素化剤と反応させて上に定義した一般式(XII)の化合物を取得した後、(ii)一般式(XII)の化合物をシアン化剤と反応させることによって、
上に定義した一般式(VI)の化合物を取得し;
(iii)一般式(VI)の化合物を一般式:
【化26】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化27】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項9】
上に定義した一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)一般式(XVI)の化合物:
【化28】

(ただしR1、W、nは上に定義した通りである)のハロゲン化によって上に定義した一般式(XIII)の化合物を取得し;
(ii)一般式(XIII)の化合物を一般式:
【化29】

のアルコール(ただしm、m'、Aは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(VII)の化合物を取得し;
(iii)一般式(VII)の化合物をアルコールR-OH(ただしRは上に定義した通りである)と反応させて上に定義した一般式(III)の化合物を取得し;
(iv)一般式(III)の化合物を上に定義した一般式(IV)の化合物と反応させて上に定義した一般式(II)の化合物を取得し;
(v)一般式(II)の化合物を
【化30】

(ただしLは上に定義した通りである)と反応させて一般式(I)の化合物を得る操作を含む方法。
【請求項10】
Rが、エチニル、プロプ-1-イニル、プロプ-2-イニル、ブト-1-イニル、ブト-2-イニル、1-メチル-2-ブチニル、ヘクス-1-イニル、1-エチル-2-ブチニル、オクト-1-イニルのいずれかである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
Rがプロプ-2-イニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
R1が、4-クロロ、4-ブロモ、3,4-ジクロロ、4-クロロ-3-フルオロ、3-クロロ-4-フルオロ、4-メチル、4-エチル、4-プロパルギルオキシ、3-メチル、4-フルオロ、4-エテニル、4-エチニル、4-プロピル、4-イソプロピル、4-t-ブチル、4-エトキシ、4-エチニルオキシ、4-フェニルオキシ、4-メチルチオ、4-メチルスルホニル、4-シアノ、4-ニトロ、4-メトキシカルボニル、3-ブロモ、3-クロロ、2-クロロ、2,4-ジクロロ、3,4,5-トリクロロ、3,4-ジフルオロ、3,4-ジブロモ、3,4-ジメトキシ、3,4-ジメチル、3-クロロ-4-シアノ、4-クロロ-3-シアノ、3-ブロモ-4-メチル、4-メトキシ-3-メチル、3-フルオロ-4-メトキシ、4-クロロ-3-メチル、4-クロロ-3-トリフルオロメチル、4-ブロモ-3-クロロ、4-トリフルオロメチル、4-トリフルオロメトキシ、4-メトキシである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
R1が4-クロロである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
nが1である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
一般式(IV)の化合物:
【化31】

の調製方法であって、
(i)化合物(IVB):
【化32】


(a)5〜9のpHにてシアン化物と反応させた後、pHを3未満に小さくすることによって、あるいは
(b)有機溶媒または水性溶媒の中でHCNと反応させることによって、あるいは
(c)触媒量のシアン化物または一般的な塩基の存在下でアセトンシアノヒドリンと反応させることによって、
化合物(IVA):
【化33】

を取得し、
(ii)H2/Pd-CとH2SO4/MeOHを用いて化合物(IVA)を還元し、中間体(IVA')または(IVA"):
【化34】

とその互変異性体を経由して化合物(IV)を取得する操作を含む方法。
【請求項16】
一般式(IVA')の新規な中間体。
【請求項17】
一般式(IVA")の新規な中間体とその“ヒドロキシエナミン”互変異性体。
【請求項18】
上に定義した一般式(II)の化合物を調製する方法であって、
一般式(III)の化合物:
【化35】

(ただし、
R、R1、nは上に定義した通りであり;
mとm'は、独立に0または1であり;
mとm'がどちらも0である場合には、Aは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれかであり(炭素原子は8個までであることが好ましい)、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;
mとm'の一方が0で他方が1である場合には、Aは、少なくとも2個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが好ましい)を含むアルカンジイル基、アルケンジイル基、アルキンジイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;
mとm'が両方とも1である場合には、Aは、少なくとも3個の炭素原子(炭素原子は8個までであることが好ましい)を含むアルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基のいずれかであり、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C1〜4ジアルキルアミノ、シアノの中から独立に選択した1個以上の基で置換されており;
基Aが3個以上の炭素原子を含んでいる場合には、1個以上の炭素原子は、それぞれ、場合によっては1個の酸素原子で置換されていてもよいが、その場合には少なくとも1個の炭素原子がこの分子内の任意の2つの酸素原子の間になければならない)を一般式(IV)の化合物:
【化36】

と反応させる操作を含む方法。
【請求項19】
上に定義した一般式(II)、(III)、(V)、(VI)、(VII)、(XI)、(XII)いずれかの新規な中間体。
【請求項20】
R1がハロである、請求項16に記載の新規な中間体。
【請求項21】
R1が4-クロロである、請求項17に記載の新規な中間体。

【図1】
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【公表番号】特表2009−504715(P2009−504715A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526532(P2008−526532)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002946
【国際公開番号】WO2007/020381
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】