説明

マンニトールおよび/または微結晶性セルロースを含むジボテンタン組成物

N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミド(すなわちジボテンタン(zibotentan)、または、ZD4054)をマンニトールおよび/または微結晶性セルロースと共に含む医薬組成物を説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミド(以降、「化合物(I)とする)の新規の医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物、および、癌治療に使用するための医薬品の製造、および、この組成物を用いた温血動物(例えばヒト)における癌の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(I)は、エンドセリンアンタゴニストである。エンドセリンは、21種の内因性アミノ酸ペプチドの一種であり、3種のアイソフォーム、エンドセリン−1(ET−1)、エンドセリン−2およびエンドセリン−3を含む。エンドセリンは、それらの対応するプロエンドセリンのTrp21−Val22結合をエンドセリン変換酵素で切断することによって形成される。エンドセリンは、最も有力な血管収縮剤のなかでもよく知られたものであり、作用の持続時間が長いことを特徴とする。これらは、例えば細胞増殖および有糸分裂誘発、血管外漏出、および、走化性などの多様なその他の活性を示し、さらに、多数のその他の血管作用薬とも相互作用する。
【0003】
エンドセリンは、血管内皮、血管平滑筋、腎臓、肝臓、子宮、気道、腸および白血球などの各種の組織および細胞源から放出される。放出は、低酸素症、剪断応力、身体的な損傷、ならびに多様なホルモンおよびサイトカインによって刺激される可能性がある。癌などのヒトの多数の病態で高いエンドセリンレベルが見出されている。
【0004】
近年、エンドセリンA受容体アンタゴニストは、癌治療において有用である可能性があると認められている(Cancer Research,56,663−668,February 15th,1996、および、Nature Medicine,Volume 1,Number 9,September 1999,944−949)。
【0005】
世界的に、推測で1000万の人々が癌に冒されている。この数値は、発生、罹患および死亡した人数も含む。アジアから4400万を超える癌のケースが報告されており、なかでも東アジアからは2500万ケース報告されており、これは世界中で最も高い発生率である。比較すると、欧州は2800万ケース、北アメリカは1400万ケース、および、アフリカは627,000ケースが存在する。
【0006】
英国および米国において、米国、例えば、3人のうち1人より多くが、彼等の人生のうちどこかの時期に癌を発症すると予想される。米国における癌死亡率は、1年で約600,000件を占めると推測されており、これは、死亡件数4件毎に約1件にあたり、全死亡件数において心疾患に次いで二番目であり、1〜14歳の子供の死亡原因として事故に次いで二番目である。米国における推測の癌の発生率は、現在、新規症例でいえば毎年約1,380,000件である(ただし黒色癌以外の(基底細胞および扁平細胞)の皮膚癌である約900,000ケースを除く)。
【0007】
また癌は、英国においても罹患率の主な原因であり、1997年には約260,000件の新規症例(ただし黒色腫以外の皮膚癌を除く)が記録されている。癌は、主として年配の人々に影響を及ぼす病気であり、全ケースのうち65%が65歳を超える人々で起こっている。英国における平均寿命は19世紀の中ごろに比べてほぼ2倍になったため、癌の危険性がある個体群も増加した。心疾患のようなその他の死亡原因による死亡率は近年低下しつつあるが、癌による死亡は比較的安定したままである。その結果としては、3人のうち1人が、彼等の寿命中に癌と診断されると予想され、4人のうち1人がは、癌によって死亡すると予想される。75歳未満の人々において、癌による死亡は、虚血性心疾患および卒中などの循環系疾患による死亡を数で圧倒している。2000年に、癌による死亡は、151,200件であった。これらの5分の1より多く(22パーセント)は肺癌によるものであり、4分の1(26パーセント)は大腸、乳房および前立腺の癌によるものである。
【0008】
世界的に、所定のタイプの癌(胃、乳房、前立腺、皮膚など)の発生率および死亡率は、広範囲な地理的な差があるが、この原因は、人種、文化および特に環境の影響にある。200種を越える様々なタイプの癌があるが、4つの主要なタイプの癌、すなわち肺癌、乳癌、前立腺癌および結腸直腸癌が英国および米国で診断された全ケースの半分以上を占める。前立腺癌は、世界的に男性の間で第四の最も一般的な悪性疾患であり、1年で推測400,000件の新規症例が診断されており、これは全ての新規の癌症例のうち3.9パーセントを占める。
【0009】
現在の癌治療に関する選択肢としては、外科的切除、外部ビーム放射線療法、および/または、全身化学療法が挙げられる。これらは、ある種の癌の形態においては部分的に成功しているが、それ以外の癌の形態においてはうまくいっていない。新規の治療的処置が必要なのは明白である。
【0010】
化合物(I)は、WO96/40681で実施例36として例示され、説明されている。WO96/40681は、そこで説明された心臓血管疾患を治療するためのエンドセリン受容体を特許請求している。癌治療および痛みにおける化合物(I)の使用は、WO04/018044で説明されている。
【0011】
化合物(I)は、以下の構造を有し、ジボテンタン(zibotentan)としても知られている。
【0012】
【化1】

【0013】
WO04/018044において、エンドセリンヒト受容体結合の分析が説明されている。ET受容体における化合物(I)に関するpIC50(リガンドの50%を置換するのに必要な化合物濃度の負の対数)は、8.27[8.23−8.32](n=4)であった。従って化合物(I)は、優れたエンドセリンアンタゴニストである。
【0014】
WO96/40681は、一般論として、そこで説明された本発明の化合物を配合するのに使用可能な所定の医薬組成物(例えば、実施例71を参照)を開示している。
WO04/018044には、化合物(I)のラクトース製剤(化合物(I)、乳糖一水和物(充填剤)、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)、ポビドン(結合剤)、ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)、ヒプロメロース(フィルムコートの構成要素)、ポリエチレングリコール300(フィルムコートの構成要素)、二酸化チタン(フィルムコートの構成要素))が記載されている。
【0015】
この錠剤の製剤は、充填剤の乳糖一水和物をベースとし、白色のフィルムコートを含み、これは第IおよびII相の臨床試験に使用するために開発されたものであるが、以下の理由により、進行度が末期での使用には不適切であることが示された。
【0016】
・このような錠剤は、キャッピングおよび端部の損傷を受けやすいこと;
・活性成分が加水分解を受けること;
・活性成分が光に曝露した際に分解を受けること;および、
・EMEA/410/01 Rev.2 Note for Guidance on Minimising the Risk of Transmitting Animal Spongiform Encephalopathy Agents via Human and Veterinary Medicinal Products(2003年10月にCPMP/CVMPによって承認された)で説明されているような、TSE(Transmissible Spongiform Encephalopathy;感染性海綿状脳症)の伝播の危険が最小化されるように、乳糖一水和物に厳密な制御が適用されなければならないこと。
【0017】
用語「キャッピング」は、錠剤を形成するために材料を圧縮する間に、または、それに続く工程および/または取り扱いの際に、錠剤の上部または底部の表面から平皿形の層が完全にまたは部分的に分離することを意味する。キャッピングは、Carstensen,J.T.,Solid pharmaceutics:mechanical properties and rate phenomena,Academic press,New York(1980)、および、Sheth et al.,Pharmaceutical dosage forms:Tablets.Vol 1.Ed Liebermann and Lachmann,Pub.Marcel Dekker,New York(1980)で説明されている。
【0018】
用語「端部の損傷」は、錠剤を形成するために材料を圧縮する間に、または、それに続く工程および/または取り扱いの際に、錠剤の表面が相交わる領域から材料が欠けることを意味する。
【0019】
化合物(I)は、低いpHおよび高いpHで加水分解で処理され、その主要な分解産物生成物は、化合物(I)ホルミルヒドラジドである:
【0020】
【化2】

【0021】
時間とともに、化合物(I)のホルミルヒドラジドはさらに分解して化合物(I)ヒドラジドを形成する可能性がある:
【0022】
【化3】

【0023】
また化合物(I)ホルミルヒドラジドおよび化合物(I)ヒドラジドは、光に曝露した際の加水分解条件下でも形成される。光に曝露した後の主要な分解産物生成物は、固形状態の化合物(I)としてのデスピラジンである:
【0024】
【化4】

【0025】
一形態において、化合物(I)としてのホルミルヒドラジドを提供する。
一形態において、化合物(I)としてのヒドラジドを提供する。
一形態において、化合物(I)としてのデスピラジンを提供する。
【0026】
上記に加えて、それに続く加工または輸送の際に圧縮されたものがダメージを受けた状態にならないようにする錠剤は十分な硬度または十分な機械的強度を有する必要がある。これは、錠剤のサイズに関連し、キロポンド(kp)で測定した場合、典型的には15kp未満である。適切には、即時放出錠剤は、5〜20kpの範囲の硬度を有し、例えば約10kpの硬度を有する。
【0027】
破砕性は、機械的な撹拌を受けた場合(例えば、加工、取り扱いまたは輸送中)、錠剤の表面がダメージを受ける、および/または、ひび割れまたは破断の証拠を示すような現象である。
【0028】
崩壊は、流体と接触した場合、錠剤が壊れてそれを構成する粒子になる工程である。即時放出錠剤にとって、崩壊により表面積の増加が起こり溶解速度の増加が起こる可能性があるため、崩壊は望ましい特性である。インビボでの崩壊は、消化管への投与後するとすぐに(例えば15分間以内)起こると予想される。即時放出錠剤に関して、標準的な米国薬局方(USP)による崩壊方法を用いた場合の適切な崩壊時間は、例えば約3〜15分間の範囲であり、典型的には5〜8分間の範囲である。一般的にインビボでの設定において、即時放出錠剤は、口腔中で有意な崩壊を示すようには設計されていない。むしろ崩壊は上部消化管で起こり、胃で優勢に起こる。即時放出錠剤の製剤は、錠剤の崩壊を促進するために崩壊剤を含んでいてもよい。
【0029】
即時放出は、胃腸の内容物中で薬物を溶解させることを可能にするものであり、薬物の溶解または吸収を遅らせたり、または引き延ばすことは意図されてない(ICH Guideline Q6A;“Specifications:Test Procedures and Acceptance Criteria for New Drug Substances and New Drug Products:Chemical Substances” Published in the Federal Register,December 29,2000,Volume 65,Number 251,Notices,Page 83041−83063)。
【0030】
溶解は、流体に晒された後に錠剤から活性物質が放出されて、薬物が流体に溶解した状態になる工程のことである。流体は、試験目的の場合、一般的には消化管内の状態が模擬されるように選択され、最も一般的には低pHまたは中性pHの水性媒体である。即時放出錠剤の場合、溶解は迅速であると予想され、例えば、実質的に、標準的な試験条件下で流体に晒した後45分間以内に完了すると予想される。例えば、溶解は、溶解媒体として900mLの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.8)を用いた装置2(Apparatus 2)、および、50rpmの撹拌器速度を用いた一般的なUSPの方法に従って測定した。典型的なUSP承認の即時放出錠剤からの溶解に関する溶解した活性成分の量の基準は、典型的には、錠剤中で活性成分が75〜80質量%である。硬度の増加により崩壊時間の増加が起こり、それにより溶解速度が低下する可能性があるという点で、錠剤の硬度、崩壊時間および溶解速度は相互に関連している可能性がある。即時放出錠剤に関して目標となるプロファイルは、砕けやすい問題を防ぎ得る十分な硬度を有するが、消化管内で急速に崩壊および溶解するプロファイルである。適性の評価は、錠剤硬度の決定から着手される場合があり、それ続いて、適切であれば、崩壊試験および/または溶解試験などのより複雑な試験が行われる。
【0031】
上述の化合物(I)を含むラクトース製剤を用いて問題を解決しようとする試みにおいて、化合物(I)を含む組成物の代替の充填剤を調査した。許容できる結果から、1.5%を超える最大の全不純物量、および、溶解に関しては45分間にわたり80%の最小の溶解が示された(本明細書において以下の実施例の章で説明した通り)。
【0032】
充填剤としてのリン酸カルシウム二水和物(欧州薬局方(PhEur)で定義された通り)(CalipharmTM)Dと共に化合物(I)を含むように製造された錠剤コアが、特に溶解性能に関して劣っていた。同様に、充填剤として重質炭酸マグネシウムを使用(PhEurで定義された通り)しても、不純物レベルに関して性能が不十分な錠剤コアしか得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】WO96/40681
【特許文献2】WO04/018044
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】Cancer Research,56,663−668,February 15th,1996
【非特許文献2】Nature Medicine,Volume 1,Number 9,September 1999,944−949
【非特許文献3】EMEA/410/01 Rev.2 Note for Guidance on Minimising the Risk of Transmitting Animal Spongiform Encephalopathy Agents via Human and Veterinary Medicinal Products
【非特許文献4】Carstensen,J.T.,Solid pharmaceutics:mechanical properties and rate phenomena,Academic press,New York(1980)
【非特許文献5】Sheth et al.,Pharmaceutical dosage forms:Tablets.Vol 1.Ed Liebermann and Lachmann,Pub.Marcel Dekker,New York(1980)
【非特許文献6】ICH Guideline Q6A;“Specifications:Test Procedures and Acceptance Criteria for New Drug Substances and New Drug Products:Chemical Substances” Published in the Federal Register,December 29,2000,Volume 65,Number 251,Notices,Page 83041−83063
【発明の概要】
【0035】
微結晶性セルロースは吸湿性であることから(例えば:‘Equilibrium moisture content of pharmaceutical excipients’Callahan,J.C,Cleary,G.W.,Elefant,M.,et al,Drug Dev Ind Pharm 1982;8;355−369を参照)、それを充填剤として用いた錠剤の貯蔵中に水分を取り込むことが期待された(化合物(I)の加水分解を引き起こす)。しかしながら、驚くべきことに、我々は、賦形剤の1種として微結晶性セルロースを含む所定の錠剤組成物は、化合物(I)の過剰な加水分解をまったく引き起こすことがないことを見出した。所定のその他の賦形剤と一緒に充填剤として微結晶性セルロースを含む化合物(I)を含む錠剤コアは有意なキャッピングまたは端部の損傷を示さず、溶解性能に関して許容できる結果を示し、さらに、遮光された場合は有意な化学分解を示さなかった。光に晒した後ある程度の分解が観察されたが、この研究における錠剤は、フィルムコートされていなかった。
【0036】
より早期に製造されたマンニトールベースの製剤を含むプラセボの錠剤コアは、これらの錠剤コア(化合物(I)含まず)は貯蔵中に硬くなりやすいため、崩壊時間の増加を招くことを示したにも関わらず、充填剤としてマンニトールと共に化合物(I)が含まれるように製造された錠剤コアは、硬度実験で許容できる結果を示した。これらのマンニトールベースの錠剤コアも溶解性能に関して許容できるものであり;および、高温および高湿度で保存された場合、製剤の1つにおいて溶解性能の劣化が観察されたにもかかわらず、この作用は、製剤中に存在する崩壊剤および/または結合剤が原因と考えられており、溶解性能を評価するために用いられた基準に関して有意とはみなされなかった。
【0037】
充填剤としてマンニトールと微結晶性セルロースの両方を含む、化合物(I)を含むおよび含まない錠剤コアは、長期にわたる硬度および物理的安定性の両方に関して許容できるものであった。また充填剤としてマンニトールおよび微結晶性セルロースの両方を含む化合物(I)を含む錠剤コアも、微結晶性セルロースは吸湿性の性質を有するにもかかわらず過剰な加水分解を示さず、溶解に関して許容できるものであった。
【0038】
マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)の製剤は、以下から選択される1種またはそれより多くの有利な特性を有する。
・このような製剤は、TSE伝播の可能性を最小化するために厳密な制御を必要としない賦形剤を使用していること
・このような製剤が錠剤の形態である場合、製剤は、以下の特性の1またはそれより多くを示すため物理的に安定であること
・このような製剤は、有意なキャッピング/端部の損傷を受けないこと
・このような製剤は、貯蔵時に硬くなる傾向が少ないこと
・このような製剤は、貯蔵時に有意な量の水を吸収しないこと
・このような製剤は、化合物(I)の加水分解レベルが低いという点で化学的に安定であること
それゆえに、本発明の一形態において、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書において「マンニトールおよび/または微結晶性セルロース」という場合、本発明の一形態において、これは、マンニトールを含むが微結晶性セルロースを含まないことを意味する。本発明のさらなる形態において、これは、微結晶性セルロースを含むが、マンニトールは含まないことを意味する。本発明のさらなる形態において、これは、マンニトールおよび微結晶性セルロースの両方を意味する。
【0040】
本発明のその他の形態において、化合物(I)、マンニトールおよび微結晶性セルロースを含む医薬組成物を提供し、ここでマンニトール:微結晶性セルロースの質量比は、約10:1〜約1:2である。例えば、マンニトール:微結晶性セルロースの質量比は、約10:1〜約1:1である。その他の実施態様において、マンニトール:微結晶性セルロースの質量比は、約8:1〜約2:1である。さらなる実施態様において、マンニトール:微結晶性セルロースの質量比は、約7:1〜約5:1である。例えば、マンニトール:微結晶性セルロースの質量比は、約6:1である。
【0041】
微結晶性セルロースは、欧州薬局方(PhEur)で説明されている通り、「セルロース、微結晶性」を意味する。本発明に係る組成物は、例えば錠剤のような医薬組成物に使用するのに適していればどのような微結晶性セルロースを使用していてもよい。一実施態様において、微結晶性セルロースのグレードは、特定の表面積によって定義することもでき、例えばプラセボ錠剤の場合は1.21〜1.30m/gであり、化合物(I)を含む錠剤の場合は1.06〜1.12m/gである。その他の実施態様において、微結晶性セルロースは、約40〜約120μm、例えば約50〜約100μmの範囲の平均粒度を有する。具体的な実施態様において、微結晶性セルロースは、約50μmの平均粒度を有する。その他の具体的な実施態様において、微結晶性セルロースは、約100μmの平均粒度を有する。適切には、微結晶性セルロースのかさ密度は、(組成物に取り込まれる前に)約0.25〜約0.38g/cmである。例えば一実施態様において、かさ密度は、約0.26〜約0.31g/cmである。その他の実施態様において、かさ密度は、0.28〜約0.33g/cmである。一実施態様において、微結晶性セルロースは、本発明に係る組成物に取り込まれる前は実質的に水分を含まない(例えば、3、2または1質量%未満の水を含む)。その他の実施態様において、微結晶性セルロースは、組成物に取り込まれる前は約3〜6質量%の水、例えば約5%の水を含む。また、本明細書で用いられる微結晶性セルロースは、商標名アビセル(Avicel(R))(例えばFMC社)で販売されている微結晶性セルロースを意味する場合もある。一実施態様において、微結晶性セルロースは、アビセル(R)PH−101である。その他の実施態様において、微結晶性セルロースは、アビセル(R)PH−102である。
【0042】
さらに代替の崩壊剤も調査した。崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウムの使用(PhEurで述べられている)は、クロスポビドンと比較してより低いレベルの不純物しか生じないことが見出された。
【0043】
一形態において、本医薬組成物はさらに、1種またはそれより多くの崩壊剤を含む。その他の形態において、本医薬組成物はさらに、1種の崩壊剤を含む。その他の形態において、本医薬組成物はさらに、クロスカルメロースナトリウムを含む。医薬製剤に適していればどのようなグレードのクロスカルメロースナトリウムを使用してもよく、例えばアクジゾル(Ac−Di−Sol)(FMC社)を使用してもよい。
【0044】
一形態において、本医薬組成物はさらに、1種またはそれより多くの結合剤を含む。適切な結合剤としては、例えば、ラクトース、スターチ、加工デンプン、糖類、アラビアゴム、トラガカントゴム、グアールガム、ペクチン、ワックス系結合剤、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コポリビドン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)、および、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。その他の形態において、本医薬組成物はさらに、ラクトース、スターチ、加工デンプン、糖類、アラビアゴム、トラガカントゴム、グアールガム、ペクチン、ワックス系結合剤、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コポリビドン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、および、アルギン酸ナトリウムから選択される1種の結合剤を含む。その他の形態において、本医薬組成物はさらに、ポビドンを含む。
【0045】
当業者であれば、錠剤の構成要素は、1つより多くの能力において作用し得ることを理解しているものとする。例えばいくつかの実施態様において、微結晶性セルロースは、結合剤および/または崩壊剤として作用し、同様に、充填剤として作用する可能性がある。
【0046】
それについて特に「ポビドン」という場合、これは、N−ビニルピロリドン(また、1−ビニル−2−ピロリジノンポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビドン;または、PVPとしても知られている)からなる合成の水溶性ホモポリマーを意味する。様々な分子量を有する様々なグレードのポビドンが利用可能である。ポビドンのグレードは、K値で示されることが多いが、これは希釈溶液の粘度測定から計算され、重合度または分子のサイズを示すのに用いられる。低いK値は、低分子量を示し、高いK値は高分子量を示す。例えば、グレードK−12のポビドンは、およそ4000の重量平均分子量を有し、K−17は約10,000、K−26は約34,000、K30は約49,000、および、K−29/32は約58,000の重量平均分子量を有する。本発明の一実施態様において、ポビドンは、グレードK30である。その他の実施態様において、ポビドンは、ポビドンK29/32(例えば、プラスドン(PlasdoneTM)K29/32)である。その他の実施態様において、ポビドンは、コリドン(KollidonTM)K30である。
【0047】
一形態において、本医薬組成物はさらに、1種またはそれより多くの滑沢剤を含む。適切な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバ蝋、硬化植物油、ミネラルオイル、ポリエチレングリコール、および、フマル酸ステアリルナトリウムが挙げられる。その他の形態において、本医薬組成物はさらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバ蝋、硬化植物油、ミネラルオイル、ポリエチレングリコール、および、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される1種の滑沢剤を含む。その他の形態において、本医薬組成物はさらに、ステアリン酸マグネシウムを含む。
【0048】
一形態において、本医薬組成物は、2〜40質量%の化合物(I)を含む。例えば本医薬組成物は、2〜25質量%の化合物(I)を含む。一実施態様において、本組成物は、2〜20質量%の化合物(I)を含む。具体的に、本組成物は、4.5〜8.5質量%の化合物(I)を含む。適切には、本発明に係る組成物、例えばカプセルまたは錠剤は、10mgの化合物(I)を含む。その他の形態において、本組成物、例えばカプセルまたは錠剤は、15mgの化合物(I)を含む。
【0049】
その他の形態において、本医薬組成物は、50〜95質量%の充填剤を含む。その他の形態において、本組成物は、82〜85質量%の充填剤を含む。具体的には、本組成物は、84〜88質量%の充填剤を含む。
【0050】
一形態において、充填剤は、マンニトールである。その他の形態において、充填剤は、微結晶性セルロースである。その他の形態において、充填剤は、マンニトールおよび微結晶性セルロースである。一実施態様において、本組成物は、約65〜75質量%のマンニトールを含み、例えば約71〜74質量%のマンニトールを含む。その他の実施態様において、本組成物は、約10〜15質量%の微結晶性セルロースを含み、例えば約12〜13質量%の微結晶性セルロースを含む。具体的には、本組成物は、12.5〜16.5質量%の微結晶性セルロースを含む。その他の実施態様において、本組成物は、約65〜75質量%のマンニトール、および、約10〜15質量%の微結晶性セルロースを含む。
【0051】
その他の形態において、本医薬組成物は、1〜5質量%の崩壊剤を含む。具体的には、本医薬組成物は、2.5〜3.5質量%の崩壊剤を含む。
その他の形態において、本医薬組成物は、1〜5質量%の結合剤を含む。具体的には、本医薬組成物は、2.5〜3.5質量%の結合剤を含む。
【0052】
典型的には、1種またはそれより多くの滑沢剤は、0.5〜2.5質量%の量で、具体的には0.75〜2質量%の量で、および、特に0.75〜1.25質量%の量で存在すると予想される。
【0053】
一形態において、本発明は:
・4.5〜8.5質量%の量の化合物(I);
・71〜76質量%(例えば、71.5〜75.5質量%)の量のマンニトール;および、
・10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース、
を含む医薬組成物に関する。
【0054】
その他の形態において、本発明は:
・4.5〜8.5質量%の量の化合物(I);
・71〜76質量%(例えば、71.5〜75.5質量%)の量のマンニトール;
・10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・2.5〜3.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;
・2.5〜3.5質量%の量の1種またはそれより多くの結合剤;および、
・0.75〜2.0質量%(例えば、0.75〜1.25質量%)の量の1種またはそれより多くの滑沢剤、
を含む医薬組成物に関する。
【0055】
その他の形態において、本発明は:
・4.5〜8.5質量%の量の化合物(I);
・71〜76質量%(例えば、71.5〜75.5質量%)の量のマンニトール;
・10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・2.5〜3.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;
・2.5〜3.5質量%の量の1種またはそれより多くの結合剤;および、
・0.75〜2.0質量%(例えば、0.75〜1.25質量%)の量でのステアリン酸マグネシウム、
を含む医薬組成物に関する。
【0056】
その他の形態において、本発明は:
・4.5〜8.5質量%の量の化合物(I);
・71〜76質量%(例えば、71.5〜75.5質量%)の量のマンニトール;
・10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・2.5〜3.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;
・2.5〜3.5質量%の量のポビドン(例えば、コリドンTMK−30またはプラスドンTMK29/32);および、
・0.75〜2.0質量%(例えば、0.75〜1.25質量%)の量の1種またはそれより多くの滑沢剤、
を含む医薬組成物に関する。
【0057】
その他の形態において、本発明は:
・4.5〜8.5質量%の量の化合物(I);
・71〜76質量%(例えば、71.5〜75.5質量%)の量のマンニトール;
・10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・2.5〜3.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;
・2.5〜3.5質量%の量のポビドン(例えば、コリドンTMK−30またはプラスドンTMK29/32);および、
・0.75〜2.0質量%(例えば、0.75〜1.25質量%)の量でのステアリン酸マグネシウム、
を含む医薬組成物に関する。
【0058】
当然ながら、本明細書において、組成物が組成物の構成要素の質量%で説明されている場合、組成物の全ての構成要素の質量%の合計は100%である。
さらなる形態において、本発明は、本明細書において説明されているように、直接圧縮または湿式造粒法によって製造された医薬組成物に関する。本明細書において説明される錠剤は、造粒によって製造してもよく、具体的には湿式造粒法、または、直接圧縮によって製造してもよい。
【0059】
直接圧縮法においては、医薬物質、圧縮可能な充填剤およびその他の成分は必要に応じて均一な組成物になるまで混合され、続いてタブレットプレス機で圧縮されて錠剤が製造される。直接圧縮法で用いられる全ての材料は、混合中の分離を避け、適切な流れおよび圧縮特性が確保されるように、粒度分布、密度、物理的形状に関して慎重に選択しなければならない。
【0060】
またこのような特性は、造粒によって与えられる場合もあり、ここで造粒とは、一次粒子(粉末)を、凝集させて顆粒と呼ばれるより大きい多重粒子体が形成されるように製造する工程である。通常、造粒は、混合によって成分の分布が適度に均一になるように粉末化した成分を最初に乾式混合した後、開始される。造粒法は2つのタイプに分けることができ、1つは顆粒を形成するのに液体を利用する湿式造粒法であり、もう1つはそのようなものを利用しない乾式の方法である。
【0061】
湿式造粒法は、造粒しようとする構成要素を、乾燥混合物(例えば、化合物(I)、希釈剤、崩壊剤、および、任意に結合剤)として混合することを含む。続いて、顆粒を形成するために、このような乾燥混合物を造粒用流体(granulating fluid)を用いて結集させる。造粒工程中に、十分な量の造粒用流体が、顆粒を形成するための上記乾燥混合物に添加され、例えば10〜50質量%、適切には15〜25質量%の造粒用流体が造粒中に乾燥混合物に添加される。造粒用流体は溶媒を含んでいてもよく、ここで溶媒は、乾燥させることにより除去することができ、さらに非毒性である。しかしながら、適切には、造粒用流体は水である。造粒用流体は、単独で用いてもよいし、または、粒子が乾燥状態で確実に凝集するように結合剤(バインダー)と共に用いてもよい。上記系に、結合剤を添加してもよく、これは、結合剤溶液として(造粒用流体の一部として)添加してもよいし、または、一次粉末の粒子と混合した乾燥材料として(乾燥混合物の一部として)添加してもよい。適切には、混合物中で実質的に均一の液状内容物が得られるように、造粒用液体は乾燥粉末混合物に添加され、例えば、造粒中に粉末上に液体を噴霧することによって添加される。湿式造粒機がよく知られており、湿式顆粒を形成するのにあらゆる適切な造粒機が使用できる。3種の主要なタイプの湿式造粒機、すなわち、剪断造粒機(例えば、プラネタリーミキサー)、高剪断ミキサー造粒機(例えば、ベクター(Vector)、フィールダー(Fielder)、または、ディオズナ(Diosna))、および、流動層造粒機(例えば、エアロマティック(Aeromatic)、または、グラット(Glatt))がある。
【0062】
湿式造粒法を行った後、造粒中に形成される可能性があるあらゆる大きい塊を除去するために、得られた湿った塊をコースメッシュ(course mesh)(例えば、9mmメッシュ)に通過させてもよい。このような顆粒を、例えば流動層乾燥のような適切な乾燥方法を用いて適切な含水量になるまで乾燥させ、典型的には含水量が2質量%未満になるまでまで乾燥させる。続いて、より同質の粒度分布が得られるように、得られた顆粒を任意に磨砕してもよい。
【0063】
乾式造粒法において、一次粒子の粉末は、加圧下で(または圧縮下で)凝集する。2種の主要な工程があり:すなわち、頑丈なタブレットプレス機を用いて大きい錠剤(また、スラッグ(slug)としても知られている)を製造する工程か、または、粒子粉末を2つのローラー間で圧縮して、材料のシートまたは「リボン」を製造する工程である(これは、ローラー圧縮として知られている工程である)。いずれのケースにおいても、圧縮された材料は、顆粒状の材料を製造するのに適切な磨砕技術を用いて磨砕される。続いてこのような顆粒を標準的なタブレットプレス機で圧縮し、錠剤を製造することができる。
【0064】
造粒後、得られた顆粒はカプセル組成物で用いてもよいし、または、圧縮して錠剤を形成してもよい。適切に錠剤を形成するために、これらの顆粒を滑沢剤とブレンドして、錠剤に圧縮してもよい。続いて本明細書において説明されているような錠剤に、適切なコーティングをに適応してもよい。
【0065】
一形態において、本明細書において開示された、直接圧縮法によって製造された経口投与に適した医薬組成物を提供する。
その他の形態において、本明細書において開示されたように、湿式造粒法によって製造された経口投与に適した医薬組成物を提供する。
【0066】
その他の形態において、本明細書において開示されたように、乾式造粒法によって製造された経口投与に適した医薬組成物を提供する。
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物に関する。
【0067】
このような本発明の湿式造粒法の形態において、本発明者等は、湿式造粒グレードのマンニトールを用いた場合、柔らかく砕けやすい錠剤が製造されることを見出した。しかしながら、本明細書において説明される湿式造粒法で直接圧縮グレードのマンニトールを用いたところ、この問題は回避された。
【0068】
本発明のさらなる特徴において、本発明者等は、直接圧縮グレードのマンニトールを用いれば、湿式造粒法および直接圧縮法のどちらでも好ましい組成物の十分なバッチを製造できることを見出した。
【0069】
メルク・ケミカルズ社(Merck Chemicals Ltd.)から供給されている「直接圧縮グレードのマンニトール」、例えばパーテック(ParteckTM)Mグレードのマンニトールは、マンニトールを針状のミクロ構造で結晶化させ、同時に顆粒状のマクロ構造を構築する噴霧乾燥工程によって製造することができる。直接圧縮グレードのマンニトールの平均粒度は、適切には、約150〜350μmであり、例えば200〜300μmである。直接圧縮グレードのマンニトールは、適切には約0.45〜0.50g/mlのかさ密度を有する。噴霧乾燥によって製造された直接圧縮グレードのマンニトールの例としては、パーテックTMM200、パーテックTMM300、パーリトール(PearlitolTM)SD200、または、マンノゲム(MannogemTM)EZが挙げられる。本発明の一実施態様において、マンニトールは、パーテックTMM200である。
【0070】
「湿式造粒グレードのマンニトール」は、一般的に、直接圧縮グレードのマンニトールと比較して、顆粒状の粒子形状を多く有する。湿式造粒グレードのマンニトールは、適切には約200〜300μmの範囲の平均粒度を有する。例えば、ロケットフレール社(Roquette Freres S.A.)から供給されたパーリトールTM160Cは、160ミクロンの平均直径を有する立方晶系結晶を含む。
【0071】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物に関し、ここで直接圧縮グレードのマンニトールは、湿式造粒法で用いられる。
【0072】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって製造された、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物に関し、ここで直接圧縮グレードのマンニトールは、湿式造粒法で用いられる。
【0073】
マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む組成物が湿式造粒法によって製造される場合、特に直接圧縮グレードのマンニトールが用いられる。
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、化合物(I)、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、結合剤および滑沢剤を含む医薬組成物に関する。
【0074】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、化合物(I)、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、結合剤、および、ステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物に関する。
【0075】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、化合物(I)、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドンおよび滑沢剤を含む医薬組成物に関する。
【0076】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、化合物(I)、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドンおよびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物に関する。
【0077】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる、化合物(I)、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよび結合剤を含む医薬組成物に関する。
【0078】
その他の形態において、本発明は、湿式造粒法によって得ることができる薬物錠剤組成物に関し、ここで湿式造粒法は:
(i)化合物(I)、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよび結合剤を湿式造粒すること;
(ii)得られた顆粒を滑沢剤とブレンドすること;および、
(iii)工程(iii)で得られた混合物を錠剤に圧縮すること、
を含む。
【0079】
これらの実施態様において、本明細書において説明されるあらゆるマンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、結合剤および滑沢剤が使用できる。具体的な実施態様において、マンニトールは、直接圧縮グレードのマンニトールであり、例えばパーテックM200である。
【0080】
一形態において、本医薬組成物は、固形の剤形であり、例えば錠剤またはカプセルである。その他の形態において、本医薬組成物は、錠剤の形態である。本発明のさらなる特徴において、本組成物は、即時放出するように設計された錠剤の形態である。即時放出錠剤は、適切には、すでに説明したように投与後迅速に崩壊すると予想される。例えば、インビトロでの溶解時間は、典型的には約3〜15分間、典型的には5〜8分間であることが示されている。
【0081】
本発明のさらなる形態によれば、本発明に係る医薬組成物の製造方法が提供され、本方法は、化合物(I)とマンニトールおよび/または微結晶性セルロースとを混合すること、および、この混合物を例えば錠剤またはカプセルのような1回投与量にすることを含む。
【0082】
本方法の一実施態様において、化合物(I)とマンニトールおよび/または微結晶性セルロース(および必要に応じて、その他の任意の成分、例えば、すでに説明したような結合剤および崩壊剤)とを混合した後、この混合物を造粒し、適切な1回投与量にする。適切な造粒方法は、すでに説明した通りである。例えばこのような混合物は、本明細書において説明されているようにして湿式造粒してもよい。本組成物中に結合剤が用いられる場合、結合剤(例えばPVP)は、乾燥粉末として造粒する前に、混合物に包含させてもよい。あるいは、結合剤は、湿式造粒用液体との溶液または分散液として添加してもよい。造粒後、顆粒をすでに説明したように乾燥させ、磨砕して、例えば錠剤に圧縮してもよい。適切には、本組成物は、以下で説明されているように化合物(I)を光分解から保護するための手段と共に提供される。例えば、本組成物が錠剤の形態である場合、錠剤は、以下で説明されているような遮光コーティングと共に提供される。
【0083】
従って、本発明のさらなる形態において、本発明に係る薬物即時放出錠剤組成物の製造方法を提供し、本方法は:
(i)化合物(I)とマンニトールおよび/または微結晶性セルロースとを混合すること;
(ii)工程(i)で形成された混合物を造粒して、顆粒を形成すること;
(iii)任意にこの顆粒を磨砕すること;
(iv)この顆粒を滑沢剤と混合すること;および、
(v)顆粒を圧縮して錠剤にすること、
を含む。
【0084】
上記で説明した方法の工程(i)における混合物に、追加の賦形剤、例えば崩壊剤および結合剤が含まれていてもよく、これは実施例で説明される。
具体的な実施態様において、造粒工程(ii)は、上記で説明したような湿式造粒法である。造粒工程(ii)が湿式造粒法である場合、顆粒は、適切には、(行われる場合は)磨砕の前に乾燥させ、続いて錠剤に圧縮する。
【0085】
薬物即時放出錠剤組成物の製造方法のさらなる実施態様において、本方法は、工程(v)からの錠剤をフィルムコーティングでコーティングすることをさらに含む。
化合物(I)は、所定の結晶性形状で存在する。本発明の具体的な形態において、化合物(I)は結晶性形状で存在しており、これは、ケンブリッジ結晶構造データベース(Cambridge crystallographic database)でフォーム1と称される。[N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−[4−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−3−スルホンアミド(ZD4054フォーム1).Acta Crystallographica,Section E:Structure Reports Online(2004),E60(10),o1817−o1819。
【0086】
その他の形態において、本発明は、上記で定義された医薬組成物に関し、ここで化合物(I)は結晶性形状である。
さらにその他の形態において、本発明は、実質的にフォーム1としての化合物(I)を含む上記で定義された医薬組成物に関する。
【0087】
実質的にフォーム1としてとは、95%より多くのフォーム1が存在することを意味する。具体的には、96%より多くのフォーム1が存在する。具体的には、97%より多くのフォーム1が存在する。具体的には、98%より多くのフォーム1が存在する。具体的には、99%より多くのフォーム1が存在する。具体的には、99.5%より多くのフォーム1が存在する。具体的には、99.8%より多くのフォーム1が存在する。
【0088】
すでに述べたように、本組成物が錠剤の形態である場合、錠剤は、適切には、フィルムでコーティングされる。我々は、着色されていない(白色の)フィルムコーティングを、コア質量に対して2.3%〜約3.25%のレベルで有するコーティングされた錠剤コアは、光に晒した後化合物(I)の化学分解を示したことを見出した。酸化鉄顔料をコア質量に対して3.5%のレベルで含むフィルムコートでコーティングされた錠剤コアは、光に晒した後も有意な化学分解を示さなかった。それより低いレベルで酸化鉄顔料を含むフィルムコーティングを含むコーティングは、二酸化チタンを含む白色のフィルムコートの使用と比較して、光による化合物(I)の分解を減少させる可能性がある。本発明の一実施態様において、本組成物は、酸化第二鉄を含むコーティング、適切にはフィルムコーティングでコーティングされた錠剤の形態である。この実施態様において、酸化第二鉄は、適切には、錠剤の約0.025〜0.075質量%で存在し、例えば錠剤の約0.05質量%で存在する。酸化第二鉄のコーティングは、例えばカラコン社(Colorcon Inc)から供給されたオパドライ(OpadryTM)フィルムのような市販のコーティングを用いて塗布してもよい。
【0089】
着色された(具体的にはベージュ色の)フィルムをコーティングを含む化合物(I)の製剤は、光誘起性の分解レベルが低いことから化学的に安定であるという点で、このような製剤は後期の製薬開発における薬剤の固形の剤形に関する必要条件を満たす。
【0090】
一形態において、本医薬組成物は、1またはそれより多くの着色剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、3種の着色剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、酸化鉄顔料を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、酸化鉄顔料を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、酸化鉄(黄色)、酸化鉄(赤色)および酸化鉄(黒色)を含むコーティングを有する錠剤である。酸化鉄顔料を含むコーティングは市販されており、例えばオパドライ・ベージュ(Opadry Beige)(カラコン03B27164)があり、これは、錠剤に水溶液または懸濁液として塗布してもよい
一形態において、本医薬組成物は、コーティング質量が例えば錠剤コア質量の1〜10%の錠剤であり、例えば錠剤コア質量の2〜10質量%、例えば錠剤コア質量の3〜6質量%の錠剤である。具体的には、コーティング質量は、錠剤コア質量の3〜4質量%である。その他の実施態様において、コーティング質量は、錠剤コア質量の約1〜約2質量%である。
【0091】
一形態において、本医薬組成物は、1種またはそれより多くのフィルム形成剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、1種のフィルム形成剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、水溶性フィルム形成剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばヒプロメロース2910(PhEurで定義されている)を含むコーティングを有する錠剤である。
【0092】
一形態において、本医薬組成物は、1種またはそれより多くの乳白剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、1種の乳白剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、二酸化チタンを含むコーティングを有する錠剤である。
【0093】
一形態において、本医薬組成物は、1種またはそれより多くの可塑剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、1種の可塑剤を含むコーティングを有する錠剤である。その他の形態において、本医薬組成物は、ポリエチレングリコール可塑剤、例えばマクロゴール400(PhEurで定義されている)を含むコーティングを有する錠剤である。
【0094】
錠剤のコーティングは、従来の当業界公知の方法を用いて行ってもよく、例えばパンコーティング装置でコーティングを用いて行ってもよい。フィルムコートは、錠剤コア上にフィルム形成剤、乳白剤、可塑剤および着色剤の水性懸濁液を噴霧することによって塗布してもよい。
【0095】
その他の形態において、本発明は、式(I)で示される化合物を含む医薬組成物に関し、この組成物は、酸化鉄(黄色)、酸化鉄(赤色)および酸化鉄(黒色)を含むコーティングを有する錠剤である。
【0096】
その他の形態において、本発明は、式(I)で示される化合物を含む医薬組成物に関し、この組成物は、ヒプロメロース2910、二酸化チタン、マクロゴール400、酸化鉄(黄色)、酸化鉄(赤色)および酸化鉄(黒色)を含むコーティングを有する錠剤である。
【0097】
その他の形態において、本発明は、マンニトールおよび/または微結晶性セルロースを含み、さらに酸化鉄(黄色)、酸化鉄(赤色)および酸化鉄(黒色)を含むコーティングを含む、式(I)で示される化合物を含むコアを含む錠剤に関する。
【0098】
その他の形態において、本発明は、マンニトールおよび/または微結晶性セルロースを含み、さらに、ヒプロメロース2910、二酸化チタン、マクロゴール400、酸化鉄(黄色)、酸化鉄(赤色)および酸化鉄(黒色)を含むコーティングを含む、式(I)で示される化合物を含むコアを含む錠剤に関する。
【0099】
その他の形態において、コーティングは、50〜75質量%のフィルム形成剤を含む。具体的には、コーティングは、60.5〜64.5質量%のフィルム形成剤を含む。
その他の形態において、コーティングは、20〜40質量%の乳白剤を含む。具体的には、コーティングは、27.5〜31.5質量%の乳白剤を含む。
【0100】
その他の形態において、コーティングは、5〜20質量%の可塑剤を含む。具体的には、コーティングは、4.5〜8.5質量%の可塑剤を含む。
その他の形態において、コーティングは、0.5〜10質量%の着色剤を含む。具体的には、コーティングは、1〜2質量%の着色剤を含む。
【0101】
その他の形態において、コーティングは、0.025〜0.075質量%の酸化鉄顔料を含む。
その他の形態において、コーティングは、0.025〜0.075質量%の酸化鉄顔料)、および、0.8〜1.2質量%の二酸化チタンを含む。例えば、約0.05%の酸化鉄、および、約1質量%の二酸化チタンを含むコーティングであり、ここで質量は、コーティングが塗布される錠剤コア質量に対する質量%である。
【0102】
一形態において、本発明は、錠剤コアおよびコーティングを含む医薬組成物に関し、ここで錠剤コアは:
・コアの4.5〜8.5質量%の量のの化合物(I);
・コアの71.5〜75.5質量%の量のマンニトール;および、
・コアの10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース、
を含み;および、ここで錠剤コア上のコーティングは:
・コーティングの0.75〜1.75質量%の量の酸化鉄(黄色);
・コーティングの0.1〜0.6質量%の量の酸化鉄(赤色);および、
・コーティングの0.06〜1質量%の量の酸化鉄(黒色)、
を含む。
【0103】
その他の形態において、本発明は、式(I)で示される化合物を含むコア、および、コーティングを含む医薬組成物に関し、コーティングは:
・60.5〜64.5質量%の量の水溶性フィルム形成剤、例えばヒプロメロース2910;
・27.5〜31.5質量%の量の二酸化チタン;
・4.5〜8.5質量%の量のポリエチレングリコール可塑剤、例えばマクロゴール400;
・0.75〜1.75質量%の量の酸化鉄(黄色);
・0.1〜0.6質量%の量の酸化鉄(赤色);および、
・0.06〜1質量%の量の酸化鉄(黒色)、
を含み;ここで質量は、コーティングの質量%である。
【0104】
その他の形態において、本発明は、式(I)で示される化合物を含むコアとマンニトールとを含む医薬組成物に関し、ここで本医薬組成物は、任意に微結晶性セルロースおよびコーティングを含んでいてもよく、ここでコーティングは:
・60.5〜64.5質量%の量の水溶性フィルム形成剤、例えばヒプロメロース2910;
・27.5〜31.5質量%の量の二酸化チタン;
・4.5〜8.5質量%の量のポリエチレングリコール可塑剤、例えばマクロゴール400;
・0.75〜1.75質量%の量の酸化鉄(黄色);
・0.1〜0.6質量%の量の酸化鉄(赤色);および、
・0.06〜1質量%の量の酸化鉄(黒色)、
を含み;ここで質量は、コーティングの質量%である。
【0105】
その他の形態において、本発明は、錠剤コアとコーティングとを含む薬剤即時放出錠剤組成物に関し、ここで錠剤コアは:
・錠剤コアの6.0〜8.0質量%の量の式(I)で示される化合物;
・錠剤コアの72.0〜75.0質量%の量のマンニトール;
・錠剤コアの10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・錠剤コアの2.5〜4.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;および、
・錠剤コアの2.5〜4.5質量%の量のPVP(例えば、コリドンTMK30またはプラスドンTMK29/32);および、
・0.75〜2.0質量%(例えば、0.8〜1.75質量%)の量の滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、
を含み;および、ここで錠剤コア上のコーティングは、酸化鉄顔料を含み、さらにコーティングは、錠剤コアの3〜6質量%の量で存在する。
【0106】
その他の形態において、本発明は、錠剤コアとコーティングとを含む薬剤即時放出錠剤組成物に関し、ここで錠剤コアは:
・錠剤コアの6.0〜8.0質量%の量の式(I)で示される化合物;
・錠剤コアの72.0〜75.0質量%の量のマンニトール;
・錠剤コアの10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・錠剤コアの2.5〜4.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;および、
・錠剤コアの2.5〜4.5質量%の量のPVP(適切には、コリドン−K30、または、プラスドンK29/32);および、
・0.75〜2.0質量%(例えば、0.8〜1.75質量%)の量の滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、
を含み;および、ここで錠剤コア上のコーティングは:
・コーティングの60.5〜64.5質量%の量の水溶性フィルム形成剤、例えばヒプロメロース2910;
・コーティングの27.5〜31.5質量%の量の二酸化チタン;
・コーティングの4.5〜8.5質量%の量のポリエチレングリコール可塑剤、例えばマクロゴール400;
・コーティングの0.75〜1.75質量%の量の酸化鉄(黄色);
・コーティングの0.1〜0.6質量%の量の酸化鉄(赤色);および、
・コーティングの0.06〜1質量%の量の酸化鉄(黒色)含む。
【0107】
この実施態様において、適切には、コーティングは、錠剤コアの2.5〜5質量%の量で存在し、例えば錠剤コアの約3.5質量%の量で存在する。
本発明のさらなる形態において、医薬品として使用するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
それゆえに、本発明のこの形態によれば、温血動物(例えばヒト)における癌治療のための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0109】
本発明のその他の特徴によれば、温血動物(例えばヒト)における癌治療のための医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0110】
本発明のこの形態のさらなる特徴によれば、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む癌の治療方法を提供する。
【0111】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において癌細胞の異常な増殖を減少させるための、または、癌細胞の分化を誘導するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0112】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において癌細胞の異常な増殖を減少させる、または、癌細胞の分化を誘導する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0113】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、癌細胞の異常な増殖を減少させる、または、癌細胞の分化を誘導する方法を提供する。
【0114】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)の癌細胞においてアポトーシスを誘導するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0115】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)の癌細胞においてアポトーシスを誘導する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0116】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法を提供する。
【0117】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において癌細胞を供給する血管中で抗血管新生剤および血管標的薬剤を提供するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0118】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において癌細胞を供給する血管中に抗血管新生剤および血管標的薬剤を提供する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0119】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、癌細胞を供給する血管中に抗血管新生剤および血管標的薬剤を提供する方法を提供する。
【0120】
用語「血管標的薬剤」は、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の作用部位が、腫瘍ではなく血管系それ自身にあると予想されるものと理解されるものとする。
【0121】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における抗血管形成剤としての、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0122】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における抗血管形成剤としての医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0123】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、抗血管新生作用を提供する方法を提供する。
【0124】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における骨転移の阻害剤および浸潤阻害剤としての、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0125】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における骨転移の阻害剤および浸潤阻害剤としての医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0126】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、骨転移の阻害方法および浸潤の阻害方法を提供する。
【0127】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における骨転移の阻害剤としての、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0128】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における骨転移の阻害剤としての医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0129】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、骨転移の阻害方法を提供する。
【0130】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において骨転移を予防するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0131】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において骨転移を予防する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0132】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、骨転移の予防方法を提供する。
【0133】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において骨転移を治療するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0134】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)において骨転移を治療する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0135】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、骨転移の治療方法を提供する。
【0136】
本発明のさらなる形態において、本明細書において説明されているように、骨転移の阻害、治療および/または予防を提供し、ここで骨転移は、腎臓、甲状腺、肺、乳房または前立腺癌の結果である。
【0137】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における高いエンドセリン−1生産に付随する痛みを予防または治療するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0138】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における高いエンドセリン−1生産に付随する痛みを予防または治療する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0139】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、高いエンドセリン−1生産に付随する痛みの治療方法を提供する。
【0140】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における痛みを予防または治療するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0141】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)における痛みを予防または治療する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0142】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、痛みの治療方法を提供する。
【0143】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)におけるETA受容体刺激に付随する痛みを予防または治療するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を提供する。
【0144】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)におけるETA受容体刺激に付随する痛みを予防または治療する医薬品を製造するための、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0145】
本発明のその他の形態において、温血動物(例えばヒト)に、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、ET受容体刺激に付随する痛みの治療方法を提供する。
【0146】
癌という場合、具体的に言えば、それは、食道癌、骨髄腫、肝細胞の、膵臓の、子宮頚癌、ユーイング腫瘍、神経芽細胞腫、カポジ肉腫、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、黒色腫、肺癌−非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)−胃癌、頭頚部癌、腎臓癌、リンパ腫、および、白血病を意味する。より具体的に言えば、それは、前立腺癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、SCLC、NSCLC、結腸直腸癌、卵巣癌、および/または、乳癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、前立腺癌、NSCLC、卵巣癌、膀胱癌、胃癌、および/または、乳癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、前立腺癌、NSCLC、卵巣癌、膀胱癌、および/または、胃癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、前立腺癌、NSCLC、卵巣癌、および/または、膀胱癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、SCLCを意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、NSCLCを意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、結腸直腸癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、卵巣癌を意味する。加えて、より具体的に言えば、それは、乳癌を意味する。その上、より具体的に言えば、それは、膀胱癌、食道癌、胃癌、黒色腫、子宮頚癌、および/または、腎臓癌を意味する。加えてそれは、子宮内膜、肝臓、胃、甲状腺、直腸および/または脳の癌を意味する。本発明のその他の形態において、上記癌は、黒色腫ではない。本発明のその他の実施態様において、具体的に言えば、上記癌は転移性の状態であり、より具体的に言えば、上記癌は骨への転移を引き起こす。本発明のさらなる実施態様において、具体的に言えば、上記癌は転移性の状態であり、より具体的に言えば、上記癌は皮膚への転移を引き起こす。本発明のさらなる実施態様において、具体的に言えば、上記癌は転移性の状態であり、より具体的に言えば、上記癌はリンパへの転移を引き起こす。本発明のさらなる実施態様において、癌は、転移性の状態ではない。
【0147】
当然のことながら、癌が転移性の状態である場合、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物は、転移の予防、治療および阻害によって、原発腫瘍の部位と転移の両方に作用する。
【0148】
本発明に係る組成物は、癌治療に単独で用いてもよい。あるいは、本発明に係る組成物はまた、癌治療のための所定のその他の抗癌剤と組み合わせて用いてもよく、このような抗癌剤は、例えば、WO2004/035057、WO2005/023264、および、WO2006/056760で説明されているものが挙げられる。例えば、本発明に係る組成物は、痛みに関して無症状であるか、またはいくらか症状がある患者において、ホルモン抵抗性前立腺癌、具体的には転移性のホルモン抵抗性前立腺癌、より具体的には転移性のホルモン抵抗性前立腺癌を治療するためのドセタキセルと組み合わせると有用な場合もある。
【0149】
本発明の一形態において、痛みという場合、これは、高いエンドセリン−1レベルに付随する痛みである。本発明のその他の形態において、これは、ETのダウンレギュレーションの発生により、異常なET刺激および/またはエンドセリン−1レベルの上昇が引き起こされている状況から生じたET受容体刺激に付随する痛みである。これは、具体的には癌に付随する痛みである。これは、より具体的には前立腺癌に付随する痛みである。
【0150】
加えて、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物は、例えば急性的に痛む状態、加えて慢性的に痛む状態などの、発生源と原因が異なる痛みの治療および/または予防において有用であることが期待される。このような痛みとしては、例えば、化学的、機械的、放射線(例えば日焼け)、熱(例えばやけど)、感染または炎症性の組織外傷または癌によって引き起こされる痛み、術後疼痛、産後の痛み、関節の状態(例えば、リウマチ様関節炎および変形性関節炎)に付随する痛み、歯の状態(例えば、虫歯および歯肉炎)に付随する痛み、筋筋膜疼痛および腰痛、骨の疾患(例えば、骨粗しょう症、悪性疾患のカルシウム過剰血症、および、ページェット病)に付随する痛み、および、スポーツによる傷害および捻挫に付随する痛みが挙げられる。
【0151】
また、中枢または末梢由来の神経障害性の痛みの状態も、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を用いて治療または予防することができる。これらの疼痛状態の例は、三叉神経痛に付随する痛み、ヘルペス後神経痛(PHN)に付随する痛み、糖尿病性モノ/ポリニューロパシーに付随する痛み、神経の外傷に付随する痛み、脊髄の損傷に付随する痛み、中枢性卒中に付随する痛み、多発性硬化症に付随する痛み、および、パーキンソン病に付随する痛みである。
【0152】
また、その他の内臓由来の痛みの状態、例えば潰瘍、月経困難症、子宮内膜症、過敏性腸症候群、消化不良などによって引き起こされる痛みの状態も、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物で治療または予防することができる。
【0153】
本発明のさらなる形態は、神経障害性または中枢性疼痛の状態の経口治療のために、マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む医薬組成物を使用することである。
【0154】
当然のことながら、本明細書において説明した使用および処理方法は、本明細書において説明したマンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の化合物(I)を含む組成物のいずれかを使用する可能性がある。
【実施例】
【0155】
実験の概要
【0156】
【化5】

【0157】
硬度
シュロニガー(Schleuniger)硬度計モデル6Dまたはそれと同等のものを用いて、欧州薬局方で指定された手順に従って硬度試験を行ったが(錠剤の押しつぶしに対する耐性)、試験される錠剤の数は、表に記載した通りとした。各錠剤の硬度をその直径に沿って測定した。平均「硬度」は、キロポンド(kp)で報告した。
【0158】
崩壊時間
欧州薬局方で指定された手順に従って、ただしディスクを用いず、媒体として水を用いて崩壊時間を測定した。崩壊時間は、分で報告した。
【0159】
化合物(I)の分析および不純物
化合物(I)、化合物(I)ホルミルヒドラジド、および、全不純物の含有量を高速液体クロマトグラフィーHPLCを用いて決定した。以下の表1に記載の濃度勾配プログラムで定義した通りに、水/アセトニトリル/ギ酸を900:100:2(溶出液A)/400:600:2(溶出液B)の比率で含む移動相に10μLのサンプルを注入した。
【0160】
不純物量決定のための溶液は、抽出溶媒として1:1のアセトニトリル:水を用いて、細粒化した既知質量の錠剤から抽出し、続いて0.45ミクロンのPTFEフィルターでろ過し、試験溶液中の化合物(I)の目標濃度が0.25mg/mLになるように製造した。
【0161】
【表1】

【0162】
移動相は、ゼロ時間で100%の溶出液Aとして開始し、続いて溶出液Bの比率を次第に且つ直線的に増加させることによって組成を改変し、50分後には移動相に100%の溶出液Bが含まれるようにした。この組成を1分間維持し、続いてカラムを平衡化するために100%の溶出液Aに戻した。
【0163】
不純物の分離は、3.5μmの粒度を有するウォーターズ(Waters)のシンメトリー(Symmetry)C8固定相を充填した長さ15cm×内径4.6mmのカラムを用いて行われた。移動相の流速を1.0mL/分とし、温度を25℃に制御し、不純物濃度を254nmでの吸光度の比較によって決定し、波長が変えられるUV検出器を用いて、参照標準として外部の化合物(I)の波長を用いて測定した。
【0164】
溶解
米国薬局方(USP)の一般的な方法に従って、装置2を用いて、溶解媒体として900mLの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.8)を用い、撹拌速度を50rpmとして溶解度を決定した。15、30および45分の時点で、10mlの溶解媒体を引き出し、0.45μmのPTFEフィルターでろ過し、最初の2mlのろ液を捨てた。上述の手順に類似したHPLCの手順を用いて(ただし、この方法は、移動相として水:アセトニトリルオルトリン酸を700:300:2の比率で用いて均一濃度の条件下で行われた)、溶液中の化合物(I)の量を測定した。サンプル体積は50μLであり、固定相をジョーンズ・クロマトグラフィー・ジェネシス(Jones Chromatography Genesis)C18とし、移動相の流速は、1.5mL/分であり、温度を40℃に制御し、測定波長は、224nmであった。
【0165】
破砕性
20個の錠剤の重さを正確に量り、回転ドラム(コプレイ(Copley)TA−10またはそれと同等のもの)に入れた。ドラムを100回回転させ、錠剤を取り出した。目の詰まっていないほこり状のものを錠剤から除去し、再度錠剤の重さを量った。破砕性は、質量の損失として示され、これは、最初の質量に対するパーセンテージとして計算される。
【0166】
実験および結果
以下の結果および表において、「ND」と記載されている場合、当然のことながら、これは、用いられた方法の検出限界よりも低い値であることを述べているものとする。
【0167】
実施例1:化合物(I)の強制分解試験
暗い室内および高温(表2)、および、室温で2時間、光に晒した状態(表3)における水性緩衝液の溶液中での最初の濃度0.5mg/mLにおける医薬物質の化合物(I)の24時間の安定性を、強制分解試験で調査した。表2および3に結果をまとめる。表2および3に記載の「ND」は、「測定されなかった」ことを意味する。
【0168】
【表2】

【0169】
【表3】

【0170】
実施例2:ラクトースベースの錠剤の安定性試験
化合物(I)ラクトースベースの錠剤を、表4で示した製剤を用いて、湿式造粒法、圧縮およびフィルムコーティング法を用いて製造した。粉末化した成分(結合剤および滑沢剤以外)を適切なミキサーに入れ、混合して、均一の分布の医薬物質(化合物(I))を製造した。結合剤の水溶液(ポビドン)を製造し、これを上記粉末に添加し、適切な湿った塊が得られるまでさらに混合した。湿った塊をスクリーン(メッシュサイズ9mm)に通過させ、得られた顆粒を適切な含水量(2質量%未満)になるまで乾燥させた。
【0171】
この乾燥した顆粒に滑沢剤を添加し、続いてこれを適切なスクリーン(メッシュサイズ1.4mm)に通過させ、その後ブレンドした。ブレンドした顆粒を、錠剤形成装置(必要な硬度、崩壊および外観を有する錠剤を得るために、回転式のプレスを用いた)を用いて圧縮して錠剤コアにした。続いて圧縮したコアを、目打ちされたドラム式コーター(例えば、オハラ(O’hara)のコーター)を用いて、フィルムコーティング構成要素の水性懸濁液でコーティングした。
【0172】
【表4】

【0173】
これらの錠剤を、製造直後に、および、表5で示したような温度および相対湿度(RH)の様々な条件下での貯蔵期間の後に、化合物(I)の分析および不純物に関して試験した。
【0174】
【表5】

【0175】
実施例3:賦形剤の適合性試験
表6で示す実験計画表に従って、可能性のある材料を評価した。
【0176】
【表6】

【0177】
各実験について、以下の製剤を用いた:
【0178】
【表7】

【0179】
この試験に関して錠剤コアを、実施例2で説明したものと類似の湿式造粒法を用いた湿式造粒法、圧縮工程を用いて製造した。これらの錠剤コアを、製造直後に、および、表8で示したような温度および相対湿度(RH)の様々な条件下での貯蔵期間の後に化合物(I)分析/不純物および溶解に関して試験した。
【0180】
【表8】

【0181】
実施例4:マンニトール/微結晶性セルロース製剤
(i)マンニトール、および、(ii)マンニトールおよび微結晶性セルロースを含むプラセボ錠剤コアをそれらの引張強度および崩壊時間に関して調査した。
【0182】
実施例4i:充填剤としてマンニトールを用いて製造されたプラセボ錠剤コア
【0183】
【表9】

【0184】
実施例4iで説明した製剤を、実施例2で説明されている方法と類似の方法で湿式造粒および圧縮法によって製造したが、乾燥混合段階における粉末として結合剤を添加し、湿式混合段階での顆粒化の媒体として水を用いた。
【0185】
実施例4ii:充填剤としてマンニトールおよび微結晶性セルロースを用いて製造されたプラセボ錠剤コア
【0186】
【表10】

【0187】
実施例4iiで説明した製剤を、実施例2で説明した方法に類似した湿式造粒および圧縮法によって製造したが、乾燥混合段階における粉末として結合剤を添加し、湿式混合段階における顆粒化の媒体として水を用いた。
【0188】
実施例4iおよび4iiからの錠剤コアを、製造直後に、および、表11で示したように、温度およびRHの様々な条件下で4週間貯蔵した後に硬度および崩壊時間に関して試験した。
【0189】
【表11】

【0190】
実施例5:製剤
表12に10mg錠剤の製剤を示す。
【0191】
【表12−1】

【0192】
錠剤は、例えば以下の湿式造粒法を用いて製造してもよい:
化合物(I)(1.334kg)、マンニトール(パーテックM200、メルク、14.76kg)、微結晶性セルロース(アビセルTMPH101、FMC、2.5kg)、クロスカルメロースナトリウム(アクジゾル、FMC、600g)、および、ポリビニルピロリドン(プラスドンK29/32、ISP、600g)をベクター(Vector)GMX75高剪断ブレンダーで一緒に混合する。この混合物に水(4.5kg、添加速度は1.2kg/分)を噴霧し、この混合物を約5分間造粒する。得られた顆粒をオハラ30/60流動層乾燥機(吸気温度70℃、顆粒層を流動させるのに十分な空気流速で)で含水量が2%w/w未満になるまで乾燥させ、クアドロ・コ・ミル(Quadro Co mil)194(スクリーンメッシュは0.062インチ(1.6mm)、400rpm)を用いて乾燥した顆粒を磨砕する。
【0193】
上記の部分のうち4種を合わせて、800gのステアリン酸マグネシウムを添加した。この80kgのバッチをファーマテック(Pharmatech)BV400ブレンダーに移し、この混合物をブレンドした。続いて、IMAキリアン・シンセシス(IMA Kilian Synthesis)500タブレットプレス機(錠剤80,000個/時間、圧縮力は7.5kN)を用いてこの混合物を錠剤に圧縮した(150mgの圧縮質量、プレーン、丸形、直径7mmの両凸型)。続いて、マネスティー・プレミア(Manesty Premier)200コーターを用いて、オパドライ・ベージュ(カラコン03B27164、315g/kg水溶液)でこの錠剤をコーティングした。塗布されたコーティング溶液全量は、錠剤コアの質量ごとに35g/kgのオパドライと同等である。
【0194】
またこれらの錠剤は、造粒用液体として上述の方法での水の代わりに水性PVPを用いて製造してもよい。
表12Aに15mgの錠剤の製剤を示す。
【0195】
【表12−2】

【0196】
15mgの錠剤は、表12で示した10mgの錠剤の製造に関して説明した方法と類似の方法を用いて製造することもできる。
表12で説明したようにして製造したベージュ色のフィルムでコーティングされた10mgの錠剤のバッチで安定性試験を行い;および、その結果を表13にまとめた。
【0197】
【表13】

【0198】
実施例6:マンニトールのグレードの比較
マンニトールが、錠剤製造中の医薬品賦形剤として使用するための2つのグレードのものを利用することができ:湿式造粒グレード、例えばロケットフレール社から供給されたパーリトール(R)C、および、直接圧縮グレード、例えばメルク・ケミカルズ社から供給されたパーテックTMを利用することができる。表12で説明したような錠剤コアの3つのバッチを、表14に示したマンニトールのグレードと製造方法を用いて加工した。
【0199】
【表14】

【0200】
直接圧縮法を用いて、直接圧縮による錠剤を製造した。化合物(I)およびマンニトールを篩ってボウルに入れ、続いてプラネタリーミキサー中で10分間一緒に混合した。続いてこのボウルに残存するマンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびポビドンK29/32を添加し、この混合物をさらに10分間混合した。続いてステアリン酸マグネシウムを篩を通して添加し、この混合物をさらに5分間混合した。続いて得られた混合物を5.0KNの目標圧縮力を用いて錠剤コアに圧縮した。
【0201】
実施例2で説明されている方法と類似の方法で、湿式造粒法を用いて製造した錠剤を製造した。
これまでに説明された手順を用いて(ただし、溶解媒体は、500mLのpH1.4塩化ナトリウム/塩酸緩衝液(0.1M)であり、撹拌速度は、75rpmとした)、錠剤コアの3つのバッチの物理特性を決定し、溶解度を測定した。表15にその結果をまとめた。
【0202】
【表15】

【0203】
実施例7:化合物(I)を含むマンニトール/微結晶性セルロース製剤
最終的な製剤(表12)の場合と同じように同じ比率で化合物(I)およびステアリン酸マグネシウムを含み、結合剤および崩壊剤の含量を高め(3%から5%に)、微結晶性セルロース(表16)を含ませず、さらに微結晶性セルロースの含有量を12.5%から25%に高めた(表17)2種の実験用バッチを製造した。得られた錠剤コアを、製造直後に、および、25℃/65%RHで16ヶ月貯蔵した後に(表18)硬度に関して試験した。
【0204】
【表16】

【0205】
【表17】

【0206】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンニトールおよび/または微結晶性セルロース含有の、N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミドを含む医薬組成物。
【請求項2】
マンニトール含有かつ微結晶性セルロース非含有の、N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾ]−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミドを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
微結晶性セルロース含有かつマンニトール非含有の、N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミドを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミドをマンニトールおよび微結晶性セルロースと共に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記マンニトールが、65〜75質量%の量で存在し、前記微結晶性セルロースが、10〜15質量%の量で存在する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
1種またはそれより多くの結合剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記結合剤が、ポビドンである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記結合剤が、1〜5質量%の量で存在する、請求項6または請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1種またはそれより多くの崩壊剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記崩壊剤が、1〜5質量%の量で存在する、請求項9または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
1種またはそれより多くの滑沢剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミドが、2〜20質量%の量で存在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
・4.5〜8.5質量%の量のN−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−(4−[1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル)ピリジン−3−スルホンアミド;
・71〜76質量%の量のマンニトール;
・10.5〜14.5質量%の量の微結晶性セルロース;
・2.5〜3.5質量%の量のクロスカルメロースナトリウム;
・2.5〜3.5質量%の量のポビドン;および、
・0.75〜2.0質量%の量のステアリン酸マグネシウム、
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
酸化鉄顔料を含むコーティングをさら含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記コーティングが、コーティングが塗布される組成物の3〜6質量%の量で存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物が、錠剤である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記錠剤が、即時放出錠剤である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
医薬品として使用するための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
ヒトなどの温血動物における癌治療に使用するための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ヒトなどの温血動物における癌治療のための医薬品を製造するための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を温血動物(例えばヒト)に投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項23】
前記癌が、前立腺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膀胱癌、および、胃癌から選択される、請求項20もしくは21に記載の使用、または、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が、前立腺癌である、請求項20もしくは21に記載の使用、または、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2011−500548(P2011−500548A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528486(P2010−528486)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050928
【国際公開番号】WO2009/047565
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】