説明

マーカー遺伝子

【課題】
【解決手段】 感染症にかかりやすい素因を決定する方法、特にHIVを有する感染症、ならびに感染症の療法が説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカー遺伝子およびその使用に関するものである。より詳細には、本発明は、感染症にかかりやすい素因を示すマーカー遺伝子に関する。
【背景技術】
【0002】
マーカー遺伝子を使用することにより、特定疾患にかかりやすい素因を診断することが可能であることが、当該分野で知られている。例えば、腫瘍遺伝子または腫瘍抑圧遺伝子は、特定の癌に対する羅病性を表示するとして、特に突然変異した腫瘍遺伝子および欠失された腫瘍抑圧遺伝子と、特定の癌との間の関連の観点から、広く考えられている。加えて、癌(例えば乳癌)にかかるリスクがより大きくなることが予測される遺伝子(例えばBRCA遺伝子)が、同定されている。感染症(特にウイルス性感染症)に対して高度に感受性が強いか、または感染症(特にウイルス性感染症)に対して抵抗力がある個体もいくらか存在することも、知られている。疾患羅病性を予測することは、公知の原因となる薬品、化学物質またはウイルスとの不必要な接触を避け、公知および発展途上の予防手段を取るために、疾病素質遺伝子を有する者にとって、有益である。また、ウイルス性疾患に対するワクチンの設計または、遺伝子治療にとっても有用である。
【0003】
加えて、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症のような重大なウイルス性疾患に対する効果的なワクチンの開発は、地球的な社会経済の副次的問題を伴う緊急事項である。HIVは、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因因子である。そのようなワクチンの開発の鍵の一つが、HIV感染症に対する自然抵抗性のメカニズムを理解することである。幾つかの宿主遺伝子が、HIV感染症に対する抵抗性とおそらく関連があり、かつ、HIV血清変換後のAIDSの遅延された進展または促進された進展のいずれかと関連がある[1]。これらの宿主遺伝子は、ケモカイン受容体およびサイトカイン、キラー免疫グロブリン様受容体(KIRs)(天然キラー細胞受容体についてのリガンドとして役に立つ)ならびに、主要組織適合複合体(MHC)内のものをエンコードする遺伝子を含む[1〜11]。
【0004】
HIV感染症に対する自然抵抗性の例としては、連続したHIVへの暴露にもかかわらず、HIV陽性にならない個体がいくらか存在することが、知られている。生まれつき抵抗力がある個体の幾つかは、CCR△32として知られている突然変異したHIVコレセプター遺伝子を有している[1〜5]。しかし、この突然変異は劣性であり、細胞へのHIV侵入に対する抵抗性を付与する同型接合性は、ほんのまれにしか、見出されない。従って、上記突然変異は、HIV感染症に対して自然発生の抵抗性を示す個体の大多数の説明とはなりえない。HIV感染症に対する自然抵抗性を示す現存するヒト集団の中で、HIVへの多数のおよび繰り返しの暴露の証拠があり、しかし、それにもかかわらず、HIVに反応性な血清IgG抗体を有さない、HIV暴露血清反応陰性の(ESNs)またはHIV−1−暴露かつ感染していない個体(EUIs)として知られる人々の特異な集団が存在する[12、13]。これらESNs/EUIsからの尿道または膣の分泌物におけるHIV抗原特異性T−リンパ球応答の検出と、HIV−反応性IgA抗体の検出により、彼らはHIVに暴露されているが、その暴露により感染症を生じていないことが示されている[10〜17]。ESN/EUI状態を、先に報告した遺伝的多型と関連づける試みは、今のところ成功していない[10、14]。
【0005】
加えて、ある明らかに抵抗力がある集団の人々において、このウイルスへの多数のおよび繰り返しの暴露にもかかわらず、あるHIV−1−感染個体における臨床的進行の不在と、検出可能なHIV−1ゲノムの欠乏とが、HIV感染症への予防的および治療的手段の発展を考慮すると、2つの顕著な現象である[18〜20]。表現型的に、末梢血液単核細胞(PBMCs)から、検出可能な血漿HIV−1のRNAおよびHIV−1のcDNAの不在にもかかわらず、強力なHIV−1抗原特異性T−リンパ球応答およびHIV−1−反応性粘膜IgA生産を示す個体が存在する[21〜23]。彼らは、しばしば、HIV−1−暴露かつ感染していない個体(EUIs)と呼ばれる。そのようなEUIsから単離された粘膜IgAにより及ぼされるHIV−1−中和活性の立証により[24〜26]、HIV−1−中和抗体の迅速な生産と、クラス転換が、HIV感染症に対する在りうる免疫抵抗性に寄与するかもしれないことが、示唆された。HIV−1−関連類人猿免疫不全ウイルス(SIV)またはHIV−1とSIVとの間の病原体キメラに対する中和抗体の保護的役割は、また、非ヒト霊長目動物における、受動伝達およびワクチン誘導活性免疫化実験により、証明された[27〜30]。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、おそらく保護的な粘膜抗HIV−1抗体の効果的生産に影響を及ぼすであろう遺伝要因は、現在のところ知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかし、インフォームドコンセントを伴う、そのような個体からのDNAサンプルを研究することにより、本発明者らは、ESNsが、レトロウイルス抵抗性遺伝子、Rfv−3を含む、マウス染色体15の領域にシンテニーである、染色体22の領域以内で、マイクロサテライト遺伝子座で、特異で稀なアレルを有することを見出した。従って、本発明者らは、特定的な遺伝子型または多型を同定し、その遺伝子型または多型は、HIV感染症に対する抵抗性と関連があるようである。これは、ESNまたはEUI−状態として知られていたHIV感染症の確立に対する自然な後天性免疫抵抗性が、遺伝子的に影響を受けるであろうことの最初の立証である。
【0008】
故に、本発明者らは、マーカー遺伝子(それは、感染症、特にウイルス性感染症、より詳細にはHIV感染症にかかりやすい素因の現れである)およびその多型を同定した。
【0009】
よって、本発明は、感染症にかかりやすい素因を決定する方法を提供し、その方法は、被験者からDNA運搬サンプルを得る工程と、前記サンプルを分析してマイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の少なくとも1つに存在するアレルを同定する工程とを含み、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272における特定なアレルの存在は、感染症に対する抵抗性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明はまた、相補的RNAを含む、これらの遺伝子座に対し相補的な核酸ならびに、それによりエンコードされたアミノ酸配列および、その相同体、スプライス変異体または機能的な同等物を包含する。
【0011】
好ましくは、前記方法は、個体におけるウイルス性感染症にかかりやすい素因の決定に用いられる。ウイルス性感染症にかかりやすい素因は、ウイルス、例えばレトロウイルス、例えば、オンコウイルス、レンチウイルスまたはスプマウイルスに関するものであるのが、好ましい。HTLVおよびBLV(ウシ白血病ウイルス)は、白血病を引き起こすオンコウイルスの例である。HIVおよびSIVは、炎症性疾患および消耗性疾患を引き起こすレンチウイルスの例である。ヒトスプマウイルスは、スプマウイルスの例である。HIV感染症にかかりやすい素因の決定が、最も好ましい。
【0012】
前記レトロウイルスは、内在性レトロウイルス、すなわち、ある生理的刺激に応答して、細胞内で生産されるウイルスであってもよい。内在性ウイルスは、感染症により広がらず、しかし、継承される。例えば、HIV陽性な母の子として生まれた子供は、血清変換が誕生の後、(特に乳児が母乳で育てられていない場合)起こりうるが、通常、HIV陽性である。
【0013】
従って、ここで用いられる用語「感染症」は、内在性レトロウイルスおよびそれらの活性化ならびに感染性因子への暴露による感染症の従来の意味を含むよう意図される。ヒト内在性レトロウイルス(HERV)は、内在性レトロウイルスの例である。
【0014】
前記サンプルは、侵襲的に、または非侵襲的に得られてもよい。好ましいサンプルには、血液、尿、精液、口腔スワブ、皮膚細胞、切り取った爪、毛または子宮頚部スミアサンプルを含む。
【0015】
前記サンプルから単離されたDNAは、核酸増幅技術、例えば、PCRまたはローリング・サークル複製または他の通常の核酸増幅技術の使用により増幅されるのが好ましい。本発明において、等効用を有する、いずれの核酸増幅技術を使用してもよく、上記方法に本発明を限定することを意図するものではない。
【0016】
よって、本発明は、また、前記サンプルが、DNA断片長解析、DNAハイブリダイゼーション技術、DNA配列同定、一本鎖長多型(SSLP)分析または標準鎖構造(reference strand conformation)(RSC)分析を用いて、前記マイクロサテライト遺伝子座における特定な遺伝子型の存在または不在について分析される方法を提供する。
【0017】
より詳細には、本発明は、一本鎖長多型(SSLP)分析を用い、前記マイクロサテライトマーカーのPCR増幅用フランキング(flanking)プライマーセットが、
D22S277左、TTCTTGTGTGGTAGTCTGGG; (配列番号: 1)
D22S277右、TACCNACTCCCCAAACTATG; (配列番号: 2)
D22S272左、GAGTTTTGTTTGCCTGGCAC; (配列番号:3)
D22S272右、AATGCACGACCCACCTAAAG; (配列番号:4)
D22S276左、CATTCTGCCAAGCAATTTAT; (配列番号:5)
D22S276右、GCTGCTCTTTAAGTTTCTTGACC; (配列番号:6)
D22S929左、GGAGCTGCATGTACTAGCTGG; (配列番号:7)
D22S929右、GCATTTATGGAGTATCCACAG; (配列番号:8)
D22S1169左、GCACACACATGCACATAATC; (配列番号: 9) および
D22S1169右、AACAACTTCCAGCAGACG. (配列番号:10)
その相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体または相同体から選択される分析を提供する。
【0018】
前記サンプルは、前記指示されたマイクロサテライト遺伝子座における特定な遺伝子型の存在または不在について、DNA断片長解析、DNAハイブリダイゼーション技術、DNA配列同定、一本鎖長多型(SSLP)分析または標準鎖構造(RSC)分析(これらが、当該分野でよく知られている)を用いて分析されるのが好ましい。
【0019】
前記マイクロサテライトマーカーのPCR増幅用のフランキングプライマーセットの配列は、以下の実施例に示す。これらの配列のフラグメント、多型または相同体は、また、本発明の範囲に含まれる。
【0020】
第2の観点において、本発明はまた、感染症にかかりやすい素因の診断用キットを提供する。前記キットは、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の少なくとも1つにおける遺伝子型の決定のための試薬を含む。
【0021】
好ましい実施形態において、前記試薬は、SSLPマーカーの増幅用PCRプライマーである。前記診断キットは、人々を遺伝子グループに分類するのに用いられてもよい。そのグループ間で、感染症のための予防的および治療的手段の効果が比較され、測定される。故に、自然抵抗性を有する人々への治療的手段の不必要な使用が避けられ、治療薬の投薬量が減らされ、一方、予防的手段およびワクチンの使用を、極度な羅病性を有する者(そのような努力が、さらに成功を予想される)のような人々に集中させることが可能である。
【0022】
故に、本発明はまた、ウイルス性疾患、特に、レトロウイルス性疾患、より詳細には、HIV感染症にかかりやすい素因の決定における、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の少なくとも1つの使用を含む。前記遺伝子座の組み合わせを用いてもよい。
【0023】
感染症に対する抵抗性を示唆するのが前記特定なアレルの存在であること、故に、本発明の特定なアレルの不在が、前記感染症にかかる素因または罹病性を示唆することに注目するのが、重要である。本発明の最も好ましい実施形態において、問題になっている感染症において、HIVウイルスが、AIDSの原因因子である。この観点から、本発明は、個体がHIV感染症に対して抵抗力があるかどうか、または、彼らがそれに感染しやすく、従って、前記疾患にかかるリスクが高いかどうかを測定する方法を提供する。
【0024】
故に、本発明はまた、感染症に対する抵抗性を決定する方法を提供する。前記方法は、被験者からDNA運搬サンプルを得る工程、および前記サンプルを分析し、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272の少なくとも1つに存在する前記アレルを同定する工程を含み、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272における特定なアレルの存在が、感染症に対する抵抗性を示す。
【0025】
別の観点において、本発明は、HIV感染症にかかり易い素因を診断するための方法を提供する。この方法は、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の1、複数または各々の存在または不在について、DNAサンプルを分析する工程を含む。
【0026】
さらなる観点において、本発明はまた、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の少なくとも一つを含む染色体フラグメントを運ぶベクターの使用による、感染症にかかりやすい素因を有する被験者を治療するための遺伝子治療のような治療の方法を提供する。以下に説明するように、ウイルス性感染症に対する抵抗性と関連がある免疫細胞機能に影響を及ぼす遺伝子は、前記マイクロサテライト遺伝子座に隣接するヒト染色体のセグメント中に位置することが、非常に予想されている。理論により結びつけられることを望むことなく、この遺伝子(推定上、マウスRfv−3のヒト相同体と呼ばれる)が、被験者個体に感染症抵抗性を付与することが予想され、故に、感染症の治療、予防または療法における、この遺伝子、その転写物、発現ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、グリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、それらの相同体もしくはフラグメントの使用は、本発明の更なる観点である。
【0027】
前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272全ては、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質フラグメントをエンコードする。これらのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質フラグメントおよびそれらの二次的または三次的な誘導体は、全て、ウイルス抵抗性に関連しており、ウイルス性感染症にかかりやすい素因を有すると同定された人において、それらを使用することは、感染症の防止または予防において、有利であろう。
【0028】
加えて、前記グリコシル化、スルホン化、リン酸エステル化、アセチル化または他の付加もしくは置換生成物、相同体、スプライス変異体、転写物変異体、または前記マイクロサテライト遺伝子座の核酸配列から誘導可能な生成物は、この目的のために用いられてもよく、故に、本発明の一部を構成すると考えられる。
【0029】
よって、本発明はまた、1またはそれ以上の前記マイクロサテライトD22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272によりエンコードされる、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質フラグメントを含む組成物を提供する。本発明はまた、感染症の治療または予防における使用のための、1またはそれ以上の前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272によりエンコードされる、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質フラグメントを含む医薬組成物を提供する。
【0030】
前記組成物は、殺菌薬、医薬組成物または栄養補助食品もしくは食品添加物であってもよい。前記医薬組成物は、製剤化学の分野において通常知られている添加剤、例えば、ビヒクル、溶剤、希釈剤、 結合剤、賦形剤、固化防止剤、保存剤、緩衝剤、安定剤または保水剤を含んでもよい。前記製剤は、錠剤、乳剤、クリーム、懸濁剤、注射可能な懸濁剤、シロップ剤、座剤、膣坐剤、パッチ、含浸インプラントまたは他の通常の運搬方法の形態であってもよい。
【0031】
前記組成物が殺菌薬である場合、前記組成物は、粘膜的投与可能な(administerable)製剤、例えば、経口、経鼻、直腸または膣の適用のための製剤で提供されるのが好ましい。直腸または膣の適用のためには、前記殺菌剤組成物は、ゲル剤、クリーム、座剤、膣坐剤の形態または直腸もしくは膣の適用のための他の通常の形態であってもよい。
【0032】
前記殺菌薬はまた、特に本発明の前記組成物が免疫学的反応を幾らか引き起こすために用いられるとき、ウイルス性疾患に対する粘膜ワクチン注射として用いられてもよい。
【0033】
典型的には、予防すべきウイルス性感染症がHIV(性的接触により移るであろう)である場合、前記組成物は、避妊薬と組みあわせてもよい。そのような場合、前記避妊薬は、隔膜(diaphragm)、子宮頸キャップ、コンドーム、スポンジもしくは他の膣内もしくは障壁デバイス、被覆IUDデバイス、経口避妊用ピル、避妊用のインプラントもしくは注射剤または、殺精子のゲル剤、ペッサリー、発泡体、フィルムもしくは乳剤であってもよい。
【0034】
従って、さらなる観点において、本発明は、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の1またはそれ以上によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質フラグメントをさらに含む避妊薬を提供する。
【0035】
本発明の前記避妊薬は、また、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の核酸配列から誘導可能な、二次的もしくは三次的な誘導体、グリコシル化、スルホン化、リン酸エステル化もしくは他の付加もしくは置換生成物、相同体、転写物変異体もしくは生成物を、さらに含んでもよい。
【0036】
さらなる観点において、本発明はまた、前記感染症の治療用薬物の製造における、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の1以上によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質フラグメントの使用を提供する。
【0037】
加えて、本発明は、前記感染症の治療用薬物の製造における、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S1166、D22S423、D22S1169、D22S418またはD22S272の核酸配列から誘導可能な、二次的もしくは三次的な誘導体、グリコシル化、スルホン化、リン酸エステル化もしくは他の付加もしくは置換生成物、相同体、転写物変異体もしくは生成物の使用に拡大する。
【0038】
前記感染症は、ウイルス性感染症であるのが好ましく、レトロウイルス性感染症であるのがより好ましい。最も好ましい実施形態において、前記ウイルスは、HIVウイルスまたはHTLVウイルスである。
【0039】
本発明はまた、感染症に対する抵抗性を決定する方法を提供する。前記方法は、被験者からDNA運搬サンプルを得る工程、および前記サンプルを分析し、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272の少なくとも1つに存在するアレルを同定する工程を含み、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272における特定なアレルの存在が、感染症に対する抵抗性を示す。
【0040】
本発明の方法は、適切なマイクロサテライトマーカーを含むキットを用いることにより、行ってもよい。よって、本発明はまた、感染症にかかりやすい素因の診断用キットを提供し、前記キットは、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272の少なくとも1つにおける遺伝子型の決定用試薬を含む。前記キットは、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272、又はそれに相補的な核酸、フラグメント、多型、スプライス変異体もしくはその相同体の少なくとも1つについての遺伝子型を決定するための試薬を含むのがより好ましい。
【0041】
本発明の別の観点において、前記マイクロサテライト遺伝子座のDNAは、ベクター中に組み込まれていてもよい。研究目的のため、前記ベクターは、細胞をトランスフェクトするのに用いられてもよい。前記ベクターはまた、薬物(例えば感染症の治療のための薬物)の製造または、DNAワクチンの形成または製剤において、または遺伝子治療において、用いられてもよい。
【0042】
故に、別の観点において、本発明はまた、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272または、それに相補的な核酸もしくはそのフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体の少なくとも1つを抱く染色体フラグメントを運ぶベクターを提供する。
【0043】
そのようなベクターの薬剤における使用は、感染症、特にウイルス性感染症、詳細にはHIVウイルスによる感染症の予防または治療において、有利であろう。
【0044】
これらのマイクロサテライト遺伝子座のDNAは、DNAワクチンの生産において、特に有用である。本発明のDNAワクチンは、裸の、アジュバントDNAまたは封入DNAを含んでもよい。前記遺伝子座の前記DNA配列は、前記遺伝子座もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくはその相同体のDNA配列に相補的な核酸配列を用いるワクチンの製造に用いてもよい。
【0045】
そのようなワクチンは、経口的にまたは非経口的に投与可能であってもよい。非経口的投与の例には、注射による投与(皮下、静脈または筋内であろうとなかろうと)、吸入による投与、および粘膜投与を含む。しかし、非経口的投与のこれらの例は、限定または網羅を意図するものではない。
【0046】
本発明のワクチンは、免疫原性であるのが好ましい。
【0047】
ワクチンまたは他の医薬の製造のため、これらの遺伝子座をエンコードするDNAならびに、それらのフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸または相同体と共に結合し、またはさもなければ識別し、かつ/または修飾もしくは調節する化合物を同定するのに有用である。これらの化合物は、特に、多くの化合物が選別される場合、チップまたは分析プレートの形態で提供されると、有用である。故に、本発明はまた、前記DNAに結合可能か、またはさもなければ前記DNAを識別可能な化合物のスクリーニングのためのチップまたは分析プレートにおける、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、または前記遺伝子のフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体をエンコードするDNAの使用を提供する。
【0048】
この観点において、本発明はまた、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272または、前記遺伝子のフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体をエンコードするDNAを含むチップまたは分析プレートを提供する。
【0049】
前記チップまたは分析プレートは、医療的診断または研究において用いられてもよい。
【0050】
前記DNAは、アミノ酸配列(これも用いられてもよい)をエンコードするので、本発明はまた、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または、グリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントを含むチップまたは分析プレートを提供する。
【0051】
加えて、本発明は、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントに結合するか、またはさもなくば、識別し、修飾するかまたは擬態することが可能な化合物のスクリーニングにおける、そのようなチップまたは分析プレートの使用を包含する。
【0052】
本発明者らは、本発明のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質および前記核酸配列が、免疫グロブリンA(IgA)の生産を刺激し、それらが、感染症に対する抵抗性を促進することを予測した。特に、そのような化合物は、IgA、特に、ウイルス反応性粘膜IgAの粘膜生産を刺激するのに用いることが可能である。
【0053】
故に、本発明はまた、前記マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、または前記遺伝子に相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントの、免疫グロブリンA(感染症に対する抵抗性を提供するか、または抗ウイルス活性を有する)を生産するための使用を提供する。
【0054】
加えて、本発明は、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体の、免疫グロブリンA(感染症に対する抵抗性を提供するか、または抗ウイルス活性を有する)の生産を引き起こすための使用を提供する。
【0055】
そのようにして生産されたIgAは、感染症、特にウイルス性感染症、最も詳細にはHIV感染症の治療または予防のための組成物において、用いることができる。
【0056】
IgAは、単独でまたは、前述の医薬組成物のいずれかと組み合わせて用いられてもよい。
【0057】
ウイルス侵入および複製およびレトロウイルス性感染症に対する免疫応答に影響を与える宿主遺伝要因は、マウスモデルを用いることにより、広く研究されている[31−34]。フレンド・マウス白血病ウイルスコンプレックス(FV)は、複製成分フレンド・マウス・ヘルパーウイルス(F−MuLV)と、不完全な脾臓フォーカス形成ウイルスとから構成される。FVは、感染しやすい血統の免疫適格成熟マウスへの接種によりすぐ、感染赤血球前駆細胞の迅速な増殖を誘導する。過酷な免疫抑制と関連するFVの持続的感染は、最終的に、細胞転写物因子の挿入活性化または腫瘍抑圧遺伝子の破壊により、白血病細胞のモノクローナルまたはオリゴクローナルの拡大の出現を引き起こす。宿主遺伝子遺伝子座、Fv−1−Fv−4は、標的細胞におけるウイルス侵入および複製を直接制御するが、同定されている[35−38]。しかし、宿主動物が上記遺伝子座において同じ感染しやすい遺伝子型を分け合うときでさえ、疾患の発生および進行の割合は、FV抗原への免疫応答に影響を及ぼす幾つかの遺伝子座における宿主遺伝子型次第で、依然として激しく変化する[33]。2つの主要組織適合複合体(MHC)クラスII遺伝子座は、ウイルス外皮抗原のTヘルパー細胞認識を直接制限し[39、40]、一方、クラスI遺伝子座は、ウイルス抗原特異性T−細胞からのサイトカインの生産に影響を及ぼす[41]。MHCクラスIb領域に位置する別の遺伝子座は、天然のキラー細胞機能に影響を及ぼするかもしれない[42、43]。染色体15に位置しており、従って、MHCに関連性のない別の宿主遺伝子座は、依然として、FV感染後のウイルス血症の持続性に強く影響を及ぼす[33、44−46]。同じ非MHC遺伝子座における遺伝子型は、また、感染細胞表面におけるウイルス抗原の発現を調整する細胞毒性抗体の生産に影響を及ぼす[47]。しかし、ウイルス血症の持続性と、ウイルス−中和抗体の生産との間の有り得る関係は、直接試験されていない。ここで、我々は、FV感染によりすぐウイルス−中和抗体の生産に影響を及ぼすマウス遺伝子座に関する、連鎖分析を行った。
【0058】
このマウス研究の拡大により、意外にも、我々発明者らは、HIV−感染していない個体における、HIV−1への強力な免疫応答と関連するヒト染色体マーカーの立証を行った。
【0059】
前記遺伝子Rfv−3は、フレンド白血病レトロウイルスに感染したマウスが、感染後、30〜60日までにウイルス血症から回復するかどうかを決定する単独常染色体遺伝子として、元々定義されていた[49、50]。この遺伝子は、マウス染色体15上に位置付けられている[51、52]が、その分子的同定は依然として知られていない。フレンド・レトロウイルス感染症に対する免疫抵抗性はまた、前記ウイルス外皮抗原へのT−リンパ球応答を制御する、マウス主要組織適合複合体(MHC)、H2の遺伝子により影響を受ける[20、53、54]。類似遺伝子型血統においてテストしたとき、ウイルス−中和抗体の初期の生産が、Rfv−3遺伝子座に抵抗力があるアレル(Rfv−3)、またはマウスMHCに応答ハプロタイプ(H2)のいずれかを有するマウスにおいて観察され(図1)、Rfv−3およびH2は、共通の経路により、免疫システムに影響を与えるであろうことが示唆された。さらに、Rfv−3アレルとH2ハプロタイプの両方を有するマウスは、Rfv−3を欠くH2a/bマウスと比較して、ウイルス−中和抗体のより高いレベルと、IgMからIgGへのクラス転換のより高い頻度を示し(図1)、さらに、H2と協同して、Rfv−3が、T−ヘルパー細胞機能を調節しているかもしれないことを示している。これは、HIV特異的IgA生産が、IgGの明白な不在において、なぜESNにおいて検出されうるのかと潜在的関連性があった(例えば、表1参照)。特に、HIV−1抗原特異性Tヘルパー細胞応答性と、T細胞からのサイトカイン生産のパターンとが、ESNとHIV−感染個体との間で相違していてもよいため[14、16、48]。
【0060】
感染日後(PID)15でRfv−3−関連表現型(ウイルス−中和抗体の力価により定義された)が隔離された(B10.A×A)×A戻し交配マウスを用い、本発明者らは、詳細な連鎖分析を行い、D15Mit1とD15Mit118との間のマウス染色体15の3−Mbpセグメント以内にこの遺伝子を位置付けた(図2、4、5、8)。前記マウスマーカーの物理的マッピングのため、アンサンブル・ゲノム・ブラウザ(http://www.ensembl.org/)において、マウス染色体15のこの領域にシンテニーな、ヒト染色体22のセグメントに関して見出した情報を用い、2つの種間で相同性な遺伝子を、公知の単純配列長多型(SSLP)マーカーに沿って並べた。その結果、多形性であり、かつ、Rfv−3−連関遺伝子のヒト相同体の近辺に位置するSSLP遺伝子座が幾つか同定された(図2、4、5、8)。末梢血液単核細胞(PBMCs)は、書面にされたインフォームドコンセントの下、予め文書で示されたESN個体およびHIV−感染個体により提供された。名簿に登録された前記ESN全てを、精液または膣の分泌物の細胞における血清HIV−1−反応性IgG、血漿HIV RNAおよびHIV cDNAに関してテストしたところ、それらのどれも、HIV−1の存在を示さず、一方、前記HIV−感染個体は、これらのテストにおいて全て陽性であった。前記PMBCsから単離されたゲノムDNAをテンプレートとして用いて、染色体22以内の前記SSLP遺伝子座におけるアレルが、PCR−増幅フラグメントのサイズを決定することにより、同定された(図3および表1)。その結果、D22S277遺伝子座におけるアレル頻度の分布は、ESN群とHIV−感染群との間で著しく相違した(2×11 表についてX=20.2、フィッシャーの直接確率検定によりp=0.020)。異なった見方では、テストした前記18人のESNのうち10人が、前記D22S277遺伝子座に、154−bp、156−bpまたは158−bpのフラグメントを生じる3つの特異なアレルのうち少なくとも1つを有し、一方、これらの3つのアレルのうち1つは、テストされた18人のHIV−感染人のなかで、ほんの2人の個体にのみ、見出された(X=8.0、フィッシャーの直接確率検定によればp=0.012)。これらの3つのアレルは、稀なものの中で、ゲノムデータベース(http://gdbwww.gdb.org/)において、それぞれ、7、5%および9%の頻度で報告されている。一方、160−bpまたは162−bpのフラグメントを生じる前記アレルは、それぞれ29%および14%の頻度で報告され、白人の中でむしろ普通であり、これらの後者アレルは、両方の集団において、同等の頻度で観察された(表1)。従って、18人のESNsのうち2人は、158−bpのフラグメントを生じるアレルについて同型接合であり、3人は、前記3つの稀なアレルのうち2つの間の接合体であったことが、強調されるべきである。対照的に、前記稀なアレルのそのような接合体は、前記HIV−感染個体の中には見出されなかった(18のうち5対18のうち0、フィッシャーの直接確率検定により、生じるp=0.045)。
【0061】
特異な稀なアレルの分布において、顕著さが少なく、しかし同様の非対称が、周囲の染色体遺伝子座においてもまた観察されるので、ESNsの中で前記D22S277遺伝子座における特異なアレルの上記集積は、符合しているようには見えない(表1)。実際、D22S929に、144−bpまたは146−bpのフラグメントを生じるアレルが、18人のESNの中で5人に見出され、1人の個体は、前記2つのアレルの一つについて同型接合でさえあり、一方、テストした前記17人のHIV−感染個体の中でほんの1人の個体が、そのようなアレルを有していた。132bp、142bpまたは148−bpのフラグメントのいずれか一つを生じる稀なアレルが、D22S272遺伝子座において、18人のESNsのうち5人に、しかし、18人のテストしたHIV−感染個体のほんの1人に見出された。しかし、アレル頻度の分布(図2、4、5、8)または稀なアレルを有する個体の頻度(表1)のいずれも、この領域(例えばD22S1169)から離れた遺伝子座において前記ESN集団およびHIV−感染集団の間で著しく相違していない。
【0062】
【表1】



【0063】
各遺伝子座における稀なアレル(これらの頻度は10%未満と報告されている)は、太字で下線で示した。ND、測定せず;ホモ、同型接合。HIV−1に対する血清IgG反応性は、ESNsにおいて、検出不可能であった。
【0064】
上記データは、HIV暴露後の早い段階で、抗レトロウイルス抗体を生じ、クラス転換させる能力を付与する遺伝子の優性応答アレル(おそらくマウスRfv−3に相同的)が、前記D22S277遺伝子座の近くに存在し、位置し、その結果、前記ESN状態は、前記154−bp、156−bpまたは158−bpのフラグメントを生じるD22S277アレルと一緒に分離されるという仮定と一致する。HIV−感染症に対する抵抗性および/またはAIDS進行の推移に影響を及ぼすと予め報告されているヒト遺伝子(CCR5およびCCR2は3p21に位置し、SDF1は10q11.1に位置し、HLAは6p21.3に位置し、KIRsは19q13.4に位置し、IL10は1q31−32に位置する。)は、前記ヒト染色体のこの領域には位置していなかった。
【0065】
HIV感染症に対する抵抗性について確立された遺伝的根拠は、前記HIVコレセプター遺伝子、CCR5の突然変異形態(この受容体の細胞表面発現が欠落する結果になる)についての同型接合性である[1−5]。しかし、前記突然変異、CCR5△32が、稀であり、前記同型接合性が、白人のほんの1%にのみ見出されている[1、3]ので、ESN状態のより普通の現象の原因となり得ない。実際、前記CCR5△32突然変異は、先に書面化されたESNsにおいては見出されなかった[10、14、48]。一方、大部分のESNsは、HIV外皮誘導抗原ペプチドでの刺激と同時に、HIV−血清陽性との比較において、PBMCsからの、より高いIL−2生産と、より低いIL−10生産を示した[14]。従って、T−細胞機能を調節するいくらかの遺伝子は、ESNsと、HIV−血清陽性との間で相違するかもしれない可能性がある。Rfv−3が、マウスにおける幾らかのT−ヘルパー細胞機能を調整しているようなので(図1)、そのヒト相同体の分析と共に、その分子的性質の同定が、我々に、HIV感染症の予防的および治療的手段への全く新しい方向性を提供するかもしれない。
【0066】
本発明の実施形態を、例示のみを目的として、添付の図面により説明されたような、以下の実施例を参照して、以下に説明する。
図1は、マウスの類似遺伝子型血統におけるPID16−20で検出されたフレンドウイルス−中和抗体の力価を示す。
図2は、マウス染色体15とヒト染色体22のシンテニーな領域以内に位置するSSLPマーカーと相同性遺伝子との順序と、その間の距離の図表示である。
図3は、D22S277遺伝子座における遺伝子型を示す。
図4は、マウス染色体15とヒト染色体22のシンテニーな領域以内に位置するSSLPマーカーの順序と、その間の距離を示す。抗HIV IgA生産を制御する遺伝子座は、抗レトロウイルス抗体生産を制御するマウス遺伝子に厳密にシンテニーに位置していた。
図5は、フレンドのウイルスに対する抵抗性を付与するマウス遺伝子と、ヒトウイルス抵抗性遺伝子との間の完全な同一性を示す。
図6は、HIV−1−暴露したが、感染していない個体にのみ観察される、染色体22にわたる連鎖不平衡の断絶を示す図表説明である。このことにより、HIV−1暴露したが、感染していない個体の祖先に起こった、過去の突然変異または組換え事象の証拠が示される。
図7は、HIV−1抵抗力があるアレルの部位マッピングおよび頻度ならびにマウス染色体15上のマウス抗体制御遺伝子座およびヒト染色体22のシンテニーな領域の図表説明を示し、また、HIV−1−暴露したが、感染していない個体にのみ観察される、染色体22にわたる連鎖不平衡の断絶ならびに、HIV−1暴露したが、感染していない個体の祖先に起こった、過去の突然変異または組換え事象の証拠を示す。
【実施例1】
【0067】
図1から理解されるように、前記のように、マウスを、フレンドレトロウイルスコンプレックスのH2a/a群について150脾臓フォーカス形成ユニット(SFFU)、または、フレンドレトロウイルスコンプレックスのH2a/b群について1,500SFFUのいずれかで、接種した[54、56、57]。それらマウスは、PID16−20でエーテル麻酔下、眼窩後方洞から採血され、各血清を、フレンド白血病ヘルパーウイルス感染力を中和する能力について、病巣酵素抗体法分析によりテストした[54、56、57]。各個体マウスから得られた全血清の中和力価を示す。H2a/bマウスからの血清は、また、IgGクラスの中和抗体の存在について、それらを、50mMの2−メルカプトエタノールで前記のように処理することにより、テストし[54、56、57]、ウイルス−中和IgGを含んでいたものを、閉じた記号で示す。H2a/a(B10.A×A)×Aの戻し交配マウスは、それらの実験的に同定されたD15Mit71アレルを基に、Rfv−3s/s群またはRfv−3r/s群のいずれかに分割した。定義により、H2a/aおよびRfv−3r/sである(B10.A×A)Fマウスの抗体力価を、四角形の記号で示す。平均力価を、各遺伝子グループ間でスチューデントt検定により比較し、星印は、統計的に著しい相違を示す(p<0.0001)。Rfv−3r/s、H2a/bマウスの中で中和IgGを有する個体(6/11)の頻度は、Rfv−3s/s、H2a/bマウスのそれよりも、著しく高かった(1/14)(フィッシャーの直接確率検定によりp=0.02)。
【0068】
図2、4および5の図表説明において、セントロメア(O)は、左に配置した。Rfv−3遺伝子座の位置は、185(B10.A×A)×Aの戻し交配マウスを用いて、連鎖分析により決定した。SLLP遺伝子型とPID15におけるウイルス−中和抗体力価との間の強力な関係(X=62.2)が、前記D15Mit71遺伝子座において観察された。前記Rfv−3遺伝子座の位置は、前記8匹の危篤動物(染色体組換えが、前記D15Mit105遺伝子座と前記D15Mit107遺伝子座との間に同定されている)における前記SSLP遺伝子型と、抗体力価とを関係づけることにより、示された領域に、さらに狭められた。前記ESN感染群と、前記HIV−感染群との間の各ヒト遺伝子座におけるアレル頻度の分布における相違を、2×(アレルの数)表について、X分析を行うことにより、分析した。上記で測定したX値を、各マイクロサテライト遺伝子座の名前の下に示した。
【0069】
図3は、PCRおよびフラグメント分析を、各サンプルについて少なくとも3回行った、前記D22S277遺伝子座における遺伝子型を示し、2つの別々の実験からの代表的結果をここに示す。
【0070】
ESNおよびHIV−血清陽性個体
HIV血清状態について一致しない18の異性間カップルを、研究において登録した。11のカップルにおいて、コンドームなしの挿入的性交の長期経歴にかかわらず、女性のパートナーがHIV−感染しており、一方、男性のパートナーがHIV−血清陰性であった。残りの7カップルにおいて、男性のパートナーが、HIV−感染であり、一方、女性のパートナーがHIV血清反応陰性であった。ESNに関する試験対象患者基準は、研究期間の前4ヶ月以内に、潜在的に危険な状態にある性交の少なくとも1回の挿入がある、少なくとも4年の間多重的無防備な性的挿入の経歴であった。前記カップルは、4年のうちに平均8回の無防備な性的挿入/年(範囲5〜>40)を報告していた。膣性交が基準であり、口腔性交は、ほんの非常に稀に行われた。肛門性交は、いずれのカップルにも報告されなかった。HIV−1ウイルス血症を、先に説明したようにテストし[14、16]、全てのESNsにおいて、検出不可能であった。前記ESNsにおいて、HIV−1の粘膜的限定存在の可能性を除外するため、cDNAを前記のようにして精液又は膣液中、分析した[14、16]。HIV−1 cDNAを、全ての前記HIV−感染個体において検出したが、前記ESNsにおいては検出しなかった。血清および尿道または膣のスワブにおけるHIV−1特異性抗体の滴定を、前記のようにして行った[14−17、48、55]。前記ESNsは、検出可能なHIV−反応性IgGをかれらの血清中に有さず、一方、全ての前記HIV−感染個体は、HIV−1に対して反応性な血清IgGについて、陽性であった。すべての分析を、盲検的に行った。ミラノのルイジ・サッコ病院(Luigi Sacco Hospital, Milano)およびフィレンツェのサンタ・マリア・アヌツィア病院(Santa Maria Annunziata Hospital, Florence)の研究倫理委員会は、このプロトコルを承認した。書面にされたインフォームドコンセントが、登録前の全ての患者から得られた。
【0071】
前記Rfv−3遺伝子の染色体マッピング
(B10.A×A)×A戻し交配マウスを、前記のように、繁殖させ、150の脾臓フォーカス形成ユニット(SFFU)のフレンド・ウイルス・コンプレックスで感染させ、PID15において前記眼窩後方の洞から採血した[56、57]。フレンド・ウイルス−中和抗体の血清力価は、前記のように測定した[54、56、57]。後部チップを切断して、ゲノムDNAを調製し、SSLP遺伝子座D15Mit22、D15Mit28、D15Mit71、D15Mit171およびD15Mit42におけるアレルを、特定の部位のPCRプライマーを用いて同定した[51、52]。D15Mit28とD15Mit171との間に組換えを有する個体は、前記更なるSSLP遺伝子座におけるそれらの遺伝子型について、さらに分析した(図2、4、5)。
【0072】
ヒトSSLPマーカーの分析
各ESN個体およびHIV−感染個体のPBMCsから抽出したゲノムDNA(0.5μg)を、以下のフランキングプライマーセット[58]:
D22S277 左、TTCTTGTGTGGTAGTCTGGG; (配列番号: 1)
D22S277 右、TACCNACTCCCCAAACTATG; (配列番号: 2)
D22S272 左、GAGTTTTGTTTGCCTGGCAC; (配列番号:3)
D22S272 右、AATGCACGACCCACCTAAAG; (配列番号:4)
D22S276 左、CATTCTGCCAAGCAATTTAT; (配列番号:5)
D22S276 右、GCTGCTCTTTAAGTTTCTTGACC; (配列番号:6)
D22S929 左、GGAGCTGCATGTACTAGCTGG; (配列番号:7)
D22S929 右、GCATTTATGGAGTATCCACAG; (配列番号:8)
D22S1169 左、GCACACACATGCACATAATC; (配列番号: 9) および
D22S1169 右、AACAACTTCCAGCAGACG. (配列番号:10)
を用いる40サイクルのPCR増幅のためのテンプレートとして、用いた。
【0073】
各上記セットの左プライマーは、フラグメント分析における検出のため、5’末端をCy5でロングリードタワー(Long Read Tower)DNAシーケンサー (アマシャム・ファルマシア・バイオテックUK、リミテッド、英国のバッキンガムシャー(Amersham Pharmacia Biotech UK, Ltd., Buckinghamshire, UK))でラベルした。PCR増幅を以下の条件で、組換えTaqポリメラーゼ(インビトジェン・ライフ・テクノロジーズ、米国カルフォルニア州カールスバッド(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, California, U. S. A.))を用いて行った:94℃で2分間初期の変性、各増幅サイクルは、94℃で30秒、55℃で30秒、および74℃で90秒を含み、最後の伸長は74℃で10分であった。遺伝子型について、各PCR増幅フラグメント(50〜100fmol)を、適切なサイズのマーカーと共に上記DNA配列に適用し、前記フラグメントサイズを、製造者の取り扱い説明者に従い、前記ALF発現サイズプログラムを用いて同定した。
【実施例2】
【0074】
方法
マウスおよびウイルス
B10.A/SlcマウスおよびA/WySnJマウスの繁殖対を、日本SLCインク(日本、浜松)およびメイン州バーハーバーのザ・ジャクソン・ラボラトリー(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maine)からそれぞれ購入した。これらの親の血統ならびに(B10.A×A)F1および(B10.A×A)×A戻し交配マウスを、繁殖させ、特定の病原体の無い条件下で酪農学園大学および近畿大学薬学部の動物施設で維持した。以下の実験手順は、動物委員会により承認され、各大学の適切なガイドラインのもと、行われた。FVおよび静脈接種の調製は、前記のようにして行われた[42、43、64、65]。
【0075】
ウイルス-中和抗体の分析
マウスを、150脾臓フォーカス形成ユニットのFVで感染させ、感染後、指示された日数のとき、エーテル麻酔下、前記眼窩後方の洞から採血した。血清を集め、用いるまで凍結して保管した。F−MuLV−中和抗体の血清力価を前記のように測定した[43、64、65]。要するに、各血清の連続的2倍希釈物を、F−MuLV,FB29の伝染性分子クローンで慢性的に感染されたマウスダニ(Mus dunni)細胞クローンの培養物から集められたプール上清の標準希釈物と混合し、培養し、24−ウエル組織培養プレート中の感染していないマウスダニ細胞の培養物上に接種した。2日後、F−MuLV−感染細胞の病巣を、前記F−MuLV env遺伝子生成物に特異的なモノクローナル抗体を用いる病巣酵素抗体法分析により、可視化した[74]。全ての分析を、各血清希釈物について、2つのウエルにおいて、行った。中和は、感染細胞病巣の平均数が、前記ウイルスを希釈剤のみと混合したコントロールウエルにおけるものと比較して、<1/4まで減少した場合、著しいと判断した。抗体力価は、著しい中和を生じる最も高い血清希釈により定義した。
【0076】
マウスにおける単純配列長多型(SSLP)の分析
ゲノムDNAを、製造者の取り扱い説明書に従い、DNイージー・ティッシュ(DNeasy Tissue)キット(QIAGEN GmbH, Hilden, Germany)を用いて、各マウスの後部チップから調製した。各マイクロサテライト遺伝子座について1対のオリゴヌクレオチド・プライマーを、前記マウスゲノム部位(http://www-genome.wi.mit.edu/cgi-bin/mouse/, The Whitehead Institute/MIT Center for genome Research, Massachusetts)の遺伝的および物理的マップ内のデータベース中に挙げられている配列情報に基づき、調製し、ゲノムDNAフラグメントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、増幅に用いた。50ngの各テンプレートDNAを、製造者の取り扱い説明書に従い、組換えTaqポリメラーゼ(インビトジェン・ライフ・テクノロジーズ, カルフォルニア州カールスバッド)を用いるクイック・サーモ・パーソナルPCRシステム(Quick Thermo Personal)(Nippon Genetics, Tokyo, Japan)により、35サイクルの増幅に付した。PCR生成物は、4%アガロースゲル剤中、電気泳動により分離され、UV光の下、臭化エチジウム染色により、可視化された。
【0077】
連鎖分析
有意な力価(21.5≦)のF−MuLV−中和抗体を有する戻し交配マウスを、プロデューサーとして選定し、一方、検出限界以下の抗体力価(<21.3)を有するものを、非プロデューサーとして選定した。カットオフポイントは、16のA/WySnマウスのF−MuLV−中和力価(すべては、検出限界以下だった)と、PID 15における15の(B10.A×A/WySn)Fマウス(21.5)の群において観察された最低中和力価を基に、決定した。各試験染色体遺伝子座における遺伝子型と、ウイルス−中和抗体の存在または不在との間の相関関係を、2×2の分割表に基づき、ピアソンのXテストにより分析した。前記染色体遺伝子座およびロッドスコアのマップオーダーを、MAPMAKER/EXPソフトウエア・バージョン3.0b(ゲノム研究のためのホワイトヘッド・インスティチュート/MITセンター)を用いて、多点解析により決定した。
【0078】
D15Mit1遺伝子座の物理的マッピング
前記D15Mit68遺伝子座と前記D15Mit118遺伝子座との間の、マウス染色体15のセグメントをカバーするバクテリアの人工染色体(BAC)の38のオーバーラップクローンを、前記RPCI−23メスC57BL/6マウスBACライブラリー(カルフォルニア州オークランド、子供病院オークランド研究所(Children's Hospital Oakland Research Institute, Oakland, California))から選択し、得た。各マイクロサテライト遺伝子座の存在を、前記のようにして、PCR分析により、各単離BACクローンをテンプレートとして用いて検出した。期待したサイズのPCR生成物が、テンプレートとして、D15Mit1およびRP23−290M7 DNAについて前記プライマーセットを用いて得られ、前記フランキングプライマーの存在およびこのマイクロサテライト遺伝子座の公知構造とマッチする反復配列を、このBACクローンのデータベース−報告配列において、同定した(アクセションNo.AL591746)。このマイクロサテライト配列の存在は、オーバーラップBACクローン、RP23−305P10において検出されなかった。
【0079】
EUIおよびHIV−1−感染個体
HIV−1血清状態に一致しない42の異性間カップルを、本研究において、登録した。32のカップルにおいて、コンドームなしの挿入的性交の長期経歴にかかわらず、女性のパートナーがHIV−1−感染であり、一方、男性のパートナーがHIV血清反応陰性であった。残りの10のカップルにおいて、男性のパートナーは、HIV−1−感染であり、一方、女性のパートナーがHIV−血清陰性であった。EUI群に関する試験対象患者基準は、研究期間の前4ヶ月以内に、潜在的に危険な状態にある性交の少なくとも1回の挿入がある、少なくとも4年間の間、多重的無防備な性的挿入の経歴であった。前記カップルは、4年のうちに平均8回の無防備な性的挿入/年(範囲5〜>40)を報告していた。49のさらなる年齢および性別が合うHIV−1−感染個体を、イタリア、フローレンス、オスダレ・サンタ・マリア・アヌツィアの伝染性疾患ユニットにより、登録した。最後に、47の感染していない年齢および性別が合う健康なコントロール個体を、ミラノのルイジ・サッコ病院およびフローレンスのサンタ・マリア・アヌツィア病院から、ボランティアとして登録した。ミラノのルイジ・サッコ病院およびフィレンツェのサンタ・マリア・アヌツィア病院の研究倫理委員会は、このプロトコルを承認し、登録者の遺伝子型分析は、近畿大学薬学部の倫理委員会により承認された。書面にされたインフォームドコンセントが、記入前の全ての患者から得られ、サンプルは、匿名扱いされ、盲検的に分析した。
【0080】
表現型定義
血漿HIV−1ロードは、先に説明したように、AMPLICOR HIVモニタテスト(ロッシュ診断システム、ナトリー、ニュージャージー)を用いて、定量し[21、23]、全てのEUIsおよび健康なコントロールにおいて検出不可能であった。前記EUIsにおいて、HIV−1の粘膜的限定存在の可能性を除外するため、逆転写物および前記のようなPCR法により、可能性のあるHIV−1 cDNAを前記のようにして精液又は膣液中、分析した[21、23]。HIV−1 cDNAは、前記EUIsにおいて検出されなかった。血清および尿道または膣のスワブにおけるHIV−1−特定の抗体の滴定を、前記のようにして、HIV EIAテスト(カルフォルニア州、バークレー、カリプターバイオメジィカルコーポレーション)を用いて、酵素連関イムノ分析により行った[21−26]。前記EUIsは、彼らの血清中、検出可能なHIV−反応性IgGは有さなかった一方、全てのHIV−感染個体は、HIV−1に対して血清IgG反応性について陽性であった。末梢血液におけるHIV−1−反応性記憶T−細胞の検出および列挙について、酵素連関イムノスポット(ELISPOT)分析を前記のように行った[23]。要するに、PBMCsは、イムノ優性および無差別エピトープ(前記HIV−1外皮グリコタンパク質、gp160において同定された)を表現する5の合成ペプチドの混合物で刺激され、抗インターフェロン(IFN)−γ抗体−被覆96ウエルプレートにおいて培養された。分泌IFN−γのスポットは、可視化され、ビオチン接合抗IFN−γ抗体(スゥエーデン、ナッカ、マブテック(Mabtech, Nacka, Sweden))、ストレプトアビジン接合アルカリホスファターゼ(マブテック)、および ホスファターゼ基質キット(カルフォルニア州、ヘラクレス、バイオ・ラッド・ラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories, Hercules, California))を用いて、カウントした。
【0081】
ヒトSSLPマーカーの分析
各試験個体のPBMCsから抽出された500ngのゲノムDNAを、エンセンブル(Ensembl)ゲノムブラウザに記述されている配列データを基に合成したフランキングプライマーセットを用いるPCR増幅の40サイクルについて、前記テンプレートとして用いた。各左プライマーを、ABI3100DNAシーケンサー(アプライド・バイオシステム・フォスターシティ、カルホルニア州(Applied Biosystems, Foster City, California))でのフラグメント分析における検出のため、蛍光(florescent)染料でラベルした。PCR増幅を、以下の条件下で、組換えTaqポリメラーゼ(インビトジェン・ライフ・テクノロジーズ)を用いて行った:94℃で2分の初期の変性、各増幅サイクルは、94℃で30秒、55℃で30秒、および74℃で90秒を含み、最後の伸長は、74℃で10分であった。遺伝子型について、各PCR増幅フラグメント(50−100fmol)を、適切なサイズのマーカーと共に上記DNAシークエンサーに適用した。ピーク同定とサイズ測定を、ジーンスキャンソフトウエア(GeneScan software)(アプライド・バイオシステム(Applied Biosystems))で行った。完全なフラグメントのサイズの決定について、各試験遺伝子座について少なくとも2つの同型接合個体から得られるPCR生成物を、pCR2.1−TOPOベクター(インビトジェン・ライフ・テクノロジーズ)にクローン化し、前記M13フォワードプライマーを用いることにより、配列決定した。配列決定は、少なくとも6つの同一クローンが各アレルについて観察されるまで、繰り返された。
【0082】
統計分析
アレル頻度分布と免疫学的分析の結果との比較について用いられた標準統計値を、文章および表注釈の対応部分において明記した。3つの表現型群の間で異なる頻度を有する優性アレルの可能性のある存在を試験するために、数学的分析を、以下のようにして行った。xijを、前記EUI群について前記遺伝子型i/j(i≦j)を有する個体の数として定義した。[前記において、
【0083】
【数1】

は、この群に属する個体の全数である。x=(xiji≦jが、パラメータa=(aiji≦jを有する多項式分布を有すると仮定する[前記において、
【0084】
【数2】

]。便宜上、aji=aijとする。同様に、表記法y,bおよびz,cを、前記HIV−1−感染群および健康な制御群についてそれぞれ定義した。前記EUI群について前記アレルiを有する前記個体の前記頻度は、
【0085】
【数3】

として表現された。同様に、bおよびcを定義する。前記EUI群およびHIV群について前記アレルiを有する個体の頻度が同じであるという仮定は、H:a=bとして表現される。同様に、また、仮定a=cは、前記EUIを健康な制御群と比較するために考慮される。
【0086】
本研究において、我々は、多重仮説Hi’sをテストし、対応する統計P値を得た。各Hについての判断を、プリセット危険率有意水準においてたとえ行ったとしても、全体判断は、実際、より大きな危険率有意水準で行われるかもしれない、というのは、誤差率は、1より多いテストの後、蓄積しているからであることに、注目されたい。上記のような帰無仮説の誤った排除は、以下のような閉じたテスト手順を用いることにより、解決することができる[77]。
【0087】
【数4】

を、前記仮説Hi’sの全ての交点からなる閉じたセットとする。いずれの仮定
【0088】
【数5】

について、共通の有意なレベルを有する前記排除領域を作ることが可能と仮定する。閉じたテスト手順によれば、対応する排除領域を用いて、Hを含む仮説全てを我々が排除した後にのみ、われわれは、
【0089】
【数6】

を排除することができるという。従って、残りの問題は、前記排除領域を設定することである。
【0090】
を、前記仮定Hについて、標準化されたテスト統計値とする。対応する排除領域は、
【0091】
【数7】

となる。共通の仮定Hを考慮する。例えば、Hを、H、...Hの交点とする。対応する排除領域は、
【0092】
【数8】

で定義することができる。我々は、以下の分散安定化タイプを、標準化テスト統計値として用いた。
【0093】
【数9】

前記式中、
【0094】
【数10】

【0095】
一般に用いられそうな比とピアソンのXテストを超える利点として、上記のタイプにより、我々は、P値が小さいほど、対応する帰無仮説の前記排除が強くなると解釈するのが可能になった。というのも、逆正弦の分散が、サンプルとは無関係に一定であったからである。前記手順はまた、別のメリットがある:もし、最大交点仮定
【0096】
【数11】

が、排除されれば、前記最小P値に対応する前記個体仮定が、閉じたテスト手順の観点から、自動的に排除されうる。加えて、もし、前記最小P値に対応する前記仮定のみが、前記個体仮説のうち排除されるなら、前記閉じたテスト手順の観点から、排除のみされた仮定である。もし、アレルの数がIであれば、I仮説、Hi’sがある。単純にするため、Hi’sについて対応するP値を、p1<・・・<pIと考える。前記最大交点仮定は、Hi’sの交点である。この仮定が排除されれば、換言すれば、もし、前記対応P値が前記共通危険率有意水準αより低ければ、前記最小P値に対応する前記仮定Hは、前記閉じたテスト手順の観点から排除されうる。加えて、もし、p<α<p<・・・・であれば、排除された仮定は、Hのみである。
【0097】
’sの結合分布は、通常、前記帰無仮説の下の多変量正規分布により近似することができ、従って、対応する近似P値は、容易に前記個体仮説について計算することができる。共通の仮定についての近似P値は、前記中心極限定理と前記パラメータ・ブートストラップを用いて、計算することができる[78]。この手順は、単純なボンデローニ補正より強力であることに注意されたい。小さい頻度のアレルの存在による不必要な妨害を避けるため、我々は、共通の仮定を考慮したとき、0.1より大きな推定頻度である仮説のみをテストした。これは、0.1より小さな頻度のアレルは、全体の群の表現型を表現し得ないからである。近似多変量から100,000の無作為抽出サンプルを引き出すことにより、計算を行った。本研究において、我々は、感染後15日におけるFV−感染(B10.A×A)×A戻し交配マウスにおけるウイルス−中和抗体の検出可能力価の存在または不在が、染色体15遺伝子座におけるそれらの遺伝子型と強固に関連していることを示した。連鎖地図データは、前記ウイルス中和抗体の生産を制御する単一遺伝子は、前記D15Mit71遺伝子座の近傍に位置し、予め染色体上に位置付けられたRfv−3遺伝子座と共局在化していることを示している[45、46]。前記Rfv−3−関連表現型がFV感染症後35〜40日までのウイルス血症のクリアランスにより、定義されており[44−46]、中和抗体が、染色体15(図4)上の前記B10−誘導優性アレルを有するマウスにおいて感染後15日において検出可能であるので、ウイルス中和抗体の初期生産が、ウイルス血症の初期クリアランスと関連していることは、大いに予想される。図1から理解されるように、a、FV感染後、異なる時点での(B10.A×A)F1
【0098】
【数12】

マウスおよびA
【0099】
【数13】

マウスにおけるウイルス−中和抗体の平均力価(n=11−16)における変化。S.E.M.は、筋で示した。破線は、検出限界を示す。b、PID15においてテストした各個体マウスにおけるウイルス−中和抗体の力価。D15Mit71遺伝子座における遺伝子型は、前記A−誘導アレル
【0100】
【数14】

についての同型接合か、またはB10.A誘導およびA−誘導アレル
【0101】
【数15】

についての異形接合のいずれかについてである。
【0102】
マウス染色体15にシンテニーなヒト染色体22のセグメント以内に位置するマイクロサテライト遺伝子座における遺伝子型が、HIV−1−感染していない個体における粘膜抗HIV IgAの存在と関連していたことは、最も興味をそそられる。多重比較について修正を行った後でさえ、前記D22S423遺伝子座(アレル221を有する個体の頻度が、前記EUI群において、前記HIV−1−感染群においてよりも、著しく高い)において、最も高い相関関係が観察された。このマーカー遺伝子座は、前記ウイルス中和抗体の生産を制御する遺伝子遺伝子座を抱くマウス染色体15の領域に対応する染色体部分の中央に位置する(図4)。図4において、物理的マッピングおよびシンテニー・データは、エンセンブル(Ensembl)ゲノムブラウザにおいて準拠したものを基にした。セントロメア
【0103】
【数16】

は、左に配置した。FV−中和抗体の生産を制御するマウス遺伝子座の位置は、143(B10.A×A)×A戻し交配マウスを用いる連鎖分析により決定し、8匹の危篤動物(染色体組換えが、前記D15Mit105遺伝子座と前記D15Mit107遺伝子座との間に同定された)において、前記SSLP遺伝子型と抗体力価とを、相関づけることにより示された領域にまで、さらに狭められた。遺伝子型が、前記EUI群とHIV−感染群との間で比較されたヒトSSLP遺伝子座もまた、示す。前記D22S277遺伝子座における前記アレル156および158(これらは、(染色体ごとに、それぞれ、5.6%および9.3%)前記データベース−報告白人CEPH人口[59、60]の中で稀である)が、前記EUI群において、より頻繁に観察された(それぞれ、9.5%および17.9%)ことも、注目に値するであろう。HIV−1−感染群および健康に制御されている群の個体において観察されるこれらのアレルの頻度は、前記CEPH人口において報告されているものと、同等であり、HIV−1−感染群と健康に制御されている群を合わせ、前記EUI群と比較したとき、前記アレル156の頻度(両側フィッシャーの直接確率検定によりP=0.035)と、前記アレル158の頻度(前記同じ検定によりP=0.0061)において、著しい相違があった。マイクロサテライト突然変異の割合が、コドン遺伝子におけるポイント突然変異の割合よりも、ずっと高く[61]、最も普通の段階的突然変異が、>20反復のマイクロサテライトについて、反復数の減少に向かって偏っている[62]ので、前記D22S277遺伝子座における前記アレル156および158(それぞれ、25および26ジヌクレオチド)は、前記感染していない個体におけるHIV−1に対し、増強された免疫応答と、関連している同じ推定アレルに両方が連関していると仮定するのが正当である。この観点で、前記アレル156および158が、両方、単独優性遺伝要因に連関していると仮定して行った前記分散安定化分析により、前記EUIおよびHIV−1−感染との間の著しい相違が立証でき、前記EUI群および健康に制御されている群がそれぞれP=0.0066および0.0079において、これら2つの個体無効仮説は、また、多重比較についての修正をそれぞれP=0.0378および0.0448で前記閉じたテスト手順で行った後、排除された(著しい相違を確認した)。さらに、同じ比較を、前記HIV−1−感染個体と健康的な制御個体とを合わせた群と、前記EUI群との間で行ったとき、前記アレル156または158のいずれかを有する個体の頻度が、前記EUIsの中で著しく高く(P=0.0019)、これは、多重比較について修正を行った(P=0.0121)後でさえ、非常に著しかった。従って、マウス染色体15にシンテニーであるヒト染色体22のセグメント以内の多重遺伝子座における遺伝子型は、HIV−感染していないイタリア人において、HIV−1に対して強粘膜およびT−細胞免疫応答の存在と著しく関連している。
【0104】
FV−感染マウスにおけるウイルス−中和抗体の生産は、CD4Tヘルパー細胞機能に左右され[63]、前記ウイルス外皮エピトープの前記T−細胞認識が、ウイルス−中和抗体のクラス転換の動態に強く影響を及ぼす[64、65]。同様に、本研究に登録した、HIV−1−暴露かつ感染していない個体は、末梢血液中に、HIV−感染個体と比較して、著しく多い量の粘膜抗HIV−1 IgAと、より多い数のHIV−1外皮−反応性T細胞を有していた(表2)。
【0105】
【表2】

【0106】
従って、これら全てのデータは、遺伝子の優性応答アレル(FV感染症の初期段階においてレトロウイルス−中和抗体を引き起こす能力を付与するマウスのアレルにおそらく相同性である)が、染色体22に存在し、前記22q13.1セグメントの近くに位置するという仮定と一致する。HIV−感染症に対する抵抗性および/または後天性免疫不全症候群への進行に影響を及ぼすと先に報告されたヒト遺伝子のいずれも、3p21に位置するCCR5およびCCR2、10q11.1に位置するSDF1、6p21.3に位置するHLA、19q13.4に位置するKIRsおよび1q31−32に位置するIL10(参照3、38−47)のような、前記ヒト染色体のこの領域に位置していなかった。加えて、前記CCR5△32突然変異(同型接合体における前記HIVコレセプターの細胞表面発現の欠如に結果としてなる[20、66−69])は、本研究の登録者に見られなかった(データ示さず)一方、3/42のEUIsが、非相同のCCR5−△32欠失の存在を示した。この突然変異が、イタリアおよびタイにおいて、前記HIV−1−暴露かつ感染していない個体のなかで、まれであることが知られている[21、26、74]。全体で、本発明者の結果により、HIV−1感染に対する免疫抵抗性を付与する新規遺伝要因の存在が示された。
【0107】
中和抗体を制御するマウス遺伝子座の連鎖地図
FVの侵入および複製に影響を与える宿主遺伝子と、ウイルス抗原への宿主T−細胞応答に影響を及ぼすものの効果を除外するため、遺伝的分析を、FV−感染しやすいFv−1b/b、Fv−2(Fv−2r/sまたはFv−2s/sのいずれか)およびH2a/aの遺伝子型を分け合うマウスのB10.A血統およびA血統の異種交配を用いて行った。(B10.A×A)FおよびAマウスを、FV感染後、異なる時点でウイルス−中和抗体のそれらの生産について、比較したとき、これらのマウスのいずれも、感染後10日で中和抗体の検出可能なレベルを有していなかった。中和抗体は、親Aマウスにおいて、感染後の日(PID)15および20に検出不可能であった。対照的に、感染(B10.A×A)Fマウスの全ての個体は、PID15において著しい中和力価および、PID20においてテストされたとき、PID15においてのものと比較して、著しく増加した力価を有していた(図1)。従って、(B10.A×A)×A戻し交配マウスにおいて中和抗体力価の可能な隔離を、PIDs15、17および21において、それらを採血することにより、テストした。ウイルス−中和抗体は、PID15において、143の(B10.A×A)×A戻し交配マウスの63(44%)において、検出不可能であり(図1)、単一遺伝子座が中和抗体の生産または生産の欠乏に関係していることが示唆される。連鎖分析について、ウイルス血症の持続性に影響を及ぼす前記Rfv−3遺伝子座が、この染色体上に位置付けられたので、遺伝子型が染色体15上に集中し、43の別々の戻し交配個体を用いて行われた初期の分析が、PID17におけるウイルス−中和力価と、染色体15における4つの遺伝子座、D15Mit22、D15Mit28、D15Mit42およびD15Mit161(データ示さず)における遺伝子型との間に、著しい相関関係を示した。143の戻し交配マウスを用いて行われた連鎖分析の結果により、染色体15におけるマーカー遺伝子座での遺伝子型と、PID15におけるウイルス−中和抗体の力価との間に、最も強力な相関関係(X=74.0、P=1.17×10−7)が観察されたとともに、前記D15Mit71遺伝子座において強力な相関関係が示された(表3)。
【0108】
【表3】

【0109】
MAPMAKER/EXPを有する連鎖地図に、ウイルス血症の初期クリアランスと関連している前記Rfv−3遺伝子座の先のマッピングと一致する、前記D15Mit71遺伝子座とD15Mit171遺伝子座との間のPID15における、ウイルス−中和抗体の存在または不在を決定する遺伝子座の位置を示した。FV−中和抗体の生産に影響を与える遺伝子座のさらなるマッピングを、前記D15Mit28遺伝子座とD15Mit171遺伝子座の間の重要な組換えを有する前記戻し交配動物の遺伝子型により行った。この目的のため、前記D15Mit71遺伝子座を囲む染色体15の約12Mbp領域を、18の多形性マイクロサテライトマーカーでカバーし、各個体戻し交配マウスにおいてそれらの遺伝子型を決定した。その結果、この領域内に相互組換えを有する8の戻し交配マウスが同定された(図4)。D15Mit1は、エンセンブル・ゲノム・ブラウザ(
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)において達成されたマウスゲノムの物理的マップに現在は含まれていないが、マウス染色体15のセグメントを抱くバクテリア人工染色体、RP23−290M7(塩基数47915−48097)のクローン以内に、このマイクロサテライトマーカーのフランキングプライマーと反復配列を我々は同定したことに注目されたい。従って、前記D15Mit1遺伝子座の物理的マップは、図4に含まれる。PID15におけるウイルス−中和抗体の生産と、D15Mit71、D15Mit2、D15Mit214、D15Mit69およびD15Mit70遺伝子座における遺伝子型の間の著しい相関関係(両側フィッシャーの直接確率検定によりP=0.029)が、これらの相互組換え動物において観察されたので、FV−中和抗体の生産を制御する遺伝子座が、最も幅広くて、D15Mit1にテロメアであり、かつD15Mit118遺伝子座にセントロメアである領域以内に位置することが予想される。
【0110】
HIV−1−暴露かつ感染していないイタリア人の遺伝的分析
本発明者らは、次に、前記マウス遺伝子座の推定類似(ortholog)が、ヒトレトロウイルス感染症において、抗体生産に影響を及ぼすかもしれないという可能性を研究した。HIV−1および結果として生じる希少なマルチケース(multicase)家族の伝達の失敗のため、影響が及んだ兄弟と、影響が及ばなかった兄弟とを比較することによる標準連鎖分析が不可能であった。従って、本発明者らは、おそらく保護的な抗HIV−1免疫応答が、感染していない個体において、優性遺伝要因の存在と関連しており、この因子が、感染個体において欠乏していると仮定して、個体の、暴露されたが感染していない群と、HIV−1−感染群との間の遺伝子型を比較することにより、シンプルな関連研究を行った。加えて、本発明者らは、また、上記推定遺伝要因が、FV感染の初期段階においてウイルス−中和抗体を引き起こす能力を付与するマウス遺伝子座の類似かもしれないと、仮定した。従って、本発明者らは、マウス染色体15にシンテニーなヒト染色体22のセグメントにおける多形性遺伝的マーカーに集中した(図4)。検出不可能な血液および細胞のHIVゲノムにもかかわらず、粘膜抗HIV−1 IgAを有し、HIV−1ペプチド特異性T−細胞サイトカイン生産を示すHIV−1−感染個体の42人の感染していないパートナー;前記EUIsの感染パートナーを含む49人のHIV−1−感染個体;および47人の感染していない健康に制御された人を、書面にされたインフォームドコンセントでもって、イタリアのミラノおよびフローレンスから登録し、図4に示す遺伝子座において、遺伝子分類した。前記3つの表現型群のウイルス学的および免疫学的パラメータを、表2にまとめた。3つの群の間で可能性のある遺伝的相違は、2つの方法で比較した。最初に、試験した遺伝子座におけるアレル頻度の分布を、2×(アレルの数)の分割表について、ピアソンのX分析を用いて、前記3つの表現型群の各対の間で比較した。民族学的興味のため、合わせた群として、登録者のアレル頻度分布もまた、ゲノムデータベース(GDB、バージョン6.4)に報告されているCEPH家族白人のものと比較した。第2に、所定の遺伝子座に問題になっているアレルを有する個体の頻度を、方法のセクションにおいて説明したように、分散安定化統計値を用いて、3つの表現型群の間で数学的に比較した。従って、登録したイタリア人と、CEPH家族白人住民との間の試験した遺伝子座におけるアレル頻度の分布は、前記D22S423遺伝子座と前記D22S1166遺伝子座(それぞれ、P=0.0061および0.0087)において以外は、相違しなかった。アレル頻度を3つの表現型の間で比較したとき、D22S277遺伝子座におけるそれらの分布は、P=0.039において、前記EUI群と、健康に制御された群との間で相違していた。他の遺伝子座において、著しい相違は観察されなかった。
【0111】
所定の遺伝子座において、特定なアレルを有する個体の頻度を、優性モデルを採用することにより3つの表現型群の間で比較したとき、目的の数学的分析により、著しい相違を有する多重遺伝子座が明らかにされた(表4)。
【0112】
【表4】

【0113】
これらの個体相違点は、閉じたテスト手順を用いることにより、多重比較による単独帰無(等頻度)仮定の可能性のある誤った排除について、さらに試験した。その結果、前記D22S272遺伝子座においてアレル134を有する個体の頻度は、前記EUI群と、健康に制御された群との間で著しく相違しており、D22S423遺伝子座にアレル221を有する個体の頻度も、前記EUI個体とHIV−感染個体との間で著しく相違していた。
【0114】
本発明者らは、アレルD22S929、D22S272、D22S284およびD22S1166が、以下の表において、
【0115】
【数17】

により示されるように、感染していないHIV−暴露患者において、より煩雑であることを見出す一方、前記アレルD22S299は、以下の表において、
【0116】
【数18】

により示されるように、頻度がより少ないことが確認された。
【0117】
【表5】

【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
【数19】

【0121】
【数20】

【0122】
【数21】

【0123】
【数22】

【0124】
【数23】

【0125】
【数24】

【0126】
【数25】

【0127】
【数26】

【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、マウスの類似遺伝子型血統におけるPID16−20で検出されたフレンドウイルス−中和抗体の力価を示す。
【図2】図2は、マウス染色体15とヒト染色体22のシンテニーな領域以内に位置するSSLPマーカーおよび相同性遺伝子との順序と、その間の距離の図表示である。
【図3】図3は、D22S277遺伝子座における遺伝子型を示す。
【図4】図4は、マウス染色体15とヒト染色体22のシンテニーな領域以内に位置するSSLPマーカーの順序と、その間の距離を示す。
【図5】図5は、フレンドのウイルスに対する抵抗性を付与するマウス遺伝子と、ヒトウイルス抵抗性遺伝子との間の完全な同一性を示す。
【図6】図6は、HIV−1−暴露したが、感染していない個体にのみ観察される、染色体22にわたる連鎖不平衡の断絶を示す図表説明である。
【図7】図7は、HIV−1抵抗力があるアレルの部位マッピングおよび頻度ならびにマウス染色体15上のマウス抗体制御遺伝子座およびヒト染色体22のシンテニーな領域の図表説明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染症にかかりやすい素因を決定する方法であって、前記方法が、被験者からDNA運搬サンプルを得る工程、および前記サンプルを分析し、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272の少なくとも1つに存在するアレルを同定する工程を含み、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272における特定なアレルの存在が、感染症に対する抵抗性を示す方法。
【請求項2】
感染症に対する抵抗性を決定する方法であって、前記方法が、被験者からDNA運搬サンプルを得る工程、および前記サンプルを分析し、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272の少なくとも1つに存在するアレルを同定する工程を含み、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272における特定なアレルの存在が、感染症に対する抵抗性を示す方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記サンプルが、分析され、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272またはそれに相補的な核酸の相同体、スプライス変異体または誘導体の存在を決定する方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法であって、前記方法が、ウイルス性感染症にかかりやすい素因の決定に用いられる方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記ウイルスが、オンコウイルス、レトロウイルス、レンチウイルスおよびスプマウイルスからなる群から選択される方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の方法であって、前記ウイルスが、内在性レトロウイルスである方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一つに記載の方法であって、前記ウイルスが、HIVウイルスである方法。
【請求項8】
先行する請求項のいずれかに記載の方法であって、前記サンプルが、非侵襲的に得られる方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法であって、前記サンプルが、血液、尿、精液、口腔スワブ、皮膚細胞、切り取った爪、毛、高部膣スワブまたは子宮頚部スミアである方法。
【請求項10】
先行する請求項のいずれかに記載の方法であって、前記サンプルが、核酸増幅技術の使用により増幅される方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記核酸増幅技術が、PCRまたはローリング・サークル複製である方法。
【請求項12】
先行する請求項のいずれかに記載の方法であって、前記サンプルが、DNA断片長解析、DNAハイブリダイゼーション技術、DNA配列同定、一本鎖長多型(SSLP)分析または標準鎖構造(RSC)分析を用いて、前記マイクロサテライト遺伝子座における特定な遺伝子型の存在または不在について分析される方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記分析が、一本鎖長多型(SSLP)分析を用い、前記マイクロサテライトマーカーのPCR増幅用フランキングプライマーセットが、
D22S277 左、TTCTTGTGTGGTAGTCTGGG; (配列番号: 1)
D22S277 右、TACCNACTCCCCAAACTATG; (配列番号: 2)
D22S272 左、GAGTTTTGTTTGCCTGGCAC; (配列番号:3)
D22S272 右、AATGCACGACCCACCTAAAG; (配列番号:4)
D22S276 左、CATTCTGCCAAGCAATTTAT; (配列番号:5)
D22S276 右、GCTGCTCTTTAAGTTTCTTGACC; (配列番号:6)
D22S929 左、GGAGCTGCATGTACTAGCTGG; (配列番号:7)
D22S929 右、GCATTTATGGAGTATCCACAG; (配列番号:8)
D22S1169 左、GCACACACATGCACATAATC; (配列番号: 9)および
D22S1169 右、AACAACTTCCAGCAGACG. (配列番号:10)、
相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体またはその相同体から選択される方法。
【請求項14】
感染症にかかりやすい素因の診断用キットであって、前記キットが、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418またはD22S272の少なくとも1つにおける遺伝子型の決定用試薬を含むキット。
【請求項15】
感染症にかかりやすい素因の診断用キットであって、前記キットが、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272又はそれに相補的な核酸、フラグメント、多型、スプライス変異体もしくはその相同体の少なくとも1つにおける遺伝子型の決定用試薬を含むキット。
【請求項16】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、またはそれに相補的な核酸、またはそのフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体の少なくとも1つを抱く染色体フラグメントを運ぶベクター。
【請求項17】
感染症にかかりやすい素因を有する被験者を治療するための遺伝子治療における請求項16に記載のベクターの使用。
【請求項18】
前記感染症の治療用薬物の製造における請求項16に記載のベクターの使用。
【請求項19】
感染症の治療または予防または療法における請求項16に記載のベクターまたは請求項18に記載の薬物の使用。
【請求項20】
請求項17に記載の使用であって、前記感染症が、ウイルス性感染症である使用。
【請求項21】
請求項17から20のいずれかひとつに記載の使用であって、前記感染症が、HIVウイルスによる感染症である使用。
【請求項22】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされる、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、アミノ酸配列の相同体もしくはフラグメントを含む組成物。
【請求項23】
感染症の治療または予防における請求項22に記載の組成物の使用。
【請求項24】
ウイルス性感染症の治療または予防における請求項22に記載の組成物の使用。
【請求項25】
HIVの治療、予防または他の療法における請求項22に記載の組成物の使用。
【請求項26】
請求項22に記載の組成物であって、前記組成物が、医薬組成物である組成物。
【請求項27】
請求項22に記載の組成物であって、前記組成物が、ワクチンである組成物。
【請求項28】
避妊薬における請求項22に記載の組成物の使用。
【請求項29】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされる、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントを含む避妊薬。
【請求項30】
隔膜、子宮頸キャップ、コンドーム、スポンジもしくは他の膣内もしくは障壁デバイス、被覆IUDデバイス、経口避妊用ピル、避妊用のインプラントもしくは注射剤、または殺精子のゲル剤、ペッサリー、発泡体、フィルムもしくは乳剤の形態である請求項28に記載の避妊薬。
【請求項31】
殺菌薬における請求項22に記載の組成物の使用。
【請求項32】
粘膜的に投与可能な形態におけるクレーム31に記載の殺菌薬の使用。
【請求項33】
ウイルス性疾患に対する粘膜性ワクチン注射における請求項31に記載の殺菌薬の使用。
【請求項34】
HIVウイルスに対する粘膜性ワクチン注射における請求項33に記載の殺菌薬の使用。
【請求項35】
感染症の治療または予防のための薬物の製造における、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされる、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントの使用。
【請求項36】
請求項35に記載の使用であって、前記感染症が、ウイルス性感染症である使用。
【請求項37】
請求項35または請求項36に記載の使用であって、前記感染症が、HIVである使用。
【請求項38】
配列番号1〜10のいずれか一つによる裸のDNA配列の少なくとも1つを含むワクチン。
【請求項39】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、または前記遺伝子のフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体を含むDNA配列を含むワクチン。
【請求項40】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272または前記遺伝子のフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体をエンコードするDNAを含むワクチンであって、前記DNAが裸であるワクチン。
【請求項41】
アジュバントを更に含む請求項38〜40のいずれか1つに記載のワクチン。
【請求項42】
請求項27、請求項33または請求項38〜41のいずれか1つに記載のワクチンであって、非経口的にまたは経口的に投与可能であるワクチン。
【請求項43】
請求項38〜41のいずれか1つに記載のワクチンであって、前記ワクチンが、免疫原性であるワクチン。
【請求項44】
前記DNAに結合可能か、またはさもなければ前記DNAを識別可能な化合物をスクリーニングするための、チップまたは分析プレートにおける、マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、または前記遺伝子のフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体をエンコードするDNAの使用。
【請求項45】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272または、前記遺伝子のフラグメント、多型、スプライス変異体、相補的核酸もしくは相同体をエンコードするDNAを含むチップまたは分析プレート。
【請求項46】
薬剤における請求項44に記載のチップまたは分析プレートの使用。
【請求項47】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントを含むチップまたは分析プレート。
【請求項48】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされた、前記ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体もしくはフラグメントに、結合することができ、またはさもなければ識別することができ、修飾でき、もしくは擬態することができる化合物のスクリーニングにおける、請求項47に記載のチップまたは分析プレートの使用。
【請求項49】
ハイスループット・スクリーニング法における請求項45〜48のいずれか1つに記載のチップまたは分析プレートの使用。
【請求項50】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体に隣接する染色体部分に位置する遺伝子によりエンコードされた、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはグリコシル化、スルホン化、アセチル化もしくは他の翻訳後誘導体、機能的な誘導体、前記タンパク質の相同体またはフラグメントの、感染症に対する抵抗性を提供するか、または抗ウイルス活性を有する免疫グロブリンAを製造するための使用。
【請求項51】
マイクロサテライト遺伝子座D22S929、D22S277、D22S264、D22S423&D22S418もしくはD22S272、前記遺伝子の相補的な核酸もしくはフラグメント、多型、スプライス変異体もしくは相同体の、感染症に対する抵抗性を提供するか、または抗ウイルス活性を有する免疫グロブリンAを製造するための使用。
【請求項52】
請求項50または請求項51により製造された、感染症に対する抵抗性を提供するか、または抗ウイルス活性を有する免疫グロブリンA。
【請求項53】
請求項52に記載の免疫グロブリンAの医薬組成物における使用。
【請求項54】
請求項52に記載の免疫グロブリンAの前記感染症の治療用薬物の製造における使用。
【請求項55】
ウイルス性感染症の治療における請求項54に記載の使用。
【請求項56】
請求項55に記載の使用であって、前記ウイルスが、HIVウイルスである使用。
【請求項57】
治療を受けている患者に粘膜応答を引き起こし、前記患者に防御免疫を引き起こす請求項51または請求項54に記載の使用。
【請求項58】
請求項52に記載の免疫グロブリンAを含む粘膜ワクチン。
【請求項59】
抗原または病原体特異免疫を引き起こすための請求項58に記載のワクチンの使用。
【請求項60】
HIVウイルスに対する粘膜ワクチン注射の製造における、請求項58に記載のワクチンおよび請求項31に記載の殺菌薬の使用。
【請求項61】
HIVに対する中和抗体の製造を制御する遺伝子座をエンコードする核酸。
【請求項62】
請求項61に記載の核酸であって、前記核酸が、DNAである核酸。
【請求項63】
請求項61または請求項62に記載の核酸であって、前記遺伝子座が、マウスD15Mit71とシンテニーである核酸。
【請求項64】
請求項61〜63のいずれか1つに記載の核酸であって、前記遺伝子座が、ヒトD22S272、D22S423、D22S284、D22S299から選択される核酸。
【請求項65】
請求項61〜64のいずれか1つに記載の核酸であって、前記遺伝子座が、D22S272またはD22S423である核酸。
【請求項66】
請求項61〜65のいずれか1つに記載の核酸の薬剤における使用。
【請求項67】
HIV感染症の治療または予防のための薬物の製造における請求項66に記載の使用。
【請求項68】
請求項61〜65のいずれか1つに記載の核酸によりエンコードされたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質。
【請求項69】
請求項68に記載のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の薬剤における使用。
【請求項70】
請求項68に記載のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の、HIV感染症の治療または予防のための薬物の製造における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−502728(P2006−502728A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544486(P2004−544486)
【出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004493
【国際公開番号】WO2004/035825
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505138705)イミュノクリン、エルティーディー. (1)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【Fターム(参考)】