説明

ミエロペルオキシダーゼ阻害3−アルキル−5−フルオロインドール誘導体

本発明は、神経炎症性疾患または障害の治療または予防のための化合物であって、下記の式(Ia)
【化1】


(式中、nは2〜10の整数であり、R及びRは独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル及びアミノアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜10員の複素環を形成し、Rは独立に、各々のn単位において、水素、C−C10アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノアルキル及びアルキルアミノからなる群から選択される置換基を表す)で表される化合物、または、薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)に関する。また、ミエロペルオキシダーゼ酵素活性を阻害する方法及び薬学的組成物、低密度リポタンパク質酸化を阻害する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素ミエロペルオキシダーゼを阻害する化合物に関する。特に、ミエロペルオキシダーゼ阻害剤としての3−アルキル−5−フルオロインドール誘導体及び治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は、過酸化水素の還元を触媒するペルオキシダーゼスーパーファミリーに属するヘム含有酵素である。ペルオキシダーゼ酵素は、植物、真菌または動物に見出すことができる。動物ペルオキシダーゼのうち、ラクトペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ及びミエロペルオキシダーゼが研究されている。ミエロペルオキシダーゼは、好中球の一次顆粒、及びそれほどではないが単球に存在する。ミエロペルオキシダーゼは、塩化物イオンと過酸化水素の存在下で次亜塩素酸(酸化作用物質)の合成を触媒する。第一の役割は、貪食時に病原体の排除を助けることである。
【0003】
とは言え、急性の炎症状態が現われたとき、好中球は、いわゆる「循環ミエロペルオキシダーゼ」を放出する。アテローム性動脈硬化症の過程におけるミエロペルオキシダーゼの関与が研究されている。実際、この酵素は、アテローム性動脈硬化症の様々な段階において大きな影響を有するように思われ、その活性のいくつかのマーカー(例えば、3−クロロチロシン)がアテロームプレートにおいて強調されている。さらに、ミエロペルオキシダーゼの血漿含量によって、不安定狭心症を患う患者における心血管障害の出現が予測される。アテローム性動脈硬化症では、「循環」ミエロペルオキシダーゼは、生理的条件下でLDL(低密度リポタンパク質)のapoB100及びHDL(高密度リポタンパク質)のapoAIを酸化する。
【0004】
Klebanoffは、様々な病理におけるミエロペルオキシダーゼの潜在的影響を開示した(非特許文献1)。それによれば、発癌において、酵素ミエロペルオキシダーゼは、DNA塩基対を塩素化し、例えば、5−クロロ−2’−デオキシシトシン、5−クロロウラシルまたは8−クロロ−2’−デオキシグアノシンを生成させることができる。これらのミエロペルオキシダーゼ特異的マーカーをDNAに組み込んで、突然変異生成を誘導し得る(非特許文献2〜4)。
【0005】
ミエロペルオキシダーゼの別の関与は、糸球体腎炎におけるその酸化機能であり、これは、Stenvinkelらによって精力的に研究されている(非特許文献5)。特発性肺線維症において、Cantinら(非特許文献6)は、上皮細胞内に生じた損傷におけるミエロペルオキシダーゼの関与を証明した。中枢神経系に関して、Choiら(非特許文献7)は、酵素ミエロペルオキシダーゼがパーキンソン病において大きな役割を果たすことを強調し、一方、Crawfordら(非特許文献8)は、アルツハイマー病について同じことを報告した。最近、ヒト−MPOマウスモデルにより、ミエロペルオキシダーゼが、アルツハイマー病における脳損傷で著しく蓄積することが示された(非特許文献9)。
【0006】
特許文献1には、ミエロペルオキシダーゼ阻害剤としてのチオキサンチン誘導体が開示されている。これらの誘導体は、酵素ミエロペルオキシダーゼの阻害が有益となる疾患または障害の治療に有用である。
【0007】
Jantschkoら(非特許文献10)は、MPOの塩素化活性に適度に影響を及ぼす能力(0.7μMよりも高いIC50)を有するインドールならびにトリプタミン誘導体(すなわち、5−フルオロトリプタミン及び5−クロロトリプタミン)を開示した。しかしながら、そのような化合物の治療的使用を達成するためには、その阻害特性を強く増強し、そのIC50値を劇的に減少させなければならない。
【0008】
増強した阻害特性を有する新しいミエロペルオキシダーゼ阻害剤が必要とされている。ミエロペルオキシダーゼの阻害が有益となる疾患または障害の治療に好適な可能性がある新しい5−フルオロインドール誘導体が特に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1499613号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Klebanoff,S.J.,Myeloperoxidase:friend and foe,J.Leuk.Bio.,2005,77,598−625
【非特許文献2】Henderson et al.,Molecular chlorine generated by the myeloperoxidase−hydrogen peroxide−chloride system of phagocytes produces 5−chlorocytosine in bacterial RNA,J.Biol.Chem.1999,274,33440−33448
【非特許文献3】Masuda et al.,Chlorination of guanosine and other nucleosides by hypochlorous acid and myeloperoxidase of activated human neutrophils,J.Biol.Chem.2001,276,40486−40496
【非特許文献4】Takeshita et al.,Myeloperoxidase generates 5−chlorouracil in human atherosclerotic tissue,J.Biol.Chem.2006,281,3096−3104
【非特許文献5】Maruyama et al.,Inflammation and oxidative stress in ESRD−the role of myeloperoxidase,J.Nephrol.2004,17,S72−S76
【非特許文献6】Cantin et al.,Oxidant−mediated epithelial cell injury in idiopathic pulmonary fibrosis,J.Clin.Invest.1987,79,1665−1673
【非特許文献7】Choi et al.,Ablation of the inflammatory enzyme myeloperoxidase mitigates features of Parkinson’s disease in mice,J.Neurosc.2005,25,6594−6600
【非特許文献8】Crawford et al.,Association between Alzheimer’s disease and a functional polymorphism in the myeloperoxidase gene,Exp.Neurol.,2001,167,456−459
【非特許文献9】Maki et al.,Aberrant expression of myeloperoxidase in astrocytes promotes phospholipid oxidation and memory deficits in a mouse model of Alzheimer disease,J.Biol.Chem.,2009,284,3158−3169
【非特許文献10】Jantschko et al.,Exploitation of the unusual thermodynamic properties of human myeloperoxidase in inhibitor design,Biochemical Pharmacology,2005,69,1149−1157
【非特許文献11】Pharmaceuticals − The science of dosage form designs」(M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988
【非特許文献12】Van Antwerpen et al.,Development and validation of a screening procedure for the assessment of inhibition using a recombinant enzyme,Talanta,2008,75(2),503−510
【非特許文献13】Moguilevsky et al.,Moguilevsky N.,Zouaoui Boudjeltia Z.,Babar S.,Delree P.,Legssyer I.,Carpentier Y.,Vanhaeverbeek M.,Ducobu J.Monoclonal antibodies against LDL progressively oxidized by myeloperoxidase react with ApoB−100 protein moiety and human atherosclerotic lesions.Biochem.Biophys.Res.Commun.2004,323,1223−1228
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は驚くべきことに、新しい3−アルキル−5−フルオロインドール誘導体がミエロペルオキシダーゼに対する優れた阻害特性を示すことを見出した。
【0012】
本発明の第1の態様では、神経炎症性疾患または障害の治療または予防のための化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。その化合物は、式(Ia)
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、nは2〜10の整数であり、R及びRは独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル、及びアミノアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜10員の複素環を形成し、Rは独立に、各々のn単位において、水素、C−C10アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノアルキル、及びアルキルアミノからなる群から選択される置換基を表す)の化合物または薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)である。
【0015】
本出願人は、本発明による3−アルキル−5−フルオロインドール誘導体がミエロペルオキシダーゼを強く阻害することを示した。本発明の化合物のMPOに対する観察された低いIC50値のために、MPO活性の減少が有益となる疾患におけるその治療的使用が可能になる。
さらに、本発明は、ミエロペルオキシダーゼ酵素活性を阻害するための方法も提供し、その方法は、本発明による化合物をその酵素を含む媒体に添加する工程を含み、本発明による化合物がその酵素の活性を阻害するのに有効な濃度で添加されることを特徴とする。
【0016】
本発明のさらなる態様では、薬学的組成物を提供する。特に、その薬学的組成物は、治療有効量の本発明による化合物、または薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体との混合状態で含む。その薬学的組成物は、神経炎症性疾患または障害の治療または予防のために使用し得る。
【0017】
別の態様では、本発明は、アテローム性動脈硬化症を治療するための方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、低密度リポタンパク質酸化を阻害するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による化合物を調製するためのいくつかの化学合成経路を表す説明図
【図2】本発明の様々な化合物のミエロペルオキシダーゼ酵素に対する阻害能力(1/IC50として表す)を示すグラフ
【図3】式(Ia)の化合物の鎖長nの関数として阻害能力(1/IC50として表す)を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、「置換された」という用語が使用される場合は常に、表示された原子の通常の原子価を越えることなく、かつ置換によって、化学的に安定な化合物、すなわち、反応混合物から有用な純度までの単離と、治療剤としての処方とに耐える程度に十分に頑健な化合物が得られるという条件で、「置換された」を用いた表現において表示された原子上の1以上の水素が、表示された基から選択されるもので置換されていることを意味する。置換基は、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノを含む基から選択され得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される「ニトロ」という用語は、基−NOを指す。本明細書で使用される「シアノ」という用語は、基−CNを指す。「ヒドロキシル」という用語は、基−OHを指す。「アミド」という用語は、基−C(O)−NH−を指す。「カルボキシ」という用語は、基−C(O)O−を指す。
【0020】
「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、式C2n+1(式中、nは1以上の数である)のヒドロカルビルラジカルを指す。通常、本発明のアルキル基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子、さらにより好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、置換されていてもよい。本明細書において炭素原子の後に下付き文字が使用される場合、その下付き文字は、名称が挙げられている基が含有していてもよい炭素原子の数を表す。したがって、例えば、C1−4アルキルとは、1〜4個の炭素原子のアルキルを意味する。例えば、「C−C10アルキル」は、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、i−ペンチル、neo−ペンチル、t−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、1−メチル−1−エチル−n−ペンチル、1,1,2−トリ−メチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、3,3−ジメチル−n−ブチル、1−ヘプチル、2−ヘプチル、1−エチル−1,2−ジメチル−n−プロピル、1−エチル−2,2−ジメチル−n−プロピル、1−オクチル、3−オクチル、4−メチル−3−n−ヘプチル、6−メチル−2−n−ヘプチル、2−プロピル−1−n−ヘプチル、2,4,4−トリメチル−1−n−ペンチル、1−ノニル、2−ノニル、2,6−ジメチル−4−n−ヘプチル、3−エチル−2,2−ジメチル−3−n−ペンチル、3,5,5−トリメチル−1−n−ヘキシル、1−デシル、2−デシル、4−デシル、3,7−ジメチル−1−n−オクチル、3,7−ジメチル−3−n−オクチルを指す。例えば、「C−Cアルキル」という用語は、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、i−ペンチル、neo−ペンチル、t−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、1−メチル−1−エチル−n−ペンチル、1,1,2−トリ−メチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、3,3−ジメチル−n−ブチルを指す。「C−Cアルキル」という用語は、メチル、エチルを指す。
【0021】
本明細書で使用される「4〜10員の複素環」という用語は、少なくとも1個の窒素原子を含む4〜10員の複素環を指す。好ましくは、その複素環は、4〜8員の複素環、より好ましくは5〜6員の複素環である。好ましくは、その「複素環」は、5または6員の窒素複素環である。その「複素環」は、1以上の置換基(例えば、アルキル、アルコキシ、アリールまたはハロゲン)で任意に置換することができる。その「複素環」は、別のヘテロ原子(例えば、硫黄、酸素、リンまたは窒素)をさらに含み得る。その「複素環」は芳香族であることができる。「4〜10員の複素環」の非限定的な例は、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン、アゾカン、メチルピペリジン、ピロール、インドール、イソインドール、ピリジン、トリアジナン、トリアジン、アゾシン、アザホスフィナン、モルホリン、チオモルホリン、オキサジナン、チアジナン、アザホスフィニン、チアジン、またはオキサジンであり得る。本明細書で使用される「アリール」という用語は、単一の環(すなわち、フェニル)または、通常6〜10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つ環が芳香族である、縮合した(例えば、ナフチル)もしくは共有結合した複数の芳香族環を有する多価不飽和の芳香族ヒドロカルビル基を指す。アリールの非限定的な例は、フェニル、ビフェニリル、ビフェニレニル、テトラリニル、アズレニル、ナフタレニル、インデニル、アセナフテニル、フェナントリル、インダニル、ピレニルを含む。アリール環は、1以上の置換基で任意に置換することができる。
【0022】
「アミノアルキル」という用語は、基−NR(式中、R及びRは独立に、水素またはアルキルまたは本明細書で定義したような置換されたアルキルを表す)を指す。
【0023】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、式−OR(式中、Rは上記のようなアルキルである)を有するラジカルを指す。例えば、アルコキシは、C1−6アルコキシであり得る。好適なアルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、sec−ペントキシ、t−ペントキシ、またはヘキシルオキシが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語は、塩化物、フッ化物、ヨウ化物、または臭化物を指す。
【0025】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル基、すなわち、1つまたは2つの環状構造を有する一価の飽和または不飽和ヒドロカルビル基である。シクロアルキルとしては、単環基または二環基を含む、1〜2個の環を含有する全ての飽和炭化水素基が挙げられる。シクロアルキル基は、環の中に3個以上の炭素原子を含み得、通常、本発明によれば、3〜10個の炭素原子を含む。本明細書で使用される「C−C10シクロアルキル」という用語は、3〜10個の炭素原子を含むシクロアルキル基を指す。例えば、この用語は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、またはシクロデカンを含み得る。
【0026】
「アルキルアミノ」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、1つまたは2つの、独立に選択され、かつ任意で置換されたアルキル基、シクロアルキル基に結合したアミノ基からなる基を指し、すなわち、アルキルアミノは、−N(R)(R)(式中、R及びRが、各々独立に、水素、シクロアルキル、またはアルキルから選択される)を指す。アルキルアミノとしては、モノ−低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ及びエチルアミノなどのモノ−C1−6アルキルアミノ基)、ジ−低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのジ−C1−6アルキルアミノ基)が挙げられる。好適なアルキルアミノ基の非限定的な例としては、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、メチル−n−プロピルアミノ、メチル−i−プロピルアミノ、n−ブチルメチルアミノ、i−ブチルメチルアミノ、t−ブチルメチルアミノ、エチル−n−プロピルアミノ、エチル−i−プロピルアミノ、n−ブチルエチルアミノ、i−ブチルエチルアミノ、t−ブチルエチルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジ−i−ブチルアミノ、メチルペンチルアミノ、メチルヘキシルアミノ、エチルペンチルアミノ、エチルヘキシルアミノ、プロピルペンチルアミノ、プロピルヘキシルアミノなども挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される「IC50」という用語は、半最大阻害濃度を指す。IC50は、インビトロで酵素を50%阻害するのに必要とされる化合物の濃度を表す。本発明との関連において、IC50値は、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対して決定された。
【0028】
本明細書で使用される「n単位」という用語は、基−(CHR)−を指す。したがって、本明細書で使用される「Rは独立に、各々のn単位において、置換基を表す」という用語は、各々の「n単位」において、すなわち、各々の−(CHR)−基において、Rが、その化合物に含まれる他のまたは隣接する「n単位」とは独立に、引用された置換基のうちの1つであり得ることを意味する。
【0029】
第1の態様では、本発明は、神経炎症性障害の疾患または障害の治療または予防のための、式(Ia)
【0030】
【化2】

【0031】
(式中、nは2〜10の整数であり、R及びRは独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル及びアミノアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜10員の複素環を形成し、Rは独立に、各々のn単位において、水素、C−C10アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノアルキル、及びアルキルアミノからなる群から選択される置換基を表す)の化合物または薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)に関する。
「5−フルオロトリプタミン」という用語はまた、n=2であり、R、Rが水素であり、Rが各々のn単位において水素である式(Ia)の化合物を指す。化合物5−フルオロトリプタミンは、2−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル−1−アミン;3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−1H−インドールと命名することもできる。
【0032】
本発明はまた、神経炎症性疾患または障害の治療または予防のための医薬品の製造における式(Ia)
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、nは2〜10の整数であり、R及びRは独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル及びアミノアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜10員の複素環を形成し、Rは独立に、各々のn単位において、水素、C−C10アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノアルキル、及びアルキルアミノからなる群から選択される置換基を表す)の化合物または薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)の使用に関する。
【0035】
nは2〜6の整数であり得る。したがって、nは、2、3、4、5もしくは6、または前述の値のいずれか2つの間の範囲の値であることができる。好ましくは、nは2〜4の整数であり得る。あるいは、nは2〜5の整数であり得る。
【0036】
好ましい実施形態では、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得る。別の実施形態では、R及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン及びアゾカンからなる群から選択される複素環を形成し得る。別の実施形態では、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得、かつR及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン及びアゾカンからなる群から選択される複素環を形成し得る。
【0037】
好ましい実施形態では、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得る。好ましくは、Rは、各々のn単位において水素である。別の好ましい実施形態では、R及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジン及びピペラジンからなる群から選択される複素環を形成し得る。Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得、かつR及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジン及びピペラジンからなる群から選択される複素環を形成し得る。Rは、各々のn単位において、水素であり得、かつR及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジンを形成し得る。
【0038】
好ましい実施形態では、その化合物は、式(II)
【0039】
【化4】

【0040】
の3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドールであり得る。その式(II)の化合物は、一般式(Ia)(式中、nは3であり、Rは各々のn単位において水素であり、かつR及びRは水素である)の化合物と等価である。
【0041】
好ましい実施形態では、その化合物は、式(III)
【0042】
【化5】

【0043】
の3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールであり得る。その式(III)の化合物は、一般式(Ia)(式中、nは4であり、Rは各々のn単位において水素であり、かつR及びRは水素である)の化合物と等価である。
【0044】
好ましい実施形態では、その化合物は、式(IV)
【0045】
【化6】

【0046】
の5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドールであり得る。その式(IV)の化合物は、一般式(Ia)(式中、nは2であり、Rは各々のn単位において水素であり、かつR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジンを形成する)の化合物と等価である。
【0047】
好ましい実施形態では、その化合物は、式(V)
【0048】
【化7】

【0049】
のN,N−ジメチル−3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールであり得る。その式(V)の化合物は、一般式(Ia)(式中、nは2であり、Rは各々のn単位において水素であり、かつR及びRはメチル基である)の化合物と等価である。
【0050】
好ましい実施形態では、その化合物は、式(VI)
【0051】
【化8】

【0052】
の3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラートであり得る。その式(VI)の化合物は、一般式(Ia)(式中、nは5であり、Rは各々のn単位において水素であり、かつR及びRは水素である)の化合物と等価である。
【0053】
あるいは、化合物は、式(VII)
【0054】
【化9】

【0055】
の3−(6−アミノヘキシル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラートであり得る。その式(VII)の化合物は、一般式(Ia)(式中、nは6であり、Rは各々のn単位において水素であり、かつR及びRは水素である)の化合物と等価である。
【0056】
好ましい実施形態では、その化合物は、(3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール(3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール(5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドール(N,N−ジメチル−3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール及び3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−1H−インドールオキサラートまたは薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され得る。特に、その化合物は、(3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール(3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、(5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドール及び3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラートまたは薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され得る。より特に、その化合物は、(3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールもしくは3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラートまたは薬学的に許容されるそれらの塩であり得る。
【0057】
好ましい実施形態では、本発明による化合物は、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対する0.2μM以下、好ましくは0.15μM未満、及びより好ましくは0.1μM未満のIC50を有し得る。特に、本発明による化合物は、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対する25nMよりも低いIC50を有し得る。
【0058】
本発明の化合物は、塩、特に酸付加塩の形態であり得る。好適な塩としては、有機酸と無機酸の両方を用いて形成される塩が挙げられる。そのような酸付加塩は、通常、薬学的に許容される塩であるが、薬学的に許容されない酸の塩が、本発明の化合物の調製及び精製に有用である場合もある。したがって、好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸、アジピン酸、グリコール酸、アスパラギン酸、リンゴ酸、オレイン酸、ニコチン酸、サッカリン酸及びベンゼンスルホン酸から形成される塩が挙げられる。
【0059】
式(Ia)によって表される本発明による化合物または薬学的に許容されるその塩について、酵素ミエロペルオキシダーゼの活性の調節が有益となる疾患または障害の治療または予防における使用が示される。特に、ミエロペルオキシダーゼ活性と疾患との関連は、神経炎症性疾患において立証されている。それゆえ、本発明の化合物について、特に、ヒトを含む哺乳動物における神経炎症性障害または疾患の治療における使用が示される。そのような疾患または障害は、当業者には明白である。
【0060】
特に言及し得る障害または疾患としては、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症及び卒中、ならびに他の炎症性疾患または障害(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、のうほう性線維症(Cystic Fibrosis)、特発性肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、副鼻腔炎、鼻炎、乾癬、皮膚炎、ブドウ膜炎、歯肉炎、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、腎糸球体損傷、肝線維症、敗血症、直腸炎、関節リウマチ、及び再灌流障害を伴う炎症)、脊髄損傷ならびに組織の損傷/瘢痕化/癒着/拒絶が挙げられる。肺癌も高いMPOレベルと関連することが示唆されている。本化合物はまた、疼痛の治療において有用であると考えられる。
【0061】
予防は、問題となっている疾患もしくは状態の発作を以前に経験したことがあるか、またはさもなければそのような疾患もしくは状態の危険性が高いと考えられている人の治療に特に適切であると考えられる。特定の疾患または状態を発症する危険性がある人としては、一般に、その疾患もしくは状態の家族歴がある人、または遺伝子検査もしくは遺伝子スクリーニングでその疾患もしくは障害を特に発症しやすいと特定された人が挙げられる。
【0062】
特に、本発明の化合物は、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、慢性肺疾患、関節に関係している慢性炎症症候群またはパーキンソン病の治療において使用されるのに好適である。それゆえ、本発明は、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、慢性肺疾患、関節に関係している慢性炎症症候群またはパーキンソン病の治療のための医薬品の製造において使用される本発明による化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に関する。したがって、本発明の化合物は、1以上の上述の疾患または障害に有用であり得る。特に、その化合物は、アテローム性動脈硬化症などの心血管疾患の治療に好適であり得る。その化合物は、アテローム性動脈硬化症の治療において使用される医薬品の製造に使用され得る。
【0063】
上述の治療適応症について、投与される投薬量は、当然、利用される化合物、投与様式及び所望される治療によって変わる。しかしながら、一般に、満足のいく結果は、化合物を1日当たり0.1〜2000mgの投薬量の固体形態で投与したときに得られ得る。
【0064】
本発明はまた、ミエロペルオキシダーゼ酵素活性を阻害するための方法を提供し、その方法は、式(Ia)の化合物(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)を、そのミエロペルオキシダーゼ酵素を含む媒体に添加する工程を含み、その式(Ia)の化合物がその酵素の活性を阻害するのに有効な濃度で添加されることを特徴とする。
そのミエロペルオキシダーゼ酵素を含むその媒体はリン酸緩衝液であり得る。その媒体のpHは7〜8、好ましくは7.2〜7.6であり得る。好ましくは、その媒体のpHは約7.4であり得る。酵素ミエロペルオキシダーゼの活性を阻害するのに有効な式(Ia)の化合物の濃度は、0.2μM未満、好ましくは0.15μM未満、より好ましくは25nM未満であり得る。化合物の濃度は、そのような濃度が酵素活性の50%を阻害するときに、酵素の活性を阻害するのに有効であると考えられる。
【0065】
本発明の別の態様では、薬学的組成物を提供する。一実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の本発明による化合物または薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)を、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体との混合状態で含む。「治療有効量」という用語は、特定の薬理学的応答(それを求めて、薬物がそのような治療を必要とするかなりの数の対象に投与される)をもたらす投薬量を指す。「治療有効量」は、例えば、患者の身体状態、患者の年齢及び疾患の重症度によって変わり得る。
【0066】
その薬学的組成物は、一般式(Ia)
【化10】

【0067】
(式中、nは2〜10の整数であり、R及びRは独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル及びアミノアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜10員の複素環を形成し、Rは独立に、各々のn単位において、水素、C−C10アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノアルキル及びアルキルアミノからなる群から選択される置換基を表す)の化合物または薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)を含む。
【0068】
好ましくは、その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、nは2〜6の整数であり得る)の化合物を含み得る。したがって、nは、2、3、4、5もしくは6、または前述の値のいずれか2つの間の範囲の値であることができる。好ましくは、nは2〜4の整数であり得る。あるいは、nは2〜5の整数であり得る。
【0069】
別の実施形態では、その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得る)の化合物を含み得る。別の実施形態では、その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、R及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン及びアゾカンからなる群から選択される複素環を形成し得る)の化合物を含み得る。その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得、かつR及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン及びアゾカンからなる群から選択される複素環を形成し得る)の化合物を含み得る。
【0070】
好ましい実施形態では、その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得る)の化合物を含み得る。好ましくは、Rは、各々のn単位において、水素であり得る。別の好ましい実施形態では、その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、R及びRは独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジン及びピペラジンからなる群から選択される複素環を形成し得る)の化合物を含み得る。その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、Rは独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得、かつR及びRは独立に、水素、C−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、またはR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジン及びピペラジンからなる群から選択される複素環を形成し得る)の化合物を含み得る。その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、Rは、各々のn単位において、水素であり得、かつR及びRは独立に、水素、C−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し得るか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジンを形成し得る)の化合物を含み得る。
【0071】
好ましい実施形態では、その薬学的組成物は、式(Ia)(式中、その化合物は、上で定義したような(3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、(3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、(5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドール、(N,N−ジメチル−3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、及び3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−1H−インドールオキサラートからなる群から選択され得る)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含み得る。特に、その薬学的組成物は、(3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、(5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドール及び3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−1H−インドールオキサラートからなる群から選択される式(Ia)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含み得る。より特に、その薬学的組成物は、3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール及び3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−1H−インドールオキサラートからなる群から選択される式(Ia)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含み得る。
【0072】
好ましい実施形態では、その薬学的組成物は、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対する0.2μM以下、好ましくは0.15μM未満、及びより好ましくは0.1μM未満のIC50を有する式(Ia)の化合物を含み得る。特に、その薬学的組成物は、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対する25nM未満のIC50を有する式(Ia)の化合物を含み得る。
【0073】
式(Ia)によって表されるその化合物、及び薬学的に許容されるその塩は、低いIC50値を有するので有用である。それゆえ、式(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物は、MPO活性の減少が有益となる疾患において薬理学的活性を有するので有用である。
【0074】
本薬学的組成物は、80%未満及びより好ましくは50%未満の式(Ia)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含み得る。そのような薬学的組成物の投与は、限定するものではないが、腸内(経口、舌下もしくは直腸を含む)、鼻腔内、吸入、静脈内、局所または他の非経口経路によるものであり得る。好適な薬学的処方物の選択及び調製のための従来の手順は、例えば、非特許文献11に記載されている。
【0075】
その薬学的組成物は、上で定義したような神経炎症性疾患または障害の治療または予防に好適であり得る。好ましくは、その神経炎症性疾患または障害は、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、慢性肺疾患、関節に関係している慢性炎症症候群及びパーキンソン病からなる群から選択され得る。特に、その薬学的組成物は、アテローム性動脈硬化症の治療に使用され得る。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、神経炎症性疾患または障害の治療または予防において使用される医薬品の製造のためのその薬学的組成物の使用に関する。神経炎症性疾患または障害は上で定義されている。特に、その薬学的組成物は、アテローム性動脈硬化症の治療に使用される医薬品の製造に使用され得る。
【0077】
本発明はまた、その方法が、治療有効量の本発明による化合物または治療有効量の本発明による薬学的組成物をそれを必要とする患者に投与する工程を含むことを特徴とする、アテローム性動脈硬化症を治療するための方法を提供する。
【0078】
本発明の化合物はまた、低密度リポタンパク質(LDL)酸化を阻害するのに好適である。これは実施例で示されている。本発明はまた、低密度リポタンパク質(LDL)酸化を阻害するための方法を提供し、その方法は、その低密度リポタンパク質及びミエロペルオキシダーゼ酵素を含む媒体中で本発明による化合物を接触させる工程を含むことを特徴とする。その化合物は、その低密度リポタンパク質の酸化を阻害するのに有効な濃度で添加され得る。その低密度リポタンパク質の酸化を阻害するのに有効な濃度は、2000nM未満であり得る。好ましくは、その濃度は、1000nM以下であり得る。その媒体は、リン酸緩衝液であり得る。その緩衝液のpHは7〜8、好ましくは7.0〜7.5であり得る。
【実施例】
【0079】
本発明は、以下の実施例によって説明され、限定されるものではない。
【0080】
実験手順:
H−及び13C−NMRスペクトルは、293KにおいてBruker Avance 300スペクトロメーターで記録した(周波数:Hの場合は300MHz及び13Cの場合は75MHz)。δは、TMSに対するppmで示し、結合定数はHzで表す。IR分析は、Shimadzu IR−470スペクトロメーターで行ない、ピークデータをcm−1で示した。全ての反応の後に、蛍光表示器(254nm)を備えたFluka PET−ホイルシリカゲル60ÅでTLCを行ない、化合物をUVにより及びVan Urk試薬(濃HClとエタノール(1:1)の混合物中の1%w/wパラ−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液)の噴霧により可視化した。EchoChrom MPシリカ63−200、60Åを用いて、カラムクロマトグラフィーを行なった。溶液をNaSO上で乾燥させ、Buchiロータリーエバポレーター及び低圧でのEdwards RV3真空ポンプを用いて濃縮した。
【0081】
化合物の合成:
本発明による式(Ia)の3−アルキル−5−フルオロインドール誘導体を図1に示すような3−(ヒドロキシアルキル)−5−フルオロインドール誘導体(10)から調製することができる。
化合物(10)をメタンスルホニルクロリドと反応させると、当技術分野で公知の手順に従って、対応するメタンスルホナート化合物(11)が得られた。次に、図1にまとめた3つの異なる化学合成経路を用いることができる。経路Pは、化合物(11)をジオキサン中のアミンと100℃で反応させて、化合物(12)を得ることに対応する。この経路Pは、化合物D、E、F、G、H、J及びLを調製するために用いた(実施例3〜8及び10)。経路Qは、化合物(11)をジメチルスルホキシド中のNaNと反応させて、対応するアジド化合物(13)を得、次に、それをパラジウム炭と反応させて、対応する1級アミン(14)を得ることを表している。この経路Qは実施例1で用いた。経路Sは、化合物(11)を水とジメチルアセトアミドの混合物中のNaCNと反応させて、対応するニトリル化合物(15)を得、次にそれをKOH及びtBu−OHと反応させて、対応するアミド化合物(16)を得ることに対応する。次に、この後者のアミド化合物(16)をLiAlHと反応させて、所望のアミン(17)を得る。この経路Sは実施例2及び実施例9で用いた。
【0082】
実施例1−化合物B−式(II):
3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、式(II)または式(Ia)(式中、n=3であり、R及びRは水素であり、Rは各々のn単位において水素である)の化合物。10%パラジウム炭(50mg)を1−アジド−3−(5−フルオロインドール−3−イル)プロパン−1(1g、4.6mmol)のエタノール(20mL)溶液に添加した。この懸濁液をH(60psi)下で一晩撹拌した。セライトで濾過した後、溶媒を蒸発させた。残渣をエーテルに溶解させ、HCl(0.1N)で抽出し、得られた溶液をエーテルで洗浄した。NaOH(1N)溶液を添加し(pH=10)、この混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させると、純粋な産物(白色固体、0.66g、80%収率)が得られた。H NMR(CDCl)δ8.94(brs,1H),7.28(m,2H),7.01(d,J=1.2Hz,1H),6.96(dt,1H,J=9.0,2.4Hz),2.81(m,4H),1.89(m,2H),1.49(s,2H)。13C NMR(CDCl)δ157.9(d,J=232Hz),133.1,127.8(d,J=10Hz),123.3,116.1(d,J=5Hz),111.9(d,J=10Hz),110.2(d,J=25Hz),103.7(d,J=24Hz),42.1,33.96,22.56;IR(KBr)3762,3648,3572,2660,2478,1634,608cm−1;HRMS(ESI)によるC1114FN(M+H)の計算値:193.1136、実測値:193.11365、誤差:0.26ppm。
【0083】
実施例2−化合物C−式(III):
3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラート、式(III)または式(Ia)(式中、n=4であり、R、Rは水素であり、Rは各々のn単位において水素である)の化合物のシュウ酸塩。4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブタン−1−アミド(7.7mmol)をジオキサン(50mL)に溶解させ、LiAlH(1.0Mのジオキサン(25mL)溶液)を添加した。この懸濁液を12時間還流し、反応を氷及び15%KOH(10ml)でクエンチした。この混合物をセライトに通して濾過し、EtOAcで抽出した。有機層をHCl(0.1M)で抽出し、デカント後、水相をEtOAcで洗浄した。KOH(1M)を酸の層に添加し(pH=10)、これをジエチルエーテルで抽出した。溶媒をNaSO上で乾燥させ、蒸発させた。残渣をジエチルエーテルに溶解させ、無水シュウ酸の飽和ジエチルエーテル溶液を滴加した。沈殿を濾過し、エーテルで洗浄し、40℃で乾燥させると、白色固体(0.6g、26%収率)が得られた。H NMR(DMSO−d)δ10.96(brs,1H),7.31(dd,1H,J=8.7,4.5Hz),7.23(dd,1H,J=9.7,2.7Hz),7.18(s,1H),6.86(dt,1H,J=7.1,0.7Hz),2.74(t,2H,J=6.7,1.3Hz),2.62(t,2H,J=6.7,1.3Hz),1.59(m,4H);13C NMR(DMSO−d)δ166.6,157.9(d,J=232Hz),132.6,126.9(d,J=10Hz),124.2,114.1(d,J=5Hz),111.9(d,J=10Hz),108.5(d,J=25Hz),102.7(d,J=23Hz),39.3,27.5,26.2,23.8;IR(KBr)3686,3572,2432,2356,2166,1862,1634,1558,1064,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1216FN(M+H)の計算値:207.1292、実測値:207.1292、誤差:0.00ppm。
【0084】
実施例3−化合物D−式(V):
N,N−ジメチル−3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、式(V)または式(Ia)(式中、n=2であり、Rは各々のn単位において水素であり、R及びRはメチル基である)の化合物。3−(5−フルオロインドール−3−イル)エタノールメタンスルホナート(1g、3.6mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、添加漏斗に通して、100℃のジメチルアミン(0.26mol)のジオキサン(15mL)還流溶液に非常にゆっくりと添加した。添加し終わった後、反応媒体をこの温度で4時間撹拌した。冷却後、混合物を水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させて、蒸発乾固させると、粗生成物が得られた。残渣をHCl(0.1N)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテルで洗浄し、NaOH(1N)溶液を用いてアルカリ性(pH=10)にした。混合物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、蒸発させると、白色結晶(400mg、50%収率)が得られた。H NMR(CDCl)δ8.40(brs,1H),7.19(m,2H),6.99(s,1H),6.88(dt,1H,J=7.2,0.8Hz),2.88(t,2H,J=7.5Hz),2.61(t,2H,J=8.7Hz),2.33(s,6H);13C NMR(CDCl)δ157.9(d,J=232Hz),132.5,127.5(d,J=10Hz),123.1,114.1(d,J=5Hz),111.4(d,J=10Hz),110.1(d,J=25Hz),103.2(d,J=24Hz),59.8,45.1,23.3;IR(KBr)3762,3648,3572,2660,2432,2356,2128,1938,1520,1064,874,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1216FN(M+H)の計算値:207.1292、実測値:207.1307、誤差:7.24ppm。
【0085】
実施例4−化合物E−式(IV):
5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドール、式(IV)または式(Ia)(式中、n=2であり、Rは各々のn単位において水素であり、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジンを形成する)の化合物。3−(5−フルオロインドール−3−イル)エタノールメタンスルホナート(1g、3.6mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、添加漏斗に通して、100℃のピロリジン(21,8mL、0.26mol)のジオキサン(15mL)還流溶液に非常にゆっくりと添加した。添加し終わった後、反応媒体をこの温度で4時間撹拌した。冷却後、混合物を水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させて、蒸発乾固させると、粗生成物が得られた。残渣をHCl(0.1N)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテルで洗浄し、NaOH(1N)溶液を用いてアルカリ性(pH=10)にした。混合物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させると、茶色の結晶が得られた。H NMR(CDCl)δ8.41(brs,1H),7.28(dd,1H,J=9.7,2.7Hz),7.24(dd,1H,J=8.7,4.5Hz),7.06(d,J=1.2Hz,1H),6.92(dt,1H,J=9.3,2.4Hz),2.99(t,2H,J=7.2Hz),2.84(t,2H,J=7.2Hz),2.67(m,4H),1.87(s,4H);13C NMR(CDCl)δ157.9(d,J=232Hz),133.0,127.9(d,J=10Hz),123.5,114.8(d,J=5Hz),111.8(d,J=10Hz),110.4(d,J=25Hz),103.8(d,J=24Hz),57.15,54.4,25.2,23.6;IR(KBr)3762,3648,3572,2660,2432,2356,2128,1938,1520,1064,874,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1418FN(M+H)の計算値:233.1449、実測値:233.1452、誤差:1.33ppm。
【0086】
実施例5−化合物F:
N,N−ジエチル−3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、式(Ia)(式中、n=2であり、Rは各々のn単位において水素であり、R及びRはエチル基である)の化合物。3−(5−フルオロインドール−3−イル)エタノールメタンスルホナート(1g、3.6mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、添加漏斗に通して、100℃のジエチルアミン(0.26mol)ジオキサン(15mL)還流溶液に非常にゆっくりと添加した。添加し終わった後、反応媒体をこの温度で4時間撹拌した。冷却後、混合物を水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させて、蒸発乾固させると、粗生成物が得られた。残渣をHCl(0.1N)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテルで洗浄し、NaOH(1N)溶液を用いてアルカリ性(pH=10)にした。混合物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させると、純粋な産物(白色結晶、455mg、50%収率)が得られた。H NMR(CDCl)δ8.08(brs,1H),7.21(m,2H),7.01(d,J=1.2Hz,1H),6.88(dt,1H,J=7.2,0.8Hz),2.81(m,2H),2.75(m,2H),2.62(m,4H),1.05(t,6H,J=7.4Hz);13C NMR(CDCl)δ157.9(d,J=232Hz),132.5,127.7(d,J=10Hz),123.0,114.7(d,J=5Hz),111.4(d,J=10Hz),10.9.9(d,J=25Hz),103.5(d,J=24Hz),46.7,22.6,11.6;IR(KBr)3762,3648,3572,2660,2432,2356,2128,1938,1520,1064,874,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1419FN(M)の計算値:234.1527、実測値:234.1528、誤差:0.34ppm。
【0087】
実施例6−化合物G:
N−メチル−3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール酒石酸塩、式(Ia)(式中、n=3であり、R及びRは水素であり、Rはメチル基である)の化合物。3−(5−フルオロインドール−3−イル)プロパノールメタンスルホナート(1g、3.6mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、添加漏斗に通して、100℃のメチルアミン(0.26mol)のジオキサン(15mL)還流溶液に非常にゆっくりと添加した。添加し終わった後、反応媒体をこの温度で4時間撹拌した。冷却後、混合物を水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させて、蒸発乾固させると、粗生成物が得られた。残渣をHCl(0.1N)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテルで洗浄し、NaOH(1N)溶液を用いてアルカリ性(pH=10)にした。混合物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。この化合物を、以下の方法を用いて、酒石酸塩として単離した。エーテルを蒸発させた後、残渣をD−酒石酸(化合物291mg、1.4mmolの場合、酒石酸253mg、1.4mmol)の2−プロパノール(10ml)溶液とともに加熱した。この混合物を冷却し、固体を濾過し、乾燥させると、黄色の結晶(545mg、40%収率)が得られた。H NMR(CDCl)δ8.43(brs,1H),7.29(m,2H),7.04(d,J=1.2Hz,1H),6.96(dt,1H,J=9.4,2.4Hz),2.80(t,2H,J=7.5Hz),2.72(t,2H,J=7.2Hz),2.50(s,3H),1.94(m,2H),1.40(brs,1H);13C NMR(CDCl)δ157.9(d,J=232Hz),133.0,128.0(d,J=10Hz),123.2,116.5(d,J=5Hz),111.8(d,J=10Hz),110.4(d,J=25Hz),103.8(d,J=24Hz),52.0(s),36.6(s),30.3(s),22.9(s);IR(KBr)3762,3610,3458,2660,2470,1976,1558,836,646cm−1;HRMS(ESI)によるC1217FN(M+H)の計算値:207.1292、実測値:207.13、誤差:3.86ppm。
【0088】
実施例7−化合物H:
N,N−ジメチル−3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール酒石酸塩、式(Ia)(式中、n=3であり、Rは各々のn単位において水素であり、R及びRはメチル基である)の化合物。3−(5−フルオロインドール−3−イル)プロパノールメタンスルホナート(1g、3.6mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、添加漏斗に通して、100℃のジメチルアミン(0.26mol)のジオキサン(15mL)還流溶液に非常にゆっくりと添加した。添加し終わった後、反応媒体をこの温度で4時間撹拌した。冷却後、混合物を水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させて、蒸発乾固させると、粗生成物が得られた。残渣をHCl(0.1N)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテルで洗浄し、NaOH(1N)溶液を用いてアルカリ性(pH=10)にした。混合物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。この化合物を、以下の方法を用いて、酒石酸塩として単離した。エーテルを蒸発させた後、残渣を酒石酸の2−プロパノール溶液とともに加熱した。この混合物を冷却し、固体を濾過し、乾燥させると、白色結晶(755mg、55%収率)が得られた。H NMR(DMSO−d)δ10.92(brs,1H),7.32(dd,1H,J=8.7,4.5Hz),7.26(dd,1H,J=9.4,2.4Hz),7.22(d,1H,J=2.1Hz),6.88(dt,1H,J=9.2,2.4Hz),3.94(s,1H),2.66(t,4H,J=6.9,8.4Hz),2.44(s,6H),1.86(m,2H);13C NMR(DMSO−d)δ174.4(s),157.9(d,J=232Hz),132.5(s),126.8(d,J=10Hz),124.2,113.5(d,J=5Hz),111.8(d,J=10Hz),108.5(d,J=25Hz),102.5(d,J=24Hz),71.4(s),57.1(s),43.1(s),25.6(s),21.6(s);IR(KBr)3762,3648,3572,2660,2432,2356,2128,1938,1520,1064,874,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1318FN(M+H)の計算値:221.1449、実測値:221.14549、誤差:2.67ppm。
【0089】
実施例8−化合物J:
N−プロピル−3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、式(Ia)(式中、n=3であり、R及びRは水素であり、Rはプロピル基である)の化合物。3−(5−フルオロインドール−3−イル)プロパノールメタンスルホナート(1g、3.6mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、添加漏斗に通して、100℃のプロピルアミン(0.26mol)のジオキサン(15mL)還流溶液に非常にゆっくりと添加した。添加し終わった後、反応媒体をこの温度で4時間撹拌した。冷却後、混合物を水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させて、蒸発乾固させると、粗生成物が得られた。残渣をHCl(0.1N)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテルで洗浄し、NaOH(1N)溶液を用いてアルカリ性(pH=10)にした。混合物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させると、茶色の固体(490mg、47%収率)が得られた。H NMR(DMSO−d)δ10.84(brs,1H),7.32(m,1H),7.26(dd,1H,J=10.2,2.4Hz),7.16(s),6.87(dt,1H,J=9.0,2.1Hz),2.66(t,2H,J=7.5Hz),2.53(m,4H,H−1’),1.73(m,2H),1.39(m,2H),0.85(t,3H,J=7.2Hz);13C NMR(DMSO−d)δ156.4(d,J=229Hz),135.8(s),127.3(d,J=10Hz),124.2(s),114.8(d,J=5Hz),112.0(d,J=10Hz),108.7(d,J=26Hz),102.9(d,J=23Hz),51.4(s),49.1(s),30.2(s),22.7(s),22.3(C−3),11.8(s);IR(KBr)3400,3140,2940,1550,1520,1490,1420,1360,1230,1190,1110,940,800cm−1;HRMS(ESI)によるC11419FN(M)の計算値:234.1527、実測値:2234.153、誤差:1.28ppm。
【0090】
実施例9−化合物K:
3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラート、式(Ia)(式中、n=5であり、R及びRは水素であり、Rは各々のn単位において水素である)の化合物。4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ペンタンアミド(1.4g、7.6mmol)をジオキサン(50mL)に溶解させ、LiAlH(1.0Mジオキサン溶液(25mL))を添加した。この懸濁液を3時間還流し、反応を氷及び15%KOH(10mL)でクエンチした。この混合物をセライトに通して濾過し、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をHCl(0.1M)で抽出し、デカント後、水相をジエチルエーテルで洗浄した。KOH(1M)を酸性層に添加し(pH10)これをジエチルエーテルで抽出した。溶媒をNaSO上で乾燥させ、蒸発させた。残渣をジエチルエーテルに溶解させ、無水シュウ酸の飽和ジエチルエーテル溶液を滴加した。沈殿を濾過し、エーテルで洗浄し、減圧下40℃で乾燥させると、白色固体(0.7g、26%収率)が得られた。H NMR(DMSO−d)δ10.94(brs),7.31(dd,1H,J=8.7,4.5Hz),7.24(dd,1H,J=9.7,2.7Hz),7.18(s,1H),6.86(dt,1H,J=7.1,0.7Hz),2.76(t,2H,J=6.7,1.3Hz),2.63(t,2H,J=6.7,1.3Hz),1.59(m,4H),1.35(m);13C NMR(DMSO−d)δ165.0(COO),157.9(d,J=232Hz),132.6(s),127.2(d,J=10Hz),124.4(s),114.6(d,J=5Hz),111.9(d,J=10Hz),109.0(d,J=25Hz),102.8(d,J=23Hz),38.8,29.3,26.9,25.4,24.3;IR(KBr)3686,3572,2432,2356,2166,1862,1634,1558,1064,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1318FN(M+H)の計算値:221.1449、実測値:221.1470。
【0091】
実施例10−化合物L:
3−(6−アミノヘキシル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラート、式(Ia)(式中、n=6であり、R及びRは水素であり、Rは各々のn単位において水素である)の化合物。10%パラジウム炭(50mg)を3−(6−アジドヘキシル)−5−フルオロ−1H−インドール(1g、4.9mmol)のエタノール(20mL)溶液に添加した。この懸濁液をParr水素添加装置にてH(60psi)下で一晩撹拌した。セライトで濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をエーテルに溶解させ、水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。この溶液に、無水シュウ酸の飽和エーテル溶液を添加し、得られた固体を濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させると、黄色がかった結晶(560mg、20%収率)が得られた。H NMR(DMSO−d)δ10.94(brs,1H),7.31(dd,1H,J=8.7,4.5Hz),7.22(dd,1H,J=9.7,2.7Hz),7.18(s,1H),6.88(dt,1H,J=7.1,0.7Hz),2.69(t,2H,J=6.7,1.3Hz),2.62(t,2H,J=6.7,1.3Hz),1.60(m,4H),1.35(m,4H);13C NMR(DMSO−d)δ165.0(COO),157.9(d,J=232Hz),132.9,127.3(d,J=10Hz),124.4,114.6(d,J=5Hz),111.9(d,J=10Hz),109.0(d,J=25Hz),102.8(d,J=23Hz),38.8,29.3,26.9,25.4,24.3,22.6;IR(KBr)3686,3572,2432,2356,2166,1862,1634,1558,1064,800cm−1;HRMS(ESI)によるC1420FN(M+H)の計算値:235.1605、実測値:235.1622。
【0092】
ミエロペルオキシダーゼ阻害(MPO)アッセイ手順:
このアッセイは、規定の濃度の選択された阻害剤の存在下においてMPO/H/Cl系により生成されるタウリンクロラミンの生成に基づいた。ミエロペルオキシダーゼの阻害を検出するための手順は、Van Antwerpenら(非特許文献12)に記載されていて、参照により本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、反応混合物は、200μlの最終容量で以下の試薬を含んでいた:リン酸緩衝液(pH7.4)(PO3−(10mM)/NaCl(300mM))、タウリン(15mM)、試験される化合物(最大20μM)、及び一定量の組換えMPO(2.5倍希釈した6.6μlのMPOバッチ溶液、40nM)。必要な場合、容量を水で調整した。この混合物を37℃でインキュベートし、10.0μlのH(100μM)を用いて反応を開始させた。5分後、10μlのカタラーゼ(8U/μl)を添加して、反応を停止させた。生成されたタウリンクロラミンの量を測定するために、1.35mMのチオニトロ安息香酸溶液50μlを添加し、水で容量を300μlに調整した。その後、この溶液の吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて412nmで測定し、阻害剤濃度の関数としての吸光度曲線をプロットした。その後、過酸化水素の不在を100%の阻害として、また、阻害剤の不在を0%の阻害として考慮して、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対するIC50値を標準的な手順を用いて測定した。
【0093】
当技術分野の水準で公知の化合物である5−フルオロトリプタミンを上述の手順に従って試験し、0.2μMのIC50が得られている。上記のアッセイで試験したとき、本発明の化合物で0.2μM未満のIC50値が得られたことは特に注目すべきことである。
【0094】
表1は、本発明による様々な化合物で得られたIC50値を示す。
【0095】
【表1】

【0096】
これらの結果は、従来技術と比較して減少した極めて低いIC50値を示している。実際、0.025μMよりも低いIC50値が、化合物C(0.015μM)及び化合物K(0.008μM)について得られた。ナノモルレベルがこれらの化合物で達成され、5−フルオロトリプタミンと比較して、13倍の減少が得られた。したがって、本発明の化合物は、これまでに当技術分野で予想及び報告されたことのない形で酵素ミエロペルオキシダーゼを阻害する。本発明による化合物は、主に、ミエロペルオキシダーゼ含量の増加が有害となる疾患または障害において強い治療活性を示すと考えられる。
【0097】
図2は、本発明の様々な化合物の酵素ミエロペルオキシダーゼに対する阻害能力(1/IC50値)を示すグラフを表す。
このグラフから、本発明の化合物が驚くほど満足のいく結果を示すことを理解することができる。特に、化合物C(3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドールオキサラート)及び化合物K(3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−1H−インドールオキサラート)は、それぞれ、15±4nM及び8±1nMという予想外のIC50値を示した。
【0098】
図3は、本発明の様々な化合物の酵素ミエロペルオキシダーゼに対する阻害能力(1/IC50値)を示すグラフを表す。
阻害能力を式(Ia)の化合物(式中、R、R及びRは水素であり、nは1〜6である)について評価した。表2は、式(Ia)の化合物(式中、R、Rは水素であり、Rは各々のn単位において水素である)の側鎖長の関数としてIC50及び1/IC50値を示している。
【0099】
【表2】

【0100】
図3及び表2は、側鎖長が3、4または5のときに、良好な結果が達成されることを示している。最適性能は、側鎖長が5個の炭素原子を含むときに達成された。これは、化合物Kに対応する。理論に束縛されるわけではないが、このアッセイで明確に示されたように、炭素鎖の伸長がミエロペルオキシダーゼの阻害に劇的に影響を及ぼすことが示されている。5−フルオロインドールのアミノ部分にアルキル基を付加すること及び/またはインドールとアミノ部分の間にヒドロカルビル基を付加することにより、MPOに対する3−アルキル−5−フルオロインドール誘導体の阻害能力を増強することが可能になる。
【0101】
低密度リポタンパク質酸化阻害:
前述のように、ミエロペルオキシダーゼは、生理的条件下でLDL(低密度リポタンパク質)のapoB100及びHDL(高密度リポタンパク質)のapoAIを酸化する。この酸化は、アテローム性動脈硬化症を引き起こし得る。生理的条件下でのミエロペルオキシダーゼ阻害の能力を低密度リポタンパク質(LDL)の存在下で評価した。その目的は、生理的条件下での低密度リポタンパク質の酸化を劇的に制限し、それによって、アテローム性動脈硬化症などの心血管疾患における治療効果を達成する本発明の化合物の驚くべき能力を示すことであった。
【0102】
組換え酵素の調製及びLDLの入手:
組換えMPOは先に記載したように調製した。各々のバッチ溶液は、そのタンパク質濃度(mg/ml)、その活性(U/ml)、及びその特異的活性(U/mg)によって特徴付けられる。塩素化活性は、Hewson and Hagerに従って測定された。ヒト血漿は、Havelらによる超遠心分離法によるLDLの単離に役立った。酸化する前に、PBS緩衝液を用いて、2回連続でPD10ゲル濾過カラム(Amersham Biosciences,The Netherlands)に通してLDL画分(1.019<d<1.067g/ml)を脱塩した。これらの様々な工程を暗所で行ない、タンパク質濃度をMPOとLDLの両方についてLowryアッセイで測定した。
【0103】
LDL酸化の阻害:
LDL酸化を、500μlの最終容量で、37℃で行なった。この反応混合物は、以下の試薬を括弧内に示す最終濃度で含んでいた:pH7.2、PBS緩衝液、MPO(1μg/ml)、LDL(1000μg/ml)、2μlの1N HCl(4mM)、本発明の式(Ia)の化合物(50、100及び1000nM)、ならびにH(100μM)。チューブを氷中で冷却することにより、反応を5分後に停止させた。Moguilevskyら(非特許文献13)に記載されている通りに、NUNC maxisorpプレート(VWR,Zaventem,Belgium)中でアッセイを行なった。すなわち、200ng/ウェルのLDLを、重炭酸ナトリウム(pH9.8)緩衝液(100μl)中、4℃で一晩コーティングした。その後、プレートをTBS 80緩衝液で洗浄し、次に、1%BSAを含むPBS緩衝液(150μl/ウェル)を用いて、37℃で1時間飽和させた。TBS80緩衝液でウェルを2回洗浄した後、標準的なプロトコルによって得られた、先に記載されたようなモノクローナル抗体MabのAG9(200ng/ウェル)を、0.5%BSA及び0.1%ポリソルベート20を含むPBS緩衝液中の希釈溶液として添加した。37℃で1時間のインキュベーションの後、プレートをTBS 80緩衝液で4回洗浄し、同じ緩衝液中のIgG抗マウスアルカリホスファターゼ(Promega,Leiden,The Netherlands)の3000倍希釈溶液を添加した(100μl/ウェル)。ウェルを再び4回洗浄し、5mlのジエタノールアミン緩衝液中に5mgのパラ−ニトロフェニルリン酸塩を含む顕色溶液(150μl/ウェル)を室温で30分間添加した。60μl/ウェルのNaOH(3N)溶液で反応を停止させた。96ウェルプレート用のBio−Rad光度計(Bio−Rad laboratories,CA,USA)を用いて、吸光度の測定を405nmで行ない、バックグラウンド補正を655nmで行なった。結果は、6回の独立した測定についてのLDL酸化のパーセンテージの平均として表した。
【0104】
表3は、本発明の化合物における様々な濃度でのLDL酸化のパーセンテージを示している。化合物Aは5−フルオロトリプタミンに対応し、比較サンプルである。この方法におけるばらつきのために、100%よりも大きいLDL酸化のパーセンテージが得られる場合もある。
【0105】
【表3】

【0106】
5−フルオロトリプタミンは、媒体中のその濃度にかかわらず、LDL酸化を阻害する効果が乏しいか、またはその効果が全くなかった。対照的に、本発明の化合物については、1000nMで良好な結果が得られた。特に、化合物K及びCは、予期しなかったような形でLDL酸化を阻害することができた。実際、化合物K及びCでは、それぞれ、3.2%及び6.1%のLDL酸化しか得られなかった。低濃度でも、化合物K及びCは強力な性能を示した。化合物Cについては、100nM及び50nMで18.5%未満のLDL酸化が得られた。さらに、低濃度では、化合物G及びBが良好な結果を示した。
この実験結果は、本発明の化合物が、ミエロペルオキシダーゼ活性が有害となる心血管疾患において強力な治療活性を示すと考えられることを強調する。本発明による式(Ia)の化合物、及び特に化合物K及びCは、生理的条件下で予期しなかったような優れた抗酸化特性を有する。
【0107】
本発明は本明細書によって説明され、特許請求の範囲によって規定される。本明細書は本発明の範囲を示すことを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、他の態様、利点及び修正が、特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経炎症性疾患または障害の治療または予防のための化合物であって、下記の式(Ia)
【化1】

(式中、nは2〜10の整数であり、
及びRは独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル及びアミノアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜10員の複素環を形成し、
は独立に、各々のn単位において、水素、C−C10アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノアルキル及びアルキルアミノからなる群から選択される置換基を表す)
で表される化合物、または、薬学的に許容されるその塩(ただし、5−フルオロトリプタミンは除外する)。
【請求項2】
nが2〜6の整数である
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し、R及びRが独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン及びアゾカンからなる群から選択される複素環を形成する
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が独立に、各々のn単位において、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表し、R及びRが独立に、水素及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基を表すか、または、R及びRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジン及びピペラジンからなる群から選択される複素環を形成する
請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、3−(3−アミノプロピル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、(3−(4−アミノブチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール、(5−フルオロ−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−[1H]−インドール、(N,N−ジメチル−3−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−[1H]−インドール及び3−(5−アミノペンチル)−5−フルオロ−1H−インドールオキサラートからなる群から選択される
請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物、または、薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
前記化合物が、ミエロペルオキシダーゼ酵素に対する0.2μM以下のIC50値を有する
請求項1ないし5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
神経炎症性疾患または障害が、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、慢性肺疾患、関節に関係する慢性炎症症候群及びパーキンソン病からなる群から選択される
請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
治療有効量の請求項1ないし5のいずれかに記載の式(Ia)の化合物、または、薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体との混合状態で含む
ことを特徴とする薬学的組成物。
【請求項9】
神経炎症性疾患または障害の治療または予防のために使用される
請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
神経炎症性疾患または障害が、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、慢性肺疾患、関節に関係する慢性炎症症候群及びパーキンソン病からなる群から選択される
請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
ミエロペルオキシダーゼ酵素活性を阻害する方法であって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の化合物をミエロペルオキシダーゼ酵素を含む媒体に添加する工程を有し、前記化合物をミエロペルオキシダーゼ酵素の活性を阻害するのに有効な濃度で添加する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
ミエロペルオキシダーゼ酵素活性を阻害するための
請求項1ないし5のいずれかに記載の式(Ia)の化合物の使用。
【請求項13】
アテローム性動脈硬化症の治療のための方法であって、
治療有効量の請求項1ないし5のいずれかに記載の式(Ia)の化合物または治療有効量の請求項8に記載の薬学的組成物を、患者に投与する工程を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
低密度リポタンパク質(LDL)酸化を阻害するための方法であって、
低密度リポタンパク質及びミエロペルオキシダーゼ酵素を含む媒体中で、請求項1ないし5のいずれかに記載の式(Ia)の化合物と接触させる工程を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
低密度リポタンパク質酸化を阻害するための
請求項1ないし5のいずれかに記載の式(Ia)の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−528120(P2012−528120A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512385(P2012−512385)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057364
【国際公開番号】WO2010/136546
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(505371070)ユニヴェルシテ リブル ドゥ ブリュッセル (8)
【Fターム(参考)】