説明

ミクロソームのプロスタグランジンE2シンターゼ発現のアンチセンス調節

アンチセンス化合物、組成物、及び方法がmPGES-1の発現を調節するために提供される
。当該組成物は、mPGES-1をコードする核酸に標的化されたアンチセンス化合物、特にア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。mPGES-1発現の調節及びmPGES-1の発現と関連した疾患の治療のためのこれらの化合物の使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミクロソームのプロスタグランジンE2シンターゼ(mPGES-1)の発現を調節する組成物及び方法を提供する。特に、本発明はmPGES-1をコードする核酸と特異的にハイブリダイズする、アンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドに関する。そのようなオリゴヌクレオチドが、mPGES-1の発現を調節することを示している。
【背景技術】
【0002】
COX-2によって生じるプロスタグランジンH2(PGH2)は最終的に様々な生成物に変換されるが、そのいくつかはPGE2、PGD2及びPGI2(プロスタサイクリン)である。同定されたこれらの化合物の全ては、下流の合成によって作られる(Urade他, J Lipid Mediat Cell Signal. 1995年10月;12(2-3):257-73 他, 1995)。しかし、インビトロPGH2もまた、その反応速度は酵素変換より数桁遅いが、主にPGE2と少量のPGD2の混合物に自発的に変換する。
【0003】
PGE2シンターゼの2形態、ミクロソーム(mPGES-1)(Pig-12及びPTGESともいう)及びサイトゾル(cPGE2S)があることが最近示された。LPSによる誘導性のマクロファージにおけるPGE2S酵素の形態があることが明らかにされた (Matsumoto他, Biochem Biophys Res Commun. 1997年1月3日;230(1):110-4)。休止中のマクロファージは、COX-1によって形成されたPGH2から主に産生される広範な種々の生成物(TXB2、PGD2及びPGE2)を形成する。COX-2及びLPSによるmPGES-1の誘導において、第一産物はPGE2である。
【0004】
最近、誘導性PGESが、誘導がデキサメサゾンによってダウンレギュレートされるミクロソームグルタチオン依存性酵素であることも見出された(Jakobsson他, Proc Natl Acad Sci USA. 1999年6月22日;96(13):7220-5)。
【0005】
A549細胞、ヒト肺アデノカルシノーマ由来細胞系は、IL-lb及びTNFaにより誘導されるPGE2Sを含む。この発現は、COX-2発現及びPGE2産生と同時である。この発現はまた、デキ
サメサゾンによってダウンレギュレートされた。これらの細胞は、特にPGH2のPGE2への変換に注目するために開発された酵素アッセイにおいて使用された。NS-398は、20μMでPGE2S、80μMでスリンダクスルフィド及び5μMでLTC4を阻害することが見出された(Jakobsson他, Proc Natl Acad Sci USA. 1999年6月22日;96(13):7220-5; Thoren他, Eur J Biochem. November 2000;267(21):6428-34)。
【0006】
Rat mPGES-1-1シンターゼは、LPSと共にインキュベートされた腹腔マクロファージから最近クローン化された(Murakami他, J Biol Chem. 2000年10月20日;275(42):32783-92)。それをコードする遺伝子が、以前に記載されたタンパク質MAPEG-L1(エイコサノイド及び
グルタチオン代謝様1の膜関連タンパク質) と高い相同性を有すること(Jakobsson他, Protein Sci. 1999年3月;8(3):689-92) 、及びそれがミクロソームのGST’、LTC4シンターゼ及び5-リポキシゲナーゼ活性タンパク質又はFLAPを含むタンパク質のMAPEG-1スーパーファミリーのメンバーであることがわかった(Jakobsson他, Am J Respir Crit Care Med. 2000年2月;161(2 Pt 2):S20-4)。
【0007】
cDNAによってコードされるタンパク質は153 AAタンパクである。ラット形態がヒト形態に80%の配列同一性を有することがわかった。共焦点鏡検実験はPGE2S及びCOX-2の共局在性を示した。ラット誘導性PGE2Sがクローン化され、そしてCHO細胞中で発現させられ、そして酵素アッセイに使用された(Mancini,他, J Biol Chem 2001年2月9日;276(6):4469-75)。LTC4シンターゼ阻害剤MK-886は、3.4μMのIC50を有してPGE2Sを阻害した。
【0008】
mPGES-1発現は、ヒト大腸ガン腫瘍(Yoshimatsu他, Clinical Cancer Research (7) 3971-3976, 2001)及び小細胞肺癌細胞(Yoshimatsu他, Clin Cancer Res 2001年9月7日(9):2669-74)において確認された。全ての腫瘍の80%を超える腫瘍が、COX-2及びmPGES-1の両方に陽性反応を示し、PGE2の産生のためにはmPGES-1の過剰発現が必要であることを示唆した。
【0009】
機能的にCOX-1に結合するPGE2Sのサイトゾル形態が最近同定された(Tanioka他, J Biol Chem. 2000年10月20日;275(42):32775-82)。同定されたタンパク(cPGES)は、ラットの脳で見られるグルタチオン依存性サイトゾル酵素である。ペプチド配列の決定は、それが前述のp23、ステロイドホルモン/HSP-90複合体の成分と同一であることを明らかにした。大腸菌及び293細胞のp23の組換え発現は、機能性PGE2シンターゼを生じた。このタンパクは構成的に発現され、そして所見はそれがCOX-1に結合することを示唆する。したがって、明確に異なる遺伝子によりコードされるPGE2Sの構成性及び誘導性形態の両方があり、そしてそれぞれシクロオキシゲナーゼの構成性及び誘導性形態に結合することが明らかである。
【0010】
炎症でのPGE2の役割は十分確認されていた。PGE2に対するモノクローン抗体は、COX-2
阻害単独と同様に、痛覚過敏の動物モデルにおいて有効なことを示し(Zhang他, J Pharmacol Exp Ther 1997年12月;283(3): 1069-75)、PGE2が主要な前炎症性サイトカインであり、そしてPGE2だけの阻害が抗炎症性治療に充分であることを示唆する。
【0011】
アンチセンス技術は、特異的な遺伝子産物の発現を低減する有効な手段として現れ、従って多数の治療的診断において独自に有効であることがわかり、そしてmPGES-1発現の調節に対する適用を調査することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、mPGES-1をコードする核酸に標的化され、そして mPGES-1の発現を調節する、アンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドに関する。本発明のアンチセンス化合物を含む医薬及びその他の組成物もまた提供される。更に、細胞又は組織を1つ又はそれ以上の本発明のアンチセンス化合物又は組成物と接触させることを含む、細胞又は組織におけるmPGES-1の発現を調節する方法を提供する。更に、mPGES-1の発現と関係する疾患又は状態を有するか又はそのような疾患又は状態になりやすいことが疑われる、動物、特にヒトを、治療的又は予防的有効量の1又はそれ以上の本発明のアンチセンス化合物又は組成物を投与することにより治療する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、mPGES-1をコードする核酸分子の機能を調節し、産生されるmPGES-1の量を最終的に調節する使用のために、オリゴマーアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドを使用する。これは、mPGES-1をコードする1又はそれ以上の核酸と特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物を提供することにより達成される。本明細書中で使用される、用語「標的核酸」及び「mPGES-1をコードする核酸」は、mPGES-1をコードするDNA、その
ようなDNAから転写されたRNA(プレ-mRNA及びmRNAを含む)、及びそのようなRNAに由来するcDNAもまた包含する。その標的核酸とのオリゴマ-化合物の特異的なハイブリダイゼーションは、核酸の正常な機能に干渉する。このような、標的核酸に特異的にハイブリダイズする化合物によるその標的核酸の機能の調節を、一般に「アンチセンス」という。干渉されるDNAの機能は、複製及び転写を含む。干渉されるRNAの機能は、全ての生体機能、例えば蛋白質翻訳の部位へのRNAのトランスロケーション、RNAからの蛋白質の翻訳、1又はそれ以上のmRNA種を生じるRNAのスプライシング、及びRNAが関与するか又はRNAにより促進される酵素活性を含む。標的核酸機能のこのような干渉の全体的影響は、mPGES-1の発現の調節である。本発明の関連において、「調節」は遺伝子の発現における増加(刺激)又は減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明の関連において、阻害は遺伝子発現の好ましい調節形態であり、そしてmRNAが好ましい標的である。
【0014】
アンチセンスに対して特異的な核酸を標的化することが好ましい。本発明の関連で、特定の核酸にアンチセンス化合物を「標的化する」ことは、多段階の過程である。この過程は、通常、機能が調節される核酸配列の同定から始まる。これは例えば、発現が特定の障害もしくは疾患状態に関連する細胞遺伝子(又はその遺伝子から転写されたmRNA)、又は感染因子からの核酸分子であってもよい。本発明において、標的はmPGES-1をコードする核酸分子である。この標的化過程はまた、アンチセンス相互作用が起こり、タンパク質発現の所望の効果、例えば検出又は調節が生じるようなこの遺伝子内の部位の決定も含む。本発明の関連の範囲内で、好適な遺伝子内部位は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始又は終結コドンを含む領域である。従来技術で公知のように、翻訳
開始コドンは一般的に5'-AUGであるから(転写されたmRNA分子において;対応するDNA分子において5'-ATG)、翻訳開始コドンはまた、「AUGコドン」、「開始コドン」又は「AUG開始コドン」といわれる。少数の遺伝子は、RNA配列、5'-GUG、5'-UUG又は5'-CUGを有する翻訳開始コドンを有し、そして5'-AUA、5'-ACG及び5'-CUGはインビボで機能することを示した。したがって、それぞれの例においてイニシエーターのアミノ酸は一般的に、メチオニン(真核生物において)又はホルミルメチオニン(原核生物において)であるとしても、用語「翻訳開始コドン」及び「開始コドン」は多くのコドン配列を含むことができる。真核生物の遺伝子及び原核生物の遺伝子が2つ又はそれ以上の代わりの開始コドンを有し得ることが知られており、このいずれか1つは優先的に、特定の細胞型もしくは組織型における翻訳に、又は条件の特定のセットの下で、利用され得る。本発明の関連において、「出発コドン」及び「翻訳開始コドン」は、このようなコドンの配列に関係なく、mPGESをコードする遺伝子から転写されるmRNA分子の翻訳を開始するために生体内で使用されるコドンをいう。
【0015】
遺伝子の翻訳終結コドン(又は「終止コドン」)が3つの配列、すなわち5'-UAA、5'-UAG及び5'-UGA(対応しているDNA配列はそれぞれ5'-TAA、5'-TAG及び5'-TGAである)の1つを有し得ることも知られている。用語「開始コドン領域」及び「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち5'又は3')の約25〜約50の隣接するヌクレオチドを含む上記mRNA又は遺伝子の一部をいう。同様に用語「終止コドン領域」及び「翻訳終結コドン領域」は、翻訳終結コドンからいずれかの方向(すなわち5'又は3')の約25〜約50の隣接するヌクレオチドを含む上記mRNA又は遺伝子の一部をいう。
【0016】
翻訳開始コドンと翻訳終結コドンとの間の領域のことをいうオープンリーディングフレーム(ORF)又は「コード領域」もまた、有効に標的化され得る領域である。他の標的領域は、翻訳開始コドンから5'方向のmRNAの一部をいい、従って5'キャップ部位とmRNAの翻訳開始コドン間のヌクレオチド又は遺伝子における対応するヌクレオチドを含む、5'未翻訳領域(5'UTR)、及び翻訳終結コドンから3'方向のmRNAの一部をいい、したがって翻訳終結コドンとmRNAの3'末端間のヌクレオチド又は遺伝子における対応するヌクレオチドを含む3'未翻訳領域(3'UTR)を含む。mRNAの5'キャップは、5'-5'三リン酸結合を介してmRNAのもっとも5'の残基に結合するN7-メチル化されたグアノシン残基を含む。mRNAの5'キャップ領域は、キャップに隣接する最初の50ヌクレオチドに加え、5'キャップ構造それ自体を含むと考えられる。5'キャップ領域もまた好適な標的領域であり得る。
【0017】
いくつかの真核生物のmRNA転写産物は直接翻訳されるが、多くは翻訳前に転写産物から切り取られる「イントロン」として公知である1つ又はそれ以上の領域を含む。残った(従って翻訳される)領域は「エキソン」として公知であり、そしてそれらは一緒にスプライスされ、連続mRNA配列を形成する。mRNAスプライス部位、すなわちイントロン-エキソン結合もまた好ましい標的領域であり、そしてそれらは、異常なスプライシングが疾患に関係するか又は特定のmRNAのスプライス産物の過剰産生が疾患に関係する状況において特に有用である。再配列又は欠失による異常な融合結合もまた好適な標的である。イントロンもまた有効であることがわかり、したがって例えばDNA又はプレ-mRNAに標的化されるアンチセンス化合物についての標的領域が好ましい。
【0018】
一旦1つ又はそれ以上の標的部位が同定されると、所望の効果を与えるために十分に標的に対して相補的であり、すなわち十分によく、十分な特異性を有してハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが選択される。
【0019】
本発明の関連で、「ハイブリダイゼーション」は水素結合を意味し、これは相補的なヌクレオシド又はヌクレオチド塩基間のワトソン-クリック、フーグスティーン、又は逆フーグスティーン水素結合であってもよい。例えば、アデニン及びチミンは相補的な核酸塩基であり、これは水素結合の形成を介して対となる。本願明細書において使用される「相補性」は2つのヌクレオチド間の正確な対形成の能力をいう。例えば、オリゴヌクレオチドの特定の位置のヌクレオチドがDNA又はRNA分子の同じ位置のヌクレオチドと水素結合できる場合、このときオリゴヌクレオチド及びDNA又はRNAはその位置で互いに相補的であると考えられる。各々の分子における対応する位置の十分な数が互いに水素結合し得るヌクレオチドによって占められる場合、このオリゴヌクレオチド及びDNA又はRNAは互いに相補的である。したがって、「特異的にハイブリダイズする」及び「相補性」は、安定かつ特異的な結合がオリゴヌクレオチドとDNA又はRNA標的間で生じるような十分な程度の相補性又は正確な対形成を示すために使用される用語である。アンチセンス化合物の配列が、特異的にハイブリダイズできるためにその標的核酸の配列に対して100%の相補性を必要としないことが理解される。アンチセンス化合物は、標的DNA又はRNA分子に対する化合物の結合が標的DNA又はRNAの正常な機能に干渉し、有用性の喪失を引き起こし、そして特異的な結合が所望される条件下、すなわちインビボアッセイ又は治療的処置の場合の生理学的条件下、及びインビトロアッセイの場合、アッセイが実施される条件下に、非標的配列に対するアンチセンス化合物の非特異的結合を避ける十分な程度の相補性がある場合、特異的にハイブリダイズすることができる。
【0020】
アンチセンス化合物は研究試薬及び診断薬として一般に使用される。例えば、優れた特異性により遺伝子発現を阻害できるアンチセンスオリゴヌクレオチドが、特定の遺伝子の機能を解明するために当業者にしばしば使用される。アンチセンス化合物はまた、例えば、生物学的経路の種々のメンバーの機能間を区別するために使用される。従ってアンチセンス調節は、調査使用のために利用される。
【0021】
アンチセンスの特異性及び感度もまた、治療的用途のために当業者に利用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物及びヒトの疾患状態の治療における治療の一部として使用された。アンチセンスオリゴヌクレオチドはヒトに安全かつ効果的に投与され、多数の臨床試験が現在進行中である。したがって、オリゴヌクレオチドが、細胞、組織及び動物、特にヒトの治療のための治療レジメにおいて有用であるために構成され得る有用な治療様式であり得ることが確かめられる。本発明の関連で、用語「オリゴヌクレオチド」はリボ核酸(RNA)もしくはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーもしくはポリマー又はその模倣物をいう。この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖及び共有結合的ヌクレオシド間(バックボーン)結合からなるオリゴヌクレオチド、加えて同様に機能する非天然に存在する部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾されるか又は置換されたオリゴヌクレオチドは、所望の特性、例えば増強された細胞の取り込み、核酸標的に対する増強された親和性及びヌクレアーゼの存在下での増大した安定性から、天然形態よりしばしば好ましい。
【0022】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがアンチセンス化合物の好ましい形態である一方、本発明は、限定されないが以下に記載のようなオリゴヌクレオチド模倣物を含む他のオリゴマーアンチセンス化合物を包含する。本発明に従うアンチセンス化合物は、好ましくは約8〜約30の核酸塩基(すなわち、約8〜約30の連結したヌクレオシド)を含む。特に好適なアンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、さらにより好ましくは約12〜約25の核酸塩基を含むそれである。従来技術で公知のヌクレオシドは、塩基-糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は通常複素環式塩基である。そのような複素環式塩基の2つの最も一般的種類は、プリン及びピリミジンである。ヌクレオチドはヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基を更に含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含む上記ヌクレオシドについて、リン酸基が糖の2'、3'又は5'いずれかのヒドロキシル部分に連結され得る。オリゴヌクレオチドの形成において、リン酸基は隣接したヌクレオシドと互いに結合し、直線状重合化合物を形成する。次に、線形重合構造のそれぞれの端がさらに結合して環状構造を形成するが、開いた直線状構造が一般的に好ましい。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基はオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間バックボーンを形成すると一般にいわれる。RNA及びDNAの正常なI結合又はバックボーンは、3'〜5'のホスホジエステル結合である。
【0023】
本発明において有用な好適なアンチセンス化合物の具体例としては、修飾されたバックボーン又は非天然のヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書において定義される、修飾されたバックボーンを有するオリゴヌクレオチドは、バックボーンのリン原子を保持するヌクレオチド及びバックボーンのリン原子を有さないヌクレオチドを含む。本明細書のためのそして時に従来技術において参照される、ヌクレオシド間バックボーンのリン原子を有しない修飾されたオリゴヌクレオチドはまた、オリゴヌクレオシドであると考えることができる。
【0024】
好適に修飾されたオリゴヌクレオチドバックボーンとしては、例えばホスホロチオネート、キラルホスホロチオネート、ホスホロジチオネート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルならびに3'-アルキレンホスホナート及びキラルホスホナートを含む他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダート及びアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート及びチオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3'-5'結合を有するボラノホスフェート、これらの2'-5'結合した類似体、及びヌクレオシド単位の隣接する対が3'-5と'5'-3'又は2'-5'と5'-2'で結合する逆転した極性を有するそれ、が挙げられる。種々の塩、混合塩及び遊離の酸形態もまた含まれる。
【0025】
上記のリンを含む結合の製造を教示する代表的な米国特許としては、U.S. 3,687,808; 4,469,863; 4,476,301; 5,023,243; 5,177,196; 5,188,897; 5,264,423; 5,276,019; 5,278,302; 5,286,717; 5,321,131; 5,399,676; 5,405,939; 5,453,496; 5,455,233; 5,466,677; 5,476,925; 5,519,126; 5,536,821; 5,541,306; 5,550,111; 5,563,253; 5,571,799; 5,587,361; 及び5,625,050が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照により加入される。
【0026】
その中にリン原子を含まない好適な修飾されたオリゴヌクレオチドバックボーンは、短鎖のアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、ヘテロ原子及びアルキル又はシクロアルキル結合の混合、又は1つ若しくはそれ以上の短鎖のヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合により形成されるバックボーンを有する。これらは、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される)を有するバックボーン、シロキサンバックボーン;スルフィド、スルホキシド及びスルホンバックボーン;ホルムアセチル及びチオホルムアセチルバックボーン;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチルバ
ックボーン;バックボーンを含むアルケン;スルファメートバックボーン;メチレンイミノ
及びメチレンヒドラジノバックボーン;スルホネート及びスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーン;及びN、O、S及びCH2の混合した構成要素部分を有する他のバックボーンを含む。
【0027】
上記のオリゴヌクレオシドの製造を教示する代表的な米国特許としては、U.S. 5,034,506; 5,166,315; 5,185,444; 5,214,134; 5,216,141; 5,235,033; 5,264,562; 5,264,564; 5,405,938; 5,434,257; 5,466,677; 5,470,967; 5,489,677; 5,541,307; 5,561,225; 5,596,086; 5,602,240; 5,610,289; 5,602,240; 5,608,046; 5,610,289; 5,618,704; 5,623,070; 5,663,312; 5,633,360; 5,677,437;及び5,677,439が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照により加入される。
【0028】
他の好適なオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の糖及びヌクレオシド間結合の両方、すなわちバックボーンは、新規な基で置換される。塩基単位は、適当な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。そのようなオリゴマー化合物、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されたオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖−バックボーンは、バックボーン、特にアミノエチルグリシンバックボーンを含むアミドと置換される。核酸塩基が保持され、そして直接的又は間接的にバックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に結合される。PNA化合物の製造を教示する代表的な米国特許として
は、U.S.5,539,082; 5,714,331 ;及び5,719,262が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照により加入される。PNA化合物の更なる
教示は、Nielsen 他, Science, 1991, 254, 1497-1500に見出され得る。
【0029】
本発明のもっとも好ましい実施態様は、ホスホロチオネートバックボーンを有するオリゴヌクレオチド及びヘテロ原子バックボーンを有するオリゴヌクレオチド、特に上記参照される米国特許5,489,677の-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-[メチレン(メチルイミノ)又はMMIバックボーンとして公知]、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2N(CH3)-N(CH3)-CH2-及び-O-N(CH3)-CH2-CH2- [ここで、天然のホスホジエステルバックボーンが-O-P-O-CH2-として示される]、ならびに上記参照される米国特許5,602,240のアミドバックボーンである。また、上記参照される米国特許5,034,506のバックボーン構造を有するオリゴヌクレオチドも好ましい。
【0030】
修飾されたオリゴヌクレオチドはまた、1つ又はそれ以上の置換された糖残基を含んでもよい。好適なオリゴヌクレオチドは、2'位に以下のうちの1つ:OH; F; O-、S-又はN-アルキル; O-、S-又はN-アルケニル; O-、S-又はN-アルキニル;又はO-アルキル-O-アルキルを含み、ここでアルキル、アルケニル及びアルキニルは置換又は非置換のC1〜C10アルキル又はC2〜C10アルケニル及びアルキニルであることができる。特に、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)n、OCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、及びO(CH2nON[(CH2)nCH3)]2
が好ましく、ここでn及びmは1〜約10である。他の好適なオリゴヌクレオチドは、2'位に以下のうちの1つ:C1〜C10(低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール又はO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレータ、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改良するための基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改良するための基、及び類似した特性を有する他の置換基を含む。好適な修飾は、2'-メトキシエトキシ(2'-O-(2-メトキシエチル)又は2'-MOEとしても公知の2'-O-CH2CH2OCH3)(Martin 他, Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504)、すなわちアルコキシアルコキシ基を含む。更なる好適な修飾としては、以下の本明細書中の実施例に記載される、2'-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち2'-DMAOEとしても公知のO(CH2)2ON(CH3)2基、及び以下の本明細書中の実施例にも記載される、2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ(2'-O-ジメチルアミノエトキシエチル又は2'-DMAEOEとしても従来技術で公知)、すなわち、2'-O-CH2-O-CH2-N (CH2)2が挙げられる。
【0031】
他の好ましい修飾としては、2'-メトキシ (2'-OCH3)、2'-アミノプロポキシ(2'-OCH2CH2CH2NH2)及び2'-フルオロ(2'-F)が挙げられる。同様の修飾がまた、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に3’末端のヌクレオチド上又は2'-5'結合されたオリゴヌクレオチドにおける糖の3'位、及び5'末端ヌクレオチドの5'位にされ得る。オリゴヌクレオチドはまた、糖模倣物、例えばペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分を有することもできる。そのような修飾された糖構造の製造を教示する代表的な米国特許は、U.S. 4,981,957; 5,11 8,800; 5,319,080; 5,359,044; 5,393,878; 5,446,137; 5,466,786; 5,514,785; 5,519,134; 5,567,811; 5,576,427; 5,591,722; 5,597,909; 5,610,300; 5,627,053; 5,639,873; 5,646,265; 5,658,873; 5,670,633;及び5,700,920が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照によりその全体が加入される。
【0032】
オリゴヌクレオチドはまた、核酸塩基 (しばしば単純に「塩基」と当該技術分野においていわれる)修飾又は置換を含むことができる。本明細書中で使用される「未修飾」又は「天然」核酸塩基としては、プリン塩基のアデノシン (A) 及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が挙げられる。修飾された核酸
塩基としては他の合成及び天然核酸塩基、例えば5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデノシン、アデノシン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデノシン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルならびに他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニンならびに3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが挙げられる。さらに、核酸塩基としては、米国特許第3,687,808に開示される核酸塩基、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, 858-859頁, Kroschwitz, J. I., ed. John Wiley & Sons, 1990に開示される核酸塩基、Englisch 他, Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に開示される核酸塩基、及びSanghvi, Y. S., 15章, Antisense Research and Applications, 第289-302頁, Crooke, S. T. 及びLebleu, B. ed., CRC Press, 1993に開示される核酸塩基が挙げられる。特定のこれらの核酸塩基は、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大するために特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン及びN-2、N-6及びO-6置換プリンを含み、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシンを含む。5-メチルシトシン置換が、0.6-1.2℃により核酸の二重鎖安定性を増大させることが示され (Sanghvi, Y. S., Crooke, S. T. and Lebleu, B., eds, Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, 276-278頁)、そして目下のところ好ましい塩基置換であり、さらにより具体的には2'-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされた場合に好ましい。
【0033】
他の修飾された核酸塩基と同様に上述の特定の修飾された核酸塩基の製造を教示する代表的な米国特許としては、上述のU.S.3,687,808並びにU.S.4,845,205; 5,130,302; 5,134,066; 5,175,273; 5,367,066; 5,432,272; 5,457,187; 5,459,255; 5,484,908; 5,502,177; 5,525,711; 5,552,540; 5,587,469; 5,594,12', 5,596,091; 5,614,617; 5,750,629; 及び5,681,941が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照により加入される。
【0034】
本発明のオリゴヌクレオチドの別の修飾は1又はそれ以上の部分又は共役をオリゴヌクレオチドに化学的に結合することを含み、これはオリゴヌクレオチドの活性、細胞の分配又は細胞の取り込みを増強する。このような部分としては、脂質部分、例えばコレステロール部分 (Letsinger 他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553-6556)、コール酸(Manoharan 他, Bioorg. Med. Chem. Let., 1994, 4, 1053-1060)、チオエーテル、例えばヘキシル-S-トリチルチオール (Manoharan 他, Ann. N.Y Acad. Sci., 1992, 660, 306-309; Manoharan 他, Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser 他, Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533-538)、脂肪族鎖、例えばドデカンジオール又はウンデシル残基 (Saison-Behmoaras 他, EMBO J., 1991, 10, 1111-1118; Kabanov 他, FEBS Lett., 1990, 259, 327-330; Svinarchuk 他, Biochimie, 1993, 75, 49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロール又はトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホナート(Manoharan 他, Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654; Shea 他, Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777-3783)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖 (Mancharan 他, Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14, 969-973)、又はアダマンタン酢酸 (Manoharan 他, Tetrahedron Lett., 1995, 36, 365'-3654)、パルミチル部分 (Mishra 他, Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229-237)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分 (Crooke 他, J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923-937).が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
このようなオリゴヌクレオチド共役の製造を教示する代表的な米国特許としては、U.S.
4,828,979; 4,948,882; 5,218,105; 5,525,465; 5,541,313; 5,545,730; 5,552,538; 5,578,717, 5,580,731; 5,580,731; 5,591,584; 5,109,124; 5,118,802; 5,138,045; 5,414,077; 5,486,603; 5,512,439; 5,578,718; 5,608,046; 4,587,044; 4,605,735; 4,667,025; 4,762,779; 4,789,737; 4,824,941; 4,835,263; 4,876,335; 4,904,582; 4,958,013; 5,082,830; 5,112,963; 5,214,136; 5,082,830; 5,112,963; 5,214,136; 5,245,022; 5,254,469; 5,258,506; 5,262,536; 5,272,250; 5,292,873; 5,317,098; 5,371,241, 5,391,723; 5,416,203, 5,451,463; 5,510,475; 5,512,667; 5,514,785; 5,565,552; 5,567,810; 5,574,142; 5,585,481; 5,587,371; 5,595,726; 5,597,696; 5,599,923; 5,599,928及び5,688,941が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照により加入される。
【0036】
所定の化合物の全ての位置が均一に修飾される必要はなく、そして実際は2つ以上の上述の修飾が、単一化合物中又はオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにさえ組み込まれていればよい。本発明はまたアンチセンス化合物を含み、これはキメラ化合物である。「キメラ」アンチセンス化合物又は「キメラ」は、本発明の関連でアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドであり、これは2つ又はそれ以上の化学的に別個の領域を含み、各々が少なくとも1つのモノマー単位、すなわちオリゴヌクレオチド化合物の場合1個のヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドは典型的には、オリゴヌクレオチドが修飾されて当該オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ分解に対する耐性の増大、細胞取り込みの増大、及び/又は標的核酸に対する結合親和性の増大を与える少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNA又はRNA:RNAハイブリッドを切断可能な酵素に対する基質として働くことができる。例証として、RNアーゼHは細胞性エンドヌクレアーゼであり、これはRNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する。従ってRNアーゼHの活性はRNA標的の切断を生じ、これにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率
が大きく増強する。結果的に、類似の結果が、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して、キメラオリゴヌクレオチドが使用される場合により短いオリゴヌクレオチドにより得られ得る。RNA標的の切断は、ゲル電
気泳動及び必要に応じて従来技術で公知の核酸ハイブリダイゼーション技術により通常通り検出され得る。
【0037】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、上記のような、2つ又はそれ以上のオリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド及び/又はオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成され得る。このような化合物はまた、当該技術分野でハイブリッド又はギャップマーと呼ばれた。このようなハイブリッド構造の製造を教示する代表的な米国特許としては、U.S. 5,013,830; 5,149,797; 5,220,007; 5,256,775; 5,366,878; 5,403,711; 5,491,133; 5,565,350; 5,623,065; 5,652,355; 5,652,356; and 5,700,922が挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらのうちのあるものは本出願により一般に認められ、そしてその各々が本明細書中においてその全体が参照により加入される。
【0038】
本発明に基づき使用されるアンチセンス化合物は、従来通りにそして普通に固相合成の周知技術により製造され得る。このような合成の装置は、例えばApplied Biosystems (Foster City, Calif.) を含むいくつかの供給元により販売される。当該技術分野で公知のこのような合成のための任意の他の手段が、さらに又は代りに使用され得る。ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体のようなオリゴヌクレオチドを製造する同様の技術を使用することが周知である。
【0039】
本発明のアンチセンス化合物はインビトロで合成され、そして生物起源のアンチセンス組成物、又はアンチセンス分子のインビボ合成に向けて設計された遺伝子ベクター構築物を含まない。本発明の化合物はまた、取り込み、分配及び/又は吸収を助けるために、混合するか、カプセル化するか、複合させることができ、又はそうでなければ他の分子、分子構造又は化合物の混合物、例えばリポソーム、受容体標的分子、経口、直腸、局所若しくは他の製剤と結びつけることができる。取り込み、分配及び/又は吸収を助ける製剤の製造を教示する代表的な米国特許としては、U.S. 5,108,921; 5,354,844; 5,416,016; 5,459,127; 5,521,291; 5,543,158; 5,547,932; 5,583,020; 5,591,721; 4,426,330; 4,534,899; 5,013,556; 5,108,921; 5,213,804; 5,227,170; 5,264,221; 5,356,633; 5,395,619; 5,416,016; 5,417,978; 5,462,854; 5,469,854; 5,512,295; 5,527,528; 5,534,259; 5,543,152; 5,556,948; 5,580,575;及び5,595,756が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その各々が本願明細書において参照により加入される。
【0040】
本発明のアンチセンス化合物は任意の薬学的に許容できる塩、エステル若しくはそのようなエステルの塩又はヒトを含む動物への投与において生物学的に活性な代謝産物又はその残余を(直接的又は間接的に)提供できる任意の他の化合物を含む。従って、例えばこの開示はまた、本発明の化合物のプロドラック及び薬学的に許容できる塩、そのようなプロドラッグの薬学的に許容できる塩、及び他の生物学的同等物を引き出す。
【0041】
用語「プロドラッグ」は、内因性酵素又は他の化学物質及び/又は条件の作用により生体又はその細胞内で活性形態(すなわち、薬物)に変換される、不活性形態で調製された治療剤を示す。特に、本発明のオリゴヌクレオチドのプロドラッグバージョンは、1993年12月9日に公開されたGosselin他のWO 93/24510又はImbachらのWO 94/26764で開示された
方法に従って、SATE [(S-アセチル-2-チオエチル)ホスフェート]誘導体として製造される。
【0042】
用語「薬学的に許容できる塩」は、本発明の化合物の生理学的及び薬学的に許容できる塩、すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を維持し、そしてそれに対して望まない毒物学的効果を与えたない塩をいう。
【0043】
薬学的に許容できる塩基付加塩は、金属又はアミン、例えばアルカリ及びアルカリ土類金属又は有機アミンにより形成される。カチオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等である。適当なアミンの例は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、及びプロカインである (例えばBerge 他, “Pharmaceutical Salts,”J of Pharma Sci., 1977, 66, 119を参照)。上記酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、従来の方法で当該塩を形成させることにより製造される。遊離酸形態は、従来の方法で塩形態を酸と接触させ、そして遊離酸を単離することにより再生させることができる。遊離酸形態は、ある物理的特性、例えば極性溶媒中の溶解性においてそれらのそれぞれの塩形態とはいく分異なるが、その他の点ではその塩は本発明のためのそれらのそれぞれの遊離酸と等しい。本明細書中で使用される「薬学的付加塩」は、本発明に係る組成物の成分の1つの酸形態の薬学的に許容できる塩を含む。これらは、アミンの有機又は無機酸塩を含む。好ましい酸塩は、塩酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、及びリン酸塩である。他の適当な薬学的に許容できる塩は当業者に周知であり、そして種々の無機酸及び有機酸の塩基性塩、例えば無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸との;有機酸、カルボン酸、スルホン酸、スルホ若しくはホスホ酸(sulfo or phospho acid)又はN-置換スルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸又はイソニコチン酸との;及びアミノ酸、例えば事実上の蛋白質の合成に関与する20α-アミノ酸、例えばグルタミン酸又はアスパラギン酸との、ならびにまた、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタリン-2-スルホン酸、ナフタリン-1,5-ジスルホン酸、2-又は3-ホスホグリセレート、グルコース-6-ホスフェート、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)との、又は他の酸性有機化合物、例えばアスコルビン酸との塩基性塩を含む。化合物の薬学的に許容できる塩はまた、薬学的に許容できるカチオンを用いて製造され得る。適当な薬学的に許容できるカチオンは当業者に周知であり、そしてアルカリ、アルカリ土類、アンモニウム、及び第四級アンモニウムカチオンを含む。カーボネート又は水素カーボネートもまた可能である。
【0044】
オリゴヌクレオチドについて、薬学的に許容できる塩の好適な例としては、(a)カチ
オン、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、ポリアミン(例えばスペルミンおよびスペルミジン)などと形成される塩;(b)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などと形成される酸付加塩; (c)有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸等と形成される塩;および(d)元素のアニオン、例えば塩素、臭素およびヨウ素から形成される塩、を含むが、これに限定されるものではない。
【0045】
本発明のアンチセンス化合物は、診断、治療、予防のために、及び研究試薬及びキットとして利用され得る。治療に関して、mPGES-lの発現を調節することにより治療され得る疾患又は障害を有することが疑われる動物、好ましくはヒトは、本発明に従ってアンチセンス化合物を投与することによって治療される。本発明の化合物は、適当な薬学的に許容できる希釈剤又は担体に有効な量のアンチセンス化合物を添加することによる医薬組成物で利用され得る。本発明のアンチセンス化合物及び方法の用途はまた、予防的に、例えば感染、炎症又は腫瘍発生を、例えば防ぐか又は遅延させるために有用であり得る。
【0046】
本発明のアンチセンス化合物は研究及び診断のために有用であり、その理由はこれらの化合物がmPGES-1をコードする核酸にハイブリダイズし、このことを利用するためにサンドイッチアッセイ及び他のアッセイが容易に構築されることを可能にする。mPGES-1をコードする核酸との本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、従来技術で公知の手段によって検出され得る。そのような手段は、オリゴヌクレオチドと酵素の結合、オリゴヌクレオチドの放射性標識又は任意の他の適当な検出手段を含み得る。サンプルのmPGES-1レベルを検出するそのような検出手段を使用するキットもまた、製造され得る。
【0047】
本発明はまた、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物及び製剤を含む。本発明の医薬組成物は、局所又は全身の治療が要求されるかどうか、及び治療される領域によって決まる多数の方法で投与され得る。投与は、局所(眼、ならびに膣及び直腸送達を含む粘膜を含む)、例えば、ネブライザによることを含む粉末又はエアロゾルの吸入又は通気による肺;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮的、経口又は非経口であることができる。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹膜内又は筋肉内注射若しくは輸液;又は頭蓋内、例えば髄膜下若しくは脳室内の投与を含む。少なくとも1つの2'-O-メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは、特に経口投与のために有用であると考えられている。
【0048】
局所投与のための医薬組成物及び製剤としては、経皮的パッチ、軟膏、ローション剤、乳剤、ゲル剤、滴剤、坐薬、スプレー、液体及び粉末を挙げることができる。従前通りの医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などは、必要であるか又は望ましいかもしれない。コーティングされたサック、グラブなどもまた有用であり得る。
【0049】
経口投与のための組成物及び製剤は、粉剤もしくは顆粒剤、懸濁液又は水もしくは非水溶性媒質の液剤、カプセル、サシェ又は錠剤を含む。増粘剤、香料、希釈剤、乳化剤、分散補助剤又は結合剤が望ましいこともある。
【0050】
非経口、髄膜下又は脳室内投与のための組成物及び製剤としては、滅菌水溶液を挙げることができ、これはまた、例えば緩衝液、希釈剤及び他の添加物を含んでもよく、例えば浸透エンハンサー、担体化合物及び他の薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含むことができるがこれらに限定されるものではない。
【0051】
本発明の医薬組成物は、溶液、乳剤及びリポソーム含有製剤を含むが、これに限定されるものではない。これらの組成物は予め形成された液体、自己乳化性固体及び自己乳化性半固体を含むが、これに限定されるものではない様々な成分から生成され得る。
【0052】
単位剤形で都合よく提供することができる本発明の医薬製剤は、医薬産業で周知の従来技術に従って製造することができる。そのような技術は、医薬担体又は賦形剤と活性成分を結合させる工程を含む。一般に、製剤は、液状担体又は細粒固形担体又はその両方と活性成分を一様にかつ十分に結合させ、それから必要に応じて生成物を成形することにより製造される。
【0053】
本発明の組成物は、多くの可能な剤形に、例えば錠剤、カプセル剤、液状シロップ、ソフトゲル剤、坐薬及び浣腸を含むがこれらに制限されない。本発明の組成物はまた、水性、非水性又は混合媒質中の懸濁液として処方されてもよい。水性懸濁液は物質を更に含んでもよく、そしてそれは例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及び/又はデキストランを含んでいる懸濁液の粘性を増加させる。懸濁液はまた、安定化剤を含んでもよい。
【0054】
本発明の実施態様において、医薬組成物はフォームとして処方されそして使用されても
よい。医薬フォームは、限定されないが乳剤、マイクロエマルション、クリーム、ゼリー及びリポソームのような製剤を含む。基本的には事実上類似するが、これらの製剤は最終製品の成分及びコンシステンシーにおいて変化する。このような組成物及び製剤の製法は、一般的に医薬及び製剤の技術における当業者に公知であり、そして本発明の組成物の製剤に利用され得る。
【0055】
乳剤
本発明の組成物は乳剤として製造及び処方され得る。乳剤は、直径0.1μmを通常上回る液滴の形で、別々に分散された1つの液体の一般的な不均質系である(Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y., 1巻, 第199頁; Rosoff, in PTzai nzaceutical Dosage Fornzs, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 1巻, 第245頁; Block in Pharnzaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 2巻, 第335頁; Higuchi 他 , in Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. , Easton, PA, 1985, 第301頁)。しばしば乳剤は、相互に十分に混合されそして分散された2つの混ざらない液相から成っている二相系である。一般に、乳剤は油中水型(w/o)又は水中油型(o/w)の種類のいずれかであり得る。水相が大量の油相に細かく分配されそして微細な液滴として分散される場合、結果として生じる組成物は油中水型(w/o)乳剤と呼ばれる。あるいは、油相が大量の水相に細かく分配されそして微細な液滴として分散される場合、結果として生じる組成物は水中油型(o/w)乳剤と呼ばれる。乳剤は、分散相及び活性薬物に加えて更なる成分を含んでもよく、これは溶液として、水相、油相又はそれ自体の別個の相としてのいずれかで存在し得る。乳化剤、安定剤、染料及び抗酸化剤のような医薬賦形剤もまた、必要に応じて乳剤に存在し得る。医薬乳剤はまた、例えば油中水中油(o/w/o)及び水中油中水(w/o/w)乳剤の場合のように、3つ以上の相からなる複数の乳剤であってもよい。そのような複合製剤はしばしば、単純な二成分の乳剤が提供しない特定の効果を提供する。o/w乳剤の個々の油滴が小さい水滴を囲む多層乳剤は、w/o/w乳剤を構成する。同様に、油相(oily continuous)中に安定化された水の粒で囲まれた油滴の系は、o/w/o乳剤を提供する。
【0056】
乳剤は、熱力学的安定性がほとんどないことによって特徴づけられる。しばしば、乳剤の分散しているか又は不連続な相が外部又は連続相に十分に分散され、そして乳化剤の手段又は製剤の粘性によりこの形態に維持される。乳剤型の軟膏ベース及びクリームの場合と同様に、乳剤の相のいずれかが半固体又は固体であることができる。乳剤を安定化させる他の手段は、乳剤のいずれかの相に取り入れることができる乳化剤の使用を含む。乳化剤は4つのカテゴリに広く分類することができる:合成界面活性剤、天然に存在する乳化
剤、吸着ベース及び細かく分散させた固体(Idson, in Phanmaceutical Dosaqe Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 1巻, 第199頁)。
【0057】
表面界面活性剤としても公知の合成界面活性剤は、乳剤の製剤において広い適用性を見出だし、そして文献で検討された(Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 1巻, 第285頁; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 1988, 1巻, 第199頁)。界面活性剤は一般的に両親媒性であり、そして親水性及び疎水性部分を含む。界面活性剤の親水性:疎水性の比率は、親水性/親油性バランス(HLB)と呼ばれ、そして製剤の製造における界面活性剤の分類及び選択の際の有用なツールである。界面活性剤は、親水基の性質:非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性、に基づいて異なる種類に分類され得る(Rieger, in Phanmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 1巻, 第285頁)。
【0058】
乳剤製剤に使用される天然に存在する乳化剤は、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン及びアカシアを含む。吸着ベースは親水性の特性を有し、その結果それらは水を吸収してw/o乳剤を形成するが、半固体の粘稠度を保持する(例えば無水ラノリン及び親水性ワセリン)。細かく分割された固体はまた、特に界面活性剤との組み合わせ及び粘性の製剤において優れた乳化剤として使用された。これらは極性無機固形物、例えば重金属の水酸化物、非膨脹性の粘土、例えばベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状のケイ酸アルミニウム及びコロイド状のケイ酸マグネシウムアルミニウム、色素及び無極性固形物、例えば炭素又はトリステアリン酸グリセリンを含む。
【0059】
多種多様な非乳化物質もまた乳剤製剤中に含まれ、そして乳剤の特性に関与する。これらは、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、湿潤剤、親水コロイド、保存剤及び抗酸化剤を含む(Block, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman,
Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y., 1巻, 第335頁; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.
), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1巻, 第199頁)。
【0060】
親水性コロイド又は親水コロイドは、天然に存在するガム及び合成ポリマー、例えば多糖(例えばアカシア、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、カラヤゴム及びトラガント)、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)及び合成ポリマー(例えばカルボマー、セルロースエーテル及びカルボキシビニルポリマー)を含む。これらは水中で分散また膨張し、分散相液滴周辺で強力な界面フィルムを形成することによって、及び外部相の粘性を増加させることによって乳剤を安定させるコロイド溶液を形成する。
【0061】
乳剤はしばしば、多数の成分、例えば炭水化物、タンパク質、ステロール及び微生物の成長を確実に支えることができるホスファチドを含み、これらの製剤はしばしば保存剤を加えることができる。乳剤製剤に含まれる一般に使用される保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル及びホウ酸を含む。抗酸化剤もはまた、製剤の劣化を防ぐために一般に乳剤製剤に添加される。使用される抗酸化剤は、遊離のラジカルスカベンジャ、例えばトコフェロール、没食子酸アルキル、ブチルヒドロキシアニゾール、ブチルヒドロキシトルエン、又は還元剤、例えばアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウム、ならびに抗酸化剤相乗剤、例えばクエン酸、酒石酸及びレシチンであることができる。
【0062】
皮膚病学的、経口的及び非経口的経路を介した乳剤製剤の適用及びそれらの製造のための方法は、文献で検討されている(Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman,
Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y., 1巻, 第199頁)。経口送達のための乳剤製剤は、製剤化の容易さ、吸収効率及び生物学的利用能の
見地の理由から非常に広く使われてきた(Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y., 1巻, 第245頁; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y., 1巻, 第199頁)。鉱油ベースの緩下剤、油溶性ビタミン及び高い脂肪栄養製剤が、o/w乳剤として経口的に一般に投与されている物質の一つである。
【0063】
本発明の1つの実施態様において、オリゴヌクレオチド及び核酸の組成物は、マイクロエマルションとして処方される。マイクロエマルションは、水、油及び両親媒性物質の系
として定義されてよく、そしてそれは単一の光学的に等方性でかつ熱力学的に安定な液状溶液である(Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y. , 1巻, 第245頁)。一般的に、マイクロエマルションは、界面活性剤水溶液中に油を最初に分散させ、次いで十分量の第4成分、一般に中鎖長アルコールを添加して透明な系を形成することにより製造される系である。したがって、マイクロエマルションはまた、界面活性分子の界面フィルムによって安定する2つの混ざらない液体の熱力学的に安定で等方性の透明な分散であるとして記載されている(Leung and Shah, in: Controlled Release of Drugs : Polymers and Aggregate Systems, Rosoff, M. , Ed. , 1989, VCH Publishers, New York, pages 1852-5)。マイクロエマルションは、油、水、界面活性剤、共活性剤及び電解質を含む3〜5つの成分の組み合わせにより、一般に製造される。マイクロエマルションが油中水型(w/o)又は水中油型(o/w)であるかどうかは、使用される油及び界面活性剤の特性ならびにその界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素の尾部の構造及び幾何学的パッキングによる。
【0064】
相図を利用している現象学的アプローチは広く研究され、そしてマイクロエマルションの処方の仕方について当業者に総合的な知識を与えた(Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y., 1巻, 第245頁; Block,in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds. ), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y., 1巻, 第335頁)。従来の乳剤と比較して、マイクロエマルションは、自発的に形成される熱力学的に安定な液滴の製剤中に水不溶性の薬物を可溶化する効果を提供する。
【0065】
マイクロエマルションの製剤に使用される界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸テトラグリセロール(ML310)、モノオレイン酸テトラグリセロール (M0310)、モノオレイン酸ヘキサグリセロール(P0310)、ヘキサグリセロールペンタオレアート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレアート(M0750)、デカグリセロールセキオレアート(S0750)、デカグリセロールデカオレアート(DA0750)を、単独又は共活性剤と組み合わせて含むが、これらに限定されるものではない。共活性剤、通常短鎖アルコール、例えばエタノール、1-プロパノール及び1-ブタノールは、界面活性剤フィルムへの透過性、及び従って界面活性剤分子中で発生する空隙部を原因として乱されたフィルムを作成することによって界面流動を増加させるのに役に立つ。しかし、マイクロエマルションは共活性剤を用いないで製造してもよく、そしてアルコールフリーの自己乳化型マイクロエマルション系が従来技術において公知である。水相は、水、以下の水溶液:薬物、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール及びエチレングリコールの誘導体が一般的であるが、これらに制限されない。油相は、物質、例えばCaptex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8−C12)モノ、ジ及びトリグリセライド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、植物油及びシリコン油を含み得るが、これらに限定されるものでは
ない。
【0066】
マイクロエマルションは、薬物可溶化の見地及び薬物の強化された生体吸収から特に重要である。脂質ベースのマイクロエマルション(o/w及びw/oの両方)が、ペプチドを含む薬物の経口生物学的利用能を強化するために提唱された(Constantinides 他, Pharnlaceutical Research, 1994, 11, 1385-1390; Ritschel, Meth. Find. Exp. Clin. Pharmacol., 1993,13, 205)。マイクロエマルションは、改良された薬物可溶化、酵素加水分解からの薬物の保護、膜流動性及び透過性の界面活性剤により誘導された変更による薬物吸収の強化の可能性、製造の容易さ、固体剤形における経口投与の容易さ、改良された臨床上効力ならびに毒性の減少、の利点を与える(Constantinides 他, Pharmaceutical Research, 1994,11, 1385; Ho 他 , J.Phare.Sci., 1996,85, 138-143)。しばしばマイクロエマルションは、それらの成分を周囲温度で一緒に接触させた場合、自発的に形成し得る。これは熱不安定性の薬物、ペプチド又はオリゴヌクレオチドを処方する場合に特に有利であり得る。マイクロエマルションはまた、化粧品及び医薬適用の両方の活性成分の経皮的送達に有効であった。本発明のマイクロエマルション組成物及び製剤は、胃腸管からのオリゴヌクレオチド及び核酸の体系的吸収増加を容易にし、加えて胃腸管、膣、口腔及び投与の他の領域の範囲内でオリゴヌクレオチド及び核酸の局所的な細胞の取込みを改善する。
【0067】
本発明のマイクロエマルションはまた、追加の成分及び添加剤、例えばソルビタンモノステアレート(Grill 3)、Labrasol、及び透過増強剤を含み、製剤の特性を改善し、そし
て本発明のオリゴヌクレオチド及び核酸の吸収を強化することができる。本発明のマイクロエマルションに使用される透過増強剤は、5つの幅広いカテゴリーの1つ界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、及び非キレート非界面活性剤に属するとして分類され得る(Lee他, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 第92頁)。これらの種類の各々が上で議論された。
【0068】
リポソーム
研究されそして薬物の処方のために使用されたマイクロエマルションの他に、組織化された多くの界面活性剤構造が存在する。これらは単層、ミセル、二重層及び小胞を含む。小胞、例えばリポソームは、それらの特異性及びそれらが薬物送達の見地から提供する作用の持続期間の理由から、大きな関心を引いた。本発明で使用される、用語「リポソーム」は、球面二重層に配置された両親媒性脂質からなる小胞を意味する。
【0069】
リポソームは、親油性物質及び水性の内部から形成される膜を有する単ラメラ又はマルチラメラの小胞である。水性部分は送達される組成物を含む。カチオン性リポソームは、細胞壁に融合することが可能な利点を有する。非カチオン性リポソームは、細胞壁と効率的に融合することはできないが、インビボでマクロファージによって取り込まれる。
【0070】
無傷の哺乳動物皮ふを横切るために、脂肪小胞は、適当な経皮的勾配の影響下、各々の直径が50nm未満の一連の細かい細孔を通過しなければならない。したがって、非常によく変形し、そして上記細かい細孔を通過することが可能なリポソームを使用することが望ましい。
【0071】
リポソームのさらなる利点としては、天然のリン脂質から得られたリポソームが生物学的に適合性でありそして生物分解可能であり; リポソームは広範な水及び脂溶性薬物を取り込むことができ;リポソームはそれらの内部区画においてカプセル化薬物を代謝及び分解から保護することができること、が挙げられる(Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1巻, 第245頁)。リポソーム製剤における重要な考慮は、リポソームの脂質表面の電荷、小胞サイズ及び水の体積である。
【0072】
リポソームは作用部位に活性成分を移動及び送達するために有用である。リポソーム膜は生物学的膜に構造的に類似することから、リポソームが組織に適用される場合、リポソームは細胞膜と融合を始める。リポソーム及び細胞の融合が進むと、リポソーム内容物が活性薬剤が作用し得る細胞に移る。
【0073】
リポソーム製剤は、多くの薬物の送達様式として広範囲の研究の焦点であった。局所的投与のために、リポソームは他の製剤よりもいくつかの利点を示す証拠が増えている。このような利点としては、投与される薬物の全身性の吸収の高さに関連した副作用の低減、所望の標的における投与薬物の蓄積の増加、及び広範な種々の、親水性及び疎水性両方の
薬物を皮膚へ投与する能力が挙げられる。
【0074】
いくつかの報告は高分子量のDNAを含む薬物を皮膚に送達するリポソームの能力を詳述
している。鎮痛薬、抗体、ホルモン及び高分子量のDNAを含む化合物が皮膚に投与されて
いる。大部分の適用が上部の表皮の標的化を生じる。
【0075】
リポソームは2つの広範な種類に分類される。カチオン性リポソームは正電荷を持つリポソームであり、これは負電荷のDNA分子と相互作用し、安定な複合体を形成する。正電荷のDNA/リポソーム複合体は、負電荷の細胞表面に結合し、そしてエンドソームに内
在化される。エンドソーム内の酸性pHにより、リポソームは破壊され、それらの内容物を細胞質に放出する (Wang 他, Biochem. Biophys. Res. Commun., 1987, 147, 980-985)。
【0076】
pH-感受性又は負電荷のリポソームは、DNAと複合体化するよりむしろDNAを捕捉
する。DNA及び脂質の両方が同様に帯電することから、複合体形成よりむしろ反発を生じる。それにもかかわらず、いくつかのDNAはこれらのリポソームの水性内部に捕捉される。pH-感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを培養中の
細胞単層に送達するために使用された。外因性遺伝子の発現が標的細胞中で検出された (Zhou 他, Journal of Controlled Release, 1992, 19, 269-274)。
【0077】
リポソーム組成物の1つの主要なタイプは、天然に誘導されたホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。例えば、中性のリポソーム組成物がジミリストイルホスファチジルコリン (DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン (DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は一般にジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成され、一方、アニオン性の融合性(fusogenic)リポソームはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン (DOPE)から主に形成される。リポソーム組成物の他のタイプは、例えばダイズPC、及びタマゴPCのようなホスファチジルコリン (PC)から形成される。別のタイプはリン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0078】
いくつかの研究は、リポソーム薬物製剤の皮膚への局所的送達を評価する。インターフェロンを含むリポソームのモルモットの皮膚への適用は皮膚ヘルペスの潰瘍の低減を生じるが、一方、他の手段(例えば溶液として又は乳剤として)によるインターフェロンの送達は効果がなかった(Weiner 他, Journal of Drug Targeting, 1992, 2, 405-410)。さらに、追加的研究は、水系を使用したインターフェロンの投与に対するリポソーム製剤の一部として投与されるインターフェロンの効果を試験し、そしてリポソーム製剤が水性の投与より優れていることを結論付けた(du Plessis 他, Antiviral Research, 1992, 18, 259-265)。
【0079】
非イオン性のリポソーム系、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系もまた、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性を測定するために調べた。NovasomeTM
I (グリセリルジラウラート/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)及びNovasomeTM II (グリセリルジステアレート/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性のリポソーム製剤が、シクロスポリン-A
をマウスの皮膚の真皮に送達するために使用された。結果はそのような非イオン性リポソーム系がシクロスポリン−Aの異なる皮膚層への沈着を促進することに有効であったことを示した (Hu 他 S.T.P. Pharma. Sci., 1994, 4, 6, 466)。
【0080】
リポソームはまた「立体異性的に安定化された」リポソームを含み、本明細書中で使用される用語は、リポソームに取り込まれた場合に特殊化された脂質を欠くリポソームと比較して循環寿命の強化を生じる1又はそれ以上のそのような特殊化された脂質を含むリポソームをいう。立体異性的に安定化されたリポソームの例は、リポソームの小胞形成性脂質部分の一部が(A)1つ又はそれ以上の糖脂質、例えばモノシアロガングリオシドGM1を含むか、又は(B)1つ又はそれ以上の親水性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)部分により誘導体化されたリポソームである。任意の特定の理論によって結びつけられることを望まないが、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン又はPEG-誘導体化脂質を含む立体異性的に安定化されたリポソームに関して、これらの立体異性的に安定化されたリポソームの循環の半減期の強化は、細網内皮系(RES)の細胞への減少した取込みに由来することが、従来技術で考えられている(Allen 他,FEBSLetters, 1987,223, 42; Wu 他, Cancer Research, 1993,53, 3765)。
【0081】
1つ又はそれ以上の糖脂質を含む種々のリポソームが従来技術において公知である。Papahadjopoulos他(Ann. N. Y. Acad. Sci., 1987,507, 64)は、モノガングリオシドGM1、ガラクトセレブロシドサルフェート及びホスファチジルイノシトールの、リポソームの血液半減期を改善する能力を報告した。これらの所見は、Gabizon他(Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 1988, 85,6949)によってに解説された。米国特許番号4,837、028及びWO 88/04924、両方Allen他は、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGj又はガラクトセレブロシド硫酸エステルを含むリポソームを開示する。米国特許番号5,543,152((Webb他)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示する。1,2-sn-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、WO 97/13499(Lim他)で開示される。
【0082】
1つ又はそれ以上の親水性ポリマーにより誘導体化された脂質を含む多くのリポソーム及びその製造方法が従来技術において公知である。Sunamoto他(Bull. Chem. Soc. Jpn., 1980,53, 2778) は、PEG部分を含む非イオン物質界面活性剤、2C1215Gを含むリポソーム
を記載する。Illum他(FEBS Lett., 1984,167, 79) は、ポリマーグリコールによるポリスチレンの親水性コーティングが顕著に血液半減期を強化することに言及した。ポリアルキレングリコール(例えばPEG)のカルボキシル基の付加により修飾された合成リン脂質は、Sears(米国特許第4,426, 330及び4,534, 899) により記載される。Klibanov他(FEBS Lett., 1990,268, 235) は、PEG又はステアリン酸PEGによって誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが循環血液半減期において顕著な増加を有することを示す実験を記載する。Blume他(Biochimica et Biophysica Acta, 1990,1029, 91) は、他のPEG誘導体化リン脂質、例えばジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)及びPEGの組み合わせから形成された、DSPE-PEGに対するこのような観察を展開した。外面上に共有結合したPEG部分を有するリポソームが、欧州特許番号EP 0 445 131 B1及びWO90/04384、Fisherに記載されている。PEGにより誘導体化されたPEの1−20モル%を含むリポソーム組成物、及びその使用方法が、Woodle他(米国特許番号5,013,556及び5,356, 633)及びMartin他(米国特許番号5,213, 804及び欧州特許番号EP 0 496 813Bl)により記載される。多数の他の脂質ポリマー共役を含むリポソームがWO91/05545及び米国特許番号5,225,212(両方Martin他)ならびにWO 94/20073 (Zalipsky他)において開示される。PEG-修飾されたセラミド脂質を含むリポソームがWO 96/10391 (Choi他)に記載される。米国特許番号5,540, 935(Miyazaki他)及び5,556, 948(Tagawa他)は、表面において官能基によりさらに誘導体化され得るPEG含有リポソームを記載する。
【0083】
核酸を含む限られた数のリポソームが、従来技術において公知である。WO 96/40062、Thierry他は、高分子量核酸をリポソームにカプセル化する方法を開示する。米国特許番号5,264, 221、Tagawa他 は、タンパク質結合リポソームを開示し、そしてそのようなリポソームの内容物がアンチセンスRNAを含んでもよいことを言明する。米国特許番号5,665,710、Rahman他は、オリゴデオキシヌクレオチドをリポソームにカプセル化する特定の方法を記載する。WO 97/04787、Love他は、raf遺伝子に標的化されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むリポソームを開示する。
【0084】
トランスファーソーム(transfersome)は、さらに別のタイプのリポソームであり、そして薬物送達の賦形剤の魅力的な候補である非常に変形する脂質集合体である。トランスファーソームは脂肪滴と記述されてもよく、これは非常に変形し、この液滴より小さい細孔を容易に貫通することができる。トランスファーソームはそれらが使用される環境に適応でき、例えばそれらは自動的に最適化され(皮膚の細孔の形に適応可能)、自動的に修復され、しばしば分解することなく標的に達し、そしてしばしば自動的にロードされる。トランスファーソームを作るために、表面エッジアクチベータ(surface edge-activator)、通常界面活性剤を、標準のリポソーム組成物に添加することが可能である。トランスファーソームは、血清アルブミンを皮ふに送達するために使用された。血清アルブミンのトランスファーソーム仲介送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同様の効果を示した。
【0085】
界面活性剤は、製剤、例えば乳剤(マイクロエマルションを含む)及びリポソームにおいて広範な適用を見出す。多くの異なるタイプの界面活性剤(天然及び合成の両方とも)の特性を分類及び区別する大部分の一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使
用による。親水基(別名「頭部」)の性質は、製剤に使用される異なる界面活性剤を分類する最も有用な手段を提供する(Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, 第285頁)。
【0086】
界面活性剤分子がイオン化されない場合、非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は医薬及び化粧製品に広い適用を見出し、そして広範囲にわたるpH値で使用可能である。一般に、HLB値はそれらの構造に従い2〜約18に変動する。非イオン性界面活性剤は、非イオン性エステル、例えばエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル及びエトキシル化エステルを含む。非イオン性アルカノールアミド及びエーテル、例えば脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーもまた、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最もポピュラーなメンバーである。
【0087】
界面活性剤を水に溶解又は分散させたときに界面活性剤分子が負電荷を担持する場合、界面活性剤は陰イオンとして分類される。アニオン界面活性剤は、カルボキシレート、例えばセッケン、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、硫酸のエステル、例えばアルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェート、スルホネート、例えばアルキルベンゼンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホサクシネート及びホスフェートを含む。アニオン界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキルサルフェート及びセッケンである。
【0088】
界面活性剤を水に溶解又は分散させたときに界面活性剤分子が正電荷を担持する場合、界面活性剤はカチオンとして分類される。カチオン界面活性剤は、四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンを含む。第四級アンモニウム塩は、この種類の最も利用されるメンバーである。
【0089】
界面活性剤分子が正又は負のいずれかの電荷を担持する能力を有する場合、その界面活性剤は両性として分類される。両性界面活性剤は、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、及びホスファチドを含む。
【0090】
医薬製品、製剤における及び乳剤における界面活性剤の用途が検討された(Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., New York, NY, 1988, 第285頁)。
【0091】
透過増強剤
一実施態様において、本発明は種々の透過増強剤を使用し、動物の皮膚への、核酸、特にオリゴヌクレオチドの効果的送達を達成する。大部分の薬物は、イオン化及び非イオン化形態両方で溶液に存在する。しかし、通常、脂溶性又は親油性薬物だけが容易に細胞膜を横断する。横断する膜が透過増強剤で処理される場合、非親油性薬物でさえ細胞膜を横断することができることを発見した。細胞膜を横断する非親油性薬物の拡散を補助することに加えて、透過増強剤はまた、親油性薬物の透過性を強化する。
【0092】
透過増強剤は5つの幅広いカテゴリー、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤及び非キレート剤非界面活性剤のうちの1つに属するとして分類され得る(Lee 他, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 第92頁)。透過増強剤の上述したクラスの各々を、より詳細に後述する。
【0093】
界面活性剤:本発明と関連して、界面活性剤(又は「表面活性剤」)が水溶液において溶解される場合、水溶液及び他の液体の間で溶液又は界面張力の表面張力を減らす化学物質実体である結果、粘膜を介したオリゴヌクレオチドの吸収を強化する。胆汁酸塩及び脂肪酸に加えて、これらの透過増強剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン-20-セチルエーテル(Lee 他, Critical
Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 第92頁); 及びペルフルオロケ
ミカルエマルション 、例えば FC-43(Takahashi 他, J. Pharm. Pharmacol., 1988, 40, 252)を含む。
【0094】
脂肪酸:透過増強剤として作用する種々の脂肪酸及びそれらの誘導体は、例えばオレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n-デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1-モノオレイル-.rac-グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1-
モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、C1-10アルキルエステル(例えばメチル、イソプロピル及びt-ブチル)ならびにそのモノ-及びジ-グリセリド(すなわちオレエート、ラウレート、カプレート、ミリスチレート、パルミチレート、ステアレート、リノレート等) (Lee 他, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 第92頁; Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1-33; El Hariri 他, J. Pharm. Pharmacol., 1992, 44, 651-654)を含む。
【0095】
胆汁酸塩:胆汁の生理的役割は、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進を含む(Brunton, 38章in: Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9版., Hardman 他 Eds. McGraw-Hill, N.Y., 1996, 934-935頁)。種々の天然胆汁酸塩及
びそれらの合成誘導体は、透過増強剤として作用する。したがって、用語「胆汁酸塩」は、天然に存在する胆汁の成分のいずれか、ならびにそれらの合成誘導体のいずれかを含む。本発明の胆汁酸塩は、例えばコール酸(又はその薬学的に許容できるナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリココール酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(POE)を含む(Lee 他, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 第92頁; Swinyard, 39章In: Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版., Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990, pages 782-783; Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1-33; Yamamoto 他, J. Pharm. Exp. Ther., 1992, 263, 25; Yamashita 他, J. Pharm. Sci., 1990, 79, 579-583)。
【0096】
キレート剤:本発明と関連して使用されるキレート剤は、金属イオンを、それと複合体を形成することにより溶液から除去する化合物として定義することができ、その結果、粘膜によるオリゴヌクレオチドの吸収が強化される。本発明の透過増強剤としての用途に関して、キレート剤は、ほとんどの特徴化されたDNAヌクレアーゼが触媒のために二価金属
を必要とし、従ってキレート剤により阻害されることから、さらにDNアーゼ阻害剤としても役立つ利点を有する(Jarrett, J. Chromatogr., 1993,618, 315-339)。本発明のキレート剤は、二ナトリウム、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えばサリチル酸ナトリウム、5-メトキシサリチレート及びホモバニレート)、コラーゲンのN-アシル誘導体、ラウレス-9、及びβ-ジケトンのN-アミノアシル誘導体(エナミン)を含むが、これに限定されるものではない(Lee 他, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 第92頁; Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1-33; Buur 他, J. Control Rel., 1990, 14, 43-51)。
【0097】
非キレート化非界面活性剤:ここで使用される非キレート化非界面活性、透過増強化合物は、キレート剤又は界面活性剤として微々たる活性を示すが、それにもかかわらず消化粘膜によるオリゴヌクレオチドの吸収を強化する化合物として定義され得る(Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1-33)。透過増強剤のこのクラスは、例えば不飽和環状尿素、1-アルキル-及び1-アルケニルアザシクロ-アルカノン誘導体(Lee 他, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991,
第92頁);及び非ステロイド系消炎薬、例えばジクロフェナクナトリウム、インドメタシ
ン及びフェニルブタゾンを含む(Yamashita 他, J. Pharm. Pharmacol., 1987, 39, 621-626)。
【0098】
細胞レベルでオリゴヌクレオチドの取込みを強化する薬剤もまた、本発明の医薬及びその他の組成物に添加され得る。例えば、カチオン性脂質、例えばリポフェクチン(Junichi他, 米国特許番号5,705, 188)、カチオングリセリン誘導体、及びポリカチオン性分子、例えばポリリシン(Lollo 他 , PCT Application WO 97/30731)もまた、オリゴヌクレオチドの細胞取込みを強化することが公知である。
【0099】
他の薬剤は、投与された核酸、例えばエチレングリコール及びプロピレングリコールのようなグリコール、2-ピロールのようなピロール、アゾン、ならびにテルペン、例えばリモネン及びメントンの透過を強化するために利用され得る。
【0100】
担体
本発明の特定の組成物はまた、製剤中に担体化合物を取り入れる。本明細書中で使用される「担体化合物」又は「担体」は、核酸又はその類似体をいい、これは不活性であるが(すなわち、それ自体は生物学的活性を有さないが)、例えば生物学的に活性な核酸を分解するか又は循環からのその除去を促進することによる生物学的活性を有する核酸の生物学的利用能を低減させるインビボでの過程により、核酸として認識される。核酸及び担体化合物の同時投与は、一般的に後者の物質の過剰投与を伴って、おそらく担体化合物と核酸との間の共通の受容体に対する競合により、肝臓、腎臓又は他の外部循環の貯蔵部(extracirculatory reservoir)で回収される核酸の量の実質的な減少を生じ得る。例えば、肝臓組織における部分的なホスホロチオネートオリゴヌクレオチドの回収は、それがポリイノシン酸、硫酸デキストラン、ポリシチジン酸(polycytidic acid)又は4-アセトアミド-4'イソチオシアノ-スチルベン-2,2'ジスルホン酸と同時投与される場合、減少し得る(Miyao 他, Antisense Res. Dev., 1995, 5, 115-121; Takakura 他, Antisense & Nucl. Acid Drug Dev., 1996, 6, 177-183)。
【0101】
添加剤
担体化合物に対して、「医薬担体」又は「賦形剤」は、薬学的に許容できる溶剤、沈澱防止剤又は1つ又はそれ以上の核酸を動物に送達するための他の任意の薬理学的に不活発な賦形剤である。賦形剤は液体又は固体でもよく、そしてそれは核酸及び所定の医薬組成物の他の成分と組み合わせた場合、所望のバルク、硬さ等を提供するように、考慮した計画的な投与方法と共に選択される。典型的な医薬担体は、結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等);充填剤(例えば、ラクトース及び他の糖、微結晶性セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリラート又はリン酸水素カルシウム等);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属、水素化した植物油、トウモロコシデンプン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等);崩壊剤(例えばデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプン等);及び湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム等)を含むが、これに限定されるものではない。
【0102】
核酸と有害な化学反応をしない非−非経口投与に適当な薬学的に許容できる有機又は無機的添加剤もまた、本発明の組成物を処方するために使用され得る。適当な薬学的に許容できる担体は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0103】
核酸の局所投与のための製剤は、滅菌及び非滅菌水溶液、一般的な溶剤、例えばアルコールの非水溶液、又は液体又は固体オイルベースの核酸の溶液を含み得る。溶液はまた、緩衝剤、希釈剤及び他の適当な添加剤を含んでもよい。核酸と有害な化学反応をしない非-非経口投与に適した薬学的に許容できる有機また無機添加剤が使用され得る。
【0104】
適当な薬学的に許容できる添加剤は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0105】
他の成分
本発明の組成物はさらに、当該分野で確認された使用基準において医薬組成物に従来見られる他の補助成分を含み得る。したがって、例えば、組成物は追加的な、適合性の薬学的に活性な物質、例えば止痒剤、収斂剤、局所麻酔剤又は抗炎症性薬剤を含んでもよく、又は本発明の組成物の種々の剤形を物理的に処方するために有用な付加的な物質、例えば色素、香料、保存料、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤を含み得る。しかし、添加される場合そのような物質は、過度に本発明の組成物の成分の生物学的活性を干渉すべきでない。製剤は滅菌することができ、そして所望の場合、製剤の核酸と有害な相互作用をしない補助薬剤、例えば滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、香料及び/又は芳香性物質などと混合し得る。
【0106】
水性懸濁液は、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、懸濁液の粘性を増加させる物質を含んでもよい。懸濁液はまた、安定剤を含んでもよい。
【0107】
本発明の特定の実施態様は、(a) 1つ又はそれ以上のアンチセンス化合物及び(b)非
アンチセンスメカニズムによって機能する1つ又はそれ以上の他の化学療法剤を含んでいる医薬組成物を提供する。そのような化学療法剤の例は、抗癌薬、例えばダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ナイトロジェンマスタード、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、6‐メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン(CA)、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(5-FUdR)、メトトレキセート(MTX)、コルヒチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン及びジエチルスチルベストロール(DES)を含むが、これに限定されるものではない。通常、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 15版., Berkow 他, eds., 1987, Rahway, N.J., 1206-1228頁を参照。非ステロイド性の抗炎症性薬及びコルチコステロイドを含むがこれに限らない抗炎症薬、ならびにリビビリン、ビダラビン、アシクロビル及びガンシクロビルを含むがこれらに限らない抗ウイルス薬もまた、本発明の組成物に組み合わせることができる。通常、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 15版., Berkow 他, eds., 1987, Rahway, N.J., それぞれ第2499-2506及び46-49を参照。他の非アンチセンス化学療法剤もまた、本発明の範囲内である。2つ又はそれ以上の組み合わされた化合物は、一緒に又は連続して使用してもよい。
【0108】
関連した他の実施態様において、本発明の組成物は、第1の核酸に標的化される、1つ又はそれ以上のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、及び第2の核酸標的に標
的化される1つ又はそれ以上の追加的なアンチセンス化合物を含んでもよい。アンチセンス化合物の多数の例は、従来技術において公知である。2つ又はそれ以上の組み合わされた化合物は、一緒に又は連続して使用してもよい。
【0109】
治療的組成物の処方及びそれらの後の投与は当業者の技術の範囲内であると考えられる。投薬は、数日から数カ月まで続く治療の経過と共に、治療される疾患状態のひどさ及び反応に依存するか、又は治癒がもたらされるか又は疾患状態の減少が達成されるまでである。最適な投薬スケジュールは、患者の身体の薬物蓄積の測定から算出され得る。当業者は容易に最適投薬量、投薬方法及び繰返し率を決めることができる。最適投薬量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的な効力に従い変化させることができ、そして一般にインビトロ及びインビボの動物モデルにおいて有効であることがわかったEC50に基づいて見積もられ得る。一般に、投薬量は体重1kgあたり0.01μg〜100gであり、そして毎日、毎週、毎月もしくは毎年又は2〜20年ごとに一度でも与えることができる。当業者は、体液または組織中の薬物の測定された滞流時間及び濃度に基づいて、投与の繰返し率を容易に見積もることができる。好結果の治療に続いて、患者に疾患状態の再発を防ぐために維持療法を受けさせることが望ましく、そこにおいてオリゴヌクレオチドが、体重1kgあたり0.01μg〜100gの範囲で、毎日1回又はそれ以上〜20年ごとに1度の範囲の維持用量で投与される。
【0110】
本発明が特定のその好ましい実施態様に従って特性と共に記載されるが、以下の実施例は本発明を例示することにだけに役立ち、そして本発明を制限することを意図しない。
【実施例】
【0111】
実施例1
オリゴヌクレオチド合成のためのヌクレオシドホスホロアミダイト
デオキシ及び2'-アルコキシアミダイト
2'-デオキシ及び2'-メトキシβ-シアノエチルジイソプロピルホスホロアミダイトを商
業用ソースから入手することができる (例えばChemgenes, Needham Mass.又はGlen Research, Inc. Sterling Va)。他の2'-O-アルコキシ置換されたヌクレオシドアミダイトを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,506,351に記載されるように製造した。2'-アルコキシアミダイトを使用して合成されたオリゴヌクレオチドについて、テトラゾール及び塩基のパルス送達後の待ち時間工程を360秒増加させる以外は、未修飾オリゴヌクレオチドの標準的サイクルが利用される。
【0112】
5-メチル-2'-デオキシシチジン(5-Me-C)ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを、公開された方法に従って [Sanghvi他, Nucleic Acid Research, 1993, 21, 3197-3203]、市販のホスホロアミダイトを使用して (Glen Research, Sterling Va又はChemGenes, Needham MA)合成した。
【0113】
2'-フルオロアミダイト
2'-フルオロデオキシアデノシンアミダイト
2'-フルオロオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入される以前に記載された[Kawasaki他, J. Med. Chem., 1993, 36, 831-841]及び米国特許番号5,670,633と同様に合成した。簡単には、保護されたヌクレオシドN6-ベンゾイル-2'-デオキシ-2'-フルオロアデノシンを出発物質として市販の9-β-D-アラビノフラノシルアデニンを利用して、そして文献の手順を変更して2'-α-フルオロ原子を2'-β-トリチル基のSN2-置換によって導入することにより合成した。従って、N6-ベンゾイル-9-β-D-アラビノフラノシルアデニンを3',5'-ジテトラヒドロピラニル (THP)中間体として中程度の収量で選択的に保護した。THP及びN6-ベンゾイル基の脱保護を、標準的方法を用いて達成し、そして標準的方法を使用して5'-ジメトキシトリチル-(DMT)及び5'-DMT-3'-ホスホロアミダイト中間体を得た。
【0114】
2'-フルオロデオキシグアノシン
2'-デオキシ-2'-フルオログアノシンの合成を、出発物質としてテトライソプロピルジシロキサニル(TPDS)で保護された9-β-D-アラビノフラノシルグアニンを使用し、そして中間体ジイソブチリルアラビノフラノシルグアノシンに変換して達成した。TPDS基の脱保護の後、ヒドロキシル基をTHPにより保護し、ジイソブチリルジ-THP保護されたアラビノフラノシルグアニンを与えた。選択的O-脱アシル化及びトリフラート化の後、フッ化物で粗生成物を処理し、次いでTHP基を脱保護した。標準的な方法を使用して5'-DMT-及び5'-DMT-3'-ホスホロアミダイトを得た。
【0115】
2'-フルオロウリジン
2'-デオキシ-2'-フルオロウリジンの合成を、2,2'アンヒドロ-1-β-D-アラビノフラノシルウラシルを70%フッ化水素-ピリジンで処理する文献の手順の変更により達成した。標準的な手順を使用して5'-DMT及び5'-DMT-3'-ホスホロアミダイトを得た。
【0116】
2'-フルオロデオキシシチジン
2'-デオキシ-2'-フルオロシチジンを2'-デオキシ-2'-フルオロウリジンのアミノ化により合成し、引き続き選択的に保護し、N4-ベンゾイル-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジンを得た。標準的手順を使用して5'-DMT及び5'-DMT-3'ホスホロアミダイトを得た。
【0117】
2'-O-(2-メトキシエチル) 修飾アミダイト
2'-O-メトキシエチル-置換ヌクレオシドアミダイトを以下のように、あるいはMartin, P., Helvetica Chimica Acta, 1995, 78, 486-504の方法のように製造した。
【0118】
2,2'-アンヒドロ[1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウリジン
5-メチルウリジン (リボシルチミン、Yamasa, Choshi, Japanにより市販される) (72.0 g, 0.279 M)、ジフェニルカルボネート (90.0 g, 0.420 M)及び重炭酸ナトリウム(2.0 g, 0.024 M)をDMF (300 mL)に添加した。この混合物を攪拌しながら加熱還流し、発生した二酸化炭素気体を制御式の方法で放出させた。1時間後、やや暗色の溶液を減圧下で濃縮した。得られたシロップを撹拌しながらジエチルエーテル(2.5 L)に注いだ。生成物は粘性物質を形成した。エーテルを静かに注ぎ、そして残留物を最小量のメタノール (約400 mL)に溶解した。溶液を新しいエーテル(2.5 L)に注ぎ、固い粘性物質を得た。このエーテルを静かに注ぎ、そしてその粘性物質を真空オーブンで乾燥させ(60℃、1 mm Hg、24時間)、明黄褐色粉末に砕かれる固体を得た。物質をさらに別の反応のために使用した(又はさらにカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル(10-25%)中のメタノールの勾配を使用して精製し、白色固体を得ることができた)。
【0119】
2'-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン
2,2'-アンヒドロ-5-メチルウリジン (195 g, 0.81 M)、トリス(2-メトキシエチル)ボレート(231 g, 0.98 M)及び2-メトキシエタノール (1.2 L)を2 Lステンレススチール圧力容器に添加し、そして160℃の予熱された油浴に置いた。155-160℃で48時間加熱後、容器を開け、そして溶液を蒸発乾燥させ、そしてMeOH (200 mL)で磨砕した。この残留物を熱いアセトン(1 L)に懸濁した。不溶性の塩をろ過し、アセトン(150 mL)で洗浄し、そしてろ液を蒸発させた。この残留物 (280 g) をCH3CN (600 mL)中に溶解し、そして蒸発させた。シリカゲルカラム (3 kg)を0.5%Et3NHを含むCH2Cl2/アセトン/MeOH (20:5:3)中に詰めた。この残留物を CH2Cl2 (250 mL)中に溶解し、そしてカラムに充填する前にシリカ(150 g)に吸収させた。生成物を詰めた溶媒で溶出し、表題生成物を得た。さらに物質を、不純な画分について作業をやり直すことにより得ることができる。
【0120】
2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルウリジン
2'-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン (160 g, 0.506 M)をピリジン (250 mL)と共に同時に蒸発させ、そして乾燥させた残留物をピリジン (1.3 L)中に溶解した。ジメトキシトリチルクロリド (94.3 g, 0.278 M)の最初のアリコートを添加し、そして混合物を1時間室温で撹拌した。ジメトキシトリチルクロリド(94.3 g, 0.278 M)の第2のアリコートを添加し、そして反応物をさらに1時間撹拌した。次いでメタノール (170 mL)を添加して反応を止めた。溶媒を蒸発させ、そしてCH3CN (200 mL)で磨砕した。この残留物をCHCl (1.5 L)中に溶解し、そして飽和NaHCO3 2×500 mLで、及び飽和NaCl 2×500 mLで抽出した。この有機相をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、そして蒸発させた。この残留物を3.5 kgシリカゲルカラムにおいて、0-5%Et3NHを含むEtOAc/ヘキサン/アセトン (5:5:1)を詰め、溶出して精製した。純粋な画分を蒸発させ、表題生成物を得た。
【0121】
3'-O-アセチル-2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルウリジン
2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルウリジン (106 g, 0.167 M)、DMF/ピリジン (DMF 562 mL及びピリジン188 mLから製造された3:1混合物750 mL)及び酢酸無水物(24.38 mL, 0.258 M)を合わせ、そして室温で24時間撹拌した。反応をMeOHの添加でTLCサンプルをクエンチすることによりTLCでモニターした。TLCにより判断される反応の完了の際、MeOH (50 mL)を添加し、そして混合物を35℃で蒸発させた。この残留物をCHCl3 (800 mL)中に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム2×200 mLで、及び飽和NaCl 2×200 mLで抽出した。水層をCHCl3 200 mLで逆抽出した。合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして蒸発させて残留物を得た。この残留物を3.5 kgシリカゲルカラムにおいて精製し、EtOAc/ヘキサン(4:1)を用いて抽出した。純粋な生成物画分を蒸発させ、表題化合物を得た。
【0122】
3'-O-アセチル-2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチル-4-トリアゾー
ルウリジン
最初の溶液を、CH3CN (700 mL)中に3'-O-アセチル-2'-O-メトキシ- エチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルウリジン (96 g, 0.144 M)を溶解することにより製造し、そしてとっておいた。トリエチルアミン (189 mL, 1.44 M)をCH3CN (1 L)中のトリアゾール(90 g, 1.3 M)溶液に添加し、-5℃に冷却し、そしてオーバーヘッドスターラーを用いて0.5時間撹拌した。POC13を30分の時間をかけて0〜10℃に維持された溶液に撹拌しながら滴下し、そして得られた混合物をさらに2時間撹拌した。最初の溶液を45分の時間をかけて後者の溶液に滴下した。得られた反応混合物を冷室で一晩貯蔵した。塩を反応混合物からろ過し、そして溶液を蒸発させた。この残留物をEtOAc (1 L)中に溶解し、そして不溶性固体をろ過により除去した。ろ液をNaHCO3 1×300 mL及び飽和NaCl 2×300 mLで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。この残留物をEtOAcで磨砕し、表題化合物を得た。
【0123】
2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルシチジン
ジオキサン (500 mL)及びNH4OH (30 mL)中の3'-O-アセチル-2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5--メチル-4-トリアゾールウリジン (103 g, 0.141 M) 溶液を、室温で2時間撹拌した。ジオキサン溶液を蒸発させ、そしてこの残留物をMeOH (2×200 mL)と共沸した。この残留物をMeOH (300 mL)中に溶解し、そして2リットルステンレススチール圧力容器に移した。NH3気体で飽和されたMeOH (400 mL)を添加し、そしてその容器を100℃まで2時間加熱した(TLCは変換の完了を示した)。容器の内容物を乾燥蒸発させ、そしてこの残留物をEtOAc (500 mL)中に溶解し、そして飽和NaCl (200 mL)で一度洗浄した。有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させ、表題化合物を得た。
【0124】
N4-ベンゾイル-2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルシチジン
2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルシチジン(85 g, 0.134 M) をDMF (800 mL)中に溶解し、そして安息香酸無水物(37.2 g, 0.165 M)を撹拌しながら添加した。3時間撹拌後、TLCは反応が約95%完了したことを示した。溶媒を蒸発させ、そしてこの残留物をMeOH (200 mL)と共沸した。この残留物をCHCl3 (700 mL)中に溶解し、そして飽和NaHCO (2×300 mL)及び飽和NaCl (2×300 mL)で抽出し、MgSO4上で乾燥させ、そして蒸発させ、残留物を得た。この残留物を、溶出溶媒として0〜5%Et3NHを含むEtOAc/ヘキサン (1:1)を用いて1.5 kgシリカカラムにおけるクロマトグラフィーにかけた。純粋な生成物画分を蒸発させ、表題化合物を得た。
【0125】
N4-ベンゾイル-2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルシチジン-3'-アミダイト
N4-ベンゾイル-2'-O-メトキシエチル-5'-O-ジメトキシトリチル-5-メチルシチジン(74 g, 0.10 M)をCH2Cl2 (1 L)中に溶解した。テトラゾールジイソプロピルアミン (7.1 g)及び2-シアノエトキシ-テトラ(イソプロピル)ホスファイト(40.5 mL, 0.123 M)を撹拌しな
がら、窒素雰囲気下で添加した。得られた混合物を室温で20時間撹拌した (TLCは反応が95%完了したことを示した)。反応混合物を飽和NaHCO3 (1×300 mL)及び飽和NaCl (3×300 mL)で抽出した。水性の洗浄液をCH2Cl2 (300 mL)で逆抽出し、そして抽出物を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、そして濃縮した。得られた残留物を、溶出溶媒としてEtOAc/ヘキサン (3:1)を用いて1.5 kgシリカカラムにおけるクロマトグラフィーにかけた。純粋な画分を合わせ、表題化合物を得た。
【0126】
2'-O-(アミノオキシエチル) ヌクレオシドアミダイト及び2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル) ヌクレオシドアミダイト
2'-(ジメチルアミノオキシエトキシ) ヌクレオシドアミダイト
2'-(ジメチルアミノオキシエトキシ) ヌクレオシドアミダイト[また、2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル) ヌクレオシドアミダイトとして従来技術において公知]を以下の段落に記載されるように製造した。環外アミンをアデノシン及びシチジンの場合ベンゾイル部分で、そしてグアノシンの場合イソブチリルで保護する以外は、アデノシン、シチジン及びグアノシンヌクレオシドアミダイトをチミジン(5-メチルウリジン)と同様に製造した。
【0127】
5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-O2-2'-アンヒドロ-5-メチルウリジン
O2-2'-アンヒドロ-5-メチルウリジン (Pro. Bio. Sint., Varese, Italy, 100.0 g, 0.4'6 mmol)、ジメチルアミノピリジン (0.66 g, 0.013 eq, 0.0054 mmol)を、周囲温度でアルゴン雰囲気下、機械式撹拌により乾燥ピリジン (500 ml)中に溶解した。tert-ブチルジフェニルクロロシラン(125.8 g, 119.0 mL, 1.1 eq, 0.458 mmol)を一度に添加した。反応物を周囲温度で16時間撹拌した。TLC (Rf 0.22, 酢酸エチル)は反応の完了を示した。溶液を減圧下で濃縮し、濃厚な油状物を得た。これをジクロロメタン (1 L)及び飽和重炭酸ナトリウム (2×1 L)及びブライン(1 L)の間に分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、濃厚な油状物を得た。この油状物を酢酸エチル及びエチルエーテル(600 mL)の1:1混合物中に溶解し、そしてこの溶液を-10℃に冷却した。得られた結晶性生成物をろ過により回収し、エチルエーテル(3×200 mL) で洗浄し、そして乾燥させ (40℃, 1 mm Hg, 24時間)、白色固体を得た。
【0128】
5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-(2-ヒドロキシエチル)-5-メチルウリジン
2 Lステンレススチール撹拌されない圧力容器にテトラヒドロフラン (1.0 M, 2.0 eq, 622 mL)中のボランを添加した。換気フードにおいて、手動で撹拌しながら、エチレングリコール(350 mL, 過剰)を最初は水素気体の発生がおさまるまで慎重に添加した。5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-O2-2'アンヒドロ-5-メチルウリジン (149 g, 0.3'1 mol)及び重炭酸ナトリウム (0.074 g, 0.003 eq)を手動で撹拌しながら添加した。反応器を密閉し、そして内部温度が160℃に達するまで油浴で加熱し、次いで16時間維持した(圧力<100 psig)。反応容器を周囲温度まで冷却し、そして開けた。TLC (所望の生成物についてRf 0.67及びara-T副生成物についてRf 0.82, 酢酸エチル)は生成物への約70%の変換を示した。更なる副生成物の形成を避けるため、反応を止め、温水浴(40-100℃)中、減圧下 (10〜1 mm, Hg)で濃縮し、より極端な条件を用いてエチレングリコールを除去した。 [あるいは、一旦、低沸点溶媒を除去し、残った溶液を酢酸エチルと水との間に分配することができる。この生成物はその有機相中にある。] この残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。(2 kgシリカゲル、酢酸エチル-ヘキサン勾配 1:1〜4:1)。適当な画分を合わせ、取り除き、そして乾燥させ、出発物質が混入した白色のクリスプフォームとしての生成物、及び純粋な再利用できる出発物質を得た。
【0129】
2'-O-[(2-フタルイミドキシ(phthalimidoxy))エチル]-5'-t-ブチルジフェニルシリル-5-メチルウリジン
5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-(2-ヒドロキシエチル)-5-メチルウリジン(20 g, 36.98 mmol)をトリフェニルホスフィン (11.63 g, 44.36 mmol)及びN-ヒドロキシフタルイミド(7.24 g, 44.36 mmol)と混合した。次いで、高真空下、2日間、40℃においてP2O5上で乾燥させた。反応混合物をアルゴンでフラッシュし、そして乾燥THF (369.8 mL, Aldrich, 丈夫なシールボトル)を添加し、透明溶液を得た。ジエチル-アゾジカルボキシレート (6.98 mL, 44.36 mmol)を反応混合物に滴下して添加した。添加速度を、生じた深紅の呈色が次の一滴を添加する直前に消えるよう維持した。添加が完了した後、反応を4時間撹拌した。そのときまでには、TLCは反応を完了を示した (酢酸エチル:ヘキサン, 60:40)。溶媒を真空蒸発させた。得られた残留物をフラッシュカラムにおき、そして酢酸エチル:ヘキサン (60:40)で溶出し、白色泡状物として2'-O-([2-フタルイミドキシ)エチル]-5'-t-ブチルジフェニルシリル-5-メチルウリジンを得た。
【0130】
5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[(2-ホルムアドキシイミノオキシ)エチル]-5-
メチルウリジン
2'-O-([2-フタルイミドキシ)エチル]-5'-t-ブチルジフェニルシリル-5-メチルウリジン(3.1 g, 4.5 mmol) を乾燥CH2Cl2 (4.5 mL)中に溶解し、そしてメチルヒドラジン (300 mL, 4.64 mmol)を-10℃〜0℃で滴下して添加した。1時間後、混合物をろ過し、ろ液を氷冷CH2Cl2で洗浄し、そして合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、そして無水Na2SO4上で乾燥させた。この溶液を濃縮し、2'-O(アミノオキシエチル)チミジンを得て、次いでこれをMeOH (67.5 mL)中に溶解した。これにホルムアルデヒド(20%水溶液, w/w, 1.1 eq.)を添加し、そして得られた混合物を1時間撹拌した。溶媒を真空除去し;残留物をクロマトグラフィーにかけて白色泡状物として5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[(2-ホルムアドキシイミノオキシ)エチル]-5-メチルウリジンを得た。
【0131】
5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[N,N-ジメチルアミノオキシエチル]-5-メチル
ウリジン
5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[(2-ホルムアドキシイミノオキシ)エチル]-5-メチルウリジン (1.77 g, 3.12 mmol) を乾燥MeOH (30.6 mL)中の1M ピリジニウム p-トルエンスルホネート(PPTS) 溶液に溶解した。ナトリウムシアノボロヒドリド(0.39 g, 6.13 mmol)を、不活性雰囲気下、10℃でこの溶液に添加した。反応混合物を10℃で10分間撹拌した。その反応容器を氷浴から除去し、そして室温で2時間撹拌後、反応をTLC(CH2Cl2中の5%MeOH)によりモニターした。NaHCO3水溶液 (5%, 10 mL)を添加し、そして酢酸エチル(2×20 mL)で抽出した。酢酸エチル相を無水Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。残留物をMeOH (30.6 mL)中の1M PPTS溶液に溶解した。ホルムアルデヒド(20% w/w, 30 mL, 3.37 mmol)を添加し、そして反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を氷浴で10℃に冷やし、ナトリウムシアノボロヒドリド(0.39 g, 6.13 mmol) を添加し、そして反応混合物を10℃で10分間撹拌した。10分後、反応混合物を氷浴から除去し、そして室温で2時間撹拌した。反応混合物に、5%NaHCO3 (25 mL)溶液を添加し、そして酢酸エチル(2×25 mL)で抽出した。酢酸エチル層を無水Na2SO4上で乾燥させ、そして蒸発乾燥させた。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、CH2Cl2中の5%MeOHで溶出して精製し、白色泡状物として5'-O-tertブチルジフェニルシリル-2'-O-[N,N-ジメチルアミノオキシエチル]-5-メチルウリジンを得た。
【0132】
2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン
トリエチルアミントリヒドロフルオリド(3.91 mL, 24.0 mmol)を乾燥THF及びトリエチルアミン (1.67 mL, 12 mmol, 乾燥, KOH上で維持)中に溶解した。次いで、トリエチルアミン-2HFのこの混合物を5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[N,N-ジメチルアミノオキシエチル]-5-メチルウリジン (1.40 g, 2.4 mmol)に添加し、そして室温で24時間撹拌した。反応をTLCによりモニターした(CH2Cl2中の5%MeOH)。溶媒を真空除去し、そしてこの残留物をフラッシュカラムにおき、そしてCH2Cl2中の10%MeOHで溶出し、2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジンを得た。
【0133】
5'-O-DMT-2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン
2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン (750 mg, 2.17 mmol)を、高真空下、40℃でP2O5上で一晩乾燥させた。次いでそれを無水ピリジン (20 mL)と同時に蒸発させた。得られたこの残留物をアルゴン雰囲気下、ピリジン (11 mL)中に溶解した。4-ジメチルアミノピリジン (26.5 mg, 2.60 mmol)、4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(880 mg, 2.60 mmol)を混合物に添加し、そして反応混合物を出発物質全てが消えるまで室温で
撹拌した。ピリジンを真空除去し、そしてこの残留物をクロマトグラフィーにかけ、そしてCH2Cl2中の10%MeOH(数滴のピリジンを含む)で溶出し、5'-O-DMT-2'-0(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジンを得た。
【0134】
5'-O-DMT-2'-O-(2-N,N-ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン-3'-[(2-シアノ
エチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト]
5'-O-DMT-2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン (1.08 g, 1.67 mmol)をトルエン(20 mL)と同時蒸発させた。この残留物に、N,N-ジイソプロピルアミンテトラゾニド(0.29 g, 1.67 mmol)を添加し、そして高真空下、一晩、40℃において、P20上で乾燥させた。次いで、反応混合物を無水アセトニトリル (8.4 mL)中に溶解し、そして2-シアノエチル-N,N,N1,N1-テトライソプロピルホスホロアミダイト (2.12 mL, 6.08 mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で4時間、不活性雰囲気下で撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした(ヘキサン:酢酸エチル1:1)。溶媒を蒸発させ、次いでこの残留物を酢酸エチル(70 mL)中に溶解し、そして5%NaHCO3 (40 mL)水溶液で洗浄した。酢酸エチル層を無水Na2SO4上で乾燥させ、そして濃縮した。得られた残留物をクロマトグラフィーにかけ (溶出剤として酢酸エチル)、泡状物として5'-O-DMT-2'-O-(2-N,N-ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト]を得た。
【0135】
2'-(アミノオキシエトキシ) ヌクレオシドアミダイト
2'-(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト[また、2'-O-(アミノオキシエチル) ヌクレオシドアミダイトとして従来技術において公知]を以下の段落に記載されるように製造した。アデノシン、シチジン及びチミジンヌクレオシドアミダイトを同様に製造した。
【0136】
N2-イソブチリル-6-O-ジフェニルカルバモイル-2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン-3'-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミ
ダイト]
2'-O-アミノオキシエチルグアノシン類似体をジアミノプリンリボシドの選択的2'-O-アルキル化により得ることができる。マルチグラム量のジアミノプリンリボシドを、Schering AG (Berlin)から購入し、少量の3'-O-異性体と一緒に2'-O-(2-エチルアセチル) ジアミノプリンリボシドを提供することができる。2'-O-(2-エチルアセチル) ジアミノプリンリボシドを還元し、そしてアデノシンデアミナーゼによる処理により2'-O-(2エチルアセチル)グアノシンに変換することができる (McGee, D. P. C., Cook, P. D., Guinosso, C. J., WO 94/02501 A1 940203.)。標準的な保護手順により、還元して2-N-イソブチリル-6-O-ジフェニルカルバモイル-2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシンを提供し得る、2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン及び2-N-イソブチリル-6-O-ジフェニルカルバモイル-2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシンを得るはずである。既に述べたように、ヒドロキシル基をMitsunobu反応を介してN-ヒドロキシフタルイミドにより置換することができ、そして保護されたヌクレオシドを従来どおり亜リン酸化し(phosphitylated)、2-N-イソブチリル-6-O-ジフェニルカルバモイル-2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン-3'-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトを得た。
【0137】
2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ (2'-DMAEOE) ヌクレオシドアミダイト
2'-ジメチルアミノエトキシエトキシヌクレオシドアミダイト(また、2'-O-ジメチルア
ミノエトキシエチル、すなわち、2'O-CH2-O-CH2-N-(CH2)2又は2'-DMAEOE ヌクレオシドアミダイトとしても従来技術で公知) を以下のように製造した。他のヌクレオシドアミダイトを同様に製造した。
【0138】
2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル]-5-メチルウリジン
2[2-(ジメチルアミノ)エトキシルエタノール (Aldrich, 6.66 g, 50 mmol)を、100 mL
ボンベにおいてゆっくりテトラヒドロフラン (1 M, 10 mL, 10 mmol)中のボラン溶液に撹拌しながら添加した。固体が溶解すると水素気体が発生した。O2-, 2'-アンヒドロ-5-メチルウリジン (1.2 g, 5 mmol)、及び重炭酸ナトリウム(2.5 mg)を添加し、そしてボンベを密閉し、油浴におき、そして26時間155℃に加熱した。ボンベを室温に冷却し、そして
開けた。粗製溶液を濃縮し、そしてこの残留物を水 (200 mL)とヘキサン(200 mL)との間
に分割した。過剰のフェノールをヘキサン層に抽出した。水層を酢酸エチル(3×200 mL)
で抽出し、そして合わせた有機層を一度水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮した。この残留物を、溶出剤としてメタノール/メチレンクロリド1:20(こ
れは2%トリエチルアミンを含む)を使用し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーに
かけた。カラム画分を濃縮すると、無色固体が形成され、これを回収して白色固体として表題化合物を得た。
【0139】
5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル)]-5-メチルウリジン
無水ピリジン (8 mL)中の2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル)1-5-メチル
ウリジン 0.5 g (1.3 mmol)に、トリエチルアミン (0.36 mL)及びジメトキシトリチルク
ロリド(DMT-Cl, 0.87 g, 2 eq.)を添加し、そして1時間撹拌した。反応混合物を水(200 mL)に注ぎ、そしてCH2Cl2 (2×200 mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2層を飽和NaHCO3溶液、引き続き飽和NaCl溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、MeOH: CH2Cl2:Et3N (20:1, v/v, 1%トリエチルアミンを含む)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより、表題化合物を得た。
【0140】
5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル)]-5-メチルウリジン-3'-O-(シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイト
ジイソプロピルアミノテトラゾリド(0.6 g)及び2-シアノエトキシN,N-ジイソプロピル
ホスホロアミダイト (1.1 mL, 2 eq.)をアルゴン雰囲気下、CH2Cl2 (20 mL)中に溶解された5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル)]-5-メチルウリジン (2.17 g, 3 mmol) 溶液に添加した。反応混合物を一晩撹拌し、そして溶媒を蒸発させた。得られた残留物を溶出剤として酢酸エチルを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を得た。
【0141】
実施例2
オリゴヌクレオチド合成
未置換及び置換ホスホジエステル(P=O)オリゴヌクレオチドを、ヨウ素による酸化を伴う標準的なホスホロアミダイト化学を用いた自動DNA合成器(Applied Biosystems model 380B)により合成した。
ホスホロチオエート(P=S)を、亜リン酸結合の段階的硫化のためにアセトニトリル中の3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド0.2 M溶液により標準的な酸化ボトルを
置換する以外は、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドと同様に合成した。硫化の待ち時間工程を68秒まで増加させ、そしてキャッピング工程を行った。CPGカラムから切断し、そして55℃で濃水酸化アンモニウムにおいて脱ブロック化(18時間)した後、オリゴヌクレオチドを、エタノール2.5ボリュームで2回、0.5 M NaCl溶液から沈殿させることにより精製した。ホスフィネートオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入される米国特許5,508,270に記載されるとおり製造した。
アルキルホスホナートオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号4,469,863に記載されるとおり製造した。
3'-デオキシ-3'-メチレンホスホナートオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中
に加入される米国特許番号5,610,289又は5,625,050に記載されるとおり製造した。
ホスホロアミダイトリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,256,775又は米国特許番号5,366,878に記載されるとおり製造した。
アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入されるWO 94/17093及びWO 94/02499に記載されるとおり製造した。
3'-デオキシ-3'-アミノホスホロアミダートオリゴヌクレオチドを、参照により本明細
書中に加入される米国特許番号5,476,925に記載されるとおり製造した。 ホスホトリエ
ステルオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,023,243に記載されるとおり製造した。
ボラノホスフェートオリゴヌクレオチドを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,130,302及び5,177,198の両方に記載されるとおり製造した。
【0142】
実施例3
オリゴヌクレオシド合成
MMI結合オリゴヌクレオシドとも識別されるメチレンメチルイミノ結合オリゴヌクレオ
シド、MDH結合オリゴヌクレオシドとも識別されるメチレンジメチルヒドラゾ結合オリゴ
ヌクレオシド、及びアミド-3結合オリゴヌクレオシドとも識別されるメチレンカルボニルアミノ結合オリゴヌクレオシド、及びアミド-4結合オリゴヌクレオシドとも識別されるメチレンアミノカルボニル結合オリゴヌクレオシド、ならびに例えば代替のMMI及びP=O又はP=S結合を有する混合したバックボーンの化合物を、全てが参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,378,825; 5,386,023; 5,489,677; 5,602,240;及び5,610,289に記載されるとおり製造した。
ホルムアセタール及びチオホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,264,562及び5,264,564に記載されるとおり製造した。
エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドを、参照により本明細書中に加入されるに記載される米国特許番号5,223,618のとおり製造した。
【0143】
実施例4
PNA合成
ペプチド核酸 (PNAs)を、Peptide Nucleic Acid(PNA): Synthesis, Properties and Potential Applications, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 1996, 4, 523において参照される任意の種々の手順に従って製造した。それらはまた、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,539,082; 5,700,922;及び5,719,262に従って製造し得る。
【0144】
実施例5
キメラオリゴヌクレオチドの合成
本発明のキメラオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド又は混合オリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドは、いくつかの異なるタイプであることができる。これらは、結合されたヌクレオシドの「ギャップ」セグメントが、結合されたヌクレオシドの5'と3'「ウィング」セグメントの間に位置する第一のタイプ、及び「ギャップ」セグメントが、オリゴマー化合物の3'又は5'末端のいずれかに位置する第二の「オープンエンド(open end)」タイプを含む。第一のタイプのオリゴヌクレオチドはまた、「ギャップマー(gapmer)」又はギャップオリゴヌクレオチド(gapped oligonucleotide)としても従来技術で公知である。第二のタイプのオリゴヌクレオチドはまた、「ヘミマー(hemimer)」又は「ウィングマー(wingmer)」としても従来技術で公知である。
【0145】
[2'-O-Me]--[2'-デオキシ]--[2'-O-Me]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
2'-O-アルキルホスホロチオエート及び2'-デオキシホスホロチオエートオリゴヌクレオチドセグメントを有するキメラオリゴヌクレオチドを、上記のようにApplied Biosystems自動DNA合成器380Bモデルを用いて合成した。オリゴヌクレオチドをその自動合成器及びDNA部分については2'-デオキシ-5'-ジメトキシトリチル-3'-O-ホスホロアミダイト及び5'
及び3'ウィングについては5'-ジメトキシトリチル-2'-O-メチル-3'-O-ホスホロアミダイ
トを用いて合成た。この標準的合成サイクルを、RNAについては4回及び2'-O-メチルにつ
いては2回繰り返されるテトラゾール及び塩基の送達後の待ち時間工程を600秒まで増加させることにより改変した。十分に保護されたオリゴヌクレオチドを支持体から切除し、そして一晩、室温で、3:1アンモニア/エタノール中でリン酸基を脱保護し、次いで凍結乾
燥した。次いで、24時間、室温で、メタノール性アンモニア中で処理を行い、全ての塩基を脱保護し、そしてサンプルを再び凍結乾燥した。このペレットを24時間、室温で、THF
中の1 M TBAFに再懸濁し、2’位を脱保護した。次いで、反応を1M TEAAでクエンチし、次いでサンプルを、G25サイズ排除カラムで脱塩する前に回転真空(rotovac)により1/2体
積まで減少させた。次いで回収されたオリゴをキャピラリー電気泳動及び質量分析により、収率及び純度について分光光度法で分析した。
【0146】
[2'-O-(2-メトキシエチル)]--[2'-デオキシ]--[2'-O-(メトキシエチル)]キメラオリゴヌ
クレオチド
[2'-O-(2-メトキシエチル)]--[2'-デオキシ]-[-2'-O-(メトキシエチル)]キメラホスホ
ロチオエートオリゴヌクレオチを、2'-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上
記手順により、2'-O-メチルアミダイトの代わりに2'-O-(メトキシエチル)アミダイトを用いて製造した。
【0147】
[2'-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル]--[2'-デオキシホスホロチオエート]--[2'-O--(2-メトキシエチル)]ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチド
[2'-O-(2-メトキシエチルホスホジエステル]--[2'-デオキシ ホスホロチオエート]--[2'-O-(メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチドを、2'-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上記手順により、2'-O-メチルアミダイトの代わりに2'-O-(メトキシエチル)アミダイトを用い、ヨウ素により酸化してキメラ構造のウィング部分内にホスホジエステルヌクレオチド間結合を生成し、そして3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン1,1ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用して硫化しセンターギャップのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を生成して、製造した。
他のキメラオリゴヌクレオチド,キメラオリゴヌクレオシド及び混合キメラオリゴヌク
レオチド/オリゴヌクレオシドを、参照により本明細書中に加入される米国特許番号5,623,065に従って合成した。
【0148】
実施例6
オリゴヌクレオチド単離
制御された細孔ガラスカラム(Applied Biosystems)から切断し、そして濃水酸化アンモニウムにおいて55℃、18時間で脱ブロック化した後、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオシドを2.5容積エタノールによる0.5 M NaClから2回沈殿させることにより精製した。合成されたオリゴヌクレオチドを変性ゲルのポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析し、そして少なくとも85%の全長物質であることを判断した。合成で得られた相対量のホスホロチオエート及びホスホジエステル結合を"P核磁気共鳴分光学により定期的にチェックし、そしていくつかの研究のためにオリゴヌクレオチドをChiang 他, J. Biol. Chem. 1991, 266, 18162-18171に記載されるようにHPLCにより精製した。
【0149】
実施例7
オリゴヌクレオチド合成−96ウェルプレートフォーマット
オリゴヌクレオチドを、標準96ウェルフォーマットに同時に96配列を集めることが可能な自動合成器で、固相P(III) ホスホロアミダイト化学により合成した。ホスホジエステ
ルヌクレオチド間結合を水性ヨウ素による酸化により得た。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を無水アセトニトリル中の3,H-1,2 ベンゾジチオール-3-オン 1,1ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用した硫化により生成した。標準塩基保護されたβ-シアノエチルジイソプロピルホスホロアミダイトを商業的供給元(例えばPE-Applied Biosystems, Foster City, CA,又はPharmacia, Piscataway, NJ)から購入できる。非標準的ヌクレオシドを公知の文献又は特許方法により合成した。それらを塩基保護されたβシアノエチルジイソプロピル ホスホロアミダイトとして利用した。
オリゴヌクレオチドを支持体から切断し、そして高温(55-60℃)で12-16時間、濃NH4OH
を用いて脱保護し、次いで放出された生成物を真空乾燥した。次いで乾燥した生成物を滅菌水で再懸濁してマスタープレートを得て、次いでこのプレートから全ての分析用試験プ
レートサンプルをロボットピペッターを利用して希釈した。
【0150】
実施例8
オリゴヌクレオチド分析--96ウェルプレートフォーマット
各ウェルのオリゴヌクレオチド濃度を、サンプルの希釈率及びUV吸光光度法により評価した。個々の生成物の全長の保全は、キャピラリ電気泳動(CE)によって、96ウェルフォーマット(Beckman P/ACETM MDQ)においてか又は個々に調製されたサンプルについて市販のCE装置においてのいずれかで評価される(例えばBeckman P/ACETM 5000, ABI 270)。塩基及びバックボーン組成は、エレクトロスプレー質量分析を利用して化合物の質量分析によって確認した。全ての検定試験プレートは、シングル及びマルチのチャンネルロボットピペッターを使用してマスタープレートから希釈した。プレート上の化合物の少なくとも85%が少なくとも85%の全長である場合、プレートは許容できると判断した。
【0151】
実施例9
細胞培養及びオリゴヌクレオチド治療
標的核酸が測定できるレベルにあるとの条件で、標的核酸発現に対するアンチセンス化合物の作用を、任意の種々の細胞型において試験した。このことは通常、例えばPCR又は
ノーザンブロット分析を使用して決定し得る。以下の6つの細胞型が図示するために提供されるが、他の細胞型は、選択される細胞型において標的が発現される場合に通常使用され得る。このことは従来技術の慣例の方法、例えばノーザンブロット分析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ又はRT-PCRにより容易に測定され得る。
【0152】
T-24細胞:
ヒト移行細胞膀胱癌細胞系T-24は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Manassas, VA)から得られる。T-24細胞は、通常、10%のウシ胎仔血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)、1mLあたりペニシリン100単位、及び1mLあたりストレプトマイシン100マイクログラム(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)が補充された完全McCoy's 5A基本培地(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)で培養される。細胞は、通常、それらが90%のコンフルエンスに到達した場合、トリプシン処理及び希釈により継代する。細胞は、RT-PCR分析に用いられる7000細胞/ウェルの密度で96穴プレートに播種される(Falcon-Primaria #3872) 。
ノーザンブロッティング又は他の分析のために、細胞は100mm又は他の標準組織培養プ
レート上へ播種され、そして同様に培地及びオリゴヌクレオチドの適当な容量を用いて処理されてもよい。
【0153】
A549細胞:
ヒト肺臓癌細胞系A549は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Manassas, VA)から得ることができる。A549細胞は、通常、10%のウシ胎仔血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)、1mLあたりペニシリン100単位、及び1mLあたりストレプトマイシン100マイクログラム(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)が補充されたDMEM基本培地(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD) で培養される。細胞は、通常、それらが90%のコンフルエンスに到達した場合、トリプシン処理及び希釈により継代する。
【0154】
NHDF細胞:
ヒト新生児真皮繊維芽細胞(NHDF)は、Clonetics Corporation(Walkersville MD)から得ることができる。NHDFは、通常、供給元により推奨されるように補充された繊維芽細胞増殖培地(Clonetics Corporation, Walkersville MD)に維持される。細胞は、供給元によって推奨されるように多くとも10継代まで維持される。
【0155】
HEK細胞:
ヒト胚ケラチノサイト(HEK)は、Clonetics Corporation(Walkersville MD)から得
ることができる。HEKは、通常、供給元により推奨されるように処方されたケラチノサイ
ト増殖培地(Clonetics Corporation, Walkersville MD) に維持される。細胞は、供給元
によって推奨されるように多くとも10継代まで維持される。
【0156】
MCF-7細胞:
ヒト胸部癌細胞系MCF-7は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Manassas, VA)から得られる。MCF-7細胞は、通常、10%のウシ胎仔血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)が補充されたDMEM低グルコース(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD) で培養される。細胞は、通常、それらが90%のコンフルエンスに到達した場合、トリプシン処理及び希釈により継代する。細胞は、RT-PCR分析に用いるため7000細胞/ウェルの密度で96穴プレート (Falcon-Primaria #3872) に播種される。
ノーザンブロッティング又は他の分析のために、細胞は、培地及びオリゴヌクレオチドの適当な容量を用いて、100mm又は他の標準組織培養プレート上へ播種され、そして同様
に処理されてもよい。
【0157】
LA4細胞:
マウス肺臓上皮細胞系列LA4は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Manassas, VA)から得られる。LA4細胞は、通常、15%のウシ胎仔血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)が補充されたF12K培地(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)
で培養される。細胞は、通常、それらが90%のコンフルエンスに到達した場合、トリプシン処理及び希釈により継代する。細胞は、RT-PCR分析に用いるため3000-6000細胞/ウェ
ルの密度で96穴プレート(Falcon-Primaria #3872)に播種される。
ノーザンブロッティング又は他の分析のために、細胞は、培地及びオリゴヌクレオチドの適当な容量を用いて、100mm又は他の標準組織培養プレート上へ播種され、そして同様
に処理されてもよい。
【0158】
アンチセンス化合物による処理:
細胞が80%のコンフルエンスに達した場合、それらをオリゴヌクレオチドにより処理する。96穴プレートにおける細胞増殖のために、ウェルを一度、200μL OPTI-MEMTM-1 を減じた血清培地(Gibco BRL) で洗浄し、次いで3.75μg/mL LIPOFECTINTMを含むOPTI-MEMTM-1 130μL (Gibco BRL) 及び所望の濃度のオリゴヌクレオチドで処理する。処理の4-7時間後、培地を新しい培地に交換する。細胞をオリゴヌクレオチド処理後16-24時間で回収
する。
使用されるオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞系により変化する。特定の細胞系に対して最適なオリゴヌクレオチド濃度を決定するために、細胞を、ある濃度範囲の陽性コントロールのオリゴヌクレオチドで処理する。
【0159】
実施例10
mPGES-1発現のオリゴヌクレオチド阻害の分析
mPGES-1発現のアンチセンス調節が、公知のさまざまな方法で検定され得る。例えば、mPGES-1mRNAレベルが、例えばノーザンブロット分析、競合ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR
)又はリアルタイムPCR(RT-PCR)により定量され得る。リアルタイム定量的PCRが目下のところ好ましい。RNA分析は、総細胞RNA又はポリ(A) + mRNAに関して実行され得る。RNA
単離の方法は、例えばAusubel, F. M. 他, Current Protocols in Molecular Biology, 1巻, 4.1.1-4.2.9頁及び4.5.1-4.5.3頁, John Wiley & Sons, Inc., 1993において教示される。ノーザンブロット分析は従来技術において常用され、そして例えば、Ausubel, F. M. 他, Current Protocols in Molecular Biology, 1巻, 4.2.1-4.2.9頁, John Wiley & Sons, Inc., 1996中で教示される。リアルタイム定量的PCRは、PE-Applied Biosystems,
Foster City, CAから入手されそして製造業者の指示に従って使用される市販のABI PRISMTM 7700 Sequence Detection Systemを使用して都合よく達成され得る。定量的PCR分析の前に、測定される標的遺伝子に特異的なプライマ-プローブセットを、GAPDH増幅反応と「多重化(multiplex)」するそれらの能力について評価する。多重化において、標的遺伝子及び内部標準遺伝子GAPDH両方を、単一のサンプルで同時に増幅する。この分析において、未処理の細胞から単離されるmRNAが連続希釈される。各々の希釈は、GAPDHだけ、標的遺伝子だけ(「一重化(single-plexing)」)、又は両方(多重化)に特異的なプライマ-プローブセットの存在下で増幅される。PCR増幅に続いて、希釈の関数としてのGAPDH及び標的mRNAシグナルの標準曲線が、一重化及び多重化サンプルの両方から生成される。多重化サンプルから生成されるGAPDH及び標的シグナルの傾き及び相関係数の両方が、一重化サンプルから生成されるそれらの対応する値の10%内に入る場合、その標的に特異的なプライマ-プローブセットは多重化可能(multiplexable)であると考えられる。PCRの他の方法もまた公知技術である。
【0160】
mPGES-1のタンパク質レベルは、周知技術の様々な方法、例えば免疫沈降、ウエスタン
ブロット分析(イムノブロッティング)、ELISA又は蛍光活性化細胞選別(FACS)で定量化され得る。mPGES-1に指向される抗体を、様々な供与源、例えば抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation, Birmingham, MI)から同定及び獲得することができ、又は普通抗体生成方法を経て製造され得る。ポリクローナル抗血清の製造方法は、例えばAusubel, F. M. 他, Current Protocols in Molecular Biology, 2巻, 11.12.1-11.12.9頁, John Wiley & Sons, Inc., 1997に教示される。モノクローン抗体の製造方法は、例えばAusubel, F. M.他, Current Protocols in Molecular Biology, 2巻, 11.4.1-11.11.5頁, John Wiley Sons, Inc., 1997に教示される。
【0161】
免疫沈降方法は従来技術において標準的であり、そして例えばAusubel, F. M. 他., Current Protocols in Molecular Biology, 2巻, 10.16.110.16.11頁, John Wiley & Sons, Inc., 1998で見つけられる。ウエスタンブロット(免疫ブロット)分析は従来技術において標準的であり、そして例えばAusubel, F. M. 他, Current Protocols in Molecular Biology, 2巻, 10.8.1-10.8.21頁, John Wiley Sons, Inc., 1997で見つけられる。酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)は従来技術において標準的であり、そして例えばAusubel, F. M. 他, Current Protocols in Molecular Biology, 2巻, 11.2.1-11.2.22頁, John Wiley & Sons, Inc., 1991で見つけられる。
【0162】
実施例11
ポリ(A) + mRNA単離
ポリ(A) + mRNAをMiura 他, Clin. Chem., 1996, 42, 1758-1764に従って単離した。ポリ(A) + mRNA単離のための他の方法は、例えばAusubel, F. M. 他, Current Protocols in Molecular Biology, 1巻, 4.5.1-4.5.3頁, John Wiley & Sons, Inc., 1993に教示される。簡単には、96穴プレート上で増殖される細胞について、増殖培地をその細胞から除去し、そして各ウェルを冷PBS 200μL で洗浄する。溶解緩衝液60μL(10mM Tris- HC1、pH 7.6、 1 mM EDTA、0.5 M NaCl、0.5%NP-40、20 mMバナジル-リボヌクレオシド複合体)を各ウェルに添加し、そのプレートを穏やかに攪拌し、次いで室温で5分間インキュベートした。溶解物55μLをオリゴd(T)コーティング96穴プレートへ移した(AGCT Inc. , Irvine CA)。プレートを室温で60分間インキュベートし、洗浄緩衝液200μL (10 mM Tris-HCl pH 7.6、1 mM EDTA、0.3 M NaCl)で3回洗浄した。最後の洗浄の後、プレートをペーパータオルに吸い取らせ、過剰な洗浄緩衝液を取り除き、そして5分間空気乾燥させた。70℃に予熱された溶出緩衝液60pL(5mM Tris-HCl pH 7.6)を各ウェルに添加し、そのプレートを90℃のホットプレート上で5分間インキュベートし、そして次いで溶出液を新しい96穴プレートに移した。
100mm又は他の標準プレート上で増殖させた細胞を、全ての溶液の適当な容量を使用し
て同様に処理した。
【0163】
実施例12
総RNA単離
総RNAを、Qiagen Inc. (Valencia CA)から購入したRNEASY96TMキットを用い、製造業者の推奨する手順に従って単離した。簡単には、96穴プレート上で増殖される細胞について、増殖培地をその細胞から除去し、そして各ウェルを冷PBS 200μlで洗浄した。緩衝液RLT100μLを各ウェルに添加し、そしてプレートを激しく20秒間攪拌した。次いで、70%エタノール100μlを各ウェルに添加し、そしてその内容物を上下に3回ピペッティングすることにより攪拌した。次いで、サンプルを、廃棄物収集トレイを付けられかつ負圧源に取り付けられたQIAVACTMマニホールドに取り付けられたRNEASY96TMウェルプレートに移した。減圧に15秒間おいた。緩衝液RW1 1mLをRNEASY96TMプレートの各ウェルに添加し、そして減圧に再び15秒間おいた。次いで、緩衝液RPE 1mLをRNEASY96TMプレートの各ウェルに添加し、そして減圧に15秒間おいた。次いで緩衝液RPEを繰り返し、そして減圧にさらに10分間おいた。次いでプレートをQIAVACTMマニホールドから除去し、そしてペーパータオルに吸い取らせて乾燥させた。次いでプレートを、1.2mLの収集管を含む収集管ラックを付けたQIAVACTMマニホールドに再び取り付けた。次いでRNAを、各ウェルに水60μlをピペットで取り、次いで1分インキュベートし、次いで減圧に30秒間おくことにより溶出した。溶出工程を更に水60μLによって繰り返した。
反復ピペッティング及び溶出工程を、QIAGEN Bio-Robot 9604(Qiagen, Inc., Valencia CA)を使用して自動化してもよい。本来、培養プレート上の細胞の溶解後、プレートを、ピペッティング、DNAアーゼ処理及び溶出工程を実施するロボットデッキへ移す。
【0164】
実施例13
mPGES-1 mRNAレベルのリアルタイム定量化PCR分析
mPGES-1 mRNAレベルの定量化をABI PRISMTM 7700 Sequence Detection System (PE-Applied Biosystems, Foster City, CA) を使用して、製造業者の指示に従ってリアルタイム定量化PCRにより決定した。これは、閉管の、ノンゲルベースの蛍光検出系であり、リアルタイムのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)生成物の高速スループット定量を可能にする。PCRが完了したあとに増幅生成物を定量する標準PCRに対して、リアルタイム定量化PCRの生成物は、それらが蓄積しているとき定量される。このことは、PCR反応においてフォワードとリバースPCRプライマー間で特異的にアニールし、そして2つの蛍光色素を含むオリゴヌクレオチドプローブを含むことにより達成される。リポーター色素(例えばOperon Technologies Inc. , Alameda, CA または PE-Applied Biosystems, Foster City, CAのいずれかから得られるJOE,FAMTMまたはVIC )をプローブの5'末端に結合し、そしてクエンチャー(例えば、Operon Technologies Inc. , Alameda, CAまたはPE-Applied Biosystems, Foster City, CAのいずれかから得られるTAMRA ) をプローブの3'末端に結合する。このプローブおよび色素が完全な場合、リポータ色素の発光は3'クエンチャー色素の近くでクエンチされる。増幅の間、標的配列に対するプローブのアニーリングは、Taqポリメラーゼの5'-エキソヌクレアーゼ活性によって切断され得る基質を生成する。PCR増幅サイクルの伸長フェーズの間、Taq ポリメラーゼによるプローブの切断は、プローブの残部から(およびしたがってクエンチャー部分から)リポータ色素を放出し、そして配列特異的蛍光シグナルを生じる。各々のサイクルについて、更なるリポータ色素分子がそれぞれのプローブから切断され、そして蛍光強度がABI PRISM 7700 Sequence Detection Systemに組み込まれたレーザー光学によって規則的間隔でモニタされる。各々の検定において、未処理の対照サンプルからのmRNAの連続希釈を含む一連の並発反応が、試験サンプルのアンチセンスオリゴヌクレオチド処理後にパーセント阻害を定量するために用いられる標準曲線を生成する。
【0165】
PCR試薬をPE-Applied Biosystems, Foster City, CAから得ることができる。RT-PCR反
応は、PCRカクテル25μl(1xTAQMANTM緩衝液A、5.5 MM MgCl2、dATP、dCTPおよびdGTPの各々300μM、dUTP 600μM、フォワード、リバースプライマーおよびプローブの各々100nM、RNアーゼ阻害剤20単位、AMPLITAQ GOLDTM 1.25単位およびMuLV逆転写酵素12.5単位) を、ポリ(A)mRNA 溶液25μLを含む96穴プレートに添加することにより実施した。RT反応を、48℃で30分間のインキュベーションにより実施した。AMPLITAQ GOLDTMを活性化するために95℃で10分インキュベートした後、二段階PCRプロトコルの40サイクルを実施した:95℃、15秒間(変性)、引き続き60℃、1.5分間(アニーリング/伸長)。
【0166】
ヒトmPGES-1に対するプローブおよびプライマは、公開された配列情報した(図1a、図1bとして本明細書中に加入されるGenBank登録番号NM 004878)を使用してヒトmPGES-1配列にハイブリダイズするように設計。ヒトmPGES-1のためのPCRプライマは:
フォワードプライマー:GAGACCATCTACCCCTTCCTTTTC 配列番号:1802
リバースプライマー:TCCAGGCGACAAAAGGGTTA 配列番号:1803
であり、そしてPCRプローブは、
FAMTM-TGGGCTTCGTCTACTCCTTTCTGGGTC 配列番号1804-TAMRA
であり、ここでFAMTM(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA) は蛍光リポータ色素であり、そしてTAMRA(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA) はクエンチャー色素である。ヒトサイクロフィリンのためのPCRプライマは、
フォワードプライマー:CCCACCGTGTTCTTCGACAT 配列番号:1805
リバースプライマー:TTTCTGCTGTCTTTGGGACCTT 配列番号:1806
であり、そしてPCRプローブは、
5'JOE-CGCGTCTCCTTTGAGCTGTTTGCA 配列番号:1807-TAMRA3'
であり、ここでJOE (PE-Applied Biosystems, Foster City, CA)は蛍光リポータ色素であり、そしてTAMRA (PE-Applied Biosystems, Foster City, CA)はクエンチャー色素である。
【0167】
実施例14
2'-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオネートオリゴヌクレオチドによるヒトmPGES-1発現のアンチセンス阻害
本発明に従って一連のオリゴヌクレオチドを、公開された配列(ここで図1として添付、GenBank登録番号NM 004878)を使用してヒトmPGES-1 RNAの異なる領域を標的化するよう設計した。オリゴヌクレオチドは表1に示される。「位置」はオリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列上の第一の(もっとも5'-側の)ヌクレオチドの数を示す。各々のオリゴについて示されたパラメータは、David H. Mathews, Michael Zuker and Douglas H. TurnerによるRNA構造3.7を用いて予測された。数字がネガティブであるほど、反応が生じる可能性が高い。全ての自由エネルギー単位はkcal/モルまたは融点(ポリ核酸の2つのアニーリング鎖が分かれる温度。その温度が高いほど、2つの鎖間の親和性は大きい)である。高い親和性を伴って結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計する場合、標的RNA鎖およびアンチセンスオリゴマの構造を考慮することが望ましい。具体的には、きつく結合する(表において「二本鎖形成」として記載される)オリゴマーについて、セルフ構造をほとんど有さない標的RNAの範囲に相補的であるべきである(表において自由エネルギーが「標的構造」として記載される)。また、オリゴマーはほとんど自己構造(self- structure)、分子内(表において自由エネルギーが「分子内オリゴ」として記載される)または二分子(表において自由エネルギーが「分子間オリゴ」として記載される)のいずれかを有するべきでない。任意の自己構造を分解することは、結合ペナルティ(binding penalty)になる。表1の全ての化合物は、4-ヌクレオチド「ウィング」が両側(5'及び3'方向)に隣接する、10個の2'デオキシヌクレオチドよりなる中央「ギャップ」領域から構成されるキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)20ヌクレオチド長である。ウィングは、2'-メトキシエチル(2'-MOE)ヌクレオチドからなる。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチドの全体にわたってホスホロチオネート(P=S)である。2'-MOEウィングのシチジン残基は、5-メチルシチジンである。全てのシチジン残基が5-メチルシチジンである。
【0168】
【表1】

【0169】
【表2】

【0170】
【表3】

【0171】
【表4】

【0172】
【表5】

【0173】
【表6】

【0174】
【表7】

【0175】
【表8】

【0176】
【表9】

【0177】
【表10】

【0178】
【表11】

【0179】
【表12】

【0180】
【表13】

【0181】
【表14】

【0182】
【表15】

【0183】
【表16】

【0184】
【表17】

【0185】
【表18】

【0186】
【表19】

【0187】
【表20】

【0188】
【表21】

【0189】
【表22】

【0190】
【表23】

【0191】
【表24】

【0192】
【表25】

【0193】
【表26】

【0194】
【表27】

【0195】
【表28】

【0196】
【表29】

【0197】
【表30】

【0198】
【表31】

【0199】
【表32】

【0200】
【表33】

【0201】
【表34】

【0202】
【表35】

【0203】
【表36】

【0204】
【表37】

【0205】
【表38】

【0206】
【表39】

【0207】
【表40】

【0208】
【表41】

【0209】
【表42】

【0210】
【表43】

【0211】
【表44】

【0212】
【表45】

【0213】
【表46】

【0214】
【表47】

【0215】
【表48】

【0216】
【表49】

【0217】
【表50】

【0218】
【表51】

【0219】
【表52】

【0220】
【表53】

【0221】
【表54】

【0222】
【表55】

【0223】
【表56】

【0224】
【表57】

【0225】
【表58】

【0226】
【表59】

【0227】
【表60】

【0228】
【表61】

【0229】
【表62】

【0230】
【表63】

【0231】
実施例15
mPGES-1タンパク質レベルのウェスタンブロット分析
ウェスタンブロット分析 (免疫ブロット分析)を、標準的方法を用いて実施した。細胞をオリゴヌクレオチド処理後16〜20時間で回収し、PBSで1回洗浄し、Laemmli緩衝液(100μl/ウェル)に懸濁し、5分間沸騰させ、そして16%SDS-PAGEゲル上に充填した。ゲルに150 Vを1.5時間流し、そしてウェスタンブロッティングのために膜に移した。mPGES-1に指向される適当な一次抗体を、一次抗体種に対して指向される放射性標識又は蛍光標識された二次抗体と一緒に用いた。バンドはPHOSPHORIMAGERTM (Molecular Dynamics, Sunnyvale CA)を用いて可視化した。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【図1】配列情報(GenBank登録番号NM 004878)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
mPGES-1と特異的にハイブリダイズし、そしてmPGES-1の発現を阻害する、mPGES-1をコードする核酸分子に標的化された8〜30個の核酸塩基長のアンチセンス化合物。
【請求項2】
アンチセンス化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1記載のアンチセンス化合物。
【請求項3】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号1〜配列番号1802の核酸配列の少なくとも8個の隣接核酸を含む、請求項2記載のアンチセンス化合物。
【請求項4】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号1〜配列番号1802の核酸配列を含む、請求項3記載のアンチセンス化合物。
【請求項5】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号1〜配列番号1802の核酸配列の少なくとも8個の隣接核酸からなる、請求項2記載のアンチセンス化合物。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号1〜配列番号1802の核酸配列からなる、請求項2記載のアンチセンス化合物。
【請求項7】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアンチセンス化合物。
【請求項8】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾された糖部分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアンチセンス化合物。
【請求項9】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンチセンス化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のアンチセンス化合物及び薬学的に許容できる担体又は希釈剤を含む組成物。
【請求項11】
細胞又は組織を請求項1〜9のいずれか1項に記載のアンチセンス化合物と接触させ、その結果、mPGES-1の発現を阻害することを含む、細胞又は組織においてmPGES-1の発現を阻害する方法。
【請求項12】
治療的又は予防的有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のアンチセンス化合物をヒトを含む動物に投与し、その結果、mPGES-1の発現を阻害することを含む、mPGES-1に関連した疾患または症状を有するヒトを含む動物を治療する方法。
【請求項13】
疾患または症状が関節炎、炎症、痛み、発熱、癌、アルツハイマー病、眼の症状、糖尿病、免疫疾患、心臓血管疾患、神経疾患、及び虚血/再潅流傷害からなる群より選択される、請求項12記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−500066(P2006−500066A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539958(P2004−539958)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/030374
【国際公開番号】WO2004/028458
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】