説明

ミクロトームで加工された組織試料の取扱いおよび対応配置のための装置

本発明は、ミクロトームで加工された組織試料(1)を取り扱うための装置において、組織試料(1)が、オブジェクトキャリア(2)に配置されていて、機械読取り可能なコード(3)を備え付けており、読取り機器(4)が、前記コード(3)の情報を検出するために働き、制御部(5)が、処理のための情報を変換するために働く形式のものに関する。そのような装置によって分類されていないオブジェクトキャリア(2)を、評価のために患者に対して互いに相対関係付けするために、移載装置が(6)と少なくとも1つの駆動装置(7)とが設けられており、移載装置(6)と少なくとも1つの駆動装置(7)とが、オブジェクトキャリア(2)を供給装置(8)から収容し、複数のオブジェクトキャリア(2)のための収容部を有するプレゼンテーションキャリア(9)に供給することができるように構成されており、プレゼンテーションキャリア(9)のための待機保持装置(11)が、複数のプレゼンテーションキャリア(9)を移載装置(6)に接近可能な形式で提供するように配置されておりかつ構成されており、制御部(5)が、少なくとも1つの駆動装置(7)をオブジェクトキャリア(2)のコード(3)の情報に基づき、同じ患者から採取した組織試料(1)を備えたオブジェクトキャリア(2)が、移載装置(6)により患者に対して対応配置された順序で、少なくとも1つのプレゼンテーションキャリア(9)に供給することができることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロトームで加工された組織試料の取扱いのための装置であって、組織試料が、オブジェクトキャリアに配置されていて、機械可読のコードが備え付けられていて、この場合、読取り機器が、コードの情報の検知のために働き、制御部が、取り扱うための情報の変換のために働く。
【0002】
この種の装置は、国際公開00/62035号パンフレットから公知である。このパンフレットは、オブジェクトキャリアにコードを備え付けることを提案している。コードは、後処理を制御し、評価と保管とを可能にするために、実質的な情報を全て内蔵している。サンプルの切断、伸張およびオブジェクトキャリアへの載置後に行う後処理は、オブジェクトキャリアにあるサンプルの乾燥および脱脂である。その後、組織構造が、マイクロコープ下で良好に可視であるように、サンプルは染色される必要がある。染色後、オブジェクトキャリアはカバーガラスまたは別の保護層でカバーされ、これによって、サンプルは損壊から防護される。この場合、全組織試料が標準化されて同様に扱われるならば、組織試料は連続して処理手順を簡単に通過することができる。従って、順序ひいては所定の患者に対する対応関係は保持されたままである。所定の患者から採取したサンプルを種々異なって処理する際には、サンプルは、種々異なる処理ステーションを通過するか、もしくは種々異なる試薬で(通常は染色時に)濡らす必要がある。個々のサンプルのための試薬で処理することは、非経済的で手間がかかるので、オブジェクトキャリアは行おうとしている処理に応じて、オブジェクトキャリアバスケットに仕分けされ、これにより次いで、オブジェクトキャリアは、経済的に比較的大量に一緒に処理される。その結果、比較的大量に処理されるオブジェクトキャリアにおいては、所定の患者に対してそれぞれ評価ごとに配向された対応関係は失われてしまう。しかし、所定の患者の組織試料を有するオブジェクトキャリアは、処理した組織試料から再びより分けられてまとめられる必要がある。なぜならば診断評価は、所定の患者の全組織試料を同時に有していることを必要とするからである。このために、組織試料は1つのプレゼンテーションキャリア、または1つでは足りない場合には、複数のプレゼンテーションキャリアに配置される。この対応配置はこれまで厄介な手作業であった。この手作業では、簡単に間違いが起こることがあった。オブジェクトキャリアのコードは、ますます機械可視のコードとしてしか構成されないので、手による付加的な仕分けは困難になる。
【0003】
さらにドイツ連邦共和国特許出願公開第10222333号明細書から、オブジェクトキャリアのための処理装置が公知である。この処理装置はパネルをオブジェクトキャリアで満たしている。しかしこの装置は、オブジェクトキャリアの分類に用いることを予定しておらず、従って、コードを検知せず、このコードの情報を必要としない。印刷機から出てきたオブジェクトキャリアでプレートを連続して満たすだけである。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10154843号明細書では、ミクロトームで加工された組織試料を備えたオブジェクトキャリアの識別子が、組織試料の情報と一致し、識別子において、少なくとも部分的な手による処理時の対応配置ミスを排除するということを保証している。ミクロトームで加工された組織試料の識別子は、確かに機械的に検知可能でもあるのだが、何かしらの基準に応じて仕分けられなかったオブジェクトキャリアの対応配置を行う装置は開示されていない。
【0005】
米国特許公告第2003/0215936号明細書は、ミクロトームで加工された組織試料を大量に自動的に分析するための方法および装置に関する。この場合、組織試料をアレイ(Arrays)の特定可能な場所に収納することを提案している。アレイは直交する配置形式としてキャリアに形成されていて、これらのキャリアはやはり多層に積層されている。ここでは評価および分類は自動的に行われるので、所定の患者に対する組織試料の相対関係の問題性はデータ処理手段によって解決されている。従って、ミクロトームで加工された組織試料の患者ごとの、たとえば手による評価のための、空間的な分類が必要なくなる。
【0006】
従って、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の装置を改良して、当該装置が所定の評価の観点で分類されなかったオブジェクトキャリアを、所定の評価のために患者ごとに互いに対応配置することである。
【0007】
この課題を解決した本発明によれば、移載装置と少なくとも1つの駆動装置とが設けられており、移載装置と少なくとも1つの駆動装置とが、オブジェクトキャリアを供給装置から収容し、複数のオブジェクトキャリアのための収容部を有するプレゼンテーションキャリアに供給することができるように構成されており、プレゼンテーションキャリアのための待機保持装置が、複数のプレゼンテーションキャリアを移載装置に接近可能な形式で提供するように配置され、構成されており、制御部が、少なくとも1つの駆動装置をオブジェクトキャリアのコードの情報に基づき、同じ患者から採取した組織試料を備えたオブジェクトキャリアが、移載装置により患者に対して相対関係付けされた順序で、少なくとも1つのプレゼンテーションキャリアに供給可能であるように制御する。
【0008】
本発明により、複数の患者から採取したサンプルを備えたオブジェクトキャリアを、プレゼンテーションキャリアに患者ごとに供給するために自動的な対応配置装置が提供され、これによって、組織試料の診断評価が可能になる。通常、一人の患者には1つのプレゼンテーションキャリアを使用する。既述したように複数のプレゼンテーションキャリアであってもよく、または患者一人につき僅かな組織試料しかない場合には、複数の患者の組織試料が1つのプレゼンテーションキャリアにあってもよく、この場合には当然、個々の患者に対応配置される順番である。冒頭で述べたように、オブジェクトキャリアは処理ごとに仕分けされ、その結果、複数の患者の組織試料は互いに混合され、組織試料は、複数の処理チャージにわたって分配され、そこで別の患者の組織試料と一緒に処理された。これにより本発明による対応配置装置は、到来する各処理チャージのオブジェクトキャリアを多数のプレゼンテーションキャリアに分配しなければならず、その結果、最終的に各患者に、組織試料を有する1つの(または複数の)プレゼンテーションキャリアが、医学的な評価のために用意されている。
【0009】
本発明の利点は、実践においてますます大きくなっている組織試料の量を、誤ることなく処理することができ、高いリスクを伴う手による対応配置作業を節減することができるという点である。さらにこの場合、機械読取り可能なコードだけを使用することもできる。これらのコードは、手による対応配置にとってさらなる障害となることを意味する。コードという概念は、ここでは材料的な情報キャリアに使用される。この情報キャリアはラベル、チップ等として形成されていてよい。チップの使用は、チップが可読なデータだけを提供しているだけでなく、いつでも呼び出し可能な別のデータを記録することができる。
【0010】
読取り機器が、既に予め配置されているステーションに対応配置されていない場合には、読取り機器を移載装置に配置することは有効であり、これによってそこでコードを読み取ることができ、前記装置は適切に対応配置を行うことができる。この場合、コードは患者に対する直接的な対応関係を内蔵しているか、または制御部が、オブジェクトキャリアのコードを中央コンピュータの中央データと結合することによる対応配置が可能である。これは、コードには相対関係特徴だけを備えていて、中央データが、個々の患者に関する別のデータを全て内蔵していることを意味する。
【0011】
制御部は、所定の患者に対して対応配置しようとするオブジェクトキャリアを、連続した順番でプレゼンテーションキャリアに付与できる。所定の患者に対して対応配置しようとする組織試料に関するデータが既に存在する場合には、制御部は、このデータに基づき所定の患者の組織を備えたオブジェクトキャリアの順序を形成することができるように構成されていてもよい。このことは、組織試料を備えたオブジェクトキャリアが可能な限り順番に到着するので有利である。この順番は評価人員の評価順序に対応していない。この評価順序は、常に同一に規格化されているので、普通に行われるか、または客観的に有利であるか、または合理的な作業のために役立つ。従って、可能な限り種々異なる組織試料の染色が有利な順番において観察される。この事例のために、制御部は、一人の患者に対してオブジェクトキャリアどのくらいあるのか、および一人の患者に対してプレゼンテーションキャリアにどのくらい収容部が設けられているのかを把握していて、これによって、オブジェクトキャリアを順番に配置することができる。こうして制御部はオブジェクトキャリアを有利な順番に応じて仕分ける。
【0012】
プレゼンテーションキャリアが、同様に少なくとも1つのコードを有していてよい。このコードは、既に患者に対する間接的または直接的な対応配置のための識別子を内蔵することができる。この場合、待機保持装置におけるプレゼンテーションキャリアの配置は、指定された場所に行われるか、または待機保持装置は、プレゼンテーションキャリアのコードのための読取り装置を有しているので、プレゼンテーションキャリアの位置決めは、制御部により待機保持装置内において検知することができ、これによってオブジェクトキャリアをプレゼンテーションキャリアの収容部に対応配置することができる。しかし、待機保持装置が、プレゼンテーションキャリアのコードへの情報入力のための書込み装置を有しているということも可能である。このことが事実であれば、制御部は、プレゼンテーションキャリアにオブジェクトキャリアを供給することで、患者に対する対応配置を有する、プレゼンテーションキャリアのコードを記入するように構成されていることが可能である。オブジェクトキャリアもプレゼンテーションキャリアも、適切な形式で記入されていると、この二重コード化は照合に利用することもできる。
【0013】
当然ながら、オブジェクトキャリアのコードへの情報入力のために書込み装置が設けられていてもよい。これによってたとえばオブジェクトキャリアのコードに、プレゼンテーションキャリアでの分類を同様に指定する。従って、評価の際に一度失われてしまう対応配置は、改めて容易に行うことができる。
【0014】
中央コンピュータが存在する場合には、制御部は、中央コンピュータの中央データにある全ての対応関係を整理するように構成されていてよい。当該装置の作業形式を点検するためにディスプレイがあってもよい。このディスプレイ上で、光学文字情報が可能である。当然ながら、補足的に変更を加えることができるように、入力装置を設けることも可能である。
【0015】
供給装置は、個々のオブジェクトキャリアの移載装置への連続して行われる供給のために構成することができる。本発明による装置は、たとえばカバー自動装置と直接連結されていると有利である。このカバー自動装置は、オブジェクトキャリアをカバーガラスでカバーする。この事例では、供給装置は、たとえばカバー自動装置と本発明による装置との間のフィードベルトであってよい。
【0016】
択一的には、供給装置は、オブジェクトキャリアを有するマガジンの供給のために備え付けられていて、移載装置は、マガジンからオブジェクトキャリアを取り出すために備え付けられるようになっていてよい。この場合、有利には当然ながら、搬出装置を空のマガジンのために設けることができる。マガジンを搬送ベルトによって搬送することもできる。この場合、当然ながら移載装置は、オブジェクトキャリアをマガジンから取り出すことができるように備え付けられていなければならない。このことは、たとえばグリッパによって可能である。当然、スライダを設けることもできる。このスライダはオブジェクトキャリアを、スライドフィルムマガジンのように、マガジンから移動させる。
【0017】
移載装置の構成のために複数の可能性がある。詳細な構成は、既述したように、個々のオブジェクトキャリアが供給されるか、またはオブジェクトキャリアを備えたマガジンが供給されるかどうかに関係している。さらに、どのようにプレゼンテーションキャリアが提供されるかは、扁平な配置形式または棚状の配置形式に関係している。この種の移載装置の構成には複数の可能性が存在するので、ここでは2つの構成を例示する。
【0018】
つまり移載装置は傾斜体であってよく、この傾斜体が供給装置からオブジェクトキャリアを受け取る。この場合、次いで調整運動がプレゼンテーションキャリアの自由な収容部に対して傾斜面出口を対応配置し、オブジェクトキャリアを傾斜体から移動させるために移動装置が配置されている。このような移載装置は、当然ながら種々異なる駆動装置を調整運動のために内蔵していなければならず、これによって傾斜体出口は相応するプレゼンテーションキャリアと、このプレゼンテーションキャリア上の自由な収容部とに向かって運動させられる。プレゼンテーションキャリアと自由な各収容部とを備えた待機保持装置を傾斜体出口の下側で運動させることも当然可能である。さらに、移動装置のための駆動装置を設ける必要があり、これによってオブジェクトキャリアを自由な収容部に供給することができる。
【0019】
択一的な構成は、移載装置がグリッパを有していて、このグリッパがオブジェクトキャリアを供給装置から取り出し、調整運動によって対応するプレゼンテーションキャリアの自由な収容部に供給する。可能な限り多くのプレゼンテーションキャリアを提供するために、グリッパは高さに応じた調整運動を行い、これによって棚状の待機保持装置と協働する。この待機保持装置は複数の平面でプレゼンテーションキャリアを用意している。択一的または付加的には待機保持装置は、自体で高さに応じた調整運動を行い、および/または平面の数を増加するために、平面のパタノスタ式(paternosterartig)の配置形式を提供する。有利な形式では、自動化は待機保持装置に、プレゼンテーションキャリアのための供給装置も搬出装置も対応配置されていることにより完成される。
【0020】
移載装置には、使用不可能なオブジェクトキャリアを特定するためにデテクタが配置されていてもよい。つまりたとえばカバーすることにより評価のための組織断面を使用不能にしてしまう気泡が発生する恐れがある。このようなオブジェクトキャリアは取り除かれ、交換されるかまたは再処理が施されるのが望ましい。この目的のためには、制御部が移載装置に作用して、使用不能または対応配置可能でないオブジェクトキャリアを除去容器内に入れると有利である。この方法には、対応配置可能でないオブジェクトキャリアに関連して、組織試料を備えた、患者対応配置を行うことができないオブジェクトキャリアを取り除くという目的がある。なぜならば前記患者のためのプレゼンテーションキャリアが存在しないか、または所定の患者のためのプレゼンテーションキャリアを設けるためのデータがないからである。
【0021】
本発明に係るミクロトームで加工された組織試料を取り扱うための装置は、組織試料が、オブジェクトキャリアに配置されていて、機械読取り可能なコードを備え付けており、読取り機器が、前記コードの情報を検出するために働き、制御部が、処理のための情報を変換するために働く形式のものにおいて、移載装置と少なくとも1つの駆動装置とが設けられており、移載装置と少なくとも1つの駆動装置とが、オブジェクトキャリアを供給装置から収容し、複数のオブジェクトキャリアのための収容部を有するプレゼンテーションキャリアに供給することができるように構成されており、プレゼンテーションキャリアのための待機保持装置が、複数のプレゼンテーションキャリアを移載装置に接近可能な形式で提供するように配置され、構成されており、制御部が、少なくとも1つの駆動装置をオブジェクトキャリアのコードの情報に基づき、同じ患者から採取した組織試料を備えたオブジェクトキャリアが、移載装置により患者に対して相対関係付けされた順序で、少なくとも1つのプレゼンテーションキャリアに供給可能であるように制御することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る装置は、有利には、読取り機器が、移載装置に配置されている。
【0023】
本発明に係る装置は、有利には、コードが、患者に対する対応関係を直接に内蔵している。
【0024】
本発明に係る装置は、有利には、制御部が、コードと中央コンピュータの中央データとを結合することにより対応配置を行う。
【0025】
本発明に係る装置は、有利には、制御部が、所定の患者に対して対応配置されたオブジェクトキャリアを、連続した順番でプレゼンテーションキャリアに付与する。
【0026】
本発明に係る装置は、有利には、制御部が、予め与えられたデータに基づき、所定の患者の組織を備えたオブジェクトキャリアの順序を形成する。
【0027】
本発明に係る装置は、有利には、プレゼンテーションキャリアが、少なくとも1つのコードを有してもいる。
【0028】
本発明に係る装置は、有利には、前記コードが、患者に対する間接的または直接的な相対関係のための特徴を既に内蔵している。
【0029】
本発明に係る装置は、有利には、待機保持装置が、プレゼンテーションキャリアの前記コードのための読取り装置を有している。
【0030】
本発明に係る装置は、有利には、待機保持装置が、前記コードへの情報入力のための書込み装置を有している。
【0031】
本発明に係る装置は、有利には、制御部が、オブジェクトキャリアをプレゼンテーションキャリアに供給することで、患者との相対関係を備えたプレゼンテーションキャリアのコードを前記プレゼンテーションキャリアに記入する。
【0032】
本発明に係る装置は、有利には、書込み装置が、オブジェクトキャリアのコードへの情報入力のために設けられている。
【0033】
本発明に係る装置は、有利には、制御部が、中央コンピュータの中央データの全ての対応関係を整理する。
【0034】
本発明に係る装置は、有利には、ディスプレイが、光学文字情報(Klarschriftinformation)のために設けられている。
【0035】
本発明に係る装置は、有利には、供給装置が、移載装置へ個々のオブジェクトキャリアを連続して供給するために形成されている。
【0036】
本発明に係る装置は、有利には、供給装置が、オブジェクトキャリアを備えたマガジンを供給するために備え付けられており、移載装置が、オブジェクトキャリアをマガジンから取り出すために備え付けられている。
【0037】
本発明に係る装置は、有利には、空のマガジンのための搬出装置が設けられている。
【0038】
本発明に係る装置は、有利には、移載装置が、傾斜体であって、該傾斜体に供給装置が、オブジェクトキャリアを引き渡し、調整運動が、傾斜体出口をプレゼンテーションキャリアの自由な収容部に対応配置し、移動装置が、オブジェクトキャリアを傾斜体から移動させるために配置されている。
【0039】
本発明に係る装置は、有利には、移載装置が、グリッパを有しており、該グリッパが、オブジェクトキャリアを供給装置から、または該供給装置にあるマガジンから取り出し、調整運動によってプレゼンテーションキャリアの自由な収容部に供給する。
【0040】
本発明に係る装置は、有利には、グリッパが、プレゼンテーションキャリアを複数の平面で提供している棚状の待機保持装置と協働するために、高さに応じた調整運動を行う。
【0041】
本発明に係る装置は、有利には、待機保持装置が、自体で高さに応じた調整運動を行い、および/または平面の数を増加するために、平面のパタノスタ式の配置形式を提供する。
【0042】
本発明に係る装置は、有利には、待機保持装置に、供給装置と搬出装置とが、プレゼンテーションキャリアのために対応配置されている。
【0043】
本発明に係る装置は、有利には、移載装置に、デテクタが配置されており、これによって使用不可能なオブジェクトキャリアが特定される。
【0044】
本発明に係る装置は、有利には、制御部が、移載装置に作用して、使用不可能なオブジェクトキャリアまたは分類可能でないオブジェクトキャリアを除去容器に引き渡す。
【0045】
以下に、本発明を図示の実施例に基づき説明する。
【0046】
図1には本発明による装置の第1実施例が示されている。供給装置8によって、本発明による装置に組織試料1が供給される。これらの組織試料1は、オブジェクトキャリア2の上にあり、コード3を有している。供給装置8は、オブジェクトキャリア2を移載装置6に引き渡す。この移載装置6には読取り機器4が備え付けられている。この読取り機器4は、コード3を検知し、情報を信号線路26によって直接、制御部5または中央コンピュータ12に送信する。コード情報に基づき、制御部5は直接操作されるか、または中央コンピュータ12は適切なデータを有していて、このデータに基づき制御部5は操作される。この場合、制御部5は駆動装置7に調整運動19をさせる。ここでは調整運動19′はx方向で、調整運動19″はy方向で行われる。調整運動19″は、移載装置6をプレゼンテーションキャリア9に対応配置するために働く。このプレゼンテーションキャリア9は、待機保持装置11の上に設けられている。この対応配置のために、書込み装置15としても構成することができる読取り装置14が、待機保持装置11に配置されている。読取り装置14は、プレゼンテーションキャリア9のコード13を検知するか、または記入するために働く。読取り装置14からも、場合によっては書込み装置15からも、信号線路26が制御部5または中央コンピュータ12に向かっている。こうして、オブジェクトキャリア2は、プレゼンテーションキャリア9に対応配置することができる。このプレゼンテーションキャリア9は、コード3により所定の患者に対応配置されるか、またはプレゼンテーションキャリア9に、所定の患者に対応配置されているオブジェクトキャリア2を位置決めすることが望まれる場合には、書込み装置15によって所定の患者に対応配置される。
【0047】
オブジェクトキャリア2が、プレゼンテーションキャリア9に配置できるように、傾斜体18である移載装置6には傾斜出口20が備え付けられている。この傾斜体出口20は、調整運動19′によりオブジェクトキャリア2をプレゼンテーションキャリア9の複数の収容部10に供給するためにx方向で移動することができる。1つのプレゼンテーションキャリア9の1つの収容部10に、傾斜出口20を対応配置すると、ここではベルトとして構成されている移動装置21が作動し、オブジェクトキャリア2を適切な収容部10に搬送する。移載装置6と供給装置8との搬送方向は、矢印27で示してある。オブジェクトキャリア2が対応するプレゼンテーションキャリア9の適切な収容部10に搬送されると、移載装置6は、供給装置8から次のオブジェクトキャリア2を受け取るために出発位置に再び戻る。
【0048】
当然ながら、移載装置6は定置に設置することもできる。この場合、駆動装置7は、傾斜体出口20を対応するプレゼンテーションキャリア9の適切な収容部10に対応配置するように待機保持装置11を移動させるために働く。
【0049】
図2aおよび図2bには、本発明の別の実施例が示してある。この場合、オブジェクトキャリア2とプレゼンテーションキャリア9との構成は、図1に対する図面および記載に相応していて、ここではシンボルとしてしか示していない。さらに、制御部5と中央コンピュータ12とも、図1に対する図面および記載に相応していて、ここでは同じく示されていない。制御部5と中央コンピュータ12とは信号線路26を含めて考えなければならない。
【0050】
図2aには、グリッパ22を備えた移載装置6の、供給装置8との協働が示してある。供給装置8は、マガジン16を供給できるように構成されていて、マガジン16内にはオブジェクトキャリア2が支承されている。オブジェクトキャリア2は複数のオブジェクトキャリア2であって、これらのオブジェクトキャリア2は押込み・引出し可能にマガジン内にある。マガジン16は、たとえば次のようなマガジンであってよく、つまりマガジン内でオブジェクトキャリア2は、たとえば染浴内で複数の組織試料1を一緒に処理するためにまとめられている。マガジン16は、搬送ベルト31によって導かれ、グリッパ22がオブジェクトキャリア2を把持できるように供給装置8により供給される。この場合、グリッパ22はシンボルとしてしか図示されておらず、たとえば鉗子状のグリップ機構を併せて考慮する必要がある。グリッパ22には、読取り機器4が設けられていて、この読取り機器4は、書込み装置15として、付加的にはデテクタ24として構成することもできる。
【0051】
オブジェクトキャリア2の対応配置は、図1で記載したように、制御部5と、場合によっては中央コンピュータ12によって行われる。ここでは付加的にデテクタ24が設けられていて、このデテクタ24は使用不能であるオブジェクトキャリア2、または所定の患者に対して相関関係付けできないオブジェクトキャリア2を除去容器に搬送するために働く。
【0052】
マガジン16が空になると、このマガジン16は搬出装置17によって再び搬出される。この場合、矢印27は搬出装置17および搬送ベルト31の搬送方向を示している。グリッパ22がオブジェクトキャリア2を把持して、このオブジェクトキャリア2が読取り機器4によって読み取られ、取り除かれなかった場合には、移載装置6はオブジェクトキャリア2をプレゼンテーションキャリア9の収容部10に供給する。この目的のために、移載装置6を摺動可能に支承しているガイド30と種々異なる調整運動19とが働く。この場合の調整運動19は、オブジェクトキャリア2をマガジン16から取り出すために働く調整運動19′である。その後、調整運動19″が行われ、これによって移載装置6はガイド30に沿って待機保持装置11に運ばれる。ここでは待機保持装置11は、シンボルとしてしか示されていない。この調整運動全体のために、移載装置6のケーシング内に収納することができる駆動装置7が働く。
【0053】
オブジェクトキャリア2を待機保持装置11において分類するための移載装置6と待機保持装置11との協働が、図2bに示されている。ここでは待機保持装置11も詳細に示されている。待機保持装置11も駆動装置7を有していて、この駆動装置7によって平面23は、循環式エレベータであるパタノスタの形式で循環することができる。
【0054】
まず供給装置28によってプレゼンテーションキャリア9が、待機保持装置11に搬送方向27で供給される。次いでオブジェクトキャリア2の充填後に搬出装置29が、充填されたプレゼンテーションキャリア9を再び搬出するために働く。
【0055】
プレゼンテーションキャリア9には、コード13(図示せず)を介して既に患者に対する対応関係、つまり対応配置が備えられていて、この対応配置は読取り装置14によって検出される。従って、対応するプレゼンテーションキャリア9の適切な収容部10に、制御部5および場合によっては中央コンピュータ12を介して、オブジェクトキャリア2を対応配置することができる。また択一的には、オブジェクトキャリア2をプレゼンテーションキャリア9の収容部10に対応配置する際に、書込み装置15が作動する。次いで、この書込み装置15は、患者に対する対応配置を適切にプレゼンテーションキャリア9のコード13に入力する。読取り装置14と書込み装置15とは、ここでは図1と同じように移動可能に支承されている必要があり、これによって各プレゼンテーションキャリア9の各コード13を検知することができる。
【0056】
対応配置の確定後に、グリッパ22は適切な平面23に向かう。この平面23には、プレゼンテーションキャリア9がある。このプレゼンテーションキャリア9の収容部10に、特定の患者のオブジェクトキャリア2を配置したい。調整運動19′′′によって、適切な平面23へ向かうことができるか、または平面23をパタノスタ式に調節することにより、対応配置を行うことも可能である。次いでグリッパ22によってオブジェクトキャリア2をプレゼンテーションキャリア9の適切な、空いているつまり自由な収容部10に供給するために調整運動19′が行われる。
【0057】
このように構成されていると、移載装置6はガイド30と調整運動19″とによって再び供給装置8に戻され、これによりそこで次のオブジェクトキャリア2を受け取る。
【0058】
図3には、本発明による装置の可能な作業ステップのチャートが示してある。この場合、以下のステップ、つまり、
32 プレゼンテーションキャリア9を待機保持装置11に提供する、
33 オブジェクトキャリア2を供給する、
34 オブジェクトキャリア2を移載装置6により収容する、
35 オブジェクトキャリア2の読取りおよび検知を行う、
36 使用不可能および対応配置可能でないオブジェクトキャリア2を除去容器に仕分ける、
37 プレゼンテーションキャリアが識別子付けされている?
38 いいえ:プレゼンテーションキャリアに識別子を付ける、
39 はい:収容部10に対して移載および対応配置を行う、
40 次のオブジェクトキャリアを仕分けるために戻る、
というステップが行われる。
【0059】
実施例は、当該装置をいかに種々異なって構成することができるかを示す。当該装置が、制御部5だけを備えているか、または付加的に中央コンピュータ12を備えていることが可能である。さらに、図1の構成の供給装置8を、図2aおよび図2bにおいて使用することもでき、かつその逆のこともできる。図1の移載装置6を、図2aおよび図2bに転用することもでき、その逆のこともできる。この場合、必要なのは、オブジェクトキャリア2をマガジン16から傾斜体18に搬送するスライダが設けられているということだけである。図2aおよび図2bに示されているように、傾斜体18として構成された移載装置6と、待機保持装置11との協働時には、当然ながら傾斜体18は平面23の間に挿入可能でなければならない。図1において、当然ながら移載装置6として、グリッパ22と、プレゼンテーションキャリア9のために供給装置28および搬出装置29とが設けられていてもよい。
【0060】
つまり、一連の全特徴を相互に交換可能であるということが分かる。さらに当然ながら、たとえばオブジェクトキャリア2を滑子により搬送し、次いでスライダの出口を、プレゼンテーションキャリア9の適切な収容部10に対応配置するという全く別の解決手段も可能である。さらに別の可能性も考慮可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施例を示した図である。
【図2】図2aおよび図2bは、本発明の第2実施例を示した図である。
【図3】本発明による装置の可能な作業ステップのチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 組織試料、 2 オブジェクトキャリア、 3 (オブジェクトキャリアの)コード、 4 読取り機器、 5 制御部、 6 移載装置、 7 駆動装置、 8 マガジンのオブジェクトキャリアのための供給装置、 9 プレゼンテーションキャリア、 10 複数のオブジェクトキャリア用の収容部、 11 待機保持装置、 12 中央コンピュータ、 13 (プレゼンテーションキャリアの)コード、 14 読取り装置、 15 書込み装置、 16 マガジン、 17 マガジン用の搬出装置、 18 傾斜体、 19 調整運動、 19′ 矢印:x方向での調整運動、 19″ y方向(高さ)での調整運動、 20 傾斜体出口、 21 移動装置、 22 グリッパ、 23 平面、 24 デテクタ、 25 除去容器、 26 信号線路、 27 フィード方向、 28 プレゼンテーションキャリア用の供給装置、 29 プレゼンテーションキャリア用の搬出装置、 30 移載装置のガイド、 31 搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロトームで加工された組織試料(1)を取り扱うための装置において、組織試料(1)が、オブジェクトキャリア(2)に配置されており、機械読取り可能なコード(3)を備え付けており、読取り機器(4)が、前記コード(3)の情報を検出するために働き、制御部(5)が、処理のための情報の変換のために働く形式のものにおいて、
移載装置(6)と少なくとも1つの駆動装置(7)とが設けられており、移載装置(6)と少なくとも1つの駆動装置(7)とが、オブジェクトキャリア(2)を供給装置(8)から収容し、複数のオブジェクトキャリア(2)のための収容部(10)を有するプレゼンテーションキャリア(9)に供給することができるように構成されており、該プレゼンテーションキャリア(9)のための待機保持装置(11)が、複数のプレゼンテーションキャリア(9)を移載装置(6)に接近可能な形式で提供するように配置され、構成されており、制御部(5)が、オブジェクトキャリア(2)のコード(3)の情報に基づいて少なくとも1つの駆動装置(7)を、同じ患者から採取した組織試料(1)を備えたオブジェクトキャリア(2)が、少なくとも1つのプレゼンテーションキャリア(9)に患者に対応配置された順序で移載装置(6)により供給可能であるように制御することを特徴とする、ミクロトームで加工された組織試料を取り扱うための装置。
【請求項2】
読取り機器(4)が、移載装置(6)に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
コード(3)が、患者に対する対応関係を直接に内蔵している、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
制御部(5)が、コード(3)と中央コンピュータ(12)の中央データとを結合することにより対応配置を行う、請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
制御部(5)が、所定の患者に対して対応配置されたオブジェクトキャリア(2)を、連続した順番でプレゼンテーションキャリア(9)に付与する、請求項1から4までのいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
制御部(5)が、予め与えられたデータに基づき、所定の患者の組織を備えたオブジェクトキャリア(2)の順序を形成する、請求項1から4までのいずれか一項記載の装置。
【請求項7】
プレゼンテーションキャリア(9)が、少なくとも1つのコード(13)を有してもいる、請求項1から6までのいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
前記コード(13)が、患者に対応配置するための間接的または直接的な識別子を既に内蔵している、請求項7記載の装置。
【請求項9】
待機保持装置(11)が、プレゼンテーションキャリア(9)の前記コード(13)のための読取り装置(14)を有している、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
待機保持装置(11)が、前記コード(13)への情報入力のための書込み装置(15)を有している、請求項7から9までのいずれか一項記載の装置。
【請求項11】
制御部(5)が、オブジェクトキャリア(2)をプレゼンテーションキャリア(9)に供給して、患者に対する対応関係を備えた前記プレゼンテーションキャリア(9)のコード(13)を記入するように構成されている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
書込み装置が、オブジェクトキャリア(2)のコード(3)への情報入力のために設けられてもいる、請求項1から11までのいずれか一項記載の装置。
【請求項13】
制御部(5)が、中央コンピュータ(12)の中央データの全ての対応関係を整理するように構成されている、請求項1から12までのいずれか一項記載の装置。
【請求項14】
ディスプレイが、光学文字情報のために設けられている、請求項1から13までのいずれか一項記載の装置。
【請求項15】
供給装置(8)が、移載装置(6)へ個々のオブジェクトキャリア(2)を連続して供給するために形成されている、請求項1から14までのいずれか一項記載の装置。
【請求項16】
供給装置(8)が、オブジェクトキャリア(2)を備えたマガジン(16)を供給するために備え付けられており、移載装置(6)が、オブジェクトキャリア(2)をマガジン(16)から取り出すために備え付けられている、請求項1から14までのいずれか一項記載の装置。
【請求項17】
空のマガジン(16)のための搬出装置(17)が設けられている、請求項16記載の装置。
【請求項18】
移載装置(6)が、傾斜体(18)であって、該傾斜体(18)に供給装置(8)が、オブジェクトキャリア(2)を引き渡し、調整運動(19,19′,19″)が、傾斜体出口(20)をプレゼンテーションキャリア(9)の自由な収容部(10)に対応配置し、移動装置(21)が、オブジェクトキャリア(2)を傾斜体(18)から移動させるために配置されている、請求項1から17までのいずれか一項記載の装置。
【請求項19】
移載装置(6)が、グリッパ(22)を有しており、該グリッパ(22)が、オブジェクトキャリア(2)を供給装置(8)から、または該供給装置(8)にあるマガジン(16)から取り出し、調整運動(19,19′,19″,19′′′)によってプレゼンテーションキャリア(9)の自由な収容部(10)に供給する、請求項1から18までのいずれか一項記載の装置。
【請求項20】
グリッパ(22)が、プレゼンテーションキャリア(9)を複数の平面で提供している棚状の待機保持装置(11)と協働するために、高さに応じた調整運動(19′′′)を行う、請求項19記載の装置。
【請求項21】
待機保持装置(11)が、自体で高さに応じた調整運動(19′′′)を行い、および/または平面(23)の数を増加するために、平面のパタノスタ式の配置形式を提供する、請求項19または20記載の装置。
【請求項22】
待機保持装置(11)に、プレゼンテーションキャリア(9)のための供給装置(28)と搬出装置(29)とが対応配置されている、請求項1から21までのいずれか一項記載の装置。
【請求項23】
移載装置(6)に、デテクタ(24)が配置されており、これによって使用不可能なオブジェクトキャリア(2)が特定される、請求項1から22までのいずれか一項記載の装置。
【請求項24】
制御部(5)が、移載装置(6)に作用して、使用不可能なオブジェクトキャリア(2)または対応配置可能でないオブジェクトキャリア(2)を除去容器(25)に引き渡す、請求項1から23までのいずれか一項記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−541023(P2008−541023A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509313(P2008−509313)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002935
【国際公開番号】WO2006/119826
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(504178269)ミクロム インテルナチオナール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Microm International GmbH
【住所又は居所原語表記】Robert−Bosch−Strasse 49, D−69190 Walldorf, Germany
【Fターム(参考)】