説明

ミシン

【課題】縫製作業に関するより適切な情報を取得可能なミシンを提供する。
【解決手段】ミシン1は、糸切りスイッチ22の入力を検出するCPU11と、複数のオペレータごとに設けられた作業者コードとオペレータごとの習熟度を登録可能な作業者属性項目とを関連付けて記憶可能なEEPROM14と、オペレータが自分の作業者コードを選択可能な操作パネル30と、を備え、EEPROM14は、各縫製作業の縫製終了時刻を作業者コードと関連付けて作業記録データとして記憶し、操作パネル30を介して作業者属性項目の追加及び当該作業者属性項目のパラメータ値を入力可能であり、CPU11は項目選択画面で選択された作業者属性項目等の項目を基準として縫製枚数を集計し、操作パネル30はCPU11による集計の結果を表示可能に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン特に縫製作業の完了回数をカウントして当該カウント結果を表示可能なミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンを用いた縫製作業において、ミシンに対して行われる縫製作業の終了を示す入力(例えば糸切りスイッチの操作等)をカウントすることで当該ミシンにおける縫製作業の完了回数をカウントして事後に表示可能なミシンが知られている。これによってオペレータは完了回数の表示を確認することで縫製作業の完了回数を把握できる。また、複数人のオペレータが同一のミシンを用いる場合において、各オペレータに割り当てられた番号を縫製作業開始前に入力しておくことで、各オペレータの縫製作業の完了回数を個別に記憶して事後に表示可能なミシンが知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−327778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ミシンを用いた縫製作業においては、オペレータ毎に当該縫製作業に対する慣れや経験等による習熟度、または年齢、利き腕、視力等による適性が違い、その習熟度や適性の相違によって単位時間あたりの縫製作業の完了回数即ち効率にも差異が生じることがある。また、複数人のオペレータによる縫製作業においては、各オペレータの能力に応じて人員配置や作業分担を行うことにより組織的な効率向上を図れるため、各オペレータの能力を測る指標の一つとして各オペレータの習熟度や適性と縫製作業の完了回数との関連性を把握したいという要望があった。しかしながら、特許文献1に示すミシンを含む従来のミシンでは、オペレータ毎の縫製回収を取得することは可能であったものの、各オペレータはミシンの縫製作業に関する習熟度や適性と縫製作業の完了回数との関係を把握することはできなかった。そのため、オペレータ毎の習熟度や適性に応じた的確な人員配置や作業分担ができず、組織的な効率向上が図れなかった。
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑み、縫製作業に関するより適切な情報を取得可能なミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、ミシンによる所定の縫製作業の完了を検出する検出手段と、ミシンのオペレータごとに設けられた固有の識別情報を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段から、前記所定の縫製作業を担当するオペレータの前記識別情報を選択する識別情報選択手段と、前記所定の縫製作業の完了回数との関連を示す情報を、当該縫製作業を担当したオペレータの固有の識別情報と対応して記憶する第2の記憶手段と、前記検出手段によって前記縫製作業の完了が検出される毎に、前記所定の縫製作業の完了回数との関連を示す情報を、当該縫製作業を担当したオペレータの固有の識別情報と対応して前記第2の記憶手段に記憶させる制御手段と、を備えたミシンにおいて、所定の属性項目に対する前記ミシンのオペレータごとの属性値を入力可能な属性値入力手段と、前記属性値を前記識別情報と関連付けて記憶する第3の記憶手段と、前記完了回数との関連を示す情報から前記属性値を基準として前記縫製作業の完了回数を集計する集計手段と、前記集計手段による集計結果を表示可能な表示手段、または、前記集計結果を外部に出力する出力手段の少なくとも一方と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、前記属性項目のうちいずれか一つを選択可能な属性項目選択手段を備え、前記集計手段は前記属性項目選択手段によって選択された前記属性項目における属性値を基準として前記縫製作業の完了回数を集計することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンにおいて、前記表示手段は前記属性値を項目に含む表形式で前記集計手段による集計結果を表示可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のミシンにおいて、前記表示手段は前記属性値を項目に含むグラフ形式で前記集計手段による集計結果を表示可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、属性値入力手段によってミシンによる縫製作業の習熟度や適性を示す所定の属性項目に対するオペレータ毎の属性値を入力可能であり、第3の記憶手段がオペレータ毎に設けられた識別情報と当該オペレータの属性値とを関連付けて記憶する。また、集計手段が属性値を基準として縫製作業の完了回数を集計し、表示手段が集計結果を表示、または、外部に出力する。つまり、縫製作業の管理者やオペレータは表示手段に表示された集計結果や外部に出力された集計結果を確認することで属性値と縫製作業の完了回数との対応関係を把握することが可能となる。従って、当該対応関係からオペレータ毎の属性値に応じて人員配置や作業分担を行うことで組織的な効率向上を図ることが可能となる。よって、各オペレータの属性値と縫製作業の完了回数との関係を把握できないためにオペレータ毎の習熟度に応じた的確な人員配置や作業分担ができず、組織的な効率向上が図れないといった従来のミシンの問題点を解消できる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、属性項目選択手段によって任意の属性項目のうちいずれか一つを選択可能であり、集計手段は属性項目選択手段によって選択された属性項目における各属性値を基準として集計を行う。よって、属性項目が複数設けられている場合に、オペレータのそれぞれの属性項目に対する属性値と縫製作業の完了回数との対応関係を任意に集計して把握することが可能となる。よって、より詳細、好適にオペレータの属性と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、表示手段は属性値を項目に含む表形式で集計手段による集計結果を表示可能である。よって、オペレータの属性値と縫製作業の完了回数との対応関係を一様に表示できると共に、オペレータの属性値の差異による縫製作業の完了回数の変化を明確に把握することが可能となる。従って、より好適にオペレータの属性値と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、表示手段は属性値を項目に含むグラフ形式で集計手段による集計結果を表示可能である。よって、オペレータの属性値と縫製作業の完了回数との対応関係を一様に表示できると共に、オペレータの属性値の差異による縫製作業の完了回数の変化を明確に把握することが可能となる。従って、より好適にオペレータの習熟度と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
また、請求項3記載の発明と共に請求項4記載の発明を実施する場合には、表示手段は縫製作業の管理者やオペレータの要望に応じて集計結果の表示を表形式及びグラフ形式のいずれでも表示できる。よって、より集計結果を把握しやすい表示形式を選択することが可能となり、一層好適にオペレータの習熟度や適性などの属性項目における属性値と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の全体構成)
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明によるミシン1は、縫製作業の完了回数をカウントして当該カウント結果を表示可能なミシンである。
図1は本発明にかかるミシン1の制御部10及び制御部10に接続された各部の主要構成を示すブロック図である。
ミシン1は少なくとも、ミシン1の各部を制御する制御部10と、ミシン1による縫製の開始を入力するためのスタートスイッチ21と、ミシン1に設けられた糸切り機構(図示略)による糸切り動作を指示入力するための糸切りスイッチ22と、ミシン1に関する各種設定入力を行えると共にミシン1に関する各種情報を表示可能な操作パネル30とを備えている。また、図示しないが、制御部10にはミシン1の各部を駆動する各種アクチュエータや、各種センサ類が接続されている。
【0014】
まず、制御部10について詳説する。制御部10は、ミシン1の動作制御に関する各種処理を行うCPU11と、CPU11が行う各種処理において呼び出される各種プログラム及びデータを書き換え不能に記憶するROM12と、CPU11が行う各種処理において生じる一時データを格納する記憶領域としてのRAM13と、CPU11が行う各種処理において呼び出される各種プログラム及びデータを書き換え不能に記憶するEEPROM14と、現在時刻を計時及び管理してCPU11の呼び出しに応じて現在時刻を返り値として出力する時計回路15と、を備えている。
【0015】
CPU11は、ROM12又はEEPROM14から各種プログラム及びデータを呼び出して実行処理し、ミシン1の各部を制御する。
EEPROM14には縫い形状、縫いピッチ、縫い長さ及び縫いに関するコメント等を含む縫製パターンデータが複数記憶されており、各縫製パターンにはそれぞれ固有の番号(パターンNo)が付与されている。縫製作業の際には、オペレータによって縫製パターンのパターンNoのいずれか一つが選択され、当該パターンNoの縫製パターンに基づいた縫いが行われる。また、EEPROM14には後述する作業記録データを記憶する作業記録データ記憶部14aを有しており、CPU11はスタートスイッチ21及び糸切りスイッチ22の入力に基づいて作業記録データを記憶する。また、EEPROM14は作業者情報を記憶する作業者情報記憶部14bを有しており、CPU11は後述する操作パネル30からの入力に基づいて作業者情報を記憶する。
【0016】
(作業記録データ及び作業者情報)
ここで、作業記録データ及び作業者情報について詳説する。まず、作業記録データについて詳説する。図2は作業記録データの構成を示す説明図である。図2に示すように、作業記録データはデータ番号、縫製開始時刻、縫製終了時刻、パターンNo及び作業者コードを示す各パラメータ値を一組のデータとして取り扱うよう構成されたテーブル形式のデータ群である。
データ番号は、縫製作業の内容を示す各パラメータである縫製開始時刻、縫製終了時刻、パターンNo及び作業者コードの組み合わせ毎に付与される固有のパラメータであり、図2に示すように縫製作業が行われた順番を示す数値として記憶される。
縫製開始時刻は、スタートスイッチ21の入力を検出した際にCPU11が時計回路15から取得した時刻を記憶したものである。縫製終了時刻は、糸切りスイッチ22の入力を検出した際にCPU11が時計回路15から取得した時刻を記憶したものである。つまり、CPU11は糸切りスイッチ22の入力を検出した場合に、例えば、縫製パターンNoにより選択された所定の縫製作業が完了したものとして処理し、各作業記録データを区切っている。よって、糸切りスイッチ22は、ミシンによる所定の縫製作業の完了を検出「検出手段」として機能する。
パターンNoは、オペレータによって選択された縫製パターンのパターンNoである。作業者コードは、当該縫製作業を行ったオペレータを示す固有の識別情報として機能する文字列であり、作業者コードからどのオペレータによって当該縫製作業が実施されたのか判別可能となっている。
【0017】
縫製作業の際には、オペレータが所定の縫製作業を開始する際に、オペレータによって当該オペレータに対応する作業者コードが選択され、かつ、所定の縫製作業としての縫製パターンのパターンNoが選択された状態で行われる。当該状態において、スタートスイッチ21及び糸切りスイッチ22の入力が行われると、CPU11は当該作業者コード、パターンNo及び縫製開始時刻などとともに、当該縫製パターンの完了回数との関連を示す情報としての縫製終了時刻を一組のデータとしてRAM13に格納し、当該一組のデータにデータ番号を付与してEEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶する。つまり、作業記録データはミシン1の縫製作業の履歴を記憶している。CPU11は、各作業者コードを含む作業記録データのデータ数をそれぞれ集計することにより、各作業者コードに対応したオペレータそれぞれの縫製作業の完了回数を算出することが可能となる。よって、所定の縫製作業の完了回数との関連を示す情報を、当該縫製作業を担当したオペレータの作業者コードと対応して記憶するEEPROM14は「第2の記憶手段」として機能する。
【0018】
次に、作業者情報について詳説する。図3は作業者情報の構成の一例を示す説明図である。作業者情報は少なくとも、作業者コード、作業者名を含む複数のパラメータを一組のデータとして取り扱うよう構成されたテーブル形式のデータ郡である。作業者情報に含まれる作業者コードは作業記録データに含まれる作業者コードと同様のものであり、作業者名は当該作業者コードが示すオペレータの名前である。つまり、作業者情報は作業者コードとオペレータとを関連付けるデータである。よって、複数のオペレータごとに設けられた固有の識別情報である作業者コードを記憶するEEPROM14は「第1の記憶手段」として機能する。
また、作業者コードは上述のように作業記録データにも含まれている。これによって、作業者コードは作業記録データと作業者情報とを関連付けるパラメータとしても機能している。
【0019】
また、作業者情報には、後述する操作パネル30を介した入力操作によって追加入力が可能な作業者属性項目が上述の作業者コード及び作業者名と関連付けられて記憶されている。作業者属性項目としては例えば図2に示すように、就業年数、年齢、利き腕、視力といった所定の属性項目に対するパラメータがあげられる。なお、就業年数は各オペレータの習熟度を、年齢や利き腕、視力等は各オペレータの適性を、それぞれ示す属性項目として機能する。よって、EEPROM14は所定の属性項目におけるオペレータごとの属性値を各オペレータの固有の識別情報と関連付けて記憶する「第3の記憶手段」として機能する。無論、これ以外の属性項目を作業者属性項目として追加してもよい。作業者属性項目の登録方法については後述する。また、以降の説明においては、上述した所定の属性項目に対するパラメータを、作業者コード及び作業者名と識別するために、属性値と称することとする。
【0020】
次に、操作パネルについて詳説する。図4は操作パネル30を示す説明図である。
図1に示すように、操作パネルは、タッチパネル31と、インターフェイス32とを備えている。
タッチパネル31は、ミシン1の各種情報を表示すると共に当該タッチパネルに対するオペレータによる近接、接触あるいは押圧操作を検出して、タッチパネル上で当該検出があった位置とその位置の表示内容とを対応付けてオペレータによる入力内容を判別可能な所謂タッチパネルディスプレイである。なお、タッチパネル31の表示内容の制御及びタッチパネル31に対する入力に応じた各種処理はCPU11がROM12又はEEPROM14から対応する各種ソフトウェア及びデータを呼び出して実行処理する所謂ソフトウェア処理によって行われている。
インターフェイス32は、各種の外部機器を接続可能な端子であり、例えば外部記憶媒体をインターフェイス32に接続することで当該外部記憶媒体に記憶された各種プログラムやデータをミシン1のCPU11から呼び出して実行処理することが可能になると共に、各種プログラム及びデータを当該外部記憶媒体に記憶することが可能となる。
なお、図4に示す操作パネル30のタッチパネル31にはミシン1の電源を入れた直後に表示される画面である準備画面が表示されている状態であり、準備完了ボタンRが操作されると後述する標準画面31Aへと表示内容が遷移する。
【0021】
(標準画面)
図5はタッチパネル31に表示された標準画面31Aの一例を示す説明図である。標準画面31Aには少なくとも、選択されている作業者コードを示すと共に後述する作業者一覧画面31B(図6参照)への遷移を指示入力する作業者コードキーOと、後述する集計対象設定画面31E(図9参照)への遷移を指示入力する情報キーIと、が表示されている。また、オペレータによって選択された縫製パターンの縫いパターンや縫いピッチ、縫製速度その他の情報が縫製パターン表示領域Pに表示されている。標準画面31Aが表示された状態でスタートスイッチ21が操作されるとミシン1による縫製作業が開始され、このとき上述のように縫製開始時刻がCPU11によって取得される。その後糸切りスイッチ22が操作されることで当該縫製作業は終了し、CPU11によって縫製終了時刻が取得される。当該縫製作業の縫製開始時刻、縫製終了時刻、作業者コードキーOに表示された作業者コード及び縫製パターン表示領域Pに表示された縫製パターンのパターンNoは一組のデータとしてデータ番号を付与されて作業記録データ記憶部14aに記憶される。従って、CPU11は、糸切りスイッチ22によって所定の縫製作業の完了が検出される毎に、当該縫製作業の完了回数との関連を示す情報としての縫製終了時刻を、当該所定の縫製作業を担当するオペレータの固有の識別情報と対応させて第2の記憶手段に記憶させる制御手段として機能する。
【0022】
また、標準画面31Aにおいて作業者コードキーOを操作するとタッチパネル31の表示内容が作業者一覧画面31B(図6参照)へと遷移する。また、作業者一覧画面31Bからは作業者情報画面31C(図7参照)へ、作業者情報画面31Cからは作業者情報入力画面31D(図8参照)、作業者属性項目登録画面へと遷移可能であり、これらの各画面において入力操作を行うことでオペレータに関する作業者属性項目(単に、属性項目とも称する)や当該属性項目における各オペレータの属性値を含む各種作業者情報を入力、編集、追加することが可能となっている。以下、オペレータに関する各種作業者属性項目を入力する際に操作パネル30に表示される各種画面について詳説する。
【0023】
(作業者一覧画面)
図6はタッチパネル31に表示された作業者一覧画面31Bの一例を示す説明図である。作業者一覧画面31Bには少なくとも、各作業者コードを個別に表示すると共にそのいずれか一つを選択可能な作業者コードキーO1と、選択された作業者コードキーに対応する作業者コードでの縫製作業を行う旨を入力するEnterキーEと、選択された作業者コードキーに対応する作業者情報を表示する作業者情報画面31C(図7参照)への遷移を指示入力する編集キーDと、が表示されている。
【0024】
作業者コードキーO1には、EEPROM14の作業者情報14bに記憶された作業者コードがそれぞれ個別のキーに表示されており、その何れかひとつを選択することが可能となっている。なお、作業者コードキーO1に限らず選択されたキーはその周囲にたいして凹んだ状態として表示され、非選択のキーはその周囲に対する凹部として表示される。また、図6に示す作業者コードキーO1は6つの作業者コードをそれぞれ示す6つのキーとなっているが、作業者コードキーO1のキー数はEEPROM14の作業者情報14bに記憶された作業者コードの数に応じて変化する。このとき、1画面ですべての作業者コードキーO1が表示できないほど作業者コードの数が多い場合は画面をスクロール表示可能にすることですべての作業者コードの作業者コードキーO1からいずれかひとつを選択可能とするようにしてもよい。
【0025】
また、作業者コードキーO1のいずれかひとつが選択された状態でEnterキーEが操作されると、タッチパネル31の表示内容が標準画面31Aへと遷移する。このとき、標準画面31Aの作業者コードキーOに表示された作業者コードは、遷移前の作業者一覧画面31Bで選択された作業者コードキーO1の作業者コードとなる。つまり、オペレータは作業者一覧画面から自分の作業者コードキーを選択してEnterキーEを操作することで、以後の縫製作業において作業記録データとして記憶される作業者コードキーを自分の作業者コードキーとすることができる。よって、オペレータが所定の縫製作業を開始する際に、EEPROM14に記憶されたオペレータ毎の固有の識別情報から当該縫製作業を担当するオペレータの識別情報を選択する作業者一覧画面31Bは「識別情報選択手段」として機能する。
また、作業者コードキーO1のいずれかひとつが選択された状態で編集キーDが操作されると、タッチパネル31の表示内容が後述する作業者情報画面31C(図7参照)へと遷移する。
【0026】
(作業者情報画面)
図7はタッチパネル31に表示された作業者情報画面31Cの一例を示す説明図である。作業者情報画面31Cには少なくとも、作業者コードを示す作業者コードキーO2と、作業者名を示す作業者名キーNと、作業者属性項目を追加する指示入力を行う項目追加キーTと、が表示されている。作業者コードキーO2又は作業者名キーNを操作すると、タッチパネル31の表示内容が後述する作業者情報入力画面31D(図8参照)へと遷移する。また、項目追加キーTを操作すると、タッチパネル31の表示内容が後述する作業者属性項目登録画面へと遷移する。
【0027】
(作業者情報入力画面)
まず、作業者情報入力画面31Dについて詳説する。
図8は操作パネルに表示された作業者情報入力画面31Dの一例を示す説明図である。作業者情報入力画面31Dには少なくとも、入力対象となるコード(例えば作業者コードや作業者名、または、経験年数等の属性項目)を示す各種文字、数字又は記号を入力するための複数のコード入力キーKと、コード入力キーKによる入力内容が表示される表示エリアAと、表示エリアAに表示された内容で当該コードを確定する旨を入力するEnterキーE1と、表示エリアAに表示された入力内容を破棄して作業者情報画面31Cに戻るキャンセルキーXと、表示エリアAに表示された入力内容の末尾一文字を削除する削除キーBと、表示エリアAのカーソルCの位置を変更するカーソル位置変更キーMと、が表示されている。
【0028】
コード入力キーKを操作すると、各コード入力キーに対応した文字、数字又は記号が操作順に表示エリアAに入力されて表示される。なお、図8に示すコード入力キーKはアルファベット、数字及び各種記号のみに留まっているが、ひらがな又はカタカナによる入力を行うためのキーを加えてもよいし、入力内容を漢字等に変換するための変換キーを設けてもよい。この場合に、各キーが一画面に収まりきらない場合は画面をスクロール表示可能にすることで対応してもよい。
EnterキーE1を操作すると、タッチパネル31の表示内容が作業者情報画面31Cに遷移すると共に、作業者情報入力画面31Dの表示エリアAに表示されていた内容が作業者情報画面の編集対象のコード(例えば作業者コードや作業者名、経験年数等の各属性項目における属性値)に反映される。このとき、EEPROM14の作業者情報記憶部14bに記憶された内容についても、編集対象となったコードに対応するパラメータが作業者情報入力画面31Dの表示エリアAに表示された内容に置き換わる。つまり、作業者情報入力画面31Dでの入力操作によって作業者情報を編集することが可能となる。すなわち、タッチパネル31の作業者情報入力画面31Dは、所定の属性項目に対する各オペレータごとの属性値を入力可能な属性値入力手段として機能する。
【0029】
また、キャンセルキーXを操作すると、表示エリアAに表示された内容は破棄されると共に、タッチパネル31の表示内容が作業者情報画面31Cに遷移する。このとき、編集対象となるコードの置き換えは行われない。また、削除キーBを操作すると表示エリアAに表示された入力内容の末尾一文字を削除することが出来る。また、カーソル位置変更キーMのいずれか一方を操作すると、それぞれの矢印に対応した方向に一文字分ずつ表示エリアAのカーソルCの位置を変更することが出来る。
なお、図8に示す項目表示エリアNには、編集対象となるコード名(例えば「作業者コード」や「作業者名」「経験年数」等)が表示される。
【0030】
(作業者属性項目登録画面)
次に、作業者属性項目登録画面について詳説する。
作業者属性項目登録画面の表示内容は、上述の作業者情報入力画面31Dとほぼ同様の構成である。ただし、項目表示エリアNの表示内容は「作業者属性項目登録」となる。また、EnterキーE1を操作した場合は、表示エリアAの内容が作業者属性項目Qとして追加して登録される。つまり、作業者属性項目登録画面での入力操作によって作業者属性項目を追加することが可能となる。例えば、作業者属性項目登録画面において「年齢」と入力してEnterキーE1を操作することで、図7の作業者情報画面31Cに示す作業者属性項目Qとして「年齢」を追加できる。同様にして「就業年数」の作業者属性項目Qも追加して登録できる。
【0031】
追加登録された作業者属性項目Qの属性値については、上述の作業者情報入力画面31Cにおいて、前述と同様の方法で入力、編集が出来る。各作業者属性項目Qのパラメータを示すキーQ1を操作すると、タッチパネル31の表示内容が作業者情報入力画面31Cへと遷移する。例えば、「就業年数」の欄のキーQ1を操作して作業者情報入力画面31Cへと遷移し、「10」と入力してEnterキーE1を操作すると、図7に示すように「就業年数」の作業者属性項目QのキーQ1に「10」と反映される。
なお、作業者属性項目登録画面への入力によって追加された作業者属性項目は全ての作業者コードの作業者情報に反映され、初期値なしでEEPROM14の作業者情報記憶部14bに記憶される。その後、各作業者コードの作業者情報画面31Cから作業者属性項目QのキーQ1を操作して作業者情報入力画面31Dから入力を行うことで、対応する作業者属性項目の属性値が入力され、EEPROM14の作業者情報記憶部14bに記憶される。よって、作業者一覧画面31Bから選択された作業者に対し、作業者情報画面31Cにおいて就業年数や年齢といったミシンにおける縫製作業の習熟度や適性を示す属性項目を選択し、作業者情報入力画面31Dにより選択された属性項目に対する属性値を入力することで、操作パネル30はミシンのオペレータに対して設定された所定の属性項目に対する識別情報ごとの属性値を入力可能な「属性情報入力手段」として機能する。
【0032】
なお、作業者属性項目の項目数は予め設定された所定の数まで追加することが可能である。作業者情報画面31Cで項目追加キーTを操作した際に、作業者属性項目の項目数が既に予め設定された所定の数だけ設けられていた場合には、これ以上作業者属性項目を追加できない旨を示すエラーが通知される。
【0033】
(縫製作業に関する集計)
次に、縫製作業に関する各種集計を行う際に操作パネルに表示される各種画面について詳説する。なお、本実施の形態における「集計」とは、EEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶された作業記録データから特定の条件に該当するデータのみを対象とし、特定の項目を基準としてデータの数を計数することである。このとき、「特定の項目を基準としてデータの数を計数する」とは、特定の属性項目についてその属性値毎にグループ分けし、同じ属性値を有するデータを一つのグループとして扱いグループ毎のデータ数を計数することである。
図5に示す標準画面31Aの情報キーIを操作すると、タッチパネル31の表示内容が集計対象設定画面31E(図9参照)へと遷移する。集計対象設定画面31Eからは作業者情報選択画面31F(図10参照)、属性項目選択画面31G(図11参照)、開始時刻設定画面及び終了時刻設定画面へと遷移可能であり、これらの各画面において入力操作を行うことでEEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶された作業記録データから縫製作業に関する各種集計を行うことが可能となっている。以下、縫製作業に関する各種集計を行うための各画面について詳説する。
【0034】
(集計対象設定画面)
図9はタッチパネル31に表示された集計対象設定画面31Eの一例を示す説明図である。集計対象設定画面31Eは少なくとも、後述する作業者情報選択画面31F(図10参照)への遷移を指示入力する作業者コードキーO3と、集計の基準とする属性項目を示すと共に後述する属性項目選択画面31G(図11参照)への遷移を指示入力する項目キーVと、作業記録データのうち集計の対象とする縫製パターンNo及び縫製終了時刻の時間帯を表示すると共に、当該縫製パターンNo及び当該時間帯を指定するための各画面への遷移をそれぞれ指示入力するパターン選択キーP、開始時刻キーSA、終了時刻SEキーと、集計結果を表示する各画面を表示するための表示キーUと、を備える。
作業者コードキーO3を操作するとタッチパネル31の表示内容が作業者情報選択画面31F(図10参照)へと遷移する。
【0035】
(作業者情報選択画面)
図10はタッチパネル31に表示された作業者情報選択画面31Fの一例を示す説明図である。作業者情報選択画面31Fには少なくとも、各作業者コードを個別に表示すると共に任意の数のキーを選択可能な作業者コードキーO4と、全ての作業者コードキーO4を選択あるいは選択解除する指示入力を行うためのALLキーALと、作業者の選択完了を指示入力するためのEnterキーE2と、作業者の選択作業を取り消して集計対象設定画面31Eへ戻る指示入力を行うためのキャンセルキーX1と、が表示されている。
【0036】
作業者コードキーO4には、EEPROM14の作業者情報14bに記憶された作業者コードがそれぞれ個別のキーに表示されており、任意の数の作業者コードキーO4を選択することが可能となっている。なお、図11に示す作業者コードキーO4は6つの作業者コードをそれぞれ示す6つのキーとなっているが、作業者コードキーO4のキー数はEEPROM14の作業者情報14bに記憶された作業者コードの数に応じて変化する。このとき、1画面ですべての作業者コードキーO4が表示できないほど作業者コードの数が多い場合は画面をスクロール表示可能にすることですべての作業者コードの作業者コードキーO4を表示するようにしてもよい。なお、ALLキーALを操作すると、全ての作業者コードキーO4が選択された状態となる。その状態でもう一度ALLキーALを操作すると、全ての作業者コードキーO4の選択が解除される。
【0037】
また、作業者コードキーO4が一つ以上選択された状態でEnterキーE2が操作されると、タッチパネル31の表示内容が集計対象設定画面31Eへと遷移する。このとき、作業者情報選択画面31Fで選択された作業者コードキーO4に対応する作業者コードによる縫製作業の履歴が集計対象となる。つまり、CPU11はEEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶された作業記録データに含まれるデータのうち、作業者情報選択画面31Fで選択された作業者コードキーO4に対応する作業者コードが含まれるデータのみを集計の対象として扱う。
また、キャンセルキーX1が操作されると、タッチパネル31の表示内容が集計対象設定画面31Eへと遷移する。このとき、作業者情報選択画面31Fでの入力操作はなかったものとして扱われる。
【0038】
(項目選択画面)
また、図9に示す集計対象設定画面31Eの項目キーVを操作すると、タッチパネル31の表示内容が属性項目選択画面31G(図11参照)へと遷移する。
図11はタッチパネル31に表示された属性項目選択画面31Gの一例を示す説明図である。
属性項目選択画面31Gには少なくとも、集計の基準とすることが可能な属性項目を個別に表示すると共にその何れか一つを選択可能な項目キーV1と、項目の選択完了を指示入力するためのEnterキーE3と、属性項目の選択作業を取り消して集計対象設定画面31Eへ戻る指示入力を行うためのキャンセルキーX2と、が表示されている。
【0039】
項目キーV1には、作業者名及び過去に作業者属性項目登録画面から追加して登録された作業者属性項目がそれぞれ個別のキーに表示されており、その何れか一つを選択可能となっている。
また、項目キーV1の何れか一つが選択された状態でEnterキーE3が操作されると、タッチパネル31の表示内容が集計対象設定画面31Eへと遷移する。このとき、CPU11は後述する集計処理の際に属性項目選択画面31Gで選択された属性項目の属性値を基準とする集計を行う。よって、属性項目選択画面31Gにおいて属性情報として機能する就業年数、年齢、利き腕、視力といった項目を選択することで、当該属性項目の属性値を基準とした集計を指示入力することが可能な属性項目選択画面31Gを表示する操作パネル30は「属性項目選択手段」として機能する。なお、EnterキーE3を操作して属性項目選択画面31Gから集計対象設定画面31Eに遷移した際、選択された項目キーV1の内容が集計対象設定画面31Eの項目キーVに表示される。
また、キャンセルキーX2が操作されると、タッチパネル31の表示内容が集計対象設定画面31Eへと遷移する。このとき、属性項目選択画面31Gでの入力操作はなかったものとして扱われる。
【0040】
(パターンNo入力画面、開始時刻入力画面及び終了時刻入力画面)
また、図9に示す集計対象設定画面31EのパターンNo選択キーを操作すると、タッチパネル31の表示内容が縫製パターンの入力画面(図示略)に遷移し、開始時刻キーSAを操作するとタッチパネル31の表示内容が開始時刻入力画面(図示略)に遷移し、終了時刻キーSEを操作すると終了時刻入力画面(図示略)に遷移する。縫製パターンNo、開始時刻入力画面及び終了時刻入力画面ではそれぞれパターンNo、縫製時刻及び縫製終了時刻を指定入力することが可能となっており、作業記録データのうち、縫製パターンの入力画面で指示入力された縫製パターンNoのデータであって、開始時刻入力画面で入力した時刻から終了時刻入力画面で入力した時間までの間に縫製終了時刻が含まれる作業記録データが集計対象となる。このとき、開始時刻入力画面及び終了時刻入力画面の入力チェック等において、終了時刻が開始時刻の後となるよう入力されなければならないようになっていることが望ましい。なお、各画面で入力された時刻が集計対象設定画面31Eの開始時刻キー、終了時刻キーに表示される。
【0041】
(集計結果の表示)
また、図9に示す集計対象設定画面31Eの表示キーUを操作すると、集計対象設定画面31Eから遷移可能な各画面で設定された項目に基づいてCPU11によって作業記録データの集計処理が行われ、その集計結果が表示される。つまり、CPU11はEEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶された作業記録データのうち、開始時刻入力画面で入力された開始時刻から終了時刻入力画面で入力された終了時刻までの間に縫製開始時刻及び縫製終了時刻が含まれるデータであって、かつ、作業者情報選択画面31Fで選択された作業者コードキーO4に対応した作業者コードを含むデータについて、属性項目選択画面31Gで選択された属性項目の属性値を基準とした集計処理を行い、その集計結果を操作パネル30のタッチパネル31に表示する。よって、CPU11は「集計手段」として機能する。また、操作パネル30は「表示手段」として機能する。
なお、集計結果の表示画面として、後述する一覧表示画面31Hと、グラフ表示画面31Iとが設けられており、そのいずれか一方が表示される。一覧表示画面31Hとグラフ表示画面31Iのいずれを表示するかの選択は、図示しない表示選択画面にて選択が可能となっている。つまり、集計対象設定画面31Eにて表示キーUを操作すると上述の集計作業が行われると共に表示選択画面が表示され、表示選択画面で選択された方の表示画面が表示される。以下、各画面について詳説する。
【0042】
(一覧表示画面)
まず、一覧表示画面31Hについて詳説する。
図12はタッチパネル31に表示された一覧表示画面31Hの一例を示す説明図である。
図12に示すように、一覧表示画面31Hには上述の集計結果が一覧表Lの表形式で表示される。このとき、属性項目選択画面31Gで選択された属性項目の各属性値が一覧表Lの項目L1として表示され、その右側に「枚数」の項目が表示される。また、項目L1の下に続く各行には集計の対象となったデータのうち属性項目L1に示す属性項目に含まれた属性値がそれぞれ表示され、その右側即ち「枚数」欄にそれぞれの属性値を含むデータの数が表示される。例えば、図12に示す例の場合、集計対象の中に「就業年数」の作業者属性項目として記憶されていた属性値は1,2,3,4の4種類があり、それぞれの属性値を有するデータの数は18,23,33,40個であったことが表示されている。なお、データの数は縫製作業の完了回数即ち縫製物の枚数であるので、データ数を集計することで縫製物の枚数が集計できる。
【0043】
(グラフ表示画面)
次に、グラフ表示画面31Iについて詳説する。
図13はタッチパネル31に表示されたグラフ表示画面31Iの一例を示す説明図である。図13に示すように、グラフ表示画面31Iには上述の集計結果がグラフGとして表示される。このとき、グラフGの横軸として属性項目選択画面31Gで選択された属性項目が設定され、縦軸として「枚数」が設定される。なお、グラフGが示す集計結果については上述の一覧表示画面31Hと同様であるので詳細は省略する。
なお、グラフ表示画面31Iに示すグラフGは縦棒グラフであるが、集計結果を示すグラフ形式ならば他のグラフ形式でもよいことは言うまでもない。例えば横棒グラフや折れ線グラフ等でもよい。
【0044】
(ミシンの動作)
次に、上述の操作パネル30を用いた各種入力操作に伴う処理について詳説する。
まず、作業者属性項目登録画面から作業者属性項目を追加登録する際の処理について詳説する。図14は作業者属性項目の追加登録の際の処理動作内容を示すフローチャートである。図15は作業者属性項目の追加登録前後の作業者情報を示す説明図である。なお、図15(a)は追加登録前、図15(b)は追加登録後を示す。
作業者情報画面31Cにて項目追加キーTが操作されると、CPU11はEEPROM14の作業者情報記憶部14bに記憶された現在の作業者属性項目の項目数を取得する(ステップS1)。次に、CPU11はステップS1で取得した項目数が予め定められた所定の数未満であるかどうか判定する(ステップS2)。所定の数未満であった場合(ステップS2:YES)、CPU11は操作パネル30のタッチパネル31の表示内容を作業者属性項目登録画面へ遷移させる(ステップS3)。作業者属性項目登録画面において、オペレータによって属性項目名の入力(ステップS4)及びEnterキーの操作(ステップS5)が行われると、CPU11は作業者情報記憶部14bの作業者情報にステップS4で入力された作業者属性項目を追加して登録する(ステップS6)。なお、図15(a),(b)に示す例では、作業者属性項目として「年齢」が追加登録されている。
なお、ステップS6と共に、CPU11はタッチパネル31の表示内容を作業者情報画面31Cへ遷移させ、処理を終了する。また、ステップS2において項目数が予め定められた所定の数未満でない(ステップS2:NO)、即ち予め定められた所定の数だけ既に作業者属性項目が登録されていた場合、CPU11はこれ以上作業者属性項目を追加できない旨を示すエラー通知を行い(ステップS7)、処理を終了する。
【0045】
次に、作業記録データの集計を行う際の処理について詳説する。図16は作業記録データの集計を行う際の処理動作内容を示すフローチャートである。
まず、集計対象設定画面31Eにてオペレータによって集計対象とする縫製パターンNoの選択(ステップS10)、作業者コードの選択(ステップS11)、集計の基準となる属性項目の選択(ステップS12)、開始時刻の入力(ステップS13)及び終了時刻の入力(ステップS14)が行われる。なお、ステップS11は作業者情報選択画面31Fにおける作業者コードキーO4の選択によって、ステップS12は属性項目選択画面31Gにおける項目キーV1の選択によって行われる。また、ステップS10〜14の順番は特に定められたものでなく、順番が入れ替わってもよい。
その後、表示キーUが操作されると(ステップS15)、CPU11は集計処理を行う(ステップS16)。集計処理の処理動作内容については後述する。集計処理が終了すると、CPU11は集計結果の表示方法を選択するための表示選択画面を表示する(ステップS17)。表示選択画面において一覧表示画面が選択されると(ステップS18:YEs)CPU11はタッチパネル31の表示内容を一覧表示画面に遷移させて集計結果を表示させる(ステップS19)。また、表示選択画面においてグラフ表示画面が選択されると(ステップS20:YES)、CPU11はタッチパネル31の表示内容をグラフ表示画面に遷移させて集計結果を表示させる(ステップS21)。
【0046】
次に、上述のステップS16の集計処理について詳説する。図17は集計処理の処理動作内容を示すフローチャートである。図18は集計処理の一例を作業記録データ、作業者情報及び属性値ごとのカウンタを用いて示す説明図である。
まず、CPU11はRAM13にカウンタnに初期値1を設定する(ステップS31)。次に、CPU11はEEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶された作業記録データのなかに、データ番号nのデータがあるかどうかチェックする(ステップS32)。データ番号nのデータがある場合(ステップS32:YES)、CPU11はデータ番号nのデータを取得する(ステップS33)。その後、CPU11はステップS33で得たデータ番号nのデータの作業者コードが図16に示すフローのステップS11で選択された集計対象としての作業者コードに含まれているかどうか判定する(ステップS34)。作業者コードが集計対象である場合(ステップS34:YES)、CPU11はステップS33で得たデータ番号nのデータの縫製パターンが図16に示すステップS10で入力された集計対象としての縫製パターンNoの縫製パターンであるかどうかチェックする(ステップS35)。縫製パターンが集計対象である場合、CPU11はステップS33で得たデータ番号nのデータの縫製終了時刻が、図16に示すフローのステップS13で入力された開始時刻からステップS14で入力された終了時刻の間の時間(対象時間帯)に含まれるかどうか判定する(ステップS36)。縫製終了時刻が対象時間帯に含まれる場合(ステップS36:YES)、CPU11はステップS33で得たデータ番号nのデータに含まれる作業者コードから作業者情報を参照し、図16に示すフローのステップS12で選択された属性項目における当該作業者コードに対応する作業者の属性値を取得する(ステップS37)。その後、CPU11は、選択された属性項目の属性値ごとに用意されたカウンタの中から該当する属性値のカウンタに対してカウント値を+1する(ステップS38)。その後、CPU11はカウンタnの値を+1する(ステップS39)。その後、ステップS32の処理に戻る。なお、ステップS34において作業者コードが集計対象でない場合(ステップS34:NO)、ステップS35において縫製パターンが集計対象でない場合(ステップS35:NO)、ステップS36において縫製終了時刻が対象時間帯に含まれない場合(ステップS36:NO)は、ステップS39の処理へと移行する。また、ステップ32でデータ番号nのデータがない場合(ステップS32:NO)即ち作業記録データの最後のデータまで集計処理が行われた場合、処理が終了する。
【0047】
ここで、集計の基準となる項目が就業年数であった場合におけるステップS37〜S38の例を示すと、最初に就業年数の属性値が1のデータが取得された場合、CPU11は就業年数1のカウント値を初期値1でRAM13に格納する。次に取得したデータの就業年数の属性値が1であった場合、CPU11はRAM13に格納された就業年数1のカウント値に1を加算する。つまり、就業年数1のカウント値が2になる。次に取得したデータの就業年数の属性値が2であった場合、CPU11はRAM13に就業年数2のカウント値を初期値1でRAM13に格納する。つまり、RAM13には就業年数1のカウント値が2、就業年数2のカウント値が1で格納されている状態となる。かようにして就業年数の属性値ごとにカウント値が集計される。各表示画面(一覧表示画面又はグラフ表示画面)では、当該カウント値が就業年数毎の枚数として表示される。
【0048】
(本発明によるミシンの作用効果)
上述の実施の形態によれば、操作パネル30に表示された作業者属性項目登録画面から就業年数、年齢、利き腕、視力といった属性情報となる作業者属性項目を登録し、当該作業者属性項目について作業者情報入力画面31Dからその属性値を入力することによってミシンによる縫製作業の習熟度や適性を示す属性情報をオペレータ毎に入力可能である。また、CPU11が、オペレータ毎に設けられた作業者コードと当該オペレータの作業者属性項目とを、EEPROM14に関連付けて記憶する。さらに、CPU11が作業者属性項目の属性値を基準として縫製作業の完了回数を集計し、集計結果が一覧表示画面31H又はグラフ表示画面31Iとして操作パネル30に表示される。つまり、ミシンの各オペレータの所定の属性項目に対する属性値を基準として、所定の縫製パターンの縫製作業の完了回数を集計することにより、オペレータは一覧表示画面31H又はグラフ表示画面31Iに表示された集計結果を確認することで作業者の属性項目と縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数との対応関係を把握することが可能となる。従って、縫製工場の管理者等は、当該対応関係からオペレータ毎の習熟度や適性に応じて人員配置や作業分担を行うことで組織的な効率向上を図ることが可能となる。よって、各オペレータの習熟度や適性と縫製作業の完了回数との関係を把握できないためにオペレータ毎の習熟度や適性に応じた的確な人員配置や作業分担ができず、組織的な効率向上が図れないといった従来のミシンの問題点を解消できる。
また、作業者属性項目登録画面を介して任意の作業者属性項目を追加登録可能であるので、縫製工場の管理者やオペレータは集計の基準としたい属性情報を示す作業者属性項目を任意に追加登録でき、より詳細、好適にオペレータの習熟度や適性と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。従って、例えば職位やオペレータのグループ分け等の組織情報等も属性項目として追加登録し、各グループを基準とした縫製作業の出来高の集計も可能となり、任意の基準による集計が可能となる。
【0049】
さらに、属性項目選択画面31Gを介して属性情報を示す作業者属性項目を含む項目キーV1のうちいずれか一つを選択可能であり、CPU11は属性項目選択画面31Gにおいて選択された属性項目の属性値を基準として集計を行う。よって、作業者属性項目が複数設けられている場合に、作業者属性項目に対応した項目キーV1のいずれかひとつを選択することにより、当該作業者属性項目と縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数との対応関係を集計して把握することが可能となる。かような集計を作業者属性項目ごとに行えば、各作業者属性項目と縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数との対応関係を集計して把握することが可能となる。よって、より詳細、好適にオペレータの習熟度や適性と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
【0050】
さらに、操作パネル30は一覧表示画面31Hによって作業者属性項目の属性値を項目に含む一覧表Lの形式でCPU11による集計結果を表示可能である。よって、作業者属性項目による集計を行った場合には、当該作業者属性項目と縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数との対応関係を一様に表示できると共に、作業者属性項目の属性値の差異による縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数の変化を明確に把握することが可能となる。従って、より好適にオペレータの習熟度や適性と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
【0051】
さらに、操作パネル30はグラフ表示画面31Iによって作業者属性項目の属性値を項目に含むグラフGの形式でCPU11による集計結果を表示可能である。よって、属性情報を示す作業者属性項目による集計を行った場合には、当該作業者属性項目と縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数との対応関係を一様に表示できると共に、作業者属性項目の属性値の差異による縫製物の枚数即ち縫製作業の完了回数の変化を明確に把握することが可能となる。従って、より好適にオペレータの習熟度や適性と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
さらに、表示選択画面で集計結果を一覧表示画面31H又はグラフ表示画面31Iのいずれか一方で表示するよう選択可能であり、オペレータの要望に応じて集計結果の表示を一覧表L及びグラフGの形式のいずれでも表示できる。よって、より集計結果を把握しやすい表示形式を選択することが可能となり、一層好適にオペレータの習熟度と縫製作業の出来高との関係を把握可能となる。
【0052】
(その他)
なお、上述の実施の形態では、属性項目選択画面31Gで選択した項目の属性値を基準とした集計を行っているが、他の属性値を基準とした集計を行えるようにしてもよい。例えばピッチタイム(直前の縫製作業の縫製終了時刻からその縫製作業の縫製終了時刻までの時間)に所定の基準となる区切り(例えば20[秒]以下、21〜40[秒]、41〜60[秒]、61〜80[秒]、80[秒]以上)を設け、EEPROM14の作業記録データ記憶部14aに記憶された各データについてそれぞれどの区切りに含まれるかを集計し、表示するようにしてもよい。なお、直前の縫製終了時刻が存在しない最初の縫製作業については、その縫製作業の縫製開始時刻から縫製終了時刻までをピッチタイムとする。また、この場合でも上述の実施の形態における集計のように特定の作業者コード、特定の対象時間帯に含まれるデータのみを集計対象とするようにしてもよいことは言うまでもない。
また、上術の実施の形態では、所定の縫製作業の完了回数として、所定の縫製パターンの縫製作業の完了回数を集計しているが、定められた縫製作業であれば縫製パターンを必要としない縫製作業の完了回数を集計しても良い。
また、上述の実施の形態では、縫製の終了時刻を糸切りスイッチの入力のタイミングで記録しているが、複数回の糸切りを要する縫製作業の終了時刻を記録する場合は、糸切りスイッチとは別に、操作スイッチを設け、この操作スイッチが操作された時刻を所定の縫製作業の終了時刻として良い。
【0053】
さらに、集計の方法は上述の実施の形態に限定されない。
図19は他の集計方法及びその表示方法の一例を示す説明図である。例えば図19に示すように、集計の基準となる属性項目の属性値(例えば就業年数等)ごとに該当する作業者コード(又は作業者名)を識別可能に表示して、それぞれの作業者コード(又は作業者名)ごとの枚数を表示するようにしてもよい。このとき、図19に示すように、集計の基準となる属性項目の属性値ごとの総計枚数、総計枚数を各パラメータ毎の人数で割った平均枚数等を併せて算出し、表示するようにしてもよい。
【0054】
また、本発明の特徴を逸脱しない範囲であれば、上述の実施の形態とは異なる構成によってもよい。例えば、上述の実施の形態においてはCPU11によるソフトウェア処理によって各種処理を行っているが、各処理に専用の装置を設けてもよい。
また、上述の実施の形態では、選択された属性項目の属性値を基準とした集計結果を操作パネル30に表示しているが、ミシン1にパソコン、プリンタ等の外部機器やメモリーカード等の記憶素子に接続するための不図示の外部インターフェースを設け、上述の集計結果を上述の集計結果をこれら外部機器や記憶素子に出力して、外部機器や記憶素子を介して集計結果をできるようにしても良いことは、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明にかかるミシンの制御部及び制御部に接続された各部の主要構成を示すブロック図である。
【図2】作業記録データの構成を示す説明図である。
【図3】作業者情報の構成の一例を示す説明図である。
【図4】操作パネルを示す説明図である。
【図5】タッチパネルに表示された標準画面の一例を示す説明図である。
【図6】タッチパネルに表示された作業者一覧画面の一例を示す説明図である。
【図7】タッチパネルに表示された作業者情報画面の一例を示す説明図である。
【図8】操作パネルに表示された作業者情報入力画面の一例を示す説明図である。
【図9】タッチパネルに表示された集計対象設定画面の一例を示す説明図である。
【図10】タッチパネルに表示された作業者情報選択画面の一例を示す説明図である。
【図11】タッチパネルに表示された項目選択画面の一例を示す説明図である。
【図12】タッチパネルに表示された一覧表示画面の一例を示す説明図である。
【図13】タッチパネルに表示されたグラフ表示画面の一例を示す説明図である。
【図14】作業者属性項目の追加の際の処理動作内容を示すフローチャートである。
【図15】作業者属性項目の追加前後の作業者情報を示す説明図である。なお、図15(a)は追加前、図15(b)は追加後を示す。
【図16】作業記録データの集計を行う際の処理動作内容を示すフローチャートである。
【図17】集計処理の処理動作内容を示すフローチャートである。
【図18】集計処理の一例を作業記録データ、作業者情報及びパラメータ値ごとのカウンタを用いて示す説明図である。
【図19】他の集計方法及びその表示方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
11 CPU
13 RAM
14 EEPROM
21 スタートスイッチ
22 糸切りスイッチ
30 操作パネル
31 タッチパネル
31B 作業者一覧画面
31C 作業者情報画面
31D 作業者情報入力画面
31E 集計対象設定画面
31G 属性項目選択画面
31H 一覧表示画面
31I グラフ表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンによる所定の縫製作業の完了を検出する検出手段と、
ミシンのオペレータごとに設けられた固有の識別情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段から、前記所定の縫製作業を担当するオペレータの前記識別情報を選択する識別情報選択手段と、
前記所定の縫製作業の完了回数との関連を示す情報を、当該縫製作業を担当したオペレータの固有の識別情報と対応して記憶する第2の記憶手段と、
前記検出手段によって前記縫製作業の完了が検出される毎に、前記所定の縫製作業の完了回数との関連を示す情報を、当該縫製作業を担当したオペレータの固有の識別情報と対応して前記第2の記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えたミシンにおいて、
所定の属性項目に対する前記ミシンのオペレータごとの属性値を入力可能な属性値入力手段と、
前記属性値を前記識別情報と関連付けて記憶する第3の記憶手段と、
前記完了回数との関連を示す情報から前記属性値を基準として前記縫製作業の完了回数を集計する集計手段と、
前記集計手段による集計結果を表示可能な表示手段、または、前記集計結果を外部に出力する出力手段の少なくとも一方と、を備えることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記属性項目のうちいずれか一つを選択可能な属性項目選択手段を備え、
前記集計手段は前記属性項目選択手段によって選択された前記属性項目における属性値を基準として前記縫製作業の完了回数を集計することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記表示手段は前記属性値を項目に含む表形式で前記集計手段による集計結果を表示可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
【請求項4】
前記表示手段は前記属性値を項目に含むグラフ形式で前記集計手段による集計結果を表示可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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