ミラーアーム保持機構
【課題】ミラーアームが格納位置とは反対方向へ倒れてしまうことを防止することが出来て、過度な抵抗を感じることなくミラーアームを格納することが出来るミラーアーム保持機構の提供。
【解決手段】ミラーアーム(1)を支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(6、6A、6B)とを有しており、該弾性体(6、6A、6B)は、ミラーアーム(1)が格納位置へ移動する方向に付勢している。
【解決手段】ミラーアーム(1)を支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(6、6A、6B)とを有しており、該弾性体(6、6A、6B)は、ミラーアーム(1)が格納位置へ移動する方向に付勢している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式サイドミラー、詳細にはトラック用ドアミラーのミラーアーム保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車効率の向上のため、自動車用ドアミラーとして格納式ドアミラー(サイドミラー)が普及している。係る格納式サイドミラーは、ミラー本体における鏡面の向きが電動モータによって変えられる可動式鏡面タイプが多い。
【0003】
図11は、格納式サイドミラー100における通常時の状態を示し、図12は格納時の状態を示している。
鏡面駆動用電動モータを装備したサイドミラー100では、モータを含むミラー本体Mの質量は大きい。ミラー本体Mの質量が大きければ、急発進時や、急加速時や、或は、急激なドア開閉操作時には、ミラーアームAの付け根(ヒンジ部)Hには衝撃トルクが作用する。そして、そのような動作を続けるうち、ミラーアームAの付け根(ヒンジ部)Hに緩みが生じてしまう。
【0004】
そのような緩みを防止するため、ミラーMを支持しているミラーアームAの付け根(ヒンジ部)Hの取付ボルト(調整ボルト)の締付けトルクを大きく設定し、アーム回転起動時の保持トルクを大きくしている。
しかし、アーム回転起動時の保持トルクを大きくすれば、格納時に大きな力を必要とし、格納作業がやり難くなる。
図11、図12において、符号Cは自動車の車体を示している。
【0005】
ここで、ミラーアーム取付け構造が種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかし、特許文献1及び特許文献2では、格納時及び、通常位置への戻し時の操作作業を軽減するような構造とはなっていない。
また、特許文献3では、その目的が、ミラー回転時の、車体とミラーとの干渉を防止することであり、何ら上述した問題を解決するものではない。
【特許文献1】実開昭63−151339号公報
【特許文献2】実開平3−83135号公報
【特許文献3】実開平6−942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ミラーアームが格納位置とは反対方向へ倒れてしまうことを防止することが出来て、過度な抵抗を感じることなくミラーアームを格納することが出来るミラーアーム保持機構の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のミラーアーム保持機構は、ミラーアーム(1)を支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(例えば巻ばね6)とを有しており、該弾性体(6)は、ミラーアーム(1)が格納位置へ移動する方向に付勢している事を特徴としている(請求項1)。
【0008】
本発明において、前記弾性体(6)は(いわゆる)巻ばねで構成され、該巻ばね(6)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢するのが好ましい(請求項2)。
【0009】
また本発明において、前記弾性体は(いわゆる)ぜんまい状の渦巻ばね(6A)で構成され、該渦巻ばね(6A)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢するのが好ましい(請求項3)。
【0010】
さらに本発明において、軸部を支持する支持部材(ミラーブラケット3)を有し、前記弾性体(6B)は板ばねで構成され、該板ばね(6B)は一端が前記支持部材(ミラーブラケット3)側に固定され、他端がミラーアーム側(アームベース2)と係合しているのが好ましい(請求項4)。
【0011】
或いは本発明のミラーアーム保持機構は、ミラーアームを支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体と、ミラーアーム(1)に取り付けられた第2の弾性体(70)とを有しており、第2の弾性体(70)は一端が突起部(83)に係止され、該突起部(83)は軸部(42F)に形成された凹部(47)に嵌合可能に構成されており、該凹部(47)は、ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する際に嵌合を解除する形状に形成されている事を特徴としている(請求項5)。
ここで、第2の弾性体としては、いわゆる「巻ばね」を用いる事が出来る。
【0012】
本発明において、ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する方向に付勢している弾性体(6、6A、6B)のトルクTspは、
Tsp ≧F×L−Tho なる式で示され、
Fはミラー(M)に作用する力、Lはミラーアーム(1)の長さ、Tho はミラーアーム(1)を支持する軸部(4)にアーム取付けボルト(5)で締結することにより生じる保持トルクである(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明によれば、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(6:例えば、つる巻きばね6)を有しているので、当該弾性体(6)の弾性反発力を、アームが格納方向とは反対の方向(アーム倒れの方向)に移動するのを阻止する方向に作用させることにより、アーム倒れを防止することが出来る。
すなわち、ミラーアーム(1)を例えばアーム取付けボルト(5)で締結することによる保持トルクに加えて、弾性体(6)の弾性反発力を作用させることにより、ミラーアーム(1)が格納方向とは反対の方向へ移動してしまう事態(アーム倒れ)を防止することが出来るのである。
【0014】
また、ミラー本体に、例えば急発進時等の際に車両後方に向う力(F:図4参照)が作用しても、締結部が緩むことなく、例えばアーム取付けボルト(5)の保持トルクと、弾性体(6、6A、6B)の弾性反発力(Tsp)との合力により、もちこたえることが出来る。
【0015】
そして本発明によれば、弾性体(6、6A、6B)の弾性反発力(Tsp)は、ミラーアーム倒れの方向については抵抗となるが、ミラーアーム(1)を格納する方向については、アシストする。あるいは、ミラーアーム1が格納されることを妨げない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1、図2において、全体を符号101で示すミラーアーム保持機構は、ミラーアーム1と、アームベース2と、ミラーアーム取付用のミラーブラケット3と、シャフト4と、取付けボルト5と、第1の弾性手段7と、第2の弾性手段6とを有している。
以下において、「第1の弾性手段」をコイルスプリング7、「第2の弾性手段」をつる巻きばね6と記載する。
【0017】
アームベース2は、ボルト頭部収容部21と、環状隙間部22と、水平空間部23とを有している。
図2で示す様に、水平空間部23の先端23eと、ミラーアーム1の一方の端部1eとは、例えば嵌合によって接続されている。
ボルト頭部収容部21は、図1の上方側が開放し、下方側が閉塞した円筒状に形成され、下方の閉塞部24には取付けボルト5の挿通孔25が形成されている。環状隙間部22は、ボルト頭部収容部21の円筒外周側に形成され、この環状隙間部22につる巻きばね6(後述する「つる巻き部61」)が収容されるように構成されている。水平空間部23は、環状隙間部22と直交する方向に延在し、且つ、環状隙間部22と連通するように形成されている。
【0018】
ミラーブラケット3は、垂直部31と水平部32とを有し、垂直部31は、例えば、ドアパネルPに公知の手段(例えば図示しない取付けボルト)によって取付けられる。水平部32には、中央にシャフト4の貫通孔33と、適所につる巻きばね6(の後述する下方の端部63)を係止するためのばね端部係止孔34、及び鋼球(ラチェットボール)10を収容するための半球状のボール穴35が形成されている。
【0019】
シャフト4は、軸部41と上端にフランジ42を有し、軸部41の下端近傍にはピン孔43が形成されている。そのピン孔43の上方には、座金状のスプリングシート8が介装され、ピン孔43にはスプリングシート8を軸部41から脱落しないように係止するスプリングシート係止用ピン9が装着されている。
【0020】
シャフト4は、軸部41がミラーブラケット3のフランジ32の貫通孔33に挿通されている。そして、シャフト4のフランジ42の下面側が、ミラーブラケットの水平部32の上面に当接している。
また、フランジ42の下面側にはボール穴44が形成され、ボール穴44は鋼球(ラチェットボール)10を収容する様に半球状に形成されている。
ボール穴44と、前述のミラーブラケットに形成されたボール穴35とは、通常時において位置が整合している。
【0021】
シャフト4の軸部41において、ミラーブラケット3の水平部32裏面(図1では下面)側とスプリングシート8との間の領域には、予め圧縮された状態のコイルスプリング7が介装されている。
【0022】
シャフト4のフランジ42側端面の半径方向中央には盲孔が穿孔され、該盲孔には雌ねじ45が形成されている。図1及び以下の記載においては、盲孔及び雌ねじ45を符号45で代表して表現する。
雌ねじ45には、アーム取付けボルト5の雄ねじが螺合している。
アーム取付けボルト5の軸部51と、前記アームベース2の取付ボルトの挿通孔25とは、軸方向の摺動は許容するが、相対回転は出来ないように構成されている(例えば、互いの断面が円形ではない様に構成されている)。
そして、アームベース2とアーム取付けボルト5と螺合したシャフト4は、一体となって回転するように構成されている。
【0023】
つる巻きばね6は、つる巻き部61と、図1における上方の端部62と、図1における下方の端部63とを有している。
図2において、つる巻きばね6の上方の端部62は、つる巻き部61から先の部分が水平空間部23の一方の垂直壁23wに沿って延在しており、先端部は水平空間部23の先端の内壁23ewに当接して配置されている。
一方、つる巻きばね6の下方の端部63は、図1における垂直方向下方に曲げられ、ミラーブラケット3に形成されたばね端部係止孔34に挿入されている。
【0024】
ここで、つる巻きばね6は、ミラーが通常の状態(格納位置ではない正規の位置)では、予め巻き込まれるようにして、付勢されている。
なお、図2では、車体右側のミラーの保持機構における通常状態を示している。
【0025】
ミラーを格納する場合は、例えば、ミラーアーム1の先端近傍(ミラー側の領域:図1、図2では図示せず)を掴んで、図2における上方へ少し強い力で押してやる。すると、図3に示すように、アーム1、アームベース2の回転と共にシャフト4が回転して、シャフト4が上昇する。
シャフト4が上昇すると、シャフト4のフランジ42裏面に形成されたボール穴44が、鋼球10の位置から外れる。ボール穴44が鋼球10の位置から外れると、フランジ42裏面のボール穴の形成してない部分と鋼球10が接触する。
フランジ42裏面のボール穴44の形成してない部分と鋼球10とは点接触をしており、摩擦係数が小さいので、シャフト4及びミラーアーム1は、つる巻きばね6の弾性反発力に付勢される。そのため、ミラーアーム1は、小さな力で容易に格納位置まで回転移動する。
【0026】
ドアミラーの付いたドアを勢いよく閉める際等には、ミラーを格納位置に移動する際の移動方向とは反対方向に、ミラー本体の質量による力が作用することがある。
その様な場合におけるミラー本体の質量による力は、シャフト4回りに強く作用して、いわゆる「アーム倒れ」を惹起するので、ミラーアーム保持機構101を損傷させる恐れがある。
図1〜図5の第1実施形態では、ミラーアーム1が通常位置に存在する場合に、常時つる巻きばね6の弾性反発力が作用する。そのため、ドアを強く閉めた際に、上述したミラー本体の質量による力(ミラーを格納位置に移動する際の移動方向とは反対方向に作用する力)よりも、アーム取付けボルト5の保持トルクとつる巻きばね6の弾性反発力との合力が強くなるように設定れば、ミラーアームが格納方向とは反対側に移動してしまうこと(アーム倒れ)と、それに起因する保持機構の損傷を回避することが出来る。
【0027】
図4はミラーMに作用する力によるモーメント(トルク)の釣り合いをモデル化して示している。
図4において、符号FはミラーMに作用する力を示し、符号Lをミラーアーム1の回転中心からミラーMの質量の中心までの距離(ミラーアームの長さ)を示している。そして、符号Thoは、ミラーアーム1を、アーム取付けボルト5により、軸部4に締結することにより生じる保持トルク(ミラーアーム1を支持する軸部の抵抗トルク)を示している。
【0028】
つる巻きばね6により、ミラーアーム1を格納位置へ移動する方向に付勢するトルクTspは、 Tsp ≧F×L−Tho なる式で示される。
換言すれば、つる巻バネ6は、そのトルクTsp(ミラーアーム1を格納位置へ移動する方向に付勢するトルク)が、式
Tsp ≧F×L−Tho
を満たすように設計されている。
【0029】
ミラーアーム1は、図4に示すように現実には、θなる角度で、斜め後方を向いて配置されている。図5は、θをパラメータとした場合の、ミラーアーム長さLと保持トルクThoとの関係を示している。
図4において、符号Pはドアパネルを示している。
図5に示すように、ミラーアームの長さL及びドアパネルPの垂線に対するミラーアーム1の傾きθによって、保持トルクの大きさが異なる。
【0030】
図6、図7は、本発明の第2実施形態を示している。
第1実施形態のミラーアーム保持機構101では、第2の弾性体をつる巻きばねとしている。
これに対して、図6、図7の第2実施形態に係るミラーアーム保持機構102では、第2の弾性体を渦巻ばね6Aによって構成している。第2の弾性体を渦巻ばね6Aに変更したことにより、図6、図7の第2実施形態においては、第2の弾性体の端部をミラーアームベース2及びミラーブラケット3へ係止する形態が、第1実施形態とは異なっている。
以下、図6、図7の第2実施形態について、主として第1実施形態と異なる点について説明する。
【0031】
図6、図7において、ぜんまい状に構成された渦巻ばね6Aは、ミラーアームベース2への係止部62Aが、渦巻ばね6Aの半径方向内方側の終点から概略直角の方向に折り曲げられている。そして渦巻ばね6Aの係止部62Aは、図示しないスリットに挿入されて係止されており、当該図示しないスリットは、ミラーアームベース2において、円筒状のボルト頭部収容部21の外周21oに設けられている。
他方、渦巻ばね6Aにおけるミラーブラケット3への係止部63Aは、渦巻ばね6Aの半径方向外方側の終点からU字状に曲げられており、当該係止部63Aはピン36(図7に示し、図6では図示を省略)に係止されている。そして、ピン36は、ミラーブラケット3のフランジ32の上面に立設されている。
【0032】
図6、図7の第2実施形態は、上記以外の構成及び作用効果に関しては、図1、図2の第1実施形態と同様である。
【0033】
図8、図9は、本発明の第3実施形態を示している。
第1実施形態に係るミラーアーム保持機構101では、第2の弾性体をつる巻きばねとしている。
これに対して、図8、図9の第3実施形態のミラーアーム保持機構103では、第2の弾性体を、重ね板ばね6Bにより構成している。
【0034】
図8、図9において、重ね板ばね6Bの先端62Bは、第1実施形態と同様に、アームベース2における水平空間部23の先端の内壁23ewに当接するように配置されている。
一方、重ね板ばね6Bの付け根63Bは、ミラーブラケット3のフランジ32の上面に立設された支柱37(図7に示し、図6では図示を省略)に係止されている。
【0035】
図8、図9において、重ね板ばね6Bの長さが異なっているのは、ミラーアーム1が格納位置へ移動するのとは反対側の方向へ移動するのを阻止するためのトルクTspについて、理想的な特性を与えるためである。
係るトルクTspについて線形な特性を与える場合には、重ね板ばね6Bの長さを同一にすれば良い。
図8、図9の第3実施形態における上記以外の構成及び作用効果については、図1、図2の第1実施形態と同様である。
【0036】
図10は、本発明の第4実施形態を示している。
図1〜図9の各実施形態では、第2の弾性部材6、6A、6Bは、ミラーアーム1が格納位置へ移動する方向に付勢している。
これに対して、図10の第4実施形態のミラーアーム保持機構104では、第2の弾性体はミラーアーム1が格納位置へ回動する場合に、後述する嵌合を解除するものであり、ミラーアーム1が格納位置へ移動する方向に付勢する作用は奏していない。
以下、図10に基づいて第4実施形態を説明する。
【0037】
図10は、第4実施形態に係るミラーアーム保持機構104の通常時の状態を示している。
図10において、アームベース2の水平空間部23には、アームベース2の中心線Lc上に、押圧ロッド80とコイルスプリング70が配置されている。また、アームベース2の水平空間部23と、ミラーアーム1の端部との間には、スプリングシート90が固定されている。
【0038】
押圧ロッド80は、一方の端部(図10の左端)にフランジ81を有し、他端には雄ねじ82が形成されている。スプリングシート90にはロッド挿通孔91が形成されており、ロッド挿通孔91には押圧ロッド80の雄ねじ82側の端部が挿通している。
押圧ロッド80のフランジ81の端面には、半球状の突起83が形成されている。
【0039】
一方、シャフト4(図1)のフランジ42(図1)の外周部42Fには、凹部47が形成されており、凹部47は押圧ロッド80の突起83を収容している。
凹部47の断面形状は、ミラーアーム1の中心線Lcよりも図10において下方側の領域は、半球状の突起83と相補的な形状である。しかし、ミラーアーム1の中心線Lcよりも図10において上方側の領域は、緩やかな傾斜でフランジの外周42Fに連続するように形成されている。
【0040】
ミラーアーム1が図10で示す通常状態の位置にあれば、凹部47の断面形状は上述した様に構成しているので、コイルスプリング70の付勢によって、押圧ロッド80の半球状の突起83は、シャフトの外周42Fに形成された凹部47に嵌合した状態を維持する。
一方、ミラーアーム1が格納位置へ移動する場合には、半球状の突起部83は、凹部47の緩やかな傾斜でフランジの外周42Fに連続する領域(図10において、中心線Lcよりも上方側の領域)を滑動して、凹部47からの嵌合を解除する。
【0041】
半球状の突起部83が凹部47からの嵌合を解除する結果、ミラーアーム1を格納する場合には、コイルスプリング70の抵抗は作用せず、ミラーアーム1の先端を持って、図10における上方にアームを押せば、格納箇所まで容易に移動する。
これに対して、ミラーアーム1に倒れ込み方向に移動しようとする力が作用した場合には、半球状の突起部83は凹部47に嵌合した状態を維持するので、弾性反発力を発揮している状態のコイルスプリング70が、倒れ込み方向に対する抵抗として作用する。
なお、図10における符号Nは、押圧ロッド80の雄ねじ82に螺合するナットを示している。
【0042】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態の縦断面図。
【図2】図1に対応する平面図。
【図3】第1実施形態でミラーを格納位置に移動する状態を示す図。
【図4】第1実施形態において、ミラーに作用するトルクをモデル化して示す図。
【図5】第1実施形態におけるミラーアームの長さと保持トルクとの関係を示す特性図。
【図6】本発明の第2実施形態を示す縦断面図。
【図7】図6に対応する平面図。
【図8】本発明の第3実施形態を示す縦断面図。
【図9】図8に対応する平面図。
【図10】本発明の第4実施形態を示す平面図。
【図11】格納式サイドミラーの通常時の状態を示す平面図。
【図12】格納式サイドミラーにおける格納時の状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0044】
1・・・ミラーアーム
2・・・アームベース
3・・・ミラーブラケット
4・・・シャフト
5・・・アーム取付けボルト
6・・・第1の弾性体/つる巻きばね
7・・・第2の弾性体/コイルスプリング
8・・・スプリングシート
9・・・スプリングシート係止用ピン
10・・・鋼球
101・・・ミラーアーム保持機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式サイドミラー、詳細にはトラック用ドアミラーのミラーアーム保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車効率の向上のため、自動車用ドアミラーとして格納式ドアミラー(サイドミラー)が普及している。係る格納式サイドミラーは、ミラー本体における鏡面の向きが電動モータによって変えられる可動式鏡面タイプが多い。
【0003】
図11は、格納式サイドミラー100における通常時の状態を示し、図12は格納時の状態を示している。
鏡面駆動用電動モータを装備したサイドミラー100では、モータを含むミラー本体Mの質量は大きい。ミラー本体Mの質量が大きければ、急発進時や、急加速時や、或は、急激なドア開閉操作時には、ミラーアームAの付け根(ヒンジ部)Hには衝撃トルクが作用する。そして、そのような動作を続けるうち、ミラーアームAの付け根(ヒンジ部)Hに緩みが生じてしまう。
【0004】
そのような緩みを防止するため、ミラーMを支持しているミラーアームAの付け根(ヒンジ部)Hの取付ボルト(調整ボルト)の締付けトルクを大きく設定し、アーム回転起動時の保持トルクを大きくしている。
しかし、アーム回転起動時の保持トルクを大きくすれば、格納時に大きな力を必要とし、格納作業がやり難くなる。
図11、図12において、符号Cは自動車の車体を示している。
【0005】
ここで、ミラーアーム取付け構造が種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかし、特許文献1及び特許文献2では、格納時及び、通常位置への戻し時の操作作業を軽減するような構造とはなっていない。
また、特許文献3では、その目的が、ミラー回転時の、車体とミラーとの干渉を防止することであり、何ら上述した問題を解決するものではない。
【特許文献1】実開昭63−151339号公報
【特許文献2】実開平3−83135号公報
【特許文献3】実開平6−942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ミラーアームが格納位置とは反対方向へ倒れてしまうことを防止することが出来て、過度な抵抗を感じることなくミラーアームを格納することが出来るミラーアーム保持機構の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のミラーアーム保持機構は、ミラーアーム(1)を支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(例えば巻ばね6)とを有しており、該弾性体(6)は、ミラーアーム(1)が格納位置へ移動する方向に付勢している事を特徴としている(請求項1)。
【0008】
本発明において、前記弾性体(6)は(いわゆる)巻ばねで構成され、該巻ばね(6)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢するのが好ましい(請求項2)。
【0009】
また本発明において、前記弾性体は(いわゆる)ぜんまい状の渦巻ばね(6A)で構成され、該渦巻ばね(6A)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢するのが好ましい(請求項3)。
【0010】
さらに本発明において、軸部を支持する支持部材(ミラーブラケット3)を有し、前記弾性体(6B)は板ばねで構成され、該板ばね(6B)は一端が前記支持部材(ミラーブラケット3)側に固定され、他端がミラーアーム側(アームベース2)と係合しているのが好ましい(請求項4)。
【0011】
或いは本発明のミラーアーム保持機構は、ミラーアームを支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体と、ミラーアーム(1)に取り付けられた第2の弾性体(70)とを有しており、第2の弾性体(70)は一端が突起部(83)に係止され、該突起部(83)は軸部(42F)に形成された凹部(47)に嵌合可能に構成されており、該凹部(47)は、ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する際に嵌合を解除する形状に形成されている事を特徴としている(請求項5)。
ここで、第2の弾性体としては、いわゆる「巻ばね」を用いる事が出来る。
【0012】
本発明において、ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する方向に付勢している弾性体(6、6A、6B)のトルクTspは、
Tsp ≧F×L−Tho なる式で示され、
Fはミラー(M)に作用する力、Lはミラーアーム(1)の長さ、Tho はミラーアーム(1)を支持する軸部(4)にアーム取付けボルト(5)で締結することにより生じる保持トルクである(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明によれば、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(6:例えば、つる巻きばね6)を有しているので、当該弾性体(6)の弾性反発力を、アームが格納方向とは反対の方向(アーム倒れの方向)に移動するのを阻止する方向に作用させることにより、アーム倒れを防止することが出来る。
すなわち、ミラーアーム(1)を例えばアーム取付けボルト(5)で締結することによる保持トルクに加えて、弾性体(6)の弾性反発力を作用させることにより、ミラーアーム(1)が格納方向とは反対の方向へ移動してしまう事態(アーム倒れ)を防止することが出来るのである。
【0014】
また、ミラー本体に、例えば急発進時等の際に車両後方に向う力(F:図4参照)が作用しても、締結部が緩むことなく、例えばアーム取付けボルト(5)の保持トルクと、弾性体(6、6A、6B)の弾性反発力(Tsp)との合力により、もちこたえることが出来る。
【0015】
そして本発明によれば、弾性体(6、6A、6B)の弾性反発力(Tsp)は、ミラーアーム倒れの方向については抵抗となるが、ミラーアーム(1)を格納する方向については、アシストする。あるいは、ミラーアーム1が格納されることを妨げない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1、図2において、全体を符号101で示すミラーアーム保持機構は、ミラーアーム1と、アームベース2と、ミラーアーム取付用のミラーブラケット3と、シャフト4と、取付けボルト5と、第1の弾性手段7と、第2の弾性手段6とを有している。
以下において、「第1の弾性手段」をコイルスプリング7、「第2の弾性手段」をつる巻きばね6と記載する。
【0017】
アームベース2は、ボルト頭部収容部21と、環状隙間部22と、水平空間部23とを有している。
図2で示す様に、水平空間部23の先端23eと、ミラーアーム1の一方の端部1eとは、例えば嵌合によって接続されている。
ボルト頭部収容部21は、図1の上方側が開放し、下方側が閉塞した円筒状に形成され、下方の閉塞部24には取付けボルト5の挿通孔25が形成されている。環状隙間部22は、ボルト頭部収容部21の円筒外周側に形成され、この環状隙間部22につる巻きばね6(後述する「つる巻き部61」)が収容されるように構成されている。水平空間部23は、環状隙間部22と直交する方向に延在し、且つ、環状隙間部22と連通するように形成されている。
【0018】
ミラーブラケット3は、垂直部31と水平部32とを有し、垂直部31は、例えば、ドアパネルPに公知の手段(例えば図示しない取付けボルト)によって取付けられる。水平部32には、中央にシャフト4の貫通孔33と、適所につる巻きばね6(の後述する下方の端部63)を係止するためのばね端部係止孔34、及び鋼球(ラチェットボール)10を収容するための半球状のボール穴35が形成されている。
【0019】
シャフト4は、軸部41と上端にフランジ42を有し、軸部41の下端近傍にはピン孔43が形成されている。そのピン孔43の上方には、座金状のスプリングシート8が介装され、ピン孔43にはスプリングシート8を軸部41から脱落しないように係止するスプリングシート係止用ピン9が装着されている。
【0020】
シャフト4は、軸部41がミラーブラケット3のフランジ32の貫通孔33に挿通されている。そして、シャフト4のフランジ42の下面側が、ミラーブラケットの水平部32の上面に当接している。
また、フランジ42の下面側にはボール穴44が形成され、ボール穴44は鋼球(ラチェットボール)10を収容する様に半球状に形成されている。
ボール穴44と、前述のミラーブラケットに形成されたボール穴35とは、通常時において位置が整合している。
【0021】
シャフト4の軸部41において、ミラーブラケット3の水平部32裏面(図1では下面)側とスプリングシート8との間の領域には、予め圧縮された状態のコイルスプリング7が介装されている。
【0022】
シャフト4のフランジ42側端面の半径方向中央には盲孔が穿孔され、該盲孔には雌ねじ45が形成されている。図1及び以下の記載においては、盲孔及び雌ねじ45を符号45で代表して表現する。
雌ねじ45には、アーム取付けボルト5の雄ねじが螺合している。
アーム取付けボルト5の軸部51と、前記アームベース2の取付ボルトの挿通孔25とは、軸方向の摺動は許容するが、相対回転は出来ないように構成されている(例えば、互いの断面が円形ではない様に構成されている)。
そして、アームベース2とアーム取付けボルト5と螺合したシャフト4は、一体となって回転するように構成されている。
【0023】
つる巻きばね6は、つる巻き部61と、図1における上方の端部62と、図1における下方の端部63とを有している。
図2において、つる巻きばね6の上方の端部62は、つる巻き部61から先の部分が水平空間部23の一方の垂直壁23wに沿って延在しており、先端部は水平空間部23の先端の内壁23ewに当接して配置されている。
一方、つる巻きばね6の下方の端部63は、図1における垂直方向下方に曲げられ、ミラーブラケット3に形成されたばね端部係止孔34に挿入されている。
【0024】
ここで、つる巻きばね6は、ミラーが通常の状態(格納位置ではない正規の位置)では、予め巻き込まれるようにして、付勢されている。
なお、図2では、車体右側のミラーの保持機構における通常状態を示している。
【0025】
ミラーを格納する場合は、例えば、ミラーアーム1の先端近傍(ミラー側の領域:図1、図2では図示せず)を掴んで、図2における上方へ少し強い力で押してやる。すると、図3に示すように、アーム1、アームベース2の回転と共にシャフト4が回転して、シャフト4が上昇する。
シャフト4が上昇すると、シャフト4のフランジ42裏面に形成されたボール穴44が、鋼球10の位置から外れる。ボール穴44が鋼球10の位置から外れると、フランジ42裏面のボール穴の形成してない部分と鋼球10が接触する。
フランジ42裏面のボール穴44の形成してない部分と鋼球10とは点接触をしており、摩擦係数が小さいので、シャフト4及びミラーアーム1は、つる巻きばね6の弾性反発力に付勢される。そのため、ミラーアーム1は、小さな力で容易に格納位置まで回転移動する。
【0026】
ドアミラーの付いたドアを勢いよく閉める際等には、ミラーを格納位置に移動する際の移動方向とは反対方向に、ミラー本体の質量による力が作用することがある。
その様な場合におけるミラー本体の質量による力は、シャフト4回りに強く作用して、いわゆる「アーム倒れ」を惹起するので、ミラーアーム保持機構101を損傷させる恐れがある。
図1〜図5の第1実施形態では、ミラーアーム1が通常位置に存在する場合に、常時つる巻きばね6の弾性反発力が作用する。そのため、ドアを強く閉めた際に、上述したミラー本体の質量による力(ミラーを格納位置に移動する際の移動方向とは反対方向に作用する力)よりも、アーム取付けボルト5の保持トルクとつる巻きばね6の弾性反発力との合力が強くなるように設定れば、ミラーアームが格納方向とは反対側に移動してしまうこと(アーム倒れ)と、それに起因する保持機構の損傷を回避することが出来る。
【0027】
図4はミラーMに作用する力によるモーメント(トルク)の釣り合いをモデル化して示している。
図4において、符号FはミラーMに作用する力を示し、符号Lをミラーアーム1の回転中心からミラーMの質量の中心までの距離(ミラーアームの長さ)を示している。そして、符号Thoは、ミラーアーム1を、アーム取付けボルト5により、軸部4に締結することにより生じる保持トルク(ミラーアーム1を支持する軸部の抵抗トルク)を示している。
【0028】
つる巻きばね6により、ミラーアーム1を格納位置へ移動する方向に付勢するトルクTspは、 Tsp ≧F×L−Tho なる式で示される。
換言すれば、つる巻バネ6は、そのトルクTsp(ミラーアーム1を格納位置へ移動する方向に付勢するトルク)が、式
Tsp ≧F×L−Tho
を満たすように設計されている。
【0029】
ミラーアーム1は、図4に示すように現実には、θなる角度で、斜め後方を向いて配置されている。図5は、θをパラメータとした場合の、ミラーアーム長さLと保持トルクThoとの関係を示している。
図4において、符号Pはドアパネルを示している。
図5に示すように、ミラーアームの長さL及びドアパネルPの垂線に対するミラーアーム1の傾きθによって、保持トルクの大きさが異なる。
【0030】
図6、図7は、本発明の第2実施形態を示している。
第1実施形態のミラーアーム保持機構101では、第2の弾性体をつる巻きばねとしている。
これに対して、図6、図7の第2実施形態に係るミラーアーム保持機構102では、第2の弾性体を渦巻ばね6Aによって構成している。第2の弾性体を渦巻ばね6Aに変更したことにより、図6、図7の第2実施形態においては、第2の弾性体の端部をミラーアームベース2及びミラーブラケット3へ係止する形態が、第1実施形態とは異なっている。
以下、図6、図7の第2実施形態について、主として第1実施形態と異なる点について説明する。
【0031】
図6、図7において、ぜんまい状に構成された渦巻ばね6Aは、ミラーアームベース2への係止部62Aが、渦巻ばね6Aの半径方向内方側の終点から概略直角の方向に折り曲げられている。そして渦巻ばね6Aの係止部62Aは、図示しないスリットに挿入されて係止されており、当該図示しないスリットは、ミラーアームベース2において、円筒状のボルト頭部収容部21の外周21oに設けられている。
他方、渦巻ばね6Aにおけるミラーブラケット3への係止部63Aは、渦巻ばね6Aの半径方向外方側の終点からU字状に曲げられており、当該係止部63Aはピン36(図7に示し、図6では図示を省略)に係止されている。そして、ピン36は、ミラーブラケット3のフランジ32の上面に立設されている。
【0032】
図6、図7の第2実施形態は、上記以外の構成及び作用効果に関しては、図1、図2の第1実施形態と同様である。
【0033】
図8、図9は、本発明の第3実施形態を示している。
第1実施形態に係るミラーアーム保持機構101では、第2の弾性体をつる巻きばねとしている。
これに対して、図8、図9の第3実施形態のミラーアーム保持機構103では、第2の弾性体を、重ね板ばね6Bにより構成している。
【0034】
図8、図9において、重ね板ばね6Bの先端62Bは、第1実施形態と同様に、アームベース2における水平空間部23の先端の内壁23ewに当接するように配置されている。
一方、重ね板ばね6Bの付け根63Bは、ミラーブラケット3のフランジ32の上面に立設された支柱37(図7に示し、図6では図示を省略)に係止されている。
【0035】
図8、図9において、重ね板ばね6Bの長さが異なっているのは、ミラーアーム1が格納位置へ移動するのとは反対側の方向へ移動するのを阻止するためのトルクTspについて、理想的な特性を与えるためである。
係るトルクTspについて線形な特性を与える場合には、重ね板ばね6Bの長さを同一にすれば良い。
図8、図9の第3実施形態における上記以外の構成及び作用効果については、図1、図2の第1実施形態と同様である。
【0036】
図10は、本発明の第4実施形態を示している。
図1〜図9の各実施形態では、第2の弾性部材6、6A、6Bは、ミラーアーム1が格納位置へ移動する方向に付勢している。
これに対して、図10の第4実施形態のミラーアーム保持機構104では、第2の弾性体はミラーアーム1が格納位置へ回動する場合に、後述する嵌合を解除するものであり、ミラーアーム1が格納位置へ移動する方向に付勢する作用は奏していない。
以下、図10に基づいて第4実施形態を説明する。
【0037】
図10は、第4実施形態に係るミラーアーム保持機構104の通常時の状態を示している。
図10において、アームベース2の水平空間部23には、アームベース2の中心線Lc上に、押圧ロッド80とコイルスプリング70が配置されている。また、アームベース2の水平空間部23と、ミラーアーム1の端部との間には、スプリングシート90が固定されている。
【0038】
押圧ロッド80は、一方の端部(図10の左端)にフランジ81を有し、他端には雄ねじ82が形成されている。スプリングシート90にはロッド挿通孔91が形成されており、ロッド挿通孔91には押圧ロッド80の雄ねじ82側の端部が挿通している。
押圧ロッド80のフランジ81の端面には、半球状の突起83が形成されている。
【0039】
一方、シャフト4(図1)のフランジ42(図1)の外周部42Fには、凹部47が形成されており、凹部47は押圧ロッド80の突起83を収容している。
凹部47の断面形状は、ミラーアーム1の中心線Lcよりも図10において下方側の領域は、半球状の突起83と相補的な形状である。しかし、ミラーアーム1の中心線Lcよりも図10において上方側の領域は、緩やかな傾斜でフランジの外周42Fに連続するように形成されている。
【0040】
ミラーアーム1が図10で示す通常状態の位置にあれば、凹部47の断面形状は上述した様に構成しているので、コイルスプリング70の付勢によって、押圧ロッド80の半球状の突起83は、シャフトの外周42Fに形成された凹部47に嵌合した状態を維持する。
一方、ミラーアーム1が格納位置へ移動する場合には、半球状の突起部83は、凹部47の緩やかな傾斜でフランジの外周42Fに連続する領域(図10において、中心線Lcよりも上方側の領域)を滑動して、凹部47からの嵌合を解除する。
【0041】
半球状の突起部83が凹部47からの嵌合を解除する結果、ミラーアーム1を格納する場合には、コイルスプリング70の抵抗は作用せず、ミラーアーム1の先端を持って、図10における上方にアームを押せば、格納箇所まで容易に移動する。
これに対して、ミラーアーム1に倒れ込み方向に移動しようとする力が作用した場合には、半球状の突起部83は凹部47に嵌合した状態を維持するので、弾性反発力を発揮している状態のコイルスプリング70が、倒れ込み方向に対する抵抗として作用する。
なお、図10における符号Nは、押圧ロッド80の雄ねじ82に螺合するナットを示している。
【0042】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態の縦断面図。
【図2】図1に対応する平面図。
【図3】第1実施形態でミラーを格納位置に移動する状態を示す図。
【図4】第1実施形態において、ミラーに作用するトルクをモデル化して示す図。
【図5】第1実施形態におけるミラーアームの長さと保持トルクとの関係を示す特性図。
【図6】本発明の第2実施形態を示す縦断面図。
【図7】図6に対応する平面図。
【図8】本発明の第3実施形態を示す縦断面図。
【図9】図8に対応する平面図。
【図10】本発明の第4実施形態を示す平面図。
【図11】格納式サイドミラーの通常時の状態を示す平面図。
【図12】格納式サイドミラーにおける格納時の状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0044】
1・・・ミラーアーム
2・・・アームベース
3・・・ミラーブラケット
4・・・シャフト
5・・・アーム取付けボルト
6・・・第1の弾性体/つる巻きばね
7・・・第2の弾性体/コイルスプリング
8・・・スプリングシート
9・・・スプリングシート係止用ピン
10・・・鋼球
101・・・ミラーアーム保持機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーアーム(1)を支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(6、6A、6B)とを有しており、該弾性体(6、6A、6B)は、ミラーアーム(1)が格納位置へ移動する方向に付勢している事を特徴とするミラーアーム保持機構。
【請求項2】
前記弾性体(6)は巻ばねで構成され、該巻ばね(6)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢する請求項1のミラーアーム保持機構。
【請求項3】
前記弾性体(6A)はぜんまい状の渦巻ばねで構成され、該渦巻ばね(6A)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢する請求項1のミラーアーム保持機構。
【請求項4】
軸部(4)を支持する支持部材(3)を有し、前記弾性体は板ばねで構成され、該板ばねは一端が前記支持部材(3)側に固定され、他端がミラーアーム側(2)と係合している請求項1のミラーアーム保持機構。
【請求項5】
ミラーアームを支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体と、ミラーアーム(1)に取り付けられた第2の弾性体(70)とを有しており、第2の弾性体(70)は一端が突起部(83)に係止され、該突起(83)は軸部(42F)に形成された凹部(47)に嵌合可能に構成されており、該凹部(47)は、ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する際に嵌合を解除する形状に形成されている事を特徴とするミラーアーム保持機構。
【請求項6】
ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する方向に付勢している弾性体(6、6A、6B)のトルクTspは、Tsp ≧F×L−Tho なる式で示され、Fはミラー(M)に作用する力、Lはミラーアーム(1)の長さ、Tho はミラーアーム(1)を支持する軸部(4)にアーム取付けボルト(5)で締結することにより生じる保持トルクである請求項1〜4の何れか1項のミラーアーム保持機構。
【請求項1】
ミラーアーム(1)を支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体(6、6A、6B)とを有しており、該弾性体(6、6A、6B)は、ミラーアーム(1)が格納位置へ移動する方向に付勢している事を特徴とするミラーアーム保持機構。
【請求項2】
前記弾性体(6)は巻ばねで構成され、該巻ばね(6)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢する請求項1のミラーアーム保持機構。
【請求項3】
前記弾性体(6A)はぜんまい状の渦巻ばねで構成され、該渦巻ばね(6A)は前記軸部(4)の中心軸を回転中心として回転するのを付勢する請求項1のミラーアーム保持機構。
【請求項4】
軸部(4)を支持する支持部材(3)を有し、前記弾性体は板ばねで構成され、該板ばねは一端が前記支持部材(3)側に固定され、他端がミラーアーム側(2)と係合している請求項1のミラーアーム保持機構。
【請求項5】
ミラーアームを支持する軸部(4)と、ミラーアーム(1)を所定の位置に係止するための弾性体と、ミラーアーム(1)に取り付けられた第2の弾性体(70)とを有しており、第2の弾性体(70)は一端が突起部(83)に係止され、該突起(83)は軸部(42F)に形成された凹部(47)に嵌合可能に構成されており、該凹部(47)は、ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する際に嵌合を解除する形状に形成されている事を特徴とするミラーアーム保持機構。
【請求項6】
ミラーアーム(1)を格納位置へ移動する方向に付勢している弾性体(6、6A、6B)のトルクTspは、Tsp ≧F×L−Tho なる式で示され、Fはミラー(M)に作用する力、Lはミラーアーム(1)の長さ、Tho はミラーアーム(1)を支持する軸部(4)にアーム取付けボルト(5)で締結することにより生じる保持トルクである請求項1〜4の何れか1項のミラーアーム保持機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−190543(P2009−190543A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32900(P2008−32900)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]