説明

メイクアップリムーバー

【課題】乳化性・分離性・塩の析出もない優れた二層型メイクアップリムーバーを提供すること。
【解決手段】水、液状油、HLB5〜10の非イオン性界面活性剤及びピロリドンカルボン酸塩を必須成分として含有することを特徴とすることにより、乳化性・分離性・塩の析出がない、メイクアップの落ちも良好な二層型メイクアップリムーバー。該非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG−10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル、または、トリイソステアリン酸PEG−30グリセリルから選ばれることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二層型メイクアップリムーバーに関し、さらに詳しくはピロリドンカルボン酸塩を含有することにより容易に均一に混合して白濁の乳化状態となり、さらに静置することにより翌日使用する際には二層に分離してもとの状態に戻るものである。
【背景技術】
【0002】
二層型メイクアップリムーバーは静置時に二層に分離しているという外観上の特徴から、外観の奇抜さ及び美しさを目的とした化粧料として広く使用されている。また、油溶性成分と水溶性成分の両方のメイク汚れを落とすことができる機能性を有している。
そしてこの商品の理想としては軽く振とうすることにより容易に乳化し、使用中は乳化が壊れず、翌日に使用する際には完全に分離し、界面が単一で明確で、かつ各相が透明になっている状態である。
【0003】
そして分離を加速するために水溶性の無機塩もしくは有機酸塩等を配合させることが開示されている。しかし十分ではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平06−261948
【0005】
【特許文献2】特開2005−336089
【0006】
【特許文献3】特開2007−269674
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際には振って乳化させても使用している途中に分離が早く進みすぎてリムーバーとしての効果が不十分であったり、逆に1日後に使用する際に分離が完全でないために濁ったり、3層になったりで外観上きれいでなくて商品価値が損なわれるという欠点があった。また塩化ナトリウム等の固形の無機酸塩を配合すると、結晶の析出が見られることがあるという欠点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような事情により、本発明者らは鋭意検討した結果、特定の非イオン性界面活性剤とピロリドンカルボン酸塩を併用することにより上記欠点を改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本願発明のメイクアップリムーバーは、口紅やマスカラ、アイライナー、アイカラーなどのメイクアップ製品を除去する目的で用いられるものである。
【0010】
本発明に用いるピロリドンカルボン酸塩は特に限定されないが、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩であり、より好ましくは、ナトリウム塩である。またその配合量は特に限定されないが、好ましくは1〜10重量%(以下、単に%と記す。)、より好ましくは2〜7%である。1%未満では効果が十分に発揮されない場合があり、10%以上では効果は問題ないが経済的ではない。またピロリドンカルボン酸塩は保湿剤として化粧料に配合されることは公知であるがポイントメイクリムーバーの分離促進剤としては知られていない。
【非特許文献1】化粧品原料辞典 日光ケミカルズ株式会社 平成3年11月29日発行 374頁、375頁
【0011】
本発明に用いられる液状油は常温(20℃)で液状であれば特に限定されないが、好ましくは油性成分としては、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の液体油、揮発性油等の炭化水素類、油脂類、エステル油、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油等のエステル類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0012】
本発明に用いられるHLB5〜10の非イオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0013】
具体的には、ステアリン酸ポリグリセリル−2(HLB5.0:以下、かっこ内の数値はHLBを示す。)、オレイン酸ポリグリセリル−2(5.5)、トリイソステアリン酸グリセリル−2(5.5)、ステアリン酸ポリグリセリル−4(6.0)、オレイン酸ポリグリセリル−4(6.0)、トリステアリン酸ポリグリセリル−10(7.5)、トリオレイン酸ポリグリセリル−10(7.0)、パルミチン酸ソルビタン(6.7)、イソステアリン酸ソルビタン(5.0)、PEG−5水添ヒマシ油(6.0)、PEG−10水添ヒマシ油(6.5)、セテス−2(8.0)、ステアレス−2(8.0)、オレス−2(7.5)、ベヘネス−5(7.0)、(C12−14)パレス−3(8.0)、ジ(C12−15)パレス−2リン酸(6.5)、トリ(C12−15)パレス−2リン酸(7.0)、ジ(C12−15)パレス−6リン酸(8.0)、トリステアリン酸PEG−10グリセリル(5.0)、トリイソステアリン酸PEG−10グリセリル(5.0)、トリオレイン酸PEG-10グリセリル(5.0)、イソステアリン酸PEG-3グリセリル(6.0)、ジイソステアリン酸PEG-10グリセリル(7.0)、イソステアリン酸PEG-5グリセリル(8.0)、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル(8.0)、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル(10.0)などが挙げられる。
【0014】
好ましくは、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルであり、さらに好ましくはトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルである。特に、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルのポリオキシエチレンのモル数は、10〜30モルのものがさらに好ましい。
【0015】
本発明のメイクアップリムーバーは、皮膚外用剤に用いられる成分である金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤等の成分を適宜配合することができる。
【0016】
剤型は、油相と水相が、静置状態で分離しており、軽く振とうすることにより、容易に乳化する、二層型のローションタイプである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の、水、液状油、HLB5〜10の非イオン性界面活性剤及びピロリドンカルボン酸塩を含有することを特徴とする二層型メイクアップリムーバーは、非常に良好な乳化性と分離性を併せ持つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明の処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。処方例に示す配合量の%とは重量%を示す。
【実施例1】
【0019】
表1の処方でメイクアップリムーバーを調製し、乳化性、分離性、結晶の析出について評価した。なお、乳化性、分離性、結晶の析出の評価は下記基準に従った。
【0020】
(1)乳化性
◎:直径4cm、高さ12cmの容器に良く振とうした100mlのベースを入れ、さらに蓋をして10回振とうして静置し、10分後に液滴が目視でわからない。
○:直径4cm、高さ12cmの容器に良く振とうした100mlのベースを入れ、さらに蓋をして10回振とうして静置し、3分後に液滴が目視でわからない。
×:直径4cm、高さ12cmの容器に良く振とうした100mlのベースを入れ、蓋をして10回振とうして静置し、3分後に液滴が目視でわかる。
【0021】
(2)分離性
◎:(1)の乳化性の試験で静置20時間後に完全に分離し分離面にはっきり界面がみとめられる。
○: (1)の乳化性の試験で静置20時間後に分離しているがわずかに分離面に層がみとめられる。
×:(1)の乳化性の試験で静置20時間後に完全に分離していないか、分離していても分離面にはっきりとした界面がみとめられない。
(3)結晶析出
○:(1)の乳化性の試験で静置後約5℃の冷蔵庫に1週間放置した後結晶の析出の有無を目視にて確認するとき結晶がない。
×:(1)の乳化性の試験で静置後約5℃の冷蔵庫に1週間放置した後結晶の析出の有無を目視にて確認するとき結晶の析出がある。

【0022】
【表1】

【0023】
製造方法:処方中の原料を、均一に混合し、よく撹拌して最終ベースを得た。
【0024】
表1の結果に示すように、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA−Na)は乳化性、分離性が良好であるが、他の塩はすべて分離性がきれいでなかったり、水相に結晶の析出があって、商品性に欠けるものである。
【実施例2】
【0025】
【表2】

【0026】
製造方法:処方中の原料を、均一に混合し、よく撹拌して最終ベースを得た。
【0027】
表2に示すように、本願発明のメイクアップリムーバーは他の界面活性剤を含有したものより総合して良い結果であった。
【実施例3】
【0028】
メイクアップリムーバーA
(配合成分) (重量%)
(A相)
(1)スクワラン 20
(2)流動パラフィン 20
(3)水添ポリイソブテン 5
(4)トリイソステアリン酸PEG−10グリセリル(HLB=5.0)
0.5
(B相)
(5)精製水 残量
(6)ピロリドンカルボン酸ナトリウム 4
(7)エタノール 5
(8)1,3−ブチレングリコール 10
(9)メチルパラベン 0.1
(10)香料 適量
【0029】
(製法)A相を均一に溶解させ、ここに均一に溶解したB相を加えてよく攪拌し、メイクアップリムーバーを得た。
【実施例4】
【0030】
メイクアップリムーバーB
(配合成分) (重量%)
(A相)
(1)スクワラン 40
(2)ホホバ油 5
(3)水添ポリイソブテン 5
(4)イソステアリン酸ソルビタン(HLB=5.0) 0.5
(B相)
(5)精製水 残量
(6)ピロリドンカルボン酸ナトリウム 7
(7)ジグリセリン 5
(8)グリセリン 10
(9)メチルパラベン 0.3
(10)香料 適量

【0031】
(製法)A相を均一に溶解させ、ここに均一に溶解したB相を加えてよく攪拌し、メイクアップリムーバーを得た。
【実施例5】
【0032】
メイクアップリムーバーC
(配合成分) (重量%)
(A相)
(1)スクワラン 20
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 20
(3)水添ポリイソブテン 20
(4)ポリエーテル変性シリコーン(HLB=6.5) 1.0
(B相)
(5)精製水 残量
(6)ピロリドンカルボン酸ナトリウム 2
(7)エタノール 2
(8)1,3−ブチレングリコール 5
(9)メチルパラベン 0.3
(10)香料 適量
【0033】
(製法)A相を均一に溶解させ、ここに均一に溶解したB相を加えてよく攪拌し、メイクアップリムーバーを得た。
【0034】
実施例3〜5で得た二層型メイクアップリムーバーもすべて、結晶の析出もなく、乳化性、分離性ともにすぐれたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、水、液状油、HLB5〜10の非イオン性界面活性剤及びピロリドンカルボン酸塩を含有することを特徴とする二層型メイクアップリムーバーであり、乳化性・分離性・塩の析出もない優れた二層型メイクアップリムーバーとして有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、液状油、HLB5〜10の非イオン性界面活性剤及びピロリドンカルボン酸塩を必須成分として含有することを特徴とする二層型メイクアップリムーバー。
【請求項2】
上記非イオン性界面活性剤が、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルであることを特徴とする請求項1に記載の二層型メイクアップリムーバー。
【請求項3】
上記脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルが、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルであることを特徴とする請求項2に記載の二層型メイクアップリムーバー。
【請求項4】
上記トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが、トリイソステアリン酸PEG−10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル、または、トリイソステアリン酸PEG−30グリセリルであることを特徴とする請求項3に記載の二層型メイクアップリムーバー。
【請求項5】
上記ピロリドンカルボン酸塩がピロリドンカルボン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の二層型メイクアップリムーバー。
【請求項6】
上記ピロリドンカルボン酸ナトリウムの配合量が、2〜7重量%であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の二層型メイクアップリムーバー。



【公開番号】特開2010−24177(P2010−24177A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186786(P2008−186786)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】