説明

メッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物、メッキ用二色成形体、メッキ付二色成形体、並びにそれらの製造方法

【課題】硬質樹脂からなる第1の成形体と軟質樹脂からなる第2の成形体とを備えるメッキ用二色成形体において、軟質樹脂からなる成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制され、十分なメッキ処理耐性を有するメッキ用二色成形体を得ることが可能なメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有することを特徴とするメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(以下、場合により「TPU」という)、メッキ用二色成形体、メッキ付二色成形体、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メッキ付二色成形体とは、メッキ層が形成された硬質成分からなる成形体とメッキ層が形成されていない軟質成分からなる成形体とが一体となったものである。このようなメッキ付二色成形体は、例えば、家庭内電話機、携帯電話、POS端末等の電子機器入力に用いられる押釦キースイッチに用いられている。そして、このようなメッキ付二色成形体は、例えば、ポリカーボネート樹脂といった硬質樹脂からなる成形体とシリコーンゴムといったゴム状弾性体からなる成形体とを接着剤を用いて一体化することにより製造されていた。しかしながら、このようにしてメッキ付二色成形体を製造する場合には、硬質樹脂からなる成形体にメッキ層が形成した後にゴム状弾性体からなる成形体と一体化する必要があるため、製造コストが高いという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、特開2002−184259号公報(特許文献1)には、硬質樹脂からなる第1の成形体とウレタン系熱可塑性エラストマー等の軟質樹脂からなる第2の成形体とを一体化することにより得られた二色成形体にメッキ処理を施して、前記第1の成形体にのみメッキ層を形成するメッキ付二色成形体の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のようなメッキ付二色成形体の製造方法においては、メッキ層が形成されない第2の成形体の表面がメッキ処理によって浸食され、第2の成形体が変色してしまうという問題があった。
【0004】
一方、出願人である日本ポリウレタン工業株式会社は、国際公開第2004/106401号パンフレット(特許文献2)において、ヘキサメチレンジイソシアネートを主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオールを主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分とする鎖延長剤(C)とを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる成形体(キーパッド)を開示している。しかしながら、特許文献2において開示した熱可塑性ポリウレタン樹脂は、優れた二次成形性、耐オレイン酸性、耐候性及び透明性を有するキーパッドを得るためのものであり、これらの特性とメッキ処理耐性との間の相関関係は明らかになっていなかった。
【0005】
また、メッキ付二色成形体においては、軟質樹脂として、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーといった多種多様の熱可塑性エラストマーが使用されており、このように数多ある熱可塑性エラストマーの中で特許文献2に記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂がメッキ付二色成形用の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の開発に転用又は利用できるといったことは、当業者と言えども決して容易に想起できるものではなかった。
【特許文献1】特開2002−184259号公報
【特許文献2】国際公開第2004/106401号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、硬質樹脂からなる第1の成形体と軟質樹脂からなる第2の成形体とを備えるメッキ用二色成形体において、軟質樹脂からなる成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制され、十分なメッキ処理耐性を有するメッキ用二色成形体を得ることが可能なメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物、メッキ用二色成形体、メッキ付二色成形体、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、硬質樹脂からなる第1の成形体と軟質樹脂からなる第2の成形体とを備えるメッキ用二色成形体において、第2の成形体に用いる樹脂成分として極めて限定的な特定のTPUを用いることにより、軟質樹脂からなる成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制され、十分なメッキ処理耐性を有するメッキ用二色成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のメッキ付二色成形用TPUは、ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のメッキ用二色成形体は、ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体、並びに、
前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成されており、ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有するTPUからなる第2の成形体
を備えることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明のメッキ用二色成形体の製造方法は、ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体を準備する工程と、
ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有するTPUを、前記第1の成形体の少なくとも一部に接触させた状態を保ちつつ成形することにより、前記TPUからなる第2の成形体を前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成させてメッキ用二色成形体を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0011】
また、本発明のメッキ付二色成形体は、ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体、
前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成されており、ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有するTPUからなる第2の成形体、並びに、
前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体によって被覆されていない表面上に形成されたメッキ層
を備えることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明のメッキ付二色成形体の製造方法は、ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体を準備する工程と、
ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有するTPUを、前記第1の成形体の少なくとも一部に接触させた状態を保ちつつ成形することにより、前記TPUからなる第2の成形体を前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成させてメッキ用二色成形体を得る工程と、
前記メッキ用二色成形体にメッキ処理を施すことにより、前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体に被覆されていない表面上にメッキ層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、軟質樹脂からなる成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制され、十分なメッキ処理耐性を有するメッキ用二色成形体を得ることが可能なメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物、メッキ用二色成形体、メッキ付二色成形体、並びにそれらの製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0015】
先ず、本発明のメッキ付二色成形用TPUについて説明する。すなわち、本発明のメッキ付二色成形用TPUは、ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有するものである。
【0016】
本発明にかかる有機ジイソシアネート(A)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、場合により「HDI」という。)を主成分とするものである。このような有機ジイソシアネート(A)においては、前記ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)の含有量が、有機ジイソシアネート(A)の全質量に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。前記ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)の含有量が前記下限未満では、耐候性やメッキ処理耐性が不十分となる傾向にある。
【0017】
このような有機ジイソシアネート(A)に用いることができる前記ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)以外の有機ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0018】
本発明にかかる高分子ポリオール(B)は、以下説明するポリカーボネートジオール(b1)を主成分とするものである。このような高分子ポリオール(B)においては、前記ポリカーボネートジオール(b1)の含有量が、高分子ポリオール(B)の全質量に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。前記ポリカーボネートジオール(b1)の含有量が前記下限未満では、耐水性、耐熱性、メッキ処理耐性が不十分となる傾向にある。
【0019】
また、本発明のTPUにおいては、このような高分子ポリオール(B)の配合量が、活性水素基に対するイソシアネート基の当量比が後述する範囲内となるような量とすることが好ましい。
【0020】
本発明に用いるポリカーボネートジオール(b1)は、一般的には低分子ジオールと低分子カーボネートとの縮合反応によって得られるものである。
【0021】
このようなポリカーボネートジオール(b1)を得るために用いる低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール(以下、場合により「1,4−BD」という)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール(以下、場合により「1,6−HD」という)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下、場合により「MPD」という)、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−ターシャリーブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,4−トリエチル−1,5−ペンタンジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。これらの中でも、得られる成形体の透明性の観点から、炭素数2〜10の脂肪族低分子ジオールが好ましく、MPDがより好ましい。
【0022】
このようなポリカーボネートジオール(b1)を得るために用いる低分子カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネートが挙げられる。
【0023】
本発明にかかる高分子ポリオール(B)の数平均分子量は特に限定されないが、500〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。数平均分子量が前記下限未満では、得られるTPUの柔軟性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られるTPUの機械強度が不足すると共に成形性の低下する傾向にある。
【0024】
さらに、本発明にかかる高分子ポリオール(B)に用いることができる前記ポリカーボネートジオール(b1)以外のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられる。
【0025】
本発明にかかる鎖延長剤(C)は、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とするものである。このような鎖延長剤(C)においては、前記炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)の含有量が、鎖延長剤(C)の全質量に対して70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)の含有量が前記下限未満では、得られるTPUの機械強度が不足すると共に成形性が低下する傾向にある。
【0026】
また、本発明のTPUにおいては、前記高分子ポリオール(B)に対する前記鎖延長剤(C)のモル比〔(C)/(B)〕が0.5〜5の範囲(より好ましくは1〜3の範囲)であることが好ましい。前記のモル比が下限未満では、得られるTPUの機械強度が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られるTPUの成形性が低下する傾向にある。
【0027】
本発明に用いる炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−BD、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−HD、MPD、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−ターシャリーブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。これらの中でも、得られるTPUの機械強度及び成形性が優れるという観点から、炭素数2〜6の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−BDがより好ましい。
【0028】
また、本発明にかかる鎖延長剤(C)に用いることができる前記炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)以外の鎖延長剤としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレントリアミン等の(数平均)分子量500未満の低分子ポリアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン等の(数平均)分子量500未満の低分子アミノアルコールが挙げられる。
【0029】
本発明のメッキ付二色成形用TPUは、前記有機ジイソシアネート(A)、前記高分子ポリオール(B)及び前記鎖延長剤(C)を含有するものである。また、このようなTPUは、必要に応じて他の物質、例えば触媒、製泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、無機及び有機充填剤、滑剤、帯電防止剤、補強材を更に含有していてもよい。
【0030】
また、本発明においては、このようなTPUを製造する仕込み時における活性水素基(高分子ポリオールと脂肪族ジオールの活性水素基の総量)に対するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、0.85/1.00〜1.00/1.00の範囲であることが好ましく、0.90/1.00〜0.99/1.00の範囲であることがより好ましい。活性水素基に対するイソシアネート基の当量比が上記下限未満では、得られるTPUの分子量が小さいため、機械的強度が不足する傾向にあり、他方、前記上限を越えと、得られるTPUの柔軟性や成形性が低下する傾向にある。
【0031】
次に、本発明のメッキ用二色成形体及びその製造方法について説明する。すなわち、本発明のメッキ用二色成形体は、ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体、並びに、前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成されており、前記TPUからなる第2の成形体を備えるものである。
【0032】
本発明にかかる第1の成形体は、硬質樹脂からなる成形体である。本発明に用いる硬質樹脂としては、成形体の表面にメッキ層を形成させることができる樹脂を適宜使用することができ、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO)が挙げられる。これらの硬質樹脂の中でも、前記TPUとの接着性やメッキ処理の容易さという観点から、ABS樹脂が特に好ましい。なお、このような硬質樹脂の熱変形温度は80℃以上であることが好ましい。
【0033】
このような第1の成形体のロックウェル硬さはR80以上であることが必要であり、R85以上であることが特に好ましい。ロックウェル硬さがR80未満では、成形体の強度が不足し、成形体の硬質感や操作性が損なわれる。このようなロックウェル硬さはASTM D785に記載の方法に準拠した方法でロックウェル硬さ計を用いて測定することができる。
【0034】
本発明にかかる第2の成形体は、前記TPUからなるものである。また、本発明のメッキ用二色成形体においては、このような第2の成形体は前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成されていることが必要である。このような本発明のメッキ用二色成形体に後述するメッキ処理を施した場合には、前記第2の成形体にはメッキ層が形成されず、前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体に被覆されていない表面にのみメッキ層が形成される。そして、このようにメッキ処理を施した場合、本発明のメッキ用二色成形体においては、前記第2の成形体がメッキ処理耐性を有するものであるため、メッキ層が形成されない前記第2の成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制される。
【0035】
このような第2の成形体のショアA硬度は、得られるメッキ用二色成形体のクッション性を向上させるという観点から、70〜98の範囲(より好ましくは80〜95の範囲)であることが好ましい。このようなショアA硬度は、ASTM D2240に記載の方法に準拠した方法でタイプAデュロメータ(ショアA硬さ計)を用いて測定することができる。
【0036】
また、本発明のメッキ用二色成形体の製造方法は、前記硬質樹脂からなる第1の成形体を準備する工程と、
前記TPUを、前記第1の成形体の少なくとも一部に接触させた状態を保ちつつ成形することにより、前記TPUからなる第2の成形体を前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成させてメッキ用二色成形体を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0037】
前記硬質樹脂からなる第1の成形体を準備する工程においては、前記硬質樹脂を用いて第1の成形体を成形する。このような成形方法としては適宜公知の成形方法を採用することができ、特に限定されないが、例えば、射出成形法、真空成形法、押出し成形法、圧縮成形法、ブロー成形法を採用することができる。
【0038】
前記メッキ用二色成形体を得る工程においては、前記TPUを、前記第1の成形体の少なくとも一部に接触させた状態を保ちつつ成形することにより、前記TPUからなる第2の成形体を前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成させてメッキ用二色成形体を得る。このような工程においては、TPUからなる第2の成形体を成形すると共に、第2の成形体を第1の成形体と接着(例えば熱融着)させることで、第1の成形体及び第2の成形体を備えるメッキ用二色成形体を得ることができる。このように第2の成形体を成形すると共に第1の成形体に熱融着させる方法としては、例えば、(i)2本のシリンダーを使用し、硬質樹脂を第1の成形体として射出成形した後に金型に空間を作り、その後TPUをその空間に射出成形するという、いわゆる二色射出成形法、(ii)射出成形等で成形した前記硬質樹脂からなる第1の成形体を予め金型内部に入れておき、この金型内にTPUを射出成形するという、いわゆるインサート成形による方法、(iii)射出成形等で成形した前記硬質樹脂からなる第1の成形体に対し、TPUを押出し成形する方法、(iv)射出成形等で成形した前記硬質樹脂からなる第1の成形体に対し、TPUを圧縮成形する方法を採用することができる。これらの方法の中でも、硬質樹脂とTPUの密着性の観点から、二色射出成形法が好ましい。
【0039】
次に、本発明のメッキ付二色成形体及びその製造方法について説明する。すなわち、本発明のメッキ付二色成形体は、前記第1の成形体、前記第2の成形体、並びに、前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体に被覆されていない表面上に形成されたメッキ層を備えるものである。このようなメッキ付二色成形体は、前記本発明のメッキ用二色成形体にメッキ処理を施すことにより得ることができる。
【0040】
このようなメッキ層に用いる金属としては、特に限定されないが、例えば、クロム、スズ、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マグネシウム、銀、金が挙げられる。また、このようなメッキ層の厚みは特に限定されないが、0.1〜50μmの範囲であることが好ましい。
【0041】
また、本発明のメッキ付二色成形体の製造方法は、前記本発明のメッキ用二色成形体を得る工程と、
前記メッキ用二色成形体にメッキ処理を施すことにより、前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体に被覆されていない表面上にメッキ層を形成する工程と、
を含む方法である。
【0042】
本発明のメッキ付二色成形体の製造方法においては、先ず、前記本発明のメッキ用二色成形体の製造方法により前記本発明のメッキ用二色成形体を得る。
【0043】
そして、前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体に被覆されていない表面上にメッキ層を形成する工程においては、前記メッキ用二色成形体にメッキ処理を施す。このようなメッキ処理の方法としては、適宜公知の方法を採用することができ、特に限定されないが、例えば以下に説明する方法を採用することができる。すなわち、メッキ処理の方法としては、脱脂工程と、エッチング工程と、中和工程と、キャタリスト工程と、アクセレーター工程と、無電解ニッケルメッキ工程と、電解メッキ工程とを含む方法を採用することができる。なお、このような方法においては、各工程の間に水洗工程を入れることが望ましい。
【0044】
また、このようなメッキ処理の方法においては、エッチング工程における無水クロム酸や硫酸を含有する水溶液、無電解ニッケルメッキ工程における硫酸ニッケルやジ亜リン酸ナトリウムを含有する混合液、電解メッキ工程における硫酸銅や硫酸を含有する混合液等の各種メッキ用処理液が用いられる。しかしながら、本発明のメッキ付二色成形体の製造方法においては、前記第2の成形体がメッキ処理耐性を有するものであるため、メッキ層が形成されない前記第2の成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制される。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、文中の「部」、「%」は質量基準であるものとする。また、実施例及び比較例において用いた原料は以下のとおりである。
【0046】
(使用原料)
<イソシアネート>
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業社製、商品名「HDI」。
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業社製、商品名「ミリオネートMT」。
【0047】
<高分子ポリオール>
ポリオールA:1,4−ブタンジオールとアジピン酸から得られたポリエステルポリオール、数平均分子量1000。
ポリオールB:ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量1000、保土谷化学社製、商品名「PTG−1000SN」。
ポリオールC:1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートから得られたポリカーボネートジオール、数平均分子量1000。
ポリオールD:3−メチル−1,5−ペンタンジオールとジエチルカーボネートから得られたポリカーボネートジオール、数平均分子量1000。
【0048】
<鎖延長剤>
1,4−BD:1,4−ブタンジオール、三菱化学社製。
【0049】
<触媒>
DOTDL:ジオクチル錫ジラウレート、キシダ化学社製。
【0050】
(実施例1、2及び比較例1〜3)
<メッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の作製>
実施例1においては、以下のようにして熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を得た。すなわち、ポリオールDを857.3部及び1,4−BDを142.7部混合タンクに仕込んだ後に混合してポリオールプレミックスを得た。その後、得られたポリオールプレミックスを温度75℃となるように温度調整した。一方、他の混合タンクにHDIを仕込んだ後に、温度50℃となるように温度調整した。
【0051】
次に、ポリオールプレミックス及びHDIを二軸押出機(池貝社製)に投入した。なお、二軸押出機におけるホッパー付近、中間部及び先端部の温度はそれぞれ160℃、180℃及び200℃に調節した。そして、二軸押出機のホッパー口から、ポリオールプレミックスの投入量が2139g/minとなり、HDIの投入量が861g/minとなる条件でこれらの原料を連続的に投入し、ストランドダイから溶融樹脂を吐出させ冷却した後にペレット状に切断して、ペレット状の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−1)を得た。なお、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物中の活性水素基に対するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は0.98であった。
【0052】
また、実施例2においては、ポリオールプレミックスの組成及び組成物の製造条件をそれぞれ表1に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−2)を得た。さらに、比較例1〜3においては、ポリオールプレミックスの組成及び組成物の製造条件をそれぞれ表1に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−3)〜(PU−5)を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
<メッキ用二色成形体の作製>
実施例1においては、以下のようにしてメッキ用二色成形体を得た。すなわち、先ず、二色成形射出成型機(日精樹脂工業株式会社製、製品名「DC−120−9A」)を用いて、ABS樹脂(UMG ABS株式会社製、商品名「サイコラック3001M」)を第1の成形体として射出成形し、次いで、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−1)を、前記第1の成形体の内側に射出成形して一体形成することによりメッキ用二色成形体(大きさ:15mm×8mm×5mm)を得た。このようにして得られたメッキ用二色成形体を図1に示す。すなわち、図1に示すメッキ用二色成形体10は、第1の成形体1と、第1の成形体1の内側に成形された第2の成形体2とを備えている。
【0055】
また、実施例2においては、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−1)に代えて熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、メッキ用二色成形体を得た。さらに、比較例1〜3においては、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−1)に代えてそれぞれ熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(PU−3)〜(PU−5)を用いた以外は実施例1と同様にして、メッキ用二色成形体を得た。
【0056】
<メッキ付二色成形体の作製及びその評価>
(I)メッキ付二色成形体の作製
実施例1、2及び比較例1〜3で得られたメッキ用二色成形体に対し、それぞれ以下に示すメッキ処理を施してメッキ付二色成形体を得た。すなわち、得られたメッキ用二色成形体に対し、以下のようにして、脱脂処理と、エッチング処理と、中和処理と、キャタリスト処理と、アクセレーター処理と、無電解ニッケルメッキ処理と、電解メッキ処理とを行った。なお、このようなメッキ処理においては、各工程の間に水洗工程を行った。
【0057】
脱脂処理においては、本発明のメッキ用二色成形体を、硫酸ナトリウム20g/L、リン酸ナトリウム20g/L及び界面活性剤2g/Lを含有する混合液(溶媒又は分散媒:水)に温度50℃にて5分間浸漬した。
【0058】
エッチング処理においては、脱脂後の二色成形体を、無水クロム酸400g/L及び硫酸400g/Lを含有する水溶液に温度68℃にて10分間浸漬した。
【0059】
中和処理においては、エッチング後の二色成形体を、12mol/Lの濃塩酸水溶液に室温(25℃)にて1分間浸漬した。
【0060】
キャタリスト処理においては、中和後の二色成形体を、塩化パラジウム0.2g/L、塩化第一スズ15g/L及び塩酸150mL/Lを含有する水溶液に室温(25℃)にて1分間浸漬することにより、二色成形体の表面にパラジウムを吸着させた。
【0061】
アクセレーター処理においては、キャタリスト工程後の二色成形体を、硫酸100g/Lを含有する水溶液に温度40℃にて4分間浸漬することにより、パラジウムと一緒に吸着したスズを二色成形体から除去した。
【0062】
無電解ニッケルメッキ処理においては、先ず、硫酸ニッケル30g/L、ジ亜リン酸ナトリウム20g/L及びクエン酸ナトリウム50g/Lを含有する混合液(溶媒又は分散媒:水)のpHを9.0に調整した。次に、その混合液に、アクセレーター工程後の二色成形体を、pH調整後の混合液に温度35℃にて10分浸漬することにより、二色成形体に無電解ニッケルメッキ層を形成させた。
【0063】
電解メッキ処理においては、先ず、無電解ニッケルメッキ後の二色成形体に対し、硫酸銅200g/L、硫酸50g/L及び適量の光沢剤を含有するメッキ浴中において、温度25℃、電流密度3A/dm2の条件で、電解銅メッキを行った。次に、電解銅メッキ後の二色成形体に対し、硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル40g/L及びホウ酸30g/Lを含有するメッキ浴中において、温度55℃、電流密度3A/dm2の条件で、電解ニッケルメッキを行った。次いで、電解ニッケルメッキ後の二色成形体に対し、クロム酸250g/L及び硫酸2.5g/Lを含有するメッキ浴中において、温度45℃、電流密度20A/dm2の条件で、電解クロムメッキを行った。
【0064】
(II)メッキ付二色成形体の評価
実施例1、2及び比較例1〜3で得られたメッキ付二色成形体について、以下の方法により第2の成形体の変色、メッキ処理耐性及び透明性を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0065】
(i)変色の評価方法
メッキ処理前のメッキ用二色成形体とメッキ処理後のメッキ付二色成形体における第2の成形体のYI(黄色度)を分光測色計(スガ試験機社製)によって測定し、メッキ処理後の第2の成形体のYI値(YI)とメッキ処理前の第2の成形体のYI値(YI)との差△YI(YI−YI)を算出した。そして、△YIの値が5未満の場合を「○」と判定し、△YIの値が5以上の場合を「×」と判定した。
【0066】
(ii)メッキ処理耐性の評価方法
メッキ処理前のメッキ用二色成形体とメッキ処理後のメッキ付二色成形体における第2の成形体の表面をそれぞれ目視にて観察することにより、メッキ処理耐性を評価した。なお、メッキ処理耐性の評価は下記の基準に基づいて判定した。
○:メッキ処理前後で表面外観に差を見出せない。
△:メッキ処理後における第2の成形体の表面がやや粗く、メッキ処理前後で比較した場合にメッキ処理後における第2の成形体の表面の方が粗くなっている。
×:メッキ処理後における第2の成形体の表面が粗い。
【0067】
(iii)透明性の評価方法
メッキ処理後のメッキ付二色成形体における第2の成形体を目視にて観察することにより、透明性を評価した。なお、第2の成形体に濁り、ブルーム又はブリードが見られた場合には「△」と判定し、濁り、ブルーム及びブリードが全く見られない場合は「○」と判定した。
【0068】
【表2】

【0069】
表2に示した結果から明らかなように、本発明のメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を用いた場合(実施例1、2)は、軟質樹脂からなる第2の成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制され、十分なメッキ処理耐性を有するメッキ用二色成形体が得られることが確認された。また、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとジエチルカーボネートから得られたポリカーボネートジオールを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を用いた場合(実施例1)は、優れた透明性を有するメッキ付二色成形体が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように、本発明によれば、軟質樹脂からなる成形体におけるメッキ処理による変色が十分に抑制され、十分なメッキ処理耐性を有するメッキ用二色成形体を得ることが可能なメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物、メッキ用二色成形体、メッキ付二色成形体、並びにそれらの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例において得られたメッキ用二色成形体を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1…第1の成形体、2…第2の成形体、10…メッキ用二色成形体。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有することを特徴とするメッキ付二色成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体、並びに、
前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成されており、ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物からなる第2の成形体
を備えることを特徴とするメッキ用二色成形体。
【請求項3】
ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体を準備する工程と、
ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を、前記第1の成形体の少なくとも一部に接触させた状態を保ちつつ成形することにより、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物からなる第2の成形体を前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成させてメッキ用二色成形体を得る工程と、
を含むことを特徴とするメッキ用二色成形体の製造方法。
【請求項4】
ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体、
前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成されており、ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物からなる第2の成形体、並びに、
前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体によって被覆されていない表面上に形成されたメッキ層
を備えることを特徴とするメッキ付二色成形体。
【請求項5】
ロックウェル硬さがR80以上の硬質樹脂からなる第1の成形体を準備する工程と、
ヘキサメチレンジイソシアネート(a1)を主成分とする有機ジイソシアネート(A)と、ポリカーボネートジオール(b1)を主成分とする高分子ポリオール(B)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(c1)を主成分とする鎖延長剤(C)とを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を、前記第1の成形体の少なくとも一部に接触させた状態を保ちつつ成形することにより、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物からなる第2の成形体を前記第1の成形体の少なくとも一部の表面上に形成させてメッキ用二色成形体を得る工程と、
前記メッキ用二色成形体にメッキ処理を施すことにより、前記第1の成形体の表面のうち前記第2の成形体に被覆されていない表面上にメッキ層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするメッキ付二色成形体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−242655(P2009−242655A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92237(P2008−92237)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】