説明

メッセージ交換システムおよび同システムにおける端末装置、ならびに電子タグを用いたメッセージ交換方法

【課題】 ユーザが、パーソナル・プライバシー・ポリシーのアドレス開示を行うことなくサービス提供者との間でメッセージ交換を可能とする、
【解決手段】 システムサーバ3(サービス・プライバシー・プロキシ)もしくは携帯端末1が、タグIDとメッセージを対応付けて管理するメッセージテーブル10を参照することにより、検出したタグIDが意味するメッセージを取得し、当該取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合に、携帯端末1もしくはシステムサーバ3との間でサービス提供に向けた交渉を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ユビキタス通信環境においてサービス交渉を行う用途に用いて好適な、メッセージ交換システムおよび同システムにおける端末装置、ならびに電子タグを用いたメッセージ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近未来のユビキタス時代においては、サービス提供者により、公共の待ち合わせ場所、店先、電柱などの実世界に、送受信機が設置される環境の構築が期待されている。この場合、環境側送信機(電子タグ)は、割引情報等のサービス情報を送信し、環境側受信機(電子タグリーダ)は、ユーザから送信される情報を受信する。上記した対向する送受信機をユーザの携帯端末に装着されることも期待されている。この場合、ユーザ側送信機(電子タグ)は、ユーザが希望する情報を送信し、ユーザ側受信機(電子タグリーダ)は、環境側から送信される情報を受信する。
【0003】
上記した送受信機を組みあわせて、実環境とユーザ間で情報の転送を行う場合、提供するサービスを開示し、また、利用するサービスを選択するための処理技術が必要となる。このようなユビキタス通信環境において、環境側とユーザ側の双方に、赤外線、BlueTooth、電子タグ等の近距離無線通信手段を設け、提供するサービスを開示し、あるいは選択する技術としてプライバシー・ビーコンが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
プライバシー・ビーコンは、環境側、ユーザ側の双方に近距離無線通信手段を設け、以下の手順に従いサービス交渉を実現する技術である。プライバシー・ビーコンのシステム構成を図7に、また、プライバシー・ビーコンを使用したサービス交渉の流れを図8に示す。
【0004】
図7、図8において、まず、環境側送信機2はサービス内容を放送する(S81)。続いてユーザ側受信機(電子タグおよび電子タグリーダを装備した携帯端末1)がそれを受信すると、パーソナル・プライバシー・プロキシ5に転送する(S82)。パーソナル・プライバシー・プロキシ5は、環境側におけるサービス提供者の、例えば、カメラ・プライバシー・プロキシ(サービス・プライバシー・プロキシ3)に、サービス情報を要求する(S83)。そしてその応答として、カメラ・プライバシー・ポリシーが、サービス・プライバシー・プロキシ3からパーソナル・プライバシー・プロキシ5に転送される(S84)。
【0005】
パーソナル・プライバシー・プロキシ5は、パーソナル・プライバシー・ポリシーとカメラ・プライバシー・ポリシーの比較を行い(S85)、当該比較結果が所定の条件を満足、あるいは満足しなければ(S86)、そのサービスを、利用する、あるいは利用しない旨を、サービス・プライバシー・プロキシ3に返信する。そして、サービス・プライバシー・プロキシ3は、上記した比較結果に応じてサービスを提供する(S87)。
【非特許文献1】Privacy Beacon :Marc Langheinrich. A Privacy Awareness System for Ubiquitous Computing Environments. Proc.of Ubicomp2002、Sweden、2002、pp.237−245
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した非特許文献1に開示された記述によれば、ユーザが、サービス利用の是非を判断する前に、パーソナル・プライバシー・プロキシ5のアドレスがサービス提供者に伝わる。このことは、S84で示されるように、カメラ・プライバシー・ポリシーが、ネットワーク(インターネット4)上のパーソナル・プライバシー・プロキシ5間で転送されることに起因する。
ユビキタス時代には環境側送信機の数が莫大になると考えられ、ユーザにとって必ずしも好ましくないサービス提供者の環境側送信機も含まれると予想される。それらに対して、サービス利用の是非を判断するパーソナル・プライバシー・プロキシ5のアドレス情報が漏れることは、プライバシ保護上好ましくない。
【0007】
また、サービス提供者においてユーザの要望を知るための手段がない。パーソナル・プライバシー・プロキシ5は、カメラ・プライバシー・ポリシーを参照してサービス利用の是非を決めるのみである。一般の購買活動では、店員が顧客の要望を聞き出しつつ、提案する商品を切り替えることが行われるが、それが不可能である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電子タグを用いることで、ユーザがパーソナル・プライバシー・プロキシのアドレス開示を行うことなくサービス提供者との間でメッセージ交換を可能とする、メッセージ交換システムおよび同システムにおける端末装置、ならびに電子タグを用いたメッセージ交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために本発明は、電子タグと電子タグリーダを備えたシステムサーバ、および端末装置から成り、あらかじめ複数用意されたタグIDのそれぞれにメッセージを割付け、前記システムサーバと端末装置との間で電子タグを用いてサービス提供に向けたメッセージ交換を行うメッセージ交換システムであって、前記システムサーバもしくは端末装置から送信されるタグIDを検出するタグID検出部と、前記タグIDと前記メッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照して該当メッセージを取得するメッセージ取得部と、前記取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、前記システムサーバもしくは前記端末装置との間でサービス提供に向けた交渉を開始するサービス交渉起動制御部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記メッセージに加え、前記システムサーバ、端末装置の各々が独立して設定可能なシリアル番号を送信し、前記サービス交渉開始後に前記シリアル番号を、前記サービス交渉を特定するための識別情報として用いることを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記システムサーバもしくは前記端末装置は、前記シリアル番号を含むメッセージを受信し、条件に合致した情報を引き出すためのメッセージをタグIDに変換し、当該タグIDを前記端末装置もしくはシステムサーバへ送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明において、一定時間、もしくは一定回数のメッセージ送信を行っても必要な情報が取得できなかった場合、前記サービス交渉を中断することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、電子タグと電子タグリーダを備えたシステムサーバとはネットワークを介して接続され、予め複数用意されたタグIDのそれぞれにメッセージを割付け、前記システムサーバとの間で電子タグを用いてサービス提供に向けたメッセージの交換を行う端末装置であって、前記システムサーバから送信されるタグIDを検出するタグID検出部と、前記タグIDと前記メッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照して該当メッセージを取得するメッセージ取得部と、前記取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、前記システムサーバとの間でサービス提供に向けた交渉を開始するサービス交渉起動制御部と、を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明において、前記メッセージテーブルは、当該メッセージテーブルを管理するサーバから前記ネットワークを介して取得することを特徴とする。
【0015】
また、本発明において、前記メッセージテーブルに任意のタイミングで任意のメッセージを登録して対応するタグIDを割当てることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、予め複数用意されたタグIDのそれぞれにメッセージを割付け、電子タグと電子タグリーダを備えたシステムサーバと、端末装置との間で電子タグを用いてサービス提供に向けたメッセージの交換を行うメッセージ交換方法であって、前記システムサーバ、もしくは端末装置から送信されるタグIDを検出するステップと、前記タグIDと前記メッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照して該当メッセージを取得するステップと、前記取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、前記システムサーバ、もしくは前記端末装置との間でサービス提供に向けた交渉を開始するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、システムサーバもしくは端末装置が、タグIDとメッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照することにより、検出したタグIDが意味するメッセージを取得し、当該取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合に、端末装置もしくはシステムサーバとの間でサービス提供に向けた交渉を開始することで、ユーザ(端末装置)は、パーソナル・プライバシー・プロキシのアドレス等、個人情報の開示を必要とすることなくサービス提供者(システムサーバ)との間で情報交換が可能となる。
また、セキュアな通信環境にない電子タグによる通信自体に、なりすまし等の防止をはかる意味で、ある程度ユーザを特定するために必要なシリアル番号を用いることで、コネクション(識別情報の交換等)無しに通信が可能となる。
【0018】
また、システムサーバもしくは端末装置が、シリアル番号を含むメッセージを受信して条件判断を行い、条件に合致した情報を引き出すためのメッセージをタグIDに変換して端末装置もしくはシステムサーバへ送信する操作を、一定時間、もしくは一定回数繰り返すことで、サービス提供者は、ユーザ側の1回の判断で交渉が途切れることなく、リアルな店舗における会話のように、電子タグを介したやり取りが可能となる。本発明によれば、ユビキタスの実空間からの発信に対して自動的に対応することができ、ユーザが条件設定した情報に関連した部分のみの取得が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明実施形態に係わるメッセージ交換システムのシステム構成を示す図である。
ここでは、ユーザ側設備として端末装置(携帯端末1)が示されており、電子タグおよび電子タグリーダが装着されている。ここで発信するID情報、あるいは受信したID情報は、携帯端末1が持つアプリケーションから制御するものとする。なお、IDとメッセージの対応関係を管理するメッセージテーブル10は内蔵されているものとする。携帯端末1は、更に、後述するサービス交渉のためのプログラムを内蔵している。
一方、サービス提供者設備として、環境側送受信機2としての電子タグと電子タグリーダ、そして、システムサーバとしてのサービス・プライバシー・プロキシが示されている。ここで、サービス・プライバシー・プロキシ3は、環境側送受信機が送信するID、受信したIDをメッセージに変換し、また、サービス交渉のためのプログラムを内蔵しこれを実行する。
【0020】
ここでは、後述するように、ユーザとサービス提供者の意図のマッチングにより、ユーザが利用するサービスを選択するため、携帯端末1とサービス・プライバシー・プロキシ3との間で電子タグを利用したメッセージの送受信を行う。このため、タグIDとメッセージを対応付けて管理するメッセージテーブル10を、ユーザが持つ携帯端末1、およびサービス提供者が環境に設置する環境側送受信機2に備える。そして、それぞれが送信するメッセージに対して、メッセージテーブル10を参照してタグIDを検索して、そのタグIDを送信する。
携帯端末1および環境側送受信機2は、いずれも電子タグリーダ機能を働かせており、付近で送信されているタグIDを検出すると、メッセージテーブル10を参照して対応するメッセージを検索して画面表示を行う他、アプリケーションに対して通知する。なお、メッセージテーブル10は、携帯端末1、環境側送受信機2共に固有のテーブルを用意してもよく、あるいは、テーブルを管理するサーバ(図示せず)をネットワーク4上に設けてもよい。更に、必要時に、任意のメッセージを登録して、対応するタグIDの割り当てを受けてもよい。
【0021】
図2は、図1に示す携帯端末の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
携帯端末1は、タグID検出部11と、メッセージ取得部12と、サービス交渉起動制御部13と、メッセージ送信部14と、ユーザ入出力部15で構成される。
【0022】
タグID検出部11は、サービス・プライバシー・プロキシ3から送信されるタグIDを検出してメッセージ取得部12へ供給する。メッセージ取得部12は、タグIDとメッセージを対応付けて管理するメッセージテーブル10を参照して該当メッセージを取得してサービス交渉起動制御部13へ供給する。サービス交渉起動制御部13は、取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、サービス・プライバシー・プロキシ3との間でサービス提供に向けた交渉を開始する機能を持つ。
【0023】
また、サービス交渉起動制御部13は、メッセージに加えてシリアル番号を送信し、当該シリアル番号を以降のサービス交渉を特定するための識別情報として用いる。
更に、サービス交渉起動制御部13は、シリアル番号を含むメッセージを受信し、条件に合致した情報を引き出すためのメッセージをタグIDに変換し、当該タグIDを、メッセージ送信部14を介してサービス・プライバシー・プロキシ3へ送信する交渉に際し、一定時間、もしくは一定回数のメッセージ送信を行っても必要な情報が取得できなかった場合は、サービス交渉を中断するものとする。
なお、メッセージテーブル10には、任意のタイミングで任意のメッセージを登録して対応するタグIDが割当てられることとする。また、サービス交渉起動制御部13は、ユーザ入出力部15のLCD画面にメッセージを表示し、ユーザのキー入力等の判断をもとめてもよい。
【0024】
図3は、サービス交渉を起動する際の情報の流れを示す図である。携帯端末1がサービス交渉を起動する場合の処理の流れを(A)に、サービス提供者側がサービス交渉を起動する場合の処理の流れが(B)に示されている。
ユーザとサービス提供者は、各々の意図を常時送信し続けており、ユーザが意図に合致した(サービス提供者発の)メッセージを受信した場合あるいは、サービス提供者がサービス内容に合致した(ユーザ発の)メッセージを受信した場合に、サービス交渉を開始する。
図3において、携帯端末1側、サービス提供側共に受信したメッセージIDに対し、メッセージテーブル10、あるいは30を参照して受信情報を解析する(S32、S37)。そして自身の意向と受信情報とを比較し(S33、S38)、条件を満足したときにサービス交渉を開始する(S34“Yes”、S39“Yes”)。
【0025】
なお、ユーザとサービス提供者は、送信メッセージに加えて、各々が独立して設定可能なシリアル番号を送信してもよい(S31、S35)。このシリアル番号は、一時的なIDであってもよい。サービス交渉開始後は、その契機となったシリアル番号をそのサービス交渉を識別する情報として用いる。ユーザとサービス提供者の間で、シリアル番号の番号空間(番号範囲)を区別しておいてもよい。
例えば、ユーザがサービス交渉の開始を決めた場合、その契機となったサービス提供者から送信されたメッセージのシリアル番号を交渉の識別情報として用いる。サービス提供者は、送信済みメッセージのシリアル番号を含むメッセージをユーザから受信した場合、ユーザからサービス交渉開始の要求があったと判断する。同様に、ユーザは、送信済みメッセージのシリアル番号を含むメッセージをサービス提供者から受信した場合、サービス提供者からサービス交渉開始の要求があったと判断する。
【0026】
図4は、ユーザ(携帯端末)、サービス提供者(システムサーバ)が各々サービス交渉において行う処理の概要を示す図である。前者を(A)、後者を(B)に示す。
サービス交渉開始後は、ユーザ、サービス提供者とも、各々のプログラムに基づき、送信するメッセージを決めて、送信を行う(S41、S44)。ここでは、ユーザ、サービス提供者間でコネクションを確立することは行わず、電子タグの発信、受信としてコネクションレスで行う。
但し、電子タグの送信内容は、第三者が容易に受信可能であり、第三者がサービス交渉に(悪意をもって)参加する可能性がある。従って、電子タグを介して、ユーザのプライバシにかかる情報を送信してはならない。また、電子タグの用途にあった、簡易なサービス交渉に限定すべきである。
なお、一定時間、一定回数のメッセージ送信等の条件を経過しても必要な情報を入手できなかった場合は、サービス交渉を中断する。あるいは得られた情報が自身の希望と照らし合わせて不十分な場合にもサービスを中断する。
【0027】
図5は、商品の購入を希望するユーザの立場から携帯端末におけるサービス交渉プログラムの処理の流れを示している。
ここではプリンタ(製品ID:A)のインク(製品ID:B)を購入することとし、条件はC円以下、会員の有無については開示をOKとする。ここでは、店舗発見時、当該サービス交渉に割当てられたシリアル番号を含むメッセージ受信イベントに対して以下の処理を実行する。
具体的にイベントドリブンの形態をとり、サービス提供者から受信する情報(製品在庫、価格、その他)に応じて追加の質問を送信する(S59、S61)。これは、商品購入の場合の例であり、サービス毎に異なる処理が必要である。条件に関係する情報を引き出すようにメッセージを送信(S59、S60、S61)し、条件が満足せずにタイムアウトした場合は交渉失敗とする(S57“Yes”)。また、全ての条件が満足した場合(S63“Yes”)、交渉結果を端末画面に表示し、店舗へ誘導する(S63“Yes”)。
【0028】
図6は、商店をサービス提供者として、顧客に売り込みを行う観点に立ったサービス交渉プログラムの処理の流れが示されている。
ここでは、通常店舗案内のメッセージを送信し続け(S71)、顧客発見時(S72:特定商品の問合せメッセージ受信時、希望商品を含めたメッセージの受信時)、当該サービス交渉に割当てられたシリアル番号を含むメッセージ受信イベントに対して以下の処理を実行する。すなわち、イベントドリブンの形態をとり、ユーザから受信する要求(S73、S75、S76)に応じて、回答を返す(S74、S76、S80)。希望商品の在庫がない場合、相当品の推薦、通信販売URL(Uniform Resource Locator)の紹介等、積極的に送ることを示している(S76、S77)。ここでもユーザ側の処理と同様にサービス毎に異なる処理が必要である。
【0029】
上記したように、ユーザが持つべきサービス交渉プログラムは、サービス提供者が示すサービス条件(在庫、料金、ユーザが開示する個人情報の範囲等)を質問し、ユーザのサービス希望条件との整合性を判断することである。両者の条件が合致すれば、ユーザはサービスを利用する。また、サービス提供者が持つべきサービス交渉プログラムは、ユーザのサービス希望条件(在庫、料金、ユーザが開示する個人情報の範囲等)を質問し、サービス提供者のサービス条件との整合性を判断することである。両者の条件が合致すれば、サービス提供者はサービスを提供する。
なお、ユーザ、サービス提供者のサービス交渉プログラムは、双方が一体となった処理は不要であり、各々独立に設計してよい。双方のサービス交渉プログラムは非同期で動作すればよい。
【0030】
以上説明のように本発明は、システムサーバ3(サービス・プライバシー・プロキシ)もしくは携帯端末1が、タグIDとメッセージを対応付けて管理するメッセージテーブル10あるいは30を参照することにより、検出したタグIDが意味するメッセージを取得し、当該取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合に、携帯端末1もしくはシステムサーバ3との間でサービス提供に向けた交渉を開始するものであり、このことにより、ユーザは、パーソナル・プライバシー・プロキシのアドレス等、個人情報の開示を必要とすることなくサービス提供者との間で情報交換が可能となる。
【0031】
また、セキュアな通信環境にない電子タグによる通信自体に、なりすまし等の防止をはかる意味で、ある程度ユーザを特定するために必要なシリアル番号を用いることで、コネクション(識別情報の交換等)無しに通信が可能となる。
また、システムサーバ3もしくは携帯端末1が、シリアル番号を含むメッセージを受信して条件判断を行い、条件に合致した情報を引き出すためのメッセージをタグIDに変換して携帯端末1もしくはシステムサーバ3へ送信する操作を、一定時間、もしくは一定回数繰り返すことで、サービス提供者は、ユーザ側の1回の判断で交渉が途切れることなく、リアルな店舗における会話のように、電子タグを介したやり取りが可能となる。本発明によれば、ユビキタスの実空間からの発信に対して自動的に対応することができ、ユーザが条件設定した情報に関連した部分のみの取得が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明実施形態に係わるメッセージ交換システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示す携帯端末の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図3】サービス交渉を起動する際の情報の流れを示す図である。
【図4】ユーザ(携帯端末)、サービス提供者(システムサーバ)が各々サービス交渉において行う処理の概要を示す図である。
【図5】携帯端末が持つサービス交渉プログラムの処理の流れを示す図である。
【図6】システムサーバが有するサービス交渉プログラムの処理の流れを示す図である。
【図7】従来のメッセージ交換システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図8】従来のメッセージ交換システムの動作の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1…携帯端末、2…環境側送受信機、3…サービス・プライバシー・プロキシ(システムサーバ)、4…インターネット(ネットワーク)、10…メッセージテーブル、11…タグID検出部、12…メッセージ取得部、13…サービス交渉起動制御部、14…メッセージ送信部、15…ユーザ入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タグと電子タグリーダを備えたシステムサーバ、および端末装置から成り、あらかじめ複数用意されたタグIDのそれぞれにメッセージを割付け、前記システムサーバと端末装置との間で電子タグを用いてサービス提供に向けたメッセージ交換を行うメッセージ交換システムであって、
前記システムサーバもしくは端末装置から送信されるタグIDを検出するタグID検出部と、
前記タグIDと前記メッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照して該当メッセージを取得するメッセージ取得部と、
前記取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、前記システムサーバもしくは前記端末装置との間でサービス提供に向けた交渉を開始するサービス交渉起動制御部と、
を具備することを特徴とするメッセージ交換システム。
【請求項2】
前記メッセージに加え、前記システムサーバ、端末装置の各々が独立して設定可能なシリアル番号を送信し、前記サービス交渉開始後に前記シリアル番号を、前記サービス交渉を特定するための識別情報として用いることを特徴とする請求項1に記載のメッセージ交換システム。
【請求項3】
前記システムサーバもしくは前記端末装置は、前記シリアル番号を含むメッセージを受信し、条件に合致した情報を引き出すためのメッセージをタグIDに変換し、当該タグIDを前記端末装置もしくはシステムサーバへ送信することを特徴とする請求項2に記載のメッセージ交換システム。
【請求項4】
一定時間、もしくは一定回数のメッセージ送信を行っても必要な情報が取得できなかった場合、前記サービス交渉を中断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメッセージ交換システム。
【請求項5】
電子タグと電子タグリーダを備えたシステムサーバとはネットワークを介して接続され、予め複数用意されたタグIDのそれぞれにメッセージを割付け、前記システムサーバとの間で電子タグを用いてサービス提供に向けたメッセージの交換を行う端末装置であって、
前記システムサーバから送信されるタグIDを検出するタグID検出部と、
前記タグIDと前記メッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照して該当メッセージを取得するメッセージ取得部と、
前記取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、前記システムサーバとの間でサービス提供に向けた交渉を開始するサービス交渉起動制御部と、
を具備することを特徴とする端末装置。
【請求項6】
前記メッセージテーブルは、当該メッセージテーブルを管理するサーバから前記ネットワークを介して取得することを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記メッセージテーブルに任意のタイミングで任意のメッセージを登録して対応するタグIDを割当てることを特徴とする請求項5または6に記載の端末装置。
【請求項8】
予め複数用意されたタグIDのそれぞれにメッセージを割付け、電子タグと電子タグリーダを備えたシステムサーバと、端末装置との間で電子タグを用いてサービス提供に向けたメッセージの交換を行うメッセージ交換方法であって、
前記システムサーバ、もしくは端末装置から送信されるタグIDを検出するステップと、
前記タグIDと前記メッセージを対応付けて管理するメッセージテーブルを参照して該当メッセージを取得するステップと、
前記取得したメッセージが自身で意図する内容に合致した場合、前記システムサーバ、もしくは前記端末装置との間でサービス提供に向けた交渉を開始するステップと、
を有することを特徴とするメッセージ交換方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−139597(P2006−139597A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329474(P2004−329474)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、総務省、ユビキタスネットワーク制御・管理技術の研究開発委託研究、産業再生法 第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】