説明

メディアデータ消去装置及び方法並びにプログラム

【課題】データ復旧を防止することができ、セキュリティの高いデータ消去装置を提供すること。
【解決手段】読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上の格納データを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアのデータを消去する方法であって、データ格納領域に対するデータ消去を行った後に、管理領域に対するデータ消去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアデータ消去方法にかかり、特に、ライトワンスメディアに記録されたデータを消去する方法に関する。また、メディアデータ消去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD−RやDVD−R、さらには、次世代のBD−RやHD DVD−R等のライトワンスメディアのデータ消去は、カッター等で記録層を傷つける、又は、シュレッダー等によりメディアを裁断することによる方法があった。
【0003】
また、別の方法として、下記特許文献1,2に示すように、レーザを出力した状態でレーザ出力部を移動させることによる簡易上書き、ドライブ側の設定変更並びにホストコンピュータからのコマンド発行による書き込み領域への上書き等の方法がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−280991号公報
【特許文献2】特開2006−48763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したメディアからデータを消去する方法では、以下のような不都合があった。まず、メディアを裁断する方法では、記録層で使われている金属片や記録層の色素(含む有害物質)が飛散し、環境や人体に影響を与える可能性があるという問題点があった。また、傷つけや裁断をおこなった記録層をつなぎ合わせることによりデータ部を読みとることが出来るという、セキュリティ上の問題点があった。
【0006】
また、上書きによる方法では、停電等により上書きが中断された場合に、データを完全に消去出来ない又は書き込み領域情報が分かるため、データの一部を復旧できる可能性があるという、セキュリティ上の問題点があった。
【0007】
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、データ復旧を防止することができ、セキュリティの高いデータ消去装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の一形態であるメディアデータ消去方法では、
読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上の格納データを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアのデータを消去する方法であって、
データ格納領域に対するデータ消去を行った後に、管理領域に対するデータ消去を行う、
ことを特徴としている。
【0009】
上記発明によると、管理領域のデータ消去前にデータ格納領域からデータ消去が行われるため、停電等によりデータ格納領域のデータ消去が中断された場合であっても、メディア管理領域を読み取ることができ、メディアの認識が可能であることから、当該メディアに対して継続してデータ消去を実施することが可能となる。従って、メディアに対するデータ消去の確実性の向上を図ることができ、セキュリティの向上を図ることができる。
【0010】
そして、上述したデータ格納領域に対するデータ消去は、当該データ格納領域の少なくとも一部の領域を2重に書込まれた状態にすることにより行うと共に、管理領域に対するデータ消去は、当該管理領域の全ての領域を2重に書き込まれた状態にすることにより行う、ことを特徴としている。さらに、データ格納領域に対するデータ消去は、当該データ格納領域の全ての領域を2重に書込まれた状態にすることにより行う、ことを特徴としている。
【0011】
これにより、各領域のデータ消去を、データの上書きといった簡易な方法で実施することができる。特に、データ格納領域のデータ消去は、一部の領域を2重書きすることで短時間にデータ消去を実現でき、あるいは、全ての領域を2重書きすることでデータの読み取りをさらに困難にしてさらなるセキュリティの向上を図ることができる。
【0012】
また、データ格納領域に対するデータ消去は、使用領域に対しては上書きし、未使用領域に対しては2重に書き込むことにより行う、ことを特徴としている。このとき、データ格納領域の未使用領域に対する2重の書込みは、それぞれ異なる書込みパターンにて行う、ことを特徴としている。これにより、未使用領域からデータ消去用の上書きパターンを読み取ることが不可能となるため、かかる上書きパターンを利用して使用領域のデータが読み取られることを抑制することができ、さらなるセキュリティの向上を図ることができる。
【0013】
また、データ消去の前後に、当該データ消去を行う領域における再生信号波形をそれぞれ読み取り、当該読みデータ消去前後における再生信号波形をそれぞれ記憶する、ことを特徴としている。これにより、データ消去を行った領域のデータ消去前後における各再生信号波形を参照することができ、データの消去を容易に確認することができる。
【0014】
また、データ消去後の領域における再生信号波形の読み取りを行う読取手段の読取動作制御を、当該領域に対するデータ消去時の消去動作制御に基づいて行う、ことを特徴としている。あるいは、データ消去後の領域における再生信号波形の読み取りを行う読取手段の読取動作制御を、当該領域に対するデータ消去時の消去動作制御及びデータ消去前の再生信号波形読取動作制御に基づいて行う、ことを特徴としている。これにより、データが消去された後の領域では、当該領域に対する再生信号波形の読取動作制御が困難であるが、消去前の再生信号波形読取動作制御やデータ消去時の動作制御を参照することで、その制御を容易に実現でき、より正確なデータ波形を読み取ることができる。
【0015】
また、本発明の他の形態であるメディアデータ読取装置は、
読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上のデータを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアを格納するメディア格納手段と、
このメディアに対してレーザビームによる書込みを行うレーザ照射手段と、
装置自体の動作を制御する制御手段と、を備えたメディアデータ消去装置であって、
制御手段は、データ格納領域の少なくとも一部の領域をレーザ照射手段にて2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行うデータ格納領域消去手段と、データ格納領域のデータ消去後に管理領域を2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行う管理領域消去手段と、を備えた、
ことを特徴としている。
【0016】
そして、上記構成に加え、データ格納領域消去手段及び管理領域消去手段にて前記データ消去を行う領域に対してレーザビームを照射して、データ消去の前後における再生信号波形をそれぞれ読み取る再生信号波形読取手段と、読み取った再生信号波形を記憶する再生信号波形記憶手段と、を備えたことを特徴としている。また、再生信号波形読取手段は、データ消去前の領域の再生信号波形を読み取る第一の再生信号波形読取手段と、データ消去後の領域の再生信号波形を読み取る第二の再生信号波形読取手段と、を備えたことを特徴としている。さらに、制御手段が、第二の再生信号波形読取手段の読取動作制御を、第一の再生信号波形読取手段及び/又はレーザ照射手段の動作制御に基づいて制御する再生信号波形読取制御手段を備えた、ことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上のデータを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアを格納するメディア格納手段と、
このメディアに対してレーザビームによる書込みを行うレーザ照射手段と、
を備えたメディアデータ消去装置の動作を制御する制御装置に、
データ格納領域の少なくとも一部の領域をレーザ照射手段にて2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行うデータ格納領域消去手段と、
データ格納領域のデータ消去後に管理領域を2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行う管理領域消去手段と、
を実現させる、ことを特徴としている。
【0018】
そして、さらに、メディアデータ消去装置が、データ格納領域消去手段及び管理領域消去手段のデータ消去を行う領域に対してレーザビームを照射してデータ消去の前後における再生信号波形をそれぞれ読み取る再生信号波形読取手段と、読み取った再生信号波形を記憶する再生信号波形記憶手段と、を備えると共に、再生信号波形読取手段は、データ消去前の領域の再生信号波形を読み取る第一の再生信号波形読取手段と、データ消去後の領域の再生信号波形を読み取る第二の再生信号波形読取手段と、を備えている場合に、
制御装置に、第二の再生信号読取手段の読取動作制御を、第一の再生信号波形読取手段及び/又はレーザ照射手段の動作制御に基づいて行う再生信号波形読取制御手段、
を実現させる、ことを特徴としている。
【0019】
上記構成の装置及びプログラムは、上述したメディアデータ消去方法と同様に作用するため、上記本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、管理領域のデータ消去前にデータ格納領域からデータ消去が行われるため、当該データ格納領域のデータ消去中に消去処理の中断が生じた場合であっても、管理領域を読み取ることができることから、当該メディアに対して継続してデータ消去を実施することが可能となる。従って、メディアに対するデータ消去の確実性の向上を図ることができ、セキュリティの向上を図ることができる、という従来にない優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、CD−RやDVD−R,次世代のBD−RやHD DVD−R等のライトワンスメディアのデータ消去方法、及び、データ消去装置に関する発明であり、データ格納領域へデータを上書きすることにより、当該データ格納領域のデータを読み取り不可状態にした後に、管理領域(メディア認識領域)を上書きする、ことに特徴を有する。これにより、データ格納領域への上書き又は2重書きの途中で停電又は何らかの異常等によりドライブが停止した場合に、停電又は何らかの異常等を排除した後に残りの領域を上書き又は2重書きを行うことにより、データへの上書きによるデータ消去をより確実に行うことができる。
【0022】
また、レーザ発光部を3箇所搭載することにより、データの上書きによる消去と同時に、データ消去前後のデータ波形の読み取りを行うことにも特徴とする。これにより、データ消去を確認することができる。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図13を参照して説明する。図1乃至図5は、メディアデータ消去装置の構成を説明する図であり、図6乃至図13は、その動作を説明する図である。
【0024】
[構成]
本実施例におけるメディアデータ消去装置10は、読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能なCD−RやDVD−Rなどのいわゆるライトワンスメディアに記録されたデータを消去するための装置である。なお、ライトワンスメディアには、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上のデータを管理するデータが記録される管理領域と、が形成されている。例えば、図11等に示すように、データ格納領域はメディアの外周側から内側に向かって形成されており、管理領域はメディアの内周側から外周側に向かって形成されている。なお、メディアの大部分は、データ格納領域である。
【0025】
そして、メディアデータ消去装置10は、図1に示すように、外形が直方体形状の筐体にて構成されており、その側面にはメディアを格納するメディア格納部111(メディア格納手段)と、このメディア格納部111を可動させるメディア排出スイッチ114(メディア排出SW)と、を備えている。また、筐体の上面には、スタートスイッチ116(スタートSW)、装置によるデータ消去方法である動作モードを操作者が選択するための動作モード選択スイッチ117(動作モード選択SW)、選択された動作モードを表示する動作モード表示部118、装置の状態を表示する状態表示部120、が設けられている。以下、図2乃至図5を参照して、メディアデータ消去装置10の構成について、さらに詳述する。なお、図2は、メディアデータ消去装置10の内部構成の一部を示す図であり、図3は、メディアデータ消去装置10の全体構成を示すブロック図である。また、図4は、CPU102の構成を示す機能ブロック図であり、図5は、動作モードDB115に記憶されているデータ内容を示す図である。
【0026】
図3に示すように、メディアデータ消去装置10は、メディアを格納し当該メディアに対してデータ消去処理を実行するドライブ部101と、上述したスタートSW116、動作モード選択SW117、動作モード表示部118、状態表示部120と、データ波形管理部119と、CPU121と、メモリ122と、電源部123と、を備えている。
【0027】
そして、メディアデータ消去装置10は、ドライブ部101内部に装備されドライブ部101の制御を行うCPU102と、各動作モードの実行や各スイッチ、表示部等の制御を行う上述したCPU121と、さらには、各制御部105,106,110等と、により動作が制御される。つまり、各CPU102,121と、各制御部105,106,110等とによって、メディアデータ消去装置10の制御手段が実現されている。なお、各制御部105,106,110等は、専用のICにて構成されていてもよく、あるいは、CPUに所定のプログラムが組み込まれることによって構成されていてもよい。以下、各構成について詳述する。
【0028】
スタートSW116は、マイクロスイッチ等のスイッチであり、メディアの上書き/2重書き/再上書き等の動作モードを実行する際に使用される。動作モード選択SW117は、マイクロスイッチ等のスイッチであり、動作モードを選択する際に使用される。動作モード表示部118は、7セグメントLEDや液晶ディスプレイ等の表示回路であり、動作モードを表示する際に使用される。データ波形管理部119は、データ波形情報の格納並びにデータ波形情報の外部出力が可能なRAMやROMなどの半導体記録部(再生信号波形記憶手段)並びにRS−232CやUSB等の外部出力端子部であり、後述するようにドライブ部101で読み出されたデータ消去前後のデータ波形情報を格納し、必要に応じて格納されたデータ波形情報を外部へ出力する際に使用される。状態表示部120は、7セグメントLEDや液晶ディスプレイ等の表示回路であり、メディアの状態や各動作モードの動作結果を表示する際に使用される。
【0029】
CPU121は、マイクロプロセッサ等で構成されている中央処理装置であり、各動作モードの実行や各スイッチ,表示部等の制御を行う。メモリ122は、CPU121が直接読み書きできるRAMやROMなどの半導体記憶装置であり、メディアの種別/管理領域/使用領域情報等を格納する際に使用される。電源部123は、ACの入力からDCへ変換するパワーサプライ等であり、ドライブ部101並びに各モジュールへ電源を供給する際に使用される。なお、上記各スイッチや表示部の動作を制御するCPU121が有する機能、つまり、当該CPU121に所定のプログラムが組み込まれることによって実現される処理内容については後述する。
【0030】
次に、ドライブ部101の構成について説明する。ドライブ部101は、図3に示すように、CPU102と、メモリ部103と、レーザ発光部104と、レーザ制御部105と、フォーカス/トラッキング制御部106と、光ピックアップ駆動部107と、データ波形確認用レーザ発光部108と、データ波形確認用レーザ発光部109と、レーザ制御部110と、メディア格納部111と、モータ部112と、回転制御部113と、メディア排出SW114と、動作モードデータベース115(動作モードDB)と、を備えている。以下、各構成について詳述する。
【0031】
レーザ発光部104(レーザ照射手段)は、LD(レーザーダイオード)並びに出力されるレーザ収束の為のレンズ等であり、位置決め、データの読みとり、上書き、2重書き時に使用される。なお、このレーザ発光部104は、図2に示すように、投入されたメディア100の裏面側に配置されており、その近辺にはメディア書込み前後のデータ波形を読み取るデータ波形確認用レーザ発光部108,109が2つ設けられている。つまり、それぞれ用途が異なるレーザ発光部104,108,109が3つ近接して設けられている。また、レーザ制御部105は、レーザ発光部104を制御する制御回路であり、レーザの出力制御やON/OFFの制御等を行う際に使用される。
【0032】
フォーカス/トラッキング制御部106は、レーザ発光部104,データ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109から出力されるレーザ光の焦点/位置決め制御回路であり、各動作モード開始前は、レーザ発光部104から出力されるレーザの焦点を合わせる並びに光ピックアップ駆動部107による光ピックアップの移動とレーザ発光部104のレーザの傾きにより指定された領域へ位置決めする際に使用される。また、フォーカス/トラッキング制御部106は、後述する管理領域の上書きモード,管理領域並びに一部データ領域の上書きモード,管理領域並びに全データ領域の上書きモードなどの各動作モード実行時に、レーザ発光部104とデータ波形確認用レーザ発光部108から出力されるレーザの焦点を合わせ、合わせた焦点情報の平均値をデータ波形確認用レーザ発光部109の焦点合わせに使用し、各レーザ発光部のレーザ焦点を合わせる。
【0033】
また、フォーカス/トラッキング制御部106は、管理領域の上書きモード,管理領域並びに一部データ領域の上書きモード,管理領域並びに全データ領域の上書きモードなどの各動作モードの実行時に、光ピックアップ駆動部107による光ピックアップの移動とレーザ発光部104とデータ波形確認用レーザ発光部108のレーザの傾きにより指定された領域へ位置決めを行い、位置決め完了時のレーザ発光部104とデータ波形確認用レーザ発光部108のレーザの傾きの平均値をデータ波形確認用レーザ発光部109の傾きに使用し、各レーザ発光部の位置決めを行う。また、フォーカス/トラッキング制御部106は、再上書きモードの実行時に、レーザ発光部104から出力されるレーザの焦点を合わせ、合わせた焦点情報をデータ波形確認用レーザ発光部108とデータ波形確認用レーザ発光部109の焦点合わせに使用し、各レーザ発光部のレーザ焦点を合わせる。また、フォーカス/トラッキング制御部106は、再上書きモードの実行時に、光ピックアップ駆動部107による光ピックアップの移動とレーザ発光部104のレーザの傾きにより指定された領域へ位置決めを行い、位置決め完了時のレーザ発光部104のレーザの傾き値をデータ波形確認用レーザ発光部108とデータ波形確認用レーザ発光部109の傾きに使用し、各レーザ発光部の位置決めを行う。
【0034】
以上のように、フォーカス/トラッキング制御部106は、レーザ発光部104及びレーザ波形確認用レーザ発光部108の動作制御に基づいて、データ消去後の領域のデータ波形を読み取るレーザ波形確認用レーザ発光部109の位置決め等の動作制御を行う再生信号波形読取制御手段として機能する。なお、フォーカス/トラッキング制御部106は、レーザ発光部104の動作制御に基づいて、各レーザ波形確認用レーザ発光部108,109の動作を制御してもよい。
【0035】
光ピックアップ駆動部107は、光ピックアップ(レーザ発光部104並びにデータ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109並びにレーザ制御部105並びにレーザ制御部110並びにフォーカストラッキング制御部106等)を移動させる台車であり、フォーカス/トラッキング制御部106から指定された位置へ移動する際に使用される。
【0036】
データ波形確認用レーザ発光部108(第一の再生信号波形読取手段、再生信号波形読取手段)は、LD(レーザーダイオード)並びに出力されるレーザ収束の為のレンズ等であり、データ消去前の領域に対する、位置決め、データ波形の読み取り時に使用される。データ波形確認用レーザ発光部109は、LD(レーザーダイオード)並びに出力されるレーザ収束の為のレンズ等であり、データ消去後の領域に対する、位置決め、データ波形の読みとり時に使用される(第二の再生信号波形読取手段、再生信号波形読取手段)。レーザ制御部110は、データ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109を制御する制御回路であり、レーザの出力制御やON/OFFの制御等を行う際に使用される。そして、上記データ波形確認用レーザ発光部108にてデータ消去前に読み取ったレーザ波形の一例を図13(a)に示し、データ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去後に読み取ったレーザ波形の一例を図13(b)に示す。これらの図に示すように、上書きあるいは2重書きによるデータ消去の前後では、そのデータ波形が異なる。
【0037】
メディア格納部111は、メディア格納用トレイ並びにトレイ駆動部であり、メディア100をドライブ部101へ投入/排出される際に使用される。モータ部112は、回転制御部113により回転制御可能なスピンドルモータ等のモータであり、メディアを回転させる際に使用される。回転制御部113は、モータ部112の制御回路であり、モータ部112が指定された回転数を保持できるよう制御する際に使用される。メディア排出SW114は、マイクロスイッチ等のスイッチであり、スタートSW116が押下されるまでの間でメディアを排出する必要がある際に押下すると、メディアがメディア格納部111より排出される。動作モードDB115は、動作モードと各動作モードに必要なパラメータが関連付けしてデータベース化されており、各動作モードで動作を行う際に使用される。なお、動作モードDB115に記憶されているデータの詳細を図5に示すが、これについては後述する。
【0038】
そして、CPU102は、マイクロプロセッサ等で構成されている中央処理装置であり、上述したようにドライブ部101の制御を行い、上述したスイッチ等の制御を行うCPU121や各種制御部105,106,110等と協働して、メディアデータ消去装置10の動作制御を行う。また、メモリ部103は、CPU102が直接読み書きできるRAMやROMなどの半導体記憶装置であり、データの上書き時や2重書き時のデータキャッシュやドライブ部101のドライブ制御パラメータ等の格納に使用される。
【0039】
続いて、上述したドライブ部101に装備されたCPU102と、各スイッチや表示部等の制御を行うCPU121と、について詳述する。ここで、ドライブ部101のCPU102には、所定のプログラムが組み込まれることによって、メディア状態判別処理部102a、動作モード判別処理部102b、データ消去処理部102c、データ波形記憶処理部102d、メディア排出処理部102e、が構築されている。
【0040】
メディア状態判別処理部102aは、各スイッチや表示部等の制御を行うCPU121と協働して、まず、メディアがメディア格納部111に投入されると、メディアの種別を判別し、管理領域が読み込めない場合、又は未書き込みメディア又はリライタブルメディアであった場合、又はドライブの異常を発見した場合、メディアを排出し、状態表示部120へ結果を表示する。そして、メディアがライトワンスメディアでデータが書き込まれており、且つドライブ部101も正常であった場合、メディアの種別並びに管理領域並びに使用領域情報をメモリ122へ格納し、状態表示部120へメディアの上書き準備が完了した旨の表示を行う。
【0041】
動作モード判別処理部102bは、各スイッチや表示部等の制御を行うCPU121と協働して、動作モード選択SW117が押下されたことを検知すると、動作モード表示部118のモード表示を変更する。そして、スタートSW116が押下されると、動作モード表示部118に表示されている現在選択されている動作モードを判別し、指定された動作モード(管理領域の上書きモード、又は、管理領域並びに一部データ領域の上書きモード、又は、管理領域並びに全データ領域の上書きモード、又は、再上書きモード)でメディアの上書きを行うよう、データ消去処理部102cに指示する。
【0042】
データ消去処理部102cは、「管理領域の上書きモード」が選択された場合には、まず、動作モードDB115内のデータ上書きパターン情報を確認する。例えば、図5に示すように、予め設定されたいくつかの上書きパターンのうち1つが選択される。そして、他の制御部104,105,110等と協働して、選択された上書きパターンにて、投入されたメディアの管理領域の全面上書きを行う。このとき、データ波形記憶処理部102d(再生信号波形読取手段)が、他の制御部104,105,110等と協働して、データ消去を行った領域に対してデータ波形確認用レーザ発光部108,109を用いてレーザビームを照射し、上書き前、及び、上書き後のデータ波形をそれぞれ読み取る。そして、読み取った各データ波形(再生信号波形)をデータ波形管理部119に送信して記憶する。その後、データ消去処理部102c及びCPU121は、メディアを排出し、状態表示部120へ結果を表示する。なお、この「管理領域の上書きモード」では、データ格納領域に対するデータ消去は行われないが、短時間で実施可能である(例えば、約1分)。そして、通常のOSではメディアが投入されるとまず管理領域に対して自動的に読み取りを試み、メディアエラー等によりメディアは読み取れないため、重要なデータではないが、一般人にメディアを読まれたくない場合に使用するとよい。
【0043】
また、データ消去処理部102c(データ格納領域消去手段、管理領域消去手段)は、「管理領域並びに一部データ領域の上書きモード」が選択された場合には、まず、動作モードDB115内の実施領域/データ上書きパターン/2重書きパターン/上書き回数/2重書き回数情報並びにメモリ118内の管理領域並びに使用領域情報を確認する。このとき、メディアのデータ格納領域のうち未使用領域に対してはデータを2重に書き込むため、例えば、図5の「2重書き(1回目)データパターン」に示すように予め設定されたいくつかの書込みパターンのうち1つが選択され、このパターンとは異なる他の書込みパターンであって「2重書き(2回目)データパターン」に示すように予め設定されたいくつかの書込みパターンのうち1つが選択される。つまり、異なる2つのデータ書込みパターンが選択される。また、データ格納領域のうち使用領域、及び、管理領域に対してはデータを上書きすればよいため、上述同様に、例えば、図5に示す予め設定されたいくつかの上書きパターンのうち1つがそれぞれ選択される。
【0044】
その後、データ消去処理部102cは他の制御部104,105,110等と協働して、投入されたメディアの未使用領域へランダムにデータ2重書き位置を決定して、異なるデータパターンでデータの2重書きを行う。このとき、データ波形記憶処理部102d(再生信号波形読取手段)が、他の制御部104,105,110等と協働して、データ消去(2重書き)を行った領域に対してデータ波形確認用レーザ発光部108,109を用いてレーザビームを照射し、上書き前(2重書き前)、及び、上書き後(2重書き後)のデータ波形をそれぞれ読み取り、読み取った各データ波形(再生信号波形)をデータ波形管理部119に送信して記憶する。また、データ格納領域の使用領域へは、ランダムにデータ上書き位置を決定してデータの上書きを行う。そして、上述同様に、データ波形記憶処理部102d(再生信号波形読取手段)がデータ波形確認用レーザ発光部108,109を用いて、データ消去前後(上書き前後)のデータ波形をそれぞれ読み取り、読み取った各データ波形(再生信号波形)をデータ波形管理部119に送信して記憶する。そして、上記のように、データ格納領域に対するデータ消去が終了した後に、管理領域の全面上書きを実行する。なお、このときの動作は、上述した「管理領域の上書きモード」時の動作を同様であり、データ消去前後にデータ波形が読み取られ、データ波形管理部119へ送信される。その後、メディア排出処理部102eからの指令によりメディアを排出し、状態表示部116へ結果を表示する。
【0045】
なお、上記「管理領域並びに一部データ領域の上書きモード」は、完全にデータ格納領域に対するデータ消去は行われないが、各領域のトラックが断続的に上書きあるいは2重書きされるため、ファイルの一部が消去される。このため、例えばメディア上の物理位置に連続して大きなファイルが書き込まれていた場合には有効であり、セキュリティが確保されうる。そして、実施時間も短時間で済むため(例えば、約3分)、多少重要なデータも含まれるが破棄ルートが決まっている場合に使用するとよい。
【0046】
また、データ消去処理部102c(データ格納領域消去手段、管理領域消去手段)は、「管理領域並びに全データ領域の上書きモード」が選択された場合には、まず、上述同様に、動作モードDB115内のデータを参照して、メディアのデータ格納領域のうち未使用領域に対して行う2重に書き込み時に使用される異なる2つのデータパターンが選択され、データ格納領域のうち使用領域及び管理領域に対して行う上書き時に使用される1つのデータパターンがそれぞれ選択される。その後、データ消去処理部102cは他の制御部104,105,110等と協働して、投入されたメディアに対するデータ消去を行う。具体的には、まず、データ格納領域の全未使用領域に対して、選択された2つのデータパターンで順番にデータの2重書きを行う。このとき、データ波形記憶処理部102d(再生信号波形読取手段)が、他の制御部104,105,110等と協働して、データ消去(2重書き)を行った領域に対してデータ波形確認用レーザ発光部108,109を用いてレーザビームを照射し、上書き前(2重書き前)、及び、上書き後(2重書き後)のデータ波形をそれぞれ読み取り、読み取った各データ波形(再生信号波形)をデータ波形管理部119に送信して記憶する。また、データ格納領域の全使用領域へは、選択されたデータパターンにてデータの上書きを行う。このとき、上述同様に、データ波形記憶処理部102d(再生信号波形読取手段)がデータ波形確認用レーザ発光部108,109を用いて、データ消去前後(上書き前後)のデータ波形をそれぞれ読み取り、読み取った各データ波形(再生信号波形)をデータ波形管理部119に送信して記憶する。そして、上記のように、データ格納領域に対するデータ消去が終了した後に、管理領域の全面上書きを実行する。このとき、上述同様に、データ消去前後のデータ波形も読み取られ、データ波形管理部119へ送信される。その後、メディアを排出し、状態表示部116へ結果を表示する。
【0047】
なお、上記「管理領域並びに全データ領域の上書きモード」は、データ格納領域の未使用領域/使用領域、及び、管理領域の全ての領域が2重書きされた状態でデータ消去が行われるため、実施時間が長時間(例えば、約6分)であるが、セキュリティが高く、重要なデータが記録されたメディアに対して使用するとよい。
【0048】
以上のように、上記「管理領域並びに一部データ領域の上書きモード」及び「管理領域並びに全データ領域の上書きモード」の場合には、例えば、図11(a),(b)に示すように、ディスク100の外周側から内周側に向かって上書きあるいは2重書きを行い、これにより、データ格納領域に対してデータを上書きあるいは2重書きすることによりデータ消去を行った後に、管理領域に対してデータを上書きしてデータ消去を行っている。このため、停電等によりデータ格納領域のデータ消去が中断された場合であっても、かかるメディアの管理領域を読み取ることができ、メディアの認識が可能であることから、当該メディアに対して継続してデータ消去を実施することが可能となる。
【0049】
また、データ消去処理部102cは、「再上書きモード」が選択された場合には、まず、上述同様に、動作モードDB115内のデータを参照して、メディアのデータ格納領域のうち未使用領域に対して行う2重に書き込み時に使用される異なる2つのデータパターンが選択され、データ格納領域のうち使用領域及び管理領域に対して行う上書き時に使用される1つのデータパターンが選択される。その後、投入されたメディアの管理領域に全面上書きを行い、上述同様に、データ波形管理部119へデータ消去前後のデータ波形を送信する。その後、全使用領域データの上書きを行った後に、データ波形管理部119へデータ消去前後のデータ波形を送信し、全未使用領域へ違うデータパターンでデータの2重書きを行った後に、さらに、データ波形管理部119へデータ消去前後のデータ波形を送信する。つまり、メディアに対するデータの上書き及び2重書きによるデータ消去順序は、図12(b)に示すように、上述した順序と逆になる。その後、メディアを排出し、状態表示部116へ結果を表示するという順序で消去作業を行う。なお、各消去作業中にデータ波形確認用レーザ発光部108により2重書きが検出された場合は、その時点で作業を終了し、メディアを排出後に状態表示部116へ結果を表示する。従って、データ波形を読み取ると同時に、常時、読み取ったデータ波形に基づいて、データ波形管理部119に接続された外部PCなどで、2重書きが否かの確認処理が実施され、その結果が通知される。
【0050】
なお、上記「再上書きモード」は、データ格納領域への上書き又は2重書きの途中で停電又は何らかの異常等によりドライブが停止した場合に(例えば、図12(a)参照)、データ消去のリトライとして実施されるとよい。
【0051】
[動作]
次に、上記構成のメディアデータ消去装置の動作を、図6乃至図10のフローチャートを参照して説明する。図6は、メディアデータ消去装置の動作モード設定時の動作について説明し、図7乃至図10は、各モードによるデータ消去動作を説明する。
【0052】
まず、操作者が動作モード選択SW117を押下すると、動作モード表示部118の動作モードが変更され、必要な動作モードが選択される(ステップA1)。そして、操作者によりメディアが投入されると(ステップA2:Yes)、メディアを判別し(ステップA3)、管理領域が読み込み可能か確認し、読み込み不可能な場合(2重書きされている場合)(ステップA4:No)や、未書き込みメディア(管理領域が未書き込みのメディア)又はリライタブルメディア(CD−RW,DVD±RW,DVD−RAM,BD−RE等の書き換え可能媒体)であった場合(ステップA5:Yes)、又はドライブの異常を検知した場合(ステップA6:No)には、メディアを排出し(ステップA7)、状態表示部120へ結果を表示する(ステップA8)。例えば、管理領域が読み取り不可の場合:”AlreadyOverWrite”,未書き込みメディアの場合:”NewDisc”,リライタブルメディアの場合:”DiscTypeError”,ドライブ異常の場合:”SenseKey/SenseCode”等と表示する。
【0053】
一方、メディアデータ消去装置10は、管理領域が読み取り可能で、書き込み済みのライトワンスメディアが投入され、ドライブが正常であった場合は(ステップA4:Yes,ステップA5:No,ステップA6:Yes)、メディアの種別/管理領域/使用領域情報をメモリ122へ一時格納し(ステップA9)、状態表示部120へメディアの上書き/2重書き準備完了を表示する(ステップA10)。例えば、”DiscReady”等と表示する。
【0054】
続いて、メディアデータ消去装置10は、状態表示部120へメディアの上書き/2重書き準備完了を表示後、操作者にてスタートSW116が押下されると(ステップA11:Yes)、ステップ1で選択された動作モードを判別し(ステップA12)、CPU121よりドライブ部101へ該当する動作モードの実行命令並びにその動作モードで必要となるメモリ122の内容(管理領域の上書きモードの場合:メディアの種別,管理領域並びに一部データ領域の上書きモードの場合:メディアの種別/管理領域/使用領域情報,管理領域並びに全データ領域の上書きモードの場合:メディアの種別/使用領域情報,再上書きモードの場合:メディアの種別/使用領域情報)の送信を行う(ステップA13)。そして、メディアデータ消去装置は、各モードに応じたデータ消去を実行する(ステップA14,A20,A30,B1)。
【0055】
そして、メディアデータ消去装置10は、動作モードが管理領域の上書きモードであった場合には(ステップA14、図7に進む)、動作モードDB115より管理領域の上書きモード時の上書きパターン情報を読み出し(ステップA15)、投入されたメディアの管理領域の全面上書きを行う(ステップA16)。このとき、上書きの前後に、データ波形確認用レーザ発光部108(データ上書き前のデータ波形観測)並びにデータ波形確認用レーザ発光部109(データ上書き後のデータ波形観測)にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、この読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA17)。その後、メディアを排出し(ステップA18)、状態表示部120へ動作結果を表示し(ステップA19:例えば、”NormalEnd”と表示する)、終了する。
【0056】
また、メディアデータ消去装置10は、動作モードが管理領域並びに一部データ領域の上書きモードであった場合には(ステップA20、図8に進む)、まず、動作モードDB115より管理領域及び使用領域への上書きパターン情報、並びに未使用領域への2重書き時の2回分のデータパターン情報、並びに使用領域及び未使用領域への各領域毎の書き込み回数(ドライブの書き込み速度によるが、一例として、使用領域又は未使用領域を全体の容量と比較することにより使用率又は未使用率を算出し、使用率×5000カ所又は未使用率×2500カ所で算出を行う)を読み出す(ステップA21)。
【0057】
その後、投入されたメディアの使用領域情報を基に未使用領域へ指定回数分ランダムにデータの2重書きを行う(ステップA22)。このとき、2重書きの前後に、データ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA23)。続いて、データ格納領域の使用領域へ指定回数分ランダムにデータの上書きを行う(ステップA24)。このとき、上書きの前後にデータ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA25)。
【0058】
そして、最後に、メディアデータ消去装置は、管理領域の全面上書きを行う(ステップA26)。このとき、上書きの前後にデータ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA27)。その後、メディアを排出(ステップA28)した上で、状態表示部120へ動作結果を表示し(ステップA29:例えば、”NormalEnd”と表示する)、終了する。
【0059】
また、メディアデータ消去装置10は、動作モードが管理領域並びに全データ領域の上書きモードであった場合には(ステップA30、図9に進む)、まず、上述同様に、動作モードDB115より管理領域及び使用領域への上書きパターン情報、並びに未使用領域への2重書き時の2回分のデータパターン情報を読み出す(ステップA31)。
【0060】
その後、投入されたメディアの使用領域情報を基に未使用領域へデータの全面2重書きを行う(ステップA32)。このとき、2重書きの前後にデータ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA33)。その後、使用領域へデータの全面上書きを行う(ステップA34)。このとき、上書きの前後にデータ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA35)。
【0061】
そして、最後に、管理領域の全面上書きを行う(ステップA36)。このとき、上書きの前後にデータ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にてデータ消去前後のデータ波形を読み取り、読み取ったデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップA37)。その後、メディアを排出(ステップA38)した上で、状態表示部120へ動作結果を表示し(ステップA39:例えば、”NormalEnd”とする)、終了する。
【0062】
また、メディアデータ消去装置10は、動作モードが再上書きモードであった場合には(ステップB1、図10に進む)、まず、動作モードDB115より管理領域及び使用領域への上書きパターン情報、並びに未使用領域への2重書き時の2回分のデータパターン情報を読み出す(ステップB2)。その後、管理領域の全面上書きを行う(ステップB3)。そして、その上書き作業中に、データ波形確認用レーザ発光部108で2重書きを検出した場合には(ステップB4:Yes)、メディアを排出し(ステップB11)、状態表示部120へ動作結果を表示し(ステップB12:例えば、”NormalEnd”等とする)、終了する。また、ステップB4で、管理領域からデータ波形確認用レーザ発光部108で2重書きを未検出の場合には(ステップB4:No)、データ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にて観測したデータ消去前後(上書き前後)のデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップB5)。
【0063】
続いて、データ格納領域の使用領域へデータの全面上書きを行う(ステップB6)。このとき、その上書き作業中に、データ波形確認用レーザ発光部108で2重書きを検出した場合には(ステップB7:Yes)、上述同様に、ステップB11並びにステップB12を実施する。さらに、ステップB7で、データ管理領域の未使用領域からデータ波形確認用レーザ発光部108で2重書きを未検出の場合には(ステップB7:No)、データ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にて観測したデータ消去前後のデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップB8)。次に未使用領域へデータの全面2重書きを行う(ステップB9)。このとき、その2重書き作業中に、データ波形確認用レーザ発光部108で2重書きを検出した場合には(ステップB10:Yes)、上述同様に、ステップB11並びにステップB12を実施する。一方、ステップB10でデータ波形確認用レーザ発光部108で2重書きを未検出の場合には(ステップB10:No)、データ波形確認用レーザ発光部108並びにデータ波形確認用レーザ発光部109にて観測したデータ消去前後のデータ波形情報をデータ波形管理部119へ送信する(ステップB13)。これにより、全データの消去が完了し(ステップB14)、メディアを排出(ステップB15)した上で、状態表示部120へ動作結果を表示し(ステップB16:例えば、”NormalEnd”等とする)、終了する。
【0064】
なお、以上の動作を参照すると、図7に示した「管理領域の上書きモード」では、ディスクの中心部分のみを上書きすることとなる。また、図8,9に示した「管理領域並びに一部データ領域の上書きモード」及び「管理領域並びに全データ領域の上書きモード」では、図11(a),(b)に示すように、ディスクの外周側から内周側に向かって2重書きが行われ、データ消去が実行される。また、図10に示した「再上書きモード」では、図12(a)に示すように、上記「管理領域並びに全データ領域の上書きモード」などでデータ消去が途中で終了してしまった場合に実行され、図12(b)に示すように、ディスク内周側の管理領域から外周側に向かって2重書きが行われ、データ消去が実行される。
【0065】
以上より、本発明によると、上記「管理領域並びに一部データ領域の上書きモード」及び「管理領域並びに全データ領域の上書きモード」に示すように、データ格納領域へデータを上書き完了後に、管理領域(メディア認識領域)の上書きを行うため、例えば、停電等によりデータ領域の上書きが中断された場合もメディアの管理領域を読みとることができるため、メディアを認識可能であり、例えば、上記「再上書きモード」を利用して、継続して上書きによる消去を行うことができる。従って、メディアに対するデータ消去の確実性の向上を図ることができ、セキュリティの向上を図ることができる。
【0066】
そして、データ格納領域のデータ消去に関しては、その一部の領域に対して行うことで、簡易な方法でデータ消去を実行することができ、消去時間の短縮化を図ることができる。一方で、全ての領域を2重書きすることで、データの読み取りをさらに困難にしてさらなるセキュリティの向上を図ることもできる。さらに、データ格納領域の使用領域に対しては上書きし、未使用領域に対しては2重に書き込むことで、未使用領域からデータ消去用の上書きパターンを読み取ることが不可能となるため、かかる上書きパターンを利用して使用領域のデータが読み取られることを抑制することができ、さらなるセキュリティの向上を図ることができる。
【0067】
また、データの上書き及び2重書きによるデータ消去の前後に、当該データ消去を行う領域におけるデータ波形(再生信号波形)をそれぞれ読み取り、当該読みデータ消去前後におけるデータ波形をそれぞれ記憶することで、図13(a),(b)に示すようにデータ波形を外部PC等へ出力することができ、データの消去を容易に確認することができる。さらには、出力した波形データを消去証明として加工・表示・印刷することが可能である。また、通常、データ消去後の領域をアクセスする際、レーザの焦点/トラック位置決めができないが、本発明では、消去しつつデータ波形を観測するため、データ書込み用のレーザ発光部104、あるいは、データ消去前のデータ波形読み取り用のレーザ発光部108の調整結果の値を使用することにより、データ消去後の領域をアクセスするレーザ発光部109の焦点/トラック位置決めを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、会社などで不要となったメディアを破棄する前にデータ消去を行う装置として利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】メディアデータ消去装置の外観を示す図である。
【図2】メディアデータ消去装置の内部構成の一部を示す図である。
【図3】メディアデータ消去装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図3に開示したドライブ部に装備されたCPUの構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図3に開示したドライブ部に装備された動作モードDB内のデータ内容を示す図である。
【図6】メディアデータ消去装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】メディアデータ消去装置の動作を示すフローチャートであり、管理領域上書きモード時の動作を示す。
【図8】メディアデータ消去装置の動作を示すフローチャートであり、管理領域並びに一部データ領域の上書きモード時の動作を示す。
【図9】メディアデータ消去装置の動作を示すフローチャートであり、管理領域並びに全データ領域の上書きモード時の動作を示す。
【図10】メディアデータ消去装置の動作を示すフローチャートであり、再上書きモード時の動作を示す。
【図11】メディアに対する上書き/2重書きの順序を示す図であり、再上書きモード以外のモード時の順序を示す。
【図12】メディアに対する上書き/2重書きの順序を示す図であり、再上書きモード時の順序を示す。
【図13】メディアに対する上書き/2重書き前後に読み取ったデータ波形の例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
10 メディアデータ消去装置
100 メディア
101 ドライブ部
102,121 CPU
103,122 メモリ
104 レーザ発光部
105 レーザ制御部
106 フォーカス/トラッキング制御部
107 光ピックアップ駆動部
108,109 データ波形確認用レーザ発光部
110 レーザ制御部
111 メディア格納部
112 モータ部
113 回転制御部
114 メディア排出SW
115 動作モードDB
116 スタートSW
117 動作モード選択SW
118 動作モード表示部
119 データ波形管理部
120 状態表示部
123 電源部
102a メディア状態判別処理部
102b 動作モード判別処理部
102c データ消去処理部
102d データ波形記憶処理部
102e メディア排出処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上の格納データを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアのデータを消去する方法であって、
前記データ格納領域に対するデータ消去を行った後に、前記管理領域に対するデータ消去を行う、
ことを特徴とするメディアデータ消去方法。
【請求項2】
前記データ格納領域に対するデータ消去は、当該データ格納領域の少なくとも一部の領域を2重に書込まれた状態にすることにより行うと共に、
前記管理領域に対するデータ消去は、当該管理領域の全ての領域を2重に書き込まれた状態にすることにより行う、
ことを特徴とする請求項1記載のメディアデータ消去方法。
【請求項3】
前記データ格納領域に対するデータ消去は、当該データ格納領域の全ての領域を2重に書込まれた状態にすることにより行う、
ことを特徴とする請求項1記載のメディアデータ消去方法。
【請求項4】
前記データ格納領域に対するデータ消去は、使用領域に対しては上書きし、未使用領域に対しては2重に書き込むことにより行う、ことを特徴とする請求項2又は3記載のメディアデータ消去方法。
【請求項5】
前記データ格納領域の未使用領域に対する2重の書込みは、それぞれ異なる書込みパターンにて行う、ことを特徴とする請求項4記載のメディアデータ消去方法。
【請求項6】
前記データ消去の前後に、当該データ消去を行う領域における再生信号波形をそれぞれ読み取り、当該読みデータ消去前後における再生信号波形をそれぞれ記憶する、ことを特徴とする請求項2,3,4又は5記載のメディアデータ消去方法。
【請求項7】
前記データ消去後の領域における再生信号波形の読み取りを行う読取手段の読取動作制御を、当該領域に対するデータ消去時の消去動作制御に基づいて行う、ことを特徴とする請求項6記載のメディアデータ消去方法。
【請求項8】
前記データ消去後の領域における再生信号波形の読み取りを行う読取手段の読取動作制御を、当該領域に対するデータ消去時の消去動作制御及びデータ消去前の再生信号波形読取動作制御に基づいて行う、ことを特徴とする請求項6記載のメディアデータ消去方法。
【請求項9】
読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上のデータを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアを格納するメディア格納手段と、
このメディアに対してレーザビームによる書込みを行うレーザ照射手段と、
装置自体の動作を制御する制御手段と、を備えたメディアデータ消去装置であって、
前記制御手段は、前記データ格納領域の少なくとも一部の領域を前記レーザ照射手段にて2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行うデータ格納領域消去手段と、前記データ格納領域のデータ消去後に前記管理領域を2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行う管理領域消去手段と、を備えた、
ことを特徴とするメディアデータ消去装置。
【請求項10】
前記データ格納領域消去手段及び前記管理領域消去手段にて前記データ消去を行う領域に対してレーザビームを照射して、データ消去の前後における再生信号波形をそれぞれ読み取る再生信号波形読取手段と、
読み取った再生信号波形を記憶する再生信号波形記憶手段と、
を備えたことを特徴とする請求項9記載のメディアデータ消去装置。
【請求項11】
前記再生信号波形読取手段は、前記データ消去前の領域の再生信号波形を読み取る第一の再生信号波形読取手段と、前記データ消去後の領域の再生信号波形を読み取る第二の再生信号波形読取手段と、を備えたことを特徴とする請求項10記載のメディアデータ消去装置。
【請求項12】
前記制御手段が、前記第二の再生信号波形読取手段の読取動作制御を、前記第一の再生信号波形読取手段及び/又は前記レーザ照射手段の動作制御に基づいて制御する再生信号波形読取制御手段を備えた、ことを特徴とする請求項11記載のメディアデータ消去装置。
【請求項13】
読取可能なよう一度のみデータの書込みが可能であり、記録対象データが格納されるデータ格納領域と、メディア上のデータを管理するデータが記録される管理領域と、を備えたライトワンスメディアを格納するメディア格納手段と、
このメディアに対してレーザビームによる書込みを行うレーザ照射手段と、
を備えたメディアデータ消去装置の動作を制御する制御装置に、
前記データ格納領域の少なくとも一部の領域を前記レーザ照射手段にて2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行うデータ格納領域消去手段と、
前記データ格納領域のデータ消去後に前記管理領域を2重に書き込まれた状態にしてデータ消去を行う管理領域消去手段と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項14】
前記メディアデータ消去装置が、前記データ格納領域消去手段及び前記管理領域消去手段のデータ消去を行う領域に対してレーザビームを照射してデータ消去の前後における再生信号波形をそれぞれ読み取る再生信号波形読取手段と、読み取った再生信号波形を記憶する再生信号波形記憶手段と、を備えると共に、前記再生信号波形読取手段は、前記データ消去前の領域の再生信号波形を読み取る第一の再生信号波形読取手段と、前記データ消去後の領域の再生信号波形を読み取る第二の再生信号波形読取手段と、を備えている場合に、
前記制御装置に、前記第二の再生信号読取手段の読取動作制御を、前記第一の再生信号波形読取手段及び/又は前記レーザ照射手段の動作制御に基づいて行う再生信号波形読取制御手段、
を実現させるための請求項13記載のプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−84367(P2008−84367A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259925(P2006−259925)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】