説明

メディア攪拌型湿式分散機及び微粒子の分散方法

【課題】 ナノメータオーダーの分散が可能であり、大容量で分級性能に優れたメディア攪拌型湿式分散機を提供する。
【解決手段】 内部に縦型円筒状の粉砕室20を形成する分散タンク2と、蓋部材22を挿通して回転自在に設けられる中空の回転軸3と、粉砕室20の上部に位置して回転軸3に固定されて回転する上部ロータ4と、粉砕室20の下部に位置して回転軸3に固定されて回転する下部ロータ6と、上部ロータ4の内側に位置して回転軸3に固定されて回転する内側ロータ5を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に分散処理を行うメディア攪拌型湿式分散機に関し、特に、ナノメーターオーダーの微粒子からなる分散液を得ることができるメディア攪拌型湿式分散機に関する。また、これを用いた微粒子の分散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿式分散処理とは、スラリー中に含まれる固体粒子を微粉砕して、より細かい微粒子からなる均一の分散液とする処理である。例えば、プリンター用インク、塗料、重合トナー、カラーレジスト、セラミックス微粒子、酸化チタン、金属粉末、医薬品等の広い分野においてよく行われている。すなわち、これらは無機質微粒子、有機質微粒子、無機有機複合微粒子又はこれらの混合物を含むスラリーである。
【0003】
これらの処理に使用される分散機の一つとして、メディア攪拌型の分散機がある。この分散機は、容器内でスラリー状の処理液とメディアとを一緒に攪拌し、メディアの剪断力によって粒子を粉砕すると共に分散するものである。分散後の処理液は、容器内に設けられたセパレータによりメディアと分離されて容器外に排出される。セパレータとしては、ギャップタイプやスクリーンタイプ等の篩式のものが多く使用されている。
【0004】
分散処理の性能は使用するメディアの直径に大きく影響され、メディアの直径が小さいほど、分散液中の微粒子径を小さくすることができる。従来、多く使用されているメディアの直径は0.3mm以上である。そして、通常得られる分散液の平均粒子径は100nm(ナノメートル)以上である。100nm未満の微粒子を得ることは困難であり、可能な場合でも非常に長時間を必要とする。
【0005】
0.3mm未満のメディアが使用されていない理由は、セパレータに問題があるからである。ギャップタイプやスクリーンタイプのセパレータでは、篩目の隙間をメディア径の1/3以下とする必要があり、セパレータの製作が困難となる上に、噛み込みや目詰まり等のトラブルが付きまとい、安定して連続運転を行うことができないのである。
【0006】
しかし、昨今では各分野において、粒子径をナノメーターオーダーとする分散処理のニーズが高まっており、メディア攪拌型湿式分散機においては、メディアの直径をさらに0.1mm以下とすることも求められている。そして、このようにメディアの直径が小さくなると、もはやギャップタイプやスクリーンタイプ等の篩式を使用することは不可能であり、これらとは違ったタイプのセパレータが求められている。
【0007】
また、メディアの小径化に伴って別の問題も生じている。すなわち、スラリーの流れによって、メディアが排出側へ押し付けられるメディアパッキング現象である。これにより、供給側と排出側ではメディアに掛かる力が不均一となり、特に排出側で過度な力が働き、異常摩耗や不要な発熱を起こし易い。また、ナノレベルの分散では、粒子や分散剤へのダメージを伴うことがあり、実際に再凝集現象を起こすことが多い。そして、メディアパッキング現象は、粉砕室の長さ/直径(以下、L/D比と記載する。)が大きい分散機ほど発生し易い。
これまでの常識では、タンクの一端に供給口が設けられ、他端に排出口が設けられている。これは当然、ショートパスを懸念するからであり、供給口付近にあるメディアから排出口付近にあるメディアまで順番に、処理物がピストンフローで接するように設計されてきた。
【0008】
セパレータに関する問題を解決する分散機としては、遠心力によりメディアと処理液を分離するメディア攪拌型湿式分散機が提案されている(特許文献1)。すなわち、特許文献1に記載された分散機は、分散されるべきペーストを供給する供給口及び分散された分散ペーストを排出する排出口を有するベセルと、ベセル内壁との間に分散を行うための環状隙間Xを形成するようにベセル内に配置した外周面が円筒状のロータとを有し、環状隙間Xからロータの内部を通り排出口に至る流路が形成され、ロータ内の流路の途中に、分散メディアを分散ペーストから遠心分離するための遠心分離装置を設け、遠心分離した分散メディアを環状隙間Xに送り出すための循環用開口部をロータに形成したものである。
【0009】
特許文献1に記載されたメディア攪拌型湿式分散機は、メディアと処理液との分離に遠心分離装置を用いているので、篩式の場合のように噛み込みや目詰まり等のトラブルを起こすことがない。したがって、メディアの直径を0.1mm以下とすることができる。また、L/D比が比較的小さいのでメディアパッキング現象の問題も解決されている。しかしながら、粉砕・分散処理を行う場所が、狭い環状隙間Xに限定されており、処理液の滞留時間が極端に短く、大容量の処理が困難という問題点を有している。
【0010】
また、L/D比をさらに小さくしたメディア攪拌型湿式分散機も提案されている(特許文献2)。すなわち、特許文献2に記載された分散機は、円筒状の粉砕容器内に軸線を一致させた状態で円筒状のセパレータを設け、粉砕容器内を径方向に内側室と外側室の2室に区画し、内側室内に筒状の攪拌部材を回転可能に設けている。そして、粉砕容器のL/D比は1.0以下としているが、内側室のほぼ全体が粉砕・分散処理に使用されるので、処理液の滞留時間を少し長くすることができる。
【0011】
これらのメディア攪拌型湿式分散機は、何れもL/D比が小さいことから滞留時間が短くなるのであるが、このことを補うために分散力、すなわちメディアに対する攪拌力を強力にしている。その結果、次のような場合には不都合を生じることが分かった。例えば、分散力が大き過ぎるために、処理物によっては、劣化を起こして本来の特性を失ったり、一度分散した固体粒子が再凝集を起こしたり、極端な粘度の上昇やゲル化を起こしたりするものがある。そして、このような問題を避けるために分散力を弱くすると、滞留時間が短いために分散性能が低下する。
【0012】
また、処理物と直接接触する粉砕室の壁面や攪拌ロータ等の材質は、耐摩耗性の材料を使用するのであるが、分散力を強力にすると摩耗が激しくなり、これらの材質を損傷することがある。そして、この問題を避けるために分散力を弱くすると、滞留時間が短いために分散性能が低下する。いずれの場合にも、分散力が最も強力となるのは、周速度が最も速くなるロータの先端部である。したがって、粒子の再凝集等もロータの先端部で発生するものと考えられ、先端部の周速度を低くした場合には、その他の場所の分散力が低下して効率の悪化を招くものと考えられる。
【特許文献1】特開2002−306940号公報
【特許文献2】特開平10−015411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、連続処理で使用するメディア攪拌型湿式分散機であって、分散液中の微粒子をナノメーターオーダーとすることが可能な分散機を提供することである。そのために、直径が0.1mm以下のメディアを使用可能なメディア攪拌型湿式分散機であって、微粒子とメディアとの分離を確実に行うことができるメディア攪拌型湿式分散機を提供することである。また、L/D比を小さくしたことによる滞留時間不足を解消し、強い攪拌力を備えて粉砕・分散機能に優れると共に、メディアパッキング現象を起こさないメディア攪拌型湿式分散機を提供することである。また、分散力が大き過ぎて、処理物の劣化、微粒子の再凝集、粘度の上昇、ゲル化等を起こすことのないメディア攪拌型湿式分散機を提供することにある。また、粉砕室の壁面等で摩耗を起こさないメディア攪拌型湿式分散機を提供することにある。さらに、分散液中の微粒子をナノメーターオーダーとする分散処理を経済的に行うことができる微粒子の分散方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るメディア攪拌型湿式分散機は、上部に蓋部材を備え内部に縦型円筒状の粉砕室を形成する分散タンクと、前記蓋部材を挿通して回転自在に設けられる中空の回転軸と、前記粉砕室の上部に位置して筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する上部ロータと、前記粉砕室の下部に位置して筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する下部ロータと、前記上部ロータの内側に位置して筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する内側ロータを有し、処理液の供給口を前記粉砕室の上部に設け、かつ、前記回転軸の中空部を前記内側ロータの内側に連通させて処理液の排出口とする手段を採用している。
【0015】
また、本発明の請求項2に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1に記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記粉砕室の直径をDとし上下の長さをLとするとき、式1の関係がある手段を採用している。
0.5 < L/D < 1.5 …… 式1
【0016】
また、本発明の請求項3に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1又は2に記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記上部ロータが、前記ブレードを含む筒状部と該筒状部を前記回転軸に固定する略円盤状の保持部とを備え、前記筒状部が前記保持部の下面に位置する手段を採用している。
【0017】
また、本発明の請求項4に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至3の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記上部ロータの前記筒状部の長さをLaとするとき、前記長さLとの間に、式2の関係がある手段を採用している。
0.3L < La < 0.6L …… 式2
【0018】
また、本発明の請求項5に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至4の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記下部ロータが、前記ブレードを含む筒状部と該筒状部を前記回転軸に固定する略円盤状の保持部とを備え、前記筒状部が前記保持部の上面に位置する手段を採用している。
【0019】
また、本発明の請求項6に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至5の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記下部ロータの前記筒状部の長さをLbとするとき、前記長さLとの間に、式3の関係がある手段を採用している。
0.3L < Lb < 0.6L …… 式3
【0020】
また、本発明の請求項7に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至6の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記下部ロータの前記ブレードが、断面凸状のブレードであり、突起部を外側に向けて配置されている手段を採用している。
【0021】
また、本発明の請求項8に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至7の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記下部ロータの前記保持部が、開口を備えている手段を採用している。
【0022】
また、本発明の請求項9に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至8の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記下部ロータの前記保持部が、前記粉砕室の底面を攪拌するインペラーを備えている手段を採用している。
【0023】
また、本発明の請求項10に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至9の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記粉砕室の側面と底面との境界部が、半径Rの断面湾曲状をなし、前記直径Dとの間に、式4の関係がある手段を採用している。
D/30 < R < D/3 …… 式4
【0024】
また、本発明の請求項11に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至10の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記上部ロータと前記下部ロータの間に、さらに筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する1個以上の中間ロータを備えている手段を採用している。
【0025】
また、本発明の請求項12に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項11に記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記中間ロータの数をNとするとき、前記長さL及び直径Dとの間に、式5の関係がある手段を採用している。
0.3(N+2) < L/D < 0.75(N+2) …… 式5
【0026】
また、本発明の請求項13に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至12の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記分散タンクが、その外側に冷却用ジャケットを備えている手段を採用している。
【0027】
また、本発明の請求項14に係る微粒子の分散方法は、無機質微粒子、有機質微粒子、無機有機複合微粒子又はこれらの混合物を含むスラリー状処理液の分散方法において、請求項1乃至13の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機を用いる手段を採用している。
【0028】
また、本発明の請求項15に係る微粒子の分散方法は、請求項14に記載の微粒子の分散方法において、前記メディア攪拌型湿式分散機と、ホールディングタンク及びポンプを用い、前記ホールディングタンクに貯えられた処理液を前記ポンプにより前記メディア攪拌型湿式分散機へ供給すると共に、前記メディア攪拌型湿式分散機から排出された前記処理液を前記ホールディングタンクへ戻し、循環処理を行う手段を採用している。
【0029】
また、本発明の請求項16に係る微粒子の分散方法は、請求項14又は15に記載の微粒子の分散方法において、前記メディア攪拌型湿式分散機の前記分散タンクに設けられたジャケット及び/又はその他の冷却手段により処理液の温度調整を行う手段を採用している。
【0030】
また、本発明の請求項17に係る微粒子の分散方法は、請求項16に記載の微粒子の分散方法において、前記処理液の温度を10〜80℃に調整して行う手段を採用している。
【0031】
また、本発明の請求項18に係る微粒子の分散方法は、請求項14乃至17の何れかに記載の微粒子の分散方法において、直径が0.015〜0.3mmのメディアを使用して行う手段を採用している。
【0032】
また、本発明の請求項19に係る微粒子の分散方法は、請求項14乃至18の何れかに記載の微粒子の分散方法において、前記メディアの充填率を、前記粉砕室の実容量に対して、30〜75%として行う手段を採用している。
【0033】
また、本発明の請求項20に係る微粒子の分散方法は、請求項14乃至19の何れかに記載の微粒子の分散方法において、前記上部ロータ又は下部ロータの外周速度を、3〜20m/秒として行う手段を採用している。
【0034】
また、本発明の請求項21に係る微粒子の分散方法は、請求項14乃至20の何れかに記載の微粒子の分散方法において、前記粉砕室における処理液の平均滞留時間を、0.5〜10秒として行う手段を採用している。
【発明の効果】
【0035】
本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、前記のような構成としたことにより、内側ロータは、遠心セパレータを形成してメディアと処理液との分離機能、及び微粒子の分級機能を備えることになる。また、上部ロータは、その内外にメディアと処理液が流動する循環流(上部循環流)を形成し、固体粒子を粉砕及び分散する機能を備えることになる。さらに、下部ロータは、その内外にメディアと処理液が流動する循環流(下部循環流)を形成し、固体粒子を粉砕及び分散する機能を備えると共に、大量の処理液を滞留して混合する機能を備える。
すなわち、本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、処理液の供給口と排出口とを粉砕室の上部に設けているので、一見するとショートパスを起こし得る構造であるが、粉砕室内に二つの循環流を発生させることにより、ショートパスを無視できる循環量で完全な均一混合状態を実現するコンセプトであり、従来の常識を覆す画期的な発明である。
【0036】
したがって、本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、直径が0.1mm以下のメディアを使用可能であり、分散液中の微粒子をナノメーターオーダーとすることが可能ある。また、メディアパッキング現象を起こさないで、優れた粉砕・分散機能を発揮することが可能である。また、処理物の劣化、微粒子の再凝集、粘度の上昇、ゲル化等を起こさないで、良好な分散処理を行うことが可能である。さらに、粉砕室の壁面等で摩耗を起こさないで処理することができる。さらに、大容量の大型機へのスケールアップを問題なく行うことができる。以上の結果、粒子径をナノメーターオーダーとする分散処理を、安定した連続運転で経済的に行う微粒子の分散方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明によるメディア攪拌型湿式分散機の実施形態が示されている。図1はメディア攪拌型湿式分散機の概略断面図、図2は図1に示すA―A線に沿って見た概略断面図である。このメディア攪拌型湿式分散機1は、上部に蓋部材22を備え内部に縦型円筒状の粉砕室20を形成する分散タンク2と、蓋部材22を挿通して回転自在に設けられる中空の回転軸3と、粉砕室20の上部に位置して筒状に配列されたブレードを備え回転軸3に固定されて回転する上部ロータ4と、粉砕室20の下部に位置して筒状に配列されたブレードを備え回転軸3に固定されて回転する下部ロータ6と、上部ロータ4の内側に位置して筒状に配列されたブレードを備え回転軸3に固定されて回転する内側ロータ5等により構成されている。
【0038】
分散タンク2の内部に形成される粉砕室20は、その直径をDとし上下の長さをLとするとき、L/D比が、0.5<L/D<1.5の範囲であることが好ましい。L/Dが0.5より小さい場合には、滞留時間が短くなって十分な能力を発揮することができない。また、L/Dが1.5より大きい場合には、メディアパッキング現象が起こり易くなるので好ましくない。
【0039】
また、粉砕室20の側面と底面との境界部は、半径Rの断面湾曲状をなすことが好ましく、半径Rと直径Dとの関係が、D/30<R<D/3の範囲であることが好ましい。半径RがD/30よりも小さい場合には、メディア及び処理液の動きが鈍くなり、そこを起点にしてメディアパッキング現象が起こり易くなる。また、RがD/3より大きい場合には、下部ロータ6の取り付けや活用が困難となる。
【0040】
分散タンク2の上端部には、フランジ21を介して蓋部材22が取付けられ、実質的に閉塞されるようになっている。そして、分散タンク2に設ける処理液の供給口23は、後述する上部循環流の流動状態から、図1に示すように、蓋部材22に設けることが好ましい。
【0041】
蓋部材22には、その軸心を挿通してパイプ状の回転軸3が回転自在に設けられている。回転軸3の外周面と蓋部材22の内周面との間には軸シール34が介装され、粉砕室20を密閉することが可能になっている。回転軸3は、その軸心に中空部31が形成されたパイプ状であり、粉砕室20内に位置する回転軸3の一端には、上部ロータ4、内側ロータ5及び下部ロータ6が取付けられている。また、回転軸3の他端は分散タンク2の外部に位置して、駆動装置が取り付けられている(図示せず)。
【0042】
上部ロータ4は、キー等により回転軸3に固定される円板状の保持部41の下面に、一定の間隔で筒状に配列された複数のブレード43からなる筒状部42を備えている。そして、上部ロータ4は、図2の矢印の方向に回転すると、ブレード43により遠心力を発生し、メディア及び処理液は、ブレード43間に形成される開口44を通って内側から外側に排出される。
【0043】
この結果、図3に示すように、上部ロータ4の周りにメディアと処理液が循環する上部循環流F1が形成される。すなわち、上部循環流F1は、開口44では内側から外側に向かって流れ、筒状部42の外側では上側から下側に向かって流れ、開放された下端では外側から内側に向かって流れ、筒状部42の内側では下側から上側に向かって流れる循環流である。
【0044】
そして、筒状部42の外側では、粉砕室20の壁面とブレード43との間に大きな剪断力が発生し、処理液は粉砕及び分散処理を受けることになる。また、粉砕室20の上部は、上部循環流F1が形成されることによりメディアと処理液が攪拌されて均一な混合状態となるので、メディアパッキング現象を起こさない。この上部循環流F1を効果的に形成するために、筒状部42の長さLaは、粉砕室20の長さLに対して、0.3L<La<0.6Lの関係があることが好ましい。
【0045】
内側ロータ5は、上部ロータ4の内側に位置し、円板状の保持部51の上面に一定の間隔で筒状に配列された複数のブレード53からなる筒状部52を備えている。そして、筒状部52の開放された上面を、上部ロータ4の保持部41の下面に密接させた状態で、ボルト等(図示せず)により回転軸3に固定されている。
【0046】
筒状部52の外周面は、上部ロータ4の筒状部42の内周面から少し離れて位置し、その間隙は前述のように上部循環流F1の流路となり、下側から上側に向かう流れが形成される。また、筒状部52の内周面は、回転軸3の外表面から少し離れて位置し、筒状部52の内側に空間部56が形成されている。回転軸3には、空間部56の位置に開口32が設けられており、回転軸3の中空部31が空間部56に連通している。この結果、中空部31は分散液の排出口33を形成することになる。すなわち、上部循環流F1において粉砕・分散処理を受けた分散液は、ブレード53間の開口54を経由して空間部56に流入し、開口32を経由して排出口33から排出される。
【0047】
内側ロータ5は、上部ロータ4と同様に、図2に示す矢印の方向に回転すると、ブレード53によって遠心力を発生する。したがって、開口54を通過する粒子に対して分離機能及び分級機能を発揮することになる。すなわち、メディア及び粒径の大きい粒子は空間部56に流入することができず、微粒子のみが空間部56を経て排出されることになる。空間部56に流入できなかったメディア及び大きい粒子は直ちに上部循環流F1に戻される。そして、再び粉砕・分散処理を受けるので、分散処理及び分級処理が確実に行われることになる。
【0048】
筒状部52の開口54を通過する処理液の流量は、上部循環流F1の流量に比べて少ない。そこで、内側ロータ5の筒状部52は、上部ロータ4の筒状部42よりも少し短くすることができる。すなわち、筒状部52の長さLcは、筒状部42の長さLaよりも短く、0.5La<Lc<0.8Laの関係にあることが好ましい。
【0049】
筒状部42の内周面において、上部循環流F1は、下側から上側に向かう流れを形成している。そこで、LcがLaよりも短い場合には、ブレード43が循環流の上流側に位置し、ブレード53が循環流の下流側に位置することになる。したがって、上流のブレード43が予め大きな粒子を分離した後に、下流のブレード53が最終的な分離・分級を行うことになり、効率的な処理を行うことができる。
【0050】
下部ロータ6は、粉砕室20の下部に位置し、ボルト等により回転軸3に固定される円板状の保持部61の上面に、一定の間隔で筒状に配列された複数のブレード63からなる筒状部62を備えている。そして、下部ロータ6は、図2の矢印の方向に回転すると、ブレード63により遠心力を発生し、メディア及び処理液は、ブレード63の間に形成される開口64を通って内側から外側に排出される。
【0051】
この結果、図3に示すように、下部ロータ6の周りにメディアと処理液が循環する下部循環流F2が形成される。すなわち、下部循環流F2は、開口64では内側から外側に向かって流れ、筒状部62の外側では下側から上側に向かって流れ、開放された上端では外側から内側に向かって流れ、筒状部62の内側では上側から下側に向かって流れる循環流である。
【0052】
そして、筒状部62の外側では、粉砕室20の壁面とブレード63との間に大きな剪断力が発生し、処理液は粉砕及び分散処理を受けることになる。また、粉砕室20の下部は、下部循環流F2が形成されることによりメディアと処理液が攪拌されて均一な混合状態となるので、メディアパッキング現象を起こさない。この下部循環流F2を効果的に形成するために、筒状部62の長さLbは、粉砕室20の長さLに対して、0.3L<Lb<0.6Lの関係があることが好ましい。
【0053】
さらに、粉砕室20の上部に形成される上部循環流F1と、粉砕室20の下部に形成される下部循環流F2とは、相互に良く混合されることが好ましい。このような流れを形成することにより、粉砕室20全体の処理物が均一に保持され、メディアパッキング現象を起こさない大容量の分散機とすることができる。
【0054】
下部ロータ6のブレード63は、強い遠心力を発生する形状であることが好ましく、また、メディアに対して強い剪断力を与える形状であることが好ましい。このため、図2に示すように、ブレード63は断面凸状とすることが好ましく、突起部を外側に向けて配置することが好ましい。
【0055】
また、下部ロータ6の保持部61は、複数の開口66を備えていることが好ましく、また、粉砕室20の底面を攪拌するインペラー(図示せず)を備えていることが好ましい。これらにより、粉砕室20の底部におけるメディア及び処理物の循環が活発となり、下部循環流F2を一層強力にすることができる。
【0056】
本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、上部ロータ4と下部ロータ6の間に、さらに1個以上の中間ロータ8を備えることができる。すなわち、図4(a)に示す例は、中間ロータ8が上部ロータ4と下部ロータ6の間に位置し、ボルト等により回転軸3に固定される円板状の保持部81の上面及び下面に、一定の間隔で筒状に配列された複数のブレードからなる筒状部82を備えている。
【0057】
この結果、中間ロータ8の上部には、新たに上部循環流F1を強化する中間循環流F3が発生し、中間ロータ8の下部には、下部循環流F2を強化する中間循環流F4が発生する。したがって、中間ロータ8は、粉砕室20内におけるメディア及び処理物の循環流動を一層確実なものとし、特にL/D比を大きくした場合に有効である。
【0058】
また、図4(b)に示す例では、中間ロータ8が上部ロータ4と下部ロータ6の間に位置し、ボルト等により回転軸3に固定される円板状の保持部81の上面に、一定の間隔で筒状に配列された複数のブレードからなる筒状部82を備えている。この結果、中間ロータ8の上部には、上部循環流F1及び下部循環流F2に加えて、新たな中間循環流F5が発生する。したがって、中間ロータ8は、粉砕室20内におけるメディア及び処理物の循環流動を一層強化し、特にL/D比を大きくした場合に有効である。
【0059】
このように、中間ロータ8を備えることにより、粉砕室20のL/D比を大きくすることが可能である。そして、中間ロータ8の数をNとするとき、L/D比は、0.3(N+2)よりも大きく、0.75(N+2)よりも小さい範囲の値とすることが好ましい。
【0060】
分散タンク2、上部ロータ4、内側ロータ5、及び下部ロータ6などの処理物と直接接触する部材は、耐磨耗性の材質とすることが好ましく、アルミナ、アルミナジルコニア、炭化珪素などのセラミックを使用することが好ましい。これにより、製品に不純物が混入することを防止することができる。
【0061】
本発明のメディア攪拌型湿式分散機1は、比較的狭い粉砕室20内で強力な攪拌操作を行うことができる。したがって、分散タンク2の外側に冷却用ジャケットを設け、粉砕室20を強制的に冷却することが好ましい。ジャケットにより処理物の温度管理が可能となり、また、処理の初め等に加熱用として用いることもできる。
【0062】
本発明の微粒子の分散方法は、重合トナー、カラーレジスト、プリンター用インク、セラミックス粉末、酸化チタン等の無機質微粒子、有機質微粒子、無機有機複合微粒子又はこれらの混合物を含むスラリー状処理液の分散方法において、本発明のメディア攪拌型湿式分散機1を用いることを特徴としている。
【0063】
また、本発明の微粒子の分散方法は、図5に示すように、本発明のメディア攪拌型湿式分散機1と、ホールディングタンク9及びポンプ10を用い、このホールディングタンク9に貯えられた処理液をポンプ10によりメディア攪拌型湿式分散機1へ供給すると共に、メディア攪拌型湿式分散機1から排出された処理液をホールディングタンク9へ戻し、循環処理を行うことを特徴としている。
【0064】
上述したように、通常、微粒子の分散処理においては処理液の冷却を行うことが必要である。処理液の冷却は、メディア攪拌型湿式分散機1に設けられたジャケットに冷却水を流して行うことができる。しかし、循環処理を行う分散処理においては、ホールディングタンク9に冷却用のジャケットを設けて行うこともできる。また、図5に示す循環処理において、処理物の流路中に別途冷却器を設けて冷却することもできる。或いは、これらの方法を組み合わせて行うこともできる。そして、温度調整システムを設けることにより、処理液の温度を10℃〜80℃に調整することができる。
【0065】
本発明の微粒子の分散方法は、分散液の微粒子径をナノメーターオーダーの分散液を可能とするものであり、このためメディア攪拌型湿式分散機1で使用するメディアの直径は0.015〜0.3mmとすることが好ましい。0.3mm以上のメディアを使用する場合には、内側ロータ5と上部ロータ4の間の隙間等を十分な大きさとなるように留意する。また、0.015mm以下のメディアの使用は、分離機能が不十分となる可能性がある。
【0066】
メディアの充填率は、粉砕室20の実容量に対して30〜75%とすることが好ましい。ここで、粉砕室20の実容量とは、粉砕室20の容積から各ロータ4、5、6等の容積を差し引いた容積である。充填率が75%以上では、運転中にメディアが流出する可能性が大きくなる。また、充填率が30%以下の場合は、粉砕・分散効率が低下するので好ましくない。
【0067】
本発明の微粒子の分散方法は、上部ロータ4又は下部ロータ6の外周速度を、3〜20m/秒として行うことが好ましく、3〜18m/秒として行うことがより好ましい。処理物質により異なるが、3m/秒以下の速度では、十分なメディアの動きが得られないことが多い。また、20m/秒以上の速度とした場合には、著しい磨耗、発熱、過剰な力による再凝集等の問題を起こす恐れがある。
【0068】
本発明の微粒子の分散方法は連続式であり、通常、ホールディングタンク9及びポンプ10を設けて循環処理を行う。そして、メディア攪拌型湿式分散機1の粉砕室20における処理液の平均滞留時間は処理物質により異なるが、一般に、0.5〜10秒の範囲とすることが好ましい。ここで、平均滞留時間は、粉砕室20における処理液の滞留量を処理液の循環流量で割った値である。また、系のトータルの滞留時間は、30秒〜30分の範囲とすることが一般的である。したがって、粉砕室20平均滞留時間と系のトータルの滞留時間からメディア攪拌型湿式分散機1を通過するパス数を設定することができる。また、処理液の全量、循環流量、及びパス数から処理時間を設定することができる。
【実施例】
【0069】
実施形態で示した本発明のメディア攪拌型湿式分散機を用いて、二次凝集している酸化チタンを以下に示す条件で分散する試験を行い、その性能を確認した。
ホールディングタンクに調製したスラリーを入れ、定量ポンプで分散機の供給口に導入し、分散機の排出口から排出されたスラリーを再びホールディングタンクに戻す循環系を形成し、この状態で分散機を起動して試験を行った。
分散機を起動した後、所定の時間ごとに分散機の排出口からサンプルを採取した。粒径の測定には、日機装(株)のマイクロトラックUPAを用い、動的光散乱法により計測した。
【0070】
分散機: 図1及び2に示す分散機
分散タンク: 内径130mm、L/D比=1.0
外側ロータ外径: 120mm
回転数: 1600rpm(10m/s)
メディア: 材質: ジルコニア
直径: 0.03mm
充填率: 65%
処理物: 酸化チタンMT−150W(テイカ製)
一次粒子径: 15nm
二次凝集体径: 2.3μm
使用量: 300g
溶媒: 水、2700g
濃度: 10wt%
分散剤: ノプコスパース44−c、7g
処理流量: 1リットル/分
【0071】
(比較例1)
図6(a)に示す従来の分散機(L/D比=0.5)を用い、その他の条件については実施例と同様にして試験を行った。
【0072】
(比較例2)
図6(b)に示す従来の分散機(L/D比=1.0)を用い、その他の条件については実施例と同様にして試験を行った。
【0073】
実施例、比較例1及び比較例2の試験について、処理時間に対する平均粒子径の変化を図7に示す。実施例では、処理開始から20分間で平均粒子径を30nmとすることが可能であり、さらに、平均粒子径を20nmまで微細化することが可能である。これに対して、比較例1では、平均粒子径を30nmとするのに、2倍以上の処理時間を必要とし、平均粒子径を20nmとすることはできなかった。また、比較例2では、処理の途中で再凝集を起こしてしまい、平均粒子径が次第に大きくなることが分かった。
【0074】
この結果、本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、粉砕室内に複数の循環流を形成して大量の処理液を均一に保持することが可能であり、直径が0.1mm以下のメディアを使用して、処理液中の微粒子をナノメーターオーダーに分散処理することが可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明のメディア攪拌型湿式分散機の実施の一例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示すA―A線に沿って見た概略断面図である。
【図3】図1に示すメディア攪拌型湿式分散機において、形成される循環流を示す説明図である。
【図4】中間ロータを備えた本発明のメディア攪拌型湿式分散機において、形成される循環流を示す説明図である。
【図5】循環処理を行う場合の概略構成図である。
【図6】比較例で用いた従来のメディア攪拌型湿式分散機を示す概略断面図である。
【図7】実施例及び比較例で得られた分散液の粒度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0076】
1 メディア攪拌型湿式分散機
2 分散タンク
3 回転軸
4 上部ロータ
5 内側ロータ
6 下部ロータ
8 中間ロータ
9 ホールディングタンク
10 ポンプ
20 粉砕室
21 フランジ
22 蓋部材
23 供給口
31 中空部
32 開口
33 排出口
34 軸シール
41 保持部
42 筒状部
43 ブレード
44 開口
51 保持部
52 筒状部
53 ブレード
54 開口
56 空間部
61 保持部
62 筒状部
63 ブレード
64 開口
66 開口
81 保持部
82 筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に蓋部材を備え内部に縦型円筒状の粉砕室を形成する分散タンクと、
前記蓋部材を挿通して回転自在に設けられる中空の回転軸と、
前記粉砕室の上部に位置して筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する上部ロータと、
前記粉砕室の下部に位置して筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する下部ロータと、
前記上部ロータの内側に位置して筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する内側ロータを有し、
処理液の供給口を前記粉砕室の上部に設け、かつ、前記回転軸の中空部を前記内側ロータの内側に連通させて処理液の排出口とすることを特徴とするメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項2】
前記粉砕室の直径をDとし上下の長さをLとするとき、式1の関係があることを特徴とする請求項1に記載のメディア攪拌型湿式分散機。
0.5 < L/D < 1.5 …… 式1
【請求項3】
前記上部ロータが、前記ブレードを含む筒状部と該筒状部を前記回転軸に固定する略円盤状の保持部とを備え、前記筒状部が前記保持部の下面に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項4】
前記上部ロータの前記筒状部の長さをLaとするとき、前記長さLとの間に、式2の関係があることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
0.3L < La < 0.6L …… 式2
【請求項5】
前記下部ロータが、前記ブレードを含む筒状部と該筒状部を前記回転軸に固定する略円盤状の保持部とを備え、前記筒状部が前記保持部の上面に位置することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項6】
前記下部ロータの前記筒状部の長さをLbとするとき、前記長さLとの間に、式3の関係があることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
0.3L < Lb < 0.6L …… 式3
【請求項7】
前記下部ロータの前記ブレードが、断面凸状のブレードであり、突起部を外側に向けて配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項8】
前記下部ロータの前記保持部が、開口を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項9】
前記下部ロータの前記保持部が、前記粉砕室の底面を攪拌するインペラーを備えていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項10】
前記粉砕室の側面と底面との境界部が、半径Rの断面湾曲状をなし、前記直径Dとの間に、式4の関係があることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
D/30 < R < D/3 …… 式4
【請求項11】
前記上部ロータと前記下部ロータの間に、さらに筒状に配列されたブレードを備え前記回転軸に固定されて回転する1個以上の中間ロータを備えていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項12】
前記中間ロータの数をNとするとき、前記長さL及び直径Dとの間に、式5の関係があることを特徴とする請求項11に記載のメディア攪拌型湿式分散機。
0.3(N+2) < L/D < 0.75(N+2) …… 式5
【請求項13】
前記分散タンクが、その外側に冷却用ジャケットを備えていることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
【請求項14】
無機質微粒子、有機質微粒子、無機有機複合微粒子又はこれらの混合物を含むスラリー状処理液の分散方法において、請求項1乃至13の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機を用いることを特徴とする微粒子の分散方法。
【請求項15】
前記メディア攪拌型湿式分散機と、ホールディングタンク及びポンプを用い、前記ホールディングタンクに貯えられた処理液を前記ポンプにより前記メディア攪拌型湿式分散機へ供給すると共に、前記メディア攪拌型湿式分散機から排出された前記処理液を前記ホールディングタンクへ戻し、循環処理を行うことを特徴とする請求項14に記載の微粒子の分散方法。
【請求項16】
前記メディア攪拌型湿式分散機の前記分散タンクに設けられたジャケット及び/又はその他の冷却手段により処理液の温度調整を行うことを特徴とする請求項14又は15に記載の微粒子の分散方法。
【請求項17】
前記処理液の温度を10〜80℃に調整して行うことを特徴とする請求項16に記載の微粒子の分散方法。
【請求項18】
直径が0.015〜0.3mmのメディアを使用して行うことを特徴とする請求項14乃至17の何れかに記載の微粒子の分散方法。
【請求項19】
前記メディアの充填率を、前記粉砕室の実容量に対して、30〜75%として行うことを特徴とする請求項14乃至18の何れかに記載の微粒子の分散方法。
【請求項20】
前記上部ロータ又は前記下部ロータの外周速度を、3〜20m/秒として行うことを特徴とする請求項14乃至19の何れかに記載の微粒子の分散方法。
【請求項21】
前記粉砕室における処理液の平均滞留時間を、0.5〜10秒として行うことを特徴とする請求項14乃至20の何れかに記載の微粒子の分散方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−55288(P2008−55288A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233820(P2006−233820)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000174965)三井鉱山株式会社 (42)
【Fターム(参考)】