説明

メモリの制御方式およびメモリ制御回路

【課題】 一つのメモリ制御コントローラ(LSI)によって制御方式の異なる複数種のRAMを制御することができるようにする。
【解決手段】 LSI構成のメモリ制御回路1は、CPUなどの上位の制御部(図示なし)から、RAM素子の種別によらない信号であるRAMアクセス要求信号100を受けて配下のRAM素子10に対してRAM制御信号・データ群200を送信してこれを制御する。信号100を受信したメモリアクセスRAMビジー管理回路11は、現に接続されているRAM素子10に適合したRAMコマンド・データ300を作成してこれをメモリアクセス共通制御回路13に送信する。信号300を受信したメモリアクセス共通制御回路13は、RAM制御信号・データ群200を作成してこれをRAM素子10へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DRAMなどのメモリの制御方式とそのメモリを制御するメモリ制御回路に関し、特に制御方式の異なる複数種類のメモリを、同一のコントローラ(メモリ制御回路)を用いて制御可能とするための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的なメモリであるDRAM(dynamic random access memory)では、高速アクセスが可能な、外部からのクロックに同期して動作を行うSDRAM(synchronous DRAM)が一般的となっているが、現在ではSDRAMを基本としてクロックの立ち上がりエッジのタイミングのみならず立ち下がりエッチングのタイミングにおいてもデータの転送を行うDDR(double data rate)−SDRAMが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。このDDR−SDRAMも徐々にその改良版であるDDR2−SDRAMによって置き換えられつつある。また、ロウアドレスとカラムアドレスとを同時に(連続したクロックで)取り込むFC(fast cycle)−DRAMも提案され市場に提供されている(例えば、特許文献2参照)。而して、DRAMなどのメモリは、通常、コントローラと呼ばれるLSIを介してCPU等の上位制御部から発せられる命令を実行する。
【0003】
一方、パソコン等のDRAMが搭載される応用機器においては、ユーザの多様なニーズに応えるためには、同一機種の機器に対して制御方式の異なるDRAM、例えばDDR−SDRAMとFCRAMのそれぞれを搭載したものを提供していく必要がある。このような場合、互いに制御方式の異なるDDR−SDRAMとFCRAMについてはそれぞれ別個のコントローラを開発しなければならないことになる。
【特許文献1】特開2000−173267号公報
【特許文献2】WO98/56004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来は、同一の応用機器において、DRAMなどの種類が異なる毎にそれぞれについてコントローラを開発しなければならないため、同一機種内でのバリエーションを増やす等のために、制御方式の異なるRAMを搭載したものを開発しようとする場合には、トータルの開発工数の増大を招いていた。また、従来の方式では、DRAMの仕様が完全に固まった後にコントローラの設計・開発を始めなければならないため、現在のように、応用機器の開発サイクルが短期化している状況にあっては、開発が遅れてしまう恐れが生じる。更には、従来方式では、一旦コントローラを開発した後にDRAMの仕様が変更になるとこれに柔軟に対応することが困難であった。
【0005】
本発明の課題は上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、第1に、制御方式の異なる複数種のメモリを単一のコントローラにより対応することができるようにして、コントローラの開発に係るトータルの開発工数を短縮することである。第2に、メモリの開発と並行してそれを搭載する応用機器の開発を行えるようにして応用機器の開発サイクルの短縮に対応できるようにすることである。第3に、メモリの仕様が変更された場合にコントローラ(LSI)を開発し直さなくても柔軟に対応できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、メモリに対し制御信号を供給しデータの入・出力の制御を行うメモリ制御回路を介してメモリを制御するメモリの制御方式であって、前記メモリ制御回路には命令方式の異なる複数種類のメモリに供給するための各種の命令が記憶されているメモリアクセス共通制御回路が備えられており、前記メモリアクセス共通制御回路に記憶されている命令の中から前記メモリ制御回路に接続されているメモリに応じた命令が順次選択されて出力されこれによりメモリが制御されることを特徴とするメモリの制御方式、が提供される。
【0007】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、メモリに対し制御信号を供給しデータの入・出力の制御を行うメモリ制御回路であって、メモリアクセスのタイミングを管理するメモリアクセス管理回路と、メモリに制御信号を供給するメモリアクセス共通制御回路とを備え、前記メモリアクセス共通制御回路には命令方式の異なる複数種類のメモリに供給するための各種の命令が記憶されており、前記メモリアクセス共通制御回路に記憶されている命令は前記メモリアクセス管理回路の出力信号に従って順次選択されて出力されることを特徴とするメモリ制御回路、が提供される。
そして、好ましくは、前記メモリアクセス共通制御回路に記憶されている命令は、ソフトウエアにて設定が可能なものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同一機種の応用機器において、制御方式の異なる複数種類のメモリを搭載したものを開発する場合において、メモリ制御用のLSI(コントローラ)を単一品種で実現可能であり、トータルの開発工数を削減することができ、延いては開発費用を削減することができる。
そして、メモリに対する各種の命令(コマンド)をソフトウエアにてメモリ制御回路のレジスタに設定できるようにすることにより、メモリの外部インタフェース仕様の変更等にも柔軟に対応できるようになり、また、コントローラLSI開発を早期に着手できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明のメモリ制御回路の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、メモリ制御回路1は、メモリアクセスRAMビジー管理回路11と、RAM種別レジスタ12と、メモリアクセス共通制御回路13とを有しており、LSIとして構成されている。メモリ制御回路1は、CPUなどの上位の制御部(図示なし)から、RAM素子の種別によらない信号であるRAMアクセス要求信号100を受けて配下のRAM素子10に対してRAM制御信号・データ群200を送信してこれを制御する。RAMアクセス要求信号100はメモリアクセスRAMビジー管理回路11にて受信され、メモリアクセスRAMビジー管理回路11は、RAM種別レジスタ12から送信されてくるRAM種別信号400を参照して、現に接続されているRAM素子10に適合したRAMコマンド・データ300を作成してこれをメモリアクセス共通制御回路13に送信する。RAMコマンド・データ300を受信したメモリアクセス共通制御回路13は、RAM制御信号・データ群200を作成してこれをRAM素子10へ送信する。
【0010】
上位制御部よりRAMアクセス要求信号100が送信されるメモリアクセスRAMビジー管理回路11は、従来からコントローラにおいて一般的に使用されている回路であって、メモリ制御回路1と接続されるRAM素子の種別を管理するRAM種別レジスタ12よりRAM種別信号400を受けてそのRAM素子のスペックに従い、RAMへの制御信号送出タイミング間隔の制御(ビジー制御)を行う。そなわち、このメモリアクセスRAMビジー管理回路11は、接続されているRAM素子10へのアクセスが可能なタイミングとなった場合に、RAM制御コマンド・データ300をメモリアクセス共通制御回路13へと送出する。そして、メモリアクセス共通制御回路13は、制御信号、データおよびアドレス情報を含むRAM制御信号・データ群200をRAM素子10へ送信する。
【0011】
図2は、図1に示されるメモリアクセス共通制御回路13の詳細な構成を示すブロック図である。メモリアクセス共通制御回路13は、RAMアクセスに必要な情報〔RAMアクセス種類(書き込み、読み出し、リフレッシュ等)、RAM内のアクセスアドレス、データ等〕を、図1のメモリアクセスRAMビジー管理回路11より送出されるRAM制御コマンド・データ300として受信し、RAM素子10とメモリ制御回路1とのインタフェース信号の生成およびタイミング制御を行う。
図2に示すように、メモリアクセス共通制御回路13は、RAMアドレス・データ制御部131と、RAMアクセス命令定義レジスタ132と、命令セレクタ133とから構成されている。
【0012】
RAMアドレス・データ制御部131には、メモリアクセスRAMビジー管理回路11から送出されるRAM制御コマンド・データ300の中からアドレス・データ300aが入力される。そして、RAMアドレス・データ制御部131からRAM素子10へRAM内アドレス信号200bとライトデータが送信され、またRAM素子10からのリードデータはRAMアドレス・データ制御部131へ送出される。RAMアクセス命令定義レジスタ132には、制御方式の異なるRAM素子を制御するのに必要な命令(コマンド)が登録されている。すなわち、それぞれのRAMに対応した、ライト命令、フルライト命令、マスクライト命令、リフレッシュ命令(REF)、モードレジスタセット(MRS)命令等を含む命令が登録されている。メモリアクセスRAMビジー管理回路11から送出されるRAM制御コマンド・データ300の中のコマンド300bは、命令セレクタ133へ送出され、命令セレクタ133は、そのコマンドに基づきその送出タイミングにてRAMアクセス命令定義レジスタ132に登録されている命令を選択し、RAM制御信号200cとしてRAM素子10宛てに出力する。すなわち、命令セレクタ133は、RAMアクセス命令定義レジスタ132に登録されている命令を順次RAM素子10宛てに出力するが、その出力タイミングは、メモリアクセスRAMビジー管理回路11によって制御される。
【実施例1】
【0013】
次に、本発明をDRAMに適用した実施例について説明する。本実施例のメモリ制御回路は、FCRAMとDDR2−SDRAMとをコンパチブル制御できるものである。図3は、本発明の実施例1のメモリ制御回路によって制御されるFCRAMのピン名とその信号アサインを示す図表である。本実施例で用いられるFCRAMでは、CLK、CLK’、CS’、WE’、CKE、BA0、BA1、A0−A14、DQS、DQS’、DQ0−DQ7のピンが用いられている。CKLピン、CLK’ピンにはクロックCLK、CLK’が入力され、CS’ピンにはCS’信号が入力され、WE’ピンにはFN信号が入力され、CKEピンには、本実施例においてはハイ固定のパワーダウンコマンドPD’が入力される(本実施例においてはパワーダウンコマンドは発信されない)。BA0ピン、BA1ピンにはバンクアドレスBA0、BA1が入力され、A0ピン−A14ピンには、1stコマンド時にはアッパーアドレスUA00−UA14が、2ndコマンド時にはA0ピン−A8ピンには、ロワーアドレスLA00−LA08が、A13ピン、A14ピンには、variable write信号VW1、VW0が入力される(VW1、VW0はライトコマンド発信時のみ)。DQSピン、DQS’ピンには、データストローブ信号DQS、DQS’が入出力され、DQ0ピン−DQ7ピンには、データDQ0−DQ7が入出力される。
【0014】
FCRAMに対しリード(図3においてリードコマンドを8BRにて示す)が行われる際には、1stコマンド時に、CS’信号が“L”、FN信号が“H”となることによりRDA(read with auto-close)コマンドが発せられ、同時にバンドアドレスBA0、BA1がBA0ピン、BA1ピンより、アッパーアドレスA(00)−A(14)がA0ピン−A14ピンより取り込まれる。2ndコマンド時には、CS’信号が“H”、FN信号が“H”となることによりLAL(lower address latch)コマンドが発せられ、同時にロワーアドレスA(15)−A(21)がA2ピン−A8ピンより取り込まれる。これにより、特定のアドレスのセルに記憶されていた情報がDQ0ピン−DQ7ピンを介して読み出される。
【0015】
FCRAMに対しフルライト(図3においてフルライトコマンドを8BWにて示す)が行われる際には、1stコマンド時に、CS’信号が“L”、FN信号が“L”となることによりWRA(write with auto-close)コマンドが発せられ、同時にバンドアドレスBA0、BA1がBA0ピン、BA1ピンより、アッパーアドレスA(00)−A(14)がA0ピン−A14ピンより取り込まれる。2ndコマンド時には、CS’信号が“H”、FN信号が“H”となることによりLALコマンドが発せられ、同時にロワーアドレスA(15)−A(21)がA2ピン−A8ピンより取り込まれ、またフルライトであることを示す情報“L”、“H”がA13ピン、A14ピンより取り込まれる。これにより、特定のアドレスのセルに対しDQ0ピン−DQ7ピンを介して供給されたデータが書き込まれる。
【0016】
FCRAMに対しマスクライトであるアッパーライト、ロワーライト(図3においてアッパーライトコマンド、ロワーライトコマンドをそれぞれ4BWU、4BWLと示す)が行われる際のコマンドは、2ndコマンド時に、マスクライトであることを示す情報“H”、“L”がA13ピン、A14ピンより与えられる以外は、フルライト時と同じである。アッパーライト、ロワーライトのマスク個所は、2ndコマンド時に、A0ピン、A1ピンより指示される。
【0017】
FCRAMに対しリフレッシュが行われる際には、1stコマンド時に、CS’信号が“L”、FN信号が“L”となることによりWRAコマンドが発せられる。2ndコマンド時には、CS’信号が“L”、FN信号が“H”となることによりREF(auto refresh)コマンドが発せられ、リフレッシュが行われる。
FCRAMに対しモードレジスタの設定が行われる際には、1stコマンド時に、CS’信号が“L”、FN信号が“H”となることによりRDAコマンドが発せられ、2ndコマンド時には、CS’信号が“L”、FN信号が“H”となることによりMRS(mode register set)コマンドが発せられる。そして、2ndコマンド時に、アドレスピンより設定すべきモードの情報が与えられる。
REFコマンド、MRSコマンドが発せられるとき、DQS、DQS’、DQ0−DQ7のピンは、ハイインピーダンス状態におかれる。
【0018】
図4は、本発明の実施例1のメモリ制御回路によって制御されるDDR2−SDRAMのピン名とその信号アサインを示す図表である。本実施例で用いられるDDR2−SDRAMでは、CLK、CLK’、CS’、RAS’、CAS’、WE’、CKE、BA0、BA1、A0−A13、DM、DQS、DQS’、DQ0−DQ7のピンが用いられている。CLKピン、CLK’ピンにはクロックCLK、CLK’が入力され、CS’ピンにはCS’信号が入力され、RAS’ピンとCAS’ピンにはRAS’ 信号とCAS’ 信号が入力され、WE’ピンにはWE’信号が入力され、CKEピンには、本実施例においてはハイ固定とされたclock enable信号CKEが入力される。BA0ピン、BA1ピンにはバンクアドレスBA0、BA1が入力され、A0ピン−A13ピンには、1stコマンド時にはロウアドレスRA00−RA13が、2ndコマンド時にはA0ピン−A9ピンには、カラムアドレスCA00−CA09が、A10ピンには、auto precharge信号APが入力される。DMピンにはdata mask信号DMが入力され、DQSピン、DQS’ピンには、データストローブ信号DQS、DQS’が入出力され、DQ0ピン−DQ7ピンには、データDQ0−DQ7が入出力される。
【0019】
DDR2−SDRAMに対しリードが行われる際には、1stコマンド時に、CS’信号が“L”、RAS’信号が“L”となることによりACT(active)コマンドが発せられ、同時にバンドアドレスBA0、BA1がBA0ピン、BA1ピンより、ロウアドレスA(00)−A(13)がA0ピン−A13ピンより取り込まれる。2ndコマンド時には、信号CS’が“L”、CAS’ 信号が“L”、AP信号が“H”となることによりRDA(read with auto precharge)コマンドが発せられ、同時にカラムアドレスA(14)−A(21)がA2ピン−A9ピンより取り込まれる。これにより、特定のアドレスのセルの情報がDQ0ピン−DQ7ピンを介して読み出される。
【0020】
DDR2−SDRAMに対しフルライトが行われる際の1stコマンド時の動作は、リードが行われる際の1stコマンド時の動作と同じである。すなわち、ACTコマンドが発せられ、バンクアドレスBA0、BA1とロウアドレスA(00)−A(13)が取り込まれる。2ndコマンド時には、信号CS’が“L”、CAS’信号が“L”、WE’信号が“L”、AP信号が“H”となることによりWTA(write with auto precharge)コマンドが発せられ、同時にカラムアドレスA(14)−A(21)がA2ピン−A9ピンより取り込まれる。これにより、特定のアドレスのセルに対しDQ0ピン−DQ7ピンを介して供給されたデータが書き込まれる。
【0021】
DDR2−SDRAMに対しマスクライトであるアッパーライト、ロワーライトが行われる際のコマンドは、データ入力時に、DMピンにマスクライトであることを示す情報“L→H”、“H→L”が与えられる以外は、フルライト時と同じである。
【0022】
DDR2−SDRAMに対しリフレッシュが行われる際には、CS’信号が“L”、RAS’信号が“L”、CAS’信号が“L”となることによりREFコマンドが発せられる。リフレッシュ完了後、待機状態に復帰する。
DDR2−SDRAMに対しモードレジスタの設定が行われる際には、CS’信号が“L”、RAS’信号が“L”、CAS’信号が“L”、WE’信号が“L”となることによりMRSコマンドが発せられる。このとき、アドレスピンより設定すべきモードの情報が与えられる。
REFコマンド、MRSコマンドが発せられるとき、DQS、DQS’、DQ0−DQ7のピンは、ハイインピーダンス状態におかれる。
【0023】
図5は、図3に示された信号アサインに従って動作するFCRAMにデータを書き込む場合の各ピンでの動作波形を示すタイムチャートである。この例では、BL(burst length)は4に設定され、WL(write latency)は4に設定されている。CLKサイクル0Tにおいてフルライトコマンド(8BW)が、CLKサイクル2Tにおいてアッパーライトコマンド(4BWU)が、CLKサイクル4Tにおいてロワーライトコマンド(4BWL)が入力されている。
8BWの1stコマンドが入力されるCLKサイクル0Tにおいて、CS’とFNが共に“L”となってWRAコマンドが発せられ、同時にバンクアドレスBA0−BA1、アッパーアドレスUA0−UA14が取り込まれる。8BWの2ndコマンドが入力されるCLKサイクル1Tにおいて、CS’とFNが共に“H”となってLALコマンドが発せられ、同時にロワーアドレスLA2−LA8が取り込まれる(8BWの2ndコマンド時には、A0、A1ピンは“0”に固定されており、A13、A14ピンにはフルライトであることを示す“L”、“H”が入力される)。本実施例のFCRAMはWL=4であるので、8BWの2ndコマンド入力から4クロック後のCLKサイクル5Tにおいて最初のライトデータWD0の読み込みが行われ、データ書き込みが行われる。BL=4であるのでその後、半クロック毎にWD3までライトデータの読み込みが行われ、そのデータの書き込みが行われる。
8BWの後に実行される4BWU、4BWLについても、2ndコマンドにおいて、マスクライトであることを示す信号がA13、A14ピンから入力され、マスク位置を示す情報がA0、A1ピンから入力され、マスクライトが実行される以外はフルライトの8BWの場合と同様の動作が行われる。
【0024】
図6は、図4に示された信号アサインに従って動作するDDR2−SDRAMにデータを書き込む場合の各ピンでの動作波形を示すタイムチャートである。この例では、BLは4に設定され、WLは6に設定されている。CLKサイクル0Tにおいてフルライトコマンド(8BW)が、CLKサイクル2Tにおいてアッパーライトコマンド(4BWU)が、CLKサイクル4Tにおいてロワーライトコマンド(4BWL)が入力されている。
8BWの1stコマンドが入力されるCLKサイクル0Tにおいて、CS’とRAS’が“L”となってACTコマンドが発せられ、同時にバンクアドレスBA0−BA1、ロウアドレスRA0−RA13が取り込まれる。8BWの2ndコマンドが入力されるCLKサイクル1Tにおいて、CS’とCAS’とWE’とが“L”となってWTAコマンドが発せられ、同時にカラムアドレスCA2−CA9が取り込まれる(このとき、A0、A1ピンは“0”に固定されており、A10ピンにはオートプリチャージが行われることを示す “H”が入力される)。本実施例のDDR2−SDRAMはWL=4であるので、8BWの2ndコマンド入力から6クロック後のCLKサイクル7Tにおいて最初のライトデータWD0の読み込みが行われ、データ書き込みが行われる。BL=4であるのでその後、半クロック毎にWD3までライトデータの読み込みが行われ、そのデータの書き込みが行われる。
8BWの後に実行される4BWU、4BWLについても、マスクライトが実行される以外は8BWの場合と同様の動作が行われる。ライトデータのマスキングのタイミングは、DM信号により指示される。
【0025】
図7は、本実施例のメモリ制御回路内に設けられるメモリアクセス共通制御回路のブロック図である。このメモリアクセス共通制御回路23に接続されるRAM素子10は、図3〜図6を参照して説明したFCRAMまたはDDR2−SDRAMである。メモリアクセス共通制御回路23には、RAMアドレス・データ制御部231、RAMアクセス命令定義レジスタ232、命令セレクタ233、命令・アドレスセレクタ234が設けられている。RAMアドレス・データ制御部231は、RAM制御コマンド・データ300の中のアドレス・データ300aが入力され、データ200aをRAM素子10との間で入出力すると共に、RAM内アドレス信号200bを出力する。RAMアクセス命令定義レジスタ232には、本実施例のメモリ制御回路に接続されるRAM、すなわちFCRAMとDDR2−SDRAMの各種の命令が格納されている。すなわち、FCRAMのリード命令(8BR)、フルライト命令(8BW)、アッパーライト命令(4BWU)、ロワーライト命令(4BWL)、オートリフレッシュ命令(REF)、モードレジスタセット命令(MRS)、DDR2−SDRAMのリード命令(8BR)、フルライト命令(8BW)、マスクライト命令(4BWU、4BWL)、オートリフレッシュ命令(REF)、モードレジスタセット命令(MRS)が設定されている。この設定内容は本メモリ制御回路(LSI)外よりソフトウエアにて変更が可能である。命令セレクタ233にはRAM制御コマンド・データ300の中のコマンド300bが入力され、それに従ってRAMアクセス命令定義レジスタ232に登録されている命令の中から一つを選択してRAM制御信号200cとして出力する。命令・アドレスセレクタ234には、RAM内アドレス信号200bの一部(A0、A1、A10、A13、A14ピンの信号)とRAM制御信号200cの一部(アドレス系制御信号)が入力されており、その内のいずれかをコマンド300bに従ってRAM素子10宛てに出力する。
RAMアクセス命令定義レジスタ232の内容は、ディップスイッチを設定することによりあるいはプログラマブル素子をプログラムすることによって設定できるようにしてもよい。
【0026】
図8は、図7に示したRAMアクセス命令定義レジスタ232の具体的登録例を示す図表である。図3、図4に示された各ピンの信号アサインに従い、図8に示すように予め登録しておく。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のメモリ制御回路の一実施の形態を示すブロック図。
【図2】図1のメモリアクセス制御回路の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施例のメモリ制御回路に接続されるFCRAMのピン−信号アサインを示す図表。
【図4】本発明の一実施例のメモリ制御回路に接続されるDDR2−SDRAMのピン−信号アサインを示す図表。
【図5】本発明の一実施例のメモリ制御回路に接続されるFCRAMのライト時の信号波形を示すタイムチャート。
【図6】本発明の一実施例のメモリ制御回路に接続されるDDR2−SDRAMのライト時の信号波形を示すタイムチャート。
【図7】本発明の一実施例のメモリ制御回路に設置されるメモリアクセス共通制御回路の構成を示すブロック図。
【図8】図7に示されたメモリアクセス共通制御回路の中のRAMアクセス命令レジスタの具体的構成を示す図表。
【符号の説明】
【0028】
1 メモリ制御回路
10 RAM素子
11 メモリアクセスRAMビジー管理回路
12 RAM種別レジスタ
13 メモリアクセス共通制御回路
100 RAMアクセス要求信号
131、231 RAMアドレス・データ制御部
132、232 RAMアクセス命令定義レジスタ
133、233 命令セレクタ
200 RAM制御信号・データ群
200a データ
200b RAM内アドレス信号
200c RAM制御信号
234 命令・アドレスセレクタ
300 RAM制御コマンド・データ
300a アドレス・データ
300b コマンド
400 RAM種別信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに対し制御信号を供給しデータの入・出力の制御を行うメモリ制御回路を介してメモリを制御するメモリの制御方式であって、前記メモリ制御回路には制御方式の異なる複数種類のメモリに供給するための各種の命令が記憶されているメモリアクセス共通制御回路が備えられており、前記メモリアクセス共通制御回路に記憶されている命令の中から前記メモリ制御回路に接続されているメモリに応じた命令が順次選択されて出力されこれによりメモリが制御されることを特徴とするメモリの制御方式。
【請求項2】
前記メモリアクセス共通制御回路に記憶されている命令は、ソフトウエアにて設定が可能であることを特徴とする請求項1に記載のメモリの制御方式。
【請求項3】
メモリがRAMであることを特徴とする請求項1または2に記載のメモリの制御方式。
【請求項4】
メモリがDRAMであることを特徴とする請求項1または2に記載のメモリの制御方式。
【請求項5】
メモリに対し制御信号を供給しデータの入・出力の制御を行うメモリ制御回路であって、メモリアクセスのタイミングを管理するメモリアクセス管理回路と、メモリに制御信号を供給するメモリアクセス共通制御回路とを備え、前記メモリアクセス共通制御回路には制御方式の異なる複数種類のメモリに供給するための各種の命令が記憶されており、前記メモリアクセス共通制御回路に記憶されている命令は前記メモリアクセス管理回路の出力信号に従って順次選択されて出力されることを特徴とするメモリ制御回路。
【請求項6】
接続可能なメモリの種別を記憶するメモリ種別レジスタが備えられており、現に接続されているメモリの種別を示す信号が、前記メモリアクセス管理回路に入力されることを特徴とする請求項5に記載のメモリ制御回路。
【請求項7】
回路が1チップ上にLSIとして集積化されていることを特徴とする請求項5または6に記載のメモリ制御回路。
【請求項8】
前記メモリアクセス共通制御回路には、前記各種の命令が記憶された命令定義レジスタが備えられており、前記命令定義レジスタに記憶されている命令は前記メモリアクセス管理回路の出力信号によって制御される命令セレクタを介して出力されることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のメモリ制御回路。
【請求項9】
前記メモリアクセス共通制御回路には、メモリのアドレス情報を出力すると共にデータの入出力を行うアドレス・データ制御部が更に備えられていることを特徴とする請求項8に記載のメモリ制御回路。
【請求項10】
前記メモリアクセス共通制御回路には、前記命令セレクタから出力される命令の一部と、前記アドレス・データ制御部が出力するアドレス情報の一部とが入力される命令・アドレスセレクタが更に備えられており、前記メモリアクセス管理回路の出力信号によって命令またはアドレス情報が選択されて前記命令・アドレスセレクタから出力されることを特徴とする請求項9に記載のメモリ制御回路。
【請求項11】
前記命令定義レジスタに記憶された命令は外部から変更が可能であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のメモリ制御回路。
【請求項12】
前記命令定義レジスタに記憶された命令はソフトウエアにて設定が可能であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のメモリ制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−59046(P2006−59046A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239079(P2004−239079)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】