説明

メモリカードおよびメモリカードの制御方法

【課題】ユーザによる近接無線通信させるというアクションに対してファイルの伝送を制御し、ユーザに対して分かりやすいユーザインタフェースを提供すること。
【解決手段】電子機器に設けられたカードスロットに挿抜可能なメモリカードであって、一つ以上のファイルが格納される不揮発性メモリ21と、近接無線通信を実行する近接無線通信部25と、近接無線通信部25が他の近接無線通信部33と通信可能になる度に近接無線通信部25を用いて不揮発性メモリ21内に格納されている一つのファイルを前記他の近接無線通信部に送信するための処理を実行するファイル管理部23とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接無線通信機能を有するメモリカードおよびメモリカードの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LAN機能(IEEE 802.11b/g)を内蔵したメモリカードが販売されている(非特許文献1参照)。
【0003】
無線LAN機能を有するメモリカードをデジタルカメラの記憶デバイスとして使用すると、撮影されたファイルを無線LAN機能を有するパーソナルコンピュータ等に自動的に転送することができる。
【非特許文献1】“Eye-Fi Share”、[online]、Eye-Fi、[平成20年9月3日検索]、インターネット<URL:http://www.eye.fi/products/share>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、伝送距離が3cm以下という近接無線通信技術が開発されている。近接無線通信では、伝送距離が極端に短いために通常は機器同士を接触させてファイルの伝送を行う。
【0005】
近接無線通信の場合、機器同士の接触という動作によって、ファイルの伝送操作が開始されるので、ユーザによる機器同士の接触(近接無線通信させる)という行動に何らかの意味づけをすることによってファイルの伝送を制御し、ユーザに対して分かりやすいユーザインタフェースを提供したいという要望がある。
【0006】
本発明の目的は、ユーザによる近接無線通信させるというアクションに対してファイルの伝送を制御し、ユーザに対して分かりやすいユーザインタフェースを提供することが可能になるメモリカードおよびメモリカードの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例に係わるメモリカードは、電子機器に設けられたカードスロットに挿抜可能なメモリカードであって、一つ以上のファイルが格納される記憶部と、近接無線通信を実行する近接無線通信部と、前記近接無線通信部が他の近接無線通信部と通信可能になる度に前記近接無線通信部を用いて前記記憶部内に格納されている一つのファイルを前記他の近接無線通信部に送信するための処理を実行する制御部とを具備することを特徴とするメモリカード。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザによる近接無線通信させるというアクションに対してファイルの伝送を制御し、ユーザに対して分かりやすいユーザインタフェースを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる近接無線通信機能およびメモリカード20が挿抜可能なカードスロット14を有するデジタルカメラ、並びに近接無線通信機能および記憶装置を有するコンピュータのシステム構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、デジタルカメラ10は、レンズ15、撮像素子16、表示デバイス17、CPU11、メモリ12、ホストコントローラ13、およびカードスロット14を有する。
【0012】
CPU11は、デジタルカメラ10の動作を制御するプロセッサであり、メモリ12にロードされるファームウエアを実行する。
【0013】
ホストコントローラ13は、カードスロット14に挿入されたメモリカード20との通信を制御するためのコントローラである。ホストコントローラ13は、メモリカード20と通信を行って、メモリカード20にファイルを書き込んだり、メモリカード20に格納されているファイルを読み出したりするための処理を行う。
【0014】
撮像素子16は、レンズ15によって撮像素子16の撮像領域に結像された画像をデータ化する。データ化された画像は表示デバイス17の表示画面上に表示される。また、撮影されメモリカード20内に格納されている映像ファイルが表示デバイス17の表示画面上に表示される。
【0015】
メモリカード20は、不揮発性メモリ(NVM)21、デバイスコントローラ22、ファイル管理部23、アクセス記録部24、および近接無線通信部25等を有する。
記憶部である不揮発性メモリ(NVM)21には、ファイルが格納される。デバイスコントローラ22は、デジタルカメラ10との通信を制御するためのコントローラである。ファイル管理部23は、不揮発性メモリ21に格納されているファイルを認識する機能を有する。制御部としてのファイル管理部23は、近接無線通信によるファイルの送受信を制御する機能を有する。アクセス記録部24は、デジタルカメラ10が不揮発性メモリ21に格納されているファイルに対して行ったアクセス(Read/Write)の履歴情報を保持する機能を有する。
【0016】
近接無線通信部25は、近接無線通信を実行する。近接無線通信部25と別の近接無線通信部(33)との間の近接無線通信は、ピアツーピア形式で実行される。通信可能距離は例えば3cmである。近接無線通信部25と別の近接無線通信部(33)との間の無線接続は、近接無線通信部25と別の近接無線通信部(33)との間の距離が所定距離(例えば3cm)以内に接近した場合にのみ可能となる。近接無線通信においては、誘導電界が用いられる。近接無線通信方式としては、例えばTransfer JETを使用し得る。Transfer JETは、UWBを利用した近接無線通信方式であり、高速データ転送を実現することができる。
【0017】
コンピュータ30は、CPU31、メモリ32、ファイル記憶部34、および近接無線通信部33等を有する。
【0018】
CPU31は、コンピュータ30の動作を制御するプロセッサであり、メモリ32にロードされる、オペレーティングシステム(OS)、や各種アプリケーションプログラムを実行する。
【0019】
近接無線通信部33は、メモリカード20に搭載されている近接無線通信と通信を行うことが可能なデバイスである。ファイル記憶部34は、例えばハードディスクドライブによって構成され、近接無線通信によっってメモリカード20から転送されたファイルを格納することができる。
【0020】
コンピュータ30で実行されるアプリケーションプログラム(ファイル転送プログラム)によって、近接無線通信部33およびメモリカード20の近接無線通信部25に以下などの通信モードを設定する。
【0021】
1.受信のみ(メモリカード20の近接無線通信部25が近接無線通信部33にファイルを送信)。
2.送信のみ(近接無線通信部33がメモリカード20の近接無線通信部25にファイルを送信)。
3.コンピュータ内にないファイルすべてを受信(メモリカード20の近接無線通信部25が近接無線通信部33にファイルを送信)。
4.メモリカード内にないファイルすべてを送信(近接無線通信部33がメモリカード20の近接無線通信部25にファイルを送信)。
5.メモリカードに最近記録された(Writeした)ファイルを受信(転送は新しく記録されたファイルから1つずつ)、(メモリカード20の近接無線通信部25が近接無線通信部33にファイルを送信)。
6.メモリカードから最近読み出された(Readアクセスした)ファイルを受信(転送は新しいアクセスから1つずつ)、(メモリカード20の近接無線通信部25が近接無線通信部33にファイルを送信)。
【0022】
上記通信モードについて説明する。
“1.受信のみ”の場合、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33をファイルを受信するモードに設定する。そして、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33および近接無線通信部25を介して、ファイル管理部23に対して不揮発性メモリ21に格納されているファイルを全て送信する送信モードに設定する。
【0023】
“2.送信のみ”の場合、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33をファイルを送信するモードに設定する。そして、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33および近接無線通信部25を介して、ファイル管理部23に対してファイルを受信するモードに設定する。ファイル転送プログラムは、ユーザが設定したファイルを近接無線通信部33および近接無線通信部25を介してメモリカード20に送信する。アクセス記録部24は受信したファイルを不揮発性メモリ21に格納する。
【0024】
“3.コンピュータ内にないファイルすべてを受信”の場合、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33をファイルを受信するモードに設定する。そして、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33および近接無線通信部25を介して、ファイル管理部23に対して不揮発性メモリ21に格納され、コンピュータ30に送信していないファイルを全て送信する送信モードに設定する。ファイル管理部23はアクセス記録部24が管理する履歴情報を参照し、送信していないファイルを全てコンピュータ30に送信する。
【0025】
“4.メモリカード内にないファイルすべてを送信”の場合、近接無線通信部33をファイルを送信するモードに設定する。そして、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33および近接無線通信部25を介して、ファイル管理部23に対してファイルを受信するモードに設定する。ファイル転送プログラムは、メモリカード20に対応づけられているフォルダが設定され、フォルダからメモリカード20に送信したファイルの送信履歴情報をファイル記憶部34に格納しておく。ファイル転送プログラムは、送信履歴情報を参照してメモリカード20に対応づけられているフォルダ内のファイルからメモリカード20に送信していないファイルを全て近接無線通信部33および近接無線通信部25を介してメモリカード20に送信する。ファイル管理部23は受信したファイルを不揮発性メモリ21に格納する。
【0026】
“5.メモリカードに最近記録された(Writeした)ファイルを受信”の場合、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33をファイルを受信するモードに設定する。そして、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33および近接無線通信部25を介して、ファイル管理部23に対してメモリカードに最近記録された(Writeした)ファイルを送信する送信モードに設定する。ファイル管理部23は、近接無線通信が可能になる度に、最近記録された(Writeした)ファイルから順にファイルをコンピュータ30に送信する。
【0027】
この通信モードでのメモリカード側での処理を図2を参照して説明する。
先ず、ファイル管理部23は、アクセス記録部24が管理する履歴情報を参照する(ステップS11)。そして、ファイル管理部23は、参照した履歴情報に基づいて送信していないファイルでファイルの作成日時が最近のファイルを特定する(ステップS12)。ファイル管理部23は、特定したファイルを送信ファイルとして設定する(ステップS13)。
【0028】
ファイル管理部23は、近接無線通信部25と近接無線通信部33との近接無線通信が可能であるか近接無線通信部25に問い合わせる。近接無線通信部25から応答が有ったら、ファイル管理部23は、応答結果が近接無線通信が可能であることを示しているか否かを判別する(ステップS14)。近接無線通信が可能ではないと判断した場合(ステップS14のNo)、ファイル管理部23は、不揮発性メモリ21内のファイルにデジタルカメラ10からアクセスが有ったか否かを判別する(ステップS17)。アクセスが無いと判断した場合(ステップS17のNo)、一定時間後に再度近接無線通信部25に近接無線通信が可能であるかを問合わせた後にステップS14の処理を実行する。アクセスがあったと判断した場合(ステップS17のYes)、ファイル管理部23は処理を終了する。
【0029】
ステップS14において近接無線通信が可能であると判断した場合(ステップS14のYes)、ファイル管理部23はステップS13で設定したファイルをデバイスコントローラ22および近接無線通信部25を用いてコンピュータ30側に送信する(ステップS15)。そして、ファイル管理部23は、アクセス記録部24に送信ファイルの送信情報(日時、送信相手)の情報を履歴情報に付け加えるように指示し、アクセス記録部24は履歴情報を更新する(ステップS16)。以上の処理でメモリカードに最近記録された(Writeした)ファイルを近接無線通信が可能になる度に1枚ずつコンピュータ30に送信することができる。
【0030】
“6.メモリカード20から最近読み出された(Readアクセスした)ファイルを受信”の場合、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33をファイルを受信するモードに設定する。そして、ファイル転送プログラムは、近接無線通信部33および近接無線通信部25を介して、ファイル管理部23に対してメモリカードから最近読み出された(Readアクセス)ファイルを送信する送信モードに設定する。ファイル管理部23は、近接無線通信が可能になる度に、最近読み出された(Readアクセス)ファイルから順にファイルをコンピュータ30に送信する。
【0031】
この通信モードでのメモリカード側での処理を図3を参照して説明する。
先ず、ファイル管理部23は、アクセス記録部24が管理する履歴情報を参照する(ステップS21)。そして、ファイル管理部23は、参照した履歴情報に基づいて送信していないファイルでファイルの読み出し(Readアクセス)日時が最近のファイルを特定する(ステップS22)。ファイル管理部23は、特定したファイルを送信ファイルとして設定する(ステップS23)。
【0032】
ファイル管理部23は、近接無線通信部25と近接無線通信部33との近接無線通信が可能であるか近接無線通信部25に問い合わせる。近接無線通信部25から応答が有ったら、ファイル管理部23は、応答結果が近接無線通信が可能であることを示しているか否かを判別する(ステップS24)。近接無線通信が可能ではないと判断した場合(ステップS24のNo)、ファイル管理部23は、不揮発性メモリ21内のファイルにデジタルカメラ10からアクセスが有ったか否かを判別する(ステップS27)。アクセスが無いと判断した場合(ステップS27のNo)、一定時間後に再度近接無線通信部25に近接無線通信が可能であるかを問合わせた後にステップS24の処理を実行する。アクセスがあったと判断した場合(ステップS27のYes)、ファイル管理部23は処理を終了する。
【0033】
ステップS24において近接無線通信が可能であると判断した場合(ステップS24のYes)、ファイル管理部23はステップS23で設定したファイルをデバイスコントローラ22および近接無線通信部25を用いてコンピュータ30側に送信する(ステップS25)。そして、ファイル管理部23は、アクセス記録部24に送信ファイルの送信情報(日時、送信相手)の情報を履歴情報に付け加えるように指示し、アクセス記録部24は履歴情報を更新する(ステップS26)。以上の処理でメモリカードから最近読み出された(Readアクセス)ファイルを近接無線通信が可能になる度に1枚ずつコンピュータ30に送信することができる。
【0034】
なお、コンピュータ30によって実行されるファイル転送アプリケーションによってメモリカード20に明示的にモードを設定するのではなく、ファイル転送アプリケーションの以下のような動作状況によって、自動的にモードが切り替わってもよい。
【0035】
ファイル転送アプリケーションが1枚の映像を表示している場合、メモリカード20に最近記録した(Writeした)映像(ファイル)から順次転送する。1ファイルのみ転送し、コンピュータ30にて表示する。
【0036】
ファイル転送アプリケーションが映像の一覧を表示している場合、メモリカード20はコンピュータ30内に無いファイルすべてを送信(無線機能内蔵記憶装置から送信)。コンピュータ30に格納されている映像(ファイル)のリストを更新する。
【0037】
例えば、図2に示すように、近接無線通信機能を有するメモリカード20で通信を行う場合では、受信側にて明示的にモードを指定できない。その場合、以下のような1つの通信モードのみ対応にしてもよい。
転送先にないファイルすべてを相互に転送する。
【0038】
また、メモリカード20内にて、最後にアクセス(Read/Write)したファイルを検出し、その検出ファイルに応じて、送信するか・受信するか、対象とするファイルをどれにするかなど転送方向/内容を決める(近距離無線非対応機器同士でも通信できるようにするため)。
【0039】
例えば、ユーザが撮影した写真とは別に、メモリカード20(20A,20B)内に操作内容を示す写真のファイル(JPEG)を複数枚入れておく。デジタルカメラ10A,10Bを表示デバイス17A,17Bに撮影したファイルを表示するモードにする。図4にに示すように、表示デバイス17Aに「送信のみ」という文字が書かれたファイルの画像を表示するとメモリカード20Aが近距離無線にて送信するモードになり、表示デバイス17Bに「受信のみ」という文字が書かれたファイルの画像を表示するとメモリカード20Bが近距離無線にて受信するモードになり、受信機器が近づくと自動的にすべての写真の送信を開始するようにする。
【0040】
また、図5の遷移図に示すように、コマンド映像と、その他のファイルアクセスを組み合わせて、通信モードを選択してもよい。以下に一例を示す。
【0041】
デジカメの状態(受信、すべて送信、最近撮影した1枚を送信、最近見た1枚を送信、すべて送受信)
起動時(電源投入時):「受信」モード
遷移
・コマンド映像表示:その写真の内容のモードへ
・通常映像表示:「最近見た1枚送信」モードへ
・撮影:「最近撮影した1枚送信」モードへ
記憶装置内の各モジュールは、以下のような処理を実行する。
【0042】
[通信前]
(1−1)デバイスコントローラ22は、アクセス内容(Read/Write)と、記憶領域のアドレスをファイル管理部23に渡す(すべてのアクセス内容を渡すのではなく、アクセス内容の一部を渡す)。
【0043】
(1−2)ファイル管理部23は、そのアドレスがどのファイルに該当するか調べ、アクセス内容/ファイルが変わったら、アクセス記録部内へ履歴として保存する。(ファイル管理部23は、必要に応じてデバイスコントローラ22からデータ要求/参照し、ファイルを特定する。)
(1−3)ファイル管理部23は、状態遷移に従って、通信モード、対照ファイルを変更する。
【0044】
[機器間を近づけ、通信]
(2−1)近距離無線部25は、無線通信できるようになったことを、ファイル管理部23へ通知する。
【0045】
(2−2)ファイル管理部23は、通信モードに応じて送受信を行う。
【0046】
・受信の場合:デバイスコントローラ22にファイルデータを要求し、受け取ったデータを近距離無線部へ渡し、相手端末へ送信する。
【0047】
・送信の場合:近距離無線部から受け取ったデータを、デバイスコントローラ22へ渡しファイルとして記録する。
【0048】
(2−3)通信完了後、ファイル管理部23は、アクセス記録部24が管理する履歴情報を参照し、次の対象ファイルを決める。
【0049】
(2−4)近距離無線部25は、無線通信できなくなったことを検出する。(1−1)へ
ファイル管理部23は、デバイスコントローラ22から不揮発性メモリ21内のファイルを取得する際、ホストコントローラ13経由での不揮発性メモリ21内のファイルへのアクセスを一時的に禁止する。
【0050】
図5に示した遷移の実施するための処理の手順を図6のフローチャートを参照して説明する。
ファイル管理部23は、ホストコントローラ13から不揮発性メモリにアクセスが有ったか否かを判別する(ステップS31)。アクセスが会ったと判断した場合(ステップS31のYes)、ファイル管理部23は、アクセスがReadアクセスであったか否かを判別する(ステップS32)。
【0051】
Readアクセスでは無いと判断した場合(ステップS32のNo)、ファイル管理部23は、Writeアクセスであるか否かを判別する(ステップS41)。Writeアクセスではないと判断した場合(ステップS41のNo)、ファイル管理部23は、ステップS31の処理に戻る。Writeアクセスであると判断した場合(ステップS41のYes)、ファイル管理部23は、最近撮影した1枚のファイルを送信する送信モードになり、近接距離無線通信が可能になったら最近撮影した1枚の映像ファイルを相手側機器に送信する(ステップS42)。この通信モードでの処理は図2のフローチャートを参照して説明した処理の手順と同様である。
【0052】
Readアクセスであったと判断した場合(ステップS32のYes)、ファイル管理部23はReadアクセスの対象が“受信”コマンド映像ファイルであったか否かを判別する(ステップS33)。
【0053】
“受信”コマンド映像ファイルであると判断した場合(ステップS33のYes)、ファイル管理部23は受信モードになる(ステップS44)。受信モード後、ホストコントローラ13から不揮発性メモリにアクセスが有ったと判断した場合(ステップS44のYes)、ステップS32の処理を実行する。
【0054】
“受信”コマンド映像ファイルでは無いと判断した場合(ステップS33のNo)、ファイル管理部23は、Readアクセスの対象が“全て送信”コマンド映像ファイルであるか否かを判別する(ステップS34)。“全て送信”コマンド映像ファイルであると判断した場合(ステップS34のYes)、ファイル管理部23は、近接距離無線通信が可能になったら、不揮発性メモリ内のファイルを全て相手側機器に送信する(ステップS45)。そして、ファイル管理部23はステップS31の処理に戻る。
【0055】
“全て送信”コマンド映像ファイルではないと判断した場合(ステップS34のNo)、ファイル管理部23はReadアクセスの対象が“全て送受信”コマンド映像ファイルであるか否かを判別する(ステップS35)。“全て送受信”コマンド映像ファイルであると判断した場合(ステップS35のYes)、ファイル管理部23は、近接距離無線通信が可能になったら、不揮発性メモリ内のファイルを全て相手側機器に送信する(ステップS46)。ファイル管理部23は受信モードになる(ステップS46)。受信モード後、ホストコントローラ13から不揮発性メモリにアクセスが有ったと判断した場合(ステップS47のYes)、ステップS32の処理を実行する。
【0056】
“全て送受信”コマンド映像ファイルではないと判断した場合(ステップS35のNo)、ファイル管理部23は、Readアクセスの対象が“最近撮影した1枚送信”コマンド映像ファイルであるか否かを判別する(ステップS36)。“最近撮影した1枚送信”コマンド映像ファイルであると判断した場合(ステップS36のYes)、ファイル管理部23は、最近撮影した1枚の映像ファイルを送信する通信モードになり、近接距離無線通信が可能になったら最近撮影した1枚の映像ファイルを送信する(ステップS48)。この通信モードでの処理は図2のフローチャートを参照して説明した処理の手順と同様である。
【0057】
“最近撮影した1枚送信”コマンド映像ファイルではないと判断した場合(ステップS36のNo)、アクセスした可能性があるファイルは“最近見た1枚送信”コマンド映像ファイル、または通常のファイルの何れかである。そこで、ファイル管理部23は、最近見た1枚の映像ファイルを相手側機器に送信する通信モードになり、近接距離無線通信が可能になったら最近見た1枚の映像ファイルを相手側機器に送信する(ステップS37)。この通信モードでの処理は図3のフローチャートを参照して説明した処理の手順と同様である。以上の処理で図5に示す遷移のようにモードが変化する。
【0058】
本発明の一実施形態に係わるメモリカードによれば、近距離無線非対応のデジタルカメラ(またはビデオカメラ/PC/携帯など)に近距離無線機能内蔵メモリカード20(メモリカード20など)をいれ、メモリカード20に記録した写真(もしくは動画)を転送可能になる。また、メモリカードを近距離無線対応の通信機器に近づけることで、近距離無線対応の通信機器にて指定した1つのファイルの転送を行うことが可能になる。。
【0059】
なお、上記実施形態では、電子機器としてデジタルカメラを挙げたが、他の機器であっても良い。例えば、携帯電話等の移動体通信機であっても良い。
【0060】
なお、近接無線通信が可能な状況下において、記憶装置内のファイルアクセスによって(コマンド映像を切り替えるなどの操作によって)、モードを切り替えることも可能にしてもよい。端末間の距離による操作(遠ざけて、近づける動き)をしなくても、連続したファイル転送が可能になる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係わる、デジタルカメラ(電子機器)、メモリカード、およびパーソナルコンピュータのシステム構成を示すブロック図。
【図2】メモリカードに最近記録された(Writeした)ファイルを受信する通信モードでの処理の手順を示すフローチャート。
【図3】メモリカードから最近読み出された(Readアクセスした)ファイルを受信する通信モードでの処理の手順を示すフローチャート。
【図4】2台のデジタルカメラの表示デバイスのそれぞれにコマンドが表示されている状態を示す図。
【図5】通信モードの遷移例を示す図。
【図6】図5に示す遷移を実施するための処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0063】
10…デジタルカメラ(電子機器),14…カードスロット,20…メモリカード,21…不揮発性メモリ(記憶部),22…デバイスコントローラ,23…ファイル管理部,24…アクセス記録部,25…近接無線通信部,33…近接無線通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に設けられたカードスロットに挿抜可能なメモリカードであって、
一つ以上のファイルが格納される記憶部と、
近接無線通信を実行する近接無線通信部と、
前記近接無線通信部が他の近接無線通信装置と通信可能になる度に、前記近接無線通信部を用いて前記記憶部内に格納されているファイルを前記他の近接無線通信装置に送信するための処理を実行する制御部と
を具備することを特徴とするメモリカード。
【請求項2】
前記記憶部に格納されているファイルに対する前記電子機器からのReadアクセスの履歴情報を保持するアクセス記録部を更に有し、
前記制御部は、前記他の近接無線通信装置と通信可能になる度に、前記履歴情報に基づいてReadアクセスされた日時が新しいファイルから順に前記ファイルを前記他の近接無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項3】
前記記憶部に格納されているファイルに対する前記電子機器からのWriteアクセスの履歴情報を保持するアクセス記録部を更に有し、
前記制御部は、前記他の近接無線通信装置と通信可能になる度に、前記履歴情報に基づいてWriteアクセスされた日時が新しいファイルから順に前記ファイルを前記他の近接無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項4】
前記記憶部に格納されているファイルに対する前記電子機器からのReadアクセスの履歴情報を保持するアクセス記録部を更に有し、
前記記憶部には、前記記憶部に格納されているファイルを送信するモードを設定するためのコマンドファイルが格納され、
前記制御部は、前記履歴情報に基づいて最後にReadアクセスされたファイルを特定し、前記特定されたファイルが前記コマンドファイルの場合に前記特定されたコマンドファイルに応じて送信するファイルを選択することを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項5】
前記記憶部には、前記記憶部に格納されているファイルを送信するモードを設定するための受信コマンドファイルが格納され、
前記特定されたファイルが前記受信コマンドファイルの場合、前記制御部は前記他の近接無線通信装置から送信されたファイルを前記記憶部に格納するための処理を実行することを特徴とする請求項4に記載のメモリカード。
【請求項6】
電子機器に設けられたカードスロットに挿抜可能なメモリカードであって、
一つ以上のファイルが格納される記憶部と、
近接無線通信を実行する近接無線通信部と、
前記近接無線通信部が他の近接無線通信装置と通信可能になる度に前記近接無線通信部が受信した一つのファイルを前記記憶部に格納するための処理を実行する制御部と
を具備することを特徴とするメモリカード。
【請求項7】
一つ以上のファイルが格納される記憶部と、近接無線通信を実行する近接無線通信部とを具備するメモリカードの制御方法であって、
前記近接無線通信部が他の近接無線通信装置と通信可能になる度に前記近接無線通信部を用いて前記記憶部内に格納されている一つのファイルを前記他の近接無線通信装置に送信するための処理を実行することを特徴とするメモリカードの制御方法。
【請求項8】
前記メモリカードは前記記憶部に格納されているファイルに対する前記電子機器からのReadアクセスの履歴情報を保持するアクセス記録部を更に有し、
前記他の近接無線通信装置と通信可能になる度に、前記履歴情報に基づいてReadアクセスされた日時が新しいファイルから順に前記ファイルを前記他の近接無線通信装置に送信することを特徴とする請求項7に記載のメモリカードの制御方法。
【請求項9】
前記メモリカードは、前記記憶部に格納されているファイルに対する前記電子機器からのReadアクセスの履歴情報を保持するアクセス記録部を更に有し、
前記記憶部には、前記記憶部に格納されているファイルを送信するモードを設定するためのコマンドファイルが格納され、
前記履歴情報に基づいて最後にReadアクセスされたファイルを特定し、前記特定されたファイルが前記コマンドファイルの場合に前記特定されたコマンドファイルに応じて送信するファイルを選択することを特徴とする請求項7に記載のメモリカードの制御方法。
【請求項10】
前記記憶部には、前記記憶部に格納されているファイルを送信するモードを設定するための受信コマンドファイルが格納され、
前記特定されたファイルが前記受信コマンドファイルの場合、前記他の近接無線通信装置から送信されたファイルを前記記憶部に格納することを特徴とする請求項9に記載のメモリカードの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−67060(P2010−67060A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233548(P2008−233548)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】