説明

メモリコントローラ、不揮発性記憶装置

【課題】不揮発性メモリにおいて第1の誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生した場合でも、格納したデータを正しく読み出すことが可能で、かつ、小さいサイズの書き込みが効率的な不揮発性記憶装置、及びメモリコントローラを提供する。
【解決手段】不揮発性記憶装置1は、データを記憶する不揮発性メモリ12と、不揮発性メモリ12の制御を行うメモリコントローラ11とを備え、メモリコントローラ11は、データと同一ページに格納する第1の誤り訂正符号とは別に、第2の誤り訂正符号をも格納する。第2の誤り訂正符号の単位となるパリティグループよりもサイズの小さい書き込みにおいては、パリティグループとは別の領域に暫定的な第2の誤り訂正符号を格納する。データの読み出し時にはデータに付与された第1及び/または第2の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリを制御するメモリコントローラ、及び、不揮発性メモリとメモリコントローラを備える半導体メモリカード等の不揮発性記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体メモリカードを中心に、書き換え可能な不揮発性メモリを備える不揮発性記憶装置の需要が広まっている。
【0003】
半導体メモリカードは、小型・軽量・大容量・耐震性・取り扱いの簡便さ等の、種々の長所を備えており、デジタルスチルカメラや携帯電話などのポータブル機器の記録媒体として、その需要が高まっている。最近では、ポータブル機器だけではなく、デジタルテレビやDVDレコーダ等の据え置き機器にも、半導体メモリカード用のスロットが標準搭載されており、半導体メモリカードの需要はさらに高まっている。
【0004】
上述の半導体メモリカードは、不揮発性の主記憶メモリとしてフラッシュメモリ(主にNAND型のフラッシュメモリ)と、それを制御するメモリコントローラとを備えている。メモリコントローラは、デジタルスチルカメラ本体等に代表されるアクセス装置からのデータの読み書き指示に応じて、フラッシュメモリに対するデータの読み書き制御を行うものである。
【0005】
メモリコントローラからフラッシュメモリへのデータの書込みは、ページと呼ばれる単位で行われる。最近のフラッシュメモリでは4kB(キロバイト)、8kB程度のページサイズが主流である。
【0006】
フラッシュメモリは、セルという記憶素子を多数含み、各セルに電荷を蓄積すること若しくは各セルから電荷を放出することにより情報を記憶する。ところが、セルに記憶された情報は、セルの劣化などの要因により失われることがある。そのため、メモリコントローラは、一般に、アクセス装置からの書き込みデータに対する誤り訂正符号を生成し、上述の書き込みデータと共にフラッシュメモリに格納する。これにより、データの読出し時にエラーが発生しても、そのエラービット数が、適用される誤り訂正符号の訂正能力内であれば訂正が行われ、よって正しいデータを読み出すことが可能となる。例えば、下記の特許文献1では、フラッシュメモリのページ内に書き込みデータ(ユーザデータ)と誤り訂正符号(付加データ)とを交互に格納する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−292925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の方法では、データ読出し時に誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生すると、正しいデータを読むことはできない。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、データ読出しの際に誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生する場合であっても正しくデータを読み出すことができる不揮発性記憶装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述の課題を解決するため、誤り訂正符号(以下、第1の誤り訂正符号と称する。)を付与したデータの集合に対して、さらに第2の誤り訂正符号を付与するという方法を考案した。例えば、第2の誤り訂正符号として、4ページ分のデータに対して1ページのパリティを付与するという方法を考案した。このようにすることにより、第1の誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生した場合であっても、第2の誤り訂正符号(パリティ)を用いることで正しいデータを読み出すことが可能となる。
【0011】
しかしながら、上述の方法においては、第2の誤り訂正符号を付与すると、メモリコントローラで管理されるデータ単位が大きくなり、よってアクセス装置からのデータ書き込みのデータサイズが小さい場合にはオーバーヘッドが大きくなるために、データ書き込み速度が低下するという問題がある。
【0012】
先ほどの例では、4ページ分のデータに対して1ページ分のパリティを付与するので、メモリコントローラは5ページ単位で入出力データの管理を行う。例えば、アクセス装置からのデータ書き込みのサイズが1ページであったとしても、メモリコントローラは4ページ分のデータと、これに対する1ページ分のパリティの計5ページをフラッシュメモリに書き込む。このとき、4ページ分のデータのうち、1ページはアクセス装置から受信したデータで構成されるが、残り3ページは不揮発性メモリから読み出した既存データで構成される。従って、このときのオーバーヘッドは、アクセス装置からのデータ書き込みのサイズが4ページである場合に比べて大きくなる。
【0013】
本発明は、更に、上述の課題を鑑みてなされたものであり、不揮発性メモリへのデータ書き込みにおいて第1及び第2の誤り訂正符号を付与した場合でも、小さいデータサイズのデータ書き込みを効率的に行うことが可能である不揮発性記憶装置、及びメモリコントローラを提供するものである。
【0014】
本発明に係る不揮発性記憶装置は、アクセス装置と通信可能であり、前記アクセス装置からの指示によりデータの読み出し及び/又は書き込みを行う不揮発性記憶装置であって、
データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラとを備え、
前記不揮発性メモリは、
消去単位であるブロックを複数含み、
前記ブロックはデータの書き込み単位であるページを複数含み、
前記メモリコントローラは、
前記不揮発性メモリの一の記録領域に複数の前記ページから構成される誤り訂正グループを複数割り当て、前記誤り訂正グループには第1のサイズのデータと、前記第1のサイズのデータに対する誤り訂正符号とを割り当て、
更に、前記不揮発性メモリの別の記録領域にパリティテーブルを割り当て、
データを書き込むときに、データサイズが前記第1のサイズ未満である場合は、データを前記誤り訂正グループに書き込み、該データに対する暫定的な誤り訂正符号を前記パリティテーブルに書き込む。
【0015】
本発明に係るメモリコントローラは、データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラであって、
前記不揮発性メモリは、
消去単位であるブロックを複数含み、
前記ブロックはデータの書き込み単位であるページを複数含み、
前記メモリコントローラは、
前記不揮発性メモリの一の領域に複数の前記ページから構成される誤り訂正グループを複数割り当て、前記誤り訂正グループには第1のサイズのデータと、前記第1のサイズのデータに対する誤り訂正符号とを割り当て、
更に、前記不揮発性メモリの別の領域にパリティテーブルを割り当て、
データを書き込むときに、データサイズが前記第1のサイズ未満である場合は、データを前記誤り訂正グループに書き込み、該データに対する暫定的な誤り訂正符号を前記パリティテーブルに書き込む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の誤り訂正符号を付与したデータの集合に対して第2の誤り訂正符号を付与した上で不揮発性メモリに格納する。これにより、データ読出しの際に第1の誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生する場合であっても正しくデータを読み出すことができる。更に、本発明によれば、不揮発性記憶装置においてパリティグループよりも小さいサイズで書き込みが行われる場合には、パリティグループを構成する一部のデータページのみが更新され、パリティテーブルの領域に一部のデータページのデータに対する暫定パリティ値がパリティページとして書き込まれる。このため、不揮発性メモリへの書き込みにおけるデータのサイズが小さい場合、書き込みを行うページ数が少なくなり、データ書き込み処理の内容が軽減化される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶システムの概略の構成図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリの構成例を示す図。
【図3】図2に示すブロックの構成の一例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリに設定される領域を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1に係るデータページの構成の一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態1に係るパリティグループの例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1に係るパリティグループの配置の一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1に係るパリティテーブルのレイアウト例を示す図。
【図9】本発明の実施の形態1に係るパリティテーブルの配置の一例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の書き込み処理の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の書き込み処理時の状態の例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の読み出し処理の手順を示すフローチャート。
【図13】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の初期化処理の手順を示すフローチャート。
【図14】パリティグループを格納する論理ブロックが複数である場合の、本発明の実施の形態に係る、パリティテーブルの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施の形態1]
1.1.不揮発性記憶システムの構成
本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶システム1000の構成について、図1から図4を用いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶システム1000の概略構成図である。図1に示すように、不揮発性記憶システム1000は、不揮発性記憶装置1と、不揮発性記憶装置1が装着されるアクセス装置2とを含んで構成される。不揮発性記憶装置1と、アクセス装置2とは、バスB1により接続されて、双方向に通信を行うことができる。不揮発性記憶装置1は、アクセス装置2からの指示に応じてデータの読み出し及び/又は書き込みを行う。ここで、不揮発性記憶装置1は、例えば、半導体メモリカードである。アクセス装置2は、例えば、半導体メモリカードに静止画コンテンツを記録するデジタルスチルカメラである。
【0021】
図1に示すように、不揮発性記憶装置1は、メモリコントローラ11と、データを記憶する一つ又は複数の不揮発性メモリ12とを含む。メモリコントローラ11と、不揮発性メモリ12とは、バスB2により接続されている。メモリコントローラ11は、不揮発性メモリ12とバスB2を介して、データの送受信、すなわち、データの読み出し/書き込み、並びに、コマンドの送信及びレスポンスの受信等を行い、不揮発性メモリ12の制御を行う。なお、不揮発性メモリ12が複数存在する場合は、バスB2が複数存在していてもよい。
【0022】
メモリコントローラ11は、不揮発性記憶装置1の制御全般を行うモジュールであり、例えば、CPUなどを含むLSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)として構成される。不揮発性メモリ12は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。
【0023】
メモリコントローラ11は、図1に示すように、CPU101と、RAM102と、ROM103と、アクセス装置IF(インタフェース)部104と、バッファ105と、不揮発性メモリIF(インタフェース)部106とを含む。メモリコントローラ11の各機能部は、図1に示すように、バスBC1を介して接続されている。なお、メモリコントローラ11は、メモリコントローラ11の機能部の全部又は一部が直接接続される構成であってもよい。
【0024】
アクセス装置IF部104は、不揮発性記憶装置1とアクセス装置2との接続部である。アクセス装置2と不揮発性記憶装置1との制御信号及びデータの送受信は、アクセス装置IF部104を介して行われる。
【0025】
不揮発性メモリIF部106は、メモリコントローラ11と不揮発性メモリ12との接続部である。メモリコントローラ11と不揮発性メモリ12との制御信号及びデータの送受信は、不揮発性メモリIF部106を介して行われる。
【0026】
バッファ105は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2から受信したデータ、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2に送信(出力)するデータ、不揮発性メモリIF部106を介して不揮発性メモリ12から読み出したデータ、及び、不揮発性メモリIF部106を介して不揮発性メモリ12に書き込むデータなどを、一時的に格納するためのメモリである。
【0027】
ROM103には、不揮発性記憶装置1を制御するプログラムが格納されている。このプログラムは、RAM102にロードされ、CPU101により実行される。
【0028】
具体的には、ROM103は、図1に示すように、コマンド処理部111と、アドレス管理部112と、符号処理部113と、不揮発性メモリ制御部114とを含む。なお、本実施の形態では、コマンド処理部111、アドレス管理部112、符号処理部113及び、不揮発性メモリ制御部114は、ROM103上において、ソフトウェアにより実現されるものを想定しているが、これに限定されることはなく、例えば、コマンド処理部111、アドレス管理部112、符号処理部113及び、不揮発性メモリ制御部114の全部又は一部は、ハードウェアで実現されるものであってもよい。
【0029】
コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介して、アクセス装置2から受信したコマンド及びコマンドに関するパラメータを解釈し、コマンドの処理を実行する機能部である。
【0030】
アドレス管理部112は、不揮発性メモリ12のアドレス管理全般を行うが、アドレス管理部112そのものには有効なデータが格納されていない。まず、先ず、アドレス管理部112は、アクセス装置2からアクセス可能なアドレス空間として不揮発性記憶装置1が提供する論理アドレス空間における論理アドレスと、不揮発性メモリ12における物理アドレスとを対応付ける論理物理変換テーブルの物理アドレスを管理する。また、アドレス管理部112は、データ書き込みに再利用可能なブロックであるフリーブロックの物理アドレスや、データ書き込みに利用不可能な不良ブロックの物理アドレスや、論理アドレスと物理アドレスとの変換テーブルが格納されたブロックの物理アドレスなども管理する。
【0031】
符号処理部113は、不揮発性メモリ12において読み書きするデータに対する、第1及び第2の誤り訂正符号の処理を行う。ここで誤り訂正符号とは、例えば、リード・ソロモン符号やパリティである。
【0032】
符号処理部113は、不揮発性メモリ12へのデータ書き込み時に、データに対する第1の誤り訂正符号を生成する。更に、データと該データの第1の誤り訂正符号に対する第2の誤り訂正符号を生成する。そしてデータ、第1の誤り訂正符号、及び、第2の誤り訂正符号を不揮発性メモリ12に書き込む。
【0033】
更に、符号処理部113は、不揮発性メモリ12からのデータ読み出し時に、データとともに第1の誤り訂正符号を読み出し、読み出したデータのエラーの検出及び訂正を行う。第1の誤り訂正符号による訂正が不可能であるエラーが検出された場合には、更に、不揮発性メモリ12から第2の誤り訂正符号を読み出し、エラーの検出及び訂正を行う。
【0034】
不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して送受信される制御信号を処理するデバイスドライバである。
【0035】
図2は、本実施の形態に係る不揮発性メモリ12の構成例を示す図である。不揮発性メモリ12はデータの消去単位であるブロック(物理ブロック)121を複数個含む。それぞれのブロック121のサイズは、例えば、1MB(メガバイト)程度である。
【0036】
図3は、図2に示すブロック121の構成例を示す図である。ブロック121は、データの書き込み単位であるページ122を複数個含む。それぞれのページ122のサイズは、例えば、8kB程度である。ブロック121あたりのページ数は、例えば、128ページである。
【0037】
図4は、本実施の形態に係る不揮発性メモリ12に設定される領域を示す図である。ここで不揮発性メモリ12における領域は、不揮発性メモリ12に格納される情報の種類によって分けられている。不揮発性メモリ12に設定される領域には、データ記録領域125、パリティテーブル領域126、アドレス管理テーブル領域127、ワーク領域128、及びシステム情報領域129等がある。
【0038】
データ記録領域125は、アクセス装置2からの書き込みデータを格納する領域である。アクセス装置2からのデータに加え、該データに対する第1及び第2の誤り訂正符号も格納する。
【0039】
パリティテーブル領域126は、後で説明するように、データ記録領域125に格納するアクセス装置2からの書き込みデータに対する第2の誤り訂正符号(パリティ)の暫定値を記録するパリティテーブル(図8、図11参照)を格納する領域(図9参照)である。
【0040】
アドレス管理テーブル領域127は、アドレス管理部112がアドレス管理を行うために必要となる各種のテーブル情報を格納する領域である。ここでの各種のテーブル情報には、論理アドレスと物理アドレスの論理物理変換テーブル、及びフリーブロックのアドレステーブル等が含まれる。
【0041】
ワーク領域128は、フリーブロックで構成される、有効なデータが格納されていない領域である。
【0042】
システム情報領域129は、メモリコントローラ11が内部的に使用するシステム情報を格納する領域である。さらに、システム情報に対する第1及び第2の誤り訂正符号も格納する。
【0043】
1.2.誤り訂正符号の配置
次に、メモリコントローラ11が不揮発性メモリ12にデータを格納する際の、第1及び第2の誤り訂正符号の配置について図5から図9を用いて説明する。
【0044】
図5は、本実施の形態に係る、データを格納したページ(以下、データページと称する。)の構成の一例を示す図である。データページには、ページ内にデータと該データに対する第1の誤り訂正符号を配置する。なお図5では、第1の誤り訂正符号を「ECC」と記載している。
【0045】
図5に示すように、ページ内に格納するデータに対して、分割して第1の誤り訂正符号を付与する場合には、分割されたデータと該データに対する第1の誤り訂正符号とを組として、データ及び第1の誤り訂正符号を交互に配置する。
【0046】
不揮発性メモリ12からのデータの読み出し時には、常にデータと共に該データに対する第1の誤り訂正符号を読み出すので、同一ページに連続的に配置されることによって、読み出し時の制御信号(例えば、アドレス指定等)のオーバーヘッドを少なくできる。
【0047】
図6は、本実施の形態に係る、一つ以上のデータページに第2の誤り訂正符号を付与したものの例を示す図である。本実施の形態では、第2の誤り訂正符号としてパリティを用いるものとし、第2の誤り訂正符号を格納したページをパリティページと称するものとする。以下、一つ以上のデータページと、それらデータページに対するパリティページとの組み合わせを「パリティグループ」と称する。
【0048】
なお、第2の誤り訂正符号としてパリティ以外(例えば、リード・ソロモン符号)の誤り訂正符号を用いてもよい。この場合、パリティグループをより一般的に誤り訂正グループと称してもよい。
【0049】
図6に示す例では、4つのデータページに対して、1つのパリティページが付与されて一つのパリティグループが構成されている。パリティページには、例えば、各データページに格納されているデータのXOR(排他的論理和)の値を格納する。さらに、このXORの値に対する第1の誤り訂正符号を格納する。
【0050】
なお、図6に示す例では、データページとパリティページの比率を4対1とされているが、その他の任意の比率が適用されてもよい。データページの比率が多い程、不揮発性メモリ12に格納できるデータの容量は増加する。パリティページの比率が多い程、データページに対する誤り訂正能力は増加する。
【0051】
図7は、本実施の形態に係る、パリティグループの配置の一例を示す図である。図7に示す配置は、パリティ(第2の誤り訂正符号)を格納する領域である、データ記録領域125やシステム情報領域129に適用される。
【0052】
図7において、D0、D1、・・・、D15はデータページを表しており、P0−3はデータページD0〜D3に対するパリティページ、P4−7はデータページD4〜D7に対するパリティページ、P8−11はデータページD8〜D11に対するパリティページ、P12−15はデータページD12〜D15に対するパリティページを表している。
【0053】
また、各パリティグループは5つのブロック121a、121b、121c、121d、121eに跨って配置されている。そのため、各パリティグループへのデータの読み出し、書き込みは、異なる物理ブロックへの並列アクセスとなり、高速に行うことが可能である。同様に、連続するパリティグループの読み出し、書き込みも高速に行うことができる。
【0054】
なお、パリティグループが論理ブロックを跨がないように、パリティグループを構成して配置することにより、アドレス管理部112におけるアドレス管理処理を簡素化することができる。パリティグループの配置を示す図7の例において、5つの物理ブロック121a、121b、121c、121d、121eを1つの論理ブロックとして管理することにより、アドレス管理部112における管理が簡素化され得る。
【0055】
図8は、本実施の形態に係る、パリティテーブルの構成例を示す図である。パリティテーブルの1レコードは、パリティグループを構成する一部のデータページのデータに対するパリティ値(暫定パリティ値)と、この暫定パリティ値の有効・無効を判断する有効フラグと、この暫定パリティ値の識別情報とを含んでいる。暫定パリティ値の識別情報は、暫定パリティ値の対象データに関する、論理ブロックのアドレスや、パリティグループのアドレスなどのアドレス情報を含む。
【0056】
図9は、本実施の形態に係る、パリティテーブルの配置の一例を示す図である。図9に示す配置は、パリティテーブルを格納する領域であるパリティテーブル領域126に適用される。
【0057】
図9において、PT0、PT1、PT2、PT3、・・・はパリティテーブルを表している。パリティテーブルは2ページ単位で先頭ページから順に書き込まれ、最後に書き込まれたパリティテーブルのレコード以外は、前述の有効フラグの値によらず無効とする。そのため、パリティテーブルの更新は基本的に2ページの書き込みで完了する。
【0058】
また、各パリティテーブルは2つのブロック121f、121gに跨って配置されている。そのため、各パリティテーブルの読み書きは、異なるブロックへの並列アクセスにより、高速に行うことが可能である。
【0059】
なお、2つのブロック121f、121gの最終ページまで書き込みを行った場合のみ、ワーク領域128から新たなパリティテーブル領域126として2つのフリーブロックを確保し、これらのブロックの物理消去を行った後、先頭ページから順に2ページ単位であらたなパリティテーブルを書き込む。一方、最終ページまで書き込みを行い、無効なパリティテーブルしか存在しない2つのブロック121f、121gはワーク領域128のフリーブロックとする。
【0060】
1.3.不揮発性記憶システムの動作
次に、不揮発性記憶システム1000の動作について図10から図13を用いて説明する。
【0061】
不揮発性記憶装置1は、アクセス装置2に装着され、アクセス装置2が発行するコマンドに応じた処理を実施する。アクセス装置2は、静止画データや動画データなどの記録や再生を行うために、必要なコマンド(例えば、書き込みコマンドや読み出しコマンド)を不揮発性記憶装置1に発行し、データの送受信を行う。
【0062】
1.3.1(1)書き込み処理
アクセス装置2が不揮発性記憶装置1に書き込みコマンドを発行し、書き込みデータを転送することにより、不揮発性記憶装置1では書き込み処理が行われる。図10は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の書き込み処理の手順を示すフローチャートである。
【0063】
まず、ステップS101における処理を説明する。不揮発性記憶装置1において、コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2から書き込みコマンドを受信すると、書き込みコマンドに付随する書き込みアドレス、サイズなどの条件を取得する。コマンド管理部111は、この条件から、書き込みを行うパリティグループの論理アドレスを特定し、これらの情報をアドレス管理部112に通知する。
【0064】
アドレス管理部112は、コマンド処理部111から取得した情報、論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルの情報、フリーブロックのアドレス情報、及び、ブロックへの書き込み状態(即ち、どのブロックに、何ページ目まで、どんな論理アドレスのデータを書き込んだか、に関する状態)を管理するテーブルの情報を参照し、不揮発性メモリ12における物理的な書き込み先を決定する。
【0065】
次に、ステップS102における処理を説明する。ステップS101の処理において、アドレス管理部112が決定した書き込み先が、パリティグループの境界ではない場合、即ち、パリティグループの途中である場合には、ステップS103の処理に進む。パリティグループの境界である場合、即ち、パリティグループ先頭である場合には、ステップS104の処理に進む。
【0066】
次に、ステップS103における処理を説明する。コマンド処理部111は、符号処理部113に書き込みのための準備を指示する。符号処理部113はバッファ105上に第2の誤り訂正符号の演算のための領域を確保する。そして、不揮発性メモリ制御部114により、不揮発性メモリ12のパリティテーブル領域126からパリティテーブルを読み出し、読み出したパリティテーブルに含まれる暫定パリティ値を、バッファ105上に確保した、前述の第2の誤り訂正符号の演算のための領域に記憶させる。
【0067】
次に、ステップS104における処理を説明する。コマンド処理部111は、符号処理部113に書き込みのための準備を指示する。符号処理部113はバッファ105上に第2の誤り訂正符号の演算のための領域を確保し、該領域の値を初期値に設定する。
【0068】
次に、ステップS105における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置2からの書き込みデータを、アクセス装置IF部104を介してバッファ105に格納する。符号処理部113は、該書き込みデータに対する第1の誤り訂正符号を生成する。そして、バッファ105上に該書き込みデータ及びその第1の誤り訂正符号からなるデータページの情報を生成する。データページの情報の生成にあたり、アクセス装置2から受信した書き込みデータでは不足する場合(例えば、アクセス装置2がパリティグループやデータページの途中のアドレスから書き込みを指示した場合)には、アドレス管理部112を参照して、不揮発性記憶装置1の既存のデータを読み出し、これに対する第1の誤り訂正符号を生成する。そして、既存のデータとこれに対する第1の誤り訂正符号によって、データページの情報の不足分を補う。
【0069】
次に、ステップS106における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS103又はステップS104で確保した、第2の誤り訂正符号の演算のための領域に設定された値と、ステップS105で生成したデータページの情報を参照して、第2の誤り訂正符号の演算(例えば、XOR(排他的論理和)演算)を行い、その結果を、ステップS103又はステップS104で確保した第2の誤り訂正符号の演算のための領域に書き戻す。
【0070】
次に、ステップS107における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、ステップS105で生成したデータページの情報を、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS101で決定した物理的な書き込み先に書き込む。
【0071】
次に、ステップS108における処理を説明する。直前のステップS107で書き込んだデータページがパリティグループの終端であった場合には、ステップS109の処理に進む。そうでない場合はステップS113の処理に進む。
【0072】
次に、ステップS109における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS106で生成した第2の誤り訂正符号の演算結果をパリティとし、該パリティに対する第1の誤り訂正符号を生成する。不揮発性メモリ制御部114は、前記パリティ及びその第1の誤り訂正符号をパリティページとして、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS101で決定した物理的な書き込み先に書き込む。
【0073】
次に、ステップS110における処理を説明する。符号処理部113は、パリティテーブルの無効化が必要か否かを判定する。ステップS103経由で書き込み処理を行ってきた場合には、パリティテーブルの無効化が必要と判断し、ステップS111の処理に進む。ステップS104経由で書き込み処理を行ってきた場合には、パリティテーブルの無効化は不要と判断し、ステップS112の処理に進む。
【0074】
次に、ステップS111における処理を説明する。符号処理部113は、有効フラグを「無効」に設定したパリティテーブルの情報を生成する。暫定パリティ値、及び、識別情報にはダミーの値を設定する。そして、不揮発性メモリ制御部114は、生成した前記パリティテーブルの値(レコード)をパリティテーブル領域126に書き込む。
【0075】
次に、ステップS112における処理を説明する。アクセス装置2からの書き込みデータを全て書き込んだ場合には、書き込み処理を終了する。そうでない場合は、ステップS101の処理に戻り、アクセス装置2からの書き込みデータのうち、書き込みが済んでいないものの書き込みを継続する。
【0076】
次に、ステップS113における処理を説明する。アクセス装置2からの書き込みデータを全て書き込んだ場合には、ステップS114の処理に進む。そうでない場合は、ステップS105の処理に戻り、パリティグループ内の次のデータページの書き込みを継続する。
【0077】
次に、ステップS114における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS106で生成した第2の誤り訂正符号の演算結果を暫定パリティ値としたパリティテーブルの情報を生成する。符号処理部113は、有効フラグを「有効」に設定し、識別情報には直前のステップS107の処理で書き込んだデータページに関するアドレス情報などを設定する。そして、不揮発性メモリ制御部114は、生成したパリティテーブルの値をパリティテーブル領域126に書き込み、コマンド処理部111は書き込み処理を終了する。
【0078】
なお、ステップS107、ステップS109、ステップS111、ステップS114における不揮発性メモリ12への書き込みは、複数ブロックの並列処理により高速に行うことが望ましい。この場合は、データページやパリティページの書き込みを開始した直後に、次のステップの処理に進むことができる。
【0079】
1.3.1(2)書き込み処理時の不揮発性記憶装置の状態
図11は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の書き込み処理時の状態の例を示す図である。
【0080】
図11を用いて、アクセス装置2が、パリティグループを構成する4ページ分のデータ(D0、D1、D2、D3)の書き込みを、1ページ単位で4回に分けて順に行う場合における不揮発性記憶装置1の状態を説明する。
【0081】
図11のT0は、アクセス装置2による書き込みを開始する前の状態を表している。データ記録領域125におけるデータページ(D0、D1、D2、D3)を含むパリティグループは、いずれも未書き込み(消去済み)の状態であり、パリティテーブル領域126における最後に書き込んだパリティテーブルのレコードにおける有効フラグは「無効」となっている。
【0082】
この状態で、アクセス装置2がデータページD0の書き込みを行うと、不揮発性記憶装置1では、図10に示すフローチャートにおける、ステップS101、S102、S104、S105、S106、S107、S108、S113、S114の処理が順に行われ、書き込み処理が終了する。この時点で、図11のT1に示す状態となる。即ち、データ記録領域125においてパリティグループのデータページD0には、アクセス装置2が書き込んだデータが格納され、データページD0に対する暫定的なパリティの値がパリティテーブル領域126のパリティテーブルの新たなレコードに格納される。パリティテーブルのそのレコードにおける有効フラグは「有効」となっている。
【0083】
続けて、アクセス装置2がデータページD1の書き込みを行うと、不揮発性記憶装置1では、図10に示すフローチャートにおける、ステップS101、S102、S103、S105、S106、S107、S108、S113、S114の処理が順に行われ、書き込み処理が終了する。この時点で、図11のT2に示す状態となる。即ち、データ記録領域125においてパリティグループのデータページD1には、アクセス装置2が書き込んだデータが格納され、データページD0及びD1に対する暫定的なパリティの値がパリティテーブル領域126のパリティテーブルの新たなレコードに格納される。パリティテーブルのそのレコードにおける有効フラグは「有効」となっている。
【0084】
続けて、アクセス装置2がデータページD2の書き込みを行うと、不揮発性記憶装置1では、図10に示すフローチャートにおける、ステップS101、S102、S103、S105、S106、S107、S108、S113、S114の処理が順に行われ、書き込み処理が終了する。この時点で、図11のT3に示す状態となる。即ち、データ記録領域125においてパリティグループのデータページD2にはアクセス装置2が書き込んだデータが格納され、データページD0、D1及びD2に対する暫定的なパリティの値がパリティテーブル領域126のパリティテーブルの新たなレコードに格納される。パリティテーブルのそのレコードにおける有効フラグは「有効」となっている。
【0085】
続けて、アクセス装置2がデータページD3の書き込みを行うと、不揮発性記憶装置1では、図10に示すフローチャートにおける、ステップS101、S102、S103、S105、S106、S107、S108、S109、S110、S111、S112の処理が順に行われ、書き込み処理が終了する。この時点で、図11のT4に示す状態となる。即ち、データ記録領域125においてパリティグループのデータページD3にはアクセス装置2が書き込んだデータが格納され、パリティページP0−3にはデータページD0、D1、D2及びD3に対する最終的なパリティが格納される。ここで、パリティテーブル領域126における最後に書き込んだパリティテーブルのレコードの有効フラグは、「無効」となっている。データページD0、D1、D2、D3のパリティ値がパリティページP0−3に格納されているからである。
【0086】
以上のように、アクセス装置2における、1ページの書き込み処理において、本実施の形態における不揮発性記憶装置1では、1ページ分のデータページと2ページ分のパリティテーブルの計3ページの書き込みを行っている。これは、パリティグループ全体を更新するために必要な書き込みページ数(5ページ)よりも少ないため、効率的な書き込みとなる。
【0087】
特に、図11を用いて説明した、ページ単位で連続的に書き込みが行われるような場合、効率性の差は歴然となる。というのは、データページ毎にパリティグループ全体が更新されるのであれば、最初のデータページ(D0)を受信した時点でパリティグループ全体(D0、D1、D2、D3、P0−3)の書き込みが行われるため、次のデータページ(D1)を受信した時には、D1に相当するページは書き込み済となっており、フラッシュメモリの特性上ここに上書きすることはできない。そのため、新たにフリーブロックを確保し、物理消去を行った後、既存のデータをブロック単位で移動させる処理が必要となるためである。
【0088】
1.3.2.読み出し処理
アクセス装置2が不揮発性記憶装置1に読み出しコマンドを発行することにより、不揮発性記憶装置1では読み出し処理が行われる。読み出しデータは、順次、不揮発性記憶装置1からアクセス装置2に転送される。図12は、本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置1の読み出し処理の手順を示すフローチャートである。
【0089】
まず、ステップS201における処理を説明する。不揮発性記憶装置1において、コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2から読み出しコマンドを受信すると、読み出しコマンドに付随する読み出しアドレス、サイズなどの条件を取得する。コマンド処理部111は、この条件から、読み出しを行うパリティグループの論理アドレスを特定し、これらの情報をアドレス管理部112に通知する。アドレス管理部112は、コマンド処理部111から取得した情報、論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルの情報、フリーブロックのアドレス情報、及び、ブロックへの書き込み状態(即ち、どのブロックに、何ページ目まで、どんな論理アドレスのデータを書き込んだか、に関する状態)を管理するテーブルの情報を参照し、不揮発性メモリ12における物理的な読み出し先を決定する。
【0090】
次に、ステップS202における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS201で決定した物理的な読み出し先からデータページの情報の読み出しを行う。読み出したデータページの情報(即ち、データ及び該データに対する第1の誤り訂正符号)はバッファ105に格納する。
【0091】
次に、ステップS203における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS202でバッファ105上に格納した第1の誤り訂正符号を用いてデータのエラー検出及び訂正を行う。第1の誤り訂正符号に基づく訂正能力では訂正できないエラーを検出した場合には、ステップS204の処理に進む。そうでない場合は、第1の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行い、バッファ105上のデータに対してエラー訂正後の情報に上書きし、ステップS209の処理に進む。
【0092】
なお、ステップS202で読み出したデータページの情報が、アクセス装置2が指定した読み出しアドレス以外の情報も含む場合(例えば、アクセス装置2がデータページの途中のアドレスから読み出しを指示した場合)には、読み出しアドレス以外の部分に対する第1の誤り訂正符号の演算は省略してもよい。
【0093】
次に、ステップS204における処理を説明する。ステップS201の処理において、アドレス管理部112が決定した読み出し先の情報に基づき、ステップS203で読み出しエラーが発生したデータページの属するパリティグループが、パリティグループとしての書き込みを完結しているか否かを判定する。パリティグループとしての書き込みが完結していない場合(即ち、パリティテーブルに該パリティグループに関する有効な暫定パリティ値を格納している状態の場合)にはステップS205の処理に進む。パリティグループとしての書き込みが完結している場合にはステップS207の処理に進む。
【0094】
次に、ステップS205における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS201で決定した物理的な読み出し先から、ステップS202で読み出しを行ったデータページが属するパリティグループの情報のうち、書き込み済みのデータページの読み出しを行う。読み出したデータページには第1の誤り訂正符号が付与されているので、符号処理部113は、第1の誤り訂正符号を用いてデータのエラー訂正を行ったのち、データをバッファ105に格納する。さらに、不揮発性メモリ制御部114は、パリティテーブル領域126のパリティテーブルを読み出す。符号処理部113は、パリティテーブルから暫定パリティの値を取得し、暫定パリティをバッファ105に格納する。
【0095】
次に、ステップS206における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS206でバッファ上に格納したデータ及びパリティ(第2の誤り訂正符号)の情報を用いてデータのエラー検出及び訂正を行う。第2の誤り訂正符号に基づく訂正能力では訂正できないエラーを検出した場合には、(図示しない)エラー処理を行い、読み出し処理を終了する。そうでない場合は、第2の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行い、バッファ105上のデータに対してエラー訂正後の情報に上書きし、ステップS209の処理に進む。
【0096】
例えば、第2の誤り訂正符号の演算としてXOR(排他的論理和)演算を適用していた場合には、ステップS205で読み出しを行ったデータ、及び、パリティのXOR演算を行う。これにより、ステップS202で読み出しを行ったデータページのデータを復元できる。
【0097】
次に、ステップS207における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS201で決定した物理的な読み出し先から、ステップS202で読み出しを行ったデータページが属するパリティグループの情報の読み出しを行う。読み出したパリティグループの情報(即ち、ステップS202で読み出しを行ったデータページ以外のデータページ、及び、パリティページ)には第1の誤り訂正符号が付与されているので、符号処理部113は、第1の誤り訂正符号を用いてデータのエラー訂正を行ったのち、データ及びパリティをバッファ105に格納する。
【0098】
次に、ステップS208における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS207でバッファ上に格納したデータページ及びパリティページ(第2の誤り訂正符号)の情報を用いてデータのエラー検出及び訂正を行う。第2の誤り訂正符号に基づく訂正能力では訂正できないエラーを検出した場合には、(図示しない)エラー処理を行い、読み出し処理を終了する。そうでない場合は、第2の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行い、バッファ105上のデータに対してエラー訂正後の情報を上書きし、ステップS209の処理に進む。
【0099】
例えば、第2の誤り訂正符号の演算としてXOR(排他的論理和)演算を適用していた場合には、ステップS202で読み出しを行ったデータページ以外のデータページのデータ、及び、パリティページのパリティのXOR演算を行う。これにより、ステップS202で読み出しを行ったデータページのデータを復元できる。
【0100】
次に、ステップS209における処理を説明する。コマンド処理部111は、バッファ105に格納された(誤り訂正処理後の)データを読み出しデータとしてアクセス装置2に送信する。
【0101】
次に、ステップS210における処理を説明する。アクセス装置2が指定した読み出しデータを全て送信した場合には、読み出し処理を終了する。そうでない場合は、ステップS201の処理に戻り、アクセス装置2への読み出しデータのうち、未送信のものの読み出しを継続する。
【0102】
なお、ステップS202、ステップS205、及びステップS207における不揮発性メモリ12からの読み出しは、複数ブロックの並列処理により高速に行うことが望ましい。この場合、データページやパリティページの読み出しを開始した直後に、次のステップの処理に進むことができる。
【0103】
1.3.3.初期化処理
アクセス装置2に不揮発性記憶装置1が装着され、アクセス装置2から不揮発性記憶装置1への電源供給が開始された後、アクセス装置2が不揮発性記憶装置1に初期化コマンドを発行することにより、アクセス装置2から不揮発性記憶装置1へのデータの読み書きが可能となる。図13は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の初期化処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
まず、ステップS301における処理を説明する。不揮発性記憶装置1において、コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2からの初期化コマンドを受信すると、メモリコントローラ11のハードウェアの初期設定を行う。また、不揮発性メモリIF部106に接続されている不揮発性メモリ12の接続確認などを行う。
【0105】
次に、ステップS302における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、不揮発性メモリ12の所定の読み出し先から、第1のシステム情報を読み出す。第1のシステム情報は、不揮発性記憶装置1の製造時に予め不揮発性メモリ12に書き込まれている情報であり、不揮発性記憶装置1における各種の制御情報である。第1のシステム情報として、例えば、メモリコントローラ11に接続されている不揮発性メモリ12の種類、数、パリティグループの構成情報、第1及び第2の誤り訂正符号の種類や訂正能力、(後で説明する)第2のシステム情報の物理的な格納位置に関する情報、初期の不良ブロックのアドレスに関する情報、などがある。第1のシステム情報の読み出しにおいてエラーが発生した場合には、第1及び/または第2の誤り訂正符号によるエラー訂正を行う。
【0106】
アドレス管理部112、符号処理部113、及び不揮発性メモリ制御部114は、読み出した第1のシステム情報の内容に応じて、内部的な初期化処理を行う。
【0107】
次に、ステップS303における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、(例えば、第1のシステム情報において指定されている)不揮発性メモリ12の所定の読み出し先から、第2のシステム情報を読み出す。第2のシステム情報は、不揮発性記憶装置1の製造時に予め不揮発性メモリ12に書き込まれた後、不揮発性記憶装置1が使用されることにより更新される情報であり、不揮発性記憶装置1における各種の制御情報である。第2のシステム情報として、例えば、論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルに関する情報、後発性の不良ブロックのアドレスに関する情報、ブロックの書き込み回数や消去回数に関する情報、フリーブロックのアドレスに関する情報、及び、パリティテーブルに関する情報、などがある。第2のシステム情報の読み出しにおいてエラーが発生した場合には、第1及び/または第2の誤り訂正符号によるエラー訂正を行う。
【0108】
次に、ステップS304における処理を説明する。アドレス管理部112は、読み出した第2のシステム情報の内容に応じて、アドレス管理に必要となるテーブル情報をRAM102上に生成する。
【0109】
次に、ステップS305における処理を説明する。ステップS302、及び、ステップS303において、不揮発性メモリ12からの読み出しで所定の量を超える(第1または第2の誤り訂正符号で訂正可能な)エラーが発生した場合には、ステップS306の処理に進む。そうでなければ、ステップS307の処理に進む。
【0110】
次に、ステップS306における処理を説明する。ステップS302、及び、ステップS303での不揮発性メモリ12からの読み出しで所定の量を超えるエラーが発生した箇所のデータに対して、符号処理部113は、第1及び第2の誤り訂正符号を生成する。そして、不揮発性メモリ制御部114は、データと、生成した第1及び第2の誤り訂正符号とを、新たな第1または第2のシステム情報として不揮発性メモリ12に書き戻す。
【0111】
次に、ステップS307における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介して、アクセス装置2に不揮発性記憶装置1の初期化処理が完了したことを通知して初期化処理を終了する。
【0112】
1.4.まとめ
本実施の形態に係る不揮発性記憶装置は、アクセス装置2と通信可能であり、アクセス装置2からの指示によりデータの読み出し及び/又は書き込みを行う不揮発性記憶装置1である。不揮発性記憶装置1は、データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリ12と、不揮発性メモリ12の制御を行うメモリコントローラ11とを備える。不揮発性メモリ12は、消去単位であるブロック121を複数含み、ブロック121はデータの書き込み単位であるページ122を複数含む。メモリコントローラ11は、不揮発性メモリ12の一の領域に複数のページ122から構成される誤り訂正グループを複数割り当て、誤り訂正グループには所定のサイズのデータと、所定のサイズのデータに対する誤り訂正符号とを割り当て、更に、不揮発性メモリ12の別の領域にパリティテーブルを割り当て、データを書き込むときに、データサイズが所定のサイズ未満である場合は、データを誤り訂正グループに書き込み、該データに対する暫定的な誤り訂正符号を前記パリティテーブルに書き込む。
【0113】
以上のように、不揮発性記憶装置1では、データと同一ページに格納する第1の誤り訂正符号とは別に、第2の誤り訂正符号をも格納する。データの書き込み時にはデータに第1及び第2の誤り訂正符号を付与して書き込む。データの読み出し時にはデータに付与された第1及び/または第2の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行う。
【0114】
この結果、本実施の形態では、データページの読み出しにおいて、該データページに付与した第1の誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生した場合であっても、パリティグループを構成する他のデータページ及びパリティページを読み出し、パリティページ(第2の誤り訂正符号)を用いてデータを復元することが可能となる。
【0115】
さらに、アクセス装置2がパリティグループよりも小さいサイズで不揮発性記憶装置1に書き込みを行う場合には、パリティグループを構成する一部のデータページのみを更新し、パリティグループのパリティページとは別の領域であるパリティテーブル領域126に、一部のデータページのデータに対する暫定パリティ値をパリティページとして書き込む。この結果、パリティグループよりも小さいサイズの書き込み時における、不揮発性メモリ12への書き込みページ数を減らすことができ、効率的に書き込みを実現できる。
【0116】
上述の実施の形態で記載されている値は一例に過ぎず、他の値が用いられてもよい。例えば、パリティグループを構成するデータページ及びパリティページにおける、夫々のページ数の値は全て一例に過ぎず、上述の実施の形態で記載されている値に限定されるものではない。
【0117】
[他の実施の形態]
なお、本発明について、上述の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、勿論、上述の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で実施の形態を変更することができる。また、以下のように変更することも可能である。
【0118】
[1] 図11に示す、データ記憶領域125への、及び、パリティテーブル領域126におけるパリティテーブルへの、書き込み処理時の状態の例を示す図では、論理ブロックが一つであることを前提としている。本発明の技術的思想は、もちろん、論理ブロックが複数設定されている場合にも適用され得る。
【0119】
図14は、論理ブロックが複数設定されている場合の、本発明の実施形態に係る、パリティテーブルの例を示す図である。パリティテーブルの1レコードは、夫々、パリティグループを構成する一部のデータページのデータに対するパリティ値(暫定パリティ値)、この暫定パリティ値の有効・無効を判断する有効フラグ、この暫定パリティ値の識別情報、及び、論理ブロック識別情報を含んでいる。
【0120】
図14に示す例では、「A」、「B」、「C」、「D」を識別情報とする4つの論理ブロックが設定されている。夫々の論理ブロックにおいて、図11に示すT1、T2、T3、T4の状態のようなデータページの書き込みが生じると、図14に示すパリティテーブルに新たなレコードが格納されることになる。
【0121】
[2] 上述の実施の形態における、アクセス装置2、不揮発性記憶装置1、メモリコントローラ11、及び不揮発性記憶システム1000において、各機能ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。
【0122】
なお、上記では、LSIを例として取り上げたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどの半導体装置によりチップ化されてもよい。
【0123】
また、集積回路化の手法は、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで集積回路が実現されてもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0124】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0125】
[3] 上述の実施の形態における各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェア及びハードウェアの混在処理により実現してもよい。なお、上述の実施の形態に係るアクセス装置2、不揮発性記憶装置1、及び不揮発性記憶システム1000をハードウェアにより実現する場合、各処理を行うためのタイミング調整を行う必要があるのは言うまでもない。上述の実施の形態においては、説明の便宜上、実際のハードウェア設計で生じる各種信号のタイミング調整の詳細については省略している。
【0126】
また、上述の実施の形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上述の実施の形態の記載内容に制限されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0127】
[4] 上述の実施の形態における不揮発性記憶装置1は、半導体メモリカードのような着脱可能な記憶装置として説明したが、アクセス装置2の基板に組み込みできる形式の情報記憶モジュールとして実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明に係る不揮発性記憶装置、及びメモリコントローラは、第1及び第2の誤り訂正を付与することで格納データの信頼性を向上させつつ、小さいサイズのデータ書き込みを効率的に行うことができる。これは、半導体メモリカードはいうまでもなく、不揮発性メモリを内蔵する情報処理端末である、ムービー、デジタルスチルカメラ、携帯電話端末等に有用であり、半導体メモリ関連分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1000 不揮発性記憶システム
1 不揮発性記憶装置
2 アクセス装置
11 メモリコントローラ
12 不揮発性メモリ
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 アクセス装置IF部
105 バッファ
106 不揮発性メモリIF部
111 コマンド処理部
112 アドレス管理部
113 符号処理部
114 不揮発性メモリ制御部
121 ブロック
122 ページ
125 データ記録領域
126 パリティテーブル領域
127 アドレス管理テーブル領域
128 ワーク領域
129 システム情報領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス装置と通信可能であり、前記アクセス装置からの指示によりデータの読み出し及び/又は書き込みを行う不揮発性記憶装置であって、
データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラとを備え、
前記不揮発性メモリは、
消去単位であるブロックを複数含み、
前記ブロックはデータの書き込み単位であるページを複数含み、
前記メモリコントローラは、
前記不揮発性メモリの一の記録領域に複数の前記ページから構成される誤り訂正グループを複数割り当て、前記誤り訂正グループには第1のサイズのデータと、前記第1のサイズのデータに対する誤り訂正符号とを割り当て、
更に、前記不揮発性メモリの別の記録領域にパリティテーブルを割り当て、
データを書き込むときに、データサイズが前記第1のサイズ未満である場合は、データを前記誤り訂正グループに書き込み、該データに対する暫定的な誤り訂正符号を前記パリティテーブルに書き込むこと
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
前記メモリコントローラは、
前記パリティテーブルに格納した暫定的な誤り訂正符号を、前記誤り訂正グループにデータを追記するタイミングで更新又は削除すること
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項3】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
前記メモリコントローラは、
複数の前記パリティテーブルが格納された場合に、最後に格納されたパリティテーブル以外のパリティテーブルを無効として扱うこと
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項4】
データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラであって、
前記不揮発性メモリは、
消去単位であるブロックを複数含み、
前記ブロックはデータの書き込み単位であるページを複数含み、
前記メモリコントローラは、
前記不揮発性メモリの一の記録領域に複数の前記ページから構成される誤り訂正グループを複数割り当て、前記誤り訂正グループには第1のサイズのデータと、前記第1のサイズのデータに対する誤り訂正符号とを割り当て、
更に、前記不揮発性メモリの別の記録領域にパリティテーブルを割り当て、
データを書き込むときに、データサイズが前記第1のサイズ未満である場合は、データを前記誤り訂正グループに書き込み、該データに対する暫定的な誤り訂正符号を前記パリティテーブルに書き込むこと
を特徴とするメモリコントローラ。
【請求項5】
請求項4に記載のメモリコントローラであって、
前記パリティテーブルに格納した暫定的な誤り訂正符号を、前記誤り訂正グループにデータを追記するタイミングで更新又は削除すること
を特徴とするメモリコントローラ。
【請求項6】
請求項4に記載のメモリコントローラであって、
複数の前記パリティテーブルが格納された場合に、最後に格納されたパリティテーブル以外のパリティテーブルを無効として扱うこと
を特徴とするメモリコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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