説明

メモリコントローラ及び不揮発性記憶装置

【課題】不揮発性メモリにてワード線不良によるバースト誤りが発生した場合も、格納したデータを正しく読み出せる不揮発性記憶装置、及びメモリコントローラを提供する。
【解決手段】不揮発性記憶装置は、データを記憶する不揮発性メモリと、不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラとを備え、不揮発性メモリは、ブロックを複数含み、ブロックは、ページを複数含み、ブロック内には、一つのワード線を共有する2以上のページからなるページの組が少なくとも一つ存在し、メモリコントローラは、データを格納するページであるデータページと、データページの誤り訂正演算のための符号を格納する誤り訂正符号ページとを、夫々一つ以上含む、誤り訂正グループを複数構成し、同一の誤り訂正グループにおける、データページと誤り訂正ページの夫々に対してワード線の異なるページを割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリを制御するメモリコントローラ、及び、不揮発性メモリとメモリコントローラを備える半導体メモリカード等の不揮発性記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体メモリカードを中心に、書き換え可能な不揮発性メモリを備える不揮発性記憶装置の需要が広まっている。
【0003】
半導体メモリカードは、小型・軽量・大容量・耐震性・取り扱いの簡便さ等の、種々の特長を備えており、デジタルスチルカメラや携帯電話などのポータブル機器の記録媒体として、その需要が高まっている。最近では、ポータブル機器だけではなく、デジタルテレビやDVDレコーダ等の据え置き機器にも、半導体メモリカード用のスロットが標準搭載されており、半導体メモリカードの需要はさらに高まっている。
【0004】
上述の半導体メモリカードは、不揮発性の主記憶メモリとしてフラッシュメモリ(主にNAND型のフラッシュメモリ)を備え、それを制御するメモリコントローラを有している。メモリコントローラは、デジタルスチルカメラ本体等に代表されるアクセス装置からのデータの読み書き指示に応じて、フラッシュメモリに対するデータの読み書き制御を行うものである。
【0005】
メモリコントローラからフラッシュメモリへのデータの書込みは、ページと呼ばれる単位で行われる。最近のフラッシュメモリでは4kB(キロバイト)、8kB程度のページサイズが主流である。
【0006】
フラッシュメモリは、セルという記憶素子を多数含み、各セルに電荷を蓄積・放出することで情報を記憶する。各セルへのデータの書込みはセルに接続されたワード線、及びビット線への電圧の印加によって行われる。データの書込み単位であるページは、ワード線を共有する複数のセルによって構成される。
【0007】
ところで、セルに記憶した情報は、セルの劣化や不良により失われる場合がある。そのため、メモリコントローラでは、アクセス装置からの書き込みデータに対する誤り訂正符号を生成し、前記書き込みデータと共にフラッシュメモリに格納するのが一般的である。これにより、データの読出し時にエラーが発生しても、そのエラービット数が、適用される誤り訂正符号の訂正能力内であれば訂正が行われ、よって正しいデータを読み出すことが可能となる。例えば、下記の特許文献1では、フラッシュメモリのページ内に書き込みデータ(ユーザデータ)と誤り訂正符号(付加データ)とを交互に格納する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−292925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の方法では、データ読出し時に誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生すると、正しいデータを読むことができない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、データ読出しの際に誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生する場合であっても正しくデータを読み出すことができる不揮発性記憶装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上述の課題を解決するため、誤り訂正符号(以下、第1の誤り訂正符号と称する。)を付与したデータの集合に対して、さらに第2の誤り訂正符号を付与するという方法を考案した。例えば、第2の誤り訂正符号として、4ページ分のデータに対して1ページのパリティを付与するという方法を考案した。このようにすることにより、第1の誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生した場合であっても、第2の誤り訂正符号(パリティ)を用いることで正しいデータを読み出すことが可能となる。
【0012】
しかしながら、上述の方法において、データを格納したページに対応するワード線に不良が発生した場合、該ページを構成する全てのセルがそのワード線不良の影響を受け、該ページの読出しにおいてバースト誤りが発生する。その結果、エラービット数が、適用する誤り訂正符号の訂正能力を超過する場合には、正しいデータを読み出すことができなくなる、という問題が生じる。特に、近年増加しているマルチレベルセル(MLC)のフラッシュメモリでは、複数のページで一つのワード線を共有する。このため、一つのワード線の不良によるデータ消失の範囲は増大しており、その影響も大きくなっている。
【0013】
一般的に、ワード線不良によるバースト誤りは、セルの不良などによるランダムな誤りよりも発生確率は低いと考えられる。しかし、格納データの高信頼性を確保すべきシステムでは、バースト誤りの発生によりデータ読み取りが不能となることを極力回避することが要請される。
【0014】
本発明は、更に、上述の課題に鑑みてなされたものであり、不揮発性メモリにおいてワード線不良によるバースト誤りが発生した場合でも、格納したデータを正しく読み出すことが可能である不揮発性記憶装置、及びメモリコントローラを提供することを目的とするものである。
【0015】
本発明に係る不揮発性記憶装置は、アクセス装置と通信可能であり、前記アクセス装置からの指示によりデータの読み出し及び/又は書き込みを行う不揮発性記憶装置であって、データを記憶する一つ又は複数の不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラとを備え、前記不揮発性メモリは、消去単位であるブロックを複数含み、前記ブロックは、データの書き込み単位であるページを複数含み、前記ブロック内には、一つのワード線を共有する2以上のページからなるページの組が少なくとも一つ存在し、前記メモリコントローラは、データを格納するページであるデータページと、前記データページの誤り訂正演算のための符号を格納する誤り訂正符号ページとを、それぞれ一つ以上含む、誤り訂正グループを複数構成し、同一の前記誤り訂正グループにおける、前記データページと前記誤り訂正ページのそれぞれに対して、ワード線の異なるページを割り当てる。
【0016】
本発明に係るメモリコントローラは、データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラであって、前記不揮発性メモリは、消去単位であるブロックを複数含み、前記ブロックは、データの書き込み単位であるページを複数含み、前記ブロック内には、一つのワード線を共有する2以上のページからなるページの組が少なくとも一つ存在し、前記メモリコントローラは、データを格納するページであるデータページと、前記データページの誤り訂正演算のための符号を格納する誤り訂正符号ページとを、それぞれ一つ以上含む、誤り訂正グループを複数構成し、同一の前記誤り訂正グループにおける、前記データページと前記誤り訂正ページのそれぞれに対して、ワード線の異なるページを割り当てる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1の誤り訂正符号を付与したデータの集合に対して第2の誤り訂正符号を付与した上で不揮発性メモリに格納する。これにより、データ読出しの際に第1の誤り訂正符号の訂正能力を超えるエラーが発生する場合であっても正しくデータを読み出すことができる。更に、本発明によれば、不揮発性メモリにおいて一つのワード線不良によるバースト誤りが発生した場合でも、他のワード線により、パリティグループを構成する他のデータページやパリティページを読み出すことができる。これによりバースト誤りが発生したデータページを復元でき、結果として、格納したデータを正しく読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリの構成の一例を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1に係るブロックの構成の一例を示す図。
【図4】ワード線、ビット線、ページ、及び、ブロックの構成を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリにおける、ワード線を共有するページの組合せの一例を示した説明図。
【図6】本発明の実施の形態1に係るデータページの構成の一例を示す図。
【図7】(a)本発明の実施の形態1に係るパリティグループの一例を示す図、(b)本発明の実施の形態1に係るパリティグループの別の一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1におけるパリティグループの構成の一例を示す図。
【図9】本発明の実施の形態で除外されるパリティグループの構成の一例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置の書き込み処理の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置の読み出し処理の手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置の初期化処理の手順を示すフローチャート。
【図13】本発明の実施の形態2に係るパリティグループの構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
[実施の形態1]
1.1.不揮発性記憶システムの構成
本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶システム1000の構成について、図1から図5を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶システム1000の概略構成図である。図1に示すように、不揮発性記憶システム1000は、不揮発性記憶装置1と、不揮発性記憶装置1が装着されるアクセス装置2とを含んで構成される。不揮発性記憶装置1と、アクセス装置2とは、バスB1により接続されて、双方向に通信を行うことができる。不揮発性記憶装置1は、アクセス装置2からの指示に応じてデータの読み出し及び/又は書き込みを行う。ここで、不揮発性記憶装置1は、例えば、半導体メモリカードである。また、アクセス装置2は、例えば、半導体メモリカードに静止画コンテンツを記録するデジタルスチルカメラである。
【0022】
図1に示すように、不揮発性記憶装置1は、メモリコントローラ11と、データを記憶する一つ又は複数の不揮発性メモリ12とを含む。メモリコントローラ11と、不揮発性メモリ12とは、バスB2により接続されている。メモリコントローラ11は、不揮発性メモリ12とバスB2を介して、データの送受信、すなわち、データの読み出し/書き込み、並びに、コマンドの送信及びレスポンスの受信等を行い、不揮発性メモリ12の制御を行う。なお、不揮発性メモリ12が複数存在する場合は、バスB2が複数存在していてもよい。
【0023】
メモリコントローラ11は、不揮発性記憶装置1の制御全般を行うモジュールであり、例えば、CPUなどを含むLSI(Large Scale integration;大規模集積回路)として構成される。不揮発性メモリ12は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。
【0024】
メモリコントローラ11は、図1に示すように、CPU101と、RAM102と、ROM103と、アクセス装置インタフェース(IF)部104と、バッファ105と、不揮発性メモリインタフェース(IF)部106とを含む。メモリコントローラ11の各機能部は、図1に示すように、バスBC1を介して接続されている。なお、メモリコントローラ11は、メモリコントローラ11の機能部の全部又は一部が直接接続される構成であってもよい。
【0025】
アクセス装置IF部104は、不揮発性記憶装置1とアクセス装置2との接続部である。アクセス装置2と不揮発性記憶装置1との制御信号及びデータの送受信は、アクセス装置IF部104を介して行われる。
【0026】
不揮発性メモリIF部106は、メモリコントローラ11と不揮発性メモリ12との接続部である。メモリコントローラ11と不揮発性メモリ12との制御信号及びデータの送受信は、不揮発性メモリIF部106を介して行われる。
【0027】
バッファ105は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2から受信したデータ、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2に送信(出力)するデータ、不揮発性メモリIF部106を介して不揮発性メモリ12から読み出したデータ、及び、不揮発性メモリIF部106を介して不揮発性メモリ12に書き込むデータなどを、一時的に格納するためのメモリである。
【0028】
ROM103には、不揮発性記憶装置1を制御するプログラムが格納されている。このプログラムは、RAM102にロードされ、CPU101により実行される。
【0029】
具体的には、ROM103は、図1に示すように、コマンド処理部111と、アドレス管理部112と、符号処理部113と、不揮発性メモリ制御部114とを含む。なお、本実施の形態では、コマンド処理部111、アドレス管理部112、符号処理部113及び、不揮発性メモリ制御部114は、ROM103上において、ソフトウェアにより実現されるものを想定しているが、これに限定されることはなく、例えば、コマンド処理部111、アドレス管理部112、符号処理部113及び、不揮発性メモリ制御部114の全部又は一部は、ハードウェアで実現されるものであってもよい。
【0030】
コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介して、アクセス装置2から受信したコマンド及びコマンドに関するパラメータを解釈し、コマンドの処理を実行する機能部である。
【0031】
アドレス管理部112は、不揮発性メモリ12のアドレス管理全般を行う。アドレス管理部112は特に論理アドレス物理アドレス対応管理部115を含む。該論理アドレス物理アドレス対応管理部115は、アクセス装置2からアクセス可能なアドレス空間として不揮発性記憶装置1が提供する論理アドレス空間における論理アドレスと、不揮発性メモリ12の物理アドレスとを対応付ける変換テーブルが格納された、不揮発メモリ12におけるブロックの物理アドレスを管理する。
【0032】
なお、アドレス管理部112には、有効なデータが格納されていない。アドレス管理部112は、上述の論理アドレスと物理アドレスとの変換テーブルが格納されたブロックの物理アドレスの他に、データ書き込みに再利用可能なブロックであるフリーブロックの物理アドレスや、データ書き込みに利用不可能な不良ブロックの物理アドレスなどを管理する。
【0033】
符号処理部113は、不揮発性メモリ12において読み書きするデータに対する、第1及び第2の誤り訂正符号の処理を行う。ここで誤り訂正符号とは、例えば、リード・ソロモン符号やパリティである。
【0034】
符号処理部113は、不揮発性メモリ12へのデータ書き込み時に、データに対する第1の誤り訂正符号を生成する。さらに、データと該データの第1の誤り訂正符号に対する第2の誤り訂正符号を生成する。そしてデータ、第1の誤り訂正符号、及び、第2の誤り訂正符号を不揮発性メモリ12に書き込む。
【0035】
更に、符号処理部113は、不揮発性メモリ12からのデータ読み出し時に、データとともに第1の誤り訂正符号を読み出し、読み出したデータのエラーの検出及び訂正を行う。第1の誤り訂正符号による訂正が不可能であるエラーが検出された場合には、さらに、不揮発性メモリ12から第2の誤り訂正符号を読み出し、エラーの検出及び訂正を行う。
【0036】
不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して送受信される制御信号を処理するデバイスドライバである。
【0037】
図2は、本実施の形態に係る不揮発性メモリ12の構成例を示す図である。不揮発性メモリ12はデータの消去単位であるブロック121を複数個含む。それぞれのブロック121のサイズは、例えば、1MB(メガバイト)程度である。
【0038】
図3は、図2に示すブロック121の構成例を示す図である。ブロック121は、データの書き込み単位であるページ122を複数個含む。それぞれのページ122のサイズは、例えば、8kB程度である。ブロック121あたりのページ数は、例えば、128ページである。
【0039】
データの書き込み単位であるページ122は、セルという記憶素子を多数含み、各セルに電荷を蓄積・放出することで情報を記憶する。各セルへのデータの書込みはセルに接続されたワード線、及びビット線への電圧の印加によって行われる。ページ122は、ワード線を共有する複数のセルによって構成される。
【0040】
図4は、不揮発性メモリ12のワード線、ビット線、ページ及びブロックの関係を説明するための図である。ワード線WL0、WL1・・・とビット線BL0、BL1・・・の交差位置において、セル124が接続される。即ち、一つのワード線WL0、WL1・・・に複数のセル124が接続される。本実施の形態の不揮発性メモリ12はマルチレベルセル(MLC)のフラッシュメモリであり、一つのワード線WL0、WL1・・・に、二つのページ(第1のページと第2のページ)が割り当てられる。即ち、一つのワード線WL0、WL1・・・は、複数のページ(第1のページと第2のページ)によって共有される。
【0041】
以下の説明では、mページ目のページを「ページ(m)」と表記するものとする。例えば、図4においては、ワード線WL0をページ(0)とページ(2)が共有することを示している。
【0042】
図5は、本実施の形態に係る不揮発性メモリ12における、ワード線を共有するページの組合せ例を示す図である。この不揮発性メモリ12においては、ブロック121には128個のページ122が存在し、同一のブロック121における2ページからなるページの組が、一つのワード線、及びその一つのワード線に複数設けられたマルチレベルセルを共有している。なお、図5では、2ページからなるページの組は「第1のページ」と「第2のページ」からなるものとしている。図5に示す組合せ例においては、ページ(0)とページ(2)、ページ(1)とページ(4)、・・・、ページ(123)とページ(126)、ページ(125)とページ(127)の各々の組が、一つのワード線、及びそのワード線に複数設けられたマルチレベルセルを共有している。より正確には、最初と最後の組合せを除くと、nを62以下の自然数として、ページ(2n−1)とページ(2n+2のページの組が、一つのワード線、及びそのワード線に複数設けられたマルチレベルセルを共有している。なお、ブロック121が異なるページ122同士は、ワード線(及びそのワード線に複数設けられたマルチレベルセル)を共有しない。
【0043】
図4及び図5に示す例における不揮発性メモリ12を構成するマルチレベルセル124は、4レベル(4値)を備えるものである。本実施の形態のマルチレベルセル124は、更に多くのレベル(値)を備えるものであってもよく、また、そのような場合、2ページよりも多いページからなるページの組によって、一つのワード線、及びその一つのワード線に複数設けられるマルチレベルセル124が共有される、という構成であってもよい。
【0044】
1.2.誤り訂正符号の配置
次に、メモリコントローラ11が不揮発性メモリ12にデータを格納する際の、第1及び第2の誤り訂正符号の配置について図6から図9を用いて説明する。
【0045】
図6は、本実施の形態に係る、データを格納したページ(以下、データページと称する。)の構成の一例を示す図である。データページには、ページ内にデータと該データに対する第1の誤り訂正符号を配置する。なお図6では、第1の誤り訂正符号を「ECC」と記載している。
【0046】
図6に示すように、ページ内に格納するデータに対して、分割して第1の誤り訂正符号を付与する場合には、分割されたデータと該データに対する第1の誤り訂正符号とを組として、データ及び第1の誤り訂正符号を交互に配置する。
【0047】
不揮発性メモリ12からのデータの読み出し時には、常にデータと共に該データに対する第1の誤り訂正符号を読み出すので、同一ページに連続的に配置されることによって、読み出し時の制御信号(例えば、アドレス指定等)のオーバーヘッドを少なくできる。
【0048】
図7(a)及び図7(b)は、本実施の形態に係る、一つ以上のデータページに第2の誤り訂正符号を付与したもの(以下、パリティグループと称する。)の例を示す図である。本実施の形態では、第2の誤り訂正符号としてパリティを用いるものとし、第2の誤り訂正符号を格納したページをパリティページと称するものとする。
【0049】
なお、第2の誤り訂正符号としてパリティ以外(例えば、リード・ソロモン符号)の誤り訂正符号を用いてもよい。この場合、パリティグループをより一般的に誤り訂正グループと称してもよい。
【0050】
図7(a)では、4つのデータページに対して、1つのパリティページが付与されて1つのパリティグループを構成している。パリティページには、例えば、各データページに格納されているデータのXOR(排他的論理和)の値を格納する。さらに、このXORの値に対する第1の誤り訂正符号を格納する。
【0051】
図7(b)では、4つの2ページ分のデータページに対して、1つの2ページ分のパリティページが付与されて、1つのパリティグループを構成している。
【0052】
なお、図7(a)及び図7(b)では、データページとパリティページの比率が4対1とされているが、その他任意の比率が適用されてもよい。データページの比率が多い程、不揮発性メモリ12に格納できるデータの容量は増加する。パリティページの比率が多い程、データページに対する誤り訂正能力は増大する。
【0053】
図8は、実施の形態1に係る、パリティグループの構成の一例を示す図である。図8において、D0、D1、・・・、D15はデータページを表しており、P0−3はD0からD3に対するパリティページ、P4−7はD4からD7に対するパリティページ、P8−11はD8からD11に対するパリティページ、P12−15はD12からD15に対するパリティページを表している。
【0054】
特に、本実施の形態では、各パリティグループを構成するデータページ及びパリティページの夫々が、「ワード線を共有しない」ように配置されている。例えば、データページD0、D1、D2、D3と、パリティページP0−3で構成されるパリティグループにおいて、データページD0とパリティページP0−3は同一ブロック121pの異なるページ(ページ(0)、ページ(1))に配置されているが、これらのページはワード線を共有していない(図4、図5参照)。更に、データページD1、D2、D3の夫々と、パリティページP0−3とは、異なるブロックに配置されているので、データページD1、D2、D3の夫々とパリティページP0−3とはワード線を共有しない。
【0055】
同様に、データページD4、D5、D6、D7と、パリティページP4−7で構成されるパリティグループにおいて、データページD4とパリティページP4−7は同じブロック121qの異なるページ(ページ(1)、ページ(2))に配置されているが、これらのページはワード線を共有していない。更に、データページD5、D6、D7の夫々と、パリティページP4−7とは、異なるブロックに配置されているので、データページD5、D6、D7の夫々とパリティページP4−7とはワード線を共有しない。
【0056】
従って、データページの読み出しにおいて、該データページを構成するワード線に不良が発生し、バースト誤りが発生した場合であっても、パリティグループを構成する他のデータページ及びパリティページは、ワード線が異なることから、正常に読み出しが行える確率が高い。従って、このとき、パリティページ(第2の誤り訂正符号)を用いてバースト誤りが発生したデータページの情報を復元することが可能となる。
【0057】
また、各パリティグループは2つの不揮発性メモリ12a、12bの、4つのブロック121p、121q、121r、121sに跨って配置されている。そのため、各パリティグループの書き込みにおいては、異なる不揮発性メモリに対する並列書き込み(以下、インタリーブ書き込みと称する。)や、同一不揮発性メモリにおける異なるブロックへの並列書き込み(以下、マルチページプログラムと称する。)により、高速に行うことが可能である。さらに、連続するパリティグループの書き込みもインタリーブ書き込みやマルチページプログラムを利用することで、高速に行うことが可能である。
【0058】
同様に、各パリティグループの読み出しにおいては、異なる不揮発性メモリに対する並列読み出し(以下、インタリーブ読み出しと称する。)や、同一不揮発性メモリにおける異なるブロックからの並列読み出し(以下、マルチページリードと称する。)により、高速に行うことが可能である。さらに、連続するパリティグループの読み出しもインタリーブ読み出しやマルチページリードを利用することで、高速に行うことが可能である。
【0059】
さらに、図8に示すパリティグループの配置において、不揮発性メモリ12aに配置するページ数と不揮発性メモリ12bに配置するページ数との比率は、3:2である。このページ数の比率に比例して、不揮発性メモリ12a上の6個の(物理)ブロックと、不揮発性メモリ12b上の4個の(物理)ブロックとにより、10個の(物理)ブロックを論理ブロックとして管理することとする。ここで、不揮発性メモリ12aの6個の(物理)ブロックは、マルチプログラムを行う2ブロックの3組に対応し、不揮発性メモリ12bの4個の(物理)ブロックは、マルチプログラムを行う2ブロックの2組に対応する。このようにすることにより、論理ブロックを構成する(物理)ブロックに対して、パリティグループを余りなく格納できる。従って、アドレス管理部112におけるアドレス管理処理を簡素化することができる。
【0060】
本発明に係る実施の形態1の特徴をより明確にするため、実施の形態1で除外されるパリティグループについても、以下、言及する。
【0061】
図9は、本実施の形態で除外されるパリティグループの構成の例を示す図である。図9において、D0、D1、・・・、D9はデータページを表しており、P0−3はD0からD3に対するパリティページ、P4−7はD4からD7に対するパリティページを表している。各データページ及びパリティページは2ページ分を単位として構成されている。
【0062】
図9に示す構成の例では、各パリティグループを構成するデータページ、及び、パリティページが、「ワード線を共有しない」ように配置されていない。例えば、データページD0、D1、D2、D3と、パリティページP0−3で構成されるパリティグループにおいて、データページD0とパリティページP0−3は、同一ブロック121p、121qの異なるページ(即ち、ページ(0)とページ(2))に配置されているが、これらのページはワード線を共有している(図4参照)。
【0063】
従って、データページの読み出しにおいて、該データページを構成するワード線に不良が発生し、バースト誤りが発生した場合は、パリティグループを構成する他のデータページ及びパリティページにおいてもワード線が共通であるならば正常に読み出しが行えない確率が高くなる。このとき、パリティページ(第2の誤り訂正符号)を用いてバースト誤りが発生したデータページの情報を復元することが困難となる。よって、図9に示す例は、本実施の形態で除外されるパリティグループの構成である。
【0064】
1.3.不揮発性記憶システムの動作
次に、不揮発性記憶システム1000の動作について図10から図12を用いて説明する。
【0065】
不揮発性記憶装置1は、アクセス装置2に装着され、アクセス装置2が発行するコマンドに応じた処理を実施する。アクセス装置2は、静止画データや動画データなどの記録や再生を行うために、必要なコマンド(例えば、書き込みコマンドや読み出しコマンド)を不揮発性記憶装置1に発行し、データの送受信を行う。
【0066】
1.3.1.書き込み処理
アクセス装置2が不揮発性記憶装置1に書き込みコマンドを発行し、書き込みデータを転送することにより、不揮発性記憶装置1では書き込み処理が行われる。図10は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の書き込み処理の手順を示すフローチャートである。
【0067】
まず、ステップS101における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2からの書き込みコマンドを受信すると、書き込みコマンドに付随する書き込みアドレス、サイズなどの条件を取得し、この条件から書き込みを行うパリティグループの論理アドレスを特定し、これらの情報をアドレス管理部112に通知する。アドレス管理部112は、コマンド処理部111から取得された情報、論理アドレス物理アドレス対応管理部115から取得される論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルの情報、フリーブロックのアドレス情報、及び、ブロックへの書き込み状態(例えば、どのブロックに、何ページ目まで、どんな論理アドレスのデータを書き込んだか、に関する状態)を管理するテーブルの情報を参照し、不揮発性メモリ12における物理的な書き込み先を決定する。
【0068】
次に、ステップS102における処理を説明する。コマンド処理部111は、符号処理部113に書き込みのための準備を指示する。符号処理部113は、バッファ105上に第2の誤り訂正符号の演算のための領域を確保し、該領域の値を初期値に設定する。
【0069】
次に、ステップS103における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置2からの書き込みデータを、アクセス装置IF部104を介してバッファ105に格納する。符号処理部113は、該書き込みデータに対する第1の誤り訂正符号を生成する。そして、バッファ105上に該書き込みデータ及びその第1の誤り訂正符号からなるデータページの情報を生成する。データページの情報の生成にあたり、アクセス装置2から受信した書き込みデータでは不足する場合(例えば、アクセス装置2がパリティグループやデータページの途中のアドレスから書き込みを指示した場合)には、アドレス管理部112を参照して、不揮発性記憶装置1の既存のデータを読み出し、これに対する第1の誤り訂正符号を生成する。そして、既存のデータとこれに対する第1の誤り訂正符号によって、データページの情報の不足分を補う。
【0070】
次に、ステップS104における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS102で確保した第2の誤り訂正符号の演算のための領域における値と、ステップS103で生成したデータページの情報を参照して、第2の誤り訂正符号の演算(例えば、XOR(排他的論理和)演算)を行い、その結果を、ステップS102で確保した第2の誤り訂正符号の演算のための領域に書き戻す。
【0071】
次に、ステップS105における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、ステップS103で生成したデータページの情報を、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS101で決定した物理的な書き込み先に書き込む。
【0072】
次に、ステップS106における処理を説明する。直前のステップS105で書き込んだデータページがパリティグループの終端であった場合には、ステップS107の処理に進む。そうでない場合はステップS103の処理に戻り、パリティグループ内の次のデータページの書き込みを継続する。このとき、直前のステップS105における書き込み処理で用いられたワード線とは異なるワード線を介して、書き込みが行われる。
【0073】
次に、ステップS107における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS104で生成した第2の誤り訂正符号の演算結果をパリティとし、該パリティに対する第1の誤り訂正符号を生成する。不揮発性メモリ制御部114は、前記パリティ及びその第1の誤り訂正符号をパリティページとして、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS101で決定した物理的な書き込み先に書き込む。このとき、直前のステップS105における書き込み処理で用いられたワード線とは異なるワード線を介して、書き込みが行われる。
【0074】
次に、ステップS108における処理を説明する。アクセス装置2からの書き込みデータを全て書き込んだ場合には、書き込み処理を終了する。そうでない場合は、ステップS101の処理に戻り、アクセス装置2からの書き込みデータのうち、書き込みが済んでいないものの書き込みを継続する。
【0075】
なお、ステップS105、及び、ステップS107における不揮発性メモリ12への書き込みは、インタリーブ書き込みやマルチページプログラムにより高速に行うことが望ましい。この場合、データページやパリティページの書き込みを開始した直後に、次のステップの処理に進むことができる。
【0076】
1.3.2.読み出し処理
アクセス装置2が不揮発性記憶装置1に読み出しコマンドを発行することにより、不揮発性記憶装置1では読み出し処理が行われる。読み出しデータは、順次、不揮発性記憶装置1からアクセス装置2に転送される。図11は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の読み出し処理の手順を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS201における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2からの読み出しコマンドを受信すると、読み出しコマンドに付随する読み出しアドレス、サイズなどの条件を取得し、この条件から読み出しを行うパリティグループの論理アドレスを特定し、これらの情報をアドレス管理部112に通知する。アドレス管理部112は、コマンド処理部111から取得した情報、論理アドレス物理アドレス対応管理部115から取得される論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルの情報、フリーブロックのアドレス情報、及び、ブロックへの書き込み状態(どのブロックに、何ページ目まで、どんな論理アドレスのデータを書き込んだか、に関する状態)を管理するテーブルの情報を参照し、不揮発性メモリ12における物理的な読み出し先を決定する。
【0078】
次に、ステップS202における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS201で決定した物理的な読み出し先からデータページの情報の読み出しを行う。読み出したデータページの情報(即ち、データ及び該データに対する第1の誤り訂正符号)はバッファ105に格納する。
【0079】
次に、ステップS203における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS202でバッファ105上に格納した第1の誤り訂正符号を用いてデータのエラー検出及び訂正を行う。第1の誤り訂正符号に基づく訂正能力では訂正できないエラーを検出した場合には、ステップS204の処理に進む。そうでない場合は、第1の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行い、バッファ105上のデータに対してエラー訂正後の情報を上書きし、ステップS206の処理に進む。
【0080】
なお、ステップS202で読み出したデータページの情報が、アクセス装置2が指定した読み出しアドレス以外の情報も含む場合(例えば、アクセス装置2がデータページの途中のアドレスから読み出しを指示した場合)には、読み出しアドレス以外の部分に対する第1の誤り訂正符号の演算は省略してもよい。
【0081】
次に、ステップS204における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、ステップS201で決定した物理的な読み出し先からS202で読み出しを行ったデータページが属するパリティグループの情報の読み出しを行う。読み出したパリティグループの情報(即ち、ステップS202で読み出しを行ったデータページ以外のデータページ、及び、パリティページ)には第1の誤り訂正符号が付与されているので、符号処理部113は、第1の誤り訂正符号を用いてデータのエラー訂正を行ったのち、データ及びパリティをバッファ105に格納する。
【0082】
次に、ステップS205における処理を説明する。符号処理部113は、ステップS204でバッファ上に格納したデータページ及びパリティページ(第2の誤り訂正符号)の情報を用いてデータのエラー検出及び訂正を行う。第2の誤り訂正符号に基づく訂正能力では訂正できないエラーを検出した場合には、(図示しない)エラー処理を行い、読み出し処理を終了する。そうでない場合は、第2の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行い、バッファ105上のデータに対してエラー訂正後の情報を上書きし、ステップS206の処理に進む。
【0083】
例えば、第2の誤り訂正符号の演算としてXOR(排他的論理和)演算を適用していた場合には、ステップS202で読み出しを行ったデータページ以外のデータページのデータ、及び、パリティページのパリティのXOR演算を行う。これにより、ステップS202で読み出しを行ったデータページのデータを復元できる。
【0084】
次に、ステップS206における処理を説明する。コマンド処理部111は、バッファ105に格納された(誤り訂正処理後の)データを読み出しデータとしてアクセス装置2に送信する。
【0085】
次に、ステップS207における処理を説明する。アクセス装置2が指定した読み出しデータを全て送信した場合には、読み出し処理を終了する。そうでない場合は、ステップS201の処理に戻り、アクセス装置2への読み出しデータのうち、未送信のものの読み出しを継続する。
【0086】
なお、ステップS202、及び、ステップS204における不揮発性メモリ12からの読み出しは、インタリーブ読み出しやマルチページリードにより高速に行うことが望ましい。この場合、データページやパリティページの読み出しを開始した直後に、次のステップの処理に進むことができる。
【0087】
1.3.3.初期化処理
アクセス装置2に不揮発性記憶装置1が装着され、アクセス装置2から不揮発性記憶装置1への電源供給が開始された後、アクセス装置2が不揮発性記憶装置1に初期化コマンドを発行することにより、アクセス装置2から不揮発性記憶装置1へのデータの読み書きが可能となる。図12は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶装置1の初期化処理の手順を示すフローチャートである。
【0088】
まず、ステップS301における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介してアクセス装置2からの初期化コマンドを受信すると、メモリコントローラ11のハードウェアの初期設定を行う。また、不揮発性メモリIF部106に接続されている不揮発性メモリ12の接続確認などを行う。
【0089】
次に、ステップS302における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、不揮発性メモリ12の所定の読み出し先から、第1のシステム情報を読み出す。第1のシステム情報は、不揮発性記憶装置1の製造時に予め不揮発性メモリ12に書き込まれている情報であり、不揮発性記憶装置1における各種の制御情報である。第1のシステム情報として、例えば、メモリコントローラ11に接続されている不揮発性メモリ12の種類、数、ワード線を共有するページに関する情報、パリティグループの構成情報、第1及び第2の誤り訂正符号の種類や訂正能力、(後で説明する)第2のシステム情報の物理的な格納位置に関する情報、初期の不良ブロックのアドレスに関する情報、などがある。第1のシステム情報の読み出しにおいてエラーが発生した場合には、第1及び/または第2の誤り訂正符号によるエラー訂正を行う。
【0090】
アドレス管理部112、符号処理部113、及び、不揮発性メモリ制御部114は、読み出した第1のシステム情報の内容に応じて、内部的な初期化処理を行う。
【0091】
次に、ステップS303における処理を説明する。不揮発性メモリ制御部114は、不揮発性メモリIF部106を介して、(例えば、第1のシステム情報において指定されている)不揮発性メモリ12の所定の読み出し先から、第2のシステム情報を読み出す。第2のシステム情報は、不揮発性記憶装置1の製造時に第1のシステム情報が予め不揮発性メモリ12に書き込まれた後、不揮発性記憶装置1が使用されることにより更新される情報であり、不揮発性記憶装置1における各種の制御情報である。第2のシステム情報として、例えば、論理アドレス物理アドレス対応管理部115が管理する、論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルに関する情報、後発性の不良ブロックのアドレスに関する情報、ブロックの書き込み回数や消去回数に関する情報、及び、フリーブロックのアドレスに関する情報、などがある。第2のシステム情報の読み出しにおいてエラーが発生した場合には、第1及び/または第2の誤り訂正符号によるエラー訂正を行う。
【0092】
次に、ステップS304における処理を説明する。アドレス管理部112は、読み出した第2のシステム情報の内容に応じて、アドレス管理に必要となるテーブル情報をRAM102上に生成する。
【0093】
次に、ステップS305における処理を説明する。ステップS302、及び、ステップS303において、不揮発性メモリ12からの読み出しで所定の量を超える(第1または第2の誤り訂正符号で訂正可能な)エラーが発生した場合にはステップS306の処理に進む。そうでなければ、ステップS307の処理に進む。
【0094】
次に、ステップS306における処理を説明する。ステップS302、及び、ステップS303での不揮発性メモリ12からの読み出しで所定の量を超えるエラーが発生した箇所のデータに対して、符号処理部113は、第1及び第2の誤り訂正符号を生成する。そして、不揮発性メモリ制御部114はデータと生成した第1及び第2の誤り訂正符号を、新たな第1または第2のシステム情報として不揮発性メモリ12に書き戻す。
【0095】
次に、ステップS307における処理を説明する。コマンド処理部111は、アクセス装置IF部104を介して、アクセス装置2に不揮発性記憶装置1の初期化処理が完了したことを通知して初期化処理を終了する。
【0096】
1.4.まとめ
本実施の形態に係る不揮発性記憶装置は、アクセス装置2と通信可能であり、アクセス装置2からの指示によりデータの読み出し及び/又は書き込みを行う不揮発性記憶装置1である。不揮発性記憶装置1は、データを記憶する一つ又は複数の不揮発性メモリ12と、不揮発性メモリ12の制御を行うメモリコントローラ11とを備える。不揮発性メモリ12は、消去単位であるブロック121を複数含み、ブロック121は、データの書き込み単位であるページ122を複数含み、ブロック121内には、一つのワード線を共有する2以上のページ122からなるページの組が少なくとも一つ存在する。メモリコントローラ11は、データを格納するページ122であるデータページと、データページの誤り訂正演算のための符号を格納する誤り訂正符号ページとを、それぞれ一つ以上含む、誤り訂正グループを複数構成し、同一の誤り訂正グループにおける、データページと誤り訂正ページのそれぞれに対して、ワード線の異なるページを割り当てる。
【0097】
以上のように、不揮発性記憶装置1では、データと同一ページに格納する第1の誤り訂正符号とは別に、第2の誤り訂正符号をも格納する。第2の誤り訂正符号を格納する単位であるパリティグループにおいては、各データページ及びパリティページがワード線を共有しないように構成する。データの書き込み時には、データに第1及び第2の誤り訂正符号を付与して書き込む。データの読み出し時には、データに付与された第1及び/または第2の誤り訂正符号を用いてエラー訂正を行う。
【0098】
この結果、本実施の形態では、データページの読み出しにおいて、データページに接続する一つのワード線に不良が発生し、バースト誤りが発生した場合であっても、パリティグループを構成する他のデータページ及びパリティページは、異なるワード線に接続しているので、他のデータページ及びパリティページの読み出しを正常に行える。従って、このとき、パリティページ(第2の誤り訂正符号)の情報及び他のデータページの情報を用いて、バースト誤りが発生したデータページの情報を復元することが可能となる。
【0099】
さらに、パリティグループを構成するデータページ及びパリティページは、メモリコントローラに接続された不揮発性メモリが複数存在する場合には、複数の不揮発性メモリ、及び不揮発性メモリ内の複数のブロックに跨って配置される。そのため、一つの若しくは連続するパリティグループに対して、インタリーブ書き込み、マルチページプログラムによる高速書き込み、インタリーブ読み出し、及び、マルチページリードによる高速読み出しを行うことができる。
【0100】
なお、各パリティグループにおいて、パリティグループを構成するデータページ及びパリティページでは、ワード線が異なっていればよく、必ずしも異なる不揮発性メモリや異なるブロックに配置させる必要はない。例えば、パリティグループを構成するデータページ及びパリティページのうち、少なくとも二つが同一のブロックに配置されてもよい。従って、使用する不揮発性メモリの数が少ない、比較的小容量の不揮発性記憶装置においても、本実施の形態は適用可能である。
【0101】
本実施の形態では、誤り訂正(パリティ)グループの構成に関する情報は不揮発性メモリに格納される。このため、不揮発性メモリの情報を別途書き換えることにより誤り訂正(パリティ)グループの構成を別の任意の構成に切り替えることが可能である。
【0102】
更に本実施の形態では、不揮発性記憶装置が使用するシステム情報も、誤り訂正(パリティ)グループにおける誤り訂正演算の要素となるデータとして不揮発性メモリに格納される。このため、不揮発性記憶装置が使用するシステム情報をバースト誤りから保護することができる。
【0103】
上述の実施の形態で記載されている値は一例に過ぎず、他の値が用いられてもよい。例えば、パリティグループを構成するデータページ及びパリティページにおける、夫々のページ数の値は全て一例に過ぎず、上述の実施の形態で記載されている値に限定されるものではない。
【0104】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2では、誤り訂正符号の配置のみが実施の形態1と異なる。不揮発性記憶システム1000の構成および動作は、実施の形態1と同様であるため説明を省略し、両者の差異を中心に説明する。
【0105】
2.1.誤り訂正符号の配置
本発明の実施の形態2に係る不揮発性記憶装置1において、メモリコントローラ11が不揮発性メモリ12にデータを格納する際の、第1及び第2の誤り訂正符号の配置について説明する。
【0106】
実施の形態1との差異は、実施の形態1におけるパリティグループの構成が図8のような構成であったのに対して、実施の形態2では図13のような構成になることである。
【0107】
図13は、本発明の実施の形態2に係るパリティグループの構成の一例を示す図である。図13において、D0、D1、・・・、D7はデータページを表しており、P0−3はD0からD3に対するパリティページ、P4−7はD4からD7に対するパリティページを表している。
【0108】
実施の形態1に係る図8に示す例では、図7(a)に示すように、4つのデータページに対して、1つのパリティページが付与されて一つのパリティグループを構成している。これに対し、実施の形態2に係る図13に示す例では、図7(b)で示すように、4つの2ページ分のデータページに対して、1つの2ページ分のパリティページが付与されて一つのパリティグループを構成している。
【0109】
また、本実施の形態では、一つのパリティグループが、5個の不揮発性メモリ12と10個のブロック121に跨って配置されている。
【0110】
上述のような差異はあるが、実施の形態2においても、各パリティグループを構成するデータページ、及び、パリティページが「ワード線を共有しない」ように配置されていることは、実施の形態1と同様である。従って、パリティページ(第2の誤り訂正符号)を用いることにより、バースト誤りが発生したデータページの情報を復元することが可能となる。
【0111】
[他の実施の形態]
なお、本発明について、上述の各実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、勿論、上述の各実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で実施の形態を変更することができる。また、以下のように変更することも可能である。
【0112】
[1] 上述の各実施の形態における、アクセス装置2、不揮発性記憶装置1、メモリコントローラ11、及び不揮発性記憶システム1000において、各機能ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。
【0113】
なお、上記では、LSIを例として取り上げたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどの半導体装置によりチップ化されてもよい。
【0114】
また、集積回路化の手法は、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで集積回路が実現されてもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0115】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0116】
[2] 上述の各実施の形態における各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェア及びハードウェアの混在処理により実現してもよい。なお、上述の各実施の形態に係るアクセス装置2、不揮発性記憶装置1、及び不揮発性記憶システム1000をハードウェアにより実現する場合、各処理を行うためのタイミング調整を行う必要があるのは言うまでもない。上述の各実施の形態においては、説明便宜のため、実際のハードウェア設計で生じる各種信号のタイミング調整の詳細については省略している。
【0117】
また、上述の各実施の形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上述の各実施の形態の記載内容に制限されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0118】
[3] 上述の各実施の形態における不揮発性記憶装置は、半導体メモリカードのような着脱可能な記憶装置として説明したが、アクセス装置の基板に組み込みできる形式の情報記憶モジュールとして実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明に係る不揮発性記憶装置、及びメモリコントローラは、ワード線不良によるバースト誤りが発生した場合でも、不揮発性メモリへの格納データを正しく読み出すことが可能であり、よって、格納データの信頼性を向上することができる。このことは、半導体メモリカードはいうまでもなく、不揮発性メモリを内蔵する情報端末である、デジタルスチルカメラ、携帯電話端末、ムービー、デジタルテレビ、DVDレコーダ等に有用である。よって、本発明は、半導体メモリ関連分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1000 不揮発性記憶システム
1 不揮発性記憶装置
2 アクセス装置
11 メモリコントローラ
12 不揮発性メモリ
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 アクセス装置IF部
105 バッファ
106 不揮発性メモリIF部
111 コマンド処理部
112 アドレス管理部
113 符号処理部
114 不揮発性メモリ制御部
121 ブロック
122 ページ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス装置と通信可能であり、前記アクセス装置からの指示によりデータの読み出し及び/又は書き込みを行う不揮発性記憶装置であって、
データを記憶する一つ又は複数の不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラとを備え、
前記不揮発性メモリは、消去単位であるブロックを複数含み、
前記ブロックは、データの書き込み単位であるページを複数含み、
前記ブロック内には、一つのワード線を共有する2以上のページからなるページの組が少なくとも一つ存在し、
前記メモリコントローラは、
データを格納するページであるデータページと、前記データページの誤り訂正演算のための符号を格納する誤り訂正符号ページとを、それぞれ一つ以上含む、誤り訂正グループを複数構成し、
同一の前記誤り訂正グループにおける、前記データページと前記誤り訂正ページのそれぞれに対して、ワード線の異なるページを割り当てること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
誤り訂正演算とはパリティであること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項3】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
前記論理ブロックは、並列書き込み及び/又は並列読み出しが可能なn個(n:2以上の整数)の前記ブロックを組み合わせて構成され、
前記誤り訂正グループは、複数の並列書き込み及び/又は並列読み出しが可能な前記ブロックに跨って割り当てられること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項4】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
同一の前記誤り訂正グループにおける、前記データページと前記誤り訂正ページのうち、少なくとも二つのページは同一の前記ブロックに格納されること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項5】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
前記誤り訂正グループの構成に関する情報を前記不揮発性メモリから取得すること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項6】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置であって、
不揮発性記憶装置が使用するシステム情報を、前記誤り訂正グループにおける前記データページとして前記不揮発性メモリに格納すること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項7】
データを記憶する1つ以上の不揮発性メモリの制御を行うメモリコントローラであって、
前記不揮発性メモリは、消去単位であるブロックを複数含み、
前記ブロックは、データの書き込み単位であるページを複数含み、
前記ブロック内には、一つのワード線を共有する2以上のページからなるページの組が少なくとも一つ存在し、
前記メモリコントローラは、
データを格納するページであるデータページと、前記データページの誤り訂正演算のための符号を格納する誤り訂正符号ページとを、それぞれ一つ以上含む、誤り訂正グループを複数構成し、
同一の前記誤り訂正グループにおける、前記データページと前記誤り訂正ページのそれぞれに対して、ワード線の異なるページを割り当てること、
を特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項8】
請求項7に記載のメモリコントローラであって、
誤り訂正演算とはパリティであること、
を特徴とするメモリコントローラ。
【請求項9】
請求項7に記載のメモリコントローラであって、
前記論理ブロックは、並列書き込み及び/又は並列読み出しが可能なn個(n:2以上の整数)の前記ブロックを組み合わせて構成され、
前記誤り訂正グループは、複数の並列書き込み及び/又は並列読み出しが可能な前記ブロックに跨って割り当てられること、
を特徴とするメモリコントローラ。
【請求項10】
請求項7に記載のメモリコントローラであって、
同一の前記誤り訂正グループにおける、前記データページと前記誤り訂正ページのうち、少なくとも二つのページは同一の前記ブロックに格納されること、
を特徴とするメモリコントローラ。
【請求項11】
請求項7に記載のメモリコントローラであって、
前記誤り訂正グループの構成に関する情報を前記不揮発性メモリから取得すること、
を特徴とするメモリコントローラ。
【請求項12】
請求項7に記載のメモリコントローラであって、
不揮発性記憶装置が使用するシステム情報を、前記誤り訂正グループにおける誤り訂正演算の要素となるデータとして前記不揮発性メモリに格納すること、
を特徴とするメモリコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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