説明

メモリーカードの保持機構及びそれを備えた電子機器

【課題】メモリーカード挿入状態で誤ってメモリーカードが押されても、メモリーカードを確実にコネクタ内に保持することができるメモリーカードの保持機構及びそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】カード挿入口22のカード幅方向以上の長さを有するカバー部品26と、カバー部品26をメモリーカードMCの挿抜方向と平行な軸を中心に回動可能に支持する軸部品27とを備え、カバー部品26は、カード挿入口22の幅方向全域をカード挿入口22から挿抜方向の外側に所定間隔Lだけ離れて覆う閉位置とカード挿入口22を露出させる開位置とに回動して変位可能であり、所定間隔Lは、カード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCが挿抜方向の外側に変位してもメモリーカードMCがカバー部品26に当接してカードコネクタ21との電気的導通が維持される範囲内の間隔である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードが挿抜されるコネクタに設けられるメモリーカードの保持機構及びそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、デジタルカメラあるいはパーソナルコンピューターなどには、画像データ等を記録するメモリーカードが挿抜されるメモリーカード用のコネクタが設けられている。
【0003】
このようなコネクタには、メモリーカードをメモリーカード挿入部に挿入するとメモリーカードにメモリーカード抜け防止材が係合してメモリーカードのメモリーカード挿入部からの抜けを防止する構成を有するものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、カバーをカード挿入口に挿入し、カード挿入口の開口内周面に設けられたラッチ引掛部に、カバーの外周に設けられた鋸歯形状の係合係止手段をラッチさせるものも知られている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、筐体の一部を開閉可能なカバー部材として、カバー部材を開いたときにスロットが露出するものもある(特許文献3参照)。この構造では、スロットカバーは、略平板状に形成され、カメラ本体の上下方向に回動自在に軸着されている。これにより、スロットカバーは、メディアスロットを露呈させる開き位置と、この開き位置から回動してメディアスロットを覆う閉じ位置との間で移動する。スロットカバーが開き位置にある際には、メディアスロットへのメモリーカードの挿抜が可能になる。一方、スロットカバーが閉じ位置にある際には、メディアスロットへの塵埃などの侵入が防止されるとともに、メディアスロットに挿入されたメモリーカードの抜けが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−250488号公報
【特許文献2】特開2005−202814号公報
【特許文献3】特開2007−201694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、カード挿入口の中にはプッシュロック式のカード用コネクタが設けられている。このプッシュロック式のカード用コネクタでは、メモリーカード挿入状態で誤ってメモリーカードを押すと、メモリーカードのロックが解除されて飛び出してしまう。
特許文献1の技術は、コネクタ装置に抜けを防止する構成を持たせているが、メモリーカード挿入状態でスロットが露出していると、誤ってメモリーカードが押されたときにメモリーカードのロックが解除されて、メモリーカードが飛び出してしまう。
特許文献2の技術では、カバーを電子機器とは別体として保管する必要がある。また、カード挿入口に専用のラッチ引掛部を設ける必要性があるため互換性が低い。
特許文献3の技術では、筐体の一部をカバー部材にする必要があり、設計上の制約が生じてしまう。また、筐体の一部をカバー部材にするので、少なくともカバー部材の厚さ分だけスロットを筐体表面から一段内側に凹ませた位置に設けなければならない。
【0008】
本発明の目的は、メモリーカード挿入状態で誤ってメモリーカードが押されても、メモリーカードを確実にコネクタ内に保持することができるメモリーカードの保持機構及びそれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することのできる本発明に係るメモリーカードの保持機構は、メモリーカードが挿抜されるコネクタのカード挿入口近傍の外面に取り付けられ、前記カード挿入口に挿入されたメモリーカードの抜け出しを阻止するメモリーカードの保持機構であって、
前記カード挿入口のカード幅方向以上の長さを有するカバー部品と、前記カバー部品をメモリーカード挿抜方向と平行な軸を中心に回動可能に支持する軸部品とを備え、
前記カバー部品は、前記カード挿入口の幅方向全域を前記カード挿入口から前記挿抜方向の外側に所定間隔離れて覆う閉位置と前記カード挿入口を露出させる開位置とに回動して変位可能であり、
前記所定間隔は、前記カード挿入口に挿入されたメモリーカードが前記挿抜方向の外側に変位してもメモリーカードが前記カバー部品に当接して前記コネクタとの電気的導通が維持される範囲内の間隔であることを特徴とする。
【0010】
この構成のメモリーカードの保持機構によれば、閉位置に配置されたカバー部品によって、コネクタのカード挿入口に挿入されたメモリーカードに対する不用意な接触を防止することができる。また、カード挿入口に挿入されたメモリーカードが挿抜方向の外側に変位しても、メモリーカードはカバー部品に当接して変位が抑えられて、コネクタとの電気的導通を維持させることができる。また、カバー部品は、カードの挿抜方向に対しては変位しない構造であるので、メモリーカードの保持力を確保し易く、しかも、カバー部品の剛性を高めるだけで十分な保持力を容易に確保することができる。このように、メモリーカード挿入状態で誤ってメモリーカードが押されても、メモリーカードを確実にコネクタ内に保持することができる。
また、別体の部品を着脱させるものと比較してカバー部品を保管しておく必要がない。また、機器側の形状を複雑化することもなく、高い互換性を確保することができる。
【0011】
本発明のメモリーカードの保持機構において、前記カバー部品は、回動中心軸に対して前記カード挿入口を覆う側とは反対側の位置に、前記外面に当接することで少なくとも前記閉位置における前記所定間隔を維持する突起を有することが好ましい。
この構成のメモリーカードの保持機構によれば、カバー部品の回動の円滑化を図るために軸部品とカバー部品との回動箇所にクリアランスを設けても、カード挿入口からメモリーカードが抜け出る方向へのカバー部品の傾きを抑制し、メモリーカードの抜け出しを確実に防止することができる。
【0012】
本発明のメモリーカードの保持機構において、前記開位置は、前記閉位置に対する回動角度が90°未満の位置であることが好ましい。
この構成のメモリーカードの保持機構によれば、カバー部品を必要以上に回動させる必要をなくすことができ、操作性の向上を図ることができる。また、保持機構が機器の下部に設けられて閉位置が水平位置になった場合でも、開位置とした際に機器の下方へのカバー部品の突出を極力抑えることができる。これにより、機器を床面に設置した際に、開位置のカバー部品が床面と接触しても閉位置に向かって押されて移動するので、カバー部品が損傷するような不具合を防ぐことができる。
【0013】
本発明のメモリーカードの保持機構において、前記カバー部品が回動して前記閉位置に到達する時にクリック感を発生する回転クリック機構を有することが好ましい。
この構成のメモリーカードの保持機構によれば、カバー部品を回動させた際のクリック感によって、ユーザーにカバー部品が閉状態となったか否かを容易に把握させることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の電子機器は、上記の何れかのメモリーカードの保持機構を筐体外面に備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成の電子機器によれば、閉位置に配置されたカバー部品によって、コネクタのカード挿入口に挿入されたメモリーカードに対する不用意な接触を防止することができる。また、カード挿入口に挿入されたメモリーカードが挿抜方向の外側に変位しても、メモリーカードはカバー部品に当接し、コネクタとの電気的導通を維持させることができる。これにより、電子機器とメモリーカードとのデータの送受信を常に良好に行うことができ、信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るメモリーカードの保持機構の実施形態例であって、メモリーカードの保持機構を備えたプリンターを底面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係るメモリーカードの保持機構の一例を示す図であって、(a)は閉位置に配置された保持機構の正面図、(b)は開位置に配置された保持機構の正面図である。
【図3】図2のメモリーカードの保持機構の裏面側を示す図であって、(a)は閉位置に配置された保持機構の裏面図、(b)は開位置に配置された保持機構の裏面図である。
【図4】図2のメモリーカードの保持機構の一部を裏面側から見た部分斜視図である。
【図5】図2のメモリーカードの保持機構の一部の部分裏面図である。
【図6】図2(a)におけるA−A断面図である。
【図7】図6における一部の拡大図である。
【図8】図3(a)におけるB−B断面図である。
【図9】保持機構の構造の参考例を示す一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るメモリーカードの保持機構及びそれを備えた電子機器の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、メモリーカードの保持機構を備えた電子機器としてプリンターを例示して説明する。
図1に示すように、プリンター(電子機器)1は、プリンター本体2内に、記録紙収納部、記録媒体搬送機構を構成する各部品、および印刷ヘッド等が搭載されている。また、プリンター本体2の底部8には、プリンター1を制御する制御基板を有する制御部3を備えている。
【0018】
制御部3は、本装置のケース(筐体)10と、ケース10の開口部を覆うカバーである底板11と、を備えている。底板11はケース10の四隅近傍に固定部材である4個のネジ12A,12B,12C,12Dによって、ケース10の開口部を覆うように取り付けられている。また、ケース10の後方の側板(外面)14には、ホストコンピュータ等に接続可能なコネクタ群13を備えている。
【0019】
図2及び図3に示すように、このプリンター1には、制御部3に、メモリーカードMCが挿抜されるカードコネクタ(コネクタ)21が設けられており、制御部3を覆うケース10の側板14にはカードコネクタ21のカード挿入口22が設けられている。そして、本実施形態に係るメモリーカードの保持機構25が、カードコネクタ21のカード挿入口22の近傍の外面に取り付けられている。
【0020】
カードコネクタ21は、プッシュロック式のカード用コネクタであり、カード挿入口22へメモリーカードMCを一回押し込むと、電気的に接続した状態でメモリーカードMCが係止される。そして、この係止状態からメモリーカードMCを再度押し込むと、メモリーカードMCの係止が解除されてカード挿入口22から押し出される。
【0021】
保持機構25は、カード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCの抜け出しを阻止するものであり、プラスチック等の合成樹脂から成型されたカバー部品26と、軸部品27とを備えている。カバー部品26は、カード挿入口22を覆うことができる大きさに形成されている。具体的には、カバー部品26はカード挿入口22のカード幅方向以上の長さを有し、カード挿入口22の高さ寸法以上の幅を有する。
【0022】
図4及び図5に示すように、このカバー部品26は、その一端が軸部品27によってメモリーカードMCの挿抜方向と平行な軸を中心に回動可能に支持されており、図2(a)及び図3(a)に示すように、カード挿入口22の幅方向全域を覆う閉位置と、図2(b)及び図3(b)に示すように、カード挿入口22を露出させる開位置とに回動して変位可能とされている。
【0023】
図6から図8に示すように、軸部品27は、表板31と、この表板31の周縁から立設された周壁板32とを有している。軸部品27には円柱状の柱部33が形成されており、この柱部33には、その先端部に突出部34が形成されている。また、周壁部32には、その一部に切欠き部35が形成されており、この切欠き部35の近傍には、表板31から立設された円柱状の回転中心軸36が形成されている。この回転中心軸36の先端には、小径に形成された固定突起37が形成されている。
【0024】
周壁板32には、切欠き部35側の一端に、外方へ向かって斜めに突出する回動規制部45が形成されている。また、周壁板32の切欠き部35側には段部46が形成されて、その部分の周壁板32の高さが低くなっている。
【0025】
また、軸部品27の表板31には、弾性変形可能な回転クリック機構41が設けられている。この回転クリック機構41には、回転中心軸36側へ向かって突出する圧接子42が形成されている。
そして、この軸部品27は、ケース挿入口22が設けられたプリンター1のケース10の側板14に形成された位置決め孔14a及び固定孔14bへ、突出部34及び固定突起37を嵌合させることにより、側板14に固定される。
【0026】
上記の軸部品27に支持されるカバー部品26は、カバー板51と、このカバー板51に立設された側壁板52とを有している。このカバー部品26の一端には、環状に形成された環状支持部53を有しており、この環状支持部53の中心に形成された支持孔54に、軸部品27の回転中心軸36が挿通されている。これにより、カバー部品26は、回転中心軸36の軸線を中心として回動可能とされている。このカバー部品26は、軸部品27の切欠き部35内に配置されている。これにより、カバー部品26は、この切欠き部35の範囲内で回動可能とされて、閉位置と開位置との間で変位可能とされている。このカバー部品26の開位置は、閉位置に対する回動角度が90°未満の位置となるように設定されている。
【0027】
カバー部品26の環状支持部53には、ケース10の側板14側に、外周側へ張り出したカム板部55を有しており、このカム板部55は、軸部品27の段部46に配置されている。カム板部55は、周方向の両端側に、中心方向へ次第に傾斜する係止斜面部58,59を有している。また、カム板部55の周方向の一端側には、さらに外周側へ突出するクリック突起部60が形成されている。
また、カバー部品26の環状支持部53には、ケース10の側板14側に、側板14に当接する突起61が形成されている。
【0028】
このように形成されたカバー部品26は、その環状支持部53の支持孔54に軸部品27の回転中心軸36を挿通させた状態で、軸部品27をケース10の側板14に装着して固定することにより、側板14の表面に沿って取り付けられる。これにより、カバー部品26は、軸部品27の回転中心軸36を中心として回動可能に側板14に装着される。また、このとき、カバー部品26のカム板部55は、軸部品27の周壁板32の段部46と側板14との間に配置される。
【0029】
このように、側板14に取り付けられた保持機構25は、カバー部品26が閉位置に配置された状態では、カバー部品26のカバー板51によってカード挿入口22を覆った状態となる。これにより、カードコネクタ21のカード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCに対する不用意な接触が防止される。
【0030】
また、このカバー部品26が閉位置に配置された状態で、カバー部品26のカバー板51は、側板14のカード挿入口22に対して、メモリーカードMCの挿抜方向の外側に所定間隔Lだけ離れた位置に配置される(図6参照)。この所定間隔Lは、カード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCが挿抜方向の外側に変位してもメモリーカードMCがカバー部品26のカバー板51に当接してカードコネクタ21との電気的導通が維持される範囲内の間隔とされている。したがって、カード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCが挿抜方向の外側に変位しても、メモリーカードMCはカバー部品26のカバー板51に当接して、カードコネクタ21との電気的導通が維持される。
【0031】
この閉状態では、軸部品27の回転クリック機構41の圧接子42がカバー部品26のカム板部55の係止斜面部58を係止することにより、カバー部品26は、圧接子42の係止斜面部58への係止力によって閉位置に保持された状態に維持される。
【0032】
閉状態から開状態とするために、ユーザーがカバー部品26を開位置へ向かって回動させると、圧接子42がクリック突起部60を超えてクリック突起部60の反対側へ移動する。このとき、クリック突起部60によって径方向外方へ弾性変形されていた回転クリック機構41が復元することにより、ユーザーに対してクリック感を発生させることとなる。
【0033】
さらに、カバー部品26を回動させることにより、カバー部品26が開位置に配置されると、カム板部55の反対側の係止斜面部59に圧接子42が配置され、圧接子42によって係止斜面部59が係止される。これにより、カバー部品26は、圧接子42の係止斜面部59への係止力によって開位置に保持された状態に維持される。また、開位置にカバー部品26が配置されると、カバー部品26が切欠き部35の一端に設けられた回動規制部45に当接し、それ以上の回動が規制される。なお、このカバー部品26の開位置は、カバー部品26がプリンター1を設置した床面と接触することがない位置とされている。
【0034】
開状態から閉状態とするために、ユーザーがカバー部品26を閉位置へ向かって回動させると、圧接子42が係止斜面部59から外れ、その後、圧接子42がクリック突起部60に当接する。この状態からさらにカバー部品26を閉位置へ向かって回動させると、圧接子42がクリック突起部60を乗り越えて係止斜面部58側へ配置され、よって、カバー部品26が閉位置に配置される。このとき、クリック突起部60によって径方向外方へ弾性変形されていた回転クリック機構41が復元することにより、ユーザーに対してクリック感を発生させることとなる。
【0035】
また、カバー部品26には、回動中心軸36に対してカード挿入口22を覆う側とは反対側の位置に、側板14に当接する突起61が設けられている。したがって、カバー部品26に側板14から離間する方向へ外力が作用したとしても、カード挿入口22からメモリーカードMCが抜け出る方向へのカバー部品26の傾きが確実に抑制される。
【0036】
これに対して、図9に示すように、突起61を設けない構造の場合では、カバー部品26に側板14から離間する方向へ外力が作用すると、回転中心軸36と支持孔54との間にクリアランスがあるため、メモリーカードMCが抜け出る方向へカバー部品26が傾いてしまう。すると、メモリーカードMCがカード挿入口22から抜け出してカードコネクタ21との電気的接続が維持されなくなるおそれがある。また、回転中心軸36と支持孔54との間のクリアランスを無くして傾きを抑制すると、回転中心軸36の外周面と支持孔54の内周面とが摺接することとなり、カバー部品26の回動の円滑性が損なわれ、操作性の低下を招いてしまう。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るメモリーカードの保持機構25によれば、閉位置に配置されたカバー部品26によって、カードコネクタ21のカード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCに対する不用意な接触を防止することができる。また、カード挿入口22に挿入されたメモリーカードMCが挿抜方向の外側に変位しても、メモリーカードMCはカバー部品26に当接して変位が抑えられて、カードコネクタ21との電気的導通を維持させることができる。
【0038】
そして、この保持機構25をプッシュロック式のカードコネクタ21に用いれば、係止状態のメモリーカードMCが誤って押し込まれて係止が解除されても、閉位置に配置されたカバー部品26によってメモリーカードMCの抜け出しが防がれ、電気的接続状態を維持させることができる。
これにより、保持機構25をプリンター1等の電子機器に設ければ、電子機器とメモリーカードMCとのデータの送受信を常に良好に行うことができ、信頼性を高めることができる。
【0039】
また、別体の部品を着脱させる抜け防止部品では取り外し時に保管する必要があるが、保持機構25ではその必要がない。また、ケース10に位置決め孔14a及び固定孔14bを形成するだけで保持機構25を固定できるので、ケース10側の形状を複雑化する必要がなく、幅広い電子機器に取り付けることができる。
【0040】
また、カバー部品26は、メモリーカードMCの挿抜方向に対しては変位しない構造であるので、メモリーカードMCの保持力を確保し易く、しかも、カバー部品26の剛性を高めるだけで十分な保持力を容易に確保することができる。
【0041】
また、カバー部品26の回動中心軸36に対してカード挿入口22を覆う側と反対側の位置に、側板14に当接する突起61を設けたので、カバー部品26の回動の円滑化を図るべく軸部品27とカバー部品26との回動箇所にクリアランスを設けても、カード挿入口22からメモリーカードMCが抜け出る方向へのカバー部品26の傾きを抑制し、メモリーカードMCの抜け出しを確実に防止することができる。
【0042】
さらに、カバー部品26の開位置が、閉位置に対する回動角度が90°未満の位置とされているので、カバー部品26を必要以上に回動させる必要をなくすことができ、操作性の向上を図ることができる。また、保持機構25がプリンター1等の電子機器の下部に設けられて閉位置が水平位置である場合でも、開位置とした際に電子機器の下方へのカバー部品26の突出を極力抑えることができる。これにより、電子機器を床面に設置した際に、開位置のカバー部品26が床面と接触しても閉位置に向かって押されて移動するので、カバー部品26が損傷するような不具合を防ぐことができる。
【0043】
また、カバー部品26が回動して閉位置に到達する時にクリック感を発生する回転クリック機構41を有するので、カバー部品26を回動させた際のクリック感によって、ユーザーにカバー部品26が閉状態となったか否かを容易に把握させることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、メモリーカードMCの保持機構25をプリンター1からなる電子機器に設けた場合を例示したが、この保持機構25は、カード挿入口22に対してメモリーカードMCが挿抜される構造を有するデジタルカメラやパーソナルコンピューター等の他の電子機器に設けることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1:プリンター(電子機器)、10:ケース(筐体)、14:側板(外面)、21:カードコネクタ(コネクタ)、22:カード挿入口、25:保持機構、26:カバー部品、27:軸部品、36:回動中心軸、41:回転クリック機構、61:突起、L:所定間隔、MC:メモリーカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリーカードが挿抜されるコネクタのカード挿入口近傍の外面に取り付けられ、前記カード挿入口に挿入されたメモリーカードの抜け出しを阻止するメモリーカードの保持機構であって、
前記カード挿入口のカード幅方向以上の長さを有するカバー部品と、前記カバー部品をメモリーカード挿抜方向と平行な軸を中心に回動可能に支持する軸部品とを備え、
前記カバー部品は、前記カード挿入口の幅方向全域を前記カード挿入口から前記挿抜方向の外側に所定間隔離れて覆う閉位置と前記カード挿入口を露出させる開位置とに回動して変位可能であり、
前記所定間隔は、前記カード挿入口に挿入されたメモリーカードが前記挿抜方向の外側に変位してもメモリーカードが前記カバー部品に当接して前記コネクタとの電気的導通が維持される範囲内の間隔であることを特徴とするメモリーカードの保持機構。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリーカードの保持機構であって、
前記カバー部品は、回動中心軸に対して前記カード挿入口を覆う側とは反対側の位置に、前記外面に当接することで少なくとも前記閉位置における前記所定間隔を維持する突起を有することを特徴とするメモリーカードの保持機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメモリーカードの保持機構であって、
前記開位置は、前記閉位置に対する回動角度が90°未満の位置であることを特徴とするメモリーカードの保持機構。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のメモリーカードの保持機構であって、
前記カバー部品が回動して前記閉位置に到達する時にクリック感を発生する回転クリック機構を有することを特徴とするメモリーカードの保持機構。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のメモリーカードの保持機構を筐体外面に備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−209117(P2012−209117A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73551(P2011−73551)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】