メモリ装置
【課題】光ディスクやハードディスクのような回転系や移動系などの駆動体が不要で、かつフラッシュメモリに代表される半導体メモリのような煩雑で高価な製造工程が不要になるような、小型で大容量でしかも安価なメモリ装置を提供する。
【解決手段】メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成される。
【解決手段】メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ装置に係るもので、半導体製造プロセスと非半導体製造プロセスよりなるメモリ装置における詳細な構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録再生が可能な情報記憶装置としては、光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリなどがある。
【0003】
光ディスクは、光ディスク媒体に光ピックアップによりレーザー光を照射し、データの記録再生を行う。
【0004】
光ディスクドライブ装置の概略構成を図8に示す。
(例えば特許文献1・図1参照)
【0005】
光ピックアップ103は、半導体レーザー、プリズム、レンズ、受光素子等(図示せず)により構成され、光ディスク102上に微少な光スポットを形成するとともに、光ディスク102反射光を受光素子で受光し、信号の検出を行う。光ピックアップ103は図に示す方向に移動可能で、光ディスク102の所望の位置に移動する。スピンドルモーター104は、光ディスク102を高速回転させる。電気回路105は、半導体レーザー駆動回路、信号検出回路、モーター制御回路等である。
【0006】
ハードディスクは、高速で回転するディスクに磁気ヘッドでアクセスし,データの記録再生を行う。
【0007】
ハードディスクドライブ装置の概略構成を図9に示す。
(例えば特許文献2・図11,12,13参照)
【0008】
データの記録される複数枚の磁気ディスク112と磁気ディスク1枚ごとに用意される磁気ヘッド113と信号検出回路、スピンドルモーター制御回路等の電気回路115で構成される。
磁気ヘッド113は図に示す方向に移動可能で、磁気ディスク112の所望の位置に移動する。スピンドルモータ114は磁気ディスクを高速回転させる。
【0009】
フラッシュメモリは、書き換え可能であり、電源を切ってもデータの消えない不揮発性半導体メモリであり、機器に組み込んだ状態で電気的にデータの記録再生を行う。
【0010】
基本的構成を図10に示す。
【0011】
フラッシュメモリ121は、データを記録するメモリセル122とデータを記録、あるいは消去するメモリセルを指定するアドレスコントローラー123と接続機器とのデータのやり取りを行うインターフェース部124からなる。
メモリセル122、アドレスコントローラ123、インタフェース部124は、全て半導体プロセスで、一体的に形成される。
【0012】
メモリセル122の具体的断面図を図11に示す。
(例えば特許文献3・図1,2参照)
【0013】
131,132,133は電極、134はコントロールゲート、135は絶縁膜、136はフローティングゲート、137はソース、138はドレイン、139はP型基盤である。
フローティングゲート136の電子の有無でデータを記録、消去し、ソース137とドレイン138間に流れる電流の有無をデータとして読み出す。
【0014】
【特許文献1】特開2005−174443号公報
【特許文献2】特開2005−150292号公報
【特許文献3】特開平10−261727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1に記載された技術においては、光ピックアップが複数の光学部品により構成されるため、小型化が困難であり、また、回転、移動部があるため、消費電力が大きいという問題がある。
【0016】
特許文献2に記載された技術においては、回転、移動部があるため、消費電力が大きく、磁気ヘッドと磁気ディスクの間隔をナノオーダーで制御する必要があり、振動、衝撃に弱いという問題がある。
【0017】
特許文献3に記載された技術においては、ウエハを用意してからチップが出来あがるまで、薄膜生成工程、露光工程、エッチング工程、不純物添加工程などが何度も繰り返され300〜500ステップほどの工程があり、回路の設計やパッケージングなどまで含むと膨大な数のステップなり、製造工程が膨大でコストが高くなる。
【0018】
また、半導体チップ上にメモリ部を形成するため、面積が制限され、データ容量の上限が限定されてしまうという問題がある。
【0019】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされるものであり、光ディスクや磁気ディスクのようなデータを記録および再生するためのヘッド部や回転部などの駆動体が必要なく、かつ、半導体メモリと比較して圧倒的に製造工程の少なく、メモリ部面積を小面積に限定されない、小型、大容量、しかも極めて安価なメモリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、映像、音声、およびその他データなどを記録もしくは再生するためのメモリ装置において、前記メモリ装置へ任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成され、かつ、前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、前記電極部は前記データ格納部の表面および裏面を挟むように電極部1および電極部2により構成され、前記電極部1には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン1が形成され、前記電極部2には前記電極パタン1と略直行した方向に略一定間隔で任意の幅を有する帯状の複数の電極パタン2が形成され、かつ、前記ICチップ部は前記電極パタン1と電気的に接続するためのICチップ部1と、前記電極パタン2と電気的に接続するためのICチップ部2とにより構成され、かつ、前記ICチップ部1、2は、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に各々位置決めして配置されるような構成にした。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ICチップ部1,2は各々複数の半導体基板により形成されているような構成にした。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1、2において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々異方導電性材料により電気的に接続するような構成にした。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、異方導電性材料として異方導電性接着剤であるような構成にした。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々電気的に接続し、かつ、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に前記ICチップ部1、2を各々位置決めして配置し物理的に接続するとき、異方導電性接着剤により電気的および物理的に接続するような構成にした。
【発明の効果】
【0025】
メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための簡単な回路系などをICチップ部として半導体製造プロセスにより形成し、また任意のデータを格納するためのデータ格納部および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための電極部を非半導体製造プロセスにより形成したので、従来のフラッシュメモリのようなすべて半導体プロセスにより形成される半導体メモリと比較して、メモリ装置の製造工程数を大幅に削減することが可能となり、コストの低減ができる。また、前記データ格納部および前記電極部を非半導体プロセスにより形成することにより、半導体基板のような製造上のサイズの制約がなくなり、大きなサイズも形成可能となる。その結果、大幅な記憶容量の増大も実現することができる。この際、メモリ装置の大きさに応じて前記ICチップ部のサイズを大きくするのではなく、複数のICチップ部を並べて形成するよう構成されているため、極めて安価に実現できる。また、前記ICチップ部と前記電極部とを異方導電性接着剤により電気的および物理的に接続するよう構成されているため、半導体製造プロセスと非半導体製造プロセスという異なる製造プロセスにて製作された部分同士を容易に物理的に接続できる。さらには、半田付けなどの処理も不要で電気的な接続が可能となり、しかも、隣り合う電極線とのクロストークも抑制できる。さらには、データ格納部は少なくても電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、任意のデータの格納場所もアドレス情報として電気的に指定できるような構成にしたので、光ディスクおよびハードディスクのようにデータの記録再生のための駆動体なども必要なくなり、メモリ装置として大幅な小型化、および低コスト化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のメモリ装置は、映像、音声、およびその他データなどを記録もしくは再生するためのメモリ装置であり、前記メモリ装置へ任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成され、かつ、前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、前記電極部は前記データ格納部の表面および裏面を挟むように電極部1および電極部2により構成され、前記電極部1には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン1が形成され、前記電極部2には前記電極パタン1と略直行した方向に略一定間隔で任意の幅を有する帯状の複数の電極パタン2が形成され、かつ、前記ICチップ部は前記電極パタン1と電気的に接続するためのICチップ部1と、前記電極パタン2と電気的に接続するためのICチップ部2とにより構成され、かつ、前記ICチップ部1、2は、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に各々位置決めして配置されるような構成になっている。また、前記電極部および前記ICチップ部との接続方法、および前記ICチップ部の構成に関する発明でもある。以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0027】
図1及至図7に、本発明の実施形態を示すメモリ装置の構成例を示す。なお、同一機能のものには同一番号が付してある。本発明のメモリ装置は、前述説明の通り、本発明のメモリ装置に任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により主に構成されている。図1に、本発明のメモリ装置を主要機能ブロックごとに分割して示した基本構成図を示す。データ格納部1の両側を挟むように基板2,3があり、前期基板2,3は各々非半導体製造プロセスにより電極部6,7が形成され、かつ、半導体製造プロセスにより形成されるICチップ部との結合をするための基板となる。また、前記ICチップ部4,5は、外部との接続部10および前記電極部6,7と物理的および電気的に接続される。
【0028】
本発明のメモリ装置に係る前記電極部の構成として、図1にも示すように前記電極部6には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン8が、また、前記電極部7には前記電極パタン8と略直行した方向に略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン9が各々形成されている。この前記電極パタン8,9の形成方法としては、たとえば前記基板2,3に前記電極パタンの形状に合わせて溝を形成し、その溝に導電性の材料を埋め込んで形成するか、前記電極パタンに対応した導電性の薄膜またはシートを前記基板2,3に接着もしくは印刷プロセスにより形成すればよい。また、前述電極パタンに対応した導電性の薄膜またはシートは、前記データ格納部1に直接接着もしくは印刷プロセスにより形成してもよい。
【0029】
図2に前記ICチップ部4、前記基板2、前記電極部6および前記電極パタン8との接続をするための様子を示す。前記ICチップ部4は、外部接続用インタフェース部21、任意のデータを記録再生するときに必要となるアドレス指定などをするためのアドレス・コントローラ22、および前記電極パタン8との電気的接続をするための電極線23により構成される。前記ICチップ部4と前記基板2とを物理的に接続する際、前記電極線23と前記電極パタン8とを図2に示すように位置決めをしながら電気的に接続できるよう構成する。ここで、前記ICチップ部4と前記基板2とを物理的に接続したり、前記電極線23と前記電極パタン8とを電気的に接続する際、異方導電性接着剤を用いることにより、前記電極線23から前記電極パタン8への方向にのみ電気的な導電特性を持たせ、かつ、それと直行する方向へは電気的な導電特性を持たせないようできるため、半田付けなどの処理が一切不要で、接着のみの極めて簡単な構成で物理的かつ電気的な接続が実現できるばかりか、隣り合う電極線および電極パタン同士のクロストークを十分抑制することが可能となる。なお、図示はしないが、前記ICチップ部5、前記基板3、前記電極部7および前記電極パタン9との接続をするための様子も、前述とまったく同様である。
【0030】
図3に、前記基板2および前記電極部6のサイズが大きく、前記電極パタン8の数が多く配置されている場合における前記ICチップ部4、前記基板2、前記電極部6および前記電極パタン8との接続をするための様子を示す。この場合、前記電極パタン8の数に対応するため、前記ICチップ部4のサイズを前記基板2および前記電極部6のサイズに合わせて大きくすることは極めて実用的ではない。前述の通り、前記ICチップ部4は半導体製造プロセスにより形成されるため、シリコンなどの半導体チップのサイズは製造上の制約を受ける。そこで、図3に示すように、前記ICチップ部4のサイズを前記基板2および前記電極部6のサイズに合わせて大きくするのではなく、半導体製造プロセスにおける実用的なサイズにて形成された前記ICチップ部4を複数個並べて配置するような構成にすることで、極めて安価な構成で実現することができる。なお、図示はしないが、前記ICチップ部5、前記基板3、前記電極部7および前記電極パタン9との接続をするための様子も、前述とまったく同様である。
【0031】
図4に本発明のメモリ装置の全体構成図を示す。これは、図1の主要機能ブロックごとに分割して示した基本構成図をもとに組み立てた外形図でもある。また、図5に本発明のメモリ装置のブロック図を示す。外部との接続部10は本発明のメモリ装置が搭載もしくは接続される外部機器との電源供給用端子やデータ入出力端子などの外部接続端子11として外部へ供給される。
【0032】
図6に本発明のメモリ装置に係るデータの記録方法を示す。前記データ格納部1の構成として、図示はしないが前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有する構成になっている。本発明のメモリ装置に任意のデータを記録するとき、前記ICチップ部4,5にて指定された記録するデータを格納するためのアドレス情報に基づいて前記電極部6,7に形成される電極パタン8,9が1つもしくは2つ以上選択され、その選択された前記電極パタンに記録するための電気信号が送られる。そして、前記データ格納部1に前記電気信号が伝達され、データが記録される。ここで、前記データ格納部1は少なくても電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有する構成になっているため、極めて容易に任意のデータを記録することができる。具体的には、図6に示すように、前記データ格納部1を挟んだ一方の電極パタン8に電圧パルスを与え、他方の電極パタン9をアースしておく。データ格納部1における電位差を与えられた局所的な領域はその電気特性値が変化する。この電気特性値の変化でデータを記録する。
【0033】
図7に本発明のメモリ装置に係るデータの再生方法を示す。本発明のメモリ装置から任意のデータを再生するとき、前記ICチップ部4,5にて指定された再生するためのデータが格納されているアドレス情報に基づいて前記電極部6,7に形成される電極パタン8,9が1つもしくは2つ以上選択され、その選択された前記電極パタンに再生のための電気信号が送られる。そして、前記データ格納部1に前記電気信号が伝達され、前記データ格納部1の記録層の電気特性を検出することにより、極めて容易に任意のデータを再生することができる。具体的には、図7にも示すように、再生する領域の前記データ格納部1を挟んだ一方の電極パタン8に電圧を与え、他方の電極パタン9との間の電気特性をセンスアンプ12で検出し、データを再生する。なお、前記センスアンプ12は、たとえば前記ICチップ部4,5などに半導体プロセスで形成して搭載すればよい。
【0034】
また、図示はしないが、本発明のメモリ装置に係る前記記録層の構成として、電気信号の印加により抵抗値が変化するような材料を用いれば容易に実現できる。たとえば、色素系材料、相変化材料、強相関性材料などが挙げられる。また、これら色素系材料、相変化材料、強相関性材料などに導電性材料を混合することにより、前記記録層における電気抵抗値を任意に制御することができる。また、前記導電性材料として異方導電性材料を用い、前記電極部6から前記データ格納部1を経由して前記電極部7への経路に導電性の特性を持たせ、それと略直行する方向には導電性の特性を持たせないようすることができるため、記録再生すべきデータに隣接する方向への電気信号の流れを防止することができる。これにより、極めて簡単な構成でクロストークを抑えることができる。さらには、記録層として特に色素系材料や相変化材料を用いた場合、電気信号の印加だけで電気特性を大きく変化させることが難しい場合がある。このとき、電気信号により熱を発生するような発熱材料をさらに混合することにより、色素系材料および相変化材料を用いて本発明のメモリ装置を構成することができる。
【0035】
以上、実施例を挙げ、かつ、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0036】
以上、本発明により、従来のフラッシュメモリのようなすべて半導体プロセスにより形成される半導体メモリと比較して、メモリ装置の製造工程数を大幅に削減することが可能となり、コストの低減ができる。また、製造上のサイズの制約がなくなり、大きなサイズも形成可能となる。その結果、大幅な記憶容量の増大も実現することができる。さらには、データ格納部は少なくても電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有するような構成にし、また、任意のデータへのアクセスもすべて電気信号によりできるような構成にしたので、光ディスクおよびハードディスクのようにデータの記録再生のための駆動体なども必要なくなり、メモリ装置として大幅な小型化、および低コスト化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示す機能別構成図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示す部分構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の他の例を示す部分構成図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示す全体構成図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の記録原理の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の再生原理の一例を説明するための図である。
【図8】従来技術の一例を示す構成図である。
【図9】従来技術の他の例を示す構成図である。
【図10】従来技術の他の例を示すブロック図である。
【図11】図10における詳細構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・データ格納部、2,3・・・基板、4,5・・・ICチップ部、6,7・・・電極部、8,9・・・電極パタン、10・・・外部機器との接続部、11・・・外部接続端子、12・・・センスアンプ、21・・・外部接続用インタフェース部、22・・・アドレス・コントローラ、23・・・電極線
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ装置に係るもので、半導体製造プロセスと非半導体製造プロセスよりなるメモリ装置における詳細な構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録再生が可能な情報記憶装置としては、光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリなどがある。
【0003】
光ディスクは、光ディスク媒体に光ピックアップによりレーザー光を照射し、データの記録再生を行う。
【0004】
光ディスクドライブ装置の概略構成を図8に示す。
(例えば特許文献1・図1参照)
【0005】
光ピックアップ103は、半導体レーザー、プリズム、レンズ、受光素子等(図示せず)により構成され、光ディスク102上に微少な光スポットを形成するとともに、光ディスク102反射光を受光素子で受光し、信号の検出を行う。光ピックアップ103は図に示す方向に移動可能で、光ディスク102の所望の位置に移動する。スピンドルモーター104は、光ディスク102を高速回転させる。電気回路105は、半導体レーザー駆動回路、信号検出回路、モーター制御回路等である。
【0006】
ハードディスクは、高速で回転するディスクに磁気ヘッドでアクセスし,データの記録再生を行う。
【0007】
ハードディスクドライブ装置の概略構成を図9に示す。
(例えば特許文献2・図11,12,13参照)
【0008】
データの記録される複数枚の磁気ディスク112と磁気ディスク1枚ごとに用意される磁気ヘッド113と信号検出回路、スピンドルモーター制御回路等の電気回路115で構成される。
磁気ヘッド113は図に示す方向に移動可能で、磁気ディスク112の所望の位置に移動する。スピンドルモータ114は磁気ディスクを高速回転させる。
【0009】
フラッシュメモリは、書き換え可能であり、電源を切ってもデータの消えない不揮発性半導体メモリであり、機器に組み込んだ状態で電気的にデータの記録再生を行う。
【0010】
基本的構成を図10に示す。
【0011】
フラッシュメモリ121は、データを記録するメモリセル122とデータを記録、あるいは消去するメモリセルを指定するアドレスコントローラー123と接続機器とのデータのやり取りを行うインターフェース部124からなる。
メモリセル122、アドレスコントローラ123、インタフェース部124は、全て半導体プロセスで、一体的に形成される。
【0012】
メモリセル122の具体的断面図を図11に示す。
(例えば特許文献3・図1,2参照)
【0013】
131,132,133は電極、134はコントロールゲート、135は絶縁膜、136はフローティングゲート、137はソース、138はドレイン、139はP型基盤である。
フローティングゲート136の電子の有無でデータを記録、消去し、ソース137とドレイン138間に流れる電流の有無をデータとして読み出す。
【0014】
【特許文献1】特開2005−174443号公報
【特許文献2】特開2005−150292号公報
【特許文献3】特開平10−261727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1に記載された技術においては、光ピックアップが複数の光学部品により構成されるため、小型化が困難であり、また、回転、移動部があるため、消費電力が大きいという問題がある。
【0016】
特許文献2に記載された技術においては、回転、移動部があるため、消費電力が大きく、磁気ヘッドと磁気ディスクの間隔をナノオーダーで制御する必要があり、振動、衝撃に弱いという問題がある。
【0017】
特許文献3に記載された技術においては、ウエハを用意してからチップが出来あがるまで、薄膜生成工程、露光工程、エッチング工程、不純物添加工程などが何度も繰り返され300〜500ステップほどの工程があり、回路の設計やパッケージングなどまで含むと膨大な数のステップなり、製造工程が膨大でコストが高くなる。
【0018】
また、半導体チップ上にメモリ部を形成するため、面積が制限され、データ容量の上限が限定されてしまうという問題がある。
【0019】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされるものであり、光ディスクや磁気ディスクのようなデータを記録および再生するためのヘッド部や回転部などの駆動体が必要なく、かつ、半導体メモリと比較して圧倒的に製造工程の少なく、メモリ部面積を小面積に限定されない、小型、大容量、しかも極めて安価なメモリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、映像、音声、およびその他データなどを記録もしくは再生するためのメモリ装置において、前記メモリ装置へ任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成され、かつ、前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、前記電極部は前記データ格納部の表面および裏面を挟むように電極部1および電極部2により構成され、前記電極部1には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン1が形成され、前記電極部2には前記電極パタン1と略直行した方向に略一定間隔で任意の幅を有する帯状の複数の電極パタン2が形成され、かつ、前記ICチップ部は前記電極パタン1と電気的に接続するためのICチップ部1と、前記電極パタン2と電気的に接続するためのICチップ部2とにより構成され、かつ、前記ICチップ部1、2は、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に各々位置決めして配置されるような構成にした。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ICチップ部1,2は各々複数の半導体基板により形成されているような構成にした。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1、2において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々異方導電性材料により電気的に接続するような構成にした。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、異方導電性材料として異方導電性接着剤であるような構成にした。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々電気的に接続し、かつ、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に前記ICチップ部1、2を各々位置決めして配置し物理的に接続するとき、異方導電性接着剤により電気的および物理的に接続するような構成にした。
【発明の効果】
【0025】
メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための簡単な回路系などをICチップ部として半導体製造プロセスにより形成し、また任意のデータを格納するためのデータ格納部および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための電極部を非半導体製造プロセスにより形成したので、従来のフラッシュメモリのようなすべて半導体プロセスにより形成される半導体メモリと比較して、メモリ装置の製造工程数を大幅に削減することが可能となり、コストの低減ができる。また、前記データ格納部および前記電極部を非半導体プロセスにより形成することにより、半導体基板のような製造上のサイズの制約がなくなり、大きなサイズも形成可能となる。その結果、大幅な記憶容量の増大も実現することができる。この際、メモリ装置の大きさに応じて前記ICチップ部のサイズを大きくするのではなく、複数のICチップ部を並べて形成するよう構成されているため、極めて安価に実現できる。また、前記ICチップ部と前記電極部とを異方導電性接着剤により電気的および物理的に接続するよう構成されているため、半導体製造プロセスと非半導体製造プロセスという異なる製造プロセスにて製作された部分同士を容易に物理的に接続できる。さらには、半田付けなどの処理も不要で電気的な接続が可能となり、しかも、隣り合う電極線とのクロストークも抑制できる。さらには、データ格納部は少なくても電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、任意のデータの格納場所もアドレス情報として電気的に指定できるような構成にしたので、光ディスクおよびハードディスクのようにデータの記録再生のための駆動体なども必要なくなり、メモリ装置として大幅な小型化、および低コスト化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のメモリ装置は、映像、音声、およびその他データなどを記録もしくは再生するためのメモリ装置であり、前記メモリ装置へ任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成され、かつ、前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、前記電極部は前記データ格納部の表面および裏面を挟むように電極部1および電極部2により構成され、前記電極部1には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン1が形成され、前記電極部2には前記電極パタン1と略直行した方向に略一定間隔で任意の幅を有する帯状の複数の電極パタン2が形成され、かつ、前記ICチップ部は前記電極パタン1と電気的に接続するためのICチップ部1と、前記電極パタン2と電気的に接続するためのICチップ部2とにより構成され、かつ、前記ICチップ部1、2は、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に各々位置決めして配置されるような構成になっている。また、前記電極部および前記ICチップ部との接続方法、および前記ICチップ部の構成に関する発明でもある。以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0027】
図1及至図7に、本発明の実施形態を示すメモリ装置の構成例を示す。なお、同一機能のものには同一番号が付してある。本発明のメモリ装置は、前述説明の通り、本発明のメモリ装置に任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により主に構成されている。図1に、本発明のメモリ装置を主要機能ブロックごとに分割して示した基本構成図を示す。データ格納部1の両側を挟むように基板2,3があり、前期基板2,3は各々非半導体製造プロセスにより電極部6,7が形成され、かつ、半導体製造プロセスにより形成されるICチップ部との結合をするための基板となる。また、前記ICチップ部4,5は、外部との接続部10および前記電極部6,7と物理的および電気的に接続される。
【0028】
本発明のメモリ装置に係る前記電極部の構成として、図1にも示すように前記電極部6には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン8が、また、前記電極部7には前記電極パタン8と略直行した方向に略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン9が各々形成されている。この前記電極パタン8,9の形成方法としては、たとえば前記基板2,3に前記電極パタンの形状に合わせて溝を形成し、その溝に導電性の材料を埋め込んで形成するか、前記電極パタンに対応した導電性の薄膜またはシートを前記基板2,3に接着もしくは印刷プロセスにより形成すればよい。また、前述電極パタンに対応した導電性の薄膜またはシートは、前記データ格納部1に直接接着もしくは印刷プロセスにより形成してもよい。
【0029】
図2に前記ICチップ部4、前記基板2、前記電極部6および前記電極パタン8との接続をするための様子を示す。前記ICチップ部4は、外部接続用インタフェース部21、任意のデータを記録再生するときに必要となるアドレス指定などをするためのアドレス・コントローラ22、および前記電極パタン8との電気的接続をするための電極線23により構成される。前記ICチップ部4と前記基板2とを物理的に接続する際、前記電極線23と前記電極パタン8とを図2に示すように位置決めをしながら電気的に接続できるよう構成する。ここで、前記ICチップ部4と前記基板2とを物理的に接続したり、前記電極線23と前記電極パタン8とを電気的に接続する際、異方導電性接着剤を用いることにより、前記電極線23から前記電極パタン8への方向にのみ電気的な導電特性を持たせ、かつ、それと直行する方向へは電気的な導電特性を持たせないようできるため、半田付けなどの処理が一切不要で、接着のみの極めて簡単な構成で物理的かつ電気的な接続が実現できるばかりか、隣り合う電極線および電極パタン同士のクロストークを十分抑制することが可能となる。なお、図示はしないが、前記ICチップ部5、前記基板3、前記電極部7および前記電極パタン9との接続をするための様子も、前述とまったく同様である。
【0030】
図3に、前記基板2および前記電極部6のサイズが大きく、前記電極パタン8の数が多く配置されている場合における前記ICチップ部4、前記基板2、前記電極部6および前記電極パタン8との接続をするための様子を示す。この場合、前記電極パタン8の数に対応するため、前記ICチップ部4のサイズを前記基板2および前記電極部6のサイズに合わせて大きくすることは極めて実用的ではない。前述の通り、前記ICチップ部4は半導体製造プロセスにより形成されるため、シリコンなどの半導体チップのサイズは製造上の制約を受ける。そこで、図3に示すように、前記ICチップ部4のサイズを前記基板2および前記電極部6のサイズに合わせて大きくするのではなく、半導体製造プロセスにおける実用的なサイズにて形成された前記ICチップ部4を複数個並べて配置するような構成にすることで、極めて安価な構成で実現することができる。なお、図示はしないが、前記ICチップ部5、前記基板3、前記電極部7および前記電極パタン9との接続をするための様子も、前述とまったく同様である。
【0031】
図4に本発明のメモリ装置の全体構成図を示す。これは、図1の主要機能ブロックごとに分割して示した基本構成図をもとに組み立てた外形図でもある。また、図5に本発明のメモリ装置のブロック図を示す。外部との接続部10は本発明のメモリ装置が搭載もしくは接続される外部機器との電源供給用端子やデータ入出力端子などの外部接続端子11として外部へ供給される。
【0032】
図6に本発明のメモリ装置に係るデータの記録方法を示す。前記データ格納部1の構成として、図示はしないが前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有する構成になっている。本発明のメモリ装置に任意のデータを記録するとき、前記ICチップ部4,5にて指定された記録するデータを格納するためのアドレス情報に基づいて前記電極部6,7に形成される電極パタン8,9が1つもしくは2つ以上選択され、その選択された前記電極パタンに記録するための電気信号が送られる。そして、前記データ格納部1に前記電気信号が伝達され、データが記録される。ここで、前記データ格納部1は少なくても電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有する構成になっているため、極めて容易に任意のデータを記録することができる。具体的には、図6に示すように、前記データ格納部1を挟んだ一方の電極パタン8に電圧パルスを与え、他方の電極パタン9をアースしておく。データ格納部1における電位差を与えられた局所的な領域はその電気特性値が変化する。この電気特性値の変化でデータを記録する。
【0033】
図7に本発明のメモリ装置に係るデータの再生方法を示す。本発明のメモリ装置から任意のデータを再生するとき、前記ICチップ部4,5にて指定された再生するためのデータが格納されているアドレス情報に基づいて前記電極部6,7に形成される電極パタン8,9が1つもしくは2つ以上選択され、その選択された前記電極パタンに再生のための電気信号が送られる。そして、前記データ格納部1に前記電気信号が伝達され、前記データ格納部1の記録層の電気特性を検出することにより、極めて容易に任意のデータを再生することができる。具体的には、図7にも示すように、再生する領域の前記データ格納部1を挟んだ一方の電極パタン8に電圧を与え、他方の電極パタン9との間の電気特性をセンスアンプ12で検出し、データを再生する。なお、前記センスアンプ12は、たとえば前記ICチップ部4,5などに半導体プロセスで形成して搭載すればよい。
【0034】
また、図示はしないが、本発明のメモリ装置に係る前記記録層の構成として、電気信号の印加により抵抗値が変化するような材料を用いれば容易に実現できる。たとえば、色素系材料、相変化材料、強相関性材料などが挙げられる。また、これら色素系材料、相変化材料、強相関性材料などに導電性材料を混合することにより、前記記録層における電気抵抗値を任意に制御することができる。また、前記導電性材料として異方導電性材料を用い、前記電極部6から前記データ格納部1を経由して前記電極部7への経路に導電性の特性を持たせ、それと略直行する方向には導電性の特性を持たせないようすることができるため、記録再生すべきデータに隣接する方向への電気信号の流れを防止することができる。これにより、極めて簡単な構成でクロストークを抑えることができる。さらには、記録層として特に色素系材料や相変化材料を用いた場合、電気信号の印加だけで電気特性を大きく変化させることが難しい場合がある。このとき、電気信号により熱を発生するような発熱材料をさらに混合することにより、色素系材料および相変化材料を用いて本発明のメモリ装置を構成することができる。
【0035】
以上、実施例を挙げ、かつ、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0036】
以上、本発明により、従来のフラッシュメモリのようなすべて半導体プロセスにより形成される半導体メモリと比較して、メモリ装置の製造工程数を大幅に削減することが可能となり、コストの低減ができる。また、製造上のサイズの制約がなくなり、大きなサイズも形成可能となる。その結果、大幅な記憶容量の増大も実現することができる。さらには、データ格納部は少なくても電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有するような構成にし、また、任意のデータへのアクセスもすべて電気信号によりできるような構成にしたので、光ディスクおよびハードディスクのようにデータの記録再生のための駆動体なども必要なくなり、メモリ装置として大幅な小型化、および低コスト化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示す機能別構成図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示す部分構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の他の例を示す部分構成図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示す全体構成図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の記録原理の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるメモリ装置の再生原理の一例を説明するための図である。
【図8】従来技術の一例を示す構成図である。
【図9】従来技術の他の例を示す構成図である。
【図10】従来技術の他の例を示すブロック図である。
【図11】図10における詳細構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・データ格納部、2,3・・・基板、4,5・・・ICチップ部、6,7・・・電極部、8,9・・・電極パタン、10・・・外部機器との接続部、11・・・外部接続端子、12・・・センスアンプ、21・・・外部接続用インタフェース部、22・・・アドレス・コントローラ、23・・・電極線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像、音声、およびその他データなどを記録もしくは再生するためのメモリ装置において、前記メモリ装置へ任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成され、かつ、前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、前記電極部は前記データ格納部の表面および裏面を挟むように電極部1および電極部2により構成され、前記電極部1には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン1が形成され、前記電極部2には前記電極パタン1と略直行した方向に略一定間隔で任意の幅を有する帯状の複数の電極パタン2が形成され、かつ、前記ICチップ部は前記電極パタン1と電気的に接続するためのICチップ部1と、前記電極パタン2と電気的に接続するためのICチップ部2とにより構成され、かつ、前記ICチップ部1、2は、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に各々位置決めして配置されるよう構成されていることを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ICチップ部1,2は各々複数の半導体基板により形成されていることをと特徴とするメモリ装置。
【請求項3】
請求項1、2において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々異方導電性材料により電気的に接続するよう構成されていることを特徴とするメモリ装置。
【請求項4】
請求項3において、異方導電性材料として異方導電性接着剤であることを特徴とするメモリ装置。
【請求項5】
請求項1、2、3において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々電気的に接続し、かつ、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に前記ICチップ部1、2を各々位置決めして配置し物理的に接続するとき、異方導電性接着剤により電気的および物理的に接続するよう構成されていることを特徴とするメモリ装置。
【請求項1】
映像、音声、およびその他データなどを記録もしくは再生するためのメモリ装置において、前記メモリ装置へ任意のデータを記録する、もしくは前記メモリ装置から任意のデータを再生するときに前記メモリ装置における任意のデータの格納場所を任意のアドレス情報として指定するための半導体製造プロセスにより形成されたICチップ部と、前記ICチップ部にて指定された任意のアドレス情報に基づいて任意のデータを格納するための非半導体製造プロセスにより形成されたデータ格納部、および前記ICチップ部からの任意のアドレス情報および任意のデータを前記データ格納部に伝達するための非半導体製造プロセスにより形成された電極部により構成され、かつ、前記データ格納部は少なくても前記電極部からの電気信号を印加することにより電気特性が変化するような記録層を有し、かつ、前記電極部は前記データ格納部の表面および裏面を挟むように電極部1および電極部2により構成され、前記電極部1には略一定間隔に任意の幅を有する複数の帯状の電極パタン1が形成され、前記電極部2には前記電極パタン1と略直行した方向に略一定間隔で任意の幅を有する帯状の複数の電極パタン2が形成され、かつ、前記ICチップ部は前記電極パタン1と電気的に接続するためのICチップ部1と、前記電極パタン2と電気的に接続するためのICチップ部2とにより構成され、かつ、前記ICチップ部1、2は、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に各々位置決めして配置されるよう構成されていることを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ICチップ部1,2は各々複数の半導体基板により形成されていることをと特徴とするメモリ装置。
【請求項3】
請求項1、2において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々異方導電性材料により電気的に接続するよう構成されていることを特徴とするメモリ装置。
【請求項4】
請求項3において、異方導電性材料として異方導電性接着剤であることを特徴とするメモリ装置。
【請求項5】
請求項1、2、3において、前記ICチップ部1、2と前記電極パタン1、2とを各々電気的に接続し、かつ、前記電極部1,2を形成する基板上の任意の指定位置に前記ICチップ部1、2を各々位置決めして配置し物理的に接続するとき、異方導電性接着剤により電気的および物理的に接続するよう構成されていることを特徴とするメモリ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−59033(P2007−59033A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274636(P2005−274636)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505307998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505307998)
【Fターム(参考)】
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