説明

メンブレンスイッチ

【課題】照明機能付きのメンブレンスイッチの構造を簡易なものとし、接点の影ができないようにする。
【解決手段】ドーム形状とすることで、裏面シート14から離れているスイッチ部22を有する表面シート12の裏面側に、接点26を設ける。裏面シート14には、2本の配線20が設けられ、スイッチ部22を押圧することで、配線20と接点26が接触し、2本の配線20が導通する。表面シート12には、「OFF」の形状を有する透光性を有する記号部分24が形成されており、裏面側からの光でこの記号部分24が照明されて表示される。接点26は、記号部分24と重ならないように配置され、裏面からの光を遮らない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンスイッチに関し、特にその接点の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルスイッチの一種であるメンブレンスイッチが知られている。メンブレンスイッチは、基部と、基部と貼り合わせられ、可撓性のあるシートを含み、シートには、一部基部から離れている部分が形成されており、ここと、これに対向する基部上のそれぞれに、互いに対向するように接点が設けられている。この接点が設けられた部分を押圧すると、シートが撓み二つの接点が接触して導通状態となる。
【0003】
一方、ボタン式のスイッチなどでは、スイッチの表面部に一部透光性を有する部分を設け、内部から照明することが行われている。透光性のある部分を所定の記号や文字としておくことで、周囲が暗い場合でも、スイッチの場所、機能を示すことができる。
【0004】
メンブレンスイッチの例が下記特許文献1に示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−185565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のメンブレンスイッチに内部照明を行うようにする場合、表面のシートの接点がシートに形成された記号や文字に影を作り、その文字や記号が所定の形状に表示されない。そこで、例えば、接点が配置されたシートの表面側に導光板を重ねて設け、さらに導光板上に記号や文字が描かれたシートを配置する構成が採られている。この場合、導光板や記号等が描かれたシートも可撓性とする必要があり、スイッチ操作の際は、接点が配置されたシートとこれらの部材を一緒に押圧する。これは、全体として厚いシートを押圧することとなり、操作感を悪くする。
【0007】
本発明は、簡単な構成で、操作感のよい内部照明機能付きのメンブレンスイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメンブレンスイッチは、透光性のある部分としてシートに形成された記号または文字と重ならないように、当該シートに接点を配置している。これにより接点が記号または文字に影を作ることを防止する。また、記号または文字が形成されたシートに隣接して、接点が設けられたシートを配置する場合も、記号または文字と接点が重ならないようにして、影ができることを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態のメンブレンスイッチ10の概略を示す分解斜視図である。表面シート12と裏面シート14を貼り合わせ、更にこれを導光板16に貼着している。導光板16は、透明材料で構成されたシートであり、裏面シート14は導光板16と貼着されることにより一体となり、基部18を構成する。裏面シート14は、透光性を有する(透明を含む)部材であり、表面シート12に対向する面には、2本の配線20が印刷されている。表面シート12は可撓性を有する部材からなり、一部がドーム状に形成されて、裏面シート14から離れ、この部分がスイッチ部22となる。表面シート12にはまた、スイッチ部22およびこの周囲に所定の記号や文字を表した透光性を有する部分(以下記号部分と記す)24が形成されており(図2参照)、これ以外の部分は不透光性となっている。導光板16で導かれた光は、表面シートの記号部分24を透過して出射されることにより、この記号部分の形状の、記号または文字を浮き上がらせて表示する。表面シート12のスイッチ部22の、裏面シート14に対向する面には、2個の接点26が設けられている。この接点26と配線20は、井の字状になるように配置されている。スイッチ部22を押圧すると、接点26と配線20が接触し、2本の配線20が導通する。このように、スイッチ部22に対向する裏面シート14上の部分28(図1で、鎖線で囲まれる範囲)において、配線20は、接点26との接点として機能する。
【0010】
図2および図3は、スイッチ部22周囲の詳細を示す図である。記号部分24は、「OFF」という文字の形状を形成している。裏面シート14上に形成された配線20は、「F」の横画と重ならないように配置されている。スイッチ部22においては、表面シート12は、配線20より離れているので、導光板16より射出された光は、拡散して記号部分24にほとんど影を形成しない。また、操作時においては、配線20と表面シート12は接触することになるが、スイッチ部22を押している指で隠れているので見えず、問題が生じない。配線20の形状は、この例以外にも採用することができる。特に、表面シート12と裏面シート14が貼り合わされている部分、すなわち図2において、スイッチ部22の外側の部分において、記号部分24を重ならないように配置することも好ましい。
【0011】
スイッチ部22の裏面側に設けられた2本の接点26は、図示するように細長い形状を有し、2本の配線20を橋渡しする位置に設けられている。また、記号部分24を避けて配置されている。図2の例では、「O」と「F」の間、二つの「F」の間に配置されている。したがって、接点26は、透光性の記号部分24に影を作らない。接点26の形状は、記号部分24と重ならないような形状であれば、他の形状を採ることもできる。
【0012】
図4は、他の実施形態の概略図であり、前述した構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。この実施形態において記号部分24は、「A/C」である。接点26は「/」を挟んで、これに平行に2本配置され、配線20は、接点26に直交して「井」の字の形になるように配置される。この実施形態においては、スイッチ部22の外側で記号部分24と配線20が重ならないようになっている。
【0013】
図5は、さらに他の実施形態を示す図である。前述した構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。表面シート32は、透光性があり、可撓性がある材料であって、ドーム状に形成されたスイッチ部22を有している。スイッチ部22の裏面シート側には接点26が配置されている。表面シート32の上には、さらに意匠シート34が配置される。意匠シート34は図示するようにスイッチ部22のドーム形状に被さるように形成され、この被さる部分の形状は、ドーム形状でなくてもよい。この実施形態においては、図に示されるように台形となっている。この台形の上辺に相当する面に、前述の実施形態の記号部分24に相当する透光性のある部分が形成されている。接点26は、図中上方から見たときに、この記号部分と重ならないように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】メンブレンスイッチの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態のメンブレンスイッチの要部を示す平面図である。
【図3】本実施形態のメンブレンスイッチの要部を示す断面図である。
【図4】他の実施形態のメンブレンスイッチの要部を示す平面図である。
【図5】さらに他の実施形態のメンブレンスイッチの要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
10 メンブレンスイッチ、12,32 表面シート、14 裏面シート、16 導光板、18 基部、20 配線(第2接点)、22 スイッチ部、24 記号部分、26 接点(第1接点)、34 意匠シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
一部が前記基部より離れて位置するスイッチ部を形成するように、前記基部に貼り合わせられた可撓性のあるシートと、
前記スイッチ部の前記基部に対向する面に配置された第1接点と、
前記基部上の、前記スイッチ部に対向する位置に配置された第2接点と、
を有し、前記スイッチ部を押圧してシートを変形させ、第1接点と第2接点を接触させて導通させるメンブレンスイッチにおいて、
前記基部の、前記スイッチ部に対向する位置には、発光部が設けられ、
前記スイッチ部には、所定の記号または文字の形状の透光性のある部分が設けられ、前記発光部からの光を透過して、所定の記号または文字を表し、
前記第1接点は、前記所定の記号または文字と重ならないように配置された、
メンブレンスイッチ。
【請求項2】
基部と、
一部が前記基部より離れて位置するスイッチ部を形成するように、前記基部に貼り合わせられた可撓性のあるシートと、
前記スイッチ部の前記基部に対向する面に配置された第1接点と、
前記基部上の、前記スイッチ部に対向する位置に配置された第2接点と、
を有し、前記スイッチ部を押圧してシートを変形させ、第1接点と第2接点を接触させて導通させるメンブレンスイッチにおいて、
前記基部の、前記スイッチ部に対向する位置には、発光部が設けられ、
前記スイッチ部は透光性を有し、
さらに、前記スイッチ部を覆うように配置され、所定の記号または文字の形状の透光性のある部分が設けられ、前記発光部からの光を透過して、所定の記号または文字を表す意匠シートを有し、
前記第1接点は、前記所定の記号または文字と重ならないように配置された、
メンブレンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−173039(P2006−173039A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367274(P2004−367274)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【出願人】(000220686)東京特殊印刷工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】