説明

メンブレンスイッチ

【課題】外部から加わる振動や温度上昇に対しても誤作動を惹起するおそれのないようにする。
【解決手段】ベースシート11の表面に、第1の接片16を、一端部16aを固定し、他端部16bを自由にすると共にベースシート11から離間させて配置し、第2の接片17を、一端部17aを固定し、他端部17bを自由にすると共に第1の接片16の他端部16bから反ベースシート11側に離間させて配置した。この結果、表面シート18は、第2の接片17の他端部17bにより支持されるから、外部から振動が加わったり温度上昇があったりしても、第2の接片17が第1の接片16と接触をする部分である他端部16bにおいて、表面シート18がベースシート11に近づくことはない。かくして、第2の接片17が第1の接片16に接触する誤作動を惹起することのないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電をする部分を改良したメンブレンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、メンブレンスイッチは、一般に、図5に示すように、ベースシート1の表面(上面)に下部接点2が例えば一対設けられ、ベースシート1と対向する表面シート3の裏面(下面)に上部接点4が設けられていて、それら両接点2,4部分を囲う箇所で両シート1,3間にスペーサ5が挟設され、両接点2,4を離間させている。そして、その状態から、図6に矢印Xで示すように、表面シート3の上部接点4と対応する部分を押圧することで、上部接点4が下部接点2に接触し、導電状態を呈するようになっている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−127911号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のメンブレンスイッチにおいては、両シート1,3は、両接点2,4部分を囲う箇所にスペーサ5を挟設しており、両接点2,4部分にはスペーサ5を挟設していない。これは、表面シート3の上部接点4と対応する部分を押圧したときに、上部接点4を下部接点2に接触させるためには必要なことではあるが、表面シート3の上部接点4と対応する部分の支持がなされていないことであり、このため、常時(表面シート3の上部接点4と対応する部分を押圧しないとき)に、外部から加わる振動や温度上昇によって、表面シート3の上部接点4と対応する部分がベースシートに近づき、それによって上部接点4が下部接点2に接触する誤作動を惹起するおそれを有していた。
【0004】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、外部から加わる振動や温度上昇に対しても誤作動を惹起するおそれのないメンブレンスイッチを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のメンブレンスイッチは、ベースシートと、このベースシートの表面に、一端部を固定し、他端部を自由にすると共にベースシートから離間させて配置された、導電性を有する第1の接片と、前記ベースシートの表面に、一端部を固定し、他端部を自由にすると共に前記第1の接片の他端部から前記ベースシート側とは反対の側に離間させて配置された、導電性を有する第2の接片と、この第2の接片から前記第1の接片及び前記ベースシートを覆った表面シートとを具備し、前記表面シートの前記第2の接片の他端部と対応する部分を押圧することで、該第2の接片の他端部が前記第1の接片の他端部に接触して導電状態を呈することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記手段によれば、表面シートは、第2の接片が第1の接片と接触をする部分(他端部)において、該第2の接片によりベースシート側から支持される。よって、外部から振動が加わったり温度上昇があったりしても、第2の接片が第1の接片と接触をする部分において表面シートがベースシートに近づくことはなく、かくして、第2の接片が第1の接片に接触する誤作動を惹起するおそれをなくすことができる。
又、第2の接片の他端部が第1の接片の他端部と接触する際には、その接触部分に相互の摺動が生じ、それによって接触部分の汚れや油分等を払拭する効果が得られる。しかも、その場合、第1の接片は第2の接片を押し戻す反力を第2の接片に及ぼすため、接触部分の相互摺動が強く生じ、接触部分の汚れ等を払拭する効果がより有効に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例(一実施形態)につき、図1ないし図4を参照して説明する。
まず、図1において、11はベースシートを示しており、このベースシート11は、この場合、プリント回路基板の基材から成っているが、それに代えて、ポリエステルなど合成樹脂のフィルム等から成っていても良く、その表面(上面)には、図で左右一対の接点12,13と、これらにそれぞれ連続する配線14,15とを、銅箔や導電塗料等で有している。
【0008】
又、ベースシート11の表面には、第1の接片16と第2の接片17を配置しており、これらの接片16,17は導電性を有するもので、それを例えばニッケル板の表面に金メッキを施して構成している。そして、第1の接片16は、一端部(図で左側の端部)16aを前記接点12,13のうちの一方側の接点12に導電接続してベースシート11の表面に固定し、この一端部16aより一段高くなった他端部(図で右側の端部)16bを自由にすると共にベースシート11から離間させている。
【0009】
これに対して、第2の接片17は、一端部(図で右側の端部)17aを他方側の接点13に導電接続してベースシート11の表面に固定し、この一端部17aより一段高くなった他端部(図で左側の端部)17bを自由にすると共に上記第1の接片16の他端部からベースシート11側とは反対の側(上方)に離間させている。
そして、それら第2の接片17から第1の接片16及びベースシート11を、柔軟性に富む表面シート18で覆っている。
【0010】
なお、接点12,13と接片16,17の組は、図3にSで示すが、多数組存在し、これらを一つの大きなベースシート11に配置し、そして、一つの大きな表面シート18で覆っている。この場合、その一組Sずつの区画は例えば1mm平方以内のサイズである。
但し、それに限られるものではなく、図4に示すように、接点12,13と接片16,17の組Sが一つのみ存在して、それを一つの小さなベースシート11に配置し、そして、一つの小さな表面シート18で覆ったものであっても良い。
【0011】
さて、上述のごとく構成したものの場合、表面シート18の第2の接片17の他端部17bと対応する部分を、図2に矢印Xで示すように押圧すれば、該第2の接片17の他端部17bが第1の接片16の他端部16bに接触して導電状態を呈する。すなわち、接点12,13間を第1の接片16と第2の接片17とで導通させる状態となる。又、このとき、第2の接片17の他端部17bは、第1の接片16の他端部16bを押込んで、ともに弾性変形する。
【0012】
そして、その状態から、上記表面シート18の押圧を解除すれば、第2の接片17及び第1の接片16は弾性で復元し、第2の接片17の他端部17bが第1の接片16の他端部16bから離間して元の断電状態(図1)を呈する。
【0013】
しかして、断電状態では、第2の接片17の他端部17bにおいて、表面シート18が該第2の接片17の他端部17bによりベースシート11側から支持される。よって、外部から振動が加わったり温度上昇があったりしても、第2の接片17の他端部17bにおいて、表面シート18がベースシート11に近づくことはなく、かくして、従来のものとは異なり、第2の接片17が第1の接片16に接触する誤作動を惹起するおそれをなくすことができる。
【0014】
又、第2の接片17の他端部17bが第1の接片16の他端部16bと接触する際には、その接触部分に相互の摺動が生じ、それによって接触部分の汚れや油分等を払拭する効果を得ることができる。しかも、その場合、第1の接片16は第2の接片17を押し戻す反力を第2の接片17に及ぼすため、接触部分の相互摺動が強く生じ、接触部分の汚れ等を払拭する効果をより有効に得ることができる。
【0015】
なお、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す主要部分の断電状態の縦断面図
【図2】主要部分の導電状態の縦断面図
【図3】全体の外観斜視図
【図4】全体の異なる例の外観斜視図
【図5】従来例を示す図1相当図
【図6】図2相当図
【符号の説明】
【0017】
図面中、11はベースシート、16は第1の接片、16aは一端部、16bは他端部、17は第2の接片、17aは一端部、17bは他端部、18は表面シートを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシートと、
このベースシートの表面に、一端部を固定し、他端部を自由にすると共にベースシートから離間させて配置された、導電性を有する第1の接片と、
前記ベースシートの表面に、一端部を固定し、他端部を自由にすると共に前記第1の接片の他端部から前記ベースシート側とは反対の側に離間させて配置された、導電性を有する第2の接片と、
この第2の接片から前記第1の接片及び前記ベースシートを覆った表面シートとを具備し、
前記表面シートの前記第2の接片の他端部と対応する部分を押圧することで、該第2の接片の他端部が前記第1の接片の他端部に接触して導電状態を呈することを特徴とするメンブレンスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−21592(P2008−21592A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194211(P2006−194211)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】